第1回会議(平成18年12月28日)伊藤グローバル化改革専門調査会会長 記者会見要旨

第1回会議(平成18年12月28日)

18:31~18:54 於:記者会見室

1.発言要旨

 グローバル化改革専門調査会の会長を務めさせていただくことになりました伊藤隆敏です。よろしくお願いいたします。
本日の会議の模様について、簡単に御説明させていただきます。
本日の専門調査会は、第1回ということで、議事の進め方の了承及び検討項目についての議論を行いました。
なお、本日は、大田大臣にも御出席いただき、議論にも御参加いただきました。 専門調査会の検討項目については、ペーパーをもとに、EPA/WTO、農業改革、それから金融・資本市場改革、それぞれについて、出席者の間で活発な意見交換が行われました。
具体的には、次のような議論がありました。
まず、WTO/EPA及び農業に関して、これまでもさまざまな改革及び自由化が行われてきたわけで、この評価をしてはいかがかということで、いくつかウルグアイ・ラウンド絡みで、自由化、一部自由化されてきたものがあるので、これがどういった影響をもったのか検証してみようという提案がなされました。
それからもう一つは、人の移動について検討してはどうかということで、これもいわゆるEPAで、例えば日本・フィリピンのEPAで人の移動が問題になったように、そういった問題も議論すべきではないか。あるいは、農業の場面、農業にも研修生という形で外国人労働者が入っているので、これが現在のままで良いのか、もうちょっと良い制度がないのか、具体的に労働者として受け入れる道はないのかということについて、検討してはいかがかということがありました。
それから、農政改革については、現在、御存じのように担い手に支援を集中するということが進行中であります。これが、方向としてはそれで良いのですけれども、具体的な場面で本当に担い手の認定ということが合理的に行われているかということを検証してはどうかということが議論になりました。
それから、農政改革の最大の問題は農地であるということで、農地が一番効率的に活用されるためにはどうすべきかということを議論しようという提案がなされました。
それから、EPAについては、日本の場合、これまで二国間のEPAが中心だったわけですが、これを複数国間で結ぶEPAにするためにはどうしたらよいのかということを少し議論しておいた方が良かろうという提案がなされました。これはよく、複数のEPAを束ねれば、面としてのEPAができるのではないかという議論があるのですが、これはそうではないだろうということで、もう少し具体的に複数国間でEPAを結ぶということにどういう問題があるのかということを考えてみようということでした。
それから、EPAの問題を考える場合に、スピードということがあるわけですが、スピード感を持っていかないと取り残されるというリスクを真剣に考えておく必要があると。例えば、中国・ASEAN、韓国・ASEAN、これはそれぞれ物に関してですけれども、FTAが出来ているという状況の中で、日本だけがASEANとはまだFTAの類は結んでいないという状況で、日本にとって不利益が生じるかもしれないということについてしっかりとした議論を進める必要がある、こういった議論がありました。
それから、金融・資本市場の方についても、この金融・資本市場のグローバル化への対応ということは、もう長い間、議論されてきたことで、全く進歩がなかったわけではないのだけれども、やはり世界的な市場に東京市場は、ある意味で劣っているということがあるかもしれない。リスクフリーのお金、すなわち預貯金ですが、これがリスクを伴った資本、すなわち債券や株などになかなか転化していかないということで、これがどうしてなのだろうと。やはり、リスクを持った資産運用がされないような国及び投資家というのは豊かになれないのではないかということがあり、そのためのリスクの健全な管理ということについて、金融技術を磨いていく必要があるということと、やはり会計基準、これをグローバルな資本の流れで、他の国と揃えていくということが投資家の保護になるという意見が出され、そのためにはどうしたら良いかということを議論していこうということになりました。
また、金融・資本市場における「自由と規律」というのが大切なのだということが共通認識なのですが、では、その具体的な内容は何なのかということについて議論する必要があるということで、一つの一番望ましいと言われるモデルというのは、実はあまりなくて、アメリカはアメリカ型であり、ヨーロッパはヨーロッパ型の「自由と規律」のバランスを持っている。その中で、日本としてはどうしたら良いのかということは、日本独自の考え方、日本独自で目指すものを考えていかなくてはいけないのだけれども、必ずしも日本が一人だけ固有のものを持って、全く他を考えなくても良いということではないということで、協調しつつ、日本の制度を生かしつつ、グローバル化していくということは非常に難しい。けれども、それを考えていかなくてはいけないということでありました。
大体、以上が議論の要約であります。
グローバル化改革については、11月2日の経済財政諮問会議で、総理からも「安倍内閣の経済政策の柱である」という御発言があったとおり、グローバル化という形で日本経済が世界の活力、特にアジアの活力を取り入れていく、あるいはともに発展していくといったことが、日本の活力を引き出すために非常に重要であり、潜在成長を高めていく重要な柱であるというふうに我々は認識しています。専門調査会会長といたしましては、それぞれの分野で幅広い見識をお持ちの委員の方々の活発な議論を引き出すことによって、改革の実現に向けての確実な第一歩となる成果、具体的な議論、具体的な提案といったことを、来年の春までに諮問会議に報告していきたいというふうに考えております。
組織論的には、専門調査会の下に二つワーキンググループを設置いたします。一つはEPA・農業ワーキンググループ、もう一つが金融・資本市場ワーキンググループであります。この設置に向けた作業については、現在進めておるところでありまして、具体的な体制が決まりましたら、別途、御報告させていただきます。
今後、専門調査会といたしまして、引き続き精力的に議論してまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
私からは、とりあえず以上です。

