産業動向(平成12年3月)

平成12年3月


産業動向の推移

産業動向の推移イメージ


概況

我が国産業の最近の動向について次のような特徴がみられる。

(1)最近の産業動向は、情報通信関連製品の旺盛な需要やアジア経済の回復等の影響に加え、企業の前向きな行動もみられるようになったことから、鉄鋼、通信機器、広告が横ばい状況から堅調となり、また、設備投資の持ち直しの動きを反映して、工作機械が低調から横ばい状況、産業機械が不振から低調にそれぞれ改善する等、このところ改善の動きに広がりがみられる。

(2)製造業をみると、

素材型産業では、鉄鋼は横ばい状況から堅調となり、紙・パルプは堅調に推移している。また、化学(石油化学)は横ばい状況が続いている。

加工組立型産業では、半導体は好調に推移し、通信機器は横ばい状況から堅調となった。工作機械は低調から横ばい状況となり、コンピュータ関連機器、自動車は横ばい状況が続いている。また、産業機械は不振から低調となり、家電、建設機械は低調に推移している。

(3)非製造業をみると、

広告は横ばい状況から堅調となり、情報サービス、電力は堅調に推移している。国内貨物、旅行、外食、リースは横ばい状況が続いている。また、建設・住宅は低調に推移している。

鉄鋼は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、普通鋼鋼材の国内出荷は依然として増勢に力強さがみられないものの、アジア向け輸出の好調等を背景に、粗鋼生産が 引き続き増加傾向にあるからである。

化学(石油化学)は横ばい状況が続いている。これは、エチレン及び汎用樹脂についてみると、生産は高水準であるものの、国内出荷は一進一退の状況となっているからである。

紙・パルプは堅調に推移している。これは、紙が生産、出荷ともに堅調に推移しているなか、在庫もおおむね適正水準にあり、また、板紙でも出荷が底固い動きとなっているからである。 

一般機械では、産業機械は不振から低調となった。これは、受注について、官公需は減少基調にあるものの製造業向けは増加しており、総じて持ち直しの動きがみられるからである。工作機械は低調から改善し横ばい状況となった。これは、受注について、民間設備投資に一部動きがみられ、増加しているからである。建設機械は低調に推移している。これは、出荷について、内需は前年水準を維持しているものの、外需は減少が続いているからである。

産業用電気機械・電子部品では、半導体集積回路は、好調に推移している。これは、パソコン、携帯電話向けを中心に出荷が好調に推移しているからである。コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。これは、周辺装置等が低調に推移しているものの、ウェイトの大きいパソコンが基調としては好調に推移しているからである。通信機器は、横ばい状況から改善し堅調となった。これは、携帯電話が好調に推移していることに加え、このところ搬送装置が堅調に推移しているからである。

家電は低調に推移している。これは、国内出荷(台数ベース)は総じて底固く推移しているものの、海外シフトの進展等もあって、生産額が低調に推移しているからである。

自動車は横ばい状況が続いている。これは、国内販売(新車新規登録・届出台数)がやや増加しているものの、完成車輸出がこのところ減少していることから、生産がおおむね横ばいとなっているからである。

建設・住宅は低調に推移している。これは、住宅の中でもマンションの着工は堅調であり、また、民間工事や非居住用建築についても動きがみられるものの、水準は依然として低く、公共工事についても事業の実施が前年を下回っているからである。

運輸・旅行では、国内貨物輸送は、横ばい状況が続いている。これは、大宗を占める一般トラックが、生産関連貨物、建設関連貨物等に荷動きがみられることにより、このところ横ばいで推移しているからである。

旅行関連は、横ばい状況が続いている。これは、大手旅行会社の取扱高は、西暦2000年問題の影響により一時的に減少幅が拡大したものの、団体旅行が持ち直している等、基調としては一進一退で推移しているからである。

情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が、堅調に推移しているからである。

外食は横ばい状況が続いている。これは、既存店ベースでは売上高、利用客数とも前年割れが続いているものの、全店ベースでは店舗数の増加から、売上高、利用客数が引き続き増加しているからである。

リースは横ばい状況が続いている。これは、リース契約額について、主力の情報関連機器は前年の反動もあって減少となったものの、多くの物件で増加が続き、一進一退で推移しているからである。

電力は堅調に推移している。これは、民生用電力、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。

広告は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、テレビを中心に売上高が増加傾向で推移しているからである。


