月例経済報告(平成13年12月)

―景気は、悪化を続けている。―

平成13年12月17日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、悪化を続けている。

  • 個人消費は、弱含んでいる。失業率がこれまでにない高さに上昇するなど、雇用情勢は厳しさを増している。
  • 生産、企業収益は大幅に減少しており、設備投資も減少している。
  • 業況判断は、一層厳しさが増している。

先行きについては、世界経済が同時的に減速するなど、懸念すべき点がみられる。

(政策の基本的態度)

政府は、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」及び構造改革の道筋を示す「改革工程表」に基づき、構造改革を断行することとしており、先般決定した「改革先行プログラム」の早急な実施に努めている。

12月4日には、平成14年度予算を「改革断行予算」と位置付ける「平成14年度予算編成の基本方針」を閣議決定した。

加えて、現在の厳しい経済の状況を踏まえ、構造改革を更に加速しつつ、デフレスパイラルに陥ることを回避するため、12月14日に「緊急対応プログラム」を決定した。これを受けて平成13年度第2次補正予算を編成する。

各論

1.消費・投資などの需要動向

平成13年7-9月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、民間企業設備がプラスに寄与したものの、民間最終消費支出がマイナスに寄与したことなどから、前期比で0.5%減(年率2.2%減)となった。また、名目GDPの成長率は前期比で0.8%減となった。

個人消費は、弱含んでいる。

消費総合指数をみると、このところ弱い動きが続いている。
また、需要側統計である家計調査でみると、実質消費支出は、自動車購入などの高額消費の増加により、平成13年10月は前月を上回っている。
販売側統計をみると、小売業販売額は、依然として弱い動きが続いている。百貨店販売額は、先月好調だった秋物衣料が今月は鈍化したことなどにより、前年を下回った。チェーンストア販売額は、前年のプロ野球優勝セールの反動や食料品の減少などにより、前年を大きく下回った。
耐久消費財についてみると、新車販売台数は、軽乗用車は新型車投入効果により前年を上回っているものの、普通・小型乗用車の減少により、弱い動きが続いている。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っていることなどから、弱い動きが続いている。
旅行は、海外旅行では米国における同時多発テロ事件等の影響から大幅に減少し、国内旅行も前年を下回っている。
こうした需要側と販売側の動向を総合してみると、個人消費は、弱含んでいる。
個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期給与は引き続き前年を下回っており、弱い動きが続いている。現金給与総額は引き続き前年を下回っている。
消費者マインドは、雇用環境の悪化等により悪化傾向にある。
なお、牛海綿状脳症(いわゆる狂牛病)の影響については、牛肉や焼肉店等での外食の減少という形で表れており、それらが個人消費全体に占めるシェアは小さいため、全体を左右するものではないと考えられるが、消費者マインドの動向については、今後も注意を要する。

設備投資は、減少している鼻

設備投資は、平成12年中は増加基調が続き、景気を支える要素であったが、生産の減少、企業収益の鈍化等を背景に平成13年に入り減少が続いている。需要側統計である「法人企業統計季報」でみると、4-6月期及び7-9月期の設備投資は、減少している。また、機械設備投資の供給側統計である資本財出荷は、年明け以降減少が続いている。なお、ソフトウェア投資は、増加基調を続けている。
設備投資の今後の動向については、日銀短観の平成13年度設備投資計画において製造業、非製造業ともに減少が見込まれていること、機械設備投資の先行指標である機械受注が1-3月期以降減少基調で推移し10-12月期も減少の見通しとなっていることなどからみて、減少が続くものとみられる。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。

