循環型経済社会に関する専門調査会 第1回循環型経済社会に関する専門調査会議事要旨

第1回循環型経済社会に関する専門調査会議事要旨

開催要領

  • 開催日時:平成13年8月23日(木曜日)10時00分~13時00分
  • 開催場所:内閣府合同庁舎第4号館共用第2特別会議室
  • 出席委員
    会長小宮山宏(東京大学大学院工学系研究科長)
    委員植田和弘(京都大学大学院経済学研究科教授)
    同田中勝(岡山大学大学院自然科学研究科教授)
    経済財政諮問会議議員吉川洋(東京大学大学院経済学研究科教授)
  • オブザーバー
    経済財政諮問会議議員牛尾治朗(ウシオ電機(株)代表取締役会長)
    総合規制改革会議委員生田正治((株)商船三井代表取締役会長兼執行役員)
    (関係省等)総合科学技術会議、環境省、経済産業省、国土交通省、農林水産省、文部科学省

議事次第

  • 開会
  • 事務局説明「循環型経済社会をめぐる現状について」
  • (株)三菱総合研究所中條部長説明「循環型経済社会構築に向けた課題」
  • 各委員提出資料説明
  • フリーディスカッション
  • その他
  • 閉会

配布資料一覧

  • 資料1 循環型経済社会に関する専門調査会委員名簿
  • 資料2 循環型経済社会に関する専門調査会運営規則(案)
  • 資料3 循環型経済社会をめぐる現状について
  • 資料4 循環型経済社会構築に向けた課題
  • 資料5-1 小宮山会長提出資料
  • 資料5-2 植田委員提出資料
  • 資料5-3 田中委員提出資料
  • 資料5-4 吉川議員提出資料
  • 資料6 今後の開催日程(案)

概要

渡辺大臣政務官による挨拶

小宮山会長より、本専門調査会の趣旨説明等

専門調査会の運営について

専門委員会運営規則について原案のとおり決定された。また、これに基づき吉川議員が会長代理に指名された。

事務局及び(株)三菱総合研究所中條部長による資料説明、その後フリーディスカッション

(小宮山会長)第1回目としては詳細な内容まで出ていたような感じがしますが、まずは大きな視点からとらえて、意見等があればお願いしたい。

(田中委員)循環型経済社会を実現するにも、「ある程度の豊かな生活を維持する」ことが基本にあり、「豊かさ」をどの程度まで享受するのか、あるいは抑えるのかという視点が1つある。

(吉川議員)11月までに中間報告を出すことから、それをにらんだものにする必要がある。今、非常に詳細なデータを説明していただいたが、中間報告をとりまとめ、世の中に情報発信するにあたっては、情報量に圧倒されてしまうので、普通の人に対して何が重要な情報なのかをサマライズする必要がある。

(小宮山会長)付け加えると、大括りにして、科学技術的、経済的な裏づけが必要。それらのITによる効果的公開と情報の蓄積が必要。また、中條部長の資料にあるヘッドクォーターについて最大の目的は、データの蓄積と公開を継続的にやっていくこと。
事務局提出の資料は、「たたき台」として批判的に見ていく必要がある。例えばプラスチックのリサイクル状況について、本資料は発電付焼却・熱利用焼却も有効利用と分類しているが、実際には発電効率が低いので435万トンのうち約300万トンは未利用に近いものとなっている。そういう形でたたき台として中身を詰めていく必要がある。

(牛尾会長)循環型利用は採算に乗らないので、企業がみな手を引いてしまう。これを自立的に動かしていくには、市民や経済的な要因の高い倫理やモラルに頼っていてはいけない。利益が出ている企業が社会還元の一環としてお金を出して成り立っているのは極めて少量の部分でしかない。循環型社会に暖かい市民といっても本番になると10%を切ってしまう。そのようなものに頼ったら単なる「精神運動」であり、経済の基本的ルールとならない。
大事なことは、循環型社会を経済そのものの基本的なルールに織り込むということと、グローバルとの共存性をどう考えていくのかということ。国際比較を考え、EU、アメリカ、日本・アジアでどう調整するのか、日本に有利なものを真剣に考えないと不利な状況に陥る。
循環型社会の問題について、当面10年ぐらいで役に立つ議論をして、皆が受け入れられるもの、日本だけではなくて、世界が受け入れられるものとして取り上げてほしい。

(吉川議員)同感だ。環境問題、循環対策は、タームがものすごく長い問題である。EU、アメリカ、日本の間で色々な思惑があるだろうが、日本としては日本の国益を考えるのが当然である。ただしロングタームでは、便益も大きいことがはっきりしており、方向として何が正しくて、どのくらいのペースで進めるべきかが問題。また、誰が先導するかが重要であり、お題目やモラルに依存するのではなく、市場経済の中にいかにビルトインするかを考えていく。部分的にみれば、今や自動車が環境ビジネスとして自立しているように、リサイクルや静脈産業などについて、どのように市場を作るのかが問題。市場が存在しないことによる問題もあるので、マーケットをインフラとして整備することが必要。

