第21回会議(平成20年8月25日) 与謝野大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

与謝野大臣

18時12分~18時36分 於:共用220会議室

(1) 安心実現のための総合対策について

1.発言要旨

 先ほど今年21回目の経済財政諮問会議を終了いたしました。概要を御報告申し上げます。
本日の議題ですが、「安心実現のための総合対策」について御審議をいただきました。
初めに、基本的な考え方について内閣府から説明を行った後、お手元に配布されております資料に沿って有識者議員から御説明がございました。 主な御発言を御紹介申し上げますと、民間議員からは、今回の対策については、スピード感が必要であると。財政出動を前提としつつ、2011年の基礎的財政収支の達成、また基礎年金の平成21年度、2分の1国庫負担という目標を堅持すべきだという御発言。また、同じ民間議員から、税制とマッチした社会保障政策の道筋を示すことが極めて大事であるという御発言がありました。
別の民間議員からは、いわゆる所得対策ではだめであって、消費より投資に重点を置くと、そういう考え方が必要であるというお話がございました。 また、別の議員からは、中小企業に重点を置いて金融対策を講ずるべきだ。同じ議員から、やはり若者対策が必要であって、若者の共感を呼び起こすこと、これが大変大事になってきているということの御発言がございました。
それから、閣僚からは、現在の新価格体系というものに移行する移行過程においては、やはり商品価格へ次々と転嫁していく必要があって、最終的にはノミナルな賃金上昇というものが必要である。そのタイムラグに対応するために、今回の経済対策があるというふうに認識をしているというお話。民間議員から、税制抜本改革が必要であると。
それから、別の議員からは、前の石油ショックのときも価格高騰が起きたけれども、そのときには中国という大変低廉な製品価格を供給できる国はなかった。したがって、日本国内だけで価格体系の移行ということが可能だったけれども、今ではなかなか中国との競争という関係もあって、価格転嫁が容易にできないというのが経済の現状である。したがって、省エネや新エネ投資を厚くするなどの改革をして対応すべきだと、こういう御意見もありました。
それから、賃金については、我々ももちろんやるけれども、今回の対策、その他の対策で企業が来年の春闘で働く方々の要求を吸収できるよう、そういう状況をつくり上げていかなければならないと。
最後に、総理からは、今の状況は我が国で解決できるもの、我が国では解決できない問題と両方ある。しかし、我が国は取り組むべき問題を一つ一つ、丁寧にやっていくということが必要である。その中でも、中小企業の問題については真剣に取り組みたい。特に、中小企業金融ではいろいろな問題があるという御指摘もあるので、金融担当大臣には既に申し上げてあるけれども、できる限り政府としてとれる対策をとっていきたい。それから、経済対策については、当然ながら財政事情の問題もあるけれども、これから真剣に詰めていく。自分としては、国民の不安感にどうこたえるか、実効性のある対策をしたい。
以上でございます。

2.質疑応答

(問)議事の内容でお伺いしたいんですが、まず今回補正予算の編成なり、その規模についての議論というのはなかったんでしょうか。

(答)「補正予算」という言葉は、今日の会議でも使われませんでしたけれども、ここ5日ぐらいは、補正予算の編成というのは、経済対策をやっていく上で当然のことだというふうに皆さん受けとめられ、議論をされているんだと私は理解をしております。

(問)それで、民間議員の提案について、これについては、例えばこれまでだったら基本的にこれに異議はなかったとか、こういう方向でいきましょうというような取りまとめもあったかと思うんですけれども、今日はこの提案について会議で何らかのコンセンサスというのはあったんですか。

(答)御提案の中で、持続可能な社会保障制度を構築するための財政と一体となった改革ということを、その中のどこかのページで書いてありますけれども、その点については今後諮問会議のメーンテーマにしていこうということは、決定をされました。

(問)2の(2)のところですね。 これは大臣も仰っている、要するに社会保障の給付と負担をめぐる大きなフレームについて諮問会議でやっていきましょうという、そういうことですか。