1.鉄鋼

鉄鋼は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、普通鋼鋼材の国内出荷は依然として増勢に力強さがみられないものの、アジア向け輸出の好調等を背景に、粗鋼生産が引き続き増加傾向にあるからである。

  • 普通鋼鋼材の国内出荷(前年同月比)は、12月2.6%増、1月5.0%増と増加が続いているものの、依然として増勢に力強さはみられない。
     これを受注面からみると、普通鋼鋼材の国内受注は、11月5.8%増、12月2.6%増と増加が続いているものの、依然として増勢に力強さはみられない。
     用途別にみると、建設向けは、11月8.7%増の後、12月2.7%増と増勢が鈍化している。内訳別では、土木用はウェイトの高い公共工事向けの動きが鈍くなっていることから、12月は減少となった。また建築用は、住宅向けで二ケタ増が続いていること等から増加が続いている。
     製造業向けは、11月2.8%増の後、12月2.1%減となったものの、総じて底固い動きとなっている。内訳別では、ウェイトの高い自動車用は、普通乗用車向け等に引き続き動きがみられていることから増加が続いている。その他の用途では、造船用は低調に推移しており、また産業機械用は低調に推移しているものの、減少幅は縮小してきている。
     こうした状況のなか、国内在庫は、12月546万トン、1月560万トンと増加し、また在庫率も上昇しているものの、ともに前年を下回る水準で推移している。
  • 鉄鋼の輸出入(全鉄鋼ベース、前年同月比)をみると、輸出数量は、鋼板類の大幅な増加が続いていること等から、12月18.7%増、1月12.9%増と増加傾向にある。
     これを仕向け先別にみると、これまでの大幅な増加によりウェイトの高まっている韓国、アセアン向けは景気が回復傾向にあることから、鋼板類を中心に好調に推移している。一方、米国向けは、アンチ・ダンピング提訴の影響から、減少傾向に歯止めがかからない状況にある。
     輸出船積平均単価は、ドルベースでは、国際市況が改善してきていることから上昇しつつあるものの、円ベースでは熱延鋼板等の低付加価値製品が増加していること等から低下している。
     輸入数量は、12月29.3%増、1月33.5%増となり、円高の影響もあって増加が続いている。
  • 粗鋼の生産は、12月852万トン(前年同月比15.8%増)、1月859万トン(同17.1%増)となり、アジア向け輸出の好調等を背景に引き続き増加傾向にある。
  • 鋼材の市況をみると、条鋼類、鋼板類ともに横ばい状況にある。

2.化学(石油化学)

化学(石油化学)は横ばい状況が続いている。これは、エチレン及び汎用樹脂についてみると、生産は高水準であるものの、国内出荷は一進一退の状況となっているからである。

  •  化学(石油化学)は横ばい状況が続いている。これは、エチレン及び汎用樹脂についてみると、生産は高水準であるものの、国内出荷は一進一退の状況となっているからである。
     在庫水準については、1月の国内出荷が減少となったことに加え、春の定修前の在庫積み増し等により、やや増加している。
  • 汎用樹脂の国内出荷については、西暦2000年問題に関連した需要増の反動、製品輸入が増加したこと等から、一進一退の状況となっている。主要樹脂別にみると、低密度ポリエチレンは、主力のフィルム向けを中心に各用途で増加となり、全体でも増加となった。高密度ポリエチレンは、西暦2000年問題に関連した需要増の反動は解消したものの、製品輸入の増加等により、ほぼ横ばいとなった。ポリプロピレンは、西暦2000年問題に関連した需要増の反動はあったが、主力の射出成形用が好調だったこと等から、全体でも増加となった。ポリスチレンは、電気工業用は増加となったものの、西暦2000年問題に関連した需要増の反動等によりフォームスチレンが減少となり、全体ではほぼ横ばいとなった。塩化ビニルについては、1月は減少となった。
  • 汎用樹脂の輸出については、原料ナフサ価格の上昇による先高感から引き合いが強く、増加となった。
     汎用樹脂の東南アジア市況については、年末来軟化傾向であったが、原油及びナフサ価格が上昇を続け、原料となるエチレンやプロピレンの価格も高水準で推移していることから、直近では上昇している。

