産業動向(平成12年6月)

平成12年6月


産業動向の推移

産業動向の推移イメージ


概況

我が国産業の最近の動向について次のような特徴がみられる。

(1)最近の産業動向は、情報通信関連製品の旺盛な需要やアジア経済の回復等の影響により、前回調査における好調業種及び堅調業種の業況が維持されるとともに、これらの業種を中心とする生産活動の高まりを反映して、化学(石油化学)、国内貨物が横ばい状況から堅調に改善し、また、設備投資の持ち直しにより、工作機械、リースが横ばい状況から堅調に改善する等、改善の動きに広がりがみられる。

(2)製造業をみると、

素材型産業では、化学(石油化学)は横ばい状況から堅調となり、鉄鋼、紙・パルプは堅調に推移している。

加工組立型産業では、半導体は好調に推移している。工作機械は横ばい状況から堅調となり、通信機器は堅調に推移している。コンピュータ関連機器、自動車は横ばい状況が続いている。また、産業機械、建設機械、家電は低調に推移している。

(3)非製造業をみると、

国内貨物、リースは横ばい状況から堅調となり、情報サービス、電力、広告は堅調に推移している。旅行、外食は横ばい状況が続いている。また、建設・住宅は低調に推移している。

鉄鋼は堅調に推移している。これは、アジア向け輸出の好調等を背景に、粗鋼生産が引き続き高水準となっており、また普通鋼鋼材の国内出荷が、依然として水準は低いものの、このところ増勢に力強さがみられるからである。

化学(石油化学)は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、エチレンについてみると、定期修理の影響により生産は減少したものの、稼動率は高水準を維持しており、汎用樹脂についても、国内出荷は堅調に推移しているからである。

紙・パルプは堅調に推移している。これは、生産、出荷が堅調に推移しており、また在庫が適正水準となっているからである。

一般機械では、産業機械は低調に推移している。これは、受注について、一部に持ち直しの動きがみられるものの、総じてみれば低迷が続いているからである。工作機械は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、受注について、内需を中心に持ち直しているからである。建設機械は低調に推移している。これは、出荷について、内需は一進一退で推移し、外需は減少が続いているからである。

産業用電気機械・電子部品では、半導体集積回路は、好調に推移している。これは、パソコン、携帯電話向けを中心に出荷が好調に推移しているからである。コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。これは、周辺装置等が低調に推移しているものの、ウェイトの大きいパソコンが好調に推移しているからである。通信機器は、堅調に推移している。これは、携帯電話が好調に推移していることに加え、搬送装置が堅調に推移しているからである。

家電は低調に推移している。これは、国内出荷(台数ベース)は総じて底固く推移しているものの、海外シフトの進展等もあって、生産額が低調に推移しているからである。

自動車は横ばい状況が続いている。これは生産に持ち直しの動きがみられるものの、国内販売(新車新規登録・届出台数)、完成車輸出がおおむね横ばいで推移しているからである。

建設・住宅は低調に推移している。これは、住宅の中でもマンションの着工は堅調であり、また、民間工事や非居住用建築についても動きがみられるものの、公共工事については事業の実施が前年を下回っているからである。

運輸・旅行では、国内貨物輸送は、横ばい状況から改善し堅調となった。これは、主力である一般トラックが、生産関連貨物を中心に荷動きがみられることにより、このところ増加しているからである。

旅行関連は、横ばい状況が続いている。これは、海外旅行が増加しているものの、国内の団体旅行、修学旅行等が減少しているためである。

情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が、堅調に推移しているからである。

外食は横ばい状況が続いている。これは、既存店ベースでは売上高、利用客数とも前年割れが続いているものの、全店ベースでは店舗数の増加から、売上高、利用客数が引き続き増加しているからである。

リースは横ばい状況から改善し堅調となった。これは、リース契約額について、主力の情報関連機器はおおむね堅調であり、多くの物件で増加が続いているからである。

電力は堅調に推移している。これは、民生用電力、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。

広告は堅調に推移している。これは、テレビを中心に売上高が増加傾向で推移しているからである。


1.鉄鋼

鉄鋼は堅調に推移している。これは、アジア向け輸出の好調等を背景に、粗鋼生産が引き続き高水準となっており、また普通鋼鋼材の国内出荷が、依然として水準は低いものの、このところ増勢に力強さがみられるからである。

