地域経済動向(平成11年4月)

平成11年4月20日

経済企画庁調査局


1.地域経済の概況

最近の地域経済の動向を地域別にみると、以下のとおりである。

北海道地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は持ち直しの兆しがみられ、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加となっているものの、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移しているからである。

東北地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産が総じて持ち直しの動きとなっており、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加となっているものの、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである

関東地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は持ち直しの兆しがみられるものの、需要面においては、大型小売店販売額が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

北関東と南関東についてみると、北関東では、公共工事着工総工事費が大幅な増加となり、新設住宅着工戸数も持ち直しの動きがみられることから、景気はこのところ明るさが広がり、下げ止まりつつある。南関東では、関東全体とほぼ同様の動きであることから、景気は一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。

東海地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産が低水準横ばいで推移し、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加となっているものの、大型小売店販売額が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

北陸地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は減少傾向に一服感がみられ、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加を続けており、新設住宅着工戸数に持ち直しの動きがみられるものの、大型小売店販売額が低調に推移しているからである。

近畿地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少となり、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

中国地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は総じて横ばい圏内で推移しており、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加となっているものの、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

四国地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになっており、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加となっており、新設住宅着工戸数に持ち直しの動きがみられるものの、大型小売店販売額が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

九州地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は持ち直しの兆しがみられ、需要面においては、新設住宅着工戸数に持ち直しの兆しがみられるものの、大型小売店販売額が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

沖縄地域では、景気は政策効果等により、明るさが広がっている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いているものの、主力の観光が高水準で推移し、需要面ではスーパーの売上高が底固く、乗用車新規登録・届出台数も堅調に推移し、公共工事着工総工事費も大幅な増加となっているからである。

各地域の最近の経済動向を総合すると、以下のとおりである。

鉱工業生産をみると、北海道、関東、九州では持ち直しの兆しがみられ、北陸では減少傾向に一服感がみられる。一方、近畿では低水準横ばいから減少となり、中国は持ち直しの動きから横ばい圏内となった。また、その他の地域では、前回と比べ、状況に大きな変化はみられなかった。

個人消費をみると、すべての地域で乗用車新規登録・届出台数が増加となっているが、大型小売店販売額は、沖縄を除き低調に推移している。

建設活動をみると、公共工事は補正予算等の効果により、ほとんどの地域で大幅に増加し、4~2月累計では、北海道、東北、東海、北陸、中国、沖縄が増加となった。住宅建設は、ほとんどの地域で低調に推移しているものの、一部の地域では持ち直しの動きがみられる。

雇用情勢をみると、すべての地域で厳しい状況が続いている。

企業倒産をみると、中小企業に対する信用保証制度の拡充の効果もあり、すべての地域で減少している。

地域別にいえば、北海道、関東、北陸、九州では、鉱工業生産が持ち直しの兆し、公共工事が大幅な増加あるいは新設住宅着工戸数が持ち直しの動きとなったことから、「景気は一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。」とした。沖縄は、観光が引き続き高水準であること等に加え、公共工事が大幅に増加していることから、「景気は明るさが広がっている」とした。

東北、東海、中国、四国は、政策効果等により一部に明るさがみられるものの、全体では、前回と同様の評価とし、北海道等と同じく、「下げ止まりつつある」とした。

近畿では、前回と同様、「景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある」とした。

各地域を総じてみると、民間需要が低調なため依然として極めて厳しい状況にあるが、各種の政策効果により、ほとんどの地域で下げ止まりつつある。


2.地域経済の動向

(1)北海道

北海道地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は持ち直しの兆しがみられ、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加となっているものの、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移しているからである。

