産業動向(平成11年3月)
平成11年3月
産業動向の推移
概況
我が国産業の最近の動向について次のような特徴がみられる。
(1)最近の産業動向は、依然として極めて厳しい状況にあり、ほとんどの業種で低調または不振が続いているが、このところ下げ止まりつつある。これは、総じて国内販売の低迷が続く中、一部に明るい動きがみられるとともに、素材型産業を中心に在庫の過剰感が依然強いものの、調整が進みつつあり、生産も低水準ながら下げ止まりつつあるからである。
(2)製造業をみると、
素材型産業では、紙・パルプは低調に推移しており、鉄鋼、化学(石油化学)は不振が続いている。
加工組立型産業では、家電は横ばい状況が続いており、工作機械、半導体、コンピュータ関連機器、通信機器、自動車は低調に推移しており、産業機械、建設機械は不振が続いている。
(3)非製造業を見ると、
情報サービスは堅調に推移し、電力は横ばい状況が続いている。旅行、リース、広告は低調に推移し、建設・住宅、国内貨物は不振が続いている。
鉄鋼は不振が続いている。これは、国内需要の低迷が長引いていることにより、普通鋼鋼材の国内受注が総じて低調に推移し、国内在庫も高水準であるなか、粗鋼の減産が続いているからである。
化学(石油化学)は不振が続いている。これは、需要減を映じて汎用樹脂で減産基調が続いており、国内出荷が減少傾向にあるからである。
紙・パルプは低調に推移している。これは、出荷に持ち直しの兆しがみられるものの、総じて需要の減少が続いていることから、生産面においては、紙、板紙ともに低調に推移し、また在庫が高水準で推移しているからである。
一般機械では、産業機械は不振が続いている。これは、受注が内外需の不振により引き続き低迷しているからである。工作機械は低調に推移している。これは、内需の大幅減に加え外需も前年割れが続き、受注が大幅に減少しているからである。建設機械は不振が続いている。これは、出荷が内外需の不振により引き続き低迷しているからである。
産業用電気機械・電子部品では、半導体集積回路は低調に推移している。これは、パソコン向け以外の製品の需要が低迷していることから、出荷が減少しているからである。コンピュータ関連機器は低調に推移しているものの、一部に明るい動きもみられる。これは、法人需要の低迷により、生産は減少しているものの、個人需要は底固いからである。通信機器は低調に推移している。これは、通信インフラの設備投資が低調なため、生産が減少しているからである。
家電は、横ばい状況が続いている。これは、国内出荷(台数ベース)は底固く推移しており、生産も、全体としては横ばいで推移しているからである。
自動車は低調に推移している。これは、完成車輸出が底固く推移し、軽乗用車の販売、生産が好調に推移しているものの、全体の販売が持ち直しの動きの中にあっても依然低水準であり、生産は低調に推移しているからである。
建設・住宅は不振が続いている。これは、公共工事着工が底固い動きとなっているものの、建設業大手50社の受注額や住宅着工戸数が、引き続き減少傾向にあるからである。
運輸・旅行では、国内貨物輸送は不振が続いている。これは、国内生産活動及び消費活動の低迷を映じて、ほとんどの輸送形態が減少しているからである。
旅行関連は低調に推移している。これは、団体旅行の落ち込み等のため、海外旅行を中心に大手旅行会社の取扱額が減少しているからである。
情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が、堅調に推移しているからである。
リースは低調に推移している。これは、リース契約額が、設備投資の冷え込みを映じて引き続き減少しているからである。
電力は横ばい状況が続いている。これは、大口電力が生産活動の停滞状況を映じて13か月連続で前年実績を下回ったものの、民生用電力が底固く推移しているからである。
広告は低調に推移している。これは、企業の広告費削減の動きを映じて、売上高の減少が続いているからである。
1.鉄鋼
鉄鋼は不振が続いている。これは、国内需要の低迷が長引いていることにより、普通鋼鋼材の国内受注が総じて低調に推移し、国内在庫も高水準であるなか、粗鋼の減産が続いているからである。
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普通鋼鋼材の国内出荷(前年同月比)は、12月7.2%減、1月7.8%減と低調に推移している。
これを受注面からみると、普通鋼鋼材の国内受注は、11月12.2%減、12月7.9%減と低調に推移している。
