第24回会議(平成20年10月31日) 与謝野大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

与謝野大臣

19時55分~20時16分 於:中央合同庁舎第4号館2階220号室

(1) 生活対策等について

(2) 社会保障・税財政一体改革について

1.発言要旨

 先ほど経済財政諮問会議がございました。概要を申し上げます。
冒頭に、麻生総理から、昨日発表しました新しい経済対策について説明があり、中期プログラムに向けた諮問会議の議論は、私にとって欠かすことのできないものであり、包括的なビジョンを示してほしい、こういう御指示がございました。
第1の議題は、生活対策についてでございますが、民間議員から、内容について率直な御意見をいただき、迅速実施を強く求める旨の御表明がございました。また、日本におけるバブルの発生と崩壊について、内外100名の研究者による2年間の研究成果の御報告がございました。
意見交換のポイントを簡単に御紹介しますと、まず給付金については、地域振興券を検証した結果では、経済力の弱い層に給付を集中すると消費拡大効率は高いが、しかし高い所得層ではそういうことにはならない。したがって、所得制限を設けるべきだという意見。
別の議員の方からは、所得税の世界であり、勤労所得について税額控除のような仕組みを検討すべきだという意見。別の方からは、住宅投資減税をローン、自己資金問わず適用することを今後検討するべきである。また、省エネ機器への買い替えインセンティブを検討すべきだという税制上の御意見がございました。
また、別の議員からは、所得の上限設定は是非やってほしいという旨の御意見の表明がありました。
日銀総裁からは、本日の政策決定会合の御報告があり、緩和的な金融環境を維持するという趣旨の御発言がございました。
第2の議題は、中期プログラムでございますけれども、この中期プログラムの基礎となる資料が提出をされました。すなわち、社会保障国民会議の試算について、吉川座長が紹介をされ、さらに社会保障・税財政一体改革の中期プログラムについて、吉川議員から御報告がありました。「中負担・中福祉」のイメージ、社会保障部門とその他の部門の区分経理のメリットなどについて、御発言がありました。
以上でございます。
もし、必要でありましたら、そこに中期プログラムの基礎となる資料がございますので、若干私から補足的な説明をいたします。
今日の社会保障国民会議の資料でございますが、2015年に消費税換算で3~4%となっておりますけれども、これは増分の部分でございます。中身は、救急医療のスタッフを充実するなど、様々な医療、介護の機能強化と、基礎年金の国庫負担2分の1への引き上げ、このために必要な公費負担、いわば追加的な費用に限って、消費税を換算したものでございます。
安心な社会保障のためには、こうした追加的費用に加えまして、現行の社会保障費にかかります全体をどのような形で賄っていくかという論点も当然のこととして残っているわけでございます。
いずれにせよ、短兵急に税率を議論するつもりはございませんけれども、税制抜本改革の全体像や社会保障とその他の経費の区分経理の問題などとともに議論されるべきものと考えております。
第2点は、中期プログラムの検討の今後の進め方でございますけれども、短期間での検討が必要となっており、諮問会議と党税調など、与党側の議論を同時並行に行っていく必要がございます。その取りまとめにつきましては、会議の席上で中川昭一財務大臣にお願いを会議の席上でいたしました。
また、私も総理の御指示を仰ぎながら、与党側の政調会長、税調幹部等と実務者会合を積み重ねて、諮問会議と与党の議論が同時並行、整合的に行われるように努力をしたいと思っております。
また、民間議員と党側の非公式な意見交換も必要である、そのように認識をしております。
以上です。

2.質疑応答

(問)ちょうど最後お話があった部分なんですが、中川財務大臣に取りまとめをお願いしたということですけれども、この中期プログラムを最終的に決めるところはどこになるんでしょうか。

(答)与党でも決めなければなりませんし、政府においても正式に決めなければならないと。その場合、正式というのは、私の想像ですけれども、閣議でなければならないと思っております。

(問)イメージとしては、政府・与党で何らかの会議を開いて、そこで決めて、それを閣議でも決めるという感じですか。

(答)最後は、与党も決める、政府も決めると、両方決めなければいけない。同時に、なおかつ中身は同じものということで、どういう決め方になるかわかりませんけれども、同じものを同時期に決めるということだと思います。

(問)もう1点だけ、今日、こういった吉川座長からの試算も示されたわけですが、あるべき社会保障制度を維持するための消費税率なり、税のあり方について、総理なり、あるいは他の出席者から御発言があったら、それを紹介していただきたいんですが。

(答)このペーパーに書いてあることがほとんど全てでございます。ペーパーに書いてある以外の御発言は、御参考になるようなものはございませんでした。
ただ、この中期プログラムと諮問会議の役割でございますけれども、当然のこととして、政府の方は諮問会議中心で取りまとめるということで、これは中川大臣を私がきちんと補佐をして、総理のもとで取りまとめていきたいと思っております。

(問)今の消費税率の財源に関しては、基本的に社会保障の財源を確保するという部分を中心にお話なさっていると思うんですけれども、いわゆる財政再建の観点から、例えば2011年のプライマリーバランスの達成ですとか、2010年代半ばの債務、GDP比率の低減であるとか、そういった観点からの消費税率の引き上げという部分については、大臣は今どのようにお考えになっているか、お聞かせ願えますでしょうか。

