第20回会議(平成20年7月29日) 大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

大田大臣

16時58分~17時17分 於:共用220会議室

(1) 平成21年度概算要求基準について

(2) 今後の諮問会議の進め方について

1.発言要旨

 今日の議題は2つです。
来年度の概算要求基準について、それから今後の諮問会議の進め方についてです。
まず概算要求基準について、額賀大臣、それから丹呉主計局長から説明がありました。
出された意見は一つです。民間議員から、総理主導で、いかに重点課題に予算を配分するかというのは重要な課題であり、これまでは必ずしも十分にそれが実現してこなかった。しかし、今回この重点枠が創られた。この重点枠について、従来の省庁の枠にとらわれずに総理のイニシアチブで重要な予算に配分されれば、予算編成の画期的な一歩になる。この枠に入れる内容は、そのプロセスも重要なので、国民に分かりやすく示していくことが必要だ。秋口に各省庁からどんな要望が出されたのか、財務省には報告をしてほしい。昨日の重複だけれどもということで発言がありました。
総理から、次のような発言がありました。
財務大臣には、財政健全化と重要課題への対応を両立させる枠組みを考えていただいた。今後、21年度予算編成がいよいよ本格的に始まるが、「基本方針2008」で示した政策方針を早急に具体化し、日本経済の直面する諸課題に取り組んでほしい。そのため、これまでよりも格段に拡大した重点課題推進枠を真に緊要性の高い課題に活用しなければならない。また、その財源はムダ・ゼロや政策の棚卸しなど、これまでの予算をゼロベースで見直して捻出しなければならない。いずれも、国民の目線に立って、思い切ってメリハリのある21年度予算としていくという御発言がありました。
次いで、平成20年度後半の諮問会議の進め方について、まず民間議員からペーパーの御説明がありました。これについて、次のような意見がありました。
民間議員から、原油高、食料高というのは、台風のような災害にどう対応するかというような形で捉えるのではなくて、日本経済の構造を変えるための好機と捉えるべきである。例えば、漁業についても、漁業者が得る所得と最終消費者が払う価格との間には随分乖離があるので、漁業の流通構造を徹底的に改革することが必要だ。農業も生産意欲を阻害している仕組みを改革して、普通のメカニズムが機能するように、つまり売れるものはもっとつくっていくという、普通のメカニズムを生かすような仕組みにしていかなくてはいけない。それから、成長力が重要な柱だが、やはりその鍵は新雇用戦略である。意欲のある人が存分に能力を発揮できるように、多様な働き方を実現できるようにしていかねばならない。
別の民間議員から、福田内閣のこの10カ月は、道路特定財源の一般財源化や公務員制度改革、低炭素社会への移行、ムダ・ゼロなど従来からの大きな懸案事項に正面から取り組んで、大きく歩を進めたと考えている。これを完成させていく上では、今年の後半が極めて重要で、総理のリーダーシップで完成させていく必要がある。それから、諮問会議でも、社会保障の給付と負担、グローバル化のもとでの成長力強化、税制改革など従来からの重要課題に正面から取り組み議論をしていく必要がある。成長力に関連して、短期的には日本経済を取り巻く環境は厳しいが、日本の強みを生かすチャンスでもある。環境エネルギー技術を開発すること、あるいは安全で質のよい農産物がつくれるよう農業改革を進めることといったことが重要だ。それから、抜本的な税制改革を断行することが不可欠だ。日本の法人税率はOECDの中でも最高水準にある。このままでは経済成長を実現することは難しい。一方、国内では、社会保障、少子化という課題もあるので、税制改革の道筋をしっかり示していくことが必要だ。それから、EPAを進めることは重要で、特にEUとのEPAが重要だ。明るいメッセージを出していくことは必要だ。政府部内でも地方分権改革、それから電子政府の構築が重要であるという発言がありました。
甘利経済産業大臣の代理で出席された新藤副大臣から、この原油高、資源高というのは一過性のものではない。省エネや省資源の技術開発をし、企業のコストを削減し、低減させていくという構造的な取り組みが必要である。経産省としても、省エネの技術開発、省エネ機器などへの新たな需要を創出するための取り組みに最大限注力していきたいという御発言がありました。
額賀大臣から、民間議員のペーパーの中に税制改革ということが書かれているが、これは税制だけの影響を考えるのではなくて、社会保障や成長力など歳出面とも関連させて考える必要がある。例えば社会保障はその受益それ自体も経済効果があるわけで、総合的に考える必要がある。財政再建の第3ステージの目標を議論していくということが民間議員の提案に書かれている。これは、2011年度にプライマリーバランスを黒字化させた後、2010年代半ばに向かって債務残高の対GDP比を安定的に引き下げるための目標設定ということだが、これについては単なるお題目ではなくて、具体的な目標のあり方を考えていくことが必要である。それから、民間議員提案にあるマクロ経済運営については、政府部内でも連携をとり、また日銀とも折に触れ情報を共有しながら進めていきたいという御発言がありました。
最後に、総理から次のような発言がありました。
今年度の後半は、日本の将来のための重要な改革というのを推進していかなくてはいけない。そのためにも、優先順位をつけた上で真に重要な課題を集中的に議論していくということを考えてほしい。それから、経済運営については、海外の経済動向、その日本経済への影響を注視して機動的に対応する必要がある。諮問会議の役割というのは大変重要である。引き続きよろしくお願いしたいという御発言がありました。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)シーリングですけれども、大臣が議論を御説明になった中で、重要課題推進枠について、民間議員のほうから諮問会議で秋口に報告を受けて議論したいというようなお話が昨日もあったかと思いますが、まずこれについて、財務大臣なり総理の方から、それはやるべしという話はなかったのでしょうか。

