循環型経済社会に関する専門調査会 第5回循環型経済社会に関する専門調査会議事要旨

第5回循環型経済社会に関する専門調査会 議事要旨

開催要領

  • 開催日時:平成13年10月26日(木曜日)13時00分~15時20分
  • 開催場所:内閣府合同庁舎第4号館共用第4特別会議室
  • 出席委員
    会長:小宮山 宏(東京大学大学院工学系研究科長)
    委員:植田 和弘(京都大学大学院経済学研究科教授)
    同:田中 勝(岡山大学大学院自然科学研究科教授)
    経済財政諮問会議議員:吉川 洋(東京大学大学院経済学研究科教授)
    (吉川議員は都合により15時00分に退席)
    (関係省等)総合科学技術会議、都市再生本部、環境省、経済産業省、国土交通省、農林水産省、文部科学省

議事次第

  • 開会
  • 中間とりまとめ(素案)の検討
  • その他
  • 閉会

配布資料一覧

概要

事務局による資料2(PDF形式:52KB)PDFを別ウィンドウで開きます の説明、質疑応答

(田中委員)リサイクルには、排出された廃棄物を再生資源とする視点に加え、エネルギー資源という視点も加えるべきだと思う。

(小宮山会長)賛成だ。3Rの考え方は重要で、リユースは使用済み製品あるいはその部品が再利用されるというだけのほうがよいと思う。リサイクルにはリユースは含まないという明確な定義をしたほうがよい。

(吉川議員)3ページの「持続可能な経済成長の実現」について、(i)に規模の経済性の発揮とあるが、当専門調査会で行われてきた静脈産業分野における規模の経済性の議論と、ここで記述された一般的な経済の規模の経済性とは違う。誤解を招きかねないので、表現を検討したほうがよい。

(小宮山会長)リサイクルが進みやすい社会システムをつくるために、製品設計は重要。本とりまとめ(素案)では、生産者あるいは販売者のところに戻すということしか書いていない。もう少しビジョンにも入れるべきではないか。
加えて、産廃と一廃の明確な区別がいろいろなことを阻害していることが明快になったが、そのこともきちんと書くべき。

(吉川議員)3ページの「持続可能な経済成長の実現」について、当専門調査会では、循環型経済社会に転換しても、日本経済全体としての持続的な成長を必ずしも犠牲にしなくてよい、というコンセプトを打ち出そうとしている。そこでは今後静脈産業が大きく発展し、新ビジネスや雇用の受け皿になる、という発想があるが、それだけでは日本経済の持続的成長はなかなか考えにくい。そこで、
(1)動脈産業のグリーン化により、日本経済が世界的競争力を持つこと。
(2)日本経済の最終的な成長の源泉である、知識・知恵を深めるためには「美しい日本」であることが必要。
という2つのコンセプトを明確に打ち出すべき。
日本が環境先進国になることで、外国人が頻繁に日本を訪れ、経済的に日本のヒューマンキャピタルが活性化することは十分にあると思う。

(植田委員)今の指摘は重要であり、基本コンセプトに入れるべき。
2ページの基本コンセプトでは、社会システムの転換という大きなビジョンの話があって、すぐ次にマテリアルリサイクルやサーマルリサイクルといった手段や方法といった細かい議論になっている。再構成が必要である。

(前原企画官)では、吉川議員の指摘事項をもっと表に出す形で検討したい。

(植田委員)とりまとめ(素案)が、リサイクル方法に比較的ウェートが置かれているように思われるため、発生の抑制につながる製品自体の作り方を変えること、しかもそれが新しいニーズに合致する、といったことを含めた社会経済構造全体の転換や枠組みの位置づけを明確にしておかないと、全体の循環型経済社会のビジョンとしては不十分だと思う。

(小宮山会長)同感だ。物質やエネルギーの循環フローに関する全体像は議論してきたが、その前にどんな日本をつくるのか、どんな製品を売っていくのかといった議論をまだしていない。
要するに先の吉川議員の発言に添えば、知の時代に移行すると、経済の基となるものの一つが美しいインフラ、国土インフラであるという感覚だ。

(吉川議員)それに加えて、物もそうだと思う。そのような物が世界中で受け入れられるだろうから、日本経済はそういう面で国際競争力を持っていれば、当然有利な立場にたつだろう。

(植田委員)前文か基本コンセプトかは別にして、書き出しで環境問題とか廃棄物の増加など問題点を指摘しているが、吉川議員の指摘にもあるように、物づくり、国土の保全などの新しいニーズが随分出ており、経済成長や国際競争力という点でもポジティブな社会ビジョンを描くことができるだろう。そのポジティブな打ち出しを明確にした方がよい。