住宅建設は、平成11年以降おおむね年率120万戸前後で推移していたが、年明け以降は、堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したこと等から、平成13年1-3月期、4-6月期と前期比で2四半期連続の減少となった。7-9月期は年率120万戸を上回ったものの、10月はマンションの着工が減少したことなどから年率114.6万戸となった。
この背景としては、雇用・所得環境が厳しさを増していること、不動産価格の長期的下落傾向により買い換えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることがあると考えられる。
先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少していることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。平成13年度当初における公共事業関連予算をみると、国の公共事業関係費は前年度に近い予算現額を確保しているものの、地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。
このような状況を反映して、7-9月期の公共工事請負金額は、引き続き前年を下回った。四半期での前年割れは、2年半にわたっている。また、大手50社受注額も3四半期連続で前年比マイナスとなっている。ただし、いずれも1-3月期、4-6月期に比較して、マイナス幅は順次縮小している。
10-12月期の公共投資については、地方の投資的経費の減少傾向が続いていることなどを踏まえると、引き続き前年を下回ると考えられる。
なお、「緊急対応プログラム」(12月14日決定)を受けて編成する第2次補正予算においては、「国債発行額30兆円以下」の方針の下、安易な国債増発によることなく、政府の保有資金を最大限活用した「改革推進公共投資」特別措置の実施により、国費で公共事業1.5兆円、施設費1兆円の計2.5兆円の社会資本整備のための無利子貸付けを行い、事業規模で4.1兆円程度を確保することとしている。

輸出は、減少している。輸入は、大幅に減少している。貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。

輸出は、世界経済の減速を背景として、大幅に減少してきたが、このところ電気機器や一般機械などの減少幅が縮小し、また、アメリカ向けを中心に自動車が増加していることから、全体としても減少幅が縮小している。ただし、自動車輸出の増加は一時的と考えられ、基調としては依然として減少している。地域別にみると、アメリカ向けは、自動車輸出が増加したことから、全体としても増加した。アジア向けはこのところ減少幅が縮小している。EU向けは減少している。これまでのところ、米国における同時多発テロ事件等のマイナスの影響は明確にはみられていないものの、世界経済の同時的な減速が長期化した場合、これが我が国輸出の下押し要因として作用するものとみられる。
輸入は、内需の弱さを反映して大幅に減少している。品目別では、IT関連財など機械機器が大幅に減少している。地域別にみると、機械機器の減少を主因に、アメリカからの輸入は大幅に減少している。アジアからの輸入も、これまで堅調であった中国からの輸入が減少傾向にあるなど、アジア全体でも減少している。EUからの輸入も、減少傾向にある。
国際収支をみると、輸出数量の減少幅が縮小したものの、依然減少が続き、輸入数量も大幅に減少していることから、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。

2.企業活動と雇用情勢

生産は大幅に減少し、在庫率は高水準にある。

鉱工業生産は、今年に入ってから大幅に減少している。輸出の減少等により、IT関連品目の生産を減少させていることなどが背景にある。
生産の先行きについては、11月は減少、12月は増加が見込まれている。また、在庫が減少しているものの、在庫率は依然として高い水準にあること及び米国における同時多発テロ事件等による影響を含め、今後の需要動向が不透明であることは、生産の先行きに関して懸念すべき点である。
一方、第3次産業活動の動向をみると、このところ減少している。

企業収益は、製造業を中心に大幅に減少している。また、企業の業況判断は、一層厳しさが増している。倒産件数は、やや高い水準となっている。

企業収益は平成11年以降改善が続いていたが、「法人企業統計季報」によると、今年に入り人件費の削減ペースが鈍化してきたこと、売上高の増収幅が縮小してきたこと等により、全体としては頭打ちとなっていた。平成13年7-9月期には売上高も減収に転じ、電気機械などの製造業を中心に大幅な減益となった。また日銀短観によると、平成13年度下期も、上期に続き製造業を中心に大幅な減益を見込んでいる。
企業の業況判断について日銀短観をみると、一層厳しさが増している。特に製造業では鉄鋼や電気機械、非製造業では建設や卸売などで業況判断の厳しさが目立っている。先行きについても、中小企業を中心にさらなる悪化を見込んでいる。
また、10月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで1,843件となるなど、やや高い水準となっている。