  • 普通鋼鋼材の国内出荷(前年同月比)は、3月6.3%増、4月10.9%増となり、依然として水準は低いものの、このところ増勢に力強さがみられる。
     これを受注面からみると、普通鋼鋼材の国内受注は、2月10.3%増、3月8.1%増となり、国内出荷と同様、このところ増勢に力強さがみられる。
     用途別にみると、建設向けは、2月10.1%増、3月10.7%増と堅調に推移している。内訳別では、土木用は補正予算の効果により公共工事向けが増加していることから、全体でも前年をやや上回る動きとなっている。また建築用は、マンションの着工が堅調であることや都心部の大型再開発の着工等から二ケタ増となっている。
     製造業向けは、2月5.1%増、3月0.6%増と増勢が鈍化したものの、総じて底固い動きとなっている。内訳別では、ウェイトの高い自動車用は、普通乗用車向け等に引き続き動きがみられていることから増加が続いている。その他の用途では、電気機械用は増加傾向となっており、また造船用、産業機械用は、基調としては低調に推移している。
     こうした状況のなか、国内在庫は、3月544万トンの後、4月550万トンと季節的要因から増加した。また、在庫率は引き続き前年を下回る水準で推移している。
  • 鉄鋼の輸出入(全鉄鋼ベース、前年同月比)をみると、輸出数量は、鋼板類の大幅な増加が続いていること等から、3月22.0%増、4月8.7%増と好調に推移している。
     これを仕向け先別にみると、主力の韓国、アセアン向けは鋼板類を中心に好調に推移している。一方、米国向けは、アンチ・ダンピング提訴の影響から、減少傾向に歯止めがかからない状況にある。
     輸出船積平均単価は、国際市況が上昇基調にあることから、ドルベース、円ベースともに上昇している。
     輸入数量は、3月41.4%増、4月33.0%増となり、円高の影響や内需がやや増加していること等から増加傾向にある。
  • 粗鋼の生産は、3月872万トン(前年同月比21.1%増)、4月873万トン(同17.9%増)となり、アジア向け輸出の好調等を背景に高水準な生産が続いている。
  • 鋼材の市況をみると、条鋼類はこのところ強含みで推移している。また、鋼板類は横ばい状況にある。

2.化学

化学(石油化学)は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、エチレンについてみると、定期修理の影響により生産は減少したものの、稼動率は高水準を維持しており、汎用樹脂についても、国内出荷は堅調に推移しているからである。

  •  化学(石油化学)は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、エチレンについてみると、定期修理の影響により生産は減少したものの、稼動率は高水準を維持しており、汎用樹脂についても、国内出荷は堅調に推移しているからである。
     在庫水準については、定期修理に伴う在庫積み増し等によりやや増加しているものの、おおむね適正水準で推移している。
  • 汎用樹脂の国内出荷については、ポリスチレンが減少しているものの、ポリオレフィン3樹脂は包装材向け等の需要好調を背景に、それぞれ増加傾向にある。主要樹脂別にみると、低密度ポリエチレンは、主力のフィルム向けを中心に各用途で増加し、全体でも増加となった。高密度ポリエチレンは、中空成形等で増加し、全体でも増加となった。汎用樹脂最大の需要を有するポリプロピレンは、主力の射出成形用が堅調だったこと等から、全体でも増加となった。ポリスチレンは、雑貨用、産業用等が減少となり全体でも減少した。
     塩化ビニルについては、年初来前年割れが続いていたものの、4月は主力のパイプ等が堅調だったことから、全体でも増加した。
  • 汎用樹脂の輸出については、主力輸出先の中国の買い控え等により減少している。
     汎用樹脂の東南アジア市況については、4月以降の原料ナフサ価格の値下がりで先安感が生じ軟化したものの、5月中旬以降はナフサ価格が再び高騰していることから、各樹脂とも緩やかな上昇に転じている。

