月例経済報告(平成16年12月)

―景気は、一部に弱い動きがみられ、このところ回復が緩やかになっている。―

先行きについては、国内民間需要の増加が続いており、世界経済の着実な回復に伴って、景気回復は底堅く推移すると見込まれる。一方、情報化関連分野でみられる在庫調整の動きや原油価格の動向等には留意する必要がある。

平成16年12月20日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、一部に弱い動きがみられ、このところ回復が緩やかになっている。

  • 企業収益は大幅に改善し、設備投資は増加している。
  • 個人消費は、このところ伸びが鈍化している。
  • 雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。
  • 輸出、生産は弱含んでいる。

先行きについては、国内民間需要の増加が続いており、世界経済の着実な回復に伴って、景気回復は底堅く推移すると見込まれる。一方、情報化関連分野でみられる在庫調整の動きや原油価格の動向等には留意する必要がある。

(政策の基本的態度)

政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」の早期具体化により、構造改革の取組を加速・拡大する。12月3日、「改革断行予算」という基本路線を継続するとの方針を示した「平成17年度予算編成の基本方針」を閣議決定した。また、12月20日、「平成17年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議了解した。

政府は、日本銀行と一体となって、金融・資本市場の安定を目指し、引き続き強力かつ総合的な取組を行うとともに、集中調整期間終了後におけるデフレからの脱却を確実なものとするため、政策努力を更に強化する。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、このところ伸びが鈍化している。

個人消費は、所得が底堅く推移し、消費者マインドの改善は続いているが、台風等の一時的な要因もあってこのところ伸びが鈍化している。需要側統計(家計調査)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、10月は前月に比べて増加したが、このところ伸びが鈍化している。
個別の指標について10月の動きをみると、家計調査では、実質消費支出は前月に比べて減少した。一方、販売側の統計をみると、小売業販売額は、前月に引き続きやや増加したが、相次ぐ台風上陸の影響もあって百貨店販売等が減少した。家電販売金額は、パソコン等の不振により前年を下回ったが、DVDや薄型テレビなどの売れ行きは引き続き好調である。新車販売台数は、10月は稼働日要因により減少したが、11月は反動もあって前月を上回った。旅行は、台風の影響もあって国内旅行が前年を下回ったが、海外旅行は前年を上回った。外食は、前年を上回った。
先行きについては、雇用情勢の改善が家計の所得改善につながれば、個人消費が増加していくものと期待される。

設備投資は、増加している。

設備投資は、企業収益の回復や需要の増加等を受けて、増加している。これを需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、製造業は2004年7-9月期では増加に転じ、非製造業は4四半期連続で増加している。機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、半導体製造装置が減少するなど、このところ弱含んでいる。ソフトウェア投資は、緩やかに増加している。これらの需要側統計、供給側統計を合成した設備投資総合指数は、増加している。
日銀短観によれば2004年度設備投資計画は2年連続で増加となり、12月調査としては、大企業製造業では1989年以来、中小企業製造業では1990年以来の高い伸びとなっている。また、設備投資の動きに先行性がみられる設備過剰感は横ばいとなっている。先行指標をみると、機械受注は、電気機械からの受注が減少するなど、このところ弱含んでいる。建築工事予定額はおおむね横ばいとなっている。先行きについては、電気機械の投資動向に留意が必要であるが、企業収益の改善が続いていることから増加傾向で推移するものと見込まれる。