雇用情勢は、厳しさを増している。完全失業率がこれまでにない高さに上昇し、求人や残業時間、賃金も弱い動きが続いている。

10月の完全失業率は、前月比0.1%上昇し、5.4%とこれまでにない水準となった。女性の完全失業率が低下する一方、男性については雇用者が減少、完全失業者が大きく増加し、完全失業率は上昇している。完全失業者については、最近増加していた自発的な離職による者に加え、非自発的な離職による者も増加している。
新規求人数は、前年同月比では引き続き減少している。前月比では増加に転じたものの、新規求職件数が大幅に増加したため、新規求人倍率、有効求人倍率とも前月比低下となった。製造業の残業時間については、12ヶ月連続で前月比減となっている。「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合は、7-9月期は全体では横ばいで推移したが、製造業ではやや上昇した。企業の雇用過剰感は、製造業を中心に引き続き強まっている。
賃金の動きをみると、現金給与総額、定期給与は前年を下回っており、弱い動きが続いている。

3.物価と金融情勢

国内卸売物価は、下落幅をやや拡大している。消費者物価は、弱含んでいる。

輸入物価は、このところ、契約通貨ベース、円ベースともに下落している。国内卸売物価は、平成13年入り後弱含んでいる。最近の動きをみると、技術革新や需要の減少等を背景に電気機器などが値下がりしていることや、原油価格低下の影響を受けて、下落幅はやや拡大している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、一般サービスは横ばいとなっているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

金融情勢については、株式相場及び長期金利は、ほぼ横ばいで推移した。

短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、11月から12月上旬にかけて、日本銀行による金融緩和措置を反映して、0.002%~0.004%で推移した。2、3ヶ月物は、4月以降、低位での推移が続いており、11月から12月上旬にかけては、ほぼ横ばいで推移した。長期金利は、昨年秋より低下基調で推移してきたが、7月から8月上旬にかけて上昇した後、ほぼ横ばいで推移した。
株式相場は、昨年春より下落基調で推移している。米国における同時多発テロ事件の影響等から9月中旬に一段と下落したが、10月に米テロ事件前の水準まで上昇した後、ほぼ横ばいで推移した鼻
対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、10月下旬から11月上旬にかけて、123円台から120円台まで上昇した後、12月上旬にかけて、125円台まで下落した鼻対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、11月中旬に107円台まで上昇した後、12月上旬にかけて、112円台まで下落した。
M2+CD(月中平均残高)は、年明け以降、郵便貯金からの資金シフト等を受けて、やや伸び率を高めてきたが、このところほぼ横ばいで推移している。(11月速報:前年同月比3.2%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、96年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、年明け以降低下傾向で推移して来たが、このところ横ばい圏で推移している。日銀短観によると、資金繰り判断及び金融機関の貸出態度判断は、大企業、中堅企業、中小企業ともやや悪化している。

