月例経済報告(平成13年3月)

平成13年3月16日

内閣府

総論

(我が国経済の基調判断)

景気の改善に、足踏みがみられる。

  • アメリカ経済の減速から輸出が減少し、それに伴い、生産がこのところ弱含んでいる。
  • 失業率はこれまでの最高水準で推移し、個人消費はおおむね横ばいの状態が続いている。
  • 企業収益や設備投資は増加しており、自律的回復に向けた動きは続いている。

先行きについては、アメリカ経済の減速や設備投資に鈍化の兆しなど、懸念すべき点がみられる。

(政策の基本的態度)

政府は、経済を自律的回復軌道に確実に乗せるため、引き続き景気回復に軸足を置きつつ、我が国経済を21世紀にふさわしい構造に改革する。

政府としては、引き続き平成12年度補正予算等の着実な実施を図る。また、平成13年度予算について、その早期成立に努め、新年度における適切な執行を図ることとする。さらに、政府・与党緊急経済対策本部を発足させた。

なお、日本銀行においては、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を0.25%から0.15%に引き下げるとともに、公定歩合を年0.35%から年0.25%に引き下げた。

各論

1.消費・投資などの需要動向

平成12年10-12月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)が0.3%減(前期比、寄与度)とマイナス方向に寄与したが、設備投資が1.1%増(同)と大幅にプラス方向に寄与したことなどから、0.8%増(前期比)となった。また、名目GDPの成長率は、0.2%増(同)となった。

個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いている。

個人消費は、需要側統計である家計調査でみると、平成13年1月は平成12年12月と比べて減少し、このところ一進一退で推移している。なお、購入頻度の低い高額商品等による振れの除去と国民経済計算との概念調整を行うために、自動車等購入、住居、仕送り金等を除いたベースでみると、1月はやや増加している。
販売側統計をみると、小売業販売額は、ほぼ横ばいとなっていたが、1月は前年比、前月比とも増加となった。チェーンストア売上高は12月と比べやや改善している。旅行は引き続き前年を上回っており、家電販売金額も、家電リサイクル法施行前の駆け込み需要などもあって好調に推移している。一方で、百貨店販売額は弱い動きが続いており、新車販売台数は、年初からやや減少している。
こうした需要側、販売側の動向を総合してみると、個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いている。
個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、この冬のボーナスは、毎月勤労統計の11月から1月までの特別給与の合計では4年連続でマイナスとなったものの、前年度よりは減少幅は縮小している(平成12年度は1.0%減)。1月は現金給与総額、実質賃金とも増加しているものの、定期収入には伸び悩みがみられる。

設備投資は、製造業、非製造業ともに増加している。当面は堅調に推移すると見込まれるものの、先行きについては鈍化の兆しがみられる。

設備投資は、平成11年末に持ち直しに転じて以降増加基調が続いており、景気を支える要素となっている。これまで電気機械などの製造業を中心に増加してきたが、他の業種への広がりをみせながら増加してきている。「法人企業統計季報」でみると、10-12月期は、製造業は増加を続け、非製造業も前年比プラスに転じている。
日銀短観で平成12年度の設備投資計画をみると、製造業では大企業、中小企業ともにここ数年で最も伸び率の高い計画となっており、前回調査比でも大幅に上方修正されている(前年比大企業16.4%、中小企業11.3%)。
設備投資の先行きについては、先行指標である機械受注が、昨年後半は増勢が続いていたため、当面は堅調に推移すると見込まれる。しかしながら、1-3月期の機械受注が減少の見通しとなるなど、先行きについては鈍化の兆しがみられる。

住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。

住宅建設は、平成11年以降おおむね年率120万戸前後で推移しているが、直近の動きをみると、マンション着工の大幅増などにより12月に増加した後、1月は減少し、年率120.4万戸となった。特に、住宅金融公庫を利用した持家及びこれまで住宅着工を牽引してきたマンションの着工が大幅に減少したことが、全体の水準を押し下げた。
また、住宅金融公庫融資の申し込み戸数が減少していることなど、先行き、住宅着工を減少させる要因もみられる。