  • 第一次産業の動きをみると、生乳生産(前年同月比)は、1月0.6%増、2月0.7%増と前年をやや上回る動きが続いている。水産業(主要10港、前年同月比)では、2月は、ほっけが大幅増となったこと等から、水揚量は17.0%増、金額では27.6%増となった。
  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、1月1.2%増の後、2月3.2%減となったものの、公共工事関連の特定業種が総じて堅調に推移していること等から、このところ持ち直しの兆しがみられる。
     主要業種の生産動向をみると、食料品・たばこは、ウェイトの高い冷凍水産物、塩蔵品が低調であることから、全体でも低調に推移している。パルプ・紙は、前年をやや下回る動きとなっている。窯業・土石は、セメントで一部に生産調整の動きがみられたものの、公共工事の発注増により総じて堅調に推移している。金属製品は、2月は前月高水準の反動から減少となったものの、総じて底固い動きとなっている。
  • 観光では、来道客数(前年同月比)は、1月5.2%増、2月5.0%増と増加が続いているものの、単価の低下により、収益状況は依然として厳しい。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、1月6.0%減の後、2月0.9%増となったものの、基調としては低調に推移している。業態別にみると、百貨店では1月7.7%減の後、2月は衣料品等ほとんどの商品で前年を下回り、2.1%減となった。スーパーでは1月4.3%減の後、2月0.2%増となったものの、基調としては低調に推移している。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、1月0.1%増、2月3.5%増と底固く推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車で大幅増が続いていることから、1月5.4%増、2月3.4%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、国で大幅増が続いたこと等から、1月91.8%増、2月104.4%増となり、4~2月累計では3.4%増となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、1月22.2%減、2月9.6%減となり、引き続き低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1月0.45、2月0.47と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、中小企業に対する信用保証制度の拡充の効果もあり、1月45.5%減、2月42.4%減となった。

(2)東北

東北地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産が総じて持ち直しの動きとなっており、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加となっているものの、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、1月3.0%減となったが、主力の電気機械が再び持ち直したことから、2月0.2%増となり、総じて持ち直しの動きとなっている。
     主要業種の生産動向をみると、電気機械は、1月6.2%減となったが、2月はパソコンや携帯電話・PHSの増産などから2.6%増となった。食料品・たばこは、1月前月並み、2月1.7%減となった。一般機械は、農業用機械の増産等から1月5.2%増、2月3.7%増となった。繊維は1月14.2%減、2月10.6%増となった。
  • 個人消費をみると、飲食料品を除いて前年を下回ったことから、大型小売店販売額(前年同月比)は、1月5.2%減、2月3.4%減と低調に推移している。
     業態別にみると、百貨店は、飲食料品に動きがあったものの、衣料品や家庭用品の動きが鈍く1月4.1%減、2月5.1%減と低調に推移している。スーパーも、主力の飲食料品以外の動きが鈍く、1月5.9%減、2月2.4%減と引き続き低調に推移している。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、1月0.8%増、2月3.3%増と底固く推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、引き続き軽乗用車が大幅増となったことや、小型車、普通車も減少幅が縮小したことから、1月14.7%増、2月4.5%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、国、地方とも大幅に増加したことから、1月63.3%増、2月86.8%増となり、4~2月累計では10.3%増となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、1月は分譲で大幅減となったこと等から、全体では21.4%減となった。2月は持家が8か月ぶりに増加に転じ、全体でも8.7%減と減少幅が縮小したものの、基調としては低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1月0.51、2月0.50と、厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、中小企業に対する信用保証制度の拡充の効果もあり、1月25.2%減、2月40.8%減となった。

(3)関東

関東地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は持ち直しの兆しがみられるものの、需要面においては、大型小売店販売額が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

北関東と南関東についてみると、北関東では、公共工事着工総工事費が大幅な増加となり、新設住宅着工戸数も持ち直しの動きがみられることから、景気はこのところ明るさが広がり、下げ止まりつつある。南関東では、関東全体とほぼ同様の動きであることから、景気は一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、1月1.4%増の後、2月0.1%減となったものの、持ち直しの兆しがみられる。在庫についても、生産調整が進んでおり、過剰感が薄らぎつつある。
     主要業種の生産動向をみると、最もウェイトの高い電気機械は、パソコン、通信機器等の増加により、1月5.8%増の後、2月0.2%減となったものの、持ち直しの兆しがみられる。一般機械は、半導体製造装置等の増産により、増加となった。輸送機械については、普通乗用車等が低調に推移していること等から、減少となっている。化学については、一進一退の動きとなっている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、1、2月ともに、2.9%減と、引き続き低調に推移している。業態別にみると、百貨店では、身の回り品は増加しているものの、その他の品目では減少傾向が続いている。スーパーについては、主力の食料品をはじめ、すべての品目で減少となり、全体でも減少傾向が続いている。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、1月0.2%減、2月3.2%増と底固く推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車が大幅増となっており、1月11.3%増、2月2.0%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、1月7.3%減の後、補正予算等の効果により、国、地方ともに増加となり、2月5.7%増となった結果、4~2月累計では6.5%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、持家は政策効果により持ち直しの動きがみられるものの、貸家及び分譲は引き続き減少傾向にあることから、1月12.6%減、2月10.7%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1、2月ともに、0.47と、厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、中小企業に対する信用保証制度の拡充の効果もあり、1月35.7%減、2月44.1%減となった。