(問)このワーキンググループなのですが、今後、いつ頃設置して、どういうペースで議論していくかということと、この調査会自体は次回とか、どういうペースで議論していくか、それをお伺いしたい。

(答)今後はワーキンググループでまず活発に議論していくということで、ワーキンググループの方は、今、人選しているところですが、それぞれのワーキンググループの第1回の会合は、できれば1月中にはやりたいというふうに考えております。そして2月、3月、集中的に議論していくということになると思います。
専門調査会の方は、ワーキンググループの議論を見ながら、中間的な進捗状況のチェック及び報告書に向けた会議をすることで、恐らく中間報告に行くまでに2回程度、タイミングとしては、3月、4月にそれぞれ1回できれば良いかなと。ただ、あくまでも努力目標ということで、お約束はできませんが、そういう方向で私は考えております。

(問)農業改革なのですが、EPA促進による国内農業への打撃、こういった問題について、今日は何か議論が行われたかということと、今後、どのように扱っていくのかということをお願いします。

(答)国内農業は、今、改革が進んでいる最中であるということは認識しており、その国内の改革のスピードを上げて、日本を取り巻くFTAの環境についていく必要があると。このスピードをうまく合わせる、つまり同時並行的に農業の国境措置の削減及び合理化と国内の農業改革を進めていく、これが大切ですねということで、ほぼ皆さんの意見は一致したと思っています。
そのダメージについては、合理化、生産性の改革が十分に進んでいけば、そのダメージももちろん少なくなるでしょうし、一方、消費者の利益ということも考える必要がある。コストとベネフィットということは、なるべく広く考えていきましょうということになりました。

(問)規制改革会議の後継組織との役割分担というような観点で、例えば農業改革でいうと、農地の面や認定農業者の面とか、規制改革会議の方も問題意識を持たれていますけれども、その辺のすみ分けはどうなるのでしょうか

(答)すみ分けということにはならないと思います。あちらの方は、規制改革という面から当然考えていくでしょうし、我々はグローバル化の中で出てくる問題について考えていくということで、むしろ補完的な役割を果たすということですが、少なくとも前もって切り分ける、すみ分けるということはないと思います。

(問)ワーキンググループの方は、非公開になるのですか。

(答)審議そのものは、対外的に公開はしないことにしております。やはり自由闊達に御議論いただくためには、なるべく人数は絞り込むということが重要ではないかと考えております。議事要旨については、速やかに公開したいと思っております。また、記者会見を随時行っていきますので、議論の内容は十分伝わるというふうに考えています。

(問)中間報告は、「骨太」にできれば盛り込んでいきたいということになるのでしょうか。

(答)これは、経済財政諮問会議の中での専門調査会ですので、「骨太」というのは、やはり一つの重要な区切りになるというふうに思います。そこに向けて議論していくということは、その通りだと思います。

(問)金融・資本市場改革なのですけれども、「東京をロンドンやニューヨークと並ぶ金融・資本市場とするにはどうしたら良いか」という論点がありますけれども、今、並んでいないという認識ですか。

(答)これは、並んでいないと思います。それは、外国企業の上場の数でありますとか、あるいはIPOをどこで行うかといったようなときに、やはりロンドン、ニューヨークに遅れをとっているという認識です。

(問)ロンドンをニューヨーク並みに維持したいということで、向こうでは金融ビッグバンをやって、ニューヨーク並みに維持されたけれども、実際は外資の金融機関がどんどん入って、そちらがすごく強くなって主流となってしまったという状況だと思うのですけれども、東京についてはどういうイメージを持たれているのでしょうか。ある程度、そういう競争が非常に激しくなって、外国の金融機関がかなり強い勢力を持つということになっても、それはそれで良いということなのでしょうか。