住宅建設は、このところ増加している。

住宅建設は、このところ増加している。これは、分譲住宅の着工が増加していることに加え、持家、貸家が底堅く推移していることによる。総戸数は、10月は、前月比5.3%減の年率119.2万戸となった。総床面積も、おおむね総戸数と同様の動きをしている。先行きについては、雇用情勢が改善していることに加え、家計の所得環境などが回復していけば、住宅着工は底堅く推移していくことが期待される。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、国、地方の予算状況を反映して、総じて低調に推移している。
平成16年度の公共投資の関連予算をみると、国の公共投資関係費においては、前年度比3.3%減としつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化したほか、各事業の目的・成果に踏み込んできめ細かく重点化している。また、地方財政計画においては、投資的経費のうち地方単独事業費について、中期的に計画的な抑制を図る中で前年度比9.5%減としつつ、重点的な配分を行うとしている。
このような状況を反映して、公共工事受注額、公共工事請負金額及び大手50社受注額は、平成16年7-9月期も、前期に引き続き、前年を下回った。
10-12月期の公共投資については、10月、11月の公共工事請負金額なども前年を下回っており、国、地方の予算状況を踏まえると、引き続き前年を下回るものと考えられる。

輸出は、このところ弱含みとなっている。輸入は、横ばいとなっている。貿易・サービス収支の黒字は、横ばいとなっている。

輸出は、このところ弱含みとなっている。地域別にみると、アジア向け輸出は、中国向け輸出が電気機器を中心に持ち直しており、基調として緩やかに増加している。アメリカ向け輸出は、輸送用機器が減少したが電気機器は増加し、全体として横ばいとなっている。EU向け輸出は、輸送用機器を中心に、弱含みとなっている。先行きについては、世界の景気は着実に回復していることに伴って、増加に転じていくと見込まれるものの、為替レートの動向には引き続き留意する必要がある。
輸入は、横ばいとなっている。地域別にみると、アジアからの輸入は、鉱物性燃料は増加した一方、機械機器が減少しており伸びが鈍化している。アメリカからの輸入は、化学製品、原料品を中心に減少している。EUからの輸入は、機械機器が増加したものの、化学製品を中心に減少している。
国際収支をみると、輸出数量はこのところ弱含み、輸入数量は横ばいとなっており、貿易収支の黒字幅は縮小している。一方、サービス収支の赤字幅は縮小傾向にあることから、貿易・サービス収支の黒字は横ばいとなっている。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、弱含んでいる。

鉱工業生産は、情報化関連生産財で生産を調整する動きが強まっていることに加え、輸出がこのところ弱含んでいることなどから、弱含んでいる。在庫は、全体としては低水準で推移しているものの、情報化関連生産財を中心に増加している。
先行きについては、世界の景気は着実に回復しているものの、情報化関連生産財の生産調整が続いていることから、当面、生産の伸びは低くなることが見込まれる。なお、製造工業生産予測調査においては、11月は増加、12月は減少が見込まれている。
また、第3次産業活動は、緩やかに増加している。

企業収益は、大幅に改善している。また、企業の業況判断は、改善に一服感がみられる。倒産件数は、減少している。

企業収益の動向を「法人企業統計季報」でみると、2004年7-9月期の経常利益は、売上高の増加等により前年同期比37.8%と2000年4-6月期以降、最も高い増益率となり、9四半期連続で増益となった。なお業種別にみると、製造業が35.6%、非製造業が39.3%の増益となっている。「日銀短観」によると、2004年度は、製造業、非製造業ともに3年連続の増益計画になっている。上期は、上方修正されたが、下期は、下方修正された。
企業の業況判断について、「日銀短観」をみると、改善に一服感がみられる。大企業製造業の業況判断は、7四半期ぶりに前回を下回ったものの、高水準にある。
また、企業倒産は、減少している。倒産件数は1,100件を下回り、これは11月としては1990年以来の低い水準となっている。

雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。

完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移するなど、雇用情勢は、厳しさが残るものの、改善している。
完全失業率は、10月は前月比0.1%ポイント上昇し4.7%となった。自営業主・家族従業者の減少により就業者が減少し、失業者が増加した。一方、15~24歳層の完全失業率が高水準となっているなど、厳しい状況もみられる。
新規求人数は増加傾向となっている。有効求人倍率は上昇している。また、雇用者数は緩やかな増加傾向となっている。製造業の残業時間は横ばいとなっている。「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は低下傾向で推移していた中で、7-9月期については前期と同水準となった。また、企業の雇用過剰感は低下しており、全規模全産業で「過剰」-「不足」が97年3月調査以来の0%ポイントとなった。
賃金の動きをみると、定期給与は基調としては横ばいとなっている。

