第27回会議(平成20年12月3日) 与謝野大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

与謝野大臣

19時14分~19時48分 於:共用220会議室

(1) 中期プログラム集中審議(第3回-社会保障の機能強化及び税制抜本改革の進め方)

(2) 農業改革について

(3) 平成21年度予算編成の基本方針等について

1.発言要旨

 第27回の経済財政諮問会議が終了いたしましたので、概要を申し上げます。
第1の議題は「中期プログラム」でございまして、第3回目の審議を行いました。今回は、社会保障の機能強化の工程表について、また景気の局面と税制抜本改革の進め方について議論をいたしました。景気局面と税制抜本改革の進め方については、準備と実行に関する原則を含めて、大筋の合意がございました。
総理からは、次のような御発言がございました。
「短期は大胆、中期は責任」を基本とした経済財政運営を揺るぎなく進めていく。「中期プログラム」は、責任の中核中の中核。社会保障の中福祉・低負担は続けられないのは明らかであり、当面の景気対策と並んで、将来を見据えた対応についてもしっかり取り組んでいく。準備と実行に関する原則を含め、本日の議論を「中期プログラム」にしっかりと反映させてほしい。
第2の議題については、石破大臣にも御出席をいただき、農業改革について議論をいたしました。
食料自給率50%を目指すため、農地改革や企業型経営の拡大を取り入れた政策を実行するための工程表の早期策定が重要との意見が多く出されました。
総理からは、次のような御発言がございました。
食料自給率50%への工程表については、関係省と協力しながら、産業政策、安全保障政策、地域政策の3つを同時に追求するような大胆な支援策、制度改革を盛り込んだ大きなパッケージをまとめてほしい。ついては、諮問会議でも来年から早々議論を始めてほしい。
第3の議題としては、平成21年度予算編成の基本方針について、諮問・答申を行いましたが、それに先立ちまして白川議員から、昨日の日本銀行の政策決定の内容についての御説明がございました。
総理からは、次のような御発言がございました。
平成21年度概算要求基準を維持しつつ、経済情勢を踏まえ、状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行うこととしている。早急に基本方針を閣議決定し、これに基づき、政府を挙げて「生活防衛予算」を編成してまいりたい。
なお、本日、諮問会議終了後、直ちに臨時閣議を開き、この基本方針を閣議決定をいたしました。
以上でございます。

2.質疑応答

(問)予算編成の基本方針なんですけれども、歳出の考え方の「シーリングを堅持」というところが、与党からの意見もあってかなり書きかわりまして、小泉政権以来の財政再建路線の明確な転換ではないかというようにとらえられるかと思うんですが、大臣の御認識はいかがでしょう。

(答)シーリングは維持していくということがはっきり書かれております。
シーリングの意義でございますけれども、シーリングというのは、一定の財政規律を維持するという側面のほかに、年末に行われます予算編成過程を円滑に進めるための一つの道具としても使われております。
今回は、7月に閣議で決めましたシーリングについては、忠実にこれを守っていくということを決めましたので、小泉内閣以来の路線が変更されたわけではありませんし、また「骨太方針2006」に書かれております精神は、そのまま継承されております。

(問)ただ、こちらの基本方針に付け加わった「状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行う」という部分については、やはり与党内でもシーリングとは全く関係なく、雇用対策ですとか、必要な対策にやっぱりお金をつけるべきだと、事実上シーリングとは全く関係ないところで予算を積み増そうというようなとらえ方だと思うので、その点ではやっぱり昨年度までの予算編成とは全く違うかと思うんですけれども。

(答)通常の天候状態で飛行しているわけではなくて、まさに予想しがたい乱気流に日本も巻き込まれているという状況でございます。したがいまして、予算編成自体は平常心を持って、シーリングを守りながらやっていこうということでございますけれども、やはり世界の経済危機あるいは金融危機に弾力的に対応する、また日本の経済が底抜けしないような、そういうことも、やはり併せて考えていかなければならないという度量を持つ必要があると、そういうことを表現した文書であると思っております。

(問)もう1点、今のようなお話とも絡むんですが、2011年度のプライマリーバランスの黒字化という財政健全化目標なんですけれども、これまで税収の落ち込みに伴って、やっぱり歳入面から厳しいんじゃないかと言われていたところが、今度はやはり歳出面からも、かなり達成が難しいんじゃないかという状況に、この予算編成の基本方針を見てもなってきたかと思うんですけれども、いま一度、大臣はその目標を今後どうすべきかということと、それにかわる新たな目標を仮に設定するとすれば、それはいつ、どのような形でされるべきだとお考えでしょうか。