3.紙・パルプ

紙・パルプは堅調に推移している。これは、生産、出荷が堅調に推移しており、また在庫が適正水準となっているからである。

  •  紙・パルプは堅調に推移している。これは、生産、出荷が堅調に推移しており、また在庫が適正水準となっているからである。
     紙の生産を品目別にみると、新聞巻取紙は、広告出稿の増加から堅調に推移している。印刷・情報用紙では、品目ごとにばらつきはあるものの、塗工紙の好調等から、全体でも堅調に推移している。非塗工類は、中級紙、下級紙は依然として低調であるものの、上級紙が好調に推移していることから、全体では底固い動きとなっている。塗工紙は、微塗工紙、塗工紙ともに好調に推移している。情報用紙は、ウェイトの高いPPC用紙が底固いことから、全体でも底固い動きとなっている。
     衛生用紙は、需要が堅調であることから、生産も堅調に推移している。
  • 板紙の生産(前年同月比)は、3月3.8%増、4月3.3%増となり、堅調に推移している。出荷は、3月5.7%増、4月3.1%増となり、ウェイトの高い段ボール原紙が堅調であること等から全体でも堅調に推移している。こうした状況のなか、在庫は適正水準となっている。 
     板紙の生産を品目別にみると、段ボール原紙は食品、電気器具向けの需要増やアジア向け輸出の増加から、堅調に推移している。
  • パルプの生産(前年同月比)は、紙の需要が堅調に推移していることから、3月5.9%増、4月3.6%増となり、堅調に推移している。
  • 紙、板紙の輸出入(数量ベース、前年同月比)をみると、輸出は、3月6.8%増、4月19.7%増となり、板紙が大幅増となっていること等から増加傾向となっている。また輸入は、3月17.6%増の後、4月0.4%減となったものの、紙が内需の増加、国内市況の上昇等により増加していることから、総じてみれば、このところ増加傾向にある。
  • 紙の市況をみると、紙は、需給の引き締まり等から上昇している。また板紙は横ばい状況にある。

4.一般機械

産業機械は低調に推移している。これは、受注について、一部に持ち直しの動きがみられるものの、総じてみれば低迷が続いているからである。工作機械は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、受注について、内需を中心に持ち直しているからである。建設機械は低調に推移している。これは、出荷について、内需は一進一退で推移し、外需は減少が続いているからである。

  •  産業機械は低調に推移している。これは、受注について、一部に持ち直しの動きがみられるものの、総じてみれば低迷が続いているからである。工作機械は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、受注について、内需を中心に持ち直しているからである。建設機械は低調に推移している。これは、出荷について、内需は一進一退で推移し、外需は減少が続いているからである。
     機械受注(原動機・産業機械・工作機械・半導体製造装置のみ、金額ベース、前年同月比)をみると、3月は原動機の大幅な減少から2.7%減となった後、4月は半導体製造装置に加え、産業機械、工作機械が増加したことから11.5%増となった。
     輸出入の動向(事務用機器を除く・円ベース、前年同月比)をみると、輸出は3月12.5%増の後、4月は前年並となった。輸入は3月1.6%減、4月15.8%減となった。
  • 産業機械は低調に推移している。産業機械の受注(日本産業機械工業会調べ、金額ベース、前年同月比)は、3月16.0%減の後、4月は2.7%増となり、一部に持ち直しの動きがみられるものの、総じてみれば低迷が続いている。需要者別にみると、内需は、3月25.0%減となった後、自動車、電気機械、一般機械向けを中心に製造業が増加となり、4月は14.0%増となった。外需は、3月24.8%増の後、4月はアジア向けのプラスチック加工機械は好調が続いているものの、プラント案件の減少等から35.1%減となり、一進一退で推移している。
  • 工作機械は横ばい状況から改善し堅調となった。工作機械の受注(日本工作機械工業会調べ、金額ベース、前年同月比)は、3月13.7%増、4月23.6%増と増加が続いている。需要者別にみると、内需は、3月は一般機械向けや電気機械向けを中心に増加が続き19.5%増となり、4月は自動車向けにも動きがみられ47.5%増と大幅な増加となった。外需は、北米向けや欧州向けはおおむね下げ止まり、アジア向けは増加が続いていることから、3月8.1%増、4月3.8%増と増加が続いている。
  • 建設機械は低調に推移している。建設機械の出荷(日本建設機械工業会調べ、本体・金額ベース、前年同月比)は、3月5.5%減、4月2.5%減となった。需要者別にみると、内需は、掘削機械や建設用クレーン等の主力機種は減少となったものの、コンクリート機械やトンネル機械等で増加がみられ、3月2.3%減の後、4月0.2%増と一進一退で推移している。外需は、欧州向けは堅調なものの、北米・中南米向けは大幅な減少が続き、このところアジア向けも大幅な減少が続いたことから、3月11.1%減、4月6.4%減となった。