3.紙・パルプ

紙・パルプは堅調に推移している。これは、紙が生産、出荷ともに堅調に推移しているなか、在庫もおおむね適正水準にあり、また、板紙でも出荷が底固い動きとなっているからである。 

  •  紙・パルプは堅調に推移している。これは、紙が生産、出荷ともに堅調に推移しているなか、在庫もおおむね適正水準にあり、また、板紙でも出荷が底固い動きとなっているからである。 
     紙の生産を品目別にみると、新聞巻取紙は底固い動きとなっている。印刷・情報用紙では、塗工紙で好調に推移していること等から、全体でも堅調に推移している。非塗工類は、上級紙が増加傾向にあるものの、中級紙、下級紙が低調であることから、全体では底固い動きとなっている。塗工紙は、微塗工紙、塗工紙ともに好調に推移している。情報用紙は、ウェイトの高いPPC用紙が底固いことから、全体でも底固い動きとなっている。
     衛生用紙は、需要が堅調であることから、生産も総じて堅調に推移している。
  • 板紙の生産(前年同月比)は、12月6.1%増、1月4.9%増と堅調に推移しているものの、直近では一部に生産調整の動きがみられる。出荷は、12月は6.7%増となった後、1月は西暦2000年問題による年末の需要増の反動もあり、1.0%増と増勢が鈍化したものの、総じて底固い動きとなっている。こうした状況のなか、在庫は前年を下回っているものの、在庫率はやや高い水準にある。
     板紙の生産を品目別にみると、段ボール原紙は堅調に推移しているものの、直近では一部に生産調整の動きがみられる。
  • パルプの生産(前年同月比)は、紙の需要が堅調に推移していることから、12月5.2%増、1月5.5%増と堅調に推移している。
  • 紙、板紙の輸出入(数量ベース、前年同月比)をみると、輸出は、12月14.8%増の後、1月6.1%減となったものの、底固い動きとなっている。一方、輸入は、12月3.8%減、1月10.0%減と減少傾向にある。
  • 紙の市況をみると、紙、板紙ともに横ばい状況にある。

4.一般機械

産業機械は不振から低調となった。これは、受注について、官公需は減少基調にあるものの製造業向けは増加しており、総じて持ち直しの動きがみられるからである。工作機械は低調から改善し横ばい状況となった。これは、受注について、民間設備投資に一部動きがみられ、増加しているからである。建設機械は低調に推移している。これは、出荷について、内需は前年水準を維持しているものの、外需は減少が続いているからである。

  •  産業機械は不振から低調となった。これは、受注について、官公需は減少基調にあるものの製造業向けは増加しており、総じて持ち直しの動きがみられるからである。工作機械は低調から改善し横ばい状況となった。これは、受注について、民間設備投資に一部動きがみられ、増加しているからである。建設機械は低調に推移している。これは、出荷について、内需は前年水準を維持しているものの、外需は減少が続いているからである。
     機械受注(原動機・産業機械・工作機械・半導体製造装置のみ、金額ベース、前年同月比)をみると、半導体製造装置の大幅な増加が続いていることから、12月12.2%増、1月18.5%増となった。
     輸出入の動向(事務用機器を除く・円ベース、前年同月比)をみると、輸出は12月4.2%増、1月4.8%増となった。輸入は12月3.0%減の後、1月9.2%増となった。
  • 産業機械は不振から低調となった。産業機械の受注(日本産業機械工業会調べ、金額ベース、前年同月比)は、12月9.6%増の後、1月は0.6%減となったものの、総じて持ち直しの動きがみられる。需要者別にみると、内需は、12月3.0%増となった後、鉄鋼、電気機械、一般機械向けを中心に製造業で増加したものの、非製造業では電力業が減少し、官公需も大幅な減少となったことから、1月は14.8%減となった。外需は、アジア向けでプラスチック加工機械が好調なことに加え、化学プラントも増加したこと等から、12月23.9%増、1月73.0%増と大幅増が続いた。
  • 工作機械は低調から改善し横ばい状況となった。工作機械の受注(日本工作機械工業会調べ、金額ベース、前年同月比)は、12月2.7%減の後、1月は5.6%増と23か月振りの増加となった。需要者別にみると、内需は、電気機械向けや精密機械向けが増加しているなか、12月は一般機械向けも増加したことから8.0%増となり、1月は自動車向けにも動きがみられ13.8%増となった。外需は、欧州向けは減少が続いているものの、北米向けが増加に転じたことから、12月11.1%減、1月1.9%減とマイナス幅を縮小した。
  • 建設機械は低調に推移している。建設機械の出荷(日本建設機械工業会調べ、本体・金額ベース、前年同月比)は、12月10.2%減、1月7.2%減となった。需要者別にみると、内需は、トラクタや建設用クレーンは減少が続いているものの、掘削機械が堅調なこと等から12月1.5%減の後、1月0.2%増と前年水準を維持している。外需は、欧州向けは堅調なものの、北米・中南米向けは大幅な減少が続いており、12月25.2%減、1月17.2%減となった。

