地域経済動向(平成10年10月)
平成10年10月19日
経済企画庁調査局
1.地域経済の概況
最近の地域経済の動向を地域別にみると、以下のとおりである。
北海道地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
東北地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数は低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
関東地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、大型小売店販売額、乗用車新規届出台数、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
東海地域では、景気は引き続き低迷している。これは、鉱工業生産が低水準横ばいで推移しており、需要面においては、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。
北陸地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
近畿地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、大型小売店販売額や乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
中国地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産は減少傾向に一服感がみられるものの、需要面においては、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
四国地域では、景気は引き続き低迷している。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
九州地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
沖縄地域では、景気に明るさがみられる。これは、新設住宅着工戸数が低調で、雇用情勢も極めて厳しい状態にあるものの、一方で、主力の観光、及び、これに関連したスーパーの売上高等が堅調であり、またこのところ、公共工事着工総工事費が大幅に増加しているからである。
各地域の最近の経済動向を総合すると、以下のとおりである。
7、8月及び9月においても、経済の先行きに対する不透明感が更に高まっているなど、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。
鉱工業生産は東海、中国で低水準横ばいや減少傾向に一服感の動きがみられるが、その他の地域では、減少傾向となっている。
個人消費をみると、沖縄で一部堅調な動き、四国で一部持ち直しの動きがみられるが、その他の地域では、低調に推移している。
建設活動をみると、公共工事は関東、近畿で減少傾向が続いているが、その他の地域では、前倒し発注などの効果から、このところ増加または下げ止まりの動きとなっている。住宅建設はすべての地域で低調に推移している。
雇用情勢をみると、ほとんどの地域で一段と厳しくなっている。
企業倒産をみると、ほとんどの地域で高水準で推移している。
地域別にいえば、北海道、東北、関東、北陸、近畿、中国、九州では、不況感の強い「景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状態にある」とした。これは、生産が総じて減少傾向にあり、個人消費、住宅建設は低調に推移し、また雇用情勢が一段と厳しくなっているからである。
東海、四国は、景況評価は変えず、「景気は低迷している」とした。これは、両地域とも状況に大きな変化はみられなかったからである。
そんな中で、沖縄だけは観光が堅調に推移していることに加え、公共工事が大幅増となっていることから、「景気には明るさがみられる」と評価をあげた。
2.地域経済の動向
(1)北海道
北海道地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
- 第一次産業の動きをみると、農作物の生育状況(10月1日現在)は、一部の地域で天候の影響があったものの、全体として「並」の状況となっている。生乳生産(前年同月比)は、7月2.7%増、8月3.3%増と増加傾向が続いている。水産業(主要10港、前年同月比)では、8月の水揚量は28.4%減、金額では0.8%減となった。
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鉱工業生産(季調済前月比)は、7月3.3%増の後、8月は1.2%減となり、総じてみれば減少傾向にある。
主要業種の生産動向をみると、食料品・たばこは、ビール、清涼飲料水が減少しているなど、低調な動きとなっている。パルプ・紙は、依然として前年割れの水準が続いている。窯業・土石は、建築関連資材が低調であり、全体としての生産水準も低い状況が続いている。電気機械は、無線通信装置や監視制御装置が増加していることから、持ち直しの兆しがみられる。 - 観光では、来道客数(前年同月比)は、7月1.7%減、8月0.9%減となり、このところ減少傾向となっている。
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個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、7月3.2%減、8月5.6%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店では7月5.9%減、8月7.9%減となり、8月はすべての商品で前年を下回った。スーパーでは衣料品、身の回り品などで前年を下回る動きが続いたことから7月0.5%減、8月3.7%減となった。
乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、7月5.4%減、8月1.3%減と引き続き低調に推移している。 -
建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、7月0.3%増、8月10.8%増と、このところ増加傾向にある。また、4~8月累計では8.6%減となった。
新設住宅着工戸数(前年同月比)は、7月14.9%減、8月25.7%減となり、引き続き低調に推移している。 - 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、建設業での新規求人の抑制等から7月0.38、8月0.37となり、一段と厳しくなっている。
- 企業倒産件数(前年同月比)は、7月35.1%増、8月8.1%減となり、引き続き高水準で推移しているものの、このところ増勢に歯止めの兆しが窺われる。
(2)東北
東北地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数は低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
- 第1次産業の動きをみると、8月末の集中豪雨等により、水稲の生育状況(9月15日現在)は、「やや不良」となった。
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鉱工業生産(季調済前月比)は、7月0.7%増となったものの、8月1.8%減となり、減少傾向にある。
主要業種の生産動向をみると、電気機械は、集積回路や通信・電子部品が低水準で推移し、これまで堅調だった音響機器等が減少したことから、7月0.2%増、8月0.5%減と減少傾向にある。食料品・たばこは、7月5.9%増、8月9.6%減となった。一般機械は、7月0.6%増、8月は印刷機械の大型化等により、9.8%増となった。繊維は低水準で推移している。 -
個人消費をみると、低温で夏物衣料が不振であったことや、集中豪雨のため客足が鈍ったため、大型小売店販売額(前年同月比)は、7月7.2%減、8月9.7%減と低調に推移している。
業態別にみると、百貨店は、ほとんどの商品で前年を下回っていることから、7月3.8%減、8月6.4%減と低調に推移している。スーパーは、すべての商品が前年を下回っていることから、7月9.4%減、8月11.2%減となり、低調に推移している。
乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、普通車に持ち直しの動きもみられ、7月4.3%減の後、8月0.7%増となり、基調としては低調に推移している。 -
建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、7月13.8%増、8月12.6%増となり、4~8月累計では4.5%減となった。
新設住宅着工戸数(前年同月比)は、貸家の落ち込みを中心に、7月11.3%減、8月19.1%減と低調に推移している。 - 雇用情勢をみると、求人数が減少し、求職者数が増加していることから、有効求人倍率(季調値)は、7、8月共に0.50と一段と厳しくなっている。
- 企業倒産件数(前年同月比)は、7月69.0%増、8月は前年並みとなったものの、高水準で推移している。
(3)関東
関東地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては大型小売店販売額、乗用車新規届出台数、新設住宅着工戸数が低調に推移しており、また雇用情勢についても一段と厳しくなっているからである。
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鉱工業生産(季調済前月比)は、7月0.6%減、8月2.4%減と減少傾向にあり、在庫も依然高い水準となっている。
主要業種の生産動向をみると、最もウェイトの高い電気機械は、エアコン、カーナビゲーション等が減少し、全体でも減少となった。一般機械は企業の設備投資意欲の減退を反映して、減少傾向となっている。輸送機械については、国内販売の不振を反映し、弱い動きとなっている。化学については、印画紙等の寄与により増加となった。 -
個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は天候不順の影響もあり、7月4.3%減、8月4.4%減と、引き続き低調に推移している。業態別にみると、百貨店では紳士服で増加となったものの、その他の品目全てで減少となり、減少傾向となっている。スーパーについても主力の食料品、衣料品関連を中心に全品目で減少となった。
乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、7月4.1%減の後、8月5.3%減となり、引き続き低調に推移している。 -
建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、7月19.6%減、8月17.5%減となり、4~8月累計で20.7%減となった。
新設住宅着工戸数(前年同月比)については、7月7.0%減、8月1.7%減と減少幅は縮小しているものの、引き続き低調に推移している。 - 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、7月0.50、8月0.49となり、一段と厳しくなっている。
- 企業倒産件数(前年同月比)は、7月20.9%増、8月11.8%増と高水準で推移している。
(4)東海
東海地域では、景気は引き続き低迷している。これは、鉱工業生産が低水準横ばいで推移しており、需要面においては、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。