5.産業用電気機械・電子部品

半導体集積回路は、好調に推移している。これは、パソコン、携帯電話向けを中心に出荷が好調に推移しているからである。コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。これは、周辺装置等が低調に推移しているものの、ウェイトの大きいパソコンが好調に推移しているからである。通信機器は、堅調に推移している。これは、携帯電話が好調に推移していることに加え、搬送装置が堅調に推移しているからである。

  •  半導体集積回路は、好調に推移している。これは、パソコン、携帯電話向けを中心に出荷が好調に推移しているからである。コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。これは、周辺装置等が低調に推移しているものの、ウェイトの大きいパソコンが好調に推移しているからである。通信機器は、堅調に推移している。これは、携帯電話が好調に推移していることに加え、搬送装置が堅調に推移しているからである。
  • コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。生産額(前年同月比)は、周辺装置、汎用コンピュータ等が低調に推移しているものの、パソコンが好調なことから、2月4.2%減の後、3月0.4%増となり、おおむね横ばいで推移している。パソコンは、2月7.8%増、3月11.8%増となり、個人向けを中心に好調に推移している。周辺装置は、3月4.3%減、4月12.4%減(速報)と低調な動きが続いている。
  • 通信機器は、堅調に推移している。生産額(前年同月比)は、2月8.6%増の後、搬送装置が一時的に減少したこと等により、3月5.1%減となったが、携帯電話が好調なことに加え、基調としては搬送装置が増加していることから、総じてみれば堅調に推移している。内訳をみると、通信インフラ関連では、電子交換機は3月5.0%増、4月20.2%増(速報)とこのところ下げ止まりの兆しがみられ、搬送装置は、2月37.1%増の後、3月20.5%減と、一時的に減少したものの、基調としては輸出の増加により堅調に推移している。携帯電話は、2月20.0%増、3月9.9%増と、引き続き好調に推移している。

6.家庭電器

家電は低調に推移している。これは、国内出荷(台数ベース)は総じて底固く推移しているものの、海外シフトの進展等もあって、生産額が低調に推移しているからである。

  •  家電は低調に推移している。これは、国内出荷(台数ベース)は総じて底固く推移しているものの、海外シフトの進展等もあって、生産額が低調に推移しているからである。
     AV家電をみると、品目ごとにばらつきがあるものの、総じて底固く推移している。品目別では、カラーテレビは平面ブラウン管型を中心に底固く推移している。VTRは引き続き前年割れが続いている。ビデオカメラは前年並みの水準で推移している。CDプレーヤ(MDプレーヤを含む)は、前年並みの水準で推移しているが、MD搭載型のステレオセットは大幅に増加している。その他の品目では、DVD等のデジタル製品が引き続き大幅増となっている。
     白物家電をみると、3、4月は前年をやや下回っているが、直近では前年を上回っており、総じてみれば底固く推移している。品目別では、冷蔵庫は400リットル以上の大型が増加しているが、全体ではやや減少している。なお、直近では前年を上回っている。洗濯機も同様の動きとなっている。電子レンジは一進一退となっている。エアコンは直近も含め前年をやや下回っている。
  • 家電の輸出(台数ベース)は、一進一退となっている。カラーテレビは香港向けの増減から一進一退となっている。VTRはアメリカ向けの減少から再び減少幅が拡大している。CDプレーヤはアメリカ向けを中心に減少している。ビデオカメラはデジタル機種を中心にアメリカ、ヨーロッパ向けに大幅に増加している。
  • 家電の輸入(台数ベース)は、一進一退となっている。カラーテレビは、前年高水準の反動からマレイシア、中国等で減少している。VTRはマレイシア、中国等の増減から一進一退となっている。
  • 家電の生産額(前年同月比)は、海外生産シフトの進展等もあって多くの製品が減少を続けており、また、これまで増加していたビデオカメラやDVD等のデジタル製品も一時的に減少したことから、全体では2月3.2%減、3月5.0%減と低調に推移している。

