月例経済報告(平成10年5月)

平成10年5月12日

経済企画庁調査局

概観

我が国経済:需要面をみると、個人消費は、昨年末の落ち込みからは下げ止まる動きもみられるものの、雇用者所得の低迷もあって、低調に推移している。 住宅建設は、このところおおむね横ばいで推移しているものの、依然その水準は低い。設備投資は、弱含んでいる。

産業面をみると、最終需要が停滞していることを背景に、在庫は高水準にあり、鉱工業生産は、減少傾向にある。企業収益は、全体として減少している。また、企業の業況判断は、一層厳しさが増している。

雇用情勢をみると、雇用者数が減少し、完全失業率が既往最高となるなど更に厳しさが増している。

輸出は、アジア向けが減少していることから、このところ頭打ちとなっている。輸入は、おおむね横ばいで推移している。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、輸入物価の下落もあって、増加傾向にある。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、4月は、月初の 133円台から一時 128円台まで上昇したが、その後下落し、 132円台となった。

物価の動向をみると、国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、弱含みで推移している。また、消費者物価は、安定している。

最近の金融情勢をみると、短期金利は、4月はおおむね横ばいで推移した。長期金利は、4月は月初にやや上昇した後、やや低下した。株式相場は、4月は下落した。マネーサプライ(M2+CD)は、3月は前年同月比 4.5%増となった。

海外経済:主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大している。実質GDPは、97年10~12月期前期比年率 3.7%増の後、98年1~3月期は同 4.2%増(暫定値)となった。個人消費、設備投資、住宅投資は増加している。鉱工業生産(総合)はこのところ伸びに鈍化がみられる。雇用は拡大している。物価は安定している。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、このところ拡大している。4月の長期金利(30年物国債)は、月初に低下したが、その後は総じて上昇した。4月の株価(ダウ平均)は、上旬から中旬は総じて上昇し、21日に最高値を更新したが、その後は下落した。

西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は回復しており、フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気拡大のテンポは緩やかになってきている。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは拡大しており、イギリスでは鈍化している。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準で推移しているが、イギリスでは低下している。物価は、ドイツ、フランスでは安定しており、イギリスではこのところ安定してきている。なお、欧州連合(EU)では5月3日に、99年1月から開始される通貨統合への当初参加国が正式に決定された。

東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は、安定している。貿易収支は、大幅な黒字が続いている。韓国では、景気は後退している。失業率は、大幅に上昇している。物価は、高騰している。貿易収支黒字は、拡大している。

国際金融市場の4月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、上旬に減価した後、ほぼ横ばいで推移した。

国際商品市況の4月の動きをみると、初旬やや強含んだが、全体ではおおむね横ばいでの推移となった。4月の原油スポット価格(北海ブレント)は、上旬にかけて弱含んだが、その後イラクが国連の経済制裁解除を求めて牽制したことなどから、中旬から下旬にかけては強含んだ。


我が国経済の最近の動向をみると、輸出は、アジア向けが減少していることから、このところ頭打ちとなっている。設備投資は、弱含んでいる。個人消費は、昨年末の落ち込みからは下げ止まる動きもみられるものの、雇用者所得の低迷もあって、低調に推移している。住宅建設は、このところおおむね横ばいで推移しているものの、依然その水準は低い。このように最終需要が停滞していることを背景に、在庫は高水準にあり、生産は減少傾向にある。雇用情勢をみると、雇用者数が減少し、完全失業率が既往最高となるなど更に厳しさが増している。また、民間金融機関において貸出態度に慎重さがみられる。以上のように、昨年末以来の経済の先行きに対する著しい不透明感には落ち着く兆しもみられるものの、最終需要の停滞の影響が生産や雇用等実体経済全体にまで及んでおり、景気は停滞し、一層厳しさを増している。

このような厳しい経済の現況に対応し、政府は、4月24日、総事業費16兆円超の過去最大規模の「総合経済対策」を決定したところであり、その着実な実施を図ることとする。

1.国内需要:個人消費は、昨年末の落ち込みからは下げ止まる動きもみられるものの、雇用者所得の低迷もあって、低調に推移

個人消費は、昨年末の落ち込みからは下げ止まる動きもみられるものの、雇用者所得の低迷もあって、低調に推移している。

家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で2月 4.5%減の後、3月は5.7%減(前月比3.8%増)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比5.7%減、勤労者以外の世帯では同6.0%減となった。形態別にみると、商品、サービスともに減少となった。 なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比5.8%減、勤労者世帯では同5.6%減となった。