公共投資は、総じて低調に推移しているが、工事の受注にはこのところ前年を上回る動きがみられる。

公共投資は、公共工事請負金額が昨年6月以降継続して前年を下回るなど、総じて低調に推移している。平成12年度の公共事業関連予算の動向をみると、国においては、前年度の予算が比較的高水準であったため、補正後予算は前年度の規模を下回っている。地方においては、厳しい財政状況から投資的経費を抑制する動きが続いている。
工事の受注動向をみると、このところ前年を上回る動きがみられ、前年を下回っている指標についてもマイナス幅は年度前半に比較して縮小している。これは、昨年度が前倒し執行を実施した後に反動で低調な動きとなったのに対し、今年度は前倒し執行をしておらず、年度内での発注時期の差異による影響が考えられる。
1-3月期の公共投資については、比較的高水準であった前年度に比べれば、総じて下回って推移すると見込まれるが、11月に編成された補正予算による下支え効果が本格的に発現するものと考えられる。

輸出は、減少している。輸入は、緩やかに増加している。貿易・サービス収支の黒字は、減少している。

輸出は、アメリカ向けはアメリカ経済の減速の影響から、EU向けは既往のユーロ安の影響から、それぞれ弱含んでいる。また、アジア向けはアメリカやアジアの景気減速を背景として電気機器を中心に減少しており、輸出全体としても減少している。今後は、アメリカ経済の減速が持続した場合、我が国輸出の下押し要因として作用するものと見込まれる。
輸入は、中国からの繊維製品などが増加しているが、IT関連財を中心とした機械機器が減少していることから、輸入全体の増加は緩やかとなっている。EUからの輸入は既往のユーロ安の影響から増加傾向にあるが、アジアからの輸入は、機械機器の減少によって増加テンポが緩やかになっている。アメリカからの輸入はやや弱含みで推移している。
国際収支をみると、原油価格の低下から、価格面からは黒字拡大効果が働いているものの、輸出数量の減少、輸入数量の増加から、貿易・サービス収支の黒字は、減少している。

2.企業活動と雇用情勢

生産は、このところ弱含みとなっている。

鉱工業生産は、平成11年初めの景気回復初期から増加基調を続けてきたが、平成12年秋頃から増加のテンポが緩やかになり、このところ弱含みとなっている。これまで増加を牽引してきたIT関連品目の伸びが止まったこと、輸出が減少していることが要因である。
生産の先行きについては、2月は増加、3月は減少が見込まれているが、この見込み伸び率どおりに推移したとすれば1-3月期は前期比減少に転じることには留意しておく必要がある。
鉱工業の在庫は、全体としてはおおむね横ばいで推移しているが、生産財の在庫は半導体需給の緩和等からこのところ増加している。
第3次産業活動の動向をみると、おおむね横ばいで推移している。

企業収益は、引き続き大幅に増加している。また、企業の業況判断は、改善に足踏みがみられる。

企業収益は、平成11年以降改善しており、特に平成12年半ば以降は大幅な改善が続いている(「法人企業統計季報」によれば、経常利益10-12月期は前年同期比31.9%増)。今回の改善の背景としては、企業のリストラ努力が挙げられるが、製造業において売上高が伸びていることや、非製造業において平成12年初までは変動費を削減してきたことも大きく寄与している。
企業の業況判断は、「法人企業動向調査」で業界景気の判断(「上昇」-「下降」)をみると製造業、非製造業とも悪化し、全産業で「下降」超に転じるなど、改善に足踏みがみられる。

倒産件数は、やや高い水準となっている。

2月の倒産件数は、東京商工リサーチ調べで1,460件になるなど、やや高い水準となっている。

雇用情勢は、依然として厳しい。完全失業率がこれまでの最高水準で推移し、求人の増加傾向にも足踏みがみられる。

完全失業率は、平成12年12月に4.9%と過去最高となり、1月も4.9%となった。またこれまで続いてきた雇用情勢の改善の動きに足踏みがみられる。新規求人数は、前年同月比でみると引き続き増加となっている(1月前年同月比16.7%増)が、前月比では10ヶ月ぶりに減少に転じた(1月前月比5.2%減)。雇用者数については、3ヶ月連続前月比増の後、12月、1月と2ヶ月連続で前月比減となった(1月前月比0.5%減)。生産の動きを反映して最近減少がみられている製造業の残業時間は、1月も引き続き前月比減となった。「残業規制」等の雇用調整を実施した事業所割合も、10-12月期はこれまでの低下傾向に歯止めがかかっている。