(小宮山会長)細かい点ですが、「有害物質の厳格な管理」で、PCBやダイオキシンを挙げているが、水の汚染、大気の汚染、土壌の汚染といったバランスで分類したほうがよい。

(田中委員)廃棄物処理における個々の環境負荷という面では、PCB廃棄物の処理が最大の課題になっている。
また、用語について、8ページの「家畜排泄物」は「畜産廃棄物」の方がよい。

(西総括参事官)ここでの分類は、製品などの物質循環を中心としており、全般的な有害物質というものにはしていない。

(小宮山会長)しかし、循環型経済社会とは広いので、重金属やSOxなど入ってくるだろう。

(植田委員)5ページにヒアリングの結果が書いてあるが、現状と課題以外に、国民共有に持つべき目標が議論の過程で出てきたと思うので、それを4ページの「国民共有の目標」に書くべきではないか。例えば、各種法が施行されたが、逆にそのようなリサイクルでいいのか、むしろ国民共有の目標を立て直す必要が明確になったということである。

(小宮山会長)問題点の書き方と書く場所を検討する必要がある。

(坂政策統括官)日経新聞に、経済的、産業的な動きが出ていたので、そういった内容を参考にしたらどうか。

(吉川議員)私も読んだが、グリーン購入がキーワードだったと思う。いろいろな面でグリーン購入が拡大していくので、静脈産業にこだわらず動脈産業のグリーン化などをもっと全面に出せるのではないか。
そう考えると、この中間とりまとめ素案は、よくまとまってきているが、植田委員の指摘などを踏まえてもう一度目次立てを見直す価値があるのではないか。大項目の2段構えについては、これでよいと思うが、「1」の中の項目についてもう一度読み直してみてはどうか。

(小宮山会長)ビジョンはぱっとわかる必要がある。3項目ぐらいあってもいいのではないか。
後は、絵だと思う。例えば、世界だと約300億トンのうち85億トンが化石資源で残りは建材関係だろう。しかし、統計を集めても入った分だけ出ていない。その分は必ずたまっていないといけない。しかし、そんなにたまっていないので、数え落としている。特に木材のバランスが取れていない。

(田中委員)関連して、2ページの廃棄物のうち2億トン再生利用されていると書いてあるが、廃棄物として排出されずにリユース、リサイクルされているものがあり、誤解のないように記入する必要がある。
それから、単なる焼却や埋立が悪だというように見えてしまうが、最終処分量を減らすという面ではある程度貢献しており、もし単なる焼却がダメだとなると、行き場をなくしてしまう。
埋立処分量を10分の1にすると言う目標に、焼却も中間処理ということで役割を果たしている。逆にそれが全くダメだとなると与える影響が大きいのではないか。

(吉川議員)最終処分とは、必要悪ということで、文字通りゼロにはできない。しかし少なければ少ないほどよいのであり、減らしていくということでよいのではないか。

(田中委員)生物学的な危険を回避する処理として、焼却処理は高く評価している。輸送等も含めたエネルギー消費全体で考えれば、エネルギー回収や物質回収よりも単なる焼却のほうが資源保全の観点から有効な場合が多々ある。

(吉川議員)無論、エネルギー効率を無視してまで、循環基本法にあるように焼却よりもリサイクルを優先するべきではない。ただ、焼却もリサイクルも、それ自体が自己目的化して合理性を無視したものにはしない、というのが議論の大前提としてある。

(前原企画官)とりまとめ(素案)では、コストとエネルギー効率を重視すると同時に、どうしても資源・エネルギーとして活用できないものは埋立処分する、としている。それに加えて単純焼却も合理的であるとすると、どこにどのように書けばよいのか難しい。

(小宮山会長)田中委員はどのような地域をイメージしているのか。

(田中委員)過疎地域や住民の理解を得られない地域である。

(小宮山会長)ここはビジョンを示すものだから、住民の理解を得られないのであれば、理解を得るよう努力すればよいと思う。また過疎地域は効率的な大規模収集等には適さない特殊なケースであるため、全体のトーンを崩さずに、うまい書き方を検討する必要がある。

(植田委員)関連して、ビジョンについては、とりまとめ(素案)では
(1)廃棄物を資源・エネルギーとしての有効利用の効率性を追求すること
(2)地域間の公平性を追求すること
(3)有害物質の安全性を高め、環境負荷を減らすこと
の3つの柱になっているが、内容を「追求すべき目標」と「手段としてやるべきもの」とに整理すると、もっとわかりやすくなる。