(答)はい、そうです。
2つ、今後は諮問会議では柱があると思っておりまして、1つは社会保障制度と財政、これの一体的な道筋、これが1つでございます。それから、やはり原油その他の資源、食料等が高騰している中で、やはり日本経済の将来像というものは多くの経営者あるいは国民が描けないでいる。その問題について、やはり諮問会議としては大きなマクロの問題として議論していくと。この2つのテーマは今日お話ししまして、諮問会議の今後のテーマとしていくということに決定をいたしました。
また、まだ最終的には決定しておりませんけれども、この問題を議論することについては、今の民間議員のほかに労働界の代表、経済界の代表また専門分野の学識経験者等に御参加いただいて、幅広く議論を進めてまいりたいと思っております。

(問)民間議員の提案の中では、今回の経済対策の財源について「既存経費の削減または新たな財源の確保により捻出することを基本原則とする」という提案がありまして、要するに赤字国債の追加発行というものには否定的なんですけれども、これについて今日は何らかのコンセンサスはあったんでしょうか。

(答)それは、コンセンサスはございませんでした。二階大臣が、やはり財政規律と経済対策を半ば両立させるような方法はないかというような御発言がありましたけれども、赤字国債の問題について今日の諮問会議で深く議論をしたということはございません。

(問)先ほど大臣も言及されました持続可能な社会保障制度の構築の中で必要となる安定的な財源の確保のための道筋を明確化するという、この部分ですが、これは将来の消費税引き上げとか、そういうことも視野に入れて議論をされるという理解でよろしいでしょうか。

(答)これは、日本の財政が持続可能でないというふうに考えることが必要であります。一方では、社会保障制度の将来について多くの国民が非常に不安感を持って見ているということもあるわけでございます。これは、こういう経済の状況のもとで、国民の負担を増やすような税制改革ができるかどうかというのは、それは政治的にも、あるいは経済そのものからいっても疑問を呈する方もおられます。しかしながら、税制全体を改革しなければならないというのは、国民年金法の中にも3分の1を2分の1にする、安定した財源を求めるということが書いてあります。
それから、道路財源を一般財源化するという政府・与党の合意、福田総理の御発言、どういうコンテクストでものが言われているかといえば、道路特定財源は税制の抜本改革に際して、一般財源化すると。一般財源化は平成21年度から行うと。それから、累次の自民党の税制調査会の税制改革大綱、「2006骨太の方針」等々、全部の中に含まれている思想というのは、税制改革、少なくともその抜本改革の論議だけは始めて、国民にその方向性はお示しをしなければならないということが全体の中で書いてあるわけでして、政治はそれを避けて通るということはできないんだろうと思います。
今御指摘のように、直ちに特定の税目について上げるとかどうするかということは言えないにしろ、抜本改革自体は論議の対象として取り扱うというのは、政府も与党も私は責任があるんだろうというふうに判断しております。

(問)御質問が前後して恐縮ですが、冒頭の内閣府からの説明というのは、与謝野大臣がこの対策についてのお考えを説明されたんでしょうか。

(答)山崎統括官から、文書を御説明いたしました。

(問)あと、改造内閣後の初めての諮問会議なんですけれども、諮問会議を進めていく上での与謝野大臣のお考えなどについては御説明されたんでしょうか。

(答)やっぱりそれぞれの民間議員は、それぞれお立場も違いますし、考え方もそれぞれ、また経験も違うわけですから、諮問会議の場で総理が政策運営をやっていかれる上で有用な議論を展開していただきたいと。今後の諮問会議では、民間議員4人がまとまってということよりも、それぞれ自分の信念とする考え方を御披露いただくということのほうが、諮問会議の役割をよりよく達成できるのではないかというふうに私は思っておりまして、そのような運営に心がけたいと思っております。

(問)経済対策について、その事業規模について、政府のほうから説明をしたり、または出席者の中からこのぐらいの規模であるべきだといったような議論というのは今日はありましたでしょうか。

(答)これは私も関心のあるところであり、皆様方も御関心のあるところでございますけれども、財源の大きさ、あるいは経済対策の規模あるいは事業規模というものについては、今日の諮問会議では一切触れられなかったということでございます。

