第17回会議(平成20年6月27日) 大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

大田大臣

17時16分~17時39分 於:共用第1特別会議室

(1) 「基本方針2008」について

1.発言要旨

 本日は、「基本方針2008」について、総理から諮問をいただき、資料配布されているとおりに、諮問会議の答申といたしました。副題については、「~開かれた国、全員参加の成長、環境との共生~」と総理が決めております。「進路と戦略」と同じ副題、福田内閣として同じ副題を、この「基本方針2008」にも使うということです。
今日は、格別の発言はありませんでした。
答申後、総理から、次のようなあいさつがありました。プレスが入っておられましたので、詳しくは御紹介しませんが、ちょっと早口で申し上げます。
「経済財政改革の基本方針2008」を答申いただき、議員の皆様には厚くお礼を申し上げます。
総理に就任して9カ月になりますが、私の考える改革の全体像と道筋を示したものが、この「経済財政改革の基本方針2008」であります。経済成長戦略、消費者庁の設置、道路特定財源の一般財源化、低炭素社会の実現など、内閣が今、取り組まなければならない重要課題を取りまとめております。
また、歳出改革を堅持し、「基本方針2006」、「基本方針2007」に則り、最大限の削減を行います。他方で、国民のニーズが高い社会保障分野などの重点課題には、財源を捻出してしっかりと対応いたします。
改革の芽はまだ小さいものの、既に多くの分野で変化が起きています。私は、この「基本方針」を早急に閣議決定し、政府全体の取組として大きく広げ、加速させます。その先に、国民一人一人の皆様方が、「国民目線の行政に変わった」、「閉塞感がなくなった」、「安心して暮らせるようになった」と実感できる社会が実現するよう、改革に取り組んでまいります。引き続き、関係各位の御尽力をよろしくお願いします。
その第一歩として、概算要求段階では、これまで以上に一般会計、特別会計全体を根底から厳しく洗い直し、「ムダ・ゼロ」及び政策の棚卸しを徹底させたいと考えております。重点課題に対して、そうして捻出した財源を充てる一方、これまでの既定の経費については、効率化を徹底させます。財務大臣には、このように財政健全化と重要課題への対応を両立させるよう、概算要求基準に向けて、具体策を検討していただきたいと思います。
以上です。
私からの報告は以上です。

2.質疑応答

(問)全般的なことをお伺いしたいのですが、福田政権は、特に小泉政権と比べると、現在、支持率も低く、党内基盤も強くないと。さらに、「ねじれ国会」というハンディも背負っているわけですけれども、そういう意味で、特に与党内、あるいは政府内でも抵抗の強い内容について、「骨太2008」を取りまとめる過程では、いろいろ折衝にも当たられたと思うのですが、かなり難しい面というのはあったのでしょうか。

(答)やはり、歳出・歳入一体改革、これは5年間のプログラムですけれども、この3年目の予算を、今度は対象にしているわけですね。今、おっしゃったような政治的な状況というのは置いて考えても、やはり5年間のプログラムを実行していくというのは難しいことで、特に日本は中期で予算を管理していくという経験がまだないのですね。財政構造改革法というのは、1年で凍結されました。つまり、5年間のプログラムを運んでいくというのは、日本ではまだ初めてのことですので、これをもうやめるべきだという声は、去年の国会でも随分出ておりました。そういう意味で、この「骨太」が3年目の予算のスタートですので、これを守るということは、大変難しいことでした。何とかそのスタートは、しっかりと切れたというふうに思っています。
それから、今年感じたこととしまして、「骨太の方針」の位置づけが、年々大きくなっているのですね。この6月に照準を合わせて、政府でも党でもいろいろなプランがつくられるのですね。そして、取りまとめ過程では、「書くな」という圧力と「書け」という圧力が両方押し寄せてきますので、その中で、内閣のメッセージをしっかりと揺るがないように伝えていくという取りまとめの難しさというのも痛感いたしました。
ただ、それだけ位置づけが大きくなっているということは、喜ばしいことでもあって、やはり内閣のマニフェストとしての位置づけ、性格づけが、だんだんできてきたように思います。