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鉱工業生産(季調済前月比)は、7月2.3%増の後、8月2.4%減と低水準横ばいで推移している。
主要業種の生産動向をみると、自動車では、北米向け完成車輸出の堅調や欧米向け現地生産用部品の増加に支えられ、輸出は総じて底固いものの、国内販売の不振が続いていることから、生産は低調に推移している。一般機械では、金属工作機械は堅調に推移しているものの、電動工具、建設機械が国内販売、アジア向け輸出の不振により低調であることから、全体としては減少傾向にある。電気機械は、家電やパソコン関連を中心として持ち直しの動きが見られる。窯業・土石は、ファインセラミックスが堅調に推移しているものの、陶磁器が低調なため、全体で低調に推移している。 -
個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、7月3.2%減、8月5.1%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店は紳士服、飲食料品を中心に低調なため7、8月共に3.9%減となっている。スーパーは衣料品が低調なことに加えて、飲食料品も前年割れとなり、7月2.6%減、8月5.7%減となっている。
乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、7月1.2%増、8月0.9%減と基調として低調に推移している。 -
建設活動をみると公共工事着工総工事費(前年同期比)は、7月14.1%減8月6.2%増となった結果、4~8月累計では5.8%減となった。
新設住宅着工戸数(前年同月比)は、分譲が低迷していることなどから、7月12.3%減、8月17.6%減と低調に推移している。 - 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は7月0.67、8月0.68と厳しい状況が続いている。
- 企業倒産件数(前年同月比)は、7月28.5%増、8月26.3%増と高水準で推移している。
(5)北陸
北陸地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
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鉱工業生産(季調済前月比)は、7月0.3%減、8月0.1%減と減少傾向にある。
主要業種の生産動向をみると、金属製品では、アルミ建材は、ビル用、住宅用とも需要が低迷していることから、減少傾向にある。繊維では、主力の合繊織物は衣料、非衣料向けとも内需が低迷していることなどから、減少傾向にある。また、染色加工も減少傾向にある。電気機械では、電子部品が欧州向け輸出で堅調なものの、内需の低迷により、生産水準をやや引き下げている。一般機械では、工作機械は欧米向け輸出が好調なため堅調に推移しているが、繊維機械、建設機械は内需及び東南アジア向け輸出の減少により低調に推移していることから、全体では減少傾向となっている。 -
個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、7月3.9%減、8月8.7%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店は飲食料品、家庭用品などが低調なことから、7月5.6%減、8月9.7%減となっている。スーパーは衣料品、飲食料品を中心に低調なことから7月2.3%減、8月8.1%減となっている。
乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、7月5.7%減、8月0.5%減と低調に推移している。 -
建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、7月20.4%増、8月10.4%減となった結果、4~8月累計では8.2%増となった。
新設住宅着工戸数(前年同月比)は、分譲の低迷などにより、7月0.7%減、8月9.3%減と低調に推移している。 - 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、7月0.62、8月0.60と一段と厳しくなっている。
- 企業倒産件数(前年同月比)は、7月17.9%増、8月52.0%増と高水準で推移している。
(6)近畿
近畿地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、大型小売店販売額や乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数が引き続き低調であり、また、雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
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鉱工業生産(季調済前月比)は、7月0.3%減、8月1.3%減と減少傾向にある。
主要業種の生産動向をみると、電気機械は、7月2.3%増の後、8月2.3%減となったものの、民生用電気機械に前倒し生産の動きがあることや、携帯電話やパソコン関連等の通信・電子部品が堅調なことから、このところ持ち直しの動きとなっている。一般機械は、7月8.6%減の後、8月6.8%増となったものの、基調としては減少傾向となっている。また化学は、汎用樹脂や油脂製品等の需要減から、このところ減少傾向となっている。金属製品は、架橋プロジェクトの終了や各種缶製品の需要減から、引き続き減少傾向となっている。繊維は、低水準が続いている。 -