3.物価と金融情勢

国内卸売物価、消費者物価は、ともに弱含んでいる。

国内卸売物価は、電気機器や輸送機器の下落などにより、平成13年入り後弱含んでいる。2月は前月比保合いとなったが、鶏卵などの食料用農畜水産物が気温低下を背景に一時的に上昇した要因を除くと、実勢としては前月比下落が続いている。輸出物価は、契約通貨ベースでの下落に加え、円高の影響を受け下落となった。輸入物価は、契約通貨ベースでの下落に加え、円高の影響を受け下落となった。なお、企業向けサービス価格は、前年同月比で下落が続いている。
消費者物価は、繊維製品や外食の下落などにより、平成12年秋以降弱含んでいる(生鮮食品を除く総合:1月前年同月比0.5%下落)。なお、2月の東京都区部では、1月に比べ前年同月比で下落幅が拡大している(同:2月前年同月比1.1%下落)。

金融情勢については、株式相場は昨年来の安値圏にあり、長期金利の低下が続いている。

短期金利についてみると、オーバーナイトレートは、2月は誘導目標水準(0.25%)前後で推移したが、2月末の誘導目標水準の引下げ(0.25%から0.15%へ)により、3月上旬は0.15%前後で推移した。2、3ヶ月物は、2度にわたる日本銀行の金融緩和措置を受けて、2月から3月上旬にかけて大幅に低下した。長期金利は、景気の先行きを懸念する市場の見方などもあって、昨年秋より低下基調で推移しており、2月から3月上旬にかけては、日本銀行の金融緩和措置などを受けて大幅に低下した。
株式相場は、昨年春より下落基調で推移している。2月は一進一退で推移した後、月末から3月月初にかけて大幅に下落し、昨年来の安値圏にある。
対米ドル円相場は、昨年末から円安が進み、2月は上中旬に114円台から117円台にかけて一進一退で推移した後、月末から3月上旬にかけて120円まで下落した。対ユーロ相場は、昨年末からのユーロ独歩高が進む中、105円台-109円台で推移した後、月末から3月上旬にかけて111円まで下落した。
M2+CD(月中平均残高)は、昨年後半以降、おおむね前年同月比2.0%増程度で推移してきたが、2月には郵便貯金からの資金シフト等を受けて、やや伸び率を高めている(2月速報:前年同月比2.7%増)。民間金融機関の貸出(総貸出平残前年比)は、96年秋以来マイナスが続いており、企業の資金需要の低迷などを背景に、依然低調に推移している。また、企業金融のひっ迫感緩和は一服している。貸出金利は、ゼロ金利政策解除後緩やかに上昇してきたが、1月はほぼ横ばいとなった。
なお、日本銀行は、2月28日の金融政策決定会合において、次回会合までの金融市場調節方針を、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、平均的にみて0.15%前後で推移するよう促す」こととしたうえで、「公定歩合を、年0.25%とし、3月1日より実施する」ことを決定した。