(3-2)北関東

  • 鉱工業生産は、持ち直しの兆しがみられる。主要業種の生産動向をみると、電気機械は持ち直しの兆しがみられ、一般機械は低水準であるものの持ち直しの兆しがみられる。輸送機械は、生産増の反動もあり、このところ減少している。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、1月5.7%減、2月3.0%減と、引き続き低調に推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車の増加により、1月11.7%増、2月3.3%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、1月5.9%増の後、2月55.8%増と、補正予算等の効果により大幅増となった結果、4~2月累計では5.9%増となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、1月20.4%減の後、持家の増加により、2月2.2%増と増加に転じ、持ち直しの動きがみられる。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1月0.70、2月0.69となった。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、1月24.2%減、2月36.5%減となった。

(3-3)南関東

  • 鉱工業生産は、持ち直しの兆しがみられる。主要業種の生産動向をみると、電気機械及び化学は一進一退の動きとなっており、一般機械は低水準横ばいで推移しており、輸送機械は、低水準であるものの持ち直しの兆しがみられる。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、1月2.1%減、2月2.8%減と、引き続き低調に推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車の増加により、1月11.1%増、2月1.5%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、大型プロジェクト完了の反動により、1月12.4%減、2月13.9%減となり、4~2月累計でも12.0%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、1月10.7%減、2月13.5%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1、2月ともに0.41と、厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、1月37.5%減、2月45.3%減となった。

(4)東海

東海地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産が低水準横ばいで推移し、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加となっているものの、大型小売店販売額が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、1月0.1%増、2月0.3%増となっているものの、低水準横ばいで推移している。
     主要業種の生産動向をみると、自動車では、普通・小型乗用車の国内販売の前年比減少幅が縮小したことに加え、輸出も総じて底固いことから、低水準横ばいとなっている。一般機械では、電動工具、建設機械等が低調なことに加え、金属工作機械が操業度を下げていることから、全体としては減少傾向にある。電気機械は、電子計算機・同関連装置がやや減少しているものの、家電が横ばいとなり、全体で横ばいで推移している。窯業・土石は、陶磁器が低調なものの、ファインセラミックスが輸出向けを中心に堅調なことから、全体で持ち直しの動きとなっている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、1月5.6%減、2月2.0%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店では紳士服を中心に衣料品が低調なことから、1月4.5%減、2月2.6%減となった。スーパーでは衣料品の減少幅が拡大し、1月6.2%減、2月1.7%減となった。なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、1月0.2%増、2月3.8%増と底固く推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車が好調に推移していることに加え、小型車も新型車の効果がみられることから、1月12.0%増、2月5.3%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、補正予算等の効果により、国、地方ともに増加となった結果、1月57.0%増、2月62.3%増となり、4~2月累計では16.1%増となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、1月0.6%減、2月4.8%減と持ち直しの兆しがみられる。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1月0.65、2月0.64と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、中小企業に対する信用保証制度の拡充の効果もあり、1月24.2%減、2月20.7%減となった。

(5)北陸

北陸地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は減少傾向に一服感がみられ、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加を続けており、新設住宅着工戸数に持ち直しの動きがみられるものの、大型小売店販売額が低調に推移しているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、1月2.2%増、2月2.0%減となり、減少傾向に一服感がみられる。
     主要業種の生産動向をみると、金属製品では、アルミ建材は、ビル用、住宅用とも需要が低迷していることから、引き続き低調である。繊維では、主力の合繊織物は衣料、非衣料向けとも内需が低迷していること等から、大幅な減産が続いている。また、染色加工も大幅な減産が続いている。電気機械では、携帯電話用部材、パソコン関連部材が堅調なこと等から、全体でも増加傾向にある。一般機械では、繊維機械、建設機械が低調に推移していることに加え、工作機械がやや生産水準を引き下げていることから、全体では減少傾向にある。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、1月5.7%減、2月0.8%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店では1月8.4%減の後、家具で大口需要があったことや、催事や特別セール等の効果により飲食料品等で増加となったことから、2月1.1%増となったものの、基調としては3月も含めて低調である。スーパーでは婦人服・子供服の前年比増加が続いたものの、主力の飲食料品が前年割れとなったことから、1月4.3%減、2月1.8%減となった。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車の増加により、1月8.9%増、2月1.5%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、補正予算等の効果により、国、地方ともに増加となった結果、1月30.0%増、2月108.4%増と大幅な増加が続いており、4~2月累計では27.7%増となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、1月6.4%減の後、持家の増加により2月0.1%減となり、持ち直しの動きがみられる。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1月0.68、2月0.67と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、中小企業に対する信用保証制度の拡充の効果もあり、1月24.1%減、2月47.7%減となった。