(小宮山会長)EU、アメリカ、日本のうち、ゴミ問題で圧倒的に厳しいのが日本。アメリカは国土が広く埋立の処分場所に困らないし、EUは都市の規模は5万から30万と中小都市であり、ごみ対策が容易。日本は都市規模が大きく、東京は周辺県を含めれば3000万都市であり、そこで発生したごみ問題は極めてシビアである。
アジアとの関係で言うと、上海等アジアの主要都市は、大都市でありモンスーン帯にあって、この問題を解決できれば、アジアのモデルになれる。
京都議定書の関係で日本の負担は6%で、プラスチック廃棄物等をきちんと化石資源並に利用すれば約10%のポテンシャルをもっており、例えば3分の1おこなっても3%と巨大な量となる。つまり、日本では京都議定書にもプラスになる、こういうことから手をつけるべきであり、そこら辺を認識してやっていきたい。

(牛尾会長)米国でマスキー法ができたときに、無理だろうと考えられていたが、一番初めに達成できたのは日本であり、そのようなものに対して一番初めにクリアーするのは日本の企業である。日本の企業は、そのような能力が非常に高い。
また、ISOについても、日本は現場できちんとやっているけれども、制度化して世界に通用する1つのコンセプトとして打ち出す能力がほとんどない。欧米は、自分たちにやや有利なように切り替えて世界のコンセプトにしてしまう能力がある。そのような意味で、世界に通用する循環型社会に対するコンセプト、民主主義社会というものに通用するコンセプトを打ち出す勇気が必要だし、具体的に2005年ぐらいまでのステップを書くことが非常に大事な局面に来ているので、その辺を本専門調査会に期待したい。

各委員による提出資料説明

フリーディスカッション

(生田総合規制改革会議委員)総合規制改革会議では、重点項目を、生活者向けサービス分野、いわゆる社会的分野における規制改革と位置付けており、7月に中間とりまとめを出し、11月までに肉付け作業を行うことになっている。環境コストをいかに経済コストに内部化するか、市場機能をできるだけ活用し、環境保全に係る活動が経済成長の要因につながるように考えて、攻めと守りの両面に留意すべきだと思っている。他分野の規制改革は、現在ある規制をどうやって破壊的に改革していくのかという姿勢で進めているが、環境分野では趣が異なり、この分野自体が新しいので、新しい構造を考えながらルール作りをしていこうとしている。本専門調査会の議論とも密接に関連することから、連携して効率的に進めていきたい。

(小宮山会長)総合規制改革会議の報告書を読みましたが、非常に関連が深いので、密に連絡をとりながら議論を進めたい。

(植田委員)先ほどのヘッドクォーターの点と関連するが、市場機能の活用を議論する際、なぜそういう市場がうまく形成されないのか定量的にもはっきりさせないと議論が進まない。インフラを構築するときの問題として、輸送とか分別があるが、どこか1ヶ所に大量に集めたほうがいいのか、各地域に広がっている遊休的な施設をむしろ活用したほうかいいのか、色々なシナリオがありえる。このような情報をできるだけ収集した上で、オプションを技術的、システム的にたくさん出して議論が必要。また、家庭レベルから社会レベルまで、それぞれのレベルでどのような選択をするか、地域によっても差異があることから、できるだけ定量的なコストにまで踏み込んだ情報を出して議論するべき。

(小宮山会長)賛成だ。ビジョンの話が出たが、私は2050年ぐらいがいいターゲットだと思う。2050年ぐらいにこうなるべきで、そのために2010年にはどうあるべきか、そのために今どう踏み出すべきなのかというストーリーではないか。そこへ行くシナリオは、いくつかのオプションがあり、具体的に出さないと、抽象論では進まないので、具体的に書いていく作業を進めたい。

(田中委員)OECDの中でEPR(拡大生産者責任)の議論をした際に、EPRは国の事情、時代によって内容が違うことから、どういう項目に配慮して、どう評価してEPRのプログラムを選ぶかという道筋を決めたガイダンスマニュアルをまとめた。今回の議論も少し似たようなところがあり、廃棄物において何をどう処理して、どういう循環型経済社会を構築するかというのは、地域や時代によって変わってくる。だから、処理オプションとしてそれぞれの特徴などを整理するとか、市民の責任の拡大、行政の役割、生産者の役割を整理することも重要だと思う。

(経済産業省)リサイクルの問題でいかに経済的に無理なく回していくのか。コスト構造はどうなっているのか。技術開発などの問題もあるが、どういう方法で市場化していくのかなど検討している。

