サービス部門における雇用拡大を戦略とする経済の活性化に関する専門調査会 第7回 議事要旨

第7回 議事要旨

開催要領

  • 開催日時:2001年10月30日(火曜日)16時30分~18時00分
  • 場所:内閣府542特別会議室
  • 出席委員
    会長:牛尾 治朗 ウシオ電機(株)代表取締役会長
    専門委員:大田 弘子 政策研究大学院大学助教授
    同(会長代理):島田 晴雄 慶應義塾大学経済学部教授
    ※樋口委員は所用により欠席

配布資料

  • 資料1 規制改革による雇用創出型構造改革の強力な推進を(島田会長代理提出資料)
  • 資料2 改革工程表
  • 資料3 改革先行プログラム
  • 資料4 第6回「サービス部門における雇用拡大を戦略とする経済の活性化に関する専門調査会」議事要旨

概要

資料1「規制改革による雇用創出型構造改革の強力な推進を」について

(島田会長代理)今日はたたき台として資料1を用意した。これをもとにフリーな意見交換を行いたい。

(牛尾会長)規制改革が焦点になってきた。専門調査会として、こういう規制撤廃を是非やるということを分野別に示せば、一気に進むと思う。労働市場を活性化する、サービス産業部門を活性化するという視点が必要だ。

(島田会長代理)不況が深まってくると、改革よりも景気対策だという声が出てくるが、それは逆だ。経済が活力を持つようになっていなければ景気対策も効かない。総合的な規制改革により、人々の求めているサービスの提供を可能とし、雇用を生む。
我々が試算した530万人の雇用機会の創出のうち、規制改革が非常に大きな影響を持つ分野として子育て支援がある。1947年12月にできた児童福祉法には、保育に欠ける家族に対して、地方自治体が責任を持って保育所のサービスを提供する義務がある、という内容が書いてある。「保育に欠けている」というのは、戦死者の家族のことだ。しかし、今の保育需要の、恐らく8割、9割は、保育には欠けていないが、保育を必要としている家族によるものである。つまり、両親がそろっている、所得もあるが、夫婦で働きたいから子育てサービスが必要という家族だ。

(牛尾会長)児童福祉法の文章を変えることは大変なのか。

(島田会長代理)非常に難しいだろう。

(大田委員)政策の考え方を変えるということは、介護では行われたのでは。

(島田会長代理)介護も、まだ完全には変わっていない。特別養護老人ホーム、老人保健施設は依然として措置という考え方だ。

(大田委員)社会福祉法人との関係は?

(島田会長代理)社会福祉法人は、私の理解では、憲法89条を媒介している。憲法89条には、宗教と教育と福祉に関しては、公の支配に属さない団体に公金を使ってはならないということが書いてある。したがって、福祉の分野では、民間団体に補助金を出してはいけないということになる。社会福祉法人は、サービスを継続しなければ、自分の持っている土地は国に渡さなければならない。その意味で、「公の支配に属する」民間の団体ということで補助金を受けられる。株主の支配に従う普通の民間企業にそんなことはできない。
支払能力のある中所得層が運営費を負担する安心ハウス構想は、補助金をもらわないので制約されない。日本中には、ある程度運営費を負担できそうな中層階層はたくさんいるが、この人たちは運営費の負担が精一杯であって、土地代の負担ができない。そこで公に土地を負担させるスキームを考えた。それが公設民営だ。しかし、地方自治法には行政財産の目的外転用はできないということが書いてある。一方、PFI法は、公的な活動に対して民間を導入して、民間が公的な資産を色々な形で活用してよいという法律であるから、地方自治法の規程と矛盾する。どちらが優先するのかという議論をずっとやってきており、ケアハウスの場合、PFI法を使ってよいということにしようという了解ができつつある。
つまり、現状の法的枠組みを前提にした上で、なおかつ国民のメリットになることができないかというのが安心ハウス構想や、子育てにおける民間ハウスの構想である。
次の「健康支援」だが、生活者の健康に対する関心は極めて強い。どのような食事や生活習慣や運動が健康に良いのかが判れば、人々は時間や費用を費してそれを求め、行うようになるだろう。いうなれば健康に対する投資が起きる。これは諸外国では既に起きている。健康は自分で獲得するものだ。人々が健康投資をするようになれば、必ず産業は成立する。
医師が情報提供活動をしたら診療報酬に入るようにしたらよいという考え方もあるが、現行の診療報酬体系では、患者でない人々に健康増進のための情報提供をしても一銭にもならない。また、日本では、医者は忙しすぎて患者に情報などは提供していられないという社会的な悪循環になっている。アメリカの医者は高給であるが、管理、書類の整理、秘書の代わりなどは一切やっていない。パラメディカル、低賃金労働者をどんどん投入して、医者は患者と接することと開発しかやっていない。
では、食品メーカーが健康食品を発表して広告を出していいかといえばできない。だから、もしここを規制緩和するなら、医者以外でやっていいようにするか、あるいは診療報酬体系で医者がやったら儲かるようにするかのどちらかである。そうすれば、健康食品とか、スポーツとか旅行とか、温泉とかの健康に関する効能について、きちっと医学会が解明したことを情報として提供でき、大きな産業になる。

(大田委員)医者の枠を広げたり、完全に自由化したときに、足裏診断みたいなことも起こり得る。看護婦、薬局、食品産業からの情報提供を可能にするという規制緩和の方向もある。

(島田会長代理)お医者さんの診療報酬を高めるためには、情報提供と治療だけに専念できるようにしてやることが必要だが、これは経営問題である。病院の経営を効率的な経営者がやれば可能となるはずであるが、日本はそれを禁じている。経営感覚があれば医者でもよいが、医者の大多数にそんな経営感覚はない。

