産業動向(平成12年9月)

平成12年9月


産業動向の推移

産業動向の推移イメージ


概況

我が国産業の最近の動向について次のような特徴がみられる。

(1)設備投資を含めた企業活動の高まりを反映して、産業機械が横ばい状況に改善し、広告が好調となった。また、個人消費がおおむね横ばい状況を続けているなか、モデルチェンジ効果等から自動車が堅調に、デジタル製品市場の拡大等から家電が横ばい状況にそれぞれ改善した。

この結果、公共投資が前年を下回っていること等の影響がみられる2業種を除く17業種が、好調、堅調または横ばい状況となり、最近の産業動向は、自律的回復に向けた動きを強めている。

(2)製造業をみると、

素材型産業では、鉄鋼、化学(石油化学)、紙・パルプは堅調に推移している。

加工組立型産業では、半導体は好調に推移している。工作機械、通信機器は堅調に推移し、自動車は横ばい状況から堅調となった。コンピュータ関連機器は横ばい状況が続いており、産業機械、家電は低調から横ばい状況となった。建設機械は低調に推移している。

(3)非製造業をみると、

広告は堅調から好調となった。国内貨物、情報サービス、リース、電力は堅調に推移している。旅行、外食は横ばい状況が続いている。建設・住宅は低調に推移している。

鉄鋼は堅調に推移している。これは、アジア向け輸出の好調、内需の増加傾向等を背景に、粗鋼生産が引き続き高水準となっており、また普通鋼鋼材の国内出荷の増勢に力強さがみられるからである。

化学(石油化学)は堅調に推移している。これは、エチレンについてみると、定期修理の影響により生産は減少することがあるものの、稼働率は高水準を維持しており、汎用樹脂についても、国内出荷、輸出ともおおむね高水準を維持しているからである。

紙・パルプは堅調に推移している。これは、生産、出荷が堅調に推移しており、また在庫が適正水準となっているからである。

一般機械では、産業機械は低調から改善し横ばい状況となった。これは、受注について、製造業を中心に増加傾向にあるからである。工作機械は堅調に推移している。これは、受注について、内需を中心に増加しているからである。建設機械は低調に推移している。これは、出荷について、内外需ともに減少が続いているからである。

産業用電気機械・電子部品では半導体集積回路は、好調に推移している。これは、パソコン、携帯電話向けを中心に出荷が好調に推移しているからである。コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。これは、周辺装置等が低調に推移しているものの、ウェイトの大きいパソコンが好調に推移しているからである。通信機器は、堅調に推移している。これは、携帯電話が好調に推移していることに加え、電子交換機及び搬送装置が増加しているからである。

家電は低調から改善し横ばい状況となった。これは、国内出荷(台数ベース)は総じて底固く、輸出も増加傾向にあり、生産は持ち直してきているからである。

自動車は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、国内販売(新車新規登録・届出台数)が増加傾向にあり、完成車輸出もこのところ増加しているため、生産が堅調となっているからである。

建設・住宅は低調に推移している。これは住宅の中でも、分譲のうちマンション着工は堅調に推移しているものの持家は減少しており、公共工事については前年に比べて低調な動きとなっているからである。

運輸・旅行では、国内貨物輸送は、堅調に推移している。これは、主力の一般トラックで生産及び消費関連貨物を中心に荷動きがみられることにより、このところ増加しているからである。旅行関連は、横ばい状況が続いている。これは、海外旅行が増加しているものの、国内の団体旅行、修学旅行等が減少しているためである。

情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が、堅調に推移しているからである。

外食は横ばい状況が続いている。これは、既存店ベースでは売上高、利用客数とも前年割れが続いているものの、全店ベースでは店舗数の増加から、売上高、利用客数が引き続き増加しているからである。

リースは堅調に推移している。これは、リース契約額について、多くの物件で増加が続いているからである。

電力は堅調に推移している。これは、民生用電力、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。

広告は堅調から好調となった。これは、テレビ、新聞を中心に売上高の増加が続いているからである。


1.鉄鋼

鉄鋼は堅調に推移している。これは、アジア向け輸出の好調、内需の増加傾向等を背景に、粗鋼生産が引き続き高水準となっており、また普通鋼鋼材の国内出荷の増勢に力強さがみられるからである。