用途別にみると、建設向けは、建築用が非住宅の落ち込みから、依然として低調であるものの、土木用が公共工事向けに増加が続いていることから、全体でも11月3.8%減、12月2.1%減と、持ち直しの動きがみられる。
製造業向けは、11月11.9%減、12月9.2%減と低調に推移している。内訳別では、ウェイトの高い自動車用は、生産台数の減少を背景に、総じて低調に推移している。また、その他の用途でもほとんどの用途で前年を大きく下回っている。
こうした状況のなか、国内在庫は、12月572万トン、1月579万トンとこのところ増加となっており、依然として高水準が続いている。 -
鉄鋼の輸出入(全鉄鋼ベース、前年同月比)をみると、輸出数量は、普通鋼鋼材は総じて減少傾向にあるものの、銑鉄、半製品等の増加が続いていることから、全体では12月2.0%増、1月13.0%増と増加が続いている。
これを仕向け先別にみると、米国向けは、アンチ・ダンピング提訴の影響等から、減少傾向となっている。一方、韓国向けは大幅な増加となっており、またアセアン向けも1月は二ケタ増となった。
輸出船積平均単価は、ドルベースでは上昇しているものの、円ベースでは、国際市況の軟化等により、低下傾向が続いている。
輸入数量は、国内需要の低迷が長引いていること等から、12月34.5%減、1月37.9%減となった。 - 粗鋼の生産は、減産が続き、12月736万トン(前年同月比10.6%減)、1月734万トン(同12.2%減)となった。
- 鋼材の市況をみると、条鋼類では、H形鋼は需要の低迷が長引いていることから、このところ低下している。また、棒鋼は低下傾向となっている。鋼板類では、冷延薄板、厚鋼板ともに横ばい状況にある。
2.化学(石油化学)
化学(石油化学)は不振が続いている。これは、需要減を映じて汎用樹脂で減産基調が続いており、国内出荷が減少傾向にあるからである。
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石油化学製品の基礎原料であるエチレンの生産は、輸出向けの増加により、1月672千トン(前年同月比1.9%増)、2月613千トン(速報、前年同月比5.9%増)となった。汎用樹脂の生産については、国内の需要減を映じて引き続き減産の動きがみられ、全体的に減少傾向となっている。
在庫水準については、全体では依然やや過剰感がみられる。 - 汎用樹脂の国内出荷については、需要減を映じて総じて減少傾向となっている。主要樹脂別にみると、低密度ポリエチレンは主力のフィルム向け等で増加となり、全体では前年並みとなった。高密度ポリエチレンは主力のフィルム向けを中心として減少となった。塩化ビニルについては、公共工事関連により減少幅が縮小しているものの、減少傾向が続いている。汎用樹脂最大の需要を有するポリプロピレンは工業部品向けで増加となったが、全体では前年並みとなった。ポリスチレンは電気工業用等で増加となったが、依然低水準で推移している。
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汎用樹脂の輸出は、樹脂毎にみると増減にばらつきがみられ、これまで堅調に推移してきた塩化ビニルについては、円高等の理由により減少となっているが、ポリエチレン等は中国の旧正月明け等の理由により増加している。
汎用樹脂の東南アジア市況については、年明けから軟化傾向だったが、直近では韓国・台湾における定修を控えて反発の動きもみられる。
3.紙・パルプ
紙・パルプは低調に推移している。これは、出荷に持ち直しの兆しがみられるものの、総じて需要の減少が続いていることから、生産面においては、紙、板紙ともに低調に推移し、また在庫が高水準で推移しているからである。
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紙の生産(前年同月比)は、一部の用紙を除き生産調整が続き、12月2.4%減、1月2.9%減と低調に推移している。出荷は、販促用のチラシ向け等一部に動きがみられたことから、12月0.3%減の後、1月0.9%増と増加に転じ、持ち直しの兆しがみられる。一方、在庫は、前月比では減少傾向にあるものの、依然として高水準で推移している。