(小宮山会長)コスト構造を調べる必要がある。企業としては、ごみの量と質が安定して供給されるのか、非常に疑問、不安がある。一般廃棄物の処理に1トンあたり、6万円から8万円の補助が出ているが、石油は1トン2万円であり、いささかその差が不思議な構造である。この辺の問題が随所にあり、きちんと明らかにしないと社会的、経済的にもアクセプタブルなオプションを探せない。

(国土交通省)公共事業をはじめとする建設分野における廃棄物の発生抑制・リサイクル推進、あるいは静脈物流の問題を大きな問題として認識している。特に、静脈物流について、一般的で整理しても世の中は変わっていかない。例えば、PCBの広域処理にしても、輸送の安全基準、港湾インフラをどうするか環境省と一緒に検討している。また別に、首都圏にゴミゼロ協議会が作られ、広域的な廃棄物処理の施設をいかに整備するのか議論が進められているが、そういうことを前提に、静脈物流についてシミュレーション、実証実験等の検討をして、全国に広げる形で整理することも必要ではないか。本専門調査会と都市再生本部のゴミゼロ協議会との連携もお願いしたい。

(小宮山会長)日本の建物の平均寿命は、確か35年ぐらいで、少し延びて50年としても、50年経ったら大体我々が目にするものは全部1回廃棄されるということになる。建物の主体は20世紀後半に作られていて、いま寿命の時期を迎えており、建設廃棄物の問題はきちんとビジョンを作らないと循環型の社会はないと考えている。

(環境省)循環型社会形成推進基本法に基づき「大量生産・大量消費・大量廃棄」の社会経済のあり方を見直すことをテーゼとしている。
廃棄物処理の施設をつくる際住民の反対運動への対応等の計測困難ないし不可能な社会的、実態的なコストみたいな議論が常にあり、それをどう考えるのかということも視点に入れてほしい。
本専門調査会で効率的な循環型社会というビジョンを打ち出していただければ我々も心強い。

(小宮山会長)この問題も本質の1つであり、また、循環型の専門家といっても全貌をとらえている人はいないので、情報をどんどん出して、コンセンサスをつくっていく必要がある。

(農林水産省)農林水産業は元来、物質循環に依存しているので、本専門調査会の議論を非常に注目している。
エネルギー作物への転作は、食物自給率向上との関係を考えると整理が必要。森林についてはいろいろ期待が高まっているが、植林を行う余地があまりないことや担い手の減少で管理がままならなくなっているという課題がある。

(小宮山会長)森林保全に伴う間伐材、農業廃棄物のバイオマスエネルギー利用など、食材と競合しない部分を考えたい。農林水産については、データの信頼性のあるものがなかなか得られないので、それを示していただき議論に反映させたい。

(総合科学技術会議)5年を見据えて5つの重点課題を掲げている。地球温暖化問題、ゴミゼロ循環型技術開発、有害化学物質問題、自然との共生、地球規模での水循環であり、そのうち、地球温暖化とゴミゼロ型・資源循環型技術及び自然共生型流域圏・都市再生技術の3つを14年度の重点課題にしている。
基本的には、循環型ゴミゼロ型の技術開発は、経済社会の中で起こっている様々な物質フローの問題をいかに循環型にもっていくかという技術開発を進める。
また、海外で生産されるものも多く、日本の産業構造の特徴から、アジアの途上国との関係を十分考え、国際性というものを今後注意しながらやらなければならないと考えている。

(小宮山会長)重点項目になっていることや、製品輸入も多くなっているので国際的な観点、それらと整合性を図りつつ進めたい。

(環境省)21世紀「環の国」づくり会議が7月10日にレポートを取りまとめている。その各論的な議論をこの場でやっていただけるのはありがたい。
将来の議論だけはなく、2002年度における予算、制度の充実も視野にいれていただきたい。
地球温暖化対策については10月、11月のマラケシュ会議でほぼまとまると考えており、循環の問題についても今まで国際的な観点が欠けていた面があると思うので、それも含めて議論していただきたい。

(小宮山会長)本日の議論をまとめると、対立は特になかったと思うので、ご意見を参考に今後進めていきたい。社会的・経済的・技術的に妥当で現実に動くビジョン(将来像)と、そこに至るシナリオを作る必要がある。本日の議論を踏まえた検討方向ペーパーを事務局にまとめていただきたい。
ビジョンと具体案はそのキャッチボールから修正されていくものであり、そのために、ヒアリングを開催したいと考えているので、よろしくお願いしたい。対象は有識者、業界、各団体、省庁等関係者という形になろうかと思う。

次回会合について

9月17日(月曜日)17時00分~、内閣府第4特別会議室にて行うこととされた。

(以上)