月例経済報告(平成13年10月)

―景気は、引き続き悪化している。―

平成13年10月10日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気は、引き続き悪化している。

  • 個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、このところ弱い動きがみられる。失業率は、これまでの最高水準で推移している。
  • 輸出、生産が大幅に減少し、企業収益、設備投資も減少している。
  • 業況判断は、製造業を中心に大幅に悪化している。

先行きについては、米国における同時多発テロ事件の世界経済への影響など、懸念が強まっている。

(政策の基本的態度)

政府は、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」に基づき、構造改革の道筋を示す「改革工程表」をとりまとめた。さらに、構造改革を強力かつ迅速に遂行するため、先行して決定・実施すべき施策を「改革先行プログラム」として10月中にとりまとめるとともに、平成13年度補正予算を編成する。

なお、日本銀行においては、9月18日に、金融市場の安定を確保し、金融緩和の効果浸透を図る観点から、日本銀行当座預金残高が6兆円を上回ることを目標にするとともに、公定歩合を0.15%引き下げ0.10%とすること等を決定した。

各論

1.消費・投資などの需要動向

個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、このところ弱い動きがみられる。

消費総合指数をみると、このところ弱い動きが続いている。
また、需要側統計である家計調査でみると、実質消費支出は、平成13年8月は前月を下回り、このところ弱い動きが続いている。
販売側統計をみると、小売業販売額や百貨店販売額、チェーンストア販売額は、依然として弱い動きが続いている。
耐久消費財についてみると、新車販売台数は、これまで好調に推移していた新型車の受注減により前年を下回り、弱い動きとなっている。家電販売金額は、パソコンが引き続き前年を大きく下回っていることなどから、弱い動きが続いている。
旅行は、国内旅行、海外旅行とも前年を上回っており、好調な動きとなっている。なお、米国における同時多発テロ事件の影響により、9月以降の海外旅行の大幅な減少が懸念される。
こうした需要側と販売側の動向を総合してみると、個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、このところ弱い動きがみられる。
個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、定期給与は引き続き前年を下回っており、弱い動きが続いている。また、現金給与総額も前年を大きく下回っている。

設備投資は、減少している。

設備投資は、平成12年中は増加基調が続き、景気を支える要素であったが、生産の減少、企業収益の鈍化等を背景に平成13年に入り頭打ちに転じ、このところ減少している。「法人企業統計季報」でみると、4-6月期の設備投資は、減少している。また、機械設備投資の参考指標である資本財出荷は、年明け以降減少を続けている。
設備投資の今後の動向については、日銀短観の平成13年度設備投資計画において非製造業を中心に減少が見込まれていること、機械設備投資の先行指標である機械受注が1-3月期以降減少基調で推移し7-9月期も減少の見通しとなっていることなどからみて、減少が続くものとみられる。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。

住宅建設は、平成11年以降おおむね年率120万戸前後で推移していたが、昨年堅調であったマンションの着工が落ち着いてきたことに加え、公庫持家の着工が大きく水準を下げて推移したことを主因として、年明け以降弱含み、平成13年4-6月期は115万戸程度となり、前期比で2四半期連続の減少となった。この背景としては、雇用・所得環境が厳しさを増していること、不動産価格の長期的下落傾向により買い替えが困難となっていることなどから、消費者の住宅取得マインドが低下していることがあると考えられる。7、8月はいずれも年率120万戸を上回ったが、これは、マンションの着工が再び増加していることのほか、貸家の着工が増加したことによる。
先行きについてみると、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少していることなど、住宅着工を減少させる要因が引き続きみられる。