紙の生産を品目別にみると、新聞巻取紙は、広告出稿の減少を背景に減少に転じている。印刷・情報用紙では、総じて需要の減少が続いていることから、減産が続いている。非塗工類は、微塗工紙は堅調に推移しているものの、全体では低調に推移している。塗工紙は、在庫が依然高水準であることから、低調に推移している。情報用紙は、ウェイトの高いPPC用紙が増加に転じているものの、複写用紙、フォーム用紙で減少が続いていることから、全体でも依然として低調に推移している。
衛生用紙は、市況対策にはやや進展がみられているものの、依然として生産調整が続いており、総じて前年をやや下回る動きとなっている。 -
板紙の生産(前年同月比)は、12月5.5%減、1月3.7%減と低調に推移している。出荷は、紙器用板紙は低調な荷動きが続いているものの、段ボール原紙で加工食品向けに動きがみられたこと等から、全体でも12月0.7%増、1月1.6%増と、持ち直しの兆しがみられる。こうした状況のなか、在庫は、前月比では総じて減少傾向にあるものの、依然として高水準で推移している。
板紙の生産を品目別にみると、段ボール原紙は、低調に推移している。 - パルプの生産(前年同月比)は、製品需要の減少を背景として、12月8.1%減、1月7.2%減となった。
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紙、板紙の輸出入(数量ベース、前年同月比)をみると、輸出は、中国向け等が堅調に推移していることから、12月25.4%増、1月48.6%増と、増加傾向にある。
一方、輸入は、総じて国内需要の減少が続いていることから、12月12.1%減、1月17.5%減と、減少傾向にある。 - 紙の市況をみると、紙はさらに低下傾向となっている。また、板紙は横ばい状況にある。
4.一般機械
産業機械は不振が続いている。これは、受注が内外需の不振により引き続き低迷しているからである。工作機械は低調に推移している。これは、内需の大幅減に加え外需も前年割れが続き、受注が大幅に減少しているからである。建設機械は不振が続いている。これは、出荷が内外需の不振により引き続き低迷しているからである。
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一般機械の生産(季調済前月比)は、12月前月並、1月0.9%増(速報)と、このところ減少傾向が緩やかになってきている。増加した機種は、17機種中、12月には9機種、1月には14機種(速報)となった。
機械受注(原動機・産業機械・工作機械のみ、金額ベース、前年同期比)をみると、12月7.3%減、1月25.5%減と引き続き減少している。
輸出入の動向(事務用機器を除く・円ベース、前年同期比)をみると、輸出は12月20.7%減、1月12.7%減と、6か月連続の減少となった。輸入は12月23.9%減、1月30.9%減と、大幅減となった。 - 産業機械は不振が続いている。産業機械の受注(日本産業機械工業会調べ、金額ベース、前年同期比)は、12月は25.9%増と14か月振りに増加したものの、1月は10.3%減と再び前年割れとなった。需要者別にみると、内需は、非製造業向けボイラ・原動機や官公需向けごみ処理装置等に動きがみられたものの、製造業向けでは大幅減が続いており、総じてみれば引き続き低迷している。外需は、12月は化学プラントの成約等により大幅増となったものの、1月には再び低水準だった前年を割り込んだ。
- 工作機械は低調に推移している。工作機械の受注(日本工作機械工業会調べ、金額ベース、前年同期比)は、12月30.9%減、1月30.0%減と大幅に減少している。需要者別にみると、内需は、主力の機械製造業向けで大幅減が続き、直近でも低調に推移している。外需は、欧州向けは底固いものの、ウェイトの高い北米向けで減少が続いていることから、4か月連続で前年割れとなった。
- 建設機械は不振が続いている。建設機械の出荷(日本建設機械工業会調べ、本体・金額ベース、前年同期比)は、12月20.6%減、1月16.9%減となった。需要者別にみると、内需は、トンネル機械やトラクタに動きが見られたものの、建設用クレーンの落ち込みが依然として厳しく、引き続き低迷している。外需は、欧州向けが好調であることに加え、1月はアジア向けが19か月振り前年を上回ったことから、減少幅はやや縮小しているものの、引き続き低水準で推移している。
5.産業用電気機械・電子部品
半導体集積回路は低調に推移している。これは、パソコン向け以外の製品の需要が低迷していることから、出荷が減少しているからである。コンピュータ関連機器は低調に推移しているものの、一部に明るい動きもみられる。これは、法人需要の低迷により、生産は減少しているものの、個人需要は底固いからである。通信機器は低調に推移している。これは、通信インフラの設備投資が低調なため、生産が減少しているからである。