(吉川議員)同感だ。天然資源の抑制、環境への負荷の低減、持続可能な経済成長の実現と、この3つが大きなビジョンで、その他はそのビジョン実現の手段になっている。よって、手段はそれぞれのビジョンの大きな項目に入れ込むべき。

(小宮山会長)材料はかなり整理されて出してもらったが、問題が複雑で相互に1対1の関係になっていないから、実際に書くのは大変だ。

(経済産業省)(2)の[1]にある「国民共有の目標」は、基本コンセプトに上げたほうがいいのではないか。また、2050年に埋立処分量を10分の1にするという目標は一番上に置くのがよいと思う。

(坂政策統括官)10分の1の根拠はどこにあるのか。ゼロにすることは論理的にはありえないが、場合によっては50年後ということで50分の1にするという目標の立て方もあるのではないか。

(小宮山会長)精密ではないが根拠はある。採取される天然資源300億トンのうち、化石資源は85億トンで、残り約220トンのうち150億トンはコンクリートになる。日本で2億m2建物をつくり、2億m2建物が廃棄される建物飽和の時代になったとき、建材が全部リサイクルされるかというと、実際には約1割は捨てていかないと生産が成り立たないのではないか、ということ。

(坂政策統括官)処分量の目標数値が小さすぎると現実性が薄れてしまう。また、完全にリサイクルしてしまうと新しいものをつくる余地がなくなり、リサイクルだけをする、ということになってしまう。

(小宮山会長)そこで水平リサイクルできるかどうかが重要。自動車のボディは現在は建築用の鉄骨等にしか再生されないが、それをもう一度新車のボディにする技術ができるか、ということ。

(環境省)(1)不法投棄の原状回復には大きな社会的コストが掛かるため、その防止の重要性について記述が必要。
(2)廃棄物処理法に基づく手続の大幅緩和等の問題は現在中央環境審議会で審議中であり、中立的な表現とすべき。
(3)「公的投資システムの改革」について、市町村の一般廃棄物は市町村以外に処理責任を負う者がなく、それを民間主体に変革する視点というのは、具体的イメージが湧きにくい。
(4)「補助も一律なものではなく、リサイクル重視」について、タイムスパンの置き方にもよるが、ダイオキシン対策等必要な整備はしなくてはならないため、当面の話としてそういう記述を入れてほしい。
(5)マテリアルリサイクルとサーマルリサイクルの取組について、この箇所だけ表現が具体的過ぎるため、重視する仕組み程度にとどめておくべき。

(前原企画官)不法投棄については、4ページに「依然として不法投棄が横行し各地で社会問題となっている」と記述している。

(環境省)不法投棄は、その原状回復に税金が使われるという点で、負の負担を構造的に発生させる、という問題を明確に書いたほうがよい。規制緩和をすれば、このような負の負担の発生のリスクが伴うという関係を示すべき。実際に自治体から審議会でヒアリングを行っても、ほとんどが不法投棄の話である。

(総合科学技術会議)基本コンセプトにおいて、「自然と組み込まれる方向をめざす必要がある」という文面の具体的ビジョンとシナリオを今後どうするのか、検討が必要。また、資源投入量の約半分が社会資本としてストックされるものに関して、長寿命化という概念も重要なのではないか。

(小宮山会長)先ほどのインバース・マニュファクチャリングと併せて考えていきたい。

(農林水産省)8ページの表の「素材ごとの特性に応じた利用」について、細かい点ですが、有機物のエネルギー利用を進めるのは、肥飼料等のマテリアル利用に加えて、というように直してほしい。
次に、16ページの具体的な実験の例で、有機物のメタン発酵によるメタンガスの回収は、既に行われており、新しく実験として打ち出すべきものか。
また、家庭ゴミの末端収集という観点でディスポーザーを挙げているのであれば、他の手法と比較してほしい。

(小宮山会長)具体的な実験の例は、充実させなければならないと思っている。

(経済産業省)全体的な表現として、否定形ではなく、より効率化する必要があるなどのポジティブな表現にした方がよい。
5ページの問題点のところで、まだ取組み始めたところで、初期的な問題かもしれないので、表現を工夫した方がよい。
9ページのCO2約10%削減するポテンシャルがあるというのは、京都議定書問題を議論しているので、相当信憑性が必要である。
11ページの表現ぶりをマイルドにしてはどうか。12ページの公的投資システムにおいて廃棄物行政の改革の視点が必要なのではないか。13ページは産業構造審議会と表現ぶりを合わせたいので調整させてほしい。