(答)進め方についてはありませんでしたけれども、昨日、額賀大臣のほうから、やはりこの重点枠というのは日本が新たなスタートを切るための大変重要な枠であるので、しっかり議論していきたい、民間議員の仰った通りという言い方をされておられましたので、これについては、反論はなかったということだと思います。総理からも、真に緊要なでしたか、先ほど御紹介いたしましたが、真に緊要性の高い課題に活用しなければならないという御発言がありましたので、その意図するところは民間議員、額賀大臣、そして総理も同じだと思っております。したがって、この重点枠をしっかり活用するためには諮問会議でも議論していきたいと思っています。

(問)これまで余りそのような例はなかったかと思いますが。確かに大臣が仰る通り、透明性を高める上でも、あるいは総理のリーダーシップを発揮する上でも諮問会議の場で、そういった具体的なことを議論するというのは重要かとは思うのですけれども、これは本当に財務省の方の反対はないんでしょうか。

(答)まずは秋に各省からどういう要望が出されたのか、まずそれを受けて、どういうものがいいかということを議論していく必要がありますので、最初からこれが大事でこれが大事じゃないというという議論ではなく、各省から出された要望、金額、そういうものを出していただいて議論するということになると思います。
重点課題にメリハリをつけるというのは、本当に難しい課題で、諮問会議ができてからずっと、どういう仕組みがいいかということをいろいろ議論してきている。「のびのび要求、厳しく査定」というのもそこから生まれていますし、本当に諮問会議の議事録を最初から読んでいただけるとわかるのですが、いろいろな試みをしてなかなかうまくいっていない。
今回は「メリ」ということで、裁量的経費をさらに2%減らし、そこから捻出した財源で重点課題推進枠というのがつくられたわけですね。ここを総理のリーダーシップで内閣として重要な課題に向けていくという、これは、今日民間議員から発言があったように、メリハリをつける仕組みとしては、やはり新しい試みであり、うまくいけば重要な一歩だと私も思っています。
今日のその後の閣議でも、総理から、大幅に拡大した重点課題推進枠については、成長力の強化、低炭素社会の構築、安心できる社会保障、質の高い国民生活の構築等のためというだけではなく、真に緊急で内閣として重点的に取り組むべき課題に思い切って予算配分を行うという御発言がありました。ここをどうしていくかというのが来年度予算の最大のポイントだという風に考えています。だからこそ、透明性のある形で決めていく必要があるということですね。