- 半導体集積回路は、低調に推移している。メモリ等のパソコン向けの製品は持ち直しの動きがみられるものの、その他の製品で需要が低迷していることから、出荷額(前年同月比)は、11月8.7%減、12月6.8%減と引き続き減少している。在庫率は、12月0.98と横ばいで推移している。DRAMの価格は、需給が引き締まりつつあることから、横ばいで推移している。
- コンピュータ関連機器は、低調に推移しているものの、一部に明るい動きも見られる。個人需要は底固いものの、法人需要が低迷していることから、生産額(前年同月比)は、11月7.8%減、12月8.0%減と引き続き減少している。内訳をみると、パソコンは、11月2.2%増の後、12月9.9%減となったが、個人向けの製品が好調なことから、減少傾向に一服感がみられる。周辺機器は、12月3.1%減、1月は10.7%減(速報)と低調な動きが続いている。
- 通信機器は、低調に推移している。通信インフラの設備投資が引き続き低調であることから、生産額(前年同月比)は、11月17.1%減、12月6.7%減と引き続き減少している。内訳をみると、携帯電話は11月25.2%増、12月12.7%増と堅調な動きとなっているものの、電子交換機は12月21.5%減、1月17.6%減(速報)と大幅に減少しており、ISDN、デジタル専用線に関連する搬送装置は11月5.5%減、12月1.6%減と低調に推移している。
6.家庭電器
家電は横ばい状況が続いている。これは、国内出荷(台数ベース)は底固く推移しており、生産も、全体としては横ばいで推移しているからである。
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家電の国内出荷(台数ベース)は、底固い荷動きとなっている。
AV家電をみると、底固い荷動きとなっている。品目別では、カラーテレビが前年の冬季オリンピックの反動や、新製品投入の効果も落ち着いてきたこと等から、このところ前年を下回る水準で推移している。VTRは、高画質型を中心に引き続き堅調な荷動きとなっている。ビデオカメラは、12、1月とも前年割れとなったが、デジタル機種を中心に基調としては底固い荷動きとなっている。CDプレーヤ(MDプレーヤを含む)は、伸び率が鈍化してきたものの、依然高水準で推移している。
白物家電をみると、底固い荷動きとなっている。品目別では、冷蔵庫が10月以降、前年比増で推移しており、350リットル以上の大型を中心に直近も底固い荷動きとなっている。洗濯機は、新製品の浸透などから基調としては底固く推移しているものの、直近ではやや前年を下回っている。電子レンジは、ほぼ前年並となっており、直近も底固く推移している。エアコンは、前年水準を若干上回る荷動きとなっている。 - 家電の輸出(台数ベース)は、このところ減少傾向が続いている。カラーテレビは、香港向けが増加したものの、ロシアや中国の減少から、12、1月とも前年をやや下回った。VTRは、香港向けが増加しているものの、アメリカの減少から前年を下回っているが、基調としては底固く推移している。CDプレーヤは、アメリカやメキシコ向けを中心に、前年の反動から12、1月と大幅に減少した。
- 家電の輸入(台数ベース)は、カラーテレビが11月以降、マレーシアや中国を中心に増加した。VTRは、マレーシアを中心に12、1月とも増加した。
- 家電の生産額(前年同月比)は、11月2.6%減、12月4.2%減となったが、新製品の浸透や買い替え需要等により、全体としては下げ止まり感があり、横ばいで推移している。
7.自動車
自動車は低調に推移している。これは、完成車輸出が底固く推移し、軽乗用車の販売、生産が好調に推移しているものの、全体の販売が持ち直しの動きの中にあっても依然低水準であり、生産は低調に推移しているからである。
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自動車全体の国内販売(新車新規登録・届出台数、前年同月比)は、1月3.3%増、2月1.2%減と、持ち直しの動きの中にあっても依然低水準で推移している。車種別にみると、普通乗用車、小型乗用車は減少幅が縮小しているものの、低調に推移している。軽乗用車は伸びが鈍化しているものの、好調に推移している。普通トラック、小型トラックは一部に動きが見られるものの、大幅な落ち込みが続いている。軽トラックは新規格車の効果から、2月に前年を上回った。