  • 普通鋼鋼材の国内出荷(前年同期(月)比)は、4~6月期9.0%増、7月10.6%増となり、増勢に力強さがみられる。
    これを受注面からみると、普通鋼鋼材の国内受注は、1~3月期7.5%増、4~6月期8.7%増となり、増勢に力強さがみられる。
     用途別にみると、建設向けは、1~3月期7.2%増、4~6月期4.4%増と堅調に推移している。内訳別では、土木用は公共工事の減少等から、減少傾向となっている。また建築用は、マンションの着工が堅調であることや都心部の大型再開発の着工、IT関連産業の工場建設等から増加している。
     製造業向けは、1~3月期2.7%増、4~6月期11.9%増と増加している。内訳別では、ウェイトの高い自動車用は、新車投入効果や輸出向けが好調なこと等から増加している。電気機械用は、IT関連が引き続き好調なことに加え、猛暑による家電の大幅増等から増加している。また造船用、産業機械用は、増加傾向にある。
     こうした状況のなか、国内在庫は、4~6月期574万トン、7月573万トンとなっている。また、在庫率はおおむね前年並みで推移している。
  • 鉄鋼の輸出入(全鉄鋼ベース、前年同期(月)比)をみると、輸出数量は、4~6月期6.3%増の後、7月1.2%減となったものの,鋼板類の大幅な増加が続いていること等から、高水準で推移している。
  • 鉄鋼の輸出入(全鉄鋼ベース、前年同期(月)比)をみると、輸出数量は、4~6月期6.3%増の後、7月1.2%減となったものの,鋼板類の大幅な増加が続いていること等から、高水準で推移している。
     輸出船積平均単価は、ドルベース、円ベースともに上昇基調にある。
     輸入数量は、4~6月期23.5%増、7月18.5%増となり、内需が増加傾向にあること等から増加している。
  • 粗鋼の生産は、4~6月期2,671万トン(前年同期比17.6%増)、7月は901万トン(前年同月比11.5%増)となり、アジア向け輸出の好調、内需の増加傾向等を背景に高水準な生産が続いている。
  • 鋼材の市況をみると、条鋼類は強含みで推移している。また、鋼板類は横ばい状況にある。

2.化学(石油化学)

化学(石油化学)は堅調に推移している。これは、エチレンについてみると、定期修理の影響により生産は減少することがあるものの、稼働率は高水準を維持しており、汎用樹脂についても、国内出荷、輸出ともおおむね高水準を維持しているからである。

  • 石油化学製品の基礎原料であるエチレンの生産(前年同期(月)比)は、定期修理の影響等により、1~3月期1.8%増(1,978千トン)の後、4~6月期4.1%減(1,765千トン)となったものの、7月は定期修理のプラントがなかったこと等により12.9%増(677千トン)となった。稼働率は内需回復等を背景に引き続き高水準を維持している。在庫水準については、おおむね適正水準で推移している。
  • 汎用樹脂の国内出荷(前年同期(月)比)については、ポリスチレンが減少しているものの、ポリオレフィン3樹脂はフィルム向け等の需要堅調を背景に、それぞれ高水準にある。主要樹脂別にみると、低密度ポリエチレンは、4~6月期4.1%増となったものの、7月は主力のフィルムが伸び悩んだことなどにより全体でも0.5%増とおおむね横ばい状態となった。高密度ポリエチレンは、1~3月期0.1%減の後、4~6月期2.3%増となったものの、7月は中空成形等で減少したことから全体でも0.4%減となった。汎用樹脂最大の需要を有するポリプロピレンは、4~6月期5.5%増となったものの、7月は射出成形用等で減少したことから全体でも0.1%増とおおむね横ばい状態となった。ポリスチレンは、4~6月期5.3%減となり、7月も電気工業用、産業用等で減少したことから全体でも13.7%減となった。塩化ビニルについては、1~3月期4.5%減の後4~6月期2.4%増となったものの、7月は公共事業向けの減少等により全体でも6.1%減となった。
  • 汎用樹脂の輸出については、主力輸出先である中国の引き合いが回復してきていること等により、昨年よりは減少しているもののおおむね高水準で推移している。
  • 粗鋼の生産は、4~6月期2,671万トン(前年同期比17.6%増)、7月は901万トン(前年同月比11.5%増)となり、アジア向け輸出の好調、内需の増加傾向等を背景に高水準な生産が続いている。