3.物価と金融情勢

国内企業物価は、原油など素材価格の上昇により、上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。

国内企業物価は、原油など素材価格の上昇により、上昇している。最近の動きを類別にみると、電気機器などが下落している一方、原油価格の上昇を反映して石油製品、化学製品が上昇しているほか、商品市況の上昇により、鉄鋼が上昇している。輸入物価(円ベース)は、国際商品市況が上昇しているものの、円高を反映して下落している。なお、企業物価を需 要段階別にみると、中間財では素材価格の上昇を価格に転嫁する動きが進み、また、最終財でも価格転嫁の動きがみられる。
企業向けサービス価格は、外洋貨物輸送の上昇などにより、前年比で上昇している。
消費者物価は、横ばいとなっている。最近の動きを類別にみると、一般商品は、石油製品が上昇している一方、米類が下落に転じたことなどにより、横ばいとなっている。一般サービス、公共料金は、おおむね横ばいで推移している。
国内企業物価は上昇しているが、消費者物価は前年比では小幅な下落基調が続いており、物価の動向を総合してみると、物価は緩やかなデフレ状況にある。

為替レートは、対米ドルで102円台(インターバンク直物中心レート)まで円高が進んだ後、このところ105円を挟んだ動きとなっている。株価は11,000円(日経平均株価)を挟んで推移している。

対米ドル円レートは、米国の経常・財政収支の赤字や人民元切上げ観測等を背景にドル安基調が続くとの市場の見方を反映して102円台(インターバンク直物中心レート)まで円高が進んだ後、ドルは買い戻され、このところ105円を挟んだ動きとなっている。株価は、円高を嫌気して一部弱含む場面もあったが、このところ11,000円(日経平均株価)を挟んで推移している。
短期金利は落ち着いている。長期金利は横ばいで推移している。企業金融については、企業の資金繰り状況はおおむね改善しており、民間債と国債との流通利回りスプレッドは低水準で推移している。
マネタリーベースの伸びは、横ばいとなっている。M2+CDの伸びは、9月以降、緩やかに上昇している。

4.海外経済

世界の景気は着実に回復している。

アメリカでは、景気は拡大している。

7-9月期のGDP成長率は前期比年率3.9%となった。これは消費が同5.1%、投資が同12.9%の伸びとなったことなどによる。こうした景気拡大の持続を反映し、非農業雇用者数の増加が続いている。なお、雇用情勢の先行き懸念もあり、消費者マインドは低下が続いている。
10月の消費者物価上昇率は前年同月比で3.2%、生産者物価上昇率は同4.4%と大幅な上昇となったが、ハリケーン等一時的要因によりエネルギー、食料価格が上昇したことによるもので、これらを除いたコア消費者物価上昇率、コア生産者物価上昇率はそれぞれ同2.0%、1.5%と安定している。
12月14日に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンドレート誘導目標水準を0.25%ポイント引き上げ2.25%としたが、現行の緩和的な金融政策の取りやめは慎重なペースで行うことができるとの方針が引き続き示された。

アジアでは、中国、タイ等で景気は拡大が続いている。

中国では、消費の堅調な増加や輸出の増加から生産が増加するなど、景気は拡大が続いている。固定資産投資の伸びは低下したが依然として高い。10月下旬に法定貸出金利が引き上げられた。タイでは、消費や投資を中心に景気は拡大している。マレーシア、シンガポールでは、消費が増加するなど、景気は拡大している。台湾では、景気は拡大している。韓国では、景気は回復を続けているものの、輸出や生産に弱い動きが見られる。

