経済新生対策(要旨)
平成11年11月11日
経済企画庁
今次の経済新生対策は、公需から民需へのバトンタッチを図り、我が国経済を早急に本格的回復軌道に乗せるとともに、21世紀型社会への新たな考え方の確立と基盤の整備への契機を創ろうとするものである。
とりまとめに当たっては、新たな構想と目標を策定し、投資効率と利用者の使いやすさを考えた、ハード、ソフト、制度改革の同時実施に最大限配慮した。また、対策の成果・効果が国民の目にはっきり見えるように、施策の目標と全体像と目標年次の明示に極力努めることにした。
第1部 基本的考え方
- 経済情勢の認識
わが国経済は、各種の政策効果の浸透などにより緩やかな改善が続いているが、民間需要に支えられた自律的回復には至っていない。
今年に入って金融再編、産業競争力強化等の積極的な動きが現れているが、日本経済を21世紀の知恵の時代にふさわしいものとするには構造改革が不可欠である。 - 対策の基本方針-景気本格回復への道
- (1) 今次の経済新生対策の役割は以下の2つである。
- 公需から民需への円滑なバトンタッチが行われ、民需中心の本格的な回復軌道に乗せるための新規需要を創造すること
- わが国社会経済の構造改革の方向を決定的にし、経済新生を実現すること
- (2) 以上の方針の下、社会資本整備、中小企業等金融対策の他、住宅金融対策、雇用対策を含め全体としての事業規模17兆円程度、さらに、介護対策を含めれば18兆円程度の事業を早急に実施する。
- (1) 今次の経済新生対策の役割は以下の2つである。
- 日本経済新生の道筋
- (1) 景気回復の道筋としては、
- 平成11年度は、当初政府経済見通しの実質0.5%程度の経済成長を達成しうる見込みである。
- 平成12年度には、本対策をはじめ必要な諸施策を強力かつ機動的に推進することにより、民需の回復を図り、年度後半には、本格的回復軌道に乗せる。
- 平成13年度からは、民需を中心とした自律的な回復から新たな成長軌道に乗せることで、日本経済の長期的発展を確実にする。
- (2) 構造改革の面では、本対策における諸施策を推進し、構造改革の初期段階を完成するとともに、改革を後退のない確実な軌道に乗せる。
- (1) 景気回復の道筋としては、
第2部 具体的施策
- 日本経済のダイナミズム発揮のための施策
- 中小企業・ベンチャー企業振興
- (1) 産業と雇用を生み出す中小企業政策の構築
- 中小企業政策の理念を改め、中小企業をわが国経済のダイナミズムの源泉と位置付け、多様で活力のある中小企業の発展をめざす
- (2) 創業・ベンチャー等の振興
- 直接金融の選択肢の拡大等資金供給の円滑化・多様化
- 人材・組織面の制度改正
- (3) 人材・技術・情報等経営資源の確保の円滑化
- 身近な地域毎の支援拠点等によるきめ細かな支援体制の整備 等
- (4) 金融経済環境の激変への適応円滑化
- 中小企業金融安定化特別保証の延長、保証枠の追加(10兆円) 等
- (1) 産業と雇用を生み出す中小企業政策の構築
- 戦略的重点的技術開発の推進
- (1) ミレニアム・プロジェクト等重点分野の技術開発の推進
- 情報化、高齢化、環境対応等
- (2) 創造的な研究開発体制の整備と産学官の連携推進
- 研究を飛躍的に発展させるための基盤となる施設、設備の整備
- 国立大学教官等の民間企業役員との兼業規制の在り方の検討、早急に結論
- (1) ミレニアム・プロジェクト等重点分野の技術開発の推進
- 成長分野や事業活動の基盤に係る規制緩和・制度改革
- (1) 規制緩和推進3か年計画の前倒し等
- (2) 成長分野における規制緩和・制度改革
- MDF(主配線盤)接続ルールの策定(平成12年度中)によるインターネット料金の低廉な定額料金制の導入促進
- (3) 事業活動の基盤に係る規制緩和・制度改革
- 民事再生法案 等
- 雇用対策
- (1) 中小企業の創業支援等による雇用創出・安定対策