また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で12月3.4%減となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で2月6.7%減の後、3月は13.8%減(前月比0.2%増)となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で2月5.4%減の後、3月18.3%減となった。

チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で2月5.0%減の後、3月10.7%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を含む)新車新規登録・届出台数は、前年同月比で4月は2.9%減となった。また、家電小売金額は、前年同月比で3月は25.3%減となった。

レジャー面を大手旅行業者13社取扱金額でみると、3月は前年同月比で国内旅行が2.8%減、海外旅行は14.8%減となった。当庁「消費動向調査」(3月調査)によると、消費者態度指数は、12月に前期差4.5ポイント低下の後、3月には同1.9ポイントの上昇となった。賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模5人以上では前年同月比で2月0.1%減の後、3月(速報)は0.8%増(事業所規模30人以上では同0.8%増)となり、うち所定外給与は、3月(速報)は同6.3%減(事業所規模30人以上では同7.0%減)となった。

実質賃金は、前年同月比で2月2.0%減の後、3月(速報)は1.5%減(事業所規模30人以上では同1.5%減)となった。住宅建設は、このところおおむね横ばいで推移しているものの、依然その水準は低い。新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で2月1.8%増(前年同月比13.6%減)となった後、3月は1.3%減(前年同月比11.9%減)の10万9千戸(年率131万戸)となった。

3月の着工床面積(季節調整値)は、前月比0.2%減(前年同月比12.5%減)となった。3月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比5.8%増(前年同月比11.4%減)、貸家は同1.5%減(同15.2%減)、分譲住宅は同4.1%減(同10.4%減)となっている。

設備投資は、弱含んでいる。当庁「法人企業動向調査」(3月調査)により設備投資の動向をみると、全産業の設備投資は、前期比で9年10~12月期(実績)2.8%減(うち製造業4.4%増、非製造業5.8%減)の後、10年1~3月期(実績見込み)は3.0%減(同1.4%減、同4.5%減)となっている。

また、10年4~6月期(修正計画)は、前期比で1.5%減(うち製造業0.2%減、非製造業2.3%減)、10年7~9月期(計画)は1.6%増(同0.4%増、同2.3%増)と見込まれている。なお、年度計画では、前年度比で9年度(実績見込み)0.9%増(うち製造業8.0%増、非製造業2.6%減)の後、10年度(計画)は4.5%減(同7.1%減、同3.0%減)となっている。

先行指標の動きをみると、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で1月は13.8%増(前年同月比4.7%減)の後、2月は14.8%減(同17.9%減)となり、全体として弱含みで推移している。

民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、おおむね横ばいで推移しており、前月比で2月0.1%増の後、3月は4.2%増(前年同月比2.5%減)となった。内訳をみると、製造業は前月比5.8%減(前年同月比11.5%増)、非製造業は同7.6%増(同5.5%減)となった。

公的需要関連指標をみると、公共投資については、着工総工事費は、前年同月比で1月19.0%減の後、2月は11.8%増となった。公共工事請負金額は、前年同月比で2月4.2%増の後、3月は5.8%減となった。官公庁からの建設工事受注額(50社)は、前年同月比で2月6.1%減の後、3月は6.0%減となった。

2.生産雇用:雇用者数が減少し、完全失業率が既往最高となるなど更に厳しさが増す雇用情勢

鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は高水準にあり、生産・出荷は、減少傾向にある。鉱工業生産は、前月比で2月3.9%減の後、3月(速報)は、金属製品、パルプ・紙・紙加工品が増加したものの、輸送機械、一般機械等が減少したことから、1.9%減となった。また製造工業生産予測指数は、前月比で4月は機械、鉄鋼等により2.5%減の後、5月は機械、化学等により1.2%増となっている。

鉱工業出荷は、前月比で2月4.2%減の後、3月(速報)は、建設財が増加したものの、資本財、生産財等が減少したことから、1.8%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で2月0.7%増の後、3月(速報)は、輸送機械、精密機械等が増加したものの、電気機械、鉄鋼等が減少したことから、0.4%減となった。また、3月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数は129.0と前月を1.0ポイント上回った。

主な業種について最近の動きをみると、輸送機械では、生産は2か月連続で減少し、在庫は3か月連続で増加した。一般機械では、生産は2か月連続で減少し、在庫は3月は減少した。鉄鋼では、生産は2か月連続で減少し、在庫は3月は減少した。雇用情勢をみると、雇用者数が減少し、完全失業率が既往最高となるなど更に厳しさが増している。