5.産業用電気機械・電子部品

半導体集積回路は、好調に推移している。これは、パソコン、携帯電話向けを中心に出荷が好調に推移しているからである。コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。これは、周辺装置等が低調に推移しているものの、ウェイトの大きいパソコンが基調としては好調に推移しているからである。通信機器は、横ばい状況から改善し堅調となった。これは、携帯電話が好調に推移していることに加え、このところ搬送装置が堅調に推移しているからである。

  •  半導体集積回路は、好調に推移している。これは、パソコン、携帯電話向けを中心に出荷が好調に推移しているからである。コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。これは、周辺装置等が低調に推移しているものの、ウェイトの大きいパソコンが基調としては好調に推移しているからである。通信機器は、横ばい状況から改善し堅調となった。これは、携帯電話が好調に推移していることに加え、このところ搬送装置が堅調に推移しているからである。
  • コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。生産額(前年同月比)は、周辺装置、汎用コンピュータ等が低調に推移していることに加え、パソコンが一時的に大幅に減少したことから、11月4.6%減、12月13.9%減となったものの、基調としては横ばいで推移している。パソコンは、11月5.6%増の後、12月11.5%減となったものの、直近では再び増加しており、基調としては個人向けを中心に好調に推移している。周辺装置は、12月11.8%減、1月9.4%減(速報)と低調な動きが続いている。
  • 通信機器は、横ばい状況から改善し堅調となった。生産額(前年同月比)は、11月13.1%増、12月12.1%増となり、携帯電話が好調なことに加え、搬送装置の輸出が増加していることから、このところ堅調に推移している。内訳をみると、通信インフラ関連では、電子交換機が12月4.6%増の後、1月8.5%減(速報)となり、引き続き低調な推移となっているものの、搬送装置が、11月28.5%増、12月8.9%増となり、輸出の増加により堅調に推移している。携帯電話は、11月16.9%増、12月39.0%増と、引き続き好調に推移している。

6.家庭電器

家電は低調に推移している。これは、国内出荷(台数ベース)は総じて底固く推移しているものの、海外シフトの進展等もあって、生産額が低調に推移しているからである。

  •  家電は低調に推移している。これは、国内出荷(台数ベース)は総じて底固く推移しているものの、海外シフトの進展等もあって、生産額が低調に推移しているからである。
     AV家電をみると、品目ごとにばらつきがあるものの、総じて底固く推移している。品目別では、カラーテレビは平面ブラウン管型を中心に底固く推移している。また、このところVTR内蔵型が増加している。VTRは引き続き前年割れが続いている。ビデオカメラはこのところ前年割れが続いていたが1月は大幅増となった。CDプレーヤ(MDプレーヤを含む)は底固く推移している。その他の品目では、DVD等のデジタル製品が引き続き大幅増となっている。
     白物家電をみると、買い替え需要もあり総じて底固く推移している。品目別では、冷蔵庫は400リットル以上の大型が大幅に増加しているものの、全体では一進一退の動きとなっている。洗濯機は前年をやや下回る水準で推移している。電子レンジ、エアコンは前年並みで推移している。
  • 家電の輸出(台数ベース)は、デジタル製品を中心にこのところ増加している。カラーテレビは香港向けを中心に減少している。VTRはアメリカ向けの増加から減少幅が縮小している。CDプレーヤはアメリカ向けを中心に減少している。ビデオカメラはデジタル機種を中心にアメリカ、ヨーロッパ向けに大幅に増加している。
  • 家電の輸入(台数ベース)は、増加傾向が続いている。カラーテレビは、マレイシア、中国等の増加から引き続き増加している。VTRはマレイシア、中国の増減から一進一退の動きとなっている。
  • 家電の生産額(前年同月比)は、ビデオカメラやDVD等のデジタル製品が増加しているものの、海外生産シフトの進展等もあって多くの製品が減少を続けており、全体では11月2.2%減、12月6.1%減と低調に推移している。なお、1月は主要8品目の動向をみると、やや水準を戻している。