ユーロ圏では、景気は緩やかに回復しており、英国の景気は堅調に回復している。

ユーロ圏では、生産が緩やかに増加し、投資は持ち直すなど、景気は緩やかに回復している。ドイツでは、景気は緩やかに回復しているものの、雇用環境の改善の遅れなどから消費が弱い動きとなっている。フランスでは景気は回復しているものの、生産は横ばいとなっている。なお、ユーロは対ドルで増価しており、先行きに対する影響が懸念される。
英国では、消費の増加が続き、景気は堅調に回復している。他方で、生産はこのところ減少している。

国際金融情勢等

金融情勢をみると、世界の主要な株価は、原油価格の下落等を背景に上昇した。主要国の長期金利は11月中は上昇したが、12月上旬のアメリカの雇用統計発表後、下落した。ドルはアメリカの高水準の経常収支赤字に対する懸念から、主要通貨に対し減価している。
原油価格は、需給ひっ迫懸念の後退等から下落している。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(内閣府試算値)は、9月季節調整済前月比0.2%減の後、10月(速報値)は同0.3%増となった。なお、消費総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照。
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)
家計調査の全世帯実質消費支出は、9月季節調整済前月比1.9%減の後、10月(速報値)は同2.0%減(前年同月比2.0%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、10月(速報値)は季節調整済前月比1.2%減(前年同月比1.1%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、9月季節調整済前月比1.0%増の後、10月は同0.3%増(前年同月比0.9%減)となった。また、百貨店販売額は、10月は前年同月比3.6%減(既存店)(季節調整済前月比0.3%減(全店))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、9月前年同月比3.7%減(既存店)の後、10月は同4.1%減(既存店)(季節調整済前月比1.4%増(全店))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、10月季節調整済前月比5.5%減の後、11月(速報値)は同6.1%増となった。なお、最新月はナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分する)によるが、それ以前の月は登録ナンバーベース(特殊用途車を乗用車や貨物車に配分しない)によるものであり、両者は厳密には一致しない。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、9月前年同月比8.4%減の後、10月は同1.2%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額は、国内旅行は9月前年同月比4.2%減の後、10月は同9.9%減となった。海外旅行は9月前年同月比26.4%増の後、10月は同14.7%増となった。
外食(日本フードサービス協会調べ)は、9月前年同月比1.1%増(全店)の後、10月は同2.4%増(全店)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、6月前期差0.7ポイント改善の後、9月は同2.3ポイント改善となった。消費者態度指数(原数値)は、10月前月差1.6ポイント改善の後、11月は前月差0.3ポイント改善となった。

<設備投資>

設備投資総合指数(内閣府試算値)は、9月季節調整済前月比▲0.2%減の後、10月(速報値)は同0.8%増となった。設備投資総合指数の作成方法については、ディスカッションペーパーを参照(https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)。
2004年7-9月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業、ソフトウェアを除く)でみると、季節調整済前期比2.4%増(前年同期比13.9%増)となっており、うち製造業では同6.2%増(同15.6%増)、非製造業では同0.7%増(同13.1%増)となっている。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」でみると、2004年度設備投資計画は、製造業で前年度比14.8%増、非製造業で同▲5.6%減となっており、全産業では同0.4%増となっている。
経済産業省「鉱工業指数」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、9月(確報値)は季節調整済前月比▲3.2%減(前年同月比11.4%増)の後、10月(確報値)は同0.9%増(同5.8%増)となっている。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の2004年度設備投資計画は、製造業で前年度比23.4%増、非製造業で同1.1%となっており、全産業では同7.7%増となっている。また、中小企業では製造業で同18.0%増、非製造業で同▲5.4%減となっており、全産業では同0.3%増となっている。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、9月(確報値)は前年同月比0.3%増の後、10月(速報値)は同1.9%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、9月は季節調整済前月比▲1.9%減(前年同月比5.0%増)の後、10月は同▲3.1%減(同▲9.9%減)となっている。なお、2004年10-12月期(見通し、9月調査時点)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比1.8%増(前年同期比▲4.0%減)と見込まれている。
国土交通省「建築着工統計」により非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、9月は季節調整済前月比▲4.2%減(前年同月比20.6%増)の後、10月は同▲3.5%減(同14.7%増)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成16年4-6月期は5.6%減、7-9月期は8.3%増、8月は5.5%減、9月は7.3%増、10月は5.3%減となった。内訳をみると、持家の着工(同)は、平成16年4-6月期は0.2%増、7-9月期は9.8%増、8月は4.7%増、9月は7.3%減、10月は7.6%減となり、貸家の着工(同)は、平成16年4-6月期は12.9%減、7-9月期は7.7%増、8月は3.2%減、9月は6.3%増、10月は2.9%減となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、平成16年4-6月期は3.8%減、7-9月期は13.4%増、8月は25.6%減、9月は54.3%増、10月は11.4%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、平成16年4-6月期は3.8%減、7-9月期は10.5%増、8月は5.0%減、9月は7.2%増、10月は7.7%減となった。