(問)先ほど私が申し上げたことは、わきに置いておいてというお話があったのですが、わきに置かないで、ちょっとお答えいただきたいのですけれども、要するに、大臣は諮問会議の草創期から、内閣府の事務方としても「骨太」の取りまとめにずっと携わっていらっしゃったと思うのですが、そういう意味で、特に小泉政権時との比較で、取りまとめの難しさというのは増しているのかということをお伺いしたかったのですけれども。

(答)統括官として取りまとめていたときと、大臣として取りまとめているときで、また立場が違うのですけれども……そうですね、その時々で難しさは違うのですね。
例えば、三位一体改革というのを取りまとめたときも、もう最後の総理指示までまとまらないと。官邸に検討会議をつくってやったりして、ぎりぎりまでまとまらないということもありました。
ただ、やはり今年のこの社会保障を巡っての取りまとめというのは、「骨太の方針」に入る前、もう去年の国会のときから、この「基本方針2006」に沿った伸びの抑制はやめるべきだという声は強かったですから、そういう意味では難しかったですね。大変難しかったです。

(問)かなり難しかったというお話ですけれども、実際にでき上がったこの「骨太」の出来ばえなのですけれども、当初、大臣が考えていらしたものと比べて、満足のいくものができたとお考えなのか、ちょっと骨抜きになってしまったなとお考えなのか、その辺をお聞かせください。

(答)守るべきは守れたと思っています。それは、歳出・歳入一体改革ですね。それから、成長戦略についても、「いつまでに何をする」ということは明記されておりますし、守りたいと思っていたものは、守れたというふうに思っています。
ただ、これは成長戦略を取りまとめているときからでもありますが、グローバル戦略というのは日本経済にとって一番大事で、でも、一番難しい課題なのですね。これは、成長戦略を取りまとめるときの難しさでもありますが、今回の「骨太」では、これについても、例えば高度人材の受け入れについて、政府で推進会議をつくって、年内にアクションプログラムをつくるという具合に一歩踏み出すことができましたし、航空の自由化についても、羽田・成田の首都圏の国際航空機能を強化するということで一歩踏み出せましたし、難しい課題は難しいなりに、一歩踏み出すことはできたと思っています。

(問)守るべきものは守れたと。逆に、攻めるべきところを攻められたのかなと思うのですが、その辺はどうなのでしょうか。

(答)どこを攻めるべきだと思われますか。

(問)具体的に、教育のところが、「『教育振興基本計画』に基づき」と、ここの一節がありますけれども、ここに数字、GDP比5%が入ってしまえば、これはすべて台なしになってしまうのではないかと思うのですが、この点はどうなのでしょうか。

(答)そもそも、教育振興基本計画が「骨太の方針」の前に取りまとめられていて、それを受けるということになっておりまして、基本計画の策定がこれだけ遅れているというのは、まさに今、おっしゃったポイントで、まとめられずにいるわけですね。
したがいまして、この「骨太」という土俵でも同じような議論がありまして、最後までペンディングになりましたけれども、「骨太」の段階では、これはもう歳出・歳入一体改革をしっかり守るという路線は押さえていますので、基本計画もその枠内ということですね。少なくとも2011年度まではその枠内ということは、押さえられているわけです。

(問)いわゆる数字を入れさせないという意味でとってよろしいのでしょうか。

(答)基本計画というのは10年間ですので、この「骨太」とは少し土俵、スパンも違いますけれども、あくまでも歳出・歳入一体改革の枠内でということになるわけですね。

(問)そこは守るということで。

(答)はい。そういうことです。

(問)そもそもの「骨太の方針」のあり方なのですけれども、例えば道路特定財源の書きぶりについても、「骨太」というのはあくまでも大枠を決めるものなので、具体論はシーリングなり、年末までの予算編成の過程、あるいは税制改正論議の中で決まっていくというお話があって、それは確かに「骨太」の一つのあり方だと思うのですけれども、一方で、先ほど大臣御自身もおっしゃっていたように、「入れろ、入れろ」という圧力があって、やはりこれに書いてあれば予算がつきやすいということで、各省なり政治の側からもいろいろなプレッシャーがあって、結局、かなり細かい項目も一方で入っていると思うのですけれども、そういう意味で、そもそもの「骨太」の位置づけというのが一体何なのかという部分はあると思うのですけれども、そこを大臣はどのようにお考えですか。

