第30回会議(平成20年12月19日) 与謝野大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

与謝野大臣

18時48分~19時08分 於:中央合同庁舎第4号館2階220号室

(1) 現下の雇用・経済情勢について

(2) 「経済財政の中長期方針と 10年展望(仮称)」の事項案について

1.発言要旨

 先ほど、本日の経済財政諮問会議が終了いたしましたので、概要を御報告申し上げます。
第1の議題として、現下の雇用・経済情勢について議論いたしました。
総理からは、「今回の対策では、離職者への住宅の確保など、雇用と資金繰りを中心とした年末対策を重点的に講じている。また、当面の年末年始対策、2次補正予算、来年度予算を通じて、切れ目のない対応を講じていく。関係閣僚への協力をお願いする」との御発言がございました。
雇用情勢や資金繰りの厳しさに対処することが、国民の皆様の最大の関心事となっております。本日決定した「生活防衛のための緊急対策」を含むこれまでの対策を着実に実行し、景気回復と財政健全化を両輪として取り組んでまいりたいと考えております。
議員よりの御発言を御紹介申し上げます。
議員よりは、1つ、失業給付と職業訓練が日本ではリンクしていないが、オーストラリア、デンマーク、フランスなどではよりリンクしている。これらを有機的に結びつける政策が必要である。
他の議員からは、製造業は人員過剰、介護現場では人手が足りない、こういうミスマッチ現象が起きている。これを解消するべきである。また、21年度の経済見通し、これは今日発表されたけれども、下振れリスクが大きいのではないか。年央改定もあるが、政府はよく見ていてほしい。
舛添大臣は、これらの御質問に、御趣旨のとおりしっかりとやりたいと。
私からは、経済見通しにつきましては、もともとマイナス1.0%であったかもしれないが、一連の対策を打つことになったので、これらの対策がうまく動くということを前提で、成長率0.0%になっている。したがいまして、要注意が前提の0.0%であるという御説明をいたしました。
他の議員からは、諸外国では、日本が対策を十分やっていないと見られている。したがって、PRをしっかりやってほしい。成長戦略の先取りとしての経済対策ということも考えてほしい。
他の議員からは、補正と本予算は、速やかに通常国会で成立させてほしい。為替の安定化も、しっかりやってもらいたいと。
鳩山大臣からは、景気対策に特別交付税を活用したいと。
中川財務大臣からは、JBICの活用をして、先進国向け輸出信用もやるようにしたいと。
第2の議題としては、「経済財政の中長期方針と10年展望(仮称)」の事項案について議論いたしました。
お手元に配布してある項目が了承されましたが、総理からは、「麻生内閣は短期は大胆、中期は責任」の姿勢で経済財政運営に取り組んできているところである。第2に、中長期の経済財政運営の姿とともに、今後10年程度を見通した「経済財政の中長期展望」を、来年度予算案の提出までに取りまとめてほしいとの御発言がございました。
この10年展望については、できる限り速やかに原案を提示し、今後、諮問会議で取りまとめた上で、閣議決定いたしたいと考えております。
御参考までに、次回の諮問会議の日程は、まだ仮置きでございますが、26日を予定しております。
以上です。

2.質疑応答

(問)1つ目の議題のところで、今日の日銀の利下げと緩和的な政策の決定について、白川総裁からの報告を含め、何か議論があったら御紹介いただきたいのですが。

(答)日銀が決定されましたそれぞれの項目については、白川総裁から御報告がございましたが、特段、それについてコメントされる方はおられませんでした。

(問)大臣御自身は、午前中の会見では、経済に与える影響というのはそれほどないかもしれないけれども、メッセージとしての意味はあるのではないかという御趣旨のことをおっしゃっていたと思うのですけれども、改めて、今日、日銀が決めた政策についての評価をお聞かせください。

(答)まず、短期金利の誘導目標を0.1%にしたということは、一つは、やはり国内経済に対する日銀の見方が大変厳しくなってきたということ。もう一つは、やはりこの一連の金融危機、経済危機、これに対して国際協調のあかしを立てる、そういうメッセージであること。それから、市場が期待していた為替に対する影響も考慮したこと等で0.1%になったと。これは、日銀にとってはかなり思い切った決断であったと私は思っております。
他の思い切った決断は、やはり買い切りオペを毎月2,000億円ずつ増やすということで、毎月1兆4,000億円、買い切りオペをやると。なおかつ、オペの対象国債も、長期のもの、物価連動債等も含まれるということで、この国債の買い切りオペを通じて、やはり国債市場に対してもしっかりと対応したいという態度を示されたこと。それからもう一つは、CPについては、現先については相当今までやってきたわけですけれども、今回のCPについては、個別企業のリスクを自ら負担するという、中央銀行としては異例とも言えるべき措置に出たということは、やはり日銀が、現在の日本の経済情勢、また世界との国際協調を考えて、大胆に、かつ、思い切って踏み込んだ政策をとったということで、政府としては高く評価するべきものと考えております。