4.海外経済

アメリカの景気は、昨年末に比べれば減速は緩やかになっているものの、株価下落などで先行きに不透明感がある。アジアでも拡大テンポに鈍化がみられる。

世界経済をみると、全体として成長に減速がみられる。
アメリカでは、消費者や企業の態度が引き続き慎重になっており、耐久財消費や住宅投資などに底堅い動きがみられるものの、内需は緩やかな伸びにとどまっている。製造業では、在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し雇用調整が行われているが、サービス業を中心に雇用の拡大は続いている。天然ガス等の価格上昇がみられるものの、基調として物価は安定している。景気は、昨年末に比べれば減速が緩やかになっているものの、株価下落などで先行きに不透明感がある。
ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は緩やかに拡大している。フランスでは、固定投資が内需の伸びを支え、景気は安定した拡大を続けている。イギリスでは、このところ鉱工業生産が横ばいで推移しているものの、景気は安定した拡大を続けている。
アジアをみると、中国では、輸出や固定資産投資の伸びが鈍化したことなどから、景気の拡大テンポはやや鈍化している。韓国では、生産や個人消費の伸びの鈍化に加えて、輸出の伸びが鈍化したことから、景気は減速している。
金融情勢をみると、アメリカでは、ナスダック総合株価指数が下落し続け、月末には1月3日の緊急利下げ前の水準を下回った。
国際商品市況をみると、景気減速による需要減少の見通しなどから原油価格は下落基調で推移した。

(注)

<個人消費>

総務省「家計調査」の全世帯実質消費支出は、平成12年12月季節調整済前月比1.7%増の後、平成13年1月(速報値)は同1.4%減(前年同月比0.5%減)なった。
家計調査の全世帯実質消費支出(除く自動車、住居、仕送り金等)は、1月(速報値)は季節調整済前月比0.9%増(前年同月比1.1%減)となった。
経済産業省「商業販売統計」の小売業販売額は、1月(速報値)は季節調整済前月比2.2%増、前年同月比1.2%増と46ヶ月ぶりに前年を上回った。
チェーンストア売上高(日本チェーンストア協会調べ)は、1月は、前年同月比2.0%減(店舗調整後)(季節調整済前月比4.6%増(店舗調整前))となり、前年同月比減少幅に縮小がみられている。
大手旅行業者13社取扱金額は、1月は前年同月比で国内旅行が1.3%増、海外旅行が19.7%増となった。
家電小売金額(日本電気大型店協会調べ)は、12月前年同月比4.6%増の後、1月は同9.5%増となった。
商業販売統計の百貨店販売額は、1月(速報値)は、前年同月比2.5%減(店舗調整後)(季節調整済前月比2.7%増(店舗調整前))となった。
乗用車(含軽)新車新規登録・届出台数は、2月(速報値)は前年同月比0.2%減となった。
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、平成12年11月から平成13年1月までの特別給与の合計(1月は速報値)は、前年同期比1.0%減となっている(平成9年度0.6%減、平成10年度7.8%減、平成11年度3.4%減(名目ベース))。現金給与総額は、事業所規模5人以上では、12月前年同月比0.9%減の後、1月(速報値)は同1.2%増(事業所規模30人以上では同2.8%増)となり、うちきまって支給する給与は、1月(速報値)同0.1%増(事業所規模30人以上では同0.7%増)、特別に支払われた給与は、1月(速報値)同12.9%増(事業所規模30人以上では同27.2%増)となった。実質賃金は、事業所規模5人以上では、12月前年同月比0.6%減の後、1月(速報値)は同1.2%増(事業所規模30人以上では同2.7%増)となった。

<設備投資>

10-12月期の設備投資を財務省「法人企業統計季報」(全規模全産業)でみると、前年同期比で7.1%増(うち製造業10.4%増、非製造業5.7%増)となっている。
日本銀行「企業短期経済観測調査」(12月調査)により設備投資の動向をみると、大企業の平成12年度設備投資計画は、製造業で前年度比16.4%増(9月調査比2.3%上方修正)、非製造業で同2.5%増(同1.0%上方修正)となっており、全産業では同7.6%増(同1.5%上方修正)となった。また、中小企業では製造業で同11.3%増(同5.8%上方修正)、非製造業で同7.2%減(同3.4%上方修正)となっており、全産業では同2.8%減(同4.0%上方修正)となった。
機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前月比で12月は3.8%増(前年同月比13.5%増)の後、1月は11.8%減(同0.8%増)となり、基調は、今までは増勢が続いていたが、このところ一進一退の傾向にある。なお、1-3月期(見通し)の機械受注(船舶・電力除く民需)は、季節調整済前期比で6.4%減(前年同期比7.5%増)と見込まれている。
民間からの建設工事受注(50社、非住宅)は、12月は季節調整済前月比5.5%減(前年同月比18.5%減)の後、1月は同4.7%減(同31.5%減)となっている。