(答)まさに、これは「予算の基本方針」なのですね。いろいろなものを入れてはおりますけれども、「経済財政改革の基本方針」ですから、「改革」という、ここがぶれないように、入れる場合も、そこは本当に細心の注意で入れるということですね。ばらまきにならないように入れますし、入れるべきでないものは入れませんし、そこは取りまとめる担当として、きっちりと一線を引きながら入れているということです。
あと、冒頭に道路のことを言われましたが、6月という時点で入れられるもの、入れられないものがあるわけですね。まだ税収見積もりも出ておりませんし、道路については交通センサスのデータを受けて、また今後、議論していくわけですね。
したがって、「骨太」は、予算編成のまさにスタートですから、ここで守らなければいけないものは守り、この後、この年末の「予算編成の基本方針」に向けてスタートを切っているわけですから、諮問会議も今後は「予算編成の基本方針」に向けて、この「骨太」に書かれたことをさらに詰めていくというステップに入ります。

(問)今後へのステップということですけれども、来月にも、恐らく「予算の全体像」を出して、シーリングがあって、概算要求があってという流れで、まだまだ予断は許さないと思うのですが、今日、とりあえず一つのまとめを出すことができて、この先の展望について、先週は「暴風雨」という言い方を、大臣はおっしゃっていましたけれども、この先について難しさ、あるいは展望を、どういうふうに御覧になっていますか。

(答)今年は、激しい風雨が続くのではないでしょうか。シーリングがあって、夏には社会保障国民会議から、社会保障の給付と負担のバランスも出されます。それから、道路の中期計画の策定があります。そして、税制改革の議論があります。年末の予算編成まで、幾つもの山場があると思っています。それだけに、このスタートの「骨太」というのは大事だったわけですね。

(問)年末に向けて、また最大の山場というのは、1つ、基礎年金国庫負担の2兆数千億の話があると思うのですが、今回、そのお話は書かれていても、財源については全く触れられていないのですが、その点について大臣は、今回入れなかったことと、できなかったわけだから、今後、どういうふうに議論を進めていくべきか、そこの考えをお願いします。

(答)財源は税制改革の議論になりますので、それは秋にやるということです。2分の1に引き上げるという方針は、前と変わらず書かれております。税制改革の議論を秋にやると。今、諮問会議では、1回目がスタートいたしましたけれども、今後、それを引き続きやっていきます。

(問)細かいことで恐縮なのですけれども、前回の諮問会議で、民間議員から、農業生産法人の基準の見直しについて書き込むべきだというふうな意見があったかと思いますけれども、結果的には見送られているようですけれども、改革という意味では、前回以降1年間ずっと議論してきたものが今回の表現から落ちているというのは、改革が後退しているようにも見えるのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

(答)「骨太の方針」をつくるときは、まず諮問会議で民間議員から、高目の球といいますか、あるべき姿が書かれて、そして、それが各省折衝で少し落ちて、また与党調整があるということですね。
したがって、民間議員が提案されたものがすべて書かれると、そうなれば本当に万々歳ではありますが、そうはなかなかならないわけですね。したがって、民間議員から御発言があった後、もちろんこちらからの打ち出しとしては、諮問会議の議論を踏まえた民間議員の提案─諮問会議の中でも、若林大臣との間で議論も、御存じのようにありますので─、打ち出しは、民間議員提案を受けて打ち出すわけですけれども、そして、ぎりぎりの調整をした結果が原案として出ているということは、私からも申し上げました。
ただ、今の点も、全く抜けているわけではありませんで、議論の芽は残してあります。そして、年内に、この農業改革プランをつくるわけですね。したがって、芽をしっかりと残した上で、今後、諮問会議でまた議論をやっていきます。
まず、この農業については、「平成の農地改革」、「企業型農業経営の拡大」という、キーワードはしっかりと書いてあります。この2つの点について、平成20年内に農業改革プランの成案を得て、制度改革を行うと。その際、経済財政諮問会議の議論を経てとなっておりますので、諮問会議でまたしっかり議論すると。そして、農業生産法人については、「企業型農業経営の拡大」のところで「農業経営の法人化を進めるなど」ということで、議論の材料としては残っているわけですね。

