付注1-1 個人消費の推計値について

1 概要

マクロの個人消費額は所得と消費性向に分解できる。ここでは、所得のすう勢的な変動と消費性向のすう勢的な変動を推計し掛け合わせることで、各時点における個人消費を算出した。ただし、こうした推計の結果は前提となるデータや採用する手法に大きく左右されるため、相当の幅をもって解釈する必要がある。

2 データ

内閣府「国民経済計算」、総務省「人口推計」

3 推計

① 所得のすう勢的な変動について

家計可処分所得からその他の経常移転を差し引いた額についてHPフィルターを施した。ここでその他の経常移転を差し引いたのは、家計がこれを恒常的な収支と認識していないと考えられるためである。なお、2020年に支給された特別定額給付金の受取は、その他の経常移転として記録されている。

また、感染拡大に伴う経済の不連続な変動が推計結果に影響を及ぼすことを防ぐため、フィルターを施す期間は1994年1-3月期から2019年10-12月期までとし、2020年以降は前期比を用いて延伸した。

② 消費性向のすう勢的な変動について

恒常所得仮説を前提にすれば消費性向のすう勢は人口構成によって決定されることとなる。ここでは、消費性向を被説明変数、高齢化率及びその2乗を説明変数とする回帰式を推計し、この推計値をすう勢的な変動とみなした。なお、消費性向については、家計最終消費支出を①で求めた所得のすう勢的な変動で除して求めた。

また、ここでも感染拡大に伴う経済の不連続な変動が推計に結果に影響を及ぼすことを防ぐため、推計期間は1994年1-3月期から2019年10-12月期とした。

推計結果は以下のとおり。

付注1-1 数式を画像化したもの

ここでの括弧内はHAC標準誤差。