7.自動車

自動車は横ばい状況が続いている。これは、国内販売(新車新規登録・届出台数)がやや増加しているものの、完成車輸出がこのところ減少していることから、生産がおおむね横ばいとなっているからである。

  •  自動車は横ばい状況が続いている。これは、国内販売(新車新規登録・届出台数)がやや増加しているものの、完成車輸出がこのところ減少していることから、生産がおおむね横ばいとなっているからである。
     輸入車販売では、逆輸入車の大幅な減少から1月3.5%減、2月6.7%減となっている。
  • 自動車の輸出(完成車台数ベース、前年同月比)は、12月6.5%減の後、1月は一部で12月への前倒しや2月への先送りがみられたことから15.7%減となり、円高の影響もありこのところ減少している。仕向地別にみると、主力の北米向けは1月は一時的に減少したが、基調としては好調に推移している。欧州向けは円高の影響もあり前年を下回っている。その他の地域では、アジア向けは増加しているものの、中東向けは大幅に減少している。
     自動車部品の輸出(日本自動車工業会々員11社分、ドルベース)は、海外生産用、OEM用とも増加していることから、12月26.9%増、1月17.5%増となっている。
  • 自動車の生産(完成車台数ベース、前年同月比)は、12月0.8%減、1月2.0%減となり、直近も含めておおむね横ばいとなっている。車種別にみると、普通乗用車はモデルチェンジの効果から増加が続いている。小型乗用車は輸出の減少等により前年割れが続いている。普通トラックは国内販売の低迷や輸出の減少から大幅な前年割れが続いている。軽乗用車は前年割れとなったが高水準で推移している。軽トラックはこのところ伸びが鈍化している。

8.建設・住宅

建設・住宅は低調に推移している。これは、住宅の中でもマンションの着工は堅調であり、また、民間工事や非居住用建築についても動きがみられるものの、水準は依然として低く、公共工事についても事業の実施が前年を下回っているからである。

[建設]

  •  建設・住宅は低調に推移している。これは、住宅の中でもマンションの着工は堅調であり、また、民間工事や非居住用建築についても動きがみられるものの、水準は依然として低く、公共工事についても事業の実施が前年を下回っているからである。
     施工高は、11、12月ともに7.1%減となった。また、未消化工事高は、37か月連続で減少となった。また、地方大手建設業者470社の受注額(前年同月比)は、12月2.1%減の後、1月0.3%増となった。
  • 建築の着工状況(床面積)をみると、12月1.6%増、1月23.4%増となった。内訳をみると、着工床面積の6割近くを占める民間居住用建築では、12月5.0%増、1月24.0%増と増加が続いている。民間非居住用建築についても、このところ商業用が増加しており、全体でも増加となっている。
  • 公共工事着工(総工事費評価額)は、12月は第二次補正予算等の効果が現れ、9.5%増となったものの、1月は再び国、地方ともに減少したことから、12.6%減となった。4~1月累計でも7.4%減となっており、事業の実施は前年を下回っている。
     民間土木工事着工は、12月9.6%増の後、1月4.3%減となった。

[住宅]

  • 戸建住宅産業の最近の動きについては、構造別の着工戸数は、ウェイトの約半分を占める木造は増加傾向が鈍化しているものの、非木造については、鉄骨鉄筋コンクリート造を中心に増加となっている。建築単価については、1平方メートル当たりの工事費予定額では、木造はほぼ前年並みで推移しており、非木造は直近ではやや低くなっている。1戸あたりの面積については、利用関係別ではややばらつきがあるが、おおむね緩やかな増加傾向にある。
  • マンション産業の最近の動きについては、全体の着工は、12月9.2%増、1月16.8%増と、増加が続いている。圏別にみると、三大都市圏ともにおおむね増加が続いている。なお、新規契約率(首都圏)については、金利先高感及び減税等の理由により、12月78.3%と13か月連続で70%を超えた後、1月は68.2%となったものの、引き続き好調である。また、在庫についても、9千戸を下回る低い水準を保っている。