(6)近畿

近畿地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少となり、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、1月は前月並となったものの、2月は3.1%減と減少となった。
     主要業種の生産動向をみると、電気機械は、1月0.6%増、2月0.4%増と、民生用電気機械、通信・電子部品関連を中心に底固い動きとなっている。一般機械は、1月0.1%減、2月はボイラや産業機械の減少により、4.4%減と減少傾向となっている。化学は、油脂製品・界面活性剤、プラスチックが減少傾向となっている。金属製品は、建設用金属製品が減少傾向となっている。繊維は、引き続き減少傾向にある。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、1月6.4%減、2月3.9%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店では、一部の婦人服以外のほとんどの商品の動きが鈍いことから、1月4.9%減、2月は3.4%減となり、3月も低調に推移している。スーパーでも、全商品が前年を下回り、1月7.7%減、2月4.3%減と、引き続き低調に推移している。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、1月0.5%減、2月2.6%増と底固く推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車の大幅な増加により、1月6.5%増、2月0.8%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、1月は補正予算の効果等による国、府県、市町村の増加から18.4%増、2月は地方の公社の増加から31.7%増となり、4~2月累計では1.0%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、貸家、分譲を中心に大幅な減少が続き、1月19.6%減、2月16.8%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1、2月ともに0.38と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、中小企業に対する信用保証制度の拡充の効果もあり、1月34.3%減、2月41.4%減となった。

(7)中国

中国地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は総じて横ばい圏内で推移しており、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加となっているものの、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は1月0.4%減、2月2.4%減となっているものの、総じて横ばい圏内で推移している。
     主要業種の生産動向をみると、化学は、品目ごとにばらつきがみられるものの、総じて底固い動きとなっている。自動車は、軽乗用車が堅調に推移していることや新型車の生産から、全体でも堅調に推移している。一般機械は、アジア向けを中心に輸出が低迷し、内需も減少していることから、減少傾向が続いている。鉄鋼は、内需の低迷に加え、輸出も米国向け等で減少していることから、生産調整が続いている。また、電気機械は、パソコン関連が好調に推移していること等から、高水準での生産となっている。繊維は引き続き低調である。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、1月5.7%減、2月3.3%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店は、1月3.8%減、2月0.4%減と低調に推移している。スーパーは、1月7.0%減の後、2月は主力の飲食料品で前年をやや上回ったものの、全体では5.0%減となった。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、1月3.4%増、2月5.3%増と堅調に推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車で大幅増が続いていることから、1月12.9%増、2月5.4%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、国、市町村で増加が続いたこと等から、1月22.4%増、2月36.0%増となった。また、4~2月累計では9.5%増となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、減少幅が縮小し、1月3.5%減、2月3.0%減となったものの、引き続き低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1月0.68、2月0.67となり、厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、中小企業に対する信用保証制度の拡充の効果もあり、1月37.6%減、2月44.4%減となった。

(8)四国

四国地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになっており、需要面においては、公共工事着工総工事費が大幅な増加となっており、新設住宅着工戸数に持ち直しの動きがみられるものの、大型小売店販売額が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、1月0.4%減、2月0.9%減と、減少傾向が緩やかになっている。
     主要業種の生産動向をみると、電気機械は、ウェイトの高い磁気ディスク装置が増加したことに加え、外部記憶装置の需要が好調なことから増加となった。パルプ・紙は、個人消費の低迷から、総じて需要が減少しており、依然として生産調整が続いている。化学は、輸出は好調なものの、一部では内需が低迷しており、生産調整が続いている。一般機械は、依然在庫水準が高く、東南アジア向け輸出の不振、民間設備投資の低迷から、減産が長期化している。繊維は、新学期需要は確保したものの、春物受注は低迷しており、低調に推移している。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、1月7.4%減、2月4.9%減となり、低調に推移している。業態別にみると、百貨店は、暖冬による冬物衣料の最終処分セールの不振に加え、春物衣料が例年より早期に動いたものの、買い控えの傾向にあったことから、1月4.2%減、2月4.5%減となった。スーパーは、飲食料品に動きがみられたものの、衣料品等が不振だったことから、1月9.5%減、2月5.1%減となった。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、1月2.1%増、2月0.9%増と底固く推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車が好調なことにより、1月18.7%増、2月9.3%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、1月13.8%減、2月は国、市町村の大幅増により55.9%増となった結果、4~2月累計では2.5%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、1月7.6%増の後、2月は分譲が減少したものの、持家が増加に転じたことから15.5%増となり、持ち直しの動きがみられる。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1月0.64、2月0.65と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、中小企業に対する信用保証制度の拡充の効果もあり、1月11.4%減、2月37.3%減となった。