公共投資は、総じて低調に推移している。

公共投資は、総じて低調に推移している。工事の前払金保証契約実績に基づく公共工事請負金額は、昨年6月以降3月まで継続して前年を下回り、年度末にかけて発注が集中する1-3月期の受注においても、前年を大きく下回る指標がみられた。
平成13年度当初における公共事業関連予算をみると、国の公共事業関係費は前年度に近い予算現額を確保しているものの、地方の投資的経費は、厳しい財政状況を反映して引き続き前年度を下回っている。
このような状況を反映して、4-6月期の受注額、請負金額は引き続き前年を下回った。ただし、このところの動きをみると、前年の同時期が低調に推移したこともあり、7月の請負額や8月の大手50社受注額が前年を上回るなど、マイナス幅は縮小している。
7-9月期の公共投資については、予算状況や執行方針などを踏まえると、引き続き前年を下回る可能性がある。

輸出は、大幅に減少している。輸入は、減少している。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。

輸出は、世界経済の減速を背景として、電気機器や一般機械などが減少していることから、大幅に減少している。地域別にみると、アジア、アメリカ、EUのいずれの地域向けも減少している。今後は、米国における同時多発テロ事件の影響などにより世界経済の減速が長期化した場合、これが我が国輸出の下押し要因として作用するものとみられる。
輸入は、内需の弱さを反映して減少している。品目別では、半導体等電子部品の大幅な減少などによって、機械機器の減少が続いている。地域別にみても、機械機器の減少を主因にアメリカ・EUからの輸入は減少している。アジアからの輸入も、これまで堅調であった中国からの輸入が頭打ちになるなど、減少傾向にある。
国際収支をみると、輸出・輸入数量ともに減少しているが、輸出数量が輸入数量の減少を上回って減少していることを要因として、貿易・サービス収支の黒字は、減少している。

2.企業活動と雇用情勢

生産は大幅に減少し、在庫率は高水準にある。

鉱工業生産は、今年に入ってから大幅に減少している。輸出の減少等により、IT関連品目の生産を減少させていることが主因である。
生産の先行きについては、9月は減少、10月は増加が見込まれている。また、IT関連を中心に在庫が減少しているものの、在庫率は依然として高い水準にあることは、生産の先行きに関して懸念すべき点である。
一方、第3次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。
また、農業生産の動向をみると、米の作況は「やや良」となっている。

企業収益は、減少している。また、企業の業況判断は、製造業を中心に大幅に悪化しており、一層厳しさが増している。倒産件数は、やや高い水準となっている。

企業収益は平成11年以降改善が続いていたが、「法人企業統計季報」によると、人件費が増加してきたこと、売上高の増収幅が縮小してきたこと等により、全体としては頭打ちとなっており、平成13年4-6月期には電気機械を中心に製造業では減益に転じた。また日銀短観によると、平成13年度上期は製造業、非製造業とも減益見込みとなっている。さらに、増益見通しとなっていた下期も全産業では減益見通しに転じ、年度を通しても減益の計画となった。
企業の業況判断について日銀短観をみると、大企業・製造業では電気機械などの加工業種だけではなく、鉄鋼、化学など素材業種も急速に悪化するなど、一層厳しさが増している。

また、8月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで1,544件となるなど、やや高い水準となっている。

雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率がこれまでの最高水準で推移し、求人や残業時間も弱含んでいる。

完全失業率は、8月は前月比同水準の5.0%と過去最高水準で推移した。
また、他にも雇用情勢の厳しさを示す動きが引き続きみられる。新規求人数は、前年同月比でみると、製造業の減少幅が拡大したことを背景に、全体で減少に転じ(8月前年同月比3.9%減)、前月比でも減少となった(8月前月比3.8%減)。製造業の残業時間についても、10ヶ月連続で前月比減となっている。雇用者数は、全体では概ね横ばいで推移しているものの、製造業において弱い動きがみられる。企業の雇用過剰感は、製造業を中心に引き続き強まっており、大、中堅製造業で悪化幅が大きくなっている。

