第16回会議(平成20年6月23日) 大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

大田大臣

18時39分~19時03分 於:共用第1特別会議室

(1) 「基本方針2008」に向けて

1.発言要旨

 今日は「基本方針2008」の原案について審議いたしました。幾つか出た意見を御紹介いたします。お手元にこの原案をお持ちの方は、ページ数を申し上げます。
14ページの中小企業の一番下に、「原油価格高騰等の影響を受けている中小企業者に対し、政府系金融機関等による資金調達の円滑化を図るとともに、民間金融機関に対しても配慮を要請する。」という表現があります。ここの「配慮を要請する」というのが、これは民間議員からですけれども、例えば低金利で貸せとか、そういう特別なことを要請するように読めるので、誤解のないような表現にしたほうがいいという御発言がありました。ここは官房長官の方からも、貸し渋り対策というようなことを念頭に置いているということでしたので、検討いたします。
それ以外に民間議員から、農業が非常に重要なので、農業生産法人の要件の見直しをきちんと書くべき。あるいはEUとのEPAが、原案の一番最後のEPA工程表に「将来の課題として」と書かれているけれども、これは将来の課題では遅いので、もっと早くやるべきというような御発言がありました。ただ、こういうところは私どももぎりぎりの調整をして、今原案に至っております。再度、検討はいたしますが、そのように私のほうからも答えました。
それから、別の民間議員から、諮問会議で議論したテーマについては、どの省が何を、いつまでにやるというのを書いてあるわけですけれども、新たに各省との調整あるいは与党との調整の中で加わった政策の中には、「何々を推進する」というような表現になっていて、いつまでに何をやるかを明記していないものがある。こういうものについては、PDCAをきちんとすべきである。財務大臣は、概算要求を見る際にも、成果目標や工程が明確でない予算については厳しくするようなことが必要である。
それから、民間議員から、12ページ「(1)地域活性化の支援」というところの2つ目の黒ポツの一番最後、「地方再生対策の考え方に従った交付税配分の重点化を引き続き進め、地方交付税を財政の厳しい地域に重点的に配分する。」という記述の運用について、単に厳しいから、財政が苦しいから配分するということではなく、地域の努力にしっかりとこたえる形の配分にすべきという御意見がありました。
あと、甘利大臣が御欠席で、新藤経済産業副大臣から、原油価格の高騰対策が「骨太方針」でしっかり位置付けられたことを評価したい。中小企業対策もしっかり進めていくという御発言がありました。
あと、教育について、まだペンディングになっております。官房長官から、ここはしっかりと調整を進めてほしいという発言がありました。この教育振興基本計画がまだ決まっていないわけですけれども、これに関して額賀大臣から、事務レベルでもしっかり議論を進めたい。全体の流れの中で、教育をどう位置付けていくのか、しっかりと調整を進めていくという御発言がありました。
議論は以上です。
今日の議論も踏まえまして、次回できれば取りまとめをさせていただきたいと考えております。取りまとめに向けて、今後努力してまいります。
副題については、総理に決定していただくということで、今日申し上げました。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)原案の20ページなのですが、大臣が先週仰っておられた社会保障の財源として、ムダ・ゼロと政策の棚卸しで財源を捻出する、さらに、足りない部分は消費税等の新たな財源を模索するというお話をされていたと思うのですが、その最後の新たな財源というのを書き込まなかった理由はなぜですかということ。
それから、先ほど総理が総理官邸で記者会見をしまして、消費税について先日のお話で「決断のときだ」と仰っていたんですが、その趣旨は二、三年ぐらいのスパンを考えてのことだというお話をされていました。ややちょっと消費税論議が若干後退ぎみなのかなという気がしないでもないんですが、その点につきまして、この「骨太」の表記と何か関係があるのかどうか。この2点についてお願いします。