(答)決定的なお答えができないのが残念なんですけれども、党の中で流れる雰囲気、また政府の中で流れる雰囲気というもの自体は、やはり仮に将来消費税をお願いすることがあるとすれば、いつだろうかと思っていましたら、3年後にはお願いをするということにはなったわけですが、仮にそういうことであれば、やはり消費税自体を目的税化する必要があって、吉川先生が発表された紙にも書いてございますけれども、やはり「中福祉・中負担」、それから消費税を上げた場合にはそれを還元するというイメージがないと、これはなかなか国民にお願いできない。
それから、やはり昨日決めました経済対策の中で、社会保障部門と非社会保障部門というのを厳密な区分経理をするというのは、実はそのことを指しているわけでございまして、きちんと区分経理をすることによって、社会保障として払ったお金は、全額国民に還元され、官の肥大化には使わせないと、そういう理解が進まないと、国民に負担をお願いするということは難しいという、この共通認識は、党内にも、政府内にも、だんだん広がりつつあるし、色々な政策決定にはそういう考え方がだんだん浸透してきていると私は理解をしております。

(問)総理は、3年後に経済の情勢を見ながら消費税率の引き上げをお願いしたいという言い方だったんですけれども、この中期プログラムの中では、今後3年からそれ以降含めて、経済成長率であるとか、中長期的にはこういう成長を日本経済は遂げていくといった、何かそういう姿も示されるのでしょうか。

(答)財政を将来にわたって予測するというのは、なかなか難しい作業であると思っております。経済成長がどのぐらいいくのかということは、紙の上では簡単に書けるんですけれども、たくさんの変数から成り立っている方程式で、なかなかこれが正解ですというものは多分ないんだろうと思います。
しかしながら、将来を予測するためには、ある程度のバンドの範囲内で、ある帯域の中で、上のケース、下のケースというその幅の中で物事を考えていく以外、なかなかうまい方法がない。したがいまして、当然のことながら、財政を考え、税制を考え、中期プログラムを考えていく上では、成長率を始めとして、色々な経済的手法を前提に物事を考えていく、なるべく根拠のある予測を使いながら推し量っていくという手法をとらなければならないと思っております。

(問)消費税の社会保障目的化についてなんですが、一方で政府は道路特定財源の一般財源化ということをやっていて、つまり片一方では、特定財源としたものを一般財源化すると、もう片方では社会保障目的化するということをすると、結局、政府は目的化すると言ったけれども、将来これを歪めるんじゃないかというような懸念があって、税制に対する信頼感が失われるというおそれがあるという指摘もあるんですけれども、この点については大臣はどうお考えでしょうか。

(答)そういう考え方もあると思いますし、古い財政の教科書では、目的税化は財政の硬直化をもたらすというのが教科書的な答えでございます。
しかし、この場合、決定的に違うのは、道路財源があるから道路を造ってしまうという考え方、財源が先にありきの話と、社会保障というのは、それだけのニーズがあって、その財源をどう埋めていくかという話とは目的税化する時の考え方、あるいは道路財源を特定財源から外す時の考え方が全く違うと。有体に言えば、社会保障費用というのは非常に膨大なもので、消費税を幾ら目的税化しても、その全額までは届かないということで、特定財源として許されるべきものと。
ただし、財政学の教科書には、目的税をつくると、財政は硬直化するということは書いてございます。

(問)2点あります。まず、先ほど大臣が議論の基礎になるというふうに仰った吉川先生の出されたこの試算ですけれども、社会保障国民会議がこのたぐいの試算を出した時に、今回提示されているB2シナリオだけではなく、AとかB1とか、複数の種類のシナリオが示されていたと思うんですが、今回このB2を出されたということは、今後の議論においては、このB2シナリオを念頭に置いた議論を進めていくんでしょうか。

(答)別にどのケースを排除したというわけではないと思います。一番ありそうと推論できるものを御説明くださったと思っておりまして、極端なケースは排除して説明してくださった。非常に平均的なものを説明してくださったんではないかと私は理解しております。

(問)それから、やはりこの試算に関してなんですけれども、今日いただいた資料の中に、試算の前提となる経済前提というのもついていまして、それを見ると、内閣府の07年1月の「進路と戦略」の試算の状況、データを使っているということで、例えば2008年度の名目成長率が2.8%で、09年度が3.3%というような形で、ちょっと今の状況とはかなりずれているような想定を使っているように思えるんですが、このあたり試算の正しさというか、正当性に関して、疑問がわくのですが、アップデートというのは考えられているんでしょうか。

(答)それはアップデートしなきゃいけないんですけれども、そういう疑問というのは、多分毎年わいてこられるんじゃないかと思うくらい経済は変動しますので、それはある一定の幅の中で物を考えていくということで、経済の予想というのはなかなか難しいですから、それでも物事の将来を予想しなければならない時には、ある幅の中で物を考えていくということで、具体的に数字が出てしまったものは改訂すべきだという御意見でしたら、私はそのとおりだと思います。

(問)ちょうど、今日、日銀の利下げが昼過ぎにございましたけれども、今日の諮問会議の中で総裁の報告があった後に、利下げについての御議論はありましたでしょうか。ありましたら、さわりを御紹介いただけるとありがたいですが。

(答)報告はありましたけれども、議論はございませんでした。

(以 上)