3.紙パルプ

紙・パルプは堅調に推移している。これは、生産、出荷が堅調に推移しており、また在庫が適正水準となっているからである。

  • 紙の生産(前年同期(月)比)は、4~6月期3.5%増、7月1.9%増となり、堅調に推移している。出荷は、4~6月期2.6%増の後、7月0.6%減となったものの、塗工紙等が販促用のチラシ、カタログ向け等で好調であることから、全体として堅調に推移している。こうした状況のなか、在庫は適正水準となっており、一部の品目では不足感がみられる。  紙・パルプは堅調に推移している。これは、生産、出荷が堅調に推移しており、また在庫が適正水準となっているからである。
     衛生用紙は、需要が底固いことから、生産も堅調に推移している。
  • 板紙の生産(前年同期(月)比)は、4~6月期3.7%増、7月5.4%増となり、堅調に推移している。出荷は、4~6月期4.3%増、7月2.2%増となり、猛暑による電気器具、食品向けの段ボール原紙の需要増等から、堅調に推移している。こうした状況のなか、在庫は適正水準となっている。
  • 板紙の生産(前年同期(月)比)は、4~6月期3.7%増、7月5.4%増となり、堅調に推移している。出荷は、4~6月期4.3%増、7月2.2%増となり、猛暑による電気器具、食品向けの段ボール原紙の需要増等から、堅調に推移している。こうした状況のなか、在庫は適正水準となっている。
  • パルプの生産(前年同期(月)比)は、紙の需要が堅調に推移していることから、4~6月期2.6%増、7月も3.4%増となり、堅調に推移している。
  • 紙、板紙の輸出入(数量ベース、前年同期(月)比)をみると、輸出は、4~6月期13.8%増の後、7月0.7%減となったものの、板紙がアジア向け輸出の増加により大幅増となっていること等から、増加傾向にある。また輸入は、4~6月期11.8%増、7月34.5%増となり、紙が内需の拡大、国内市況の上昇等により増加していることから、増加傾向にある。
  • 紙の市況をみると、紙、板紙ともに、需給の引き締まり等から上昇している。

4.一般機械

産業機械は低調から改善し横ばい状況となった。これは、受注について、製造業を中心に増加傾向にあるからである。工作機械は堅調に推移している。これは、受注について、内需を中心に増加しているからである。建設機械は低調に推移している。これは、出荷について、内外需ともに減少が続いているからである。

  • 一般機械の生産(季調済前期(月)比)は、1~3月期5.2%増、4~6月期3.3%増となった。7月は前月が増加した反動もあって6.6%減となった。
  • パルプの生産(前年同期(月)比)は、紙の需要が堅調に推移していることから、4~6月期2.6%増、7月も3.4%増となり、堅調に推移している。
     輸出入の動向(事務用機器を除く・円ベース、前年同期(月)比)をみると、輸出は4~6月期9.0%増、7月10.3%増と増加している。輸入は4~6月期1.6%減となったものの、7月は2.4%増となり増加傾向にある。
  • 産業機械は低調から改善し横ばい状況となった。産業機械の受注(日本産業機械工業会調べ、金額ベース、前年同期(月)比)は、1~3月期10.0%減の後、4~6月期は14.3%増となり、7月も29.1%増と増加傾向にある。内需は、化学工業、鉄鋼業向けから自動車、電気機械、一般機械工業向けまで製造業全般で増加が続き、官公需もごみ処理装置等で増加している。外需は、アジア向けのプラスチック加工機械等、単体では増加している機種もあるものの、プラント案件の減少等から、全体としては一進一退で推移している。
  • 工作機械は堅調に推移している。工作機械の受注(日本工作機械工業会調べ、金額ベース、前年同期(月)比)は、4~6月期35.8%増、7月36.3%増と増加が続いている。内需は、電気機械向けや精密機械向けの大幅な増加が続いていることに加え、ウェイトの高い一般機械向けや自動車向けでも増加が続いており、7月には70%増と過去最高の伸び率となった。外需は、アジア向けは増加が続き、北米向けや欧州向けも下げ止まっていることから、全体で増加傾向にある。
  • 建設機械は低調に推移している。建設機械の出荷(日本建設機械工業会調べ、本体・金額ベース、前年同期(月)比)は、4~6月期3.2%減、7月6.8%減と減少が続いている。内需は、油圧ショベルの増加が続き、建設用クレーンも増加したものの、ミニショベルやトラクタの減少等から、全体では減少が続いている。外需は、北米・中南米向けは減少幅が縮小している一方、このところアジア向けに加えて欧州向けも減少している。