(答)まず最初の点ですけれども、全体の歳出改革、歳入改革の考え方は22ページに「改革のポイント」として書いてあります。「1」で「引き続き「基本方針2006」、「基本方針2007」に則り、最大限の削減を行う」と。ただし、「基本方針2006」以降に新しく出て必要不可欠となった経費については、「まずは、これまで以上にムダ・ゼロ、政策の棚卸し等を徹底し」ということが書いてあります。以上の歳出改革を行って、なお対応しきれないものは「安定的な財源を確保」する。負担とセットで議論するという、これが全体の姿です。この中で、2番目のところを書いたのが、社会保障のうち25ページの重要課題についての部分です。
したがいまして、重要政策については、22ページの2番の考え方でしっかりとやっていく。「まずは」と書かれていますので、まずはムダ・ゼロ、政策の棚卸しで財源をしっかりと捻出するということですね。ですから、特別に3番目の議論をなくしたということではなくて、1、2、3は全体にかかっています。その中で、2番で言っている重要課題というのはこの部分だと。社会保障でこの部分だということを明確にしたということです。
それから、総理の今日の記者会見については、私も諮問会議の直前で聞きませんでしたけれども、おそらく総理のお考えも一緒で、まずはムダ・ゼロ、政策の棚卸しをやり、それでも足りない部分は負担とセットで議論していくということだろうと思います。
消費税を含めた税制の議論は、秋にしっかりやるという方針は変わりません。

(問)まずこれまでの与党との調整の中で、例年に比べて歳出増への圧力というものはどのようにお感じになったかをお伺いしたいんですが。

(答)暴風雨のように、強いということが言えます。

(問)例年に比べてどうだったんでしょうか。

(答)例年といいましても、そうですね、強いですね。去年も予算編成、「骨太の方針」を策定する段階で、歳出削減については大変な風が吹いておりましたけれども、今年はさらに強いです。早い段階から吹いていたと、暴風が吹いていたという感じがいたします。

(問)その暴風雨の中で、前回の素案の審議では、総理がこれまでの歳出削減路線の堅持を明言されると同時に、新たに生じた政策課題については他の分野での歳出削減あるいは道路財源の一般財源化などで、財源を捻出するということを仰ったんですけれども、やっぱりここをつかまえて、さらに与党内ではこの分野にも金をくれ、この分野にも金をくれというような声が高まっています。総理が仰るような財源の捻出というのは、一歩間違えるとこれまでの歳出削減路線の否定につながりかねない部分があるかと思うんですけれども、これは歳出削減路線は守れるというように今でもお考えなんでしょうか。

(答)これは守っていかなくてはいけないんだと思います。「基本方針2006」というのは、そのときの歳出を効率化していく。単に財政健全化ではなくて、それをてこにして歳出を効率化するというのが趣旨ですから、社会保障についても、既定経費については歳出を効率化させていく。しかし、その後、やはり国民のニーズが高まってきた課題というのはあるわけですね。これは中期の計画である以上、やむを得ないと思います。その中でやみくもにつけるのではなくて、やはり国民のニーズが非常に高いもの、緊急性の高いものについて、まず財源を捻出して対応していくという原則をはっきりと、ここで示したわけですね。その原則にしっかり乗っていくということです。
国民のニーズが高い経費について、財源を捻出して充てるということについては、私は歳出改革が揺らいだというふうには見ておりません。

(問)もう1点、道路特定財源の一般財源化のところなんですけれども、これは大臣御自身、前回の記者会見でも仰ったとおり、実際幾ら一般財源化できるかというのは、必要な道路がどのぐらいで、またその予算編成なんかも絡んでくる話なので、現段階ではまだ決まっていないわけですけれども、やっぱりこれについても道路族議員は、年末に具体像が決まるときには、これまでどおり道路予算はしっかり確保できるから大丈夫なんだというようなことを言っている方もいるようです。そういう意味で総理が仰るような、いわゆる生活者財源ですね、これにしっかり、ちゃんとした意味のある金額が回るのかどうかという、その実現性についてはどうお考えでしょうか。