(9)九州

九州地域では、景気は政策効果等により、一部に明るさがみられ、下げ止まりつつある。これは、鉱工業生産は持ち直しの兆しがみられ、需要面においては、新設住宅着工戸数に持ち直しの兆しがみられるものの、大型小売店販売額が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、1月0.5%増、2月0.1%増と持ち直しの兆しがみられる。
     主要業種の生産動向をみると、電気機械は、主力の半導体集積回路では金額、数量とも前年割れが続いているものの、持ち直しの兆しがみられる。化学は、内外の需要減により在庫水準が依然として高いことから生産調整が続いている。一般機械は、内外の需要減により減少傾向が続いている。輸送機械は、自動車では新型車の投入が続いたこともあり増加となった。造船は、豊富な受注残に支えられ、高操業を維持している。窯業・土石は、セメントでは官公需の一部に動きが見られるものの、在庫水準は依然高く減産が続いている。鉄鋼は、内需低迷の長期化に加え、輸出も減少していることから、減産が続いている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、1月4.8%減、2月0.9%減となり、低調に推移している。業態別にみると、百貨店は、冬物衣料の最終処分セールは順調に推移したものの、春物衣料や飲食料品が振るわず、1月3.6%減、2月1.1%減となった。スーパーは、飲食料品に動きが見られたものの、衣料品が低調で、1月5.9%減、2月0.8%減となった。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、1月2.3%増、2月4.4%増と堅調に推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車が好調なことに加え、普通車が1月6.0%減、2月2.1%増となったことから、全体としては1月13.2%増、2月7.5%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、大型プロジェクト完了もあって、1月20.8%減、2月0.4%増となった結果、4~2月累計では5.6%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、持家については1月6.4%減の後、2月18.8%増となり、全体では1月0.6%増の後、2月3.2%減となったものの、持ち直しの兆しがみられる。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1、2月ともに0.42と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、中小企業に対する信用保証制度の拡充の効果もあり、1月36.9%減、2月39.3%減となった。

(10)沖縄

沖縄地域では、景気は政策効果等により、明るさが広がっている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いているものの、主力の観光が高水準で推移し、需要面ではスーパーの売上高が底固く、乗用車新規登録・届出台数も堅調に推移し、公共工事着工総工事費も大幅な増加となっているからである。

  • 観光では、入域客数(前年同月比)は、航空路線の増・開設効果や低価格旅行商品が堅調なことから、1月5.1%増、2月9.9%増といずれも1、2月としては過去最高となった。なお、直近も前年を上回る高水準で推移している。また、客室稼働率は、シティホテル、リゾートホテルとも1月はやや前年を下回ったが、2月は高水準となった。
  • 個人消費をみると、百貨店(那覇市内3百貨店)の売上高(前年同月比)は、1月は0.6%減となったが、2月は各種セール等の効果もあり全体では5.6%増(沖縄銀行調べ)となった。一方、スーパーの売上高(前年同月比、既存店ベース)は、1月2.4%減となったものの、2月は主力の食料品を中心に1.1%増(日本銀行那覇支店調べ)と、基調としては底固く推移している。家電製品の販売額は、白物家電を中心に1月2.1%増、2月7.4%増となった。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、1月は小型車が減少したものの引き続き軽乗用車が好調なことから、全体では1.8%増となった。2月も軽乗用車が好調で、普通車、小型車とも前年比増となったことから、21.1%増と堅調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、1月は国発注分の減少から5.1%減となったが、2月は国、地方とも大幅増となったことから87.6%増となり、4~2月累計でも4.7%増となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、持家、貸家、分譲とも低調で、全体でも1月33.4%減、2月41.8%減と引き続き低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、1月0.21、2月0.22と厳しい状況が続いている。完全失業率は、1月7.7%、2月7.5%と依然として厳しい状況が続いている。一方、新規求人数は、このところ建設業、サービス業など広範な職種で増加している。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、1、2月とも前年を大幅に下回っている。