4.海外経済

世界経済は、同時的に減速している。

世界経済は、同時的に減速している。
アメリカの景気は後退している。個人消費は、テロ事件以前にくらべて弱含みの基調にあるが、このところ大幅に増加している自動車販売の影響がみられる。また、住宅投資は頭打ちとなっており、設備投資が引き続き大幅に減少していることから、内需は減少している。在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し、稼働率は低下しているが、受注は軍需資本財の大幅増加などから増加している。雇用は大幅に減少しており、失業率は急速に上昇している。物価は、安定基調にあるなかで、このところエネルギー価格下落による低下がみられる。
ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は減速している。フランスでは、景気の拡大テンポは鈍化している。イギリスでは、景気は緩やかに拡大している。
アジアをみると、中国では、個人消費や固定資産投資が堅調に推移しているが、輸出の伸びが鈍化していることから、このところ景気の拡大テンポは鈍化している。韓国では、生産や輸出が減少するなど、景気は減速しているが、底堅い動きもみられる。
金融情勢をみると、ドル、株価ともにアフガニスタン情勢の早期解決への期待などから堅調に推移したが、11月末にはやや弱含んだ。アメリカでは、12月11日のFOMCで短期金利の誘導目標水準が0.25%ポイント引き下げられ、1.75%とされた。これにより、フェデラル・ファンド・レートは1961年7月以来の低水準となった。
国際商品市況をみると、弱含みが続いていた原油価格は、11月14日のOPEC臨時総会での減産合意が非加盟国の協調減産を条件としていたことから急落したが、その後非加盟国の一部に協調減産に応じる動きが出たことなどから持ち直した。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(需要側、内閣府試算値、後方3ヶ月移動平均)は、平成13年9月(速報値)季節調整済3ヶ月前比0.1%減の後、10月(暫定値)は同0.3%減となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベースにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペーパー (https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、9月季節調整済前月比0.3%減の後、10月(速報値)は同4.4%増(前年同月比0.4%増)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、10月(速報値)は季節調整済前月比1.9%増(前年同月比1.9%減)となった。
経済産業省柊商業販売統計稗の小売業販売額は、10月(速報値)は季節調整済前月比2.0%減(前年同月比4.9%減)となった。また、百貨店販売額は、10月(速報値)は、前年同月比2.5%減(店舗調整後)(季節調整済前月比3.1%減(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、10月は、前年同月比10.1%減(店舗調整後)(季節調整済前月比5.1%減(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、10月は前年同月比0.4%減の後、11月(速報値)は同2.1%減となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、9月前年同月比5.4%減の後、10月は同10.1%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額の10月は、前年同月比で国内旅行が4.8%減、海外旅行が同49.5%減となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では、9月前年同月比1.2%減の後、10月(速報値)は1.2%減(事業所規模30人以上では同0.5%減)となり、うちきまって支給する給与は、10月(速報値)同1.3%減(事業所規模30人以上では同0.4%減)となった。実質賃金は、事業所規模5人以上では、9月前年同月比0.4%減の後、10月(速報値)は同0.4%減(事業所規模30人以上では同0.4%増)となった。
内閣府「消費動向調査」の消費者態度指数(季節調整済)は、6月前期差0.7ポイント上昇(改善)の後、9月同4.0ポイント低下(悪化)となった。
家計調査の全世帯名目消費支出でみると、牛肉は10月(速報値)は前年同月比59.4%減となった(消費支出全体に占めるシェアは10月0.3%)。
日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」によると、ファミリーレストラン(焼き肉)の売上高(既存店ベース)は、10月前年同月比46.3%減となった(本調査における同業態の店舗数が全体に占めるシェアは10月2.6%)。

<設備投資>

7-9月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業)でみると、季節調整済前期比で1.6%減(前年同期比0.5%増)となっており、うち製造業では同6.3%減(同2.7%減)、非製造業では同1.3%減(同2.4%増)となっている。
法人企業統計季報で捕捉できない金融・保険業の設備投資を内閣府「法人企業動向調査」でみると、7-9月期(実績見込)は季節調整済前期比23.1%増(前年同期比37.9%増)となっている。
経済産業省「経済産業統計」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、季節調整済前月比で9月は4.8%減(前年同期比16.5%減)の後、10月は同3.1%減(同18.5%減)となっている。
日本銀行柊企業短期経済観測調査稗(12月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成13年度設備投資計画は、製造業で前年度比4.4%減、非製造業で同7.9%減となっており、全産業では同6.5%減となった。また、中小企業では製造業で同16.3%減、非製造業で同5.5%減となっており、全産業では同8.4%減となった。
経済産業省「特定サービス産業動態統計」でみると、受注ソフトウェア売上高は、9月は前年同月比10.2%増の後、10月は6.3%増となっている。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で9月は13.2%減(前年同月比11.8%減)の後、10月は同10.1%減(同26.6%減)となり、減少傾向にある。なお、10-12月期(見通し)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で0.5%減(前年同期比12.1%減)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、季節調整済前月比で9月は8.9%減(前年同月比6.5%減)の後、10月は同6.3%増(同1.9%増)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成13年1-3月期は5.5%減、4-6月期は1.6%減、7-9月期は6.0%増、10月は3.0%減となった。内訳をみると、公庫持家の着工(同)は、1-3月期は25.6%減、4-6月期は22.5%減、7-9月期は0.8%増、10月は15.0%減となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、1-3月期は12.3%減、4-6月期は1.5%減、7-9月期は25.9%増、10月は14.9%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、1-3月期は9.1%減、4-6月期は5.2%減、7-9月期は9.1%増、10月は4.0%減となった。
住宅金融公庫を利用した持家の着工(全体の新設住宅着工の約15%)の先行指標である公庫への融資申込み戸数(個人向けマイホーム新築資金)は、平成12年度第2回募集(受付期間:8月7日~9月22日)に51,192戸(前年同回比42.1%減)となった後、第3回募集(受付期間:10月30日~12月22日)は35,486戸(同4.5%減)、第4回募集(受付期間:1月22日~3月23日)は33,375戸(同11.5%減)となり、低水準にとどまっている。また、平成13年度第1回募集(受付期間:4月23日~5月28日)は28,432戸、第2回募集(受付期間:7月16日~8月27日)は23,009戸、第3回募集(受付期間:9月17日~10月15日)は11,837戸となっている(平成13年度から受付回数が年4回から年6回になったため、単純に比較できない)。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110、10月109となっている。