5.産業用電気機械・電子部品

半導体集積回路は、好調に推移している。これは、パソコン、携帯電話向けを中心に出荷が好調に推移しているからである。コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。これは、周辺装置等が低調に推移しているものの、ウェイトの大きいパソコンが好調に推移しているからである。通信機器は、堅調に推移している。これは、携帯電話が好調に推移していることに加え、電子交換機及び搬送装置が増加しているからである。

  • 半導体集積回路は、好調に推移している。パソコン、携帯電話向けを中心とした製品が好調なことから、出荷額(前年同期(月)比)は、1~3月期27.2%増、4~6月期25.3%増と増加しており、在庫率は、低下傾向にある。なお、DRAMの価格は、需給の引き締まりから、このところ上昇している。
  • コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。生産額(前年同期(月)比)は、周辺装置、汎用コンピュータ等が低調に推移しているものの、パソコンが好調なことから、1~3月期0.9%減の後、4~6月期4.1%増となり、おおむね横ばいで推移している。パソコンは、1~3月期13.1%増、4~6月期19.7%増となり、個人向けを中心に好調に推移している。周辺装置は、4~6月期6.3%減、7月3.0%減と低調な動きが続いている。
  • 通信機器は、堅調に推移している。生産額(前年同期(月)比)は、1~3月期0.7%増の後、携帯電話が好調なことに加え、搬送装置及び電子交換機が増加したことから、4~6月期9.6%増となり、堅調に推移している。内訳をみると、通信インフラ関連では、電子交換機は、ISDNに関連した需要の拡大により、4~6月期11.5%増、7月17.4%増とこのところ増加しており、搬送装置は、1~3月期0.3%減と、一時的に減少したものの、4~6月期13.7%増と、基調としては輸出の増加等により堅調に推移している。携帯電話は、1~3月期16.8%増、4~6月期8.7%増と、引き続き好調に推移している。

6.家庭電器

家電は低調から改善し横ばい状況となった。これは、国内出荷(台数ベース)は総じて底固く、輸出も増加傾向にあり、生産は持ち直してきているからである。

  • 家電の国内出荷(台数ベース、前年同期(月)比)は、品目によりばらつきがあるものの、総じて底固く推移している。
  • 産業機械は低調から改善し横ばい状況となった。産業機械の受注(日本産業機械工業会調べ、金額ベース、前年同期(月)比)は、1~3月期10.0%減の後、4~6月期は14.3%増となり、7月も29.1%増と増加傾向にある。内需は、化学工業、鉄鋼業向けから自動車、電気機械、一般機械工業向けまで製造業全般で増加が続き、官公需もごみ処理装置等で増加している。外需は、アジア向けのプラスチック加工機械等、単体では増加している機種もあるものの、プラント案件の減少等から、全体としては一進一退で推移している。
     白物家電をみると、一部に猛暑の影響がみられ、全体として底固く推移している。特にエアコンは、需要のピークとなる7月が54.0%増と大幅に増加した。直近でも増加している。また、冷蔵庫は400リットル以上の大型を中心に増加している。洗濯機、電子レンジは前年並みで推移している。
  • 家電の輸出(金額ベース、前年同期(月)比)は増加傾向にある。AV家電では、デジタルビデオカメラやDVDなどの映像機器を中心に増加傾向にあるが、7月は音声機器の減少から前年をやや下回った。地域別では、北米、ヨーロッパ向けに映像機器が増加している。
  • 家電の輸入(金額ベース、前年同期(月)比)は増加傾向にある。AV家電は、カラーテレビなどの映像機器を中心に増加傾向にあるが7月は減少した。地域別では、マレイシア、タイなどの東南アジア及び中国からの輸入が増加している。
  • 家電の生産(金額ベース、前年同期比)をみると、海外生産シフトの進展等もあって、多くの品目が減少しているものの、デジタルビデオカメラなどのデジタル製品やエアコンなどが増加したことから、全体では1~3月期3.2%減、4~6月0.4%増と持ち直してきている。