3.物価と金融情勢

国内卸売物価、消費者物価は、ともに弱含んでいる。

輸入物価は、このところ、契約通貨ベース、円ベースともに下落している。国内卸売物価は、平成13年入り後弱含んでいる。最近の動きをみると、石油・石炭製品などは値上がりしているものの、電気機器や非鉄金属などが値下がりしていることから、下落している。また、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、平成12年秋以降弱含んでいる。最近の動きをみると、個人サービスの下落幅縮小などにより一般サービスは前年と比べやや上昇しているものの、耐久消費財の下落などにより一般商品は下落していることから、全体としては下落している。
こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレにある。

金融情勢については、株式相場は、7月以降、一段と下落している。

短期金利についてみると、9月11日の米国における同時多発テロ事件の発生を受けた日本銀行の潤沢な流動性供給等により、おおむね安定的に推移した。オーバーナイトレートは、9月は、コール市場の金利刻み幅変更等を受けて低下し、おおむね0.002%~0.003%で推移した。2、3ヶ月物は、4月以降、低位での推移が続いており、9月は、ほぼ横ばいで推移した。長期金利は、昨年秋より低下基調で推移してきたが、国債の需給悪化を懸念する市場の見方等もあって、7月から8月上旬にかけて上昇した後、横ばいで推移した。
株式相場は、昨年春より下落基調で推移している。3月中旬から5月上旬にかけて一旦上昇したものの、7月以降、企業業績の悪化を懸念する市場の見方に加えて、米国における同時多発テロ事件の影響等もあり、一段と下落している。
対米ドル円相場は、8月は円高基調で推移したが、9月は、月初の118円台から一時121円台まで下落した後上昇し、下旬は117円台から119円台で推移した。対ユーロ円相場は、6月から7月にかけて109円台に下落した後横ばいで推移し、9月は、106円台から109円台で推移した。
M2+CD(月中平均残高)は、昨年後半以降、おおむね前年同月比2.0%増程度で推移してきたが、年明け以降、郵便貯金からの資金シフト等を受けて、やや伸び率を高めている(8月速報:前年同月比3.4%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、96年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷等を背景に、依然低調に推移している。貸出金利は、金融緩和等を背景に、年明け以降低下傾向にある。

4.海外経済

世界経済の先行きは不透明になっている。

世界経済をみると、成長に減速がみられるなか、米国同時多発テロ事件により先行きは不透明になっている。
アメリカの景気は弱い状態となっており、先行きは不透明である。個人消費は、所得税減税による可処分所得の伸びにくらべ低い伸びにとどまっており、消費者信頼感は大幅に低下している。一方、住宅投資は頭打ちとなっており、企業収益の悪化から設備投資は大幅に減少していることから、内需の伸びは鈍化している。在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し、稼働率が低下している。雇用は減少しており、失業率は上昇している。
ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は減速している。フランスおよびイギリスでは、景気の拡大テンポは鈍化している。
アジアをみると、中国では、個人消費や固定資産投資が堅調に推移しているが、このところ輸出の伸びが鈍化していることから、景気の拡大テンポはやや鈍化している。韓国では、生産や輸出が減少するなど、景気は減速している。
金融情勢をみると、ドルは、米国同時多発テロ事件をきっかけに大きく下落したがややもち直している。株価は、テロ事件後に一時大幅に下落したが、ややもち直している。アメリカ、ユーロ圏などの主要中央銀行は、テロ事件を受け、相次いで利下げを実施した。
国際商品市況をみると、原油価格は、テロ事件発生により一時急騰したものの、その後世界的な需要減退の懸念が高まったことなどから急落した。

(注)