(問)定額減税について、これがバラマキに当たるとか、それは当たらないであるとか、そういった議論もありましたでしょうか。

(答)定額減税というのは、公明党が御主張になっておられる経済対策の重要な柱の一つでございますけれども、今のところ党の税制関係者の意見をそれとなく伺っても、これを肯定的にとらえている方はなかなかおられないということでございますけれども、最後は与党の中で十分話し合っていただきたいと思いますし、私としては、この税制だけを単独で論ずるということはなかなか難しいものがあって、税制の抜本改革の一環として取り上げることであれば、それは十分議論の対象になると、そのように判断をしております。

(問)わかりましたが、理解できますけれども、今日は議論はなかったということですか。

(答)今日はございませんでした。

(問)先ほど大臣が仰った社会保障と財政の一体改革というところなんですけれども、政府の社会保障国民会議とか政府の税調とか党の税調とか、いろいろな関係する機関がございますけれども、議論の進め方としてはどんな手続あるいは段取りで進めていかれるお考えでしょうか。

(答)官邸に設けられました社会保障国民会議は、精力的に作業を進めておられまして、まだ正確にはいつ報告書が出るかということは伺っておりませんけれども、総理としてはなるべく早くというお気持ちもお持ちなので、社会保障国民会議のほうも総理の期待や御希望に沿って、なるべく早く報告書を出されるんじゃないかと私は思っております。もちろん、基本的な考え方というものは社会保障国民会議の方々の論議をされた、その結果を十分取り入れながら議論は展開されていくものと私は思っております。

(問)フレームワークを先につくって、それに沿ったような形で税調とか社会保障国民会議に、より細かな制度を考えてもらうと、こういう段取りではないんですか。

(答)結局、いい社会保障制度というのは一晩あれば書けるわけですけれども、これはお金の心配をしないで社会保障制度をつくるという意味で、やはり社会保障制度というのは、所得の再配分、所得の移転というものを伴っておりまして、社会保障制度というのは、玉ねぎの皮をどんどんむいていって、最後の芯の部分にあるのは、やはり所得再配分というものが最後にあるわけでして、やはり他の方々にどう御負担いただくかということもあわせて考えませんと、社会保障制度の論議としては大変未熟な議論になる。いい制度は幾らでもつくれますけれども、やはりだれがどうやって、どういうふうに負担をしてくださるのかと、こういうこととあわせて議論をしないと社会保障制度の議論にはならないんだろうと、これが私の個人的な考え方ですが、私はそういうふうに思っております。

(問)ちょっと総理の御発言のところなんですけれども、総理は中小企業金融について特に言及されていたというお話だと思うんですけれども、中小企業金融ではいろんな問題があるという御指摘をされているということなんですけれども、具体的に言って総理はどういうことを念頭に置いておっしゃられているのかというのが1点と、やはり総理のお考えとして、今回の経済対策では中小企業対策をやっぱり重点的にやるべきという、それが念頭にあるのかというところの2点を教えていただきたいんですけれども。

(答)総理は中小企業だけに対策をやるというふうに意図されて発言されたのではないだろうと思います。しかしながら、総理の胸のうちを無理やり推し量るとすれば、やはりいわば中小企業に対する貸し渋りが若干起きているんではないかということを懸念されているんだろうと思っております。 特に日本の金融界は、バブルの時の痛手で、どちらかというと羹に懲りて膾を吹くという、非常に過度に用心深くなっているという局面もあるかもしれないと、そういうことを多分、金融担当大臣によく見るようにと言われたんではないかと思っておりまして、それが今日の総理の御発言の背景だと私は理解をしております。

(問)ちょっと繰り返しになるんですけれども、そうすると、総理としては特に今回の経済対策では中小企業対策に重きを置いてというような意味合いではないということですか。

(答)中小企業も当然重きを置くわけですけれども、その他経済対策全般にわたって、総理は安心実現のための総合対策という全般を実現したいと、実効性のあるものにしたいと、こういうふうに仰っているわけで、当然、中小企業も一つの大事な柱であるという御認識を持っているものと思っております。

(以 上)