第14回会議(平成20年6月10日) 大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

大田大臣

18時9分~18時36分 於:共用220会議室

(1) 規制改革について

(2) 歳出・歳入一体改革について(社会保障)

(3) 経済成長戦略について

(4) 「基本方針2008」に向けて

1.発言要旨

 今日の議題は4つです。
規制改革、社会保障、成長戦略の取りまとめ、「骨太」の目次です。
まず、規制改革について民間議員から御説明の後、草刈議長から規制改革会議の重点分野の発表があった後、民間議員からペーパーの説明があって議論に入りました。
まず、民間議員から、ペーパーに盛り込まれております規制の事前評価、RIAですけれども、RIAによると、例えば去年、改正建築基準法のときに、「大臣認定プログラム」がまだできていない時にスタートして混乱があったわけですけれども、そういうソフトウエアができる前に導入されるということもチェックされてなくなるというような発言がありました。
それから、他の民間議員から、規制改革会議の重点3分野というのはいずれも重要であるので、年内に結論を得るようにしてほしい。特に農業は潮目が変わっている。農業の国際競争力を高めるために、平成の農地改革を進める具体的な規制改革を進めてほしい。
それから、官の抵抗だけではなくて、業界団体の様々な既得権益というのがあって、この壁を打ち破るのが容易ではない。これはお名前申し上げますが、地方分権改革推進委員長の丹羽会長です。地方分権を進めていても、官だけではなくて、こういう民の業界団体ですとか、そういうところの抵抗が非常にあると。官民ともにメスを入れていくことが重要である。
総務副大臣、今日は増田大臣、国会でしたので谷口副大臣がおいでになっております。この事前評価、RIAの評価については評価の質の向上に努めていきたいと。
総理から次のような御発言がありました。
規制改革は、消費者重視の行政を進めるに当たって重要な柱である。規制改革会議が提案した重点3分野を含め、しっかりとした方向性を年内に出してほしい。岸田大臣には、規制の事前評価の体制について具体的検討をお願いしたいということです。
私からも、この重点3分野は諮問会議で議論しているものとかなり重なっておりますので、これからも連携をして議論を進めたいということでまとめました。
次いで、社会保障について、民間議員から「基本方針2006」で示されました歳出改革の枠をどんな具合に進めていくのかという具体的な提案がありました。
2011年度まで6,600億円、仮に平均的に割ると2,200億円になりますけれども、これはしっかりと進めていかなくてはならないと。そのためにどういうところで効率化できるのかということで具体的な試算が示されております。
新たな課題ということのも指摘されておりまして、これによって発生する歳出増の財源は、財源確保の原則と、アメリカではペイ・アズ・ユー・ゴー原則と言われておりますが、歳出を増やす時は、他の歳出財源もしくは増税によって賄うという発想です。財源をしっかりと手当して、他の歳出増をやるということです。
ということで民間議員から提案がありました。
それから、社会保障国民会議から伊藤総理補佐官による説明が資料に沿ってありました。
それから、額賀大臣が予算編成の基本方針、財制審の建議を受けての予算編成の基本方針について資料に沿って御説明がありました。
議論は次のとおりです。
谷口副大臣から、国民会議の中間取りまとめをやるに当たっては、地方からも要望の強い次の2つの点を考慮してほしいと。1つは、財源の確保ということで、地方の負担にも十分に配慮してほしい。2番目に、地方分権による運用の改善、例えば保育所の設置基準や公営住宅の入居基準を地方に委ねることで社会保障の水準も高めることができるわけで、ぜひこういう義務付け、枠付けをなくしてほしいと。
民間議員から次のような御発言がありました。効率化を進めることが重要で、そのために2点申し上げたいと。1つは、社会保障カードを前倒し実行してほしい。もう1つ、現在は風邪でも大病院に殺到するというようなことが起こっていると、診療所と病院の機能がしっかりと機能分担が働くような診療報酬の設定にする必要がある。ホームドクター制の構築を進めるべきだ。 舛添大臣から、民間議員の提案について次のような御意見がありました。民間議員ペーパーの最後の紙に、医師不足に対応するに当たって、医療にかかわる人の役割分担の見直しが提言されています。これにメディカルクラークというのをぜひ付け加えてほしい。それから、ここに書かれているような、こういう医師の周辺まで含めて役割分担ですね。実はここにお金がかかるということを理解してほしい。医師だけではなく看護師も不足している。それから、看護師の質を上げるための養成、こういうことにお金がかかる。看護師の質を上げるためにざっと計算しただけでも400ベッド以上の病院を対象にしただけで年間2,000億円かかっている。決して医療の周辺人材を活用したからといって、ただでできるわけではない。