<公共投資>

平成16年度の国の一般会計予算(当初予算)をみると、公共投資関係費は、前年度比3.3%減と削減しつつ、雇用・民間需要の拡大に資する分野へ重点化している。
地方の予算をみると、平成16年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比9.5%減と、「経済財政運営の構造改革に関する基本方針2003」の縮減目標を前倒ししている。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で9月は7.8%減の後、10月は16.6%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で9月は23.2%減の後、10月は11.0%減となった。公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で10月は22.4%減の後、11月は4.2%減となった。公共工事出来高(建設総合統計)は、前年同月比で8月は17.1%減の後、9月は14.2%減となり、内閣府にて季節調整を実施した結果によると、前月比で8月は0.4%増の後、9月は2.0%増となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で平成16年9月2.1%減の後、10月1.4%増(前年同月比5.2%増)となった。また、前期比で4-6月期は4.9%増の後、7-9月期は2.4%減(前年同期比11.6%増)となっている。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で平成16年9月5.1%増の後、10月0.9%増(前年同月比0.6%増)となった。また、前期比で4-6月期は3.8%増の後、7-9月期は0.5%減(前年同期比6.6%増)となっている。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、平成16年9月は7,698億円の後、10月は6,614億円、通関収支差(季節調整値)は、平成16年9月は8,231億円の後、10月は9,236億円となった。

<生産・出荷・在庫>

10月の鉱工業生産指数(季節調整値、確報)は、電子部品・デバイス、食料品・たばこ等が減少したことから、前月比1.3%減となった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で、11月は一般機械や情報通信機械等の増加により3.7%増の後、12月は輸送機械や情報通信機械等の減少により2.2%減になると見込まれている。
10月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、確報)は、前月比1.0%減となった。また、10月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、確報)は96.9となっている。
第3次産業活動指数(季節調整値)は、9月(速報)前月比0.1%増となった。また、7-9月の平均(3カ月移動平均値)による対3ヶ月前比(同4-6月平均対比)をみると0.4%減となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、2004年7-9月期の経常利益は、全産業で前年同期比37.8%増、製造業は35.6%増、非製造業は39.3%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、2004年度の経常利益は、全規模・全産業で、上期は前年同期比32.2%の増益、下期は2.8%の増益、通期では前年比15.3%の増益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、大企業は3%ポイント悪化して16%ポイント、中小企業は2%ポイント改善して▲7%ポイント、全規模合計では1%ポイント悪化して1%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、11月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,064件(前年同月比4.4%減)、負債総額4,341億円(同55.4%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,106件(同2.6%減)、負債総額は3,571億円(同64.6%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は、58件(同20.5%減)となっており、エスティティ物産(株)(ゴルフ会員権販売、負債514億円)、(株)プリムラ(建築工事、負債354億円)、足利ファクター(株)(融資業務、負債180億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、10月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.1%ポイント上昇し4.7%となった。また、15~24歳層の完全失業率(原数値)は8.8%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月差6万人増の311万人となった。
労働力調査により内閣府にて季節調整を実施した結果によると、求職理由別完全失業者数(季節調整値)は、10月の非自発的な離職による者は、前月差3万人増の115万人、自発的な離職による者は、前月差1万人減の107万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、9月季節調整済前月比1.7%増の後、10月は同3.9%減(前年同月比6.2%増)となった。有効求人数は、9月同1.1%減の後、10月は同0.1%増(同12.4%増)となった。新規求職件数は、9月同9.0%減の後、10月は同9.0%減(同14.4%減)となった。有効求職者数は、9月同2.4%減の後、10月は同3.9%減(同10.6%減)となった。新規求人倍率(季節調整値)は9月1.37倍の後、10月1.45倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、9月0.84倍の後、10月0.88倍となった。
労働力調査によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で9月前月比0.3%減の後、10月は前月と同水準の5,351万人となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では9月季節調整済前月比0.9%減(前年同月比6.4%増)の後、10月は同0.2%減(同3.7%増)となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合は、産業計で4-6月期の15%から7-9月期は15%となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」によると、企業の雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全規模では、12月調査は0%ポイントと9月調査から2%ポイント低下した。
毎月勤労統計調査によると、きまって支給する給与は、事業所規模5人以上では9月季節調整済前月比0.1%増(前年同月比0.7%減)の後、10月は同0.3%減(同0.3%減)となった。
現金給与総額は、事業所規模5人以上では10月前年同月比0.5%減となった。