7.自動車

自動車は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、国内販売(新車新規登録・届出台数)が増加傾向にあり、完成車輸出もこのところ増加しているため、生産が堅調となっているからである。

  • 自動車全体の国内販売(新車新規登録・届出台数、前年同期(月)比)は、4~6月期3.8%増、7~8月期0.1%増と増加傾向にある。車種別にみると、普通乗用車はモデルチェンジをした車が好調であることから、前年を上回っている。小型乗用車は前年割れが続いているが、新型車の好調から減少幅は縮小している。普通トラックは低迷しているが、車検制度の変更等から4~6月期は前年を上回っている。軽乗用車は追加モデルの発売もあって前年を上回り好調に推移している。軽トラックは新規格車の投入以降の需要が一巡し、前年を下回っている。
  • 家電の輸出(金額ベース、前年同期(月)比)は増加傾向にある。AV家電では、デジタルビデオカメラやDVDなどの映像機器を中心に増加傾向にあるが、7月は音声機器の減少から前年をやや下回った。地域別では、北米、ヨーロッパ向けに映像機器が増加している。
  • 自動車の輸出(完成車台数ベース、前年同期(月)比)は、北米向け、アジア向けが好調なことから、4~6月期12.4%増、7月6.3%増とこのところ増加している。仕向地別にみると、北米向けはスポーツ・ユーティリティ・ビークル等が好調なことから増加している。欧州向けは円高の影響もあり前年を下回っている。その他の地域では、アジア向けは増加しているものの、中東向けは低迷している。
  • 自動車の輸出(完成車台数ベース、前年同期(月)比)は、北米向け、アジア向けが好調なことから、4~6月期12.4%増、7月6.3%増とこのところ増加している。仕向地別にみると、北米向けはスポーツ・ユーティリティ・ビークル等が好調なことから増加している。欧州向けは円高の影響もあり前年を下回っている。その他の地域では、アジア向けは増加しているものの、中東向けは低迷している。
  • 自動車の生産(完成車台数ベース、前年同期(月)比)は、4~6月期8.9%増、7月0.9%増となり、堅調となっている。車種別にみると、普通乗用車は北米向け輸出の増加やモデルチェンジの効果から増加が続いている。小型乗用車は前年割れが続いていたが、一部の新型車が好調なため、4~6月期は前年を上回っている。普通トラックは車検制度の変更等から4~6月期は前年を上回った。軽乗用車は高水準で推移している。軽トラックはこのところ減少している。

8.建設・住宅

建設・住宅は低調に推移している。これは住宅の中でも、分譲のうちマンション着工は堅調に推移しているものの持家は減少しており、公共工事については前年に比べて低調な動きとなっているからである。

[建設]