(答)2011年プライマリーバランス達成というのは努力目標でございまして、これに対していろいろな御評価があるということは十分承知しておりますけれども、旗はやや破れ気味、汚れ気味でございますけれども、この旗を立てていく必要があると、私はそう考えております。
歳出面では、「2006」のときにいろいろな歳出削減目標を立てました。この歳出削減目標自体は、11兆から14兆の幅がある歳出削減目標だったわけでございますが、歳出削減目標が達成できたけれども、例えば、ある政策の根幹が崩れたということでは価値のないことでございまして、例えば日本が「社会保障制度は中福祉の制度である」と認識しているものが、やはりほころびばかり目立つということでは、何のための歳出削減目標かということにもなりますので、そういうことは年末にかけて制度の現在の状況あるいは歳出削減目標、こういうものは複眼的に、考えていかなければならないと思っております。

(問)2点ございます。
1点は、予算の編成方針の件ですけれども、大幅な修正が加えられておりますけれども、これに当たって、かなり与党側からもいろんな要望があって、大臣等も御苦労されたと思いますが、その辺の与党側の圧力というのはどんな感じだったのか。また、それに対して大臣はどのように対処されたのかというのが1点。
あと、「中期プログラム」の景気の局面と「中期プログラム」の抜本改革の進め方の議論の件ですが、これについては最終的に「中期プログラム」の中で、いつまでに何をしなきゃいけないとか、そういうような時期の明示みたいなものは可能な限りやるべく努力をされるんでしょうか。2点お願いします。

(答)1点目ですけれども、議員はそれぞれ地元の状況をよく知っておりますから、地方経済の状況も現場感覚としてよく理解をしていると。加えて、やはり世界の金融危機、経済不況が落としている影についても、よく知っておられるわけですから、そういう方々が党の政調会あるいは総務会等で、現場感覚に基づいて自らの責任で御発言になったということは自然なことだと思いますし、ある意味では、そういう現場の声に対して、教条的にならないで、やっぱり素直に耳を傾けるということも必要なんだと、私はそう思っております。
それから、時期を明示するのかどうかという点ですけれども、当然、時期は明示しないと意味のない計画になってしまうと、そのように私は思っておりますが、これは党のほうの御了解をいただきながら進めないといけないと思っております。

(問)「中期プログラム」なんですけれども、次回で集中審議は終えるということでよろしいんでしょうか。そして、その後なんですが、どのように最終決定をしていくのか、お考えをお聞かせいただきたいんですけれども。12日に与党の税制改正大綱が出ますが、それとの関係もお願いします。

(答)税調、党税調の方々とは意見交換をしておりますから、「中期プログラム」をつくる場合には、政府・与党一致した立場をとると、そういう道筋をとらなければならないと、そのように思っております。
与党の税制改革大綱は12日前後にできるんではないかと思いますが、そういうものとの整合性も、当然のことながら図ってまいりたいと思います。「中期プログラム」をいつ諮問会議として決めるかというのは、今日の時点では申し上げられないんですが、当然年内ですし、政府の予算案が決まる前には、同時ないしはそれ以前にきちんと世間に公表する必要があると、そのように思っております。

(問)予算編成の基本方針と「中期プログラム」について、1点ずつお聞きします。
まず社会保障の経費についての予算編成の考え方の文言で、「新たな安定財源の確保について検討する」というふうに修正されました。原案段階では「された場合」というような仮定法ではあったんですが、ややこの安定財源の確保について前向きになったのかなという印象があります。
大臣、先日の閣議後会見で、たばこ税についてはなかなかちょっと厳しいとの見通しも示されておりましたけれども、この安定財源確保の見通しについての大臣の認識について、改めてお聞きしたいと思います。
それと、「中期プログラム」で景気の状況と抜本改革の時期についての議論がされましたけれども、この潜在成長率が安定的にいくという前提があるということですが、今日、出席された民間議員の諮問会議の議論の中で、日本が現時点でそういった潜在成長率で成長していくというような時期の見通しについて、何らかの議論があったのかということについて確認をさせていただけますでしょうか。以上、2点です。