<公共投資>

平成13年度の国の一般会計予算(当初)をみると、公共事業関係費は前年度当初予算とほぼ同額の9.4兆円を確保している。平成13年度補正予算(11月)においては、当初予算に計上していた公共事業等予備費(3,000億円)については減額補正したものの、災害復旧等事業費(3,090億円)等を計上し、補正後の公共事業関係費は9.9兆円となっている。なお、12月4日に閣議決定した「平成14年度予算編成の基本方針」では、平成14年度予算において、重点分野の公共投資を伸ばす一方、緊急性の低い公共投資を大幅に削減することにより、公共投資関係費を平成13年度当初予算に相当する額から10%削減することとしている。
地方の予算についてみると、総務省がまとめた普通会計予算(9月補正後)ベースでは、普通建設事業費は、都道府県で前年度比5.7%減、政令指定都市で同9.5%減、両者を合わせると同6.2%減となっている。また、「日経地域情報」調査によれば、一般会計予算(当初)ベースの普通建設事業費は、都道府県で前年度比2.4%減、全市で同3.1%減、特別区で同6.8%減となっており、これらを単純合計すると前年度比2.7%減となる(骨格予算を編成した地方公共団体などを除く)。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で9月3.4%減の後、10月は4.5%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で9月14.1%減の後、10月は23.7%減となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で9月9.6%減の後、10月は0.5%増となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で9月4.1%減の後、10月は2.4%増(前年同月比9.5%減)となった。また、前期比で4-6月期6.2%減の後、7-9月期2.8%減(前年同期比12.9%減)となった。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で9月7.4%減の後、10月は12.0%増(前年同月比2.5%減)となった。また、前期比で4-6月期2.9%減の後、7-9月期4.0%減(前年同期比5.0%減)となった。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、9月3,522億円、10月は3,620億円となった。