<住宅建設>

国土交通省「建築着工統計」によると、新設住宅着工総戸数(季節調整済前月比)は、11月に5.5%増となった後、12月は1.0%増、1月は4.6%減となった。また、公庫を利用した持家の着工(同)は、11月に8.4%増、12月に4.4%減、1月に24.8%減となった。さらに、共同建分譲住宅の着工(同)は、11月に3.3%増、12月に27.4%増、1月に34.1%減となった。
住宅金融公庫を利用した持家の着工(全体の新設住宅着工の約15%)の先行指標である公庫への融資申込み戸数(個人向けマイホーム新築資金)は、第2回募集(受付期間:8月7日-9月22日)に51,192戸(前年同回比42.1%減)となった後、第3回募集(受付期間:10月30日-12月22日)は、35,486戸(同4.5%減)となり、低水準にとどまっている。

<公共投資>

平成12年度の国の一般会計予算(補正後)をみると公共事業関係費は前年度比6.2%減となっている。また、同じく都道府県及び政令指定都市の9月補正後予算をみると、投資的経費は前年度比7.1%減となっている。
公共機関からの建設工事受注額(建設工事受注動態統計調査)は、前年の公共工事着工統計調査と比較して、12月は2.2%減(参考値)の後、1月は9.8%増(同)となった。同じく大手50社の受注額は、前年同月比で12月19.5%増の後、1月は2.7%減となった。また、公共工事請負金額(公共工事前払金保証統計)は、前年同月比で12月は0.7%減の後、1月は17.1%減となった。

<輸出・輸入・国際収支>

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で12月2.2%減の後、1月は5.9%減(前年同月比4.7%減)となった。また、前期比で10-12月期は1.4%減(前年同期比3.2%増)となった。電気機器の輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で1月11.1%減と2ヶ月連続での減少となった。
通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で12月2.2%増の後、1月1.3%減(前年同月比11.9%増)となった。また、前期比で10-12月期は4.0%増(前年同期比9.6%増)となった。機械機器の輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で1月2.2%減と3ヶ月連続での減少となった。
対ユーロ円相場(インターバンク17時時点)は、99年1月の発足時の134円台から2000年10月下旬の89円台までユーロ安が進み、以降、ユーロ高方向に反転している。
通関原油輸入価格は、5月の16,966円/klから12月は22,222円/klと上昇したが、1月は18,571円/klとなった。
対米ドル円相場(月中平均)は、12月の112.2円から1月は117.1円となった。
通関輸入価格(95年=100)は、12月の111.1から1月は110.0となった。
貿易・サービス収支の黒字は、1月は1,008億円(季節調整値)と前月比で4ヶ月連続の減少となった。

<生産・出荷・在庫>

1月の鉱工業生産指数(季節調整値、速報)は、輸送機械や電気機械等が減少したことから、前月比3.9%減となっている。
製造工業生産予測指数は、前月比で2月は輸送機械や一般機械等により2.7%増の後、3月は電気機械や一般機械等により1.4%減となっている。この見込み伸び率どおりに推移したとすれば1-3月期の生産は前期比1.7%減(速報値による試算)になる見込みである。
1月の鉱工業生産者製品在庫指数(季節調整値、速報)は、前月比0.6%増となっている。また生産財の在庫指数は、10月以降4ヶ月連続で増加している。
12月の第3次産業活動指数(季節調整値、速報)は、サービス業や卸売・小売業、飲食店等が増加した結果、前月比1.2%増となった。また10-12月期では前期比0.3%増となった。

<企業>

10-12月期の経常利益を財務省「法人企業統計季報」でみると、全規模全産業で前年同期比31.9%増となっている。大中堅企業では、製造業が27.6%増、非製造業が19.1%増となっている。中小企業では、製造業が68.5%増、非製造業は37.8%増となっている。
今回の収益改善の特徴をみると、企業の人件費抑制等のリストラ努力が挙げられる。業種別にみると、製造業では、変動費は収益の圧迫要因であるが、売上高が増加したことの寄与が大きく、特に平成12年4-6月期以降は人件費抑制も増益に寄与している。一方、非製造業では、平成12年1-3月期までは主に変動費を減少させることで収益を増加させてきていたが、4-6月期以降は人件費抑制の寄与が大きくなっている。
また、中小企業の動向を中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(12月調査、季節調整値)でみると、売上げD.I.(「増加」-「減少」)は、10-12月期は「減少」超幅が縮小し、純益率D.I.(「上昇」-「低下」)は、「低下」超幅が縮小した。業況判断D.I.(「好転」-「悪化」)は、10-12月期は「悪化」超幅が縮小した。