個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、7月4.0%減、8月5.6%減と低調な推移となった。直近では、9月下旬の天候悪化の影響もあり、引き続き低調である。業態別にみると、百貨店では、7月3.7%減、8月3.8%減となっており、直近も、一部ヤング向け婦人服には荷動きがみられるものの全商品的に低調である。スーパーでも、7月4.4%減、8月6.9%減と、直近も含め全商品的に低調である。
乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、7月1.5%減の後、8月は、普通車が大きく減少したことから、7.5%減と減少幅が拡大するなど、引き続き低調である。 -
建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、7月21.8%減、8月19.8%減となった結果、4~8月累計で20.2%減となった。
新設住宅着工戸数(前年同月比)は、貸家を中心に大幅な減少がみられ、7月20.6%減、8月25.8%減と低調に推移している。 - 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、求職者数の増加傾向と求人数の減少傾向が続いていることから、7月0.40、8月0.39となるなど、一段と厳しくなっている。
- 企業倒産件数(前年同月比)は、建設業、製造業など多くの業種で増加しており、7月35.3%増、8月30.4%増となった。
(7)中国
中国地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産は減少傾向に一服感がみられるものの、需要面においては、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
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鉱工業生産(季調済前月比)は7月1.5%増、8月0.5%増と減少傾向に一服感がみられる。
主要業種の生産動向をみると、化学は、内外需の低迷を映じ、エチレンで減産の動きがあるなど、低い水準が続いている。自動車は、新型車生産により持ち直しの動きが見られる。一般機械は、アジア向けを中心に輸出が低迷し、内需も減少していることから、減少傾向が続いている。鉄鋼は、需要の低迷や在庫の積み上がりを映じ、生産調整が続いている。また、電気機械は、パソコン関連が堅調に推移していることから、このところ増加傾向にある。繊維は引き続き低調である。 -
個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、7月3.1%減、8月4.8%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店は、7月2.5%減の後、8月も前年の「倉敷チボリ公園」効果の反動などもあり、5.9%減となった。スーパーは、飲食料品などほとんどの商品で前年を下回る動きが続いたことから7月3.5%減、8月4.2%減となった。
乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、7月4.8%減、8月1.6%減と、低調に推移している。 -
建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、国などの発注増により、7月13.0%増、8月17.7%増と増加傾向にある。また、4~8月累計では8.9%増となった。
新設住宅着工戸数(前年同月比)は、7月4.2%増、8月5.7%減となり、基調としては低調に推移している。 - 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、7月0.70、8月0.69と一段と厳しくなっている。
- 企業倒産件数(前年同月比)は、7月25.9%増の後、8月5.1%減となったものの、引き続き高水準で推移している。
(8)四国
四国地域では、景気は引き続き低迷している。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
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鉱工業生産(季調済前月比)は、7月3.4%増の後、8月は5.3%減となり、基調としては減少傾向にある。
主要業種の生産動向をみると、電気機械は、磁気ディスクや映像機器が北米向けで引き続き堅調であることなどから、ほぼ横ばいで推移している。パルプ・紙は、印刷用紙、情報用紙では需要減を映じて在庫の積み上がりがみられ、生産調整が続いている。化学は、品目間にバラつきがみられ、繊維原料などでは、需要の低迷により在庫水準が高く、生産調整が続いている。一般機械は、建設用クレーン、農業用機械で内需低迷などを映じた生産調整の動きが長期化していることから、低下傾向が続いている。繊維は、引き続き低調に推移している。 -
個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、7月1.0%減、8月3.3%減と、低調に推移している。業態別にみると、百貨店は、気温が高めだったことから夏物衣料セールは堅調だったものの、高額商品が引き続き不振で、7月1.7%減、8月3.6%減となった。スーパーは、天候要因により清涼飲料水などに動きがみられ飲食料品はプラスとなったものの、身の回り品などが低調で、7月0.5%減、8月3.1%減となった。なお、香川県などで新規出店が旺盛であることから、店舗調整前では大幅増が続いている。
乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、7月は1.0%減と4か月振りに前年割れとなったが、8月は1.5%増と再び増加に転じ、持ち直しの動きが見られる。 -