  • 建設業大手50社の受注額(前年同期(月)比)は、1~3月期9.2%増、4~6月期9.4%増となったものの、7月は6.8%減となった。受注の約6割を占める民間工事をみると、工場の新・改築等設備投資の回復が寄与して、1~3月期19.5%増、4~6月期10.0%増となったものの、7月は6.4%減と9か月ぶりに減少に転じた。民間工事の内訳をみると、製造業向けは4~6月期64.8%増、7月47.0%増と増加している。ウェイトのより大きい非製造業向けは、大規模再開発が集中したことや堅調なマンション着工等に支えられ1~3月期17.9%増、4~6月期1.3%増となったものの、7月は13.7%減となった。受注の約3割を占める官公庁工事については、地方自治体が財政難から公共事業の支出を絞り込んだこと等により、4~6月期5.8%減、7月は10.3%減となった。
  • 自動車の生産(完成車台数ベース、前年同期(月)比)は、4~6月期8.9%増、7月0.9%増となり、堅調となっている。車種別にみると、普通乗用車は北米向け輸出の増加やモデルチェンジの効果から増加が続いている。小型乗用車は前年割れが続いていたが、一部の新型車が好調なため、4~6月期は前年を上回っている。普通トラックは車検制度の変更等から4~6月期は前年を上回った。軽乗用車は高水準で推移している。軽トラックはこのところ減少している。
  • 建築の着工状況(床面積)をみると、4~6月期2.1%増、7月7.5%増と増加している。内訳をみると、着工床面積の約6割を占める民間居住用建築では、1~3月期5.4%増の後、4~6月期4.2%減となったものの7月は0.7%増となった。民間非居住用建築については、鉱工業用等が堅調に推移しており、4~6月期40.7%増、7月31.4%増と増加している。
  • 公共工事受注(請負契約額)(注1)は、4~6月期20.9%減(参考値)、7月7.8%減(参考値)となった。民間土木工事着工は、1~3月期0.1%減の後、4~6月期10.1%増(参考値)となったものの7月は5.5%減(参考値)となった。
  • 建築の着工状況(床面積)をみると、4~6月期2.1%増、7月7.5%増と増加している。内訳をみると、着工床面積の約6割を占める民間居住用建築では、1~3月期5.4%増の後、4~6月期4.2%減となったものの7月は0.7%増となった。民間非居住用建築については、鉱工業用等が堅調に推移しており、4~6月期40.7%増、7月31.4%増と増加している。

[住宅]

  • 住宅着工(戸数)は、1~3月期4.4%増の後、持家の減少などにより4~6月期0.8%減、7月0.8%減となった。また、7月の年率換算値は116.4万戸となった。利用関係別でみると、分譲のうちマンションの着工は引続き堅調に推移している。また、持家については、1~3月期0.6%増の後、4~6月期16.3%減、7月8.7%減となった。公庫の平成11年度第3回、4回募集のマイホーム新築融資の受理戸数は大幅に減少したものの、平成12年度第1回募集は4.3%増と持ち直している。
  • 戸建住宅産業の最近の動きについては、構造別の着工戸数は、ウェイトの約半分を占める木造は減少しているものの、非木造については、鉄骨鉄筋コンクリート造を中心に増加している。建築単価について1・当たりの工事費予定額をみると、木造はほぼ前年並みで推移しており、非木造は低下している。1戸当たりの面積については、分譲住宅で増加しているものの、このところ持家が減少していることから全体でも減少している。
  • マンション産業の最近の動きについては、全体の着工が4~6月期37.0%増、7月41.1%増と13か月連続の増加となった。圏別にみると、首都圏、近畿圏とも増加傾向で推移している。なお、新規契約率(首都圏)については、低金利及び減税等の理由により、4~6月期79.0%、7月79.6%と堅調に推移している。

9.運輸・旅行

国内貨物輸送は、堅調に推移している。これは、主力の一般トラックで生産及び消費関連貨物を中心に荷動きがみられることにより、このところ増加しているからである。旅行関連は、横ばい状況が続いている。これは、海外旅行が増加しているものの、国内の団体旅行、修学旅行等が減少しているためである。

  • 国内貨物輸送は、堅調に推移している。内訳をみると、一般トラック(トンベース:前年同期(月)比)は、生産及び消費関連貨物を中心に荷動きがみられることにより、1~3月期2.5%増、4~6月期3.2%増と増加している。特別積合せトラックは、1~3月期5.8%増、4~6月期3.9%増と、このところ機械や日用品を中心に増加しており、宅配貨物も増加が続いている。内航海運(貨物船)は、1~3月期9.5%増、4~6月期9.1%増となった。JR貨物は、4~6月期5.0%減、7月4.3%減(速報)となった。航空貨物は、4~6月期6.0%増、7月2.6%増(速報)となった。
  • 国際貨物輸送は、アジア経済の回復等によりこのところ増加している。航空貨物(貨物トン数(全国ベース):前年同期(月)比)をみると、輸出は、4~6月期13.7%増、7月8.9%増となった。輸入は、4~6月期13.5%増、7月12.1%増となった。外航海運貨物(貨物トン数:前年同期(月)比)は、輸出は、4~6月期0.7%増、7月11.4%増となり、輸入は、4~6月期9.8%増、7月前年比横ばいとなった。
  • 旅行関連は、横ばい状況が続いている。大手旅行会社(鉄道旅客協会加盟13社)の取扱額計(前年同期(月)比)は、1~3月期0.4%増、4~6月期1.6%増の後、7月2.1%減となった。内訳をみると、国内旅行は、1~3月期1.2%増の後、4~6月期は団体旅行や修学旅行の落ち込みから1.2%減となり、7月は個人旅行等の不振から6.1%減となった。海外旅行は、1~3月期0.9%減の後、4~6月期7.0%増となり、7月も5.7%増となった。主要旅客輸送機関の実績(人数ベース:前年同期(月)比)をみると、JR旅客の定期外は、1~3月期1.5%増の後、4~6月期0.3%減となった。航空(3社)の国内線は、1~3月期3.0%増の後、4~6月期2.7%減となり、7月も3.9%減(速報)となった。国際線は、1~3月期7.7%増、4~6月期11.9%増、7月8.1%増(速報)と増加が続いている。