<倒産>

東京商工リサーチ「倒産月報」によると、2月の企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,460件(前年同月比2.3%増)、負債額は11,340億円(同4.9%減)となっている。なお、帝国データバンク「全国企業倒産集計」によると、1月の企業倒産件数は1,358件(同5.8%減)、負債額は9,696億円(同60.6%増)となっている。

<雇用情勢>

総務省「労働力調査」の1月の完全失業者数(季節調整値)は前月差3万人減の329万人となった。
厚生労働省「職業安定業務統計」の有効求人倍率(季節調整値)は、12月0.66倍の後、1月0.65倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は12月1.15倍の後、1月1.11倍となった。
毎月勤労統計調査によると、所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では12月季節調整済前月比0.7%減(前年同月比8.0%増)の後、1月は同1.7%減(同4.2%増)(速報値)となった。
厚生労働省「労働経済動向調査」によると、雇用調整実施事業所割合(調査産業計)は、7-9月期の20%から10-12月期は21%となり、7四半期ぶりに低下傾向に歯止めがかかった。

<物価>

日本銀行「卸売物価指数」の2月の国内卸売物価は前月比保合い(前年同月比0.4%下落)、輸出物価(円ベース)は前月比0.9%の下落(前年同月比0.2%上昇)、輸入物価(円ベース)は前月比1.8%の下落(前年同月比4.4%上昇)となった。
日本銀行「企業向けサービス価格指数」の1月の企業向けサービス価格は前年同月比0.3%の下落(前月比0.4%下落)となった。
総務省「消費者物価指数(全国)」の1月の生鮮食品を除く総合は、前年同月比0.5%の下落(前月比0.5%下落、季節調整済前月比0.1%上昇)となった。「消費者物価指数(東京都区部、中旬速報値)」の2月の生鮮食品を除く総合は、前年同月比1.1%の下落(前月比0.4%下落、季節調整済前月比0.3%下落)となった。

<金融>

無担保コールオーバーナイトレートは、2月は0.23%から0.28%のレンジで推移した後、3月上旬は0.14%から0.15%のレンジまで低下した。3ヶ月物ユーロ円TIBORは、2月は0.50%から0.37%に低下した後、3月上旬には0.25%に低下した。10年物国債流通利回りは、2月は1.4%台後半から1.3%台前半に低下した後、1.4%台前半まで上昇したが、3月上旬には1.1%台前半まで再度低下した。
東証株価指数(TOPIX)は、1月末の1,300ポイントから、2月中旬には一時1,237ポイントまで下落し、下旬には1,264ポイントまで上昇したものの、3月上旬には、一時1,193ポイントまで下落した。日経平均株価は、1月末の13,843円から、2月中旬には13,000円台前半で推移し、3月上旬には一時12,261円まで下落した。
対米ドル円相場はインターバンク直物中心相場、対ユーロ円相場はインターバンク17時時点の相場。
広義流動性は、2月(速報)は同3.3%増となった。金融機関(全国銀行)の貸出(月中平均残高)は、2月(速報)は前年同月比3.6%減(貸出債権流動化・償却要因等調整後1.6%減)となった。2月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が200億円となった。また、国内公募事業債の起債実績は、7,607億円(うち銀行起債分ゼロ)となった。「企業短期経済観測調査」(12月調査)によると、資金繰り判断は、横ばいとなっている。金融機関の貸出態度は、横ばいとなっており、「緩い」超が続いている。国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、1月は前月比で短期は0.013%ポイント低下し、長期は0.012%ポイント低下したことから、総合では0.020%ポイント低下し1.886%となった。