輸入車販売では、新型車の効果から、1月3.0%増、2月3.1%増と2か月連続で前年を上回っている。 -
自動車の輸出(完成車台数ベース、前年同月比)は、12月2.5%増、1月3.8%増と底固く推移している。仕向地別にみると、北米向けは米国市場の好調さから高い伸びとなっている。欧州向けも新型車の効果から高い伸びとなっている。アジア向けは一部には持ち直しの動きがあるものの、全体では大幅な前年割れが続いている。南米向けは大幅な前年割れが続いている。
自動車部品の輸出(日本自動車工業会々員11社分、ドルベース)は、海外生産用、OEM用とも減少傾向が続いており、12月8.0%減、1月9.7%減となっている。 - 以上から、自動車の生産(完成車台数ベース、前年同月比)は、12月8.0%減、1月7.8%減と低調に推移している。車種別にみると、普通乗用車は輸出の増加からほぼ前年並みの水準で、軽乗用車は前年を大幅に上回る水準で推移しているものの、小型乗用車、トラックは国内販売、アジア向け輸出の低迷等から前年割れが続いている。
8.建設・住宅
建設・住宅は不振が続いている。これは、公共工事着工が底固い動きとなっているものの、建設業大手50社の受注額や住宅着工戸数が、引き続き減少傾向にあるからである。
[建設]
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建設業大手50社の受注額(前年同期比)は、12月3.7%減、1月12.5%減と引き続き減少傾向となっている。受注の約6割を占める民間工事をみると、12月12.5%減、1月21.8%減と7か月連続で二ケタ減となっている。民間工事の内訳をみると、製造業向けは、主力の電気機械、化学をはじめ、他の業種でも大きく落ち込み、全体で減少が続いている。ウェイトのより大きい非製造業向けは、電気・ガス業が底固く推移しているものの、全体では減少が続いている。受注の約3割を占める官公庁工事は、地方で大きく増加となり、全体でも3か月振りに再び増加となった。海外工事は、主力の東南アジアにおいて、引き続き受注元に慎重な動きがみられ、減少傾向が続いている。
施工高は、11月10.4%減、12月12.7%減となった。また、未消化工事高は、25か月連続で減少となった。
また、地方大手建設業者470社の受注は、12月減少の後、官公庁の増加が寄与し、1月8.7%増となった。 - 建築の着工状況(床面積)をみると、着工床面積の約9割を占める民間建築の減少が大きく響いており、全体的に減少傾向となっている。内訳をみると、民間建築の大宗を占める居住用建築では引き続き減少傾向となっており、非居住用建築についても各用途別で減少傾向となっている。
- 公共工事着工(総工事費評価額)は、12月16.7%減の後、補正予算の効果により国、地方共に増加となった結果、1月13.9%と底固く推移している。また、4~1月累計では前年並みとなっている。
民間土木工事着工は、12月9.6%増、1月9.8%増となった。
[住宅]
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住宅着工(戸数)は、12月10.8%減、1月11.2%減と25か月連続で減少となり、引き続き減少傾向となっている。また、1月の年率換算値は116万戸と低水準で推移している。利用関係別では、持家が底を伺う動きをしているものの、貸家、分譲については引き続き減少を続けている。
住宅金融公庫の98年度第3回融資申込は前年度比44.7%と大幅増加となった。 - 戸建住宅産業の最近の動きについては、構造別の着工戸数は、ウェイトの約半分を占める木造はほぼ一ケタの減少で推移しているが、非木造については依然二ケタの減少が続いている。建築単価については、1平方メートル当たりの工事費予定額では、木造が緩やかに減少してきたが、このところ前年並で推移している。1戸あたりの面積については、利用関係別ではややばらつきがあるものの、全体では緩やかな増加傾向にある。
- マンション産業の最近の動きについては、着工は首都圏において一進一退の動きを続けているものの、近畿圏等の落ち込みが大きく、全体では12月16.9%減、1月16.0%減と11か月連続で減少となっている。新規契約率(首都圏)については、低金利等の理由により、1月75.1%、2月81.6%とこのところ70%を超えており、在庫についても減少を続けている。