(問)もう一つ、シンボリックな意味以外で、今回打ち出した一連の政策というのは、どういう効果が期待できるかということをお伺いしたいのですが。

(答)短期金利を0.1%にしたら、企業の資金繰りが楽になるのか、銀行の貸し出し態度が変わるのか、多分、そういうことはないだろうと思っておりまして、やはり金融機関がリスクに対して非常に敏感になっている。また、社債市場もCP市場もリスクを、私どもにすれば過大に考えておられる。そういう傾向がある中で、日銀がCPに対しても思い切った手段に出たということは、全体として非常に、年末それから来年に向けての資金繰りに、大きな、なおかつよい影響を、私は与えるものと思っております。

(問)今日の「10年展望」のほうの質問をさせていただきます。
現在、諮問会議のほうで「中期プログラム」を取りまとめられまして、与党で議論されておりますが、この「10年展望」のほうでは、「中期プログラム」の結果を踏まえて、さらに10~15年後以降の長期的なスパンの財政再建への道筋、つまり、抜本的改革が行われた後のプライマリーバランスの点とか財政健全化、国債をどういうふうに減らしていくのか、長期債務をどのように減らしていくのかというものが示されるというような理解でよろしいのでしょうか。

(答)おそらく、21年度の予算案の審議が国会で始まりますのは、1月中旬前後ではないかと想像しておりますけれども、それまでにこれをまとめなければならないわけでございます。
そこで、御質問の趣旨をどう考えたらよいのか、適切なお答えかどうかわかりませんけれども、一つ出てまいりましたのは、法人税の減収がここまで大きくなってきているということをどう考えるのか、そういう問題があります。これは、過去の長期的な財政の展望、あるいは目標との関わり合いで、一つ、考えていかなければならない点であると思っております。
「中期プログラム」は、やはり「長期展望」の一つの前提でございますから、今、まだ与党の議論が続いておるようでございますから、どうなるかは即断できませんけれども、やはり「中期プログラム」をしっかりしたものとして、「長期展望」の中に取り込んでいくということでなければ、理屈は合わないのだろうと思っております。

(問)その「中期プログラム」の関連ですけれども、今日行われた与党のPTで、公明党から、2011年度については容認する姿勢が示されたかわりに、3年後までの景気回復について、より具体的な道筋を示せという注文がついたというふうに聞いているのですけれども、これについて大臣は、どのような形でそうした要求に応えていきたいというふうにお考えですか。

(答)日本の経済状況というのは、やはり世界の経済の中にありますから、日本独自で単独で道筋を示せるほど簡単ではないだろうと思います。ただし、日本の経済を安定させる、厳しい条件の中でも成長を目指していくという政策運営の姿勢というものは、政府が常に持っていなければならないと、そのように思います。
与党PTの中で、成長戦略の重要性が議論されたとすれば、それは何の異論もないことでございますけれども、これを具体化するというのは、相当いろいろな境界条件を決めて議論しなければならないので、大事なことですけれども、1日、2日でできるわけでもありません。その重要性は、そういう御発言をされた方と同じぐらい、またそれ以上に、私も思っております。

(問)「10年展望」についてですけれども、大臣は前回の諮問会議後の会見で、2011年度のプライマリーバランスについて、「破れも目立つが旗は立っている」というふうにおっしゃいましたけれども、これから考えますと、「10年展望」の中でも、プライマリーバランスの目標は堅持して、その後の目標というのは出していくのか。それとも、税収の落ち込みなどを考慮して、見直しも含めて検討するのか。お考えをお聞かせください。

(答)先ほど、そのことについてはお答えしたつもりだったわけですけれども、一応、現在は、旗は立っております。
ただ、次のこの展望を考えるときに、やはり法人税収の大幅な減収とか、そういうことも十分考えた上で物事を述べなければ、合理性に欠けるというふうに思っております。

(問)繰り返しで恐縮ですけれども、今のPBの黒字化の話、これは2011年度までの目標というのは、当面、見直す考えはないけれども、それ以降については、法人税収の落ち込みについて加味して数字を考えていく、そういったような意味合いのことなのでしょうか。

(答)私としては、見直すとか見直さないとかということを申し上げたつもりはございませんで、現在は全く中立の立場でございます。

(問)そうしますと、2011年度のPB黒字化ということに関しても、これは旗を下ろすかどうか、今の時点ではもちろん決まりではないけれども、ゼロベースで一応見直ししていく、そういったことになるのでしょうか。

(答)物事を、客観的に、冷静に、冷徹に見なければならないという時期が来るのだろうと思っております。

(問)「長期展望」ですけれども、「中期プログラム」の中では、個々の税目の上げ下げ幅が明確にされていないのですけれども、そのあたりのところは、シミュレーションとして仮置きの数字を幾つか設定されてパターンで示される、そういったような具合になるのでしょうか。

(答)税目ごとの傾向はわかりますし、むしろ、税収がGDPのどのぐらいの割合を占めているかということを、多分、想像しながらやっていくので、各税目ごとの積み上げ計算までやるのかどうか、これはこれをやる専門家に質問していただくと、私よりはより適切な答えがいただけるのではないかと思っております。

(問)仮にでも税率の仮置きの数字というのを、もし示した場合に、与党、特に公明党の反発というのが予想されるのですけれども、大臣のそのあたりのお考えというのはいかがでしょうか。

(答)これは、学問的領域と実際生活の境界線を動いている話なので、専門家によく聞いていただいたほうがよいと思っています。

(以 上)