(国土交通省)7ページの建設廃棄物が2030年前後に8倍程度になるというところですが、全国的なものではなく1都8県の数字だと思うので、仮に使うとしても慎重にこの数値を取り扱う必要がある。
また、建築物・住宅の長寿命化や中古市場、リフォーム市場の整備を通じて、発生抑制に優先的に取り組んでいこうと考えているので、こうした取組をビジョンにも反映させてほしい。

(小宮山会長)先ほどの10%とこの数字の根拠はつけたいと思う。

(都市再生本部)7ページのプラント誘致という表現は後ほど調整させてほしい。

(環境省)14ページの自治体の役割について、もう少し役割を明確にしたほうがよいのではないか。例えばPCBの処理については、主体を市にするのか、広域的なセンターにするのか、環境事業団にするのかで議論になった。結局は環境事業団になったが、この種の問題は主体をどこにするのかが一番の問題となる。

(小宮山会長)わかるのだが、やはりいろいろなステークホルダーがあり、国民が基本的な指針に基づいて動いていくのだと思う。詳細まで決まったような実験は、指針の実験例にならない。

(坂政策統括官)経済財政諮問会議の別のプロジェクトとして、日本経済の再生シナリオ検討プロジェクトチームというのがあり、そこでは経済的なことを検討しており、ここの成果の一部を引用したいと考えているので、了解してほしい。

(小宮山会長)わかった。

(渡辺大臣政務官)循環型経済社会の構築を進める場合、雇用やビジネス等経済的側面というものを考えていかざるを得ないと思う。実際に新しいビジネスチャンスがあるという記述はあるが、もう一歩踏み込んで触れてほしい。

(小宮山会長)苦しんでいるところである。吉川議員の言う、長期的に考えたとき、美しい国、知の時代、人を集めて世界各国から人が喜んで集まってくるようなインフラが重要だと思う。そこで、雇用が何人で経済効果がどのくらいか出すのだろうか。

(坂政策統括官)難しいと思うが、大きな視点に立って検討しており、新しい産業を生み出して、経済として成長していくといったメッセージも大変重要なことだと思う。

(小宮山会長)インバース・マニュファクチャリングやポーター仮説、さらには新しいビジネスモデルの議論も入ってくると思う。
知ということまで含めたインフラを使って、具体的にどのようなビジネスチャンスが生まれるのか詰めになってくるだろうと思う。

(植田委員)議論の中で、静脈産業が一定の役割を担っているが、新しいニーズが出てきて、動脈産業と呼ばれるもの自体がグリーン化してくるということが、大変大きな意味を持っており、競争力上も非常に意味を持つ内容だと思う。
それを何%というのは、非常に難しい話だが、動脈の産業のグリーン化が新しい分野として位置づけられるという、非常にポジティブな効果として、ビジョンの基本のところに書くという結論になっていると思う。

(渡辺大臣政務官)是非それを期待する。静脈産業を始めとする環境の問題について、世界的にも取組まなければならないという認識を皆が持っており、経済的な側面においてある程度損をしないで成長していくという期待可能性を示す必要がある。いろいろなパターンを示すことにより、業界の中でもある程度転換が図れるなどの可能性が提示されることを期待する。

(植田委員)その議論は、これまでは十分に行われていないが、国際的にも循環型経済社会に取組むことがむしろ競争優位戦略として意味を持つ産業政策であるという論の立て方はあるだろう。
しかし、報告書に入れ込むかどうかは十分な議論が必要である。ビジョンとして打ち出すことは大変大事だと思う。

(文部科学省)教育に関しては、14ページに廃棄物の発生抑制、分別収集への協力体制の徹底の観点から、廃棄物は、悪者でないということを教えるためという記述がされているが、4ページに、環境を考え、国民共有の目標としての美しい日本をつくっていく人を生涯に渡って育てていくためのもの、という視点から書いてほしい。

(経済産業省)経済規模や産業規模について、昨年11月にとりまとめたものがあるので、そのデータや推計手法などに関して協力したい。

(小宮山会長)まとめると経済的視点の議論を充実させること、その他は表現や項目の入れ替えはあるが、全体としての構造や材料は書いてあるという評価だと思う。本日の議論を踏まえて次回中間とりまとめ(案)を示したい。

次回会合について

次回は、中間とりまとめ(案)について議論することとなった。
次回日程は11月13日(火曜日)12時から、内閣府第1特別会議室にて行うことこととなった。

(以上)