(答)いわゆるウィンブルドン化、場所だけ提供して、プレーヤーはみんな外国人ではないかという批判がよくされるわけですけれども、少なくともロンドンが、ビッグバンによって世界の1、2位を争う金融・資本市場としての地位を保った、あるいは得たということは紛れもない事実であり、その結果として、ロンドン及びイギリスの経済全体に対する波及効果は非常に大きなものがあったと思います。一時はイギリス病というような名前で呼ばれていた停滞した経済だったのが、それだけが原因ではありませんが、金融・資本市場の発達によって、イギリス経済全体に非常に活力を与えて伸びてきたということは、重要な事実です。したがって、国も栄えたし、国民も豊かになったという事実はあると思います。
したがって、資本市場を強いものにする、それによっていろいろなプレーヤーがやって来てくれるということは、ポジティブに受け取るべきであると思います。これだけやはり国民の貯蓄がある、流動性が一杯あるような日本の国及び日本の金融機関がそれほど外資を恐れるというのは、あまりにも自信がなさ過ぎるのではないかなというふうに思います。

(問)この調査会自体の設置に対して異論を唱える役所もあって、現在のEPAの交渉に、多少、支障が出るのではないかという意見があったと聞いているのですけれども、その辺は、どう支障がないように議論していくのかというのは何かありますか。

(答)具体的に手の内を明かすような議論はしないし、あるいは、そういう議論が少し出たとすれば、恐らく、そこは非公開ということで公表はしないということになると思います。我々がしようとしているのは、そういった戦術的な議論ではなくて、もう少し中期的な戦略論をしたいというふうに考えておりますので、基本的には不利益になるようなことはないというふうに考えております。あるいは、交渉の具体的な中身について、日本にとって不利益になるような議論をするつもりはありません。

(問)日本の今のEPAの交渉状況について、こういう点が問題ではないか、ここをこういうふうにしていくべきだとか、そういうお話というのは、今日はあったのでしょうか。

(答)今日はありませんでした。これからやっていきたいと思います。

(問)EPAに関して、例えば日豪のEPAを結んだときにどういう問題が起き得るかということで、北海道庁が試算を出していると思うのですけれども、その試算では、北海道拓殖銀行破綻以上の経済的なマイナス効果があるというようなことを言っています。実際にそういうことを踏み越えてでも、やはり国際化を進めるべきなのでしょうか。

(答)試算が出ていることは承知しています。ただ、どういう前提でその計算をされていたかということは承知していません。そういったことも含めて、コストとベネフィットというものを総合的に、それをどう評価するかというフレームワークについて議論しようということですから、その中で具体的な例として何か出てくるか、特定の国が出てくるかどうかというのはこれからの議論だと思いますが、我々がやろうとしているのは、評価のフレームワークということを、まずしっかりと押さえましょうというのが第一点です。
それから、日豪EPAについては、政府として交渉するわけですが、こうした国の方針と我々がやろうとしていることは、整合的であるというふうに考えております。
さらに言えば、我々がやろうとしていることは、国境措置にいつまでも依存するような農業ではいけないだろうということです。これは、恐らく農水省の、農業生産性を上げていくという方向とマッチしているというふうに思いますので、大まかな方向としては、我々がやろうとしていることは、日本政府がやろうとしていることと何ら変わりはありません。その具体的なことへのステップについて、少しでもお役に立てるような提言が出せればということだと思います。

(問)コスト・ベネフィットについては、具体的にデータを使って、この専門調査会の中で分析も行うのでしょうか。

(答)ワーキンググループの中で、そういった議論まで行くと思います。

(問)中間報告についてのイメージを少しお聞かせいただきたいのですが、例えば労働市場改革ですと、現行の労働法制というものがあって、それに対してという話になると思うのですけれども、今回の場合ですと、WTOや金融・資本市場改革については、現行の制度の見直しを含めてとか、そういうような形での提言をまとめるのかどうかということについてはいかがですか。

(答)これは、やってみないとわからないのですけれども、いろいろな提案がなされており、いろいろな問題点が指摘されているわけで、そういったことを乗り越えるためにはどういった方法があるのかという具体的な手段については検討していきたいと思いますが、今イメージはまだ描けないというお答えをするしかないですね。

(問)中間報告は提言みたいな形でされるということですか。

(答)提言というか、こういった方法がありますよというメニューは、少なくとも提示することになると思います。

(以上)