7.自動車

自動車は横ばい状況が続いている。これは生産に持ち直しの動きがみられるものの、国内販売(新車新規登録・届出台数)、完成車輸出がおおむね横ばいで推移しているからである。

  •  自動車は横ばい状況が続いている。これは生産に持ち直しの動きがみられるものの、国内販売(新車新規登録・届出台数)、完成車輸出がおおむね横ばいで推移しているからである。
     輸入車販売では、3月3.9%減、4月4.5%減と前年割れが続いていたが、逆輸入車の増加から5月2.1%増となった。
  • 自動車の輸出(完成車台数ベース、前年同月比)は、3月2.4%減の後、4月20.6%増となったものの、基調としてはおおむね横ばいで推移している。仕向地別にみると、主力の北米向けはモデルチェンジの効果等から、4月は大幅に増加した。欧州向けは円高の影響もあり前年を下回っている。その他の地域では、アジア向けは増加しているものの、中東向けは低迷している。
     自動車部品の輸出(日本自動車工業会々員11社分、ドルベース)は、海外生産用、OEM用とも増加していることから、3月23.7%増、4月18.1%増となっている。
  • 自動車の生産(完成車台数ベース、前年同月比)は、3月0.5%増、4月11.1%増となり、持ち直しの動きがみられる。車種別にみると、普通乗用車は北米向け輸出の増加やモデルチェンジの効果から増加が続いている。小型乗用車は前年割れが続いていたが、一部の新型車が好調なため、4月は前年を上回った。普通トラックは前年の反動もあり、このところ前年を上回った。軽乗用車は4月に前年割れとなったが高水準で推移している。軽トラックはこのところ減少している。

8.建設・住宅

建設・住宅は低調に推移している。これは、住宅の中でもマンションの着工は堅調であり、また、民間工事や非居住用建築についても動きがみられるものの、公共工事については事業の実施が前年を下回っているからである。

[建設]

  •  建設・住宅は低調に推移している。これは、住宅の中でもマンションの着工は堅調であり、また、民間工事や非居住用建築についても動きがみられるものの、公共工事については事業の実施が前年を下回っているからである。
     また、地方大手建設業者470社の受注額(前年同月比)は、4月2.9%減、5月1.6%減と12か月連続で減少している。
  • 建築の着工状況(床面積)をみると、3月3.6%減、4月0.5%減と2か月連続で減少した。内訳をみると、着工床面積の約6割を占める民間居住用建築では、3月4.2%減、4月0.7%減と減少している。民間非居住用建築については、このところ鉱工業用が増加しており、全体でも増加している。
  • 公共工事着工(総工事費評価額)は、2月15.0%減、3月3.6%減となった結果、1~3月累計では8.5%減となった。また、11年度累計でも7.4%減となっており、事業の実施は前年を下回っている。

民間土木工事着工は、2月14.2%増の後、3月4.2%減となった。

[住宅]

  •  民間土木工事着工は、2月14.2%増の後、3月4.2%減となった。
  • 戸建住宅産業の最近の動きについては、構造別の着工戸数は、ウェイトの約半分を占める木造はやや減少しているものの、非木造については、鉄骨鉄筋コンクリート造を中心に増加となっている。建築単価について1平方メートル当たりの工事費予定額をみると、木造はほぼ前年並みで推移しており、非木造はやや低くなっている。1戸あたりの面積については、利用関係別ではややばらつきがあるものの、おおむね緩やかな増加傾向にある。
  • マンション産業の最近の動きについては、全体の着工は、3月21.3%増、4月38.9%増と、10か月連続の増加となっている。圏別にみると、三大都市圏ともにおおむね増加が続いている。なお、新規契約率(首都圏)については、金利先高感及び減税等の理由により、3月81.6%、4月77.1%と、引続き堅調に推移している。また、在庫については、このところ8千戸を下回る水準で推移している。