10.情報サービス

情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が堅調に推移しているからである。

  • 情報サービス業売上高(前年同期(月)比)は、1~3月期0.2%減となったものの、約6割を占める主力の受注ソフトウェアが堅調であることから、4~6月期2.1%増、7月9.6%増となり、全体でも堅調に推移している。
  • 業務種類別にみると、
    [住宅]
     ソフトウェアプロダクトは、汎用コンピュータの基本ソフトの減少等から1~3月期12.4%減、4~6月期10.0%減となったものの、ゲームソフトの増加により、7月10.0%増となっている。
     計算事務等情報処理は、1~3月期5.0%減、4~6月期1.3%減、7月2.0%減となっている。
     システム等管理運営受託は、金融業、製造業等のアウトソーシングの需要増により、1~3月期17.2%増、4~6月期25.3%増、7月34.2%増と好調に推移している。
  • 雇用状況をみると、情報サービス業従業者数の不足感は強まっている。

11.外食

外食は横ばい状況が続いている。これは、既存店ベースでは売上高、利用客数とも前年割れが続いているものの、全店ベースでは店舗数の増加から、売上高、利用客数が引き続き増加しているからである。

  • 大手外食企業が加盟している(社)日本フードサービス協会の調査により、全店ベース(前年同期(月)比)の状況をみると、売上高は、4~6月期2.0%増、7月3.7%増と、引き続き増加している。これは、客単価が引き続き前年を下回っているものの、店舗数が4~6月期3.0%増、7月2.5増と、引き続き増加しており、合わせて利用客数が4~6月期3.9%増、7月4.6%増と増加しているからである。直近も同様の傾向で推移している。
  • 雇用状況をみると、情報サービス業従業者数の不足感は強まっている。
  • 業態別の売上高(全店ベース)をみると、ファーストフードは前年をやや上回っている。特に麺類は客数の増加から売上を伸ばしている一方で、他業種との競合が激しい持ち帰り米飯・寿司の分野は大きく落ち込んでおり、業態別にばらつきがみられる。ファミリーレストランは、店舗数が大幅に増加している中華や焼肉レストランを中心に、客数が増加しており、売上を伸ばしている。パブレストラン・居酒屋は、居酒屋が店舗数、利用客数、売上とも伸ばしており、全体でも前年を上回っている。