(答)そのことについて、今、私は何とも申し上げる材料を持っておりません。ただ、ともかくこの「骨太の方針」にも書いてありますように、既に閣議決定されているわけですね。この点をしっかりと守り、総理が言われているように、生活者の目線でその使い方を見直すという、これをいかに具体化していくかというのが、これからの大きい課題だと思っています。この方向でしっかりとやっていくということですね。

(問)そこは、大臣からは「いや、意味のある金額は回るんです」というのは、今時点では言えないということなんですね。

(答)申し上げる材料がないということを、軽々に「幾ら出そうです」とか、そういうことは言うべきでもありません。まさにここでセオリーが書かれているわけですね。このセオリーに沿って見直していくということです。少なくとも、一般財源化するということは、明確になっているわけですから、それをこの生活者目線で見直していくということですね。

(問)この今日の原案なんですが、先ほど民間議員らから指摘があった点及びペンディングになっている部分以外については、おおむね了承されたという位置付けでよろしいんでしょうか。

(答)まだ、明日、党の御意見を伺う場がありますので、いろんな御意見は出ると思います。一応、これまでのところ調整ができているのはここだということですね。

(問)素案も、一回党の政調があったわけですけれども、そうすると、素案と原案で変わっていないものについては、党との調整がついたという理解でよろしいのでしょうか。

(答)おおむね、そういう理解でいいと思いますね。

(問)それと、今日総理は何か「骨太の方針」について御発言はあったんでしょうか。

(答)いえ、今日はありませんでした。

(問)30ページの「平成21年度予算の方向」というところで、「削減を行う」が素案では最後だったんですけれども、それが真ん中に来て「財源の重点配分を行う」が最後に来て、順番が変わっています。これはどういうような意味があるんでしょうか。

(答)何の意味もありません。前回、官房長官の御発言で、ここは「メリハリの効いた予算編成」を書いているが、「最大限の削減を行う」で終わっていると、あたかも削減するための予算のようになってしまう。しかし、メリハリを効かせていくのが予算なので、下の「メリハリの効いた予算編成」というところからいっても、やはり重点配分が重要な点であって、そのために削減するということを明らかにしたほうがいいのではないかという御発言がありました。御指摘のとおりなので順番を入れかえたということです。意味は何も変わりません。

(問)削減が弱まったということでは……。

(答)全くありません。

(問)今回の「骨太の方針」なんですけれども、今までのように「メリ」だけではなく「ハリ」をつけていこうと。特に社会保障の分野で「ハリ」をつけていこうという考えが強く出ていると思いますけれども、どうなんでしょうか。社会保障については、今までとは潮目が変わったと、そういうような御理解なんでしょうか。

(答)そういう点もあると思います。例えば医師の定数について、閣議決定に基づいて減らしてきていたわけですね。それを今回は、25ページの上から7行目ですけれども、「その際、これまでの閣議決定に代わる新しい医師養成の考え方について検討する。」ということで、これまでの閣議決定ではない、新しい考え方をすると。これも既に報道されている医師の定数の考え方ですけれども、そういうことをとりましても、やはり既に医師不足が顕在化していますし、救急医療でたらい回しのようなことも起こっているわけで、以前に申し上げましたけれども、医療の本来の機能を損なってまで財政が健全化されればいいというのでは財政の考え方ではないわけで、必要なところにはしっかりと対応していくと。ただし、既定予算で効率化できるところはしっかり効率化するということですね。これは総理も言われているとおりです。

(問)先ほど、今日の民間議員の発言として御紹介なさった、諮問会議で議論されていないものについて、いつまでに何をやるかということが明記していないものがあるということで、一つ苦言だと思うんですけれども、要は省庁なり、与党との調整の中で組み入れられたものというのが、先々いろんな形で歳出増の圧力あるいはばらまきみたいな形につながっていくんじゃないかというふうな懸念だろうと思います。そういったことについては大臣はどうお考えでしょうか。