<物価>

日本銀行「企業物価指数」の輸出物価(円ベース)は、平成16年11月(速報値)は前月比1.8%の下落(前年同月比2.3%の上昇)、3ヶ月前比は1.9%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、11月(速報値)は前月比1.3%の下落(前年同月比9.5%の上昇)、3ヶ月前比は0.7%の下落となった。また、国内企業物価は、11月(速報値)は前月比0.1%の上昇(前年同月比2.0%の上昇)、3ヶ月前比は0.2%の上昇となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の10月の企業向けサービス価格は前年同月比0.1%の上昇(前月比0.3%の上昇)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、10月は前年同月比0.1%の下落(季節調整済前月比保合い)、8-10月平均の前年同期比は0.1%の下落となった。一般サービスは、10月は前年同月比0.1%の上昇、8-10月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、10月は前年同月比保合い、8-10月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。公共料金は、10月は前年同月比0.7%の下落、8-10月平均の前年同期比は0.7%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、11月は前年同月比0.3%の下落(季節調整済前月比0.1%の下落)、9-11月平均の前年同期比は0.3%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、11月月中は、▲0.003%~0.002%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、11月は、0.08%台で推移した。10年物国債流通利回り(公社債店頭売買参考統計値)は、11月は、1.4%台~1.5 %台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、11月末は1,098ポイントとなった。日経平均株価は、11月末は10,899円となった。
対米ドル円レート(インターバンク直物中心レート)は、11月末は103.18円となった。対ユーロ円レート(インターバンク17時時点)は、11月末は136.63円となった。
マネタリーベース(月中平均残高)は、11月は前年同月比4.9%増となった。11月の日銀当座預金平均残高は32.5兆円となった。
M2+CD(月中平均残高)は、前年同月比2.1%増となった(11月速報)。広義流動性は、11月(速報)は前年同月比3.4%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、11月(速報)は前年同月比3.3%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.3%減)となった。11月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債型新株予約権付社債は200億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、5,563億円(銀行起債の普通社債は800億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、10月は前月比で短期は0.009%ポイント減少し、長期は0.145%ポイント上昇したことから、総合では0.053%ポイント上昇し1.591%となった。日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、資金繰り判断は横ばい、金融機関の貸出態度は改善している。

<景気ウォッチャー調査>

内閣府「景気ウォッチャー調査」の11月の現状判断DIは、前月を1.1ポイント下回り、45.3となった。先行き判断DIは、前月を3.0ポイント下回り、45.8となった。