建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、7月2.9%増、8月33.7%増となった結果、4~8月累計では4.0%増となった。
新設住宅着工戸数(前年同月比)は、分譲を中心に7月17.3%減、8月9.7%減と低調に推移している。 - 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、7月0.67、8月0.65と一段と厳しくなっている。
- 企業倒産件数(前年同月比)は、建設業、卸売・小売業を中心に7月15.8%増、8月28.1%増と高水準で推移している。
(9)九州
九州地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向にあり、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も一段と厳しくなっているからである。
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鉱工業生産(季調済前月比)は、7月0.1%減、8月2.4%減と、減少傾向にある。
主要業種の生産動向をみると、電気機械は、主力の半導体集積回路で市況の低迷等により金額、数量ともに前年割れが続くなど、総じてやや弱い動きとなっており、7月1.9%減、8月1.9%増となった。化学は、一部の品目で在庫水準が依然として高いことから生産調整が続いている。一般機械は、設備投資意欲の減退を映じた需要減により減少傾向が続いている。輸送機械は、自動車では欧州・北米向け輸出は堅調なものの、内需の低迷に加えモデル末期車種の減産もあり減少している。造船は、豊富な受注残に支えられ、高操業を維持している。窯業・土石は、セメントでは国内外の需要の低迷により減産が続いている。鉄鋼は、内需低迷の長期化などにより在庫水準が依然として高く、9月に入っても減産体制が続いている。 -
個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、7月2.6%減、8月3.4%減となり、9月に入っても低調に推移している。業態別にみると、百貨店は、天候不順により夏・秋物衣料が低調だったことに加え食料品も振るわず、7月3.1%減、8月4.4%減となった。スーパーは、衣料品が不振だったほか、主力の食料品も低調で、7月2.1%減、8月2.7%減となり、過去最長の17か月連続前年割れとなった。
乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、7月0.6%増、8月2.0%増となり、持ち直しの兆しが見られる。 -
建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、7月3.4%減、8月1.0%減となり、4~8月累計では6.0%減となった。
新設住宅着工戸数(前年同月比)は、7月14.5%減、8月0.1%減と引き続き低調に推移している。 - 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、7、8月0.43と一段と厳しくなっている。
- 企業倒産件数(前年同月比)は、建設業などを中心に7月25.8%増、8月0.7%増となった。
(10)沖縄
沖縄地域では、景気に明るさがみられる。これは、新設住宅着工戸数が低調で、雇用情勢も極めて厳しい状態にあるものの、一方で、主力の観光、及び、これに関連したスーパーの売上高等が堅調であり、またこのところ、公共工事着工総工事費が大幅に増加しているからである。
- 観光では、入域客数(前年同月比)は、東京をはじめ国内大都市圏からの入り込みが増加したことから、7月7.8%増、8月15.0%増と堅調であった。この7、8月とも、同月としては過去最高の入域客数を記録した。9月も引き続き堅調である。客室稼働率は、特に8月は、シティホテル、リゾートホテルともに、前年を大きく上回った。9月に入ってからも、総じて堅調である。
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個人消費をみると、百貨店(那覇市内3百貨店)の売上高(前年同月比)は、7月7.3%減の後、8月は、営業日数が増加したものの、0.6%増(沖縄銀行調べ)に止まるなど、基調としては依然低調である。一方、スーパーの売上高(前年同月比、既存店ベース)は、7月2.0%増の後、8月は、旧盆後ズレから6.0%減(日本銀行那覇支店調べ)となったものの、このところ観光客の来店が増加していることもあり、基調としては堅調である。また、家電製品の販売額は、エアコン等が堅調であったことから、7、8月は増加となった。
乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、観光客向けのレンタカー需要等により、7月17.3%増、8月37.8%増と大幅に増加した。 -
建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、7月16.7%減の後、8月は、県、市町村などで大幅に増加となり、88.3%増となった結果、4~8月累計で35.6%増となった。
新設住宅着工戸数(前年同月比)は、持家が依然減少傾向となっており、7月6.6%減、8月25.3%減となるなど、低調に推移している。 - 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、求人数が、このところ卸売・小売業、飲食店で増加し、また8月には14か月ぶりに建設業が増加に転じたこなどから、7、8月0.19と持ち直しの兆しがみられる。完全失業率は、7月7.8%の後、8月は9.2%と再び過去最悪記録を更新するなど、極めて厳しい状態にある。
- 企業倒産件数(前年同月比)は、7月は微減、8月は前年並となった。