労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、2月0.61倍の後、3月0.58倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、2月1.00倍の後、3月0.92倍となった。雇用者数は、減少している。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、3月は前年同月比0.1%減(前年同月差6万人減)となった。常用雇用(事業所規模5人以上)は、2月前年同月比0.7%増(季節調整済前月比0.1%増)の後、3月(速報)は同0.5%増(同0.1%減)となり(事業所規模30人以上では前年同月比0.1%減)、産業別には製造業では同0.8%減となった。3月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差20万人増の264万人、完全失業率(同)は、2月3.6%の後、3月3.9%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模5人以上では2月前年同月比10.3%減(季節調整済前月比5.8%減)の後、3月(速報)は同14.6%減(同4.2%減)となっている(事業所規模30人以上では前年同月比14.8%減)。

企業の動向をみると、企業収益は、全体として減少している。また、企業の業況判断は、一層厳しさが増している。

大企業の動向を前記「法人企業動向調査」(3月調査、季節調整値)でみると、売上高、経常利益の見通し(ともに「増加」-「減少」)は、10年4~6月期は「減少」超幅が拡大した。また、企業経営者の景気見通し(業界景気の見通し、「上昇」-「下降」)は10年4~6月期は「下降」超幅が拡大した。

また、中小企業の動向を中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(3月調査、季節調整値)でみると、売上げD.I.(「増加」-「減少」)は、10年1~3月期は「減少」超幅が拡大し、純益率D.I.(「上昇」-「低下」)は、「低下」超幅が拡大した。業況判断D.I.(「好転」-「悪化」)は、10年1~3月期は「悪化」超幅が拡大した。

企業倒産の状況をみると、件数は、このところ前年の水準を大きく上回る傾向にある。

銀行取引停止処分者件数は、3月は1,286件で前年同月比27.2%増となった。業種別に件数の前年同月比をみると、建設業で44.7%、卸売業で17.8%の増加となった。

3.国際収支:輸出は、アジア向けが減少していることから、このところ頭打ち

輸出は、アジア向けが減少していることから、このところ頭打ちとなっている。

通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2月3.6%減の後、3月は4.4%減(前年同月比1.4%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、一般機械、電気機器等は減少したものの、輸送用機器等が増加した。同じく地域別にみると、アジアは減少しているが、アメリカ、EU等が増加した。

輸入は、おおむね横ばいで推移している。

通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で2月12.5%減の後、3月は6.1%増(前年同月比0.6%増)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、鉱物性燃料等は減少したものの、製品類(機械機器)等は増加した。同じく地域別にみると、中東、アジア等が減少したものの、EU等は増加した。

通関収支差(季節調整値)は、2月に1兆1,555億円の黒字の後、3月は9,005億円の黒字となった。

国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、輸入物価の下落もあって、増加傾向にある。

2月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大し、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、1兆216億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、貿易・サービス収支の黒字幅が拡大したことに加え、所得収支の黒字幅が拡大し、経常移転収支の赤字幅も縮小したため、その黒字幅は拡大し、1兆5,644億円となった。投資収支(原数値)は、1兆1,994億円の赤字となり、資本収支(原数値)は、1兆2,336億円の赤字となった。

4月末の外貨準備高は、前月比178億ドル減少して2,058億ドルとなった。

外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、4月は、月初の133円台から一時128円台まで上昇したが、その後下落し、132円台となった。一方、対マルク相場(インターバンク17時時点)は、4月は、月初の72円台から一時70円台まで上昇したが、その後下落し、73円台となった。

4.物価:国内卸売物価は、弱含みで推移

国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、弱含みで推移している。

3月の国内卸売物価は、非鉄金属(銅地金)等が上昇したものの、石油・石炭製品(燃料油)等が下落したことから、前月比0.4%の下落(前年同月比0.1%の下落)となった。輸出物価は、契約通貨ベースで下落したものの、円安から円ベースでは前月比0.7%の上昇(前年同月比0.8%の下落)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで下落したことから、円ベースでは前月比0.8%の下落(前年同月比8.2%の下落)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比0.3%の下落(前年同月比1.1%の下落)となった。

4月上中旬の動きを前旬比でみると、国内卸売物価は上旬が0.1%の下落、中旬が保合い、輸出物価は上旬が1.5%の上昇、中旬が1.3%の下落、輸入物価は上旬が0.7%の上昇、中旬が0.9%の下落、総合卸売物価は上旬が0.3%の上昇、中旬が0.3%の下落となっている。

