付注3-3 マークアップ率と広義の無形資産ストックとの関係

1 概要

付注3-2で推計した個別企業のマークアップ率と広義の無形資産ストックとの関係を日本企業、アメリカ企業に分けて分析した。

2 データ

日本企業は日経NEEDS、アメリカ企業はBureau van Dijk“Osiris”

3 推計方法

付注3-2において推計したマークアップ率と広義の無形資産ストックとの関係を固定効果モデルを用いて、日本企業、アメリカ企業別に推計した。個別企業の輸出の有無とマークアップ率の関係について分析を行ったDe Loecker and Warzynski (2012)を参考に、推計式は以下のとおりとした。

付注3-3 数式を画像化したもの

ここで、μi,tは付注3-2で求めた企業i、t時点におけるマークアップ率、Pi,tは無形資産ストック、Li,tは労働投入量、Ki,tは資本投入量、Xi,tは中間投入量、Zi,tはコントロール変数、uiは各個別企業の固定効果、εi,tは誤差項。労働投入量、資本投入量、中間投入量については付注3-2と同様に求めた。コントロール変数には年ダミーを入れた。なお、推計は全産業のほか、製造業のみ、非製造業のみのサブサンプルに対しても行った。推計期間は2000~22年度とした。

広義の無形資産ストックについては、実質化した研究開発費を恒久棚卸法にて積み上げてストック化した数値と、のれんを除いた無形固定資産を実質化した数値を合計して作成し、説明変数に加える際には対数化した。実質化にあたっては、日本は内閣府「国民経済計算」、アメリカはOECD. statにおけるデフレーターのデータを用いた1。具体的には、研究開発費に関しては、研究開発の設備投資デフレーターを用いたほか、無形固定資産については、知的財産生産物の資本ストックデフレーターを用いた2

4 推計結果

付注3-3 表を画像化したもの

1 アメリカについては、アメリカ商務省のデータを用いて2022年の数値を延伸している。
2 研究開発費をストック化する際の償却率は、日米両国の国民経済計算から求めた償却率を参考に15%とした。