12.リース

リースは堅調に推移している。これは、リース契約額について、多くの物件で増加が続いているからである。

  • リースは堅調に推移している。リース契約額(リース事業協会調べ、前年同期(月)比)は、1~3月期5.0%増、4~6月期は2.2%増となり、3期連続の増加となっている。7月は情報関連機器や産業機械等が減少となったことから、全体でも4.1%減となったものの、多くの物件で増加が続いており、基調としてはおおむね堅調に推移している。
  • 物件別の最近の動向をみると、
  • 業態別の売上高(全店ベース)をみると、ファーストフードは前年をやや上回っている。特に麺類は客数の増加から売上を伸ばしている一方で、他業種との競合が激しい持ち帰り米飯・寿司の分野は大きく落ち込んでおり、業態別にばらつきがみられる。ファミリーレストランは、店舗数が大幅に増加している中華や焼肉レストランを中心に、客数が増加しており、売上を伸ばしている。パブレストラン・居酒屋は、居酒屋が店舗数、利用客数、売上とも伸ばしており、全体でも前年を上回っている。
     商業・サービス業用機械・設備は、店舗改装による需要の増加等から、4~6月期7.5%増、7月6.5%増と増加が続いている。
     事務用機器は、複写機を中心に更新需要が底固く、4~6月期8.2%増、7月1.8%増と増加が続いている。
     産業機械は、電気機械工業向けや自動車工業向けの増加から、1~3月期47.4%増、4~6月期14.3%増と大幅な増加が続いた後、7月は25.5%減となった。
     工作機械は、半導体関連部品の製造機械が増加したこと等から、1~3月期30.6%増、4~6月期31.3%増と大幅な増加が続いた。7月は前年に大口需要があった反動により26.6%減となった。
     土木建設機械は、買取からリースへの需要のシフトもあって、4~6月期7.3%増、7月6.2%増と増加が続いている。
     自動車は、運輸業向けトラックの増加等から4~6月期18.2%増となった後、7月は4.3%減となった。
     医療機器は、ハイテク・高額化によるリース需要の増加等を背景に、4~6月期3.1%増、7月3.2%増と増加が続いている。
  • リース料率は、一部で上昇の動きもみられるものの、低水準で推移している。

13.電力

電力は堅調に推移している。これは、民生用電力、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。

  • 電力需要(9社計、前年同期(月)比)は、4~6月期2.7%増、7月6.9%増と堅調な伸びとなった。これは、民生用電力(電灯、業務用電力)、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。
  • リース料率は、一部で上昇の動きもみられるものの、低水準で推移している。
     4~6月期について電力需要合計を地域別にみると、全地域で堅調な伸びとなった。
     また、4~6月期について大口電力需要を地域別にみても、全地域で堅調な伸びとなった。
  • 大口電力需要を自家発電を含め業種別にみると、7月は全ての主要業種が増加となった。鉄鋼は、粗鋼生産が高水準であることから、13か月連続の増加となった。化学は、エチレンの生産が堅調なこと等により、12か月連続の増加となった。パルプ・紙は、生産が堅調なことから、15か月連続の増加となった。窯業土石(12年3月まではセメント)は、5月には前年を下回ったものの、6月には5.5%増と再び増加に転じ、7月も4.5%増となった。機械は、パソコンや携帯電話等の電気機械の生産が好調なことや、自動車の生産の増加等により、8か月連続の増加となった。非鉄は、アルミニューム圧延品や伸銅品の生産が堅調なことから、9か月連続の増加となった。

14.広告

広告は堅調から好調となった。これは、テレビ、新聞を中心に売上高の増加が続いているからである。

  • 広告は堅調から好調となった。主要9社の売上高(前年同期(月)比)をみると、テレビ、新聞を中心に好調に推移し、4~6月期10.2%増、7月10.6%増と増加が続いている。
  • 大口電力需要を自家発電を含め業種別にみると、7月は全ての主要業種が増加となった。鉄鋼は、粗鋼生産が高水準であることから、13か月連続の増加となった。化学は、エチレンの生産が堅調なこと等により、12か月連続の増加となった。パルプ・紙は、生産が堅調なことから、15か月連続の増加となった。窯業土石(12年3月まではセメント)は、5月には前年を下回ったものの、6月には5.5%増と再び増加に転じ、7月も4.5%増となった。機械は、パソコンや携帯電話等の電気機械の生産が好調なことや、自動車の生産の増加等により、8か月連続の増加となった。非鉄は、アルミニューム圧延品や伸銅品の生産が堅調なことから、9か月連続の増加となった。
  • 広告量(前年同期(月)比)の動向をみると、テレビは機動的に運用できるテレビスポットが依然好調で増加を続けている。新聞はカラー広告が好調を続けているほか、全面広告、案内広告も堅調に推移している。
  • 広告量(前年同期(月)比)の動向をみると、テレビは機動的に運用できるテレビスポットが依然好調で増加を続けている。新聞はカラー広告が好調を続けているほか、全面広告、案内広告も堅調に推移している。