9.運輸・旅行

国内貨物輸送は、横ばい状況から改善し堅調となった。これは、主力の一般トラックで生産関連貨物を中心に荷動きがみられることにより、このところ増加しているからである。

旅行関連は、横ばい状況が続いている。これは、海外旅行が増加しているものの、国内の団体旅行、修学旅行等が減少しているためである。

  •  国内貨物輸送は、横ばい状況から改善し堅調となった。これは、主力の一般トラックで生産関連貨物を中心に荷動きがみられることにより、このところ増加しているからである。
  • 国際貨物輸送は、アジア経済の回復等により、このところ増加している。航空貨物(貨物トン数(全国ベース):前年同月比)をみると、輸出は、3月13.1%増、4月19.2%増、輸入は、3月14.2%増、4月15.0%増となった。外航海運貨物(貨物トン数:前年同月比)は、輸出は3月27.8%増、4月5.7%増となり、輸入は3月2.8%増、4月12.8%増となった。
  • 旅行関連は、横ばい状況が続いている。大手旅行会社(鉄道旅客協会加盟13社)の取扱額計(前年同月比)は、3月1.3%増、4月0.3%増となった。内訳をみると、国内旅行は3月0.5%増の後、4月は団体旅行や修学旅行の落ち込みから1.7%減となった。海外旅行は3月1.9%増、4月5.1%増と増加している。主要旅客輸送機関の実績(人数ベース:前年同月比)をみると、JR旅客の定期外は2月3.0%増、3月0.9%増となった。航空(3社)の国内線は3月1.2%増の後、4月0.6%減(速報)となった。4月が減少となったのは有珠山の噴火の影響等によるものである。国際線は3月6.6%増、4月13.9%増(速報)と増加が続いている。

10.情報サービス

情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が堅調に推移しているからである。

  •  情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が堅調に推移しているからである。
  • 業務種類別にみると、
     受注ソフトウェアは、3月2.5%増の後、4月は前年高水準の反動等から2.4%減となったものの堅調に推移している。
     ソフトウェアプロダクトは、汎用コンピュータの基本ソフトの減少等から3月19.0%減、4月3.7%減となった。
     計算事務等情報処理は、3月11.2%減、4月5.8%減となった。
     システム等管理運営受託は、金融業、製造業等のアウトソーシングの需要増により、3月18.5%増、4月13.4%増と好調に推移している。
  • 雇用状況をみると、情報サービス業従業者数の不足感は昨年末までは緩和に向かっていたものの、今年に入って再び不足感が強まっている。

11.外食

外食は横ばい状況が続いている。これは、既存店ベースでは売上高、利用客数とも前年割れが続いているものの、全店ベースでは店舗数の増加から、売上高、利用客数が引き続き増加しているからである。

  •  外食は横ばい状況が続いている。これは、既存店ベースでは売上高、利用客数とも前年割れが続いているものの、全店ベースでは店舗数の増加から、売上高、利用客数が引き続き増加しているからである。
     なお、既存店ベース(前年同月比)でみると、利用客数は、2月が12か月ぶりに前年を上回ったが、新規出店増に伴う店舗間の競合から、3月1.9%減、4月3.4%減と減少幅が拡大した。客単価は、消費者の低価格指向や店舗側の低価格設定等により引き続き前年を下回っているが、このところ減少幅は縮小している。この結果、売上高は3月1.9%減、4月3.4%減と前年割れが続いている。
  • 業態別の売上高(全店ベース)をみると、ファーストフードは前年をやや上回っている。和風や麺類が伸びている一方で、他業種との競合が激しい持ち帰り米飯・寿司の分野は大きく落ち込んでおり、業態別にばらつきがみられる。ファミリーレストランは、低価格帯の中華、焼肉レストランを中心に、店舗数の増加から売上を伸ばしており、全体では前年を上回っている。パブレストラン・居酒屋は、居酒屋が店舗数、利用客数、売上とも伸ばしており、全体でも前年を上回っている。