<個人消費>

消費総合指数(需要側、内閣府試算値、後方3ヶ月移動平均)は、平成13年7月(速報値)季節調整済3ヶ月前比0.6%減の後、8月(速報値)は同0.6%減となった。
消費総合指数の作成方法:総務省「家計調査」から、GDPの個人消費には含まれない「仕送り金」、「修繕費」や、振れが大きい高額消費である「自動車等購入」などを除外した後、世帯数を乗ずるなどしてマクロの消費ベースにする。これに、自動車、家賃、医療費について別途供給側の統計を用いて計算したものを加える。詳細は、ディスカッションペーパー (https://www5.cao.go.jp/keizai3/discussion-paper/menu.html)を参照。
家計調査の全世帯実質消費支出は、7月季節調整済前月比1.5%増の後、8月(速報値)は同1.2%減(前年同月比1.1%減)となった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、8月(速報値)は季節調整済前月比1.0%減(前年同月比1.5%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、8月(速報値)は季節調整済前月比0.8%減(前年同月比3.5%減)となった。また、百貨店販売額は、8月(速報値)は、前年同月比0.8%減(店舗調整後)(季節調整済前月比3.0%増(店舗調整前))となった。
チェーンストア販売額(日本チェーンストア協会調べ)は、8月は、前年同月比5.2%減(店舗調整後)(季節調整済前月比1.4%減(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、8月は前年同月比5.5%増の後、9月(速報値)は同2.3%減となった。
家電販売額(日本電気大型店協会調べ)は、7月前年同月比4.3%減の後、8月は同6.5%減となった。
大手旅行業者13社取扱金額の8月は、前年同月比で国内旅行が1.2%増、海外旅行が同3.8%増となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では、7月前年同月比0.6%減の後、8月(速報値)は3.2%減(事業所規模30人以上では同2.4%減)となり、うちきまって支給する給与は、8月(速報値)同0.8%減(事業所規模30人以上では同0.3%増)となった。特別に支払われた給与は、8月(速報値)同24.7%減(事業所規模30人以上では同27.3%減)となった。実質賃金は、事業所規模5人以上では、7月前年同月比0.3%増の後、8月(速報値)は同2.6%減(事業所規模30人以上では同1.7%減)となった。

<設備投資>

4-6月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業)でみると、季節調整済前期比で1.5%減(前年同期比2.3%増)となっており、うち製造業では同6.4%減(同10.5%増)、非製造業では同0.4%減(同1.8%減)となっている。
経済産業省「経済産業統計」により資本財出荷(除く輸送機械)をみると、季節調整済前月比で7月は6.6%減(前年同期比8.4%減)の後、8月は同1.0%増(同13.8%減)となっている。
日本銀行「企業短期経済観測調査」(9月調査)により設備投資の動向(ソフトウェアを除く)をみると、大企業の平成13年度設備投資計画は、製造業で前年度比2.8%増、非製造業で同7.0%減となっており、全産業では同3.1%減となった。また、中小企業では製造業で同17.7%減、非製造業で同13.0%減となっており、全産業では同14.3%減となった。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で6月は6.6%減(前年同月比9.5%減)の後、7月は1.6%減(同5.1%減)となり、全体として減少傾向にある。なお、7-9月期(見通し)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で5.1%減(前年同期比8.6%減)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、季節調整済前月比で7月は21.1%増(前年同月比22.1%増)の後、8月は同10.7%減(同7.1%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前期比)は、平成13年1-3月期は5.5%減、4-6月期は1.6%減、7月は11.0%増、8月は0.4%減となった。内訳をみると、公庫持家の着工(同)は、1-3月期は25.6%減、4-6月期は22.5%減、7月は7.4%減、8月は2.8%減となり、共同建分譲住宅の着工(同)は、1-3月期は12.3%減、4-6月期は1.5%減、7月は38.3%増、8月は15.2%減となった。また、新設住宅着工床面積(同)は、1-3月期は9.1%減、4-6月期は5.2%減、7月は11.7%増、8月は0.1%増となった。
住宅金融公庫を利用した持家の着工(全体の新設住宅着工の約15%)の先行指標である公庫への融資申込み戸数(個人向けマイホーム新築資金)は、平成12年度第2回募集(受付期間:8月7日~9月22日)に51,192戸(前年同回比42.1%減)となった後、第3回募集(受付期間:10月30日~12月22日)は35,486戸(同4.5%減)、第4回募集(受付期間:1月22日~3月23日)は33,375戸(同11.5%減)となり、低水準にとどまっている。また、平成13年度第1回募集(受付期間:4月23日~5月28日)は28,432戸、第2回募集(受付期間:7月16日~8月27日)は23,009戸となっている(平成13年度から受付回数が年4回から年6回になったため、単純に比較できない)。
消費者の住宅取得マインドを示す指標のひとつである(社)日本リサーチ総合研究所「不動産購買態度指数」をみると、平成12年は、2月128、4月128、6月124、8月118、10月122、12月117、平成13年は、2月118、4月119、6月117、8月110となっている。