9.運輸・旅行
国内貨物輸送は不振が続いている。これは、国内生産活動及び消費活動の低迷を映じて、ほとんどの輸送形態が減少しているからである。
旅行関連は低調に推移している。これは、団体旅行の落ち込み等のため、海外旅行を中心に大手旅行会社の取扱額が減少しているからである。
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国内貨物輸送は、不振が続いている。国内生産活動及び消費活動の低迷を映じて、ほとんどの輸送形態が減少している。
内訳をみると、一般トラック(前年同月比:トンベース)は、11月2.9%減と減少している。特別積合せトラックは、日用品等の荷動きの不振が続き、11月1.2%減、12月2.7%減(速報)と減少しており、宅配貨物も伸び率が鈍化している。内航海運(貨物船)は、11月0.1%増、12月5.1%減と、基調として減少傾向にあるが、公共投資関連には動きもみられる。JR貨物は、11月12.8%減、12月13.3%減(速報)と不振が続いている。航空貨物は、11月0.3%増の後、12月は贈答品の減少等から1.3%減(速報)となった。 - 国際貨物輸送は、低調に推移している。航空貨物の輸出は、貨物トン数(全国ベース)でみると、12月2.4%減、1月は3.9%増となったものの、基調としては、米国向けの自動車部品等が落ち込んでいることから、低調に推移している。輸入は12月1.0%増、1月は生鮮食品の増加により3.5%増となった。外航海運の貨物トン数は、輸出は12月0.8%減、1月17.4%増となった。輸入は12月6.0%減、1月0.2%増となった。
- 旅行関連は、低調に推移している。大手旅行会社(鉄道旅客協会加盟13社)の取扱額(前年同月比)をみると、12月8.6%減、1月5.0%減と減少している。内訳をみると、国内旅行は安価な商品に動きがみられるものの、団体客の落ち込み等により、12月3.8%減、1月2.3%減と、低調に推移している。海外旅行は旅行単価の下落、団体旅行の落ち込みなど、12月14.9%減、1月9.0%減と不振である。主要旅客輸送機関の実績(人数ベース、前年同月比)をみると、JR旅客は、定期外は12月0.2%減となった。航空(3社)は国内線は12月1.0%増、1月3.5%増(速報)となった。国際線は12月3.5%増、1月4.1%増(速報)となった。
10.情報サービス
情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が、堅調に推移しているからである。
- 情報サービス業売上高(前年同月比)は、約6割を占める主力の受注ソフトウェアが、堅調であることから、12月3.5%増、1月5.3%増と堅調に推移している。
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業務種類別にみると、
- 受注ソフトウェアは、官公庁、金融業向け等が引き続き好調なことから、12月8.8%増、1月10.9%増と堅調に推移している。
- ソフトウェアプロダクトは、12月3.6%増の後、汎用コンピュータの基本ソフトの需要減等から、1月5.5%減となった。
- 計算事務等情報処理は、12月4.2%増の後、1月1.5%減となったものの、基調としては底固く推移している。
- システム等管理運営受託は、12月に前年高水準の反動から2.9%減となったものの、金融業、製造業等のアウトソーシングの需要増により、1月13.0%増と好調に推移している。
- 雇用状況は、高等技術者は不足感が続いているものの、全体的には不足感は緩和している。
11.リース
リースは低調に推移している。これは、リース契約額が、設備投資の冷え込みを映じて引き続き減少しているからである。
- リースは低調に推移している。リース契約額(リース事業協会調べ、前年同期比)は、12月11.5%減、1月8.3%減と引き続き減少している。主力の情報関連機器では7か月振りに増加したものの、設備投資の冷え込みを映じて、産業機械、工作機械などで減少幅が拡大している。
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物件別の最近の動向をみると、
契約額の約4割を占める情報関連機器は、12月11.1%減の後、1月はウェイトの高い電算機及び関連機器で12か月振りに増加したことから2.9%増となった。