(答)安定財源があって初めて福祉をやるのか、福祉をやるためには、安定財源が必要だという議論が、実は対立しまして、やっぱり福祉は福祉自体として、必要なものは必要だろうという議論が勝って、その部分が入れかわったというだけでございます。たばこ税の行方については、まだ最終的には聞いておりません。
それから、今日も諮問会議で若干議論になりましたが、日本の景気のピークはいつ来たんだというのがありましたが、これは来年1月にならないと正式には発表できないけれども、民間の研究所の研究なんかは、やっぱり去年の10月、11月ぐらいだろうという意見が多いという御紹介がありましたが、今日、岩田議員からの御説明があったことというのは、要するに、景気はいずれにしても波を打つと。景気がいいから、非常に良くなったから税制改正を行うというと、実は景気のベクトルは下向きになって下降局面に沿って税負担が大きくなるという、そういうことではだめであって、やはりこの景気が下降局面の最下点に到達して、上り調子になったときに税制改正が行われるという必要があると。そのためには、やっぱり前もって、上昇局面に達したときにはいろいろな準備が整っていると、そういう状況をつくり出さなきゃいけないというのが、岩田議員の御説明でございました。
悪しき例としては、平成9年、消費税が3から5%になったわけですが、これはちょうど景気の最高点とぶつかった部分で、消費税が上がって、景気が下降局面に入ろうとしているときに消費税が上がったというので、景気の下降を加速させたと、こういう反省があるんではないかというのが岩田議員の御説明でございました。

(問)それを含めて、この今日の会議の中で、今後上昇局面に行くであろうという時期の見通しについての何らかのやりとりというものはおありでしたでしょうか。

(答)将来を確実に予想できるほど現在の経済状況というのは、先の見通しが立たないというのが現状でございまして、アメリカも来年いっぱいは整理整頓にかかるだろうという説もありますし、いや、もうちょっと早いんじゃないかという説もあるし、いろんな説がありますけれども、景気がいつ回復するかというのを大胆に予想するほど神通力がないというのが本当のところです。

(問)さっきの質問と関連するんですけれども、この民間議員のペーパーの中で、いつになったら消費税を上げてもいいかというような流れの話で、潜在成長率を一つのめどにして、成長率が少なくとも潜在成長率を発揮できるような時期でないと消費税を上げることはできないという、いわゆる停止条項あるいは凍結条項みたいな考え方が、この原則の中に含まれていると思いますけれども、そこの部分についても今日の諮問会議で大筋の合意は得られたんでしょうか。

(答)そこまでは議論は進みませんでしたけれども、多分参加した議員の方は、最下点から上昇局面に少なくとも移ったところで、税の負担というものが大きくならないと、下降局面に入ったところで税負担が大きくなるということは避けなきゃいけないということは、皆さんおわかりいただけたと思います。
ただ、景気が最下点に達する前に、いろんな税制改正上のものの考え方の整理、制度改正、法律改正等をやって上昇局面に入ったときには、直ちにそういう税制改正が実行に移せるという、そういう準備の段階というのは、やっぱり早い段階で進める必要があるんじゃないかと、そういう考え方です。
今景気が悪いから、そういうものを議論しちゃいけないよというのは、多分違うんじゃないですかというのが、見方を変えればそういうことを表現されているんじゃないかと、私は理解しております。

(問)大臣、先ほど「悪しき例」という形で、97年の消費税を上げた例を出されましたけれども、消費税を上げる時期が遅過ぎたと、あるいはそういうことかもしれませんが、大臣御自身は、仮に消費税を上げる時期とかをプログラムに盛り込んで明示して、かつ法定した場合は、この民間議員が考えているような停止条項を入れるというお考えには賛成ですか。

(答)財政構造改革法というのを私はつくったことがあります。そのとき、やっぱりいろんな行革の進展状況とか、あるいは社会保障の財源の必要性とか、いろんなことを書いてあったわけですけれども、経済に関して弾力条項を設けなかったというのは、財政構造改革法の一つの反省点でありますから、税制を論じるときに、やはり国民経済を維持し国の活力を維持する上では、税制改正と経済の状況というのは密接不可分の関係にあるというふうに思っております。それを開始条件にするのか、停止条件にするのかということはありますけれども、停止条件にしようという声のほうが若干、党のほうでは強いんじゃないかという気がしております。

(問)予算編成の関係で、昨日あたりから、シーリングは守るんだけれども別枠で景気対策に充てようという話で、10兆だとか30兆だとか、そういう話が出ているんですけれども、そういう話と今回のまとまったこの基本方針とはどういう関係になってくるのかというのを、実際それは別枠でやっていこうということがこれから検討されていくのかどうか、お考えをお聞かせください。

(答)においはしているんですけれども、お料理が出てくるのかどうかというのは、また多分、別問題だろうと思っております。ただ、ドグマティックではいけないということは言えるんだろうと思っております。