<公共投資>

平成13年度の国の一般会計予算(当初)をみると、公共事業関係費は前年度当初予算とほぼ同額の9.4兆円を確保している一方、公共事業等予備費については前年度5,000億円に対して本年度は3,000億円の計上となっている(昨年度は7月25日に使用の閣議決定)。
地方の予算についてみると、総務省がまとめた普通会計予算(当初)ベースでは、普通建設事業費は、都道府県で前年度比3.3%減、政令指定都市で同6.5%減、両者を合わせると同4.1%減となっている。また、「日経地域情報」調査によれば、一般会計予算(当初)ベースの普通建設事業費は、都道府県で前年度比2.4%減、全市で同3.1%減、特別区で同6.8%減となっており、これらを単純合計すると前年度比2.7%減となる(骨格予算を編成した地方公共団体などを除く)。
公共機関からの1件500万円以上の建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年同月比で6月2.0%増の後、7月は17.0%減となった。同じく大手50社の建設工事受注額は、前年同月比で7月2.9%減の後、8月は7.6%増となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で7月4.7%増の後、8月は4.1%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で7月4.6%減の後、8月は5.8%増(前年同月比12.7%減)となった。また、前期比で1-3月期3.1%減の後、4-6月期6.2%減(前年同期比11.1%減)となった。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で7月3.6%増の後、8月は0.5%減(前年同月比5.9%減)となった。また、前期比で1-3月期2.0%減の後、4-6月期2.9%減(前年同期比0.3%減)となった。
貿易・サービス収支(季節調整値)の黒字は、7月は982億円、通関収支差(季節調整値)は、7月3,331億円の後、8月は6,329億円となった。

<生産・出荷・在庫>

8月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、輸送機械や化学等が増加したことから、前月比0.8%増となった。また、1-3月期で前期比3.7%減の後、4-6月期では同4.1%減であった。
製造工業生産予測調査によると、前月比で9月は輸送機械や一般機械等により1.4%減の後、10月は輸送機械や一般機械等により0.1%増になると見込まれている。
8月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比0.1%増となった。また、8月の鉱工業生産者製品在庫率指数(季節調整値、速報)は109.4となっている。
7月の第3次産業活動指数(季節調整値・速報)は、サービス業、運輸・通信業等が減少した結果、前月比0.9%減となった。
平成13年産水稲の全国作況指数(9月15日現在)は、103の「やや良」となっている。

<企業>

財務省「法人企業統計季報」によると、4-6月期の経常利益は全産業で前年同期比1.0%増、製造業は21.2%減、非製造業は17.1%増となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査)によると、平成13年度の経常利益は、全規模・全産業で上期前年同期比18.6%の減益の後、下期には同1.1%の減益が見込まれており、通期でも9.2%の減益を見込んでいる。
一方、業況判断について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査、業況水準について「良い」-「悪い」)をみると、全規模で製造業は13%ポイント悪化して△43%ポイント、非製造業は6%ポイント悪化して△31%ポイント、全産業では9%ポイント悪化して△36%ポイントとなった。