- 中小企業地域雇用創出特別奨励金(仮称)の創設
- 特定地域・下請企業離職者雇用創出奨励金(仮称)の創設 等
- (2) 「21世紀人材立国計画」の推進等
- (3) 早期再就職の促進とセイフティ・ネットの確立
- (4) 安心して働けるゆとりある勤労者生活の実現
- 長期休暇制度の早期実現等
- (1) 中小企業の創業支援等による雇用創出・安定対策
- 少子化・高齢化対策等、年金改革
- (1) 介護対策
- (2) 少子化・高齢化対策等
- 高齢者の積極的な雇用・就労を可能とする経済社会実現のための大規模調査研究
- 保育所等の整備等子育て支援 等
- (3) 年金改革
- 中小企業・ベンチャー企業振興
- 21世紀の新たな発展基盤の整備
日本経済を新生させる21世紀の新たな発展基盤を築くため、生活基盤、基幹的なネットワークインフラを戦略的、重点的に整備する。また、地域の活性化に役立つ社会資本整備を進めるとともに、災害対策を推進する。
公共事業については費用対効果分析等を通じ効率性、透明性の一層の向上を図るとともに、PFIを積極的に推進する。- 21世紀に向けた生活基盤の整備・充実
- (1) 都市・地域基盤の再構築
- 「歩いて暮らせる街づくり」構想の推進
- 電線地中化3,000kmプロジェクト、街灯設置5,000基プロジェクト
- 既存住宅の積極的改装・活用、田園空間等の形成 等
- (2) 総合的な渋滞対策
- 渋滞ボトルネック100箇所の重点的解消 等
- (3) 弱者にやさしい街づくり
- 公共施設、公共交通機関のバリアフリー化
- (1) 都市・地域基盤の再構築
- 基幹ネットワークインフラの整備
- (1) 高速交通体系の整備とETC設置目標の引上げ
- 高速交通ネットワークの整備
- ETCについて、平成14年度までに全国約900箇所の導入目標の設定
- (2) 情報通信ネットワークの高速・大容量化
- 情報通信網の在り方等についての情報通信ビジョンを策定
- 幹線系ネットワークのテラビット、ペタネット化についての研究、加入者系光ファイバー網の全国整備の推進
- (3) 国際拠点インフラの整備とアクセス強化
- (1) 高速交通体系の整備とETC設置目標の引上げ
- 情報化の飛躍的推進
- (1) 教育の情報化
- 全ての公立小中高等学校等が平成13年度までにインターネットに接続でき、平成17年度までに全ての学級のあらゆる授業においてコンピュータを活用できる環境を段階的に整備
- (2) 地域の情報化
- (3) 電子政府の実現
- 官民間の行政手続きをインターネットを利用しペーパーレスで行える電子政府の基盤を平成15年度までに構築
- (4) 電子商取引の法整備等
- (1) 教育の情報化
- 環境への負荷の少ない経済社会構築のための環境整備
- (1) 循環型社会形成のための基礎調査・研究の推進
- (2) 廃棄物処理・リサイクルの推進、ダイオキシン対策の推進
- 国民の安全対策
- (1) 安全な街づくり
- (2) コンクリート構造物の安全対策
- (3) 原子力防災・安全対策
- アジア対策
- 特別円借款の対象国及び対象分野の拡大についての検討 等
- 21世紀に向けた生活基盤の整備・充実
- 金融市場の活性化と不動産の証券化等
- 金融市場の活性化
- (1) 証券市場の改革・活性化
- (2) 検査監督体制の強化等
- 不動産の証券化等
- (1) 不動産の証券化等
- SPC法の改正 等
- (2) 住宅金融対策
- 住宅金融公庫の融資枠の追加、貸付債権の証券化 等
- (1) 不動産の証券化等
- 日本銀行による金融政策の適切かつ機動的な運営
- 金融市場の活性化
- その他
- 税制
中小・ベンチャー企業支援に資する措置、民間投資の促進に資する措置等について検討、結論を得る - 国債発行の多様化
- 2000年問題への対応
- 新千年紀記念行事
- 税制