9.運輸・旅行

国内貨物輸送は、横ばい状況が続いている。これは、大宗を占める一般トラックが、生産関連貨物、建設関連貨物等に荷動きがみられることにより、このところ横ばいで推移しているからである。

旅行関連は、横ばい状況が続いている。これは、大手旅行会社の取扱高は、西暦2000年問題の影響により一時的に減少幅が拡大したものの、団体旅行が持ち直している等、基調としては一進一退で推移しているからである。

  •  国内貨物輸送は、横ばい状況が続いている。これは、大宗を占める一般トラックが、生産関連貨物、建設関連貨物等に荷動きがみられることにより、このところ横ばいで推移しているからである。
  • 国際貨物輸送は、アジア経済の回復等により、このところ増加している。航空貨物は、貨物トン数(全国ベース)でみると、輸出は、12月20.6%増、1月13.9%増、輸入は、12月22.4%増、1月12.5%増となった。外航海運の貨物トン数は、輸出は12月17.6%増、1月17.9%増となり、輸入は12月2.8%増の後、1月4.6%減となった。
  • 旅行関連は、横ばい状況が続いている。大手旅行会社(鉄道旅客協会加盟13社)の取扱額(前年同月比)は、西暦2000年問題の影響により、12月4.7%減、1月5.9%減と一時的に減少幅が拡大したものの、団体旅行が持ち直している等、基調としては一進一退で推移している。内訳をみると、国内旅行は12月1.0%減、1月1.8%減となり、海外旅行は12月11.6%減、1月13.1%減と大幅な減少となった。主要旅客輸送機関の実績(人数ベース、前年同月比)をみると、JR旅客は、定期外は12月0.4%増となった。航空(3社)は、国内線は12月2.1%増、1月0.5%増(速報)、国際線は12月2.4%増、1月1.2%増(速報)と増加が続いている。

10.情報サービス

情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が、堅調に推移しているからである。

  •  情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が、堅調に推移しているからである。
  • 業務種類別にみると、
    ・受注ソフトウェアは、金融業、通信業、官公庁向け等の需要増により、12月1.9%増、1月2.9%増と堅調に推移している。
    ・ソフトウェアプロダクトは、汎用コンピュータの基本ソフトの減少等から12月6.4%減、1月4.2%減となった。
    ・計算事務等情報処理は、12月1.4%減、1月1.0%減となった。
    ・システム等管理運営受託は、金融業、製造業等のアウトソーシングの需要増により、12月37.0%増、1月31.4%増と好調に推移している。
  • 雇用状況は、高等技術者や新たなニーズに対応できる技術者は不足感が続いているものの、全体的には不足感は緩和している。

11.外食

外食は横ばい状況が続いている。これは、既存店ベースでは売上高、利用客数とも前年割れが続いているものの、全店ベースでは店舗数の増加から、売上高、利用客数が引き続き増加しているからである。

  •  外食は横ばい状況が続いている。これは、既存店ベースでは売上高、利用客数とも前年割れが続いているものの、全店ベースでは店舗数の増加から、売上高、利用客数が引き続き増加しているからである。
     なお、既存店ベース(前年同月比)でみると、利用客数は、企業によっては増加したところもみられるが、全体では新規出店増に伴う店舗間の競合から12月2.6%減、1月2.1%減と前年割れが続いている。客単価は、メニューの充実等から単価が上昇した企業もみられるが、全体としては消費者の低価格指向や店舗側の低価格設定等により引き続き下落傾向にある。この結果、売上高は12月4.0%減、1月3.2%減と前年割れが続いている。なお、西暦2000年問題に関連した一時的な需要増やハッピーマンデーの効果もみられた。
  • 業態別の売上高(全店ベース)をみると、ファーストフードは前年並みで推移している。和風や麺類が伸びている一方で、他業種との競合が激しい持ち帰り米飯・寿司の分野は大きく落ち込んでおり、業態別にばらつきがみられる。ファミリーレストランは、中華、焼肉の分野が店舗数の増加から売上を伸ばしており、全体では前年をやや上回っている。パブレストラン・居酒屋は、特に居酒屋の分野で店舗数、利用客数、売上とも伸ばしている。

12.リース

リースは横ばい状況が続いている。これは、リース契約額について、主力の情報関連機器は前年の反動もあって減少となったものの、多くの物件で増加が続き、一進一退で推移しているからである。