(牛尾会長)現在の医療に関する議論の流れは、株式会社は絶対だめだということだが。

(島田会長代理)株式会社にすると第三者の目が入る。

(牛尾会長)今やIT化というのは情報を公開することなので、IT化によっても第三者の目が入る。

(大田委員)学校法人もそうだが、ガバナンスが全く機能していないということが最大の問題だ。

(島田会長代理)住宅については、住宅の検査制度を普及させること、売買実額を公表させること、つなぎ金融システムを工夫することが必要。

(大田委員)住宅については何か規制が関わるのか。

(島田会長代理)これは全く逆で規制強化が必要だ。アメリカでは家の履歴書がない家は転売のローンを付けないということになっている。日本の場合、住宅金融公庫は関係なくローンをつけている。売買価格の公表というのは極めて重要である。日本では専任専属契約が主流で不動産屋が実際に幾らで売れたかというのは他人には秘密だ。したがって、日本の市場は予測が立たない。

(大田委員)アメリカは固定資産税の価格で評価されており、それで買えている。

(島田会長代理)日本は地方自治体が固定資産税の課税標準を公表しないため基礎的な情報が覆されている。情報公開という規制強化が必要だ。
それから、旅客運送については、共同自家用運転手産業により、日本のトランスポーテーションの考え方はがらりと変わると思う。例えばハイヤーを雇う場合、稼働率は1割に達していない。タクシーでも全国平均稼働率は38%。稼働率をこのIT時代だから、6割、7割に上げる。そしてみんな予約制で、急に起きたことはリザーブで対応するという仕掛けにする。ITで稼働率を高めていくということができれば、無駄なタクシーというのは一切なくなってしまう。こちらの方が多分21世紀の終わりから見たら、自然な交通業態になるだろう。
50年前の道路運送法は事態に適応してなかった。現在はポジティブリストだが、ネガティブ・リストにすれば一番いい。つまり、社会的に害悪のあることはやってはいけない、あとは全部OKと言っておいてくれたら、新産業はいくらでも出る。
ただ、ネガティブ・リストにし、社会的害悪が生じた場合どうするのかということを担保するのが情報公開だ。情報公開と事後チェックがしっかりしていなければないらない。情報公開と事後審査は日本はものすごく弱い。お墨付きをもらったら何も公開しないでやろうとする。事後チェックの制度も司法制度が弱いから機能を果たしていない。ネガティブ・リスト、情報公開、事後チェックいうのはワンセットなので、徹底的に言ってもいいのではないかと思うくらいだ。

(牛尾会長)失業に一番大きく貢献するのはワークシェアリングでは。製造業とサービス業で有期契約労働者を雇えるなら、雇用は圧倒的に増えるという話を聞いたことがある。また、人材派遣は物の製造、医療関係、港湾運送、建設、警備業務等で使えない。これを使えるようにしたら、事実上のワークシェアリングになるのではないか。

(島田会長代理)サービス業の場合、労働市場の状態によっては、その方がいいという場合があるだろう。

(大田委員)有期雇用なら本人も合意の下なのだから、ないよりよいというケースはあるだろう。

(牛尾会長)終身雇用の場合、途中で辞めると経歴に傷が付くけれども、好きで3年契約で入ったというと、傷が付かない。また、レター・オブ・リコメンデーションなどの証明書を前の企業に3年間で非常によくやってくれたということを書いてもらって次に行く。

(島田会長代理)失業については、しっかりした調査がないという問題がある。340万人の失業者のなかで、230万人が失業保険をもらっていない。これがどういう人かということがわからない。3万人規模のしっかりしたデータをつくるべきだ。
制度上言えるのは、保険に加入していない人、パートで、例えば週20時間以下だった人や、わざと時間を少なくした主婦、フリーター、給付期間が過ぎた人である。
また、中年者は大問題だ。ほとんど世帯主であり、10年間に7万人から20万人に増えた。雇用保険の受給期間は最長330日だが、この条件は20年間勤続、45歳以上、会社都合という3つ条件をクリアしないとならない。ほとんどの人が半年くらいでもらえなくなっていると思われるが、半年間では自分をリビルトできない。このような状況に対しては、セーフティーネットを強化する必要がある。特に関東地方と関西、中部を中心に手厚くすべきだ。
若者についは、相当ひどくなっているので、コンサルティングをしっかりしないとだめだ。このコンサルティングの強化については、工程表の中に入っており、今後、国民は知らせていくことが必要だ。
雇用保険については、全ての対象者に2か月増やしたら7,000億円増えるが、特定の条件を満たして、家族を抱えて再訓練が間に合わないという人に3か月や4か月増やす場合は、多分2,000億円くらいでケアできるだろう。
いずれにせよ、データが必要だ。データがないと、無駄なところにお金を使ってしまう可能性がある。本当に困っている人のところへ、ピンポイントで手厚く対応するようにしなければならない。

(牛尾会長)企業でも、頭数は余っているが、人材が足りないのと同じように、現実の社会でも、採りたい人は足りない。60業種のうちの30業種は人材が足りない。ミスマッチというのは、構造的なものになっている。
平均して言えることは、ややリスク・マネージメント的な業務への就労希望者は少数になりやすい。営業業務への就労希望者が少ないことは、基本的に営業業務にはリスク・マネージメントがあるからだ。完全に裏まで見える安心な職場には就労希望者が殺到する。

(島田会長代理)失業している世帯主に、もう3か月ゆとりを与えて、もうちょっとリスクのない仕事でもいいから、役に立つ技能を身に付けさせるということが必要だ。それが国の役割である。
このような失業に関するデータを得るための調査は、可能だとすれば、総務省が行っている労働力調査の特別調査でできる。質問項目をよく設計して必要な情報のとれる特別調査を1回か2回やったら、戦略の基になる。

以上