(問)2010年度の財政再建の目標を具体的な目標をつくりたいということで、民間議員が提案しましたけれども……

(答)「10年代半ばに向けての」ですね。

(問)ええ。これを議論するということについては、特に異論はなく合意されたということですか。

(答)はい。これはもう「骨太方針」にも書かれておりますので、議論していくということですね。

(問)議論した結果というのは、来年の「進路と戦略」とか来年の「骨太の方針」に盛り込みたいというふうに考えていらっしゃいますか。

(答)はい。

(問)当然これは秋に議論を行うとされている税制の抜本改革と絡めたというか、その結果としてもこういったもの、10年代半ばにかけた目標が達成されると、絡めたものになるということですか。

(答)当然、結果的には絡んできますけれども、まずは2010年代半ばに債務残高の対GDP比を引き下げるのにプライマリー黒字はどれぐらいであればいいのかといった議論をしていくということですね。2011年度にPBを黒字化するというのも、これまでの諮問会議で、当初は「2010年代初頭にプライマリーバランスを黒字化する」という目標をまず置いて、そしてだんだん2011年度というふうに絞っていって、骨太2006で5年間のプログラムができたわけですね。その後の目標がまだ全く議論されていませんから、今年の「進路と戦略」は4年間になっております。今度は、2010年代半ばにどんな目標を設定するかという議論がここから始まるわけですね。このとき、例えばプライマリー黒字という形で目標を決めるのかどうか、それを決めていく。
したがって、税と直接的に、今の時点でリンクする、ダイレクトにつながるということではありませんが、当然その目標を達成するために歳出改革も税制改革も必要になってまいりますので、結果的には関係してくるということですね。

(問)諮問会議で税制の抜本改革の議論をするときに、税制の改革を行うことによって、10年代半ばの、例えばプライマリーバランス黒字がこれくらい達成されると、そういう形の議論をされるのですか。

(答)税の議論をするからPBの債務残高が引き下げられるというのは、少し順序が逆で、まず財政の目標、財政再建の第3ステージの目標があり、まず目標設定するということですね。税に関しては、諮問会議では、社会保障の給付と負担の関係で議論していくのが大事で、社会保障国民会議の推計も踏まえて議論に入っていくことになります。

(問)今日の民間議員のペーパーの中に、財政の諸課題の(1)というところで、税制改革が与えるマクロ経済への影響に加え、税制改革がもたらす「企業や家計、成長力」に与える影響などの分析を諮問会議で提示するということになっているのですけれども、これはいつ頃を想定されていて、昨年、社会保障に関して試算を出したけれども、あのような形で出されるのかどうか、そのことについてちょっとお伺いできますでしょうか。

(答)やはり税制改革というのは分析をベースにして行う必要があると考えております。民間議員も同じ意見です。これまで、なかなか分析をベースにした議論というのは、十分ではなかったわけですけれども、やはり本格的な税制改革は分析をやりながら議論していく必要があります。
時期としては、税制改革を議論するときに、その材料として出していくということになりますから、秋ですね。研究所とも連携をとりながら、民間議員に御指導をいただきながら分析をやっていきたいと思っています。

(問)こちらの民間議員のペーパーの中の1の(1)のところで、「農業改革プランの策定にむけた」云々という構造改革とあります。今、日本の置かれた全体の状況として、WTOの閣僚級の交渉が行われていて、今後かなり厳しい内容になろうかなという感じもするのですけれども、そういった外部環境の変化を受けて、今後の諮問会議での農業改革についての議論というのがかなり加速していくのか。また、その中身についてもそういった外部環境を受けての、そういった状況を想定しての議論になっていくのかというような見通しについてお聞かせ願えますでしょうか。

(答)WTOは今もう、まさに交渉の大詰めですので、それについてのコメントは控えますが、今日民間議員からこのペーパーの説明に当たっても、今大きく動こうとしている、改めて農業の生産性向上を考えていくタイミングである、好機であるという御意見が出されております。これは、このペーパーの説明の時に出されましたし、先ほど紹介した議論の中でも、農業については、逆に日本の強みとして安全で質の高い農産物を出していくチャンスであるという議論が出されています。したがいまして、当然WTOを巡る動き、あるいは食糧危機といった動きですね、食料供給力を高めていくという観点から、農業の生産性向上、強い農業にしていくという議論はしっかりとしていきたいと思います。

(以 上)