<倒産>

企業の倒産については、東京商工リサーチ「倒産月報」によると、8月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,544件(前年同月比5.7%減)、負債総額は7,125億円(同51.8%減)となっており、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、企業倒産件数は1,612件(同5.4%減)、負債総額は7,355億円(同46.6%減)となっている。また、大型倒産(負債額10億円以上)は103件(同12.0%増)となっており、主な大型倒産としては、デリバティブ取引で多額損失を出した、金庫室扉設置工事の富士精工(負債額400億円)、老舗宝飾品卸グループのビークリエイト(同400億円)、水道施設工事の日本水道(同361億円)、元店頭登録会社で建築工事のサワコー・コーポレーション(同19億円)など(東京商工リサーチ調べ)。上場企業の倒産はなし。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」の8月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差4万人減の334万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の新規求人数は、季節調整済前月比で7月5.5%増の後、8月は3.8%減となった(8月前年同月比3.9%減)。製造業では、7月前年同月比18.6%減の後、8月は同26.7%減となった。新規求人倍率(季節調整値)は7月1.04倍の後、8月1.02倍となった。有効求人倍率(季節調整値)は、7月0.60倍の後、8月0.59倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では7月季節調整済前月比0.8%減(前年同月比9.5%減)の後、8月は同1.9%減(同12.1%減)(速報値)となった。
労働力調査によると、雇用者数は、全産業計では季節調整済前月比で7月0.1%減の後、8月は0.3%減となった(8月前年同月比0.3%増)。製造業の雇用者数(原数値)は、7月前年同月比3.6%減の後、8月同1.7%減となった。
日本銀行「全国企業短期経済観測調査」によると、企業の雇用人員判断D.I.は、6月調査の15%ポイントから、9月調査では18%ポイントとなった。

<物価>

日本銀行「卸売物価指数」の輸出物価(円ベース)は、8月は前月比1.6%の下落(前年同月比3.2%上昇)、6-8月平均の3ヶ月前比(3-5月平均対比、以下同じ)は1.1%の下落となった。輸入物価(円ベース)は、8月は前月比3.3%の下落(前年同月比5.0%上昇)、6-8月平均の3ヶ月前比は0.6%の下落となった。また、国内卸売物価は、8月は前月比0.1%の下落(前年同月比0.9%下落)、3ヶ月前比は0.1%の下落となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の8月の企業向けサービス価格指数は前年同月比1.3%の下落(前月比0.7%下落)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の生鮮食品を除く総合は、8月は前年同月比0.9%の下落(季節調整済前月比0.3%上昇)、6-8月平均の前年同期比は0.9%の下落となった。一般サービスは、8月は前年同月比0.1%の上昇、6-8月平均の前年同期比は0.1%の上昇となった。一般商品は、8月は前年同月比1.7%の下落、6-8月平均の前年同期比は1.8%の下落となった。また、「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の生鮮食品を除く総合は、9月は前年同月比1.2%の下落(季節調整済前月比0.6%下落)、7-9月平均の前年同期比は1.2%の下落となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、9月は0.01%から低下し、概ね0.002%~0.003%で推移した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、9月は0.06%台で推移した後、月末に0.08%台に上昇した。10年物国債流通利回りは、9月は1.3%台~1.4%台で推移した。
東証株価指数(TOPIX)は、5月上旬には1,440ポイントまで上昇した後、9月末には1,023ポイントとなった。日経平均株価は、5月上旬には14,529円まで上昇した後、9月末には9,774円となった。
対米ドル円相場はインターバンク直物中心相場、対ユーロ円相場はインターバンク17時時点の相場。
広義流動性は、8月(速報)は前年同月比1.6%増となった。マネタリーベースは、日銀当座預金が増加したことから、9月は前年同月比14.2%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、8月(速報)は前年同月比4.2%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後2.0%減)となった。9月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が360億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、8,320億円(うち銀行起債分800億円)となった。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、8月は前月比で短期は0.030%ポイント低下し、長期は0.142%ポイント低下したことから、総合では0.062%ポイント低下し1.648%となった。