<生産・出荷・在庫>

10月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、電気機械や一般機械等が減少したことから、前月比0.3%減となった。また、1-3月期で前期比3.7%減、4-6月期で同4.1%減、7-9月期で同4.3%減であった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で11月は輸送機械やその他等により1.0%減の後、12月は輸送機械や金属製品等により0.8%増になると見込まれている。
10月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比1.1%減となった。また、10月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は114.9となっている。
9月の第3次産業活動指数(季節調整値、速報)は、卸売・小売業,飲食店、運輸・通信業等が減少した結果、前月比0.9%減となった。また、7-9月期では、前期比1.0%減となり、2四半期連続の減少となった。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、7-9月期の経常利益は全産業で前年同期比32.5%減、製造業は53.4%減、非製造業は15.0%減となった。
日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、平成13年度の経常利益は、全規模・全産業で上期は同17.6%の減益の後、下期には同19.6%の減益が見込まれており、通期でも同18.7%の減益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査、業況について「良い」-「悪い」)をみると、全規模で製造業は4%ポイント悪化して△47%ポイント、非製造業は3%ポイント悪化して△34%ポイント、全産業では4%ポイント悪化して△40%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、10月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,843件(前年同月比11.3%増)、負債総額は10,061億円(同88.0%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,911件(同11.7%増)、負債総額は10,710億円(同87.5%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は138件(同19.0%増)となっており、主な大型倒産としては、東証1部上場の電送装置メーカーの大倉電気(負債86億円)、洋菓子チェーンの洋菓子のヒロタ(同50億円)など(東京商工リサーチ調べ)。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」によると、10月の完全失業率(季節調整値)は、男女計で前月比0.1%上昇し5.4%となった。男性は同0.4%上昇し5.8%、女性は同0.4%低下し4.8%となった。完全失業者数(季節調整値)は、男女計で前月比1.1%増の360万人となった。男性は同7.0%増の229万人、女性は同7.0%減の132万人となった。求職理由別完全失業者数(原数値)は、非自発的な離職による者は、9月前年同月差10万人増の後、10月は16万人増となった。自発的離職による者は、9月同18万人増の後、10月は20万人増となった。
労働力調査によると、雇用者数(季節調整値)は、男女計で前月比0.1%減の5331万人となった。男性は同0.7%減の3167万人、女性は同0.7%増の2164万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、季節調整済前月比で9月4.2%減の後、10月は3.5%増となった(10月前年同月比7.2%減)。新規求職件数は、季節調整済前月比で9月1.7%減の後、10月は18.2%増となった(10月前年同月比19.2%増)。新規求人倍率(季節調整値)は9月1.00倍の後、10月0.87倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、9月0.57倍の後、10月0.55倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では9月季節調整済前月比2.4%減(前年同月比14.0%減)の後、10月は同1.9%減(同15.9%減)(速報値)となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合は、産業計では平成13年4-6月期の26%から平成13年7-9月期は25%となった。製造業では平成13年4-6月期の35%から平成13年7-9月期は37%となった。
日本銀行「企業短期経済観測調査」によると、企業の雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、9月調査の18%ポイントから、12月調査では21%ポイントとなった。
毎月勤労統計調査によると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では、9月前年同月比1.2%減の後、10月(速報値)は1.2%減(事業所規模30人以上では同0.5%減)となり、うちきまって支給する給与は、10月(速報値)同1.3%減(事業所規模30人以上では同0.4%減)となった。

<物価>

日本銀行「卸売物価指数」の輸出物価(円ベース)は、11月は前月比0.1%の上昇(前年同月比3.3%上昇)、9-11月平均の3ヶ月前比(6-8月平均対比、以下同じ)は2.3%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、11月は前月比1.8%の下落(前年同月比1.2%下落)、9-11月平均の3ヶ月前比は4.6%の下落となった。また、国内卸売物価は、11月は、前月比0.2%の下落(前年同月比1.4%下落)、3ヶ月前比は0.8%の下落となった。
日本銀行柊企業向けサービス価格指数稗の10月の企業向けサービス価格指数は前年同月比1.2%の下落(前月比0.2%上昇)となった。
総務省柊消費者物価指数(全国)稗の生鮮食品を除く総合は、10月は前年同月比0.7%の下落(季節調整済前月比0.2%下落)、8-10月平均の前年同期比は0.8%の下落となった。一般サービスは、10月は前年同月比0.1%の上昇、8-10月平均の前年同期比は保合いとなった。一般商品は、10月は前年同月比1.9%の下落、8-10月平均の前年同期比は1.7%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、11月は前年同月比1.0%の下落(季節調整済前月比0.2%下落)、9-11月平均の前年同期比は1.0%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、11月から12月上旬にかけて、0.002%~0.004%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、11月から12月上旬にかけて、0.08%台で推移した。10年物国債流通利回りは、11月から12月上旬にかけて、1.2%台後半~1.3%台後半で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、11月末には1,050ポイントとなった。日経平均株価は、11月末には10,697円となった。
対米ドル円相場はインタ-バンク直物中心相場、対ユ-ロ円相場はインタ-バンク17時時点の相場。
広義流動性は、11月(速報)は前年同月比2.2%増となった。マネタリーベースは、日銀による潤沢な資金供給の継続を受けて、11月は前年同月比14.5%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、11月(速報)は前年同月比4.3%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.0%減)となった。11月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が600億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、8,600億円(銀行起債は無し)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、10月は前月比で短期は0.265%ポイント上昇し、長期は0.210%ポイント上昇したことから、総合では0.238%ポイント上昇し1.716%となった。