  •  リースは横ばい状況が続いている。これは、リース契約額について、主力の情報関連機器は前年の反動もあって減少となったものの、多くの物件で増加が続き、一進一退で推移しているからである。
  • 物件別の最近の動向をみると、
     契約額の約4割を占める情報関連機器は、12月5.5%増の後、通信機器は通信業の設備投資等にけん引されて増加が続いたものの、電算機及び関連機器は前年に汎用コンピュータ等の大口需要があった反動もあって減少となったことから、1月は12.6%減となった。
     商業・サービス業用機械・設備は、店舗改装の抑制による商業用店舗設備の減少等により、12月2.0%減、1月11.5%減となった。
     事務用機器は、複写機の更新需要はあるものの、12月0.5%減、1月2.2%減とやや前年を下回った。
     産業機械は、12月2.8%減の後、1月は自動車工業向けの金型等の需要がみられ26.2%増となった。
     工作機械は、半導体関連部品の製造機械等が増加したことから、12月2.2%増、1月29.7%増と増加が続いた。
     土木建設機械は、買取からリースへの需要のシフトもあって、12月31.2%増、1月50.1%増と増加基調が続いている。
     自動車は、12月9.7%増、1月15.1%増と増加が続いた。
     医療機器は、ハイテク・高額化によるリース需要の増加等を背景に、12月8.3%増、1月5.1%増と増加基調が続いている。
  • リース料率は、低い水準で推移している。

13.電力

電力は堅調に推移している。これは、民生用電力、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。

  •  電力は堅調に推移している。これは、民生用電力、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。
     用途別にみると、家庭用電灯需要は1月は2.9%増となった。これは、12月の気温が特に西日本を中心に低めに推移したため、暖房需要が増加したことと、検針期間が前年より長かったためである。業務用電力も気温の影響により、1月は2.9%増となった。小口電力のうち、低圧電力については電灯と同じ理由で堅調な増加となり、高圧電力Aも昨年8月以降6か月連続の増加となった。大口電力は1月は2.6%増と、昨年8月以降6か月連続の増加となった。
     10~12月期について地域別にみると、全地域で増加となった。
  • 大口電力需要を自家発電を含め業種別にみると、1月は輸送機械以外の全ての主要業種が増加となった。鉄鋼は、粗鋼生産が増加傾向にあることから、7か月連続の増加となった。化学は、エチレン等の生産増により、6か月連続の増加となった。パルプ・紙は、生産が堅調なことから、9か月連続の増加となった。セメントは、1月には3か月振りに増加に転じ、このところ一進一退の動きとなっている。電気機械は、パソコンや携帯電話の生産が好調なこと等から、8か月連続の増加となった。輸送用機械は、1月は自動車の生産が前年を下回ったため3か月振りに減少に転じ、このところ一進一退の動きが続いている。非鉄は、アルミニューム圧延品や伸銅品の生産が堅調なことから、3か月連続の増加となった。
     地域別にみると、1月は全地域で増加となった。

14.広告

広告は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、テレビを中心に売上高が増加傾向で推移しているからである。

  •  広告は横ばい状況から改善し堅調となった。これは、テレビを中心に売上高が増加傾向で推移しているからである。
     媒体別では、ウェイトの大きいテレビが、7月から増加傾向にあり1月は11.0%増となった。新聞は、金融・保険、不動産・住宅設備等、雑誌は主要広告業種の化粧品・トイレタリー等の増加によりそれぞれ増加となった。4媒体以外も増加となった。
  • 広告量(前年同月比)の動向をみると、テレビはテレビスポットが依然好調で12か月連続で増加している。また、低迷が続いていたテレビ番組も1月はわずかではあるが増加となった。新聞は案内広告が微減となったものの、カラー広告、全面広告はこのところ堅調に推移しており、6か月連続の増加となった。
     出稿業種別にみると、金融・保険が証券会社、保険会社を中心に、情報・通信がパソコンや携帯電話を中心に、全ての媒体で増加となる等引き続き好調に推移している。外食・各種サービスがエステティックサロン等の各種サービスを中心に、化粧品・トイレタリーもこのところ出稿が増え全ての媒体で増加となった。また、低迷が続いていた自動車・関連品にも、テレビスポットで3か月連続の増加となる等下げ止まりの兆しがみられる。一方、食品、飲料・嗜好品はこのところ低調な動きとなっている。