企業向けサービス価格は、3月は前年同月比1.7%の上昇(前月比0.3%の上昇)となった。

商品市況(月末対比)は非鉄等は上昇したものの、木材等の下落により4月は下落した。4月の動きを品目別にみると、銅地金等は上昇したものの、合板等が下落した。

消費者物価は、安定している。

全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で2月1.8%の上昇の後、3月は公共料金(広義)の上昇幅の拡大等の一方、石油製品の下落幅の拡大等があり1.8%の上昇(前月比0.3%の上昇)となった。なお、総合は、前年同月比で2月1.9%の上昇の後、3月は2.2%の上昇(前月比0.4%の上昇)となった。

東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で3月1.7%の上昇の後、4月(中旬速報値)は消費税要因のはく落等により0.5%の上昇(前月比0.3%の上昇)となった。なお、総合は、前年同月比で3月2.2%の上昇の後、4月(中旬速報値)は0.7%の上昇(前月比0.2%の上昇)となった。

5.金融財政:株式相場は、下落

最近の金融情勢をみると、短期金利は、4月はおおむね横ばいで推移した。長期金利は、4月は月初にやや上昇した後、やや低下した。株式相場は、4月は下落した。マネーサプライ(M2+CD)は、3月は前年同月比4.5%増となった。

短期金融市場をみると、オーバーナイトレート、2、3か月物ともに、4月はおおむね横ばいで推移した。

公社債市場をみると、国債流通利回りは、4月は月初にやや上昇した後、やや低下した。なお、国債指標銘柄流通利回り(東証終値)は4月28日に1.455%となり、史上最低を更新した。

国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、3月は短期は0.050%低下し、長期は0.093%低下したことから、総合では前月比で0.023%低下し1.875%となった。

マネーサプライ(M2+CD)の月中平均残高を前年同月比でみると、3月(速報)は4.5%増となった。また、広義流動性でみると、3月(速報)は3.0%増となった。

企業金融の動向をみると、金融機関の貸出平残(全国銀行)は、3月(速報)は前年同月比1.6%減となった。4月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が300億円となった。また、4月の国内公募事業債の起債実績は1兆779億円となった。民間金融機関において貸出態度に慎重さがみられる。

株式市場をみると、日経平均株価は、4月は下落した。

6.海外経済:欧州連合(EU)、通貨統合の当初参加国決定

主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大している。実質GDPは、97年10~12月期前期比年率3.7%増の後、98年1~3月期は同4.2%増(暫定値)となった。個人消費、設備投資、住宅投資は増加している。鉱工業生産(総合)はこのところ伸びに鈍化がみられる。雇用は拡大している。雇用者数(非農業事業所)は2月前月差25.2万人増の後、3月は同3.6万人減となった。失業率は3月4.7%となった。物価は安定している。3月の消費者物価は前月比横ばい、3月の生産者物価(完成財総合)は同0.3%の下落となった。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、このところ拡大している。4月の長期金利(30年物国債)は、月初に低下したが、その後は総じて上昇した。4月の株価(ダウ平均)は、上旬から中旬は総じて上昇し、21日に最高値を更新したが、その後は下落した。

西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は回復しており、フランスでは、景気は拡大している。イギリスでは、景気拡大のテンポは緩やかになってきている。実質GDPは、ドイツ10~12月期前期比年率1.1%増、フランス同3.1%増、イギリス1~3月期同1.8%増となった。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは拡大しており、イギリスでは鈍化している(鉱工業生産は、ドイツ3月前月比1.0%減、フランス2月同0.7%増、イギリス2月同0.6%減)。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準で推移しているが、イギリスでは低下している(3月の失業率は、ドイツ11.5%、フランス12.0%、イギリス4.9%)。物価は、ドイツ、フランスでは安定しており、イギリスではこのところ安定してきている(3月の消費者物価上昇率は、ドイツ前年同月比1.1%、フランス同0.8%、イギリス同3.5%)。なお、欧州連合(EU)では5月3日に、99年1月から開始される通貨統合への当初参加国が正式に決定された。

東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は、安定している。貿易収支は、大幅な黒字が続いている。韓国では、景気は後退している。失業率は、大幅に上昇している。物価は、高騰している。貿易収支黒字は、拡大している。

国際金融市場の4月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、上旬に減価した後、ほぼ横ばいで推移した(モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(1990年=100)4月30日110.3、3月末比0.9%の減価)。内訳をみると、4月30日現在、対円では3月末比0.3%減価、対マルクでは同2.8%減価した。

国際商品市況の4月の動きをみると、初旬やや強含んだが、全体ではおおむね横ばいでの推移となった。4月の原油スポット価格(北海ブレント)は、上旬にかけて弱含んだが、その後イラクが国連の経済制裁解除を求めて牽制したことなどから、中旬から下旬にかけては強含んだ。