12.リース

リースは横ばい状況から改善し堅調となった。これは、リース契約額について、主力の情報関連機器はおおむね堅調であり、多くの物件で増加が続いているからである。

  •  リースは横ばい状況から改善し堅調となった。これは、リース契約額について、主力の情報関連機器はおおむね堅調であり、多くの物件で増加が続いているからである。
  • 物件別の最近の動向をみると、
     契約額の約4割を占める情報関連機器は、3月1.8%増となった後、通信機器は通信業の設備投資等にけん引されて増加が続いたものの、電算機及び関連機器は大幅な減少となったことから、4月は13.1%減となった。
     商業・サービス業用機械・設備は、店舗改装による需要の増加等から、3月7.3%増、4月4.9%増となった。
     事務用機器は、複写機を中心に更新需要が底固く、3月5.7%増、4月4.2%増となった。
     産業機械は、電気機械工業向けが堅調であり、3月は半導体製造装置の大口需要があったことから79.2%増と大幅な増加となり、4月も7.2%増と増加が続いた。
     工作機械は、半導体関連部品の製造機械等が増加したことから、3月40.1%増、4月32.8%増と大幅な増加が続いた。
     土木建設機械は、買取からリースへの需要のシフトもあって、3月23.7%増、4月41.4%増と増加基調が続いている。
     自動車は、3月7.4%増、4月8.7%増と増加が続いた。
     医療機器は、ハイテク・高額化によるリース需要の増加等を背景に、3月16.0%増、4月1.7%増と増加基調が続いている。
  • リース料率は、低い水準で推移している。

13. 電力

電力は堅調に推移している。これは、民生用電力、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。

  •  電力は堅調に推移している。これは、民生用電力、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。
     用途別にみると、家庭用電灯需要は4月は0.1%減となった。これは、3月上・中旬の気温が低く暖房需要は増加したものの、検針期間が前年より短かったためである。業務用電力は気温の影響により、4月は2.5%増となった。小口電力のうち、低圧電力については電灯と同じ理由で低めな伸びとなり、高圧電力Aは昨年8月以降9か月連続の増加となった。大口電力は4月は3.6%増と、昨年8月以降9か月連続の増加となった。
     1~3月期について地域別にみると、全地域で堅調な伸びとなった。
  • 大口電力需要を自家発電を含め業種別にみると、3月は全ての主要業種が増加となった。
     鉄鋼は、粗鋼生産が高水準であることから、9か月連続の増加となった。
     化学は、エチレンの生産が堅調なこと等により、8か月連続の増加となった。
     パルプ・紙は、生産が堅調なことから、11か月連続の増加となった。
     セメントは、今年に入ってから3か月連続の増加となった。
     電気機械は、パソコンや携帯電話の生産が好調なこと等から、10か月連続の増加となった。
     輸送用機械は、自動車の生産の増加等により2か月連続の増加となった。
     非鉄は、アルミニューム圧延品や伸銅品の生産が堅調なことから、5か月連続の増加となった。
  • 地域別にみると、3月は全地域で増加となった。

14.広告

広告は堅調に推移している。これは、テレビを中心に売上高が増加傾向で推移しているからである。

  •  広告は堅調に推移している。これは、テレビを中心に売上高が増加傾向で推移しているからである。
     媒体別では、ウェイトの大きいテレビが、スポットを中心に増加傾向を続けており4月は7.5%増となった。新聞は、金融・保険、教育・医療サービス・宗教等の出稿増加により10.7%の大幅な増加となった。雑誌は交通・レジャー、飲料・嗜好品等の減少により減少となった。4媒体以外は折込み等の増加により増加となった。
  • 広告量(前年同月比)の動向をみると、テレビはテレビスポットが依然好調で増加を続けている。また、低迷が続いていたテレビ番組もテレビスポットの枠が不足気味となっている影響もあり4か月連続で増加となった。新聞はカラー広告が大幅増となったほか、全面広告、案内広告も堅調に推移している。
     出稿業種別にみると、金融・保険が証券会社等を中心に、情報・通信がパソコンや携帯電話を中心に、全ての媒体で増加となる等引き続き好調に推移している。家電・AV機器も商品総合広告等の出稿が増えたことから全ての媒体で増加となった。教育・医療サービス・宗教が、介護保険制度開始の影響もありテレビ、新聞で大きく増加している。一方、食品、飲料・嗜好品はこのところ低調な動きとなっている。