(答)そうならないように、作成しているつもりです。いろいろな御意見ありますけれども、ばらまきにならないように、細心の注意を払いながら原案を策定しています。
今日の民間議員の提案は、いつまでに何をどこがやるのかということを、諮問会議の議論の中ではしっかり一つ一つ議論しているわけですけれども、その議論が十分でないまま推進するという形で入っているというものについても、PDCAをしっかりやるべきだという御意見です。毎年「骨太の方針」はフォローアップしておりますけれども、すべてについてフォローアップはしっかりやりたいと思っています。

(問)前回の諮問会議の後の党の意見を聞かれた際に、社会保障の分野でかなりの反発があったように記憶しているんですが、それの調整は済んだと理解していいんでしょうか。

(答)何とか御理解を得ながらというところです。もちろん、また明日以降、いろんなご意見が出てくるかもしれません。例えば社会保障の中でも、25ページをごらんいただくと、確かにそれは適切だというようなものは幾つか入れておりまして、病院勤務医の就労環境の改善であるとか、メディカルクラークの配置など、幾つかつけ加えてあります。他に、同じページの(3)の「総合的な少子化対策の推進」のところで、保育サービスや放課後対策の子育て支援の拡充ですね。それから、(4)の障害者の施策ですね。ここはつけ加わっております。ただ、これは重要な施策でもありますので、つけ加えているということです。

(問)先ほどの質問とちょっと重複する部分もあるかと思うんですが、先ほど「潮目が変わった」という話がありましたけれども、現実的に見て、これまで「基本方針2006」から数値目標を定めて削減していくという流れの中、今度は社会保障の話でしたけれども、要は「骨太の方針」というものの意義付けというかあり方が、今回新しい段階に入ったというふうなとらえ方をされているのか。もしそうだとすれば、与党の暴風雨という話がありましたけれども、一体何が背景にあって、例えば歳出削減がもう限界に来ているということなのかもしれませんが、何が理由があって、そういうふうな経済変化が起きたというふうに考えられますでしょうか。

(答)先ほど御質問にあった「潮目が変わった」というのは、少し表現としてはおかしいと思っています。潮目というのは自然に変わるものですけれども、まさにこの中に書かれているのは政策であって、そういう判断をして、政策を講じるということなわけですね。ですから、自然に変わったわけではないです。
「骨太の方針」の性格が変わったというふうにも思っていません。これまでもメリハリをつける努力をしてきているわけで、「メリ」と「ハリ」の両方をやっています。ただ、御指摘の「基本方針2006」ということで申し上げますと、社会保障をどう扱っていくのかというのは、私自身も随分考えたところです。いろいろなところでもう歳出削減は限界だということが言われてきました。これは国会でも随分そういう御指摘を受けました。
確かに、先ほど申し上げたように、救急医療ですとか医師不足とか、対応しなくてはいけない課題が出てきているのは事実です。これにどう対応するかということ。しかし、重複検査の問題、ジェネリックの問題、私どもが高コスト構造是正プログラムという形で取り組んでいるような問題もあるわけです。本当に国民の皆さんは、今の医療構造のまま、医療費が伸びていっていいんだろうかということを考えると、やはり効率化できる部分は効率化すべきだというふうに考えます。そこで、その既定路線で効率化できるものは「基本方針2006」に則って効率化していく。しかし、新しく必要になったものについては、それはそれでしっかり対応する。
しかし、この財源も緩々にするのではなくて、ムダ・ゼロや政策の棚卸しの中から捻出していくということを明確に示したつもりです。その考えを明確に示したということであって、「骨太の方針」の性格が変わったとか、何かの潮目が変わったと、この自然環境のように、外的要因が自然に変わったということではありません。少なくとも、社会保障については、いろいろな問題が顕在化してきていると、そういう指摘があったということは事実です。

(以 上)