(問)農地改革の件でお尋ねします。
今日は石破農水大臣から、企業の農地の借り入れについては原則自由化する方向というふうな提案があったんでしょうか。また、その会議の中で一致した方向性というのはどういうものになったのか、お願いします。

(答)私はあんまりこの分野は詳しくないんで、的確なお答えができるかわかりませんけれども、やっぱり「所有」から「利用」へというのが石破大臣の基本的なテーマであったと思っておりまして、やっぱり農地の所有という観点からのみ、ものを考えるのではなくて、より効率的な利用ということを中心に制度改革をしていくというのが石破大臣の立脚点であったと、私は理解しております。

(問)大臣、財政構造改革法と「骨太2006」にそれぞれ策定に携わったお立場ということでお伺いしたいんですけれども、「骨太2006」の歳出・歳入一体改革というのは、現在の経済状況に果たしてフィットするものなのかどうか、その点についての認識をお伺いしたいんですけれども。

(答)「骨太2006」には、経済状況に応じて財政政策も弾力的に対応していくということがきちんと書かれておりますので、現在のところは、現在の経済財政状況に十分対応し得る文書であると思っております。

(問)「中期プログラム」の関係でちょっと御確認なんですけれども、今日、吉川さんが出された工程表には金額は入っていないんですけれども、これを実行するのに必要な財源というのは、これまで吉川さんや国民会議が出されている、2015年時点で消費税換算で3.3から3.5%という、それがこれに当てはまる、その内訳がこれという、そういう理解でよろしいんですか。

(答)最近のデータに基づいて厳密に計算されたものは、社会保障国民会議の数字が最新版でございまして、これに依拠しております。

(問)その上で、もう1点確認なんですけれども、将来消費税が増税される、その増税した分は社会保障に使うんだというときの「社会保障に使う」ということの意味なんですが、それは、この吉川さんたちが出されているような、今ほころびが出ている制度を直していく、あるいはこれから増えていく分に対応する、そういう機能強化とか、そういうことのために使うということなのか。
それとも、先ほど中福祉・低負担というお話もされていましたけれども、今現在でも社会保障はちゃんと安定財源で賄えていないんだと、たらずまいがあるんだと、そこに充てるんだという話と、これによって随分意味合い違ってくると思うんですが、そこはどうなんでしょうか。そのバランスとか何とかというのは、これからの議論だということなのか、それとも少なくとも、国民会議が出している3、4%は増税した分のうち、そこは少なくとも機能強化にしっかり充てるんだということなのか、そこはいかがでしょう。

(答)「機能強化」という抽象的な概念ではなくて、制度として確立された機能強化分野というのは、当然のごとく、その消費税によって賄われるべきものであると思っております。
将来、機能強化というカテゴリーの中で行われる、いろいろな制度の改善、改革、これに対しても当然、将来財源を見つけ、これに充当していくということでありまして、今回は機能強化を全否定したり全肯定したりということではなくて、制度として確立されたものに対しては、当然のごとく消費税を投入していくと、そういう考え方でございます。

(問)そうしますと、要するに、今のたらずまいのところにも当然充当されると、そういう理解ですか。

(答)結果的には、そういうことになります。

(問)先ほど「特別枠のにおいがしてくる」というようなお話があったんですが、イメージとしては、当初予算の予算編成に合わせたものという形なのか、補正みたいな形をイメージされているのか。

(答)全く議論をしていないんでお答えのしようがないと、申しわけないんですが、新聞を読んでいるだけでございますので。

(問)直前まで修文があったり昨日の申し入れがあったり、そういった特別枠の話がまだ出てきたりといった、いろいろ決まる直前に特別枠なんかもまだ不透明であるというような意味で、総理の求心力を問う声なども上がっていると思われるんですが、その辺はいかがでしょうか。

(答)あんまりそういうふうにはものを考えたことがないんで、やっぱり世界の経済の状況とか金融危機に対応したことは、やっぱりドグマティックにならないで対応していくという、そういう精神も必要なんじゃないかと、個人的には思っております。

(問)農地改革プランについてですけれども、民間議員はこのプランは結局、了承したということなんでしょうか。

(答)これは結論が出ているわけではありませんで、議論は打ちかけになっておりまして、来年、新年早々から農業問題、農業政策については議論を進めていこうということで、最終的には自給率50%を目指す、あるいは後継者を育成する、農地の効率的な利用をどうするか等々、もろもろの問題に来年早々から、麻生内閣としては、また諮問会議としては取り組んでいくということを今日決めたわけでございます。

(以 上)