(問)例えば、基準の見直しということに関して、要は去年の「骨太」には書き込まれていて、今年は落ちているというふうに思うのですけれども。

(答)今年は、それは「農業経営の法人化」という言葉で書かれています。それも含めて議論するということですね。

(問)先ほど、内閣のマニフェストとして「骨太」が裏づけられたとおっしゃいましたけれども、今までと一番違うと感じられている点と、今年の「骨太」を100点満点でつけるとしたら、何点だと思われますか。

(答)これまでも、マニフェストではあるのですね。ただ、私が先ほど申し上げたのは、だんだん「骨太の方針」に向けて、政府でも党でも、6月に照準を合わせていろいろな議論がなされているという意味で、経済財政について、分量は増えていませんけれども、内容的に次第に厚みを増した「骨太」になってきているという意味で、マニフェストとしての性格が形づくられてきているという意味で申し上げました。
点数は、毎年聞かれるのですけれども、これは福田内閣の政策を示すものですから、点数をつけるようなものではないのですね。「経済財政白書」とは違いますので、点数をつけるようなものではないと思っています。もう、最大限の努力はいたしました。

(問)いやらしい言い方になるかもしれないですけれども、この6月の時点でできることとできないことというのがはっきりしたと思うのですけれども、あえて言うのであれば、これは諮問会議の限界が見えたのではないかというような、僕自身、そう思ってしまうのですが、そういう面はないのでしょうか。

(答)どういう点が限界ですか。

(問)道路特定財源とか、あれも、いわゆる新しい基準ができない限り、何も書けないと。年金の財源も、秋の税制を越えないとできないと。そういうものを越えていないとできないというような感じになっているではないですか。その前に、この6月の段階で、大臣がぽっと「こうすればいい」とかというものを出せないものなのかなと思ってしまうのですが、その辺はどうなのでしょうか。

(答)道路特定財源も、安倍内閣のときから諮問会議が主導したわけですね。そして、これは、今、一般財源化ということは明確に書かれました。それについては、交通センサスのデータを受けて見直すという過程がないとできませんので、それはまた秋にしっかり議論するということだと思います。
それから、税制改革の議論は、秋にやるという総理の明確な方針がありますので、これは秋にやっていくということですね。去年しっかりできなかったというのは残念ですけれども、秋にやっていくということです。
「骨太の方針」でいきますと、私は、税を「骨太の方針」にしっかり書きたいというのは長年考えていたことで、「骨太の方針」には税が盛り込まれていなかったのですね。去年は書きましたけれども、それは基本哲学だったわけです。今年は、さらに一歩踏み込んで、例えば401kですとか、個別税目についても書き込んでいますので、それは一歩前進だったと見ています。
ですから、テーマとして何を取り上げるかというのは、政府全体の方針の中で決まります。その中で、諮問会議がどこまで踏み込んだ議論をできるか、そこがポイントなわけですね。道路の今後の議論でも、税の議論でも、それはしっかりやっていきたいと思っています。

(問)もう少し書きたかったところとか、書き足りなかったところはないでしょうか。

(答)書き足りなかったというよりも、この諮問会議で民間議員から提案のあったものを、まず打ち出しにしていますから、そこからさっきの御質問のように、少し丸めていかなくてはならない、あるいは落とされた部分もあるわけですね。
しかし、それは民間議員の提案と、これが閣議決定される政策になるという意味ではおのずと違いますので、それはやむを得ないと思っています。だからこそ、最初、提案がしっかりとすっきりした形でなされて、それが閣議決定されていく、そのプロセスが透明になっているというのが、諮問会議のよいところなわけですね。最初から、この落としどころのところで議論するのではなくて、落ちたということもはっきりわかる形で、素案、原案、最後の形と出しておりますので、それはよい点なのだろうと思います。

(以 上)