商業・サービス業用機械・設備は、12月11.7%減、1月0.2%減となった。商業用機械設備では、やや動きが見られたものの、サービス業用機械設備が低迷していることから、引き続き低調に推移している。
事務用機器は、需要の低迷、物件価格低下等の影響により、12月7.7%減、1月5.6%減と、引き続き減少している。
産業機械は、設備投資の冷え込みを映じて、12月12.8%減、1月35.3%減と、引き続き減少している。
工作機械は、設備投資の冷え込みを映じて、12月24.7%減、1月43.1%減と大幅減が続いている。
土木建設機械は、12月3.7%増の後、1月は0.3%減となった。
自動車は、12月9.3%減、1月11.4%減となった。 - リース料率は、低い水準で推移している。
12. 電力
電力は横ばい状況が続いている。これは、大口電力が生産活動の停滞状況を映じて13か月連続で前年実績を下回ったものの、民生用電力が底固く推移しているからである。
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電力需要(9社計、前年同期(月)比)は、12月1.3%増、1月1.1%減となった。これは、大口電力が生産活動の停滞状況を映じて13か月連続で前年実績を下回ったものの、民生用電力(電灯、業務用電力)が底固く推移しているからである。
用途別にみると、家庭用電灯需要は1月は0.8%増と低い伸びとなった。これは、12月の気温が西日本等で前年に比べ高めに推移し、暖房需要が減少したためである。なお、家庭用電灯の契約口数は、住宅着工戸数の低迷を映じて伸び率は鈍化しつつある。業務用電力も同じ理由で、1月には2.2%増と低めの伸びとなった。また、小口電力のうち、低圧電力についても同じ理由で前年実績割れとなり、高圧電力Aは、生産活動の停滞状況を映じて、前年実績割れが続いている。大口電力も生産活動の停滞状況を映じて、13か月連続の前年実績割れとなった。
10~12月期について地域別にみると、東海、北陸、中国の3地域が前年実績を下回った。 - 大口電力需要を自家発電を含め業種別にみると、1月は全業種で前年実績を下回っており、生産活動の停滞状況を裏付ける形となっている。鉄鋼は、粗鋼生産が前年実績を大幅に下回ったことから、14か月連続して前年割れとなった。化学は、苛性ソーダ、汎用樹脂等の生産が低迷していることから11か月連続の前年割れとなった。パルプ・紙は、内需の不振により生産が前年実績を下回ったため、9か月連続の前年割れとなった。セメントは、17か月連続で前年比減少となっているが、前年の12月から一部で生産増がみられ、減少幅が小さくなった。電気機械は、半導体の生産調整等の影響で、このところ3か月連続の前年割れとなった。輸送用機械は、自動車生産の不振等により13か月連続して前年割れとなった。非鉄は、アルミニューム圧延品の生産減等により、10か月連続の前年割れとなった。地域別にみると、1月は全ての地域で前年実績を下回った。
13.広告
広告は低調に推移している。これは、企業の広告費削減の動きを映じて、売上高の減少が続いているからである。
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広告は低調に推移している。主要10社の売上高(前年同月比)をみると、企業の広告費削減の動きを映じて、12月8.4%減の後、1月も広告媒体全てで減少が続き、10.4%減(速報)となった。
媒体別では、ウェイトの大きいテレビは、番組で低調な動きが続き、機動的に運用できるスポットでは減少幅が拡大している。雑誌は、女性誌を中心に創刊は活発なものの、主要広告主の化粧品・トイレタリーやファッション・アクセサリー等の減少が影響してこのところ低調な動きとなっている。新聞は、自動車・関連品、不動産・住宅設備、求人等の大幅な減少で低調な動きが続いている。4媒体以外は、屋外広告や折り込みチラシ等の不振により減少幅が拡大している。 -
広告量(前年同月比)の動向をみると、テレビはテレビ番組、テレビスポットとも減少が続いている。新聞は、案内広告、全面広告で低調な動きが続いている他、比較的底固い動きを続けていたカラー広告も減少傾向にある。
出稿業種別にみると、金融・保険が金融自由化の進展もあって外資系金融機関の活発な広告展開を中心に各媒体で好調に推移している。一方、これまで好調であった飲料・嗜好品、情報・通信はこのところ減少傾向にある。自動車・関連品は軽自動車の好調さもあってテレビ番組で堅調なものの、新聞では大幅に減少している。不動産・住宅設備、化粧品・トイレタリーは減少が続いている。