それから、民間議員が現行制度の効率化、更なる選択肢として示しております雇用保険に対する一般会計からの国庫負担の見直しですけれども、政府の責任として1600億円減らすということが説得的かどうか疑問だと、これは労使の問題もあるということでした。
それから、民間議員からのかかりつけ医と病院、開業医と病院の機能分担ができるような診療報酬の設定ということは、舛添大臣も医師会と随分闘った。それでも、なかなか問題があって相当難しい。地域でかかりつけ医、病院という仕組みをつくっていくのもお金がかかる。やはり医師の数を増やすのは大してお金がかかる話ではない。構造改革を進めるのにお金がかかるということを理解してほしい。
それから、民間議員提案にジェネリック、後発医薬品を40%まで引き上げるということが書かれておりますけれども、使えるジェネリックを考えると30%でも相当満杯の状態だと。これまでは、ジェネリックを使うときに医師の判こが必要だったわけで、それをなくすことでここまで広がってきているけれども、やはり今後安全性の問題、ジェネリックが体に合うのか合わないのかといったような問題がある。厚労省が掲げている24年度まで、30%に引き上げるということで努力しているけれども、実際にここでお金がどれだけ出るかというのは、まだ今の時点ではそうはっきりとは言えない、これは舛添大臣からの御意見です。
民間議員から、雇用保険への一般会計の負担を減らすという点について、国から雇用保険にお金を出すのは筋が通らないのではないか。国の補助なしに回るような保険料の設定をすべきだ。もちろん未曾有の大不況があれば、そこは国家がきちんとサポートする。そのサポート体制はしっかりと整えた上で、保険の原点に帰るべきだという発言がありました。
それから、医療人材の役割分担を進めるのにお金がかかるということであったけれども、これはきっちり進めなくてはいけないので、改革の方法を考えた上で、どこまでお金がかかるのかというのを示してほしいと。
看護師を訓練して新しい看護師の資格をつくるというのが大事であるという発言がありました。
これに対して、舛添大臣から、雇用保険への国家の役割をどう考えるのかというのは、まさに哲学の問題であると、雇用に対して国がどこまで面倒を見るのは、更にこれは国民会議でもしっかりと議論をするべき課題であって、ここでばっさり切るのはやはり色々な余波がある。
甘利大臣から、地元に帰った時に、病院の人から本当にむちゃくちゃ働いて大変だというような声があると。国には開業医の情報というのは把握されても、病院の体制というのはなかなか反映されていないのではないかと。病院には医師という立場と、経営者という立場がありますので、この経営のモデルケースとして、幾つか経営のモデルケースを示して、経営改革を行っていくということがサービスの質を落とさずに経営効率を上げる一つの方策ではないかという御提案が甘利大臣からありました。
民間議員から、雇用保険の国庫負担の金額を減らすというのはいいけれども、国民が安心するためのセーフティネットとして、緊急の時には国がしっかりと機能する、国の役割がしっかりと働くという制度的担保がつくることが必要であると。
民間議員から、国民会議の議論に対して次の発言がありました。年金制度を税方式にするか、社会保険方式にするかという議論がなされておりますけれども、このシミュレーションのやり方として、非現実的なケースも入れて計算されているのではないか。今の年金給付を増やすようなケースというのは、やはり非現実的だと。マスコミはその部分を取り上げて、こんなに税金が上がるということをクローズアップするわけですけれども、やはり諮問会議でも提案したような現実的な税方式、つまり未納の人には年金を給付することはせずに、社会保険方式から連続的に変わっていくような方式を対象とすべきではないか。
それから、未納の問題がやや軽視されているのではないか。未納を解消することが年金財政にはそれほど影響を与えないという試算が出されていたわけですけれども、未納の問題は財政だけでなく、まさに社会保障の根幹を揺るがす問題である。年金というのは、強制貯蓄という性格があるわけで、そこはしっかりと押さえる必要がある。この保険料の徴収は、個人だけではなくて、零細事業所の問題でもあるので、まさに税方式がいいか、保険方式にするのかという問題は国民会議でもしっかりと議論を詰めていただき、結論を出す前に諮問会議でも議論させてほしいという発言がありました。
これに対して、吉川座長から、未納は大きい問題であるということは我々も十分に共有しているということ、シミュレーションはできるだけ決め付けずに幅広くやった。現実的な選択と仰るけれども、何が現実的かというのは人によって違う。伊藤補佐官からも、一定の方向にシフトさせるというのではなく、なるべく中立的に、客観的に典型的なモデルを議論したという御発言がありました。
総理から、最後に次のような御発言がありました。
社会保障も聖域ではない。「基本方針2006」に則って、これまでの制度の中の非効率を徹底して削減する。一方、社会保障は国民の安心基盤であり、現実を見ると医師不足や介護労働力の不足といった問題が新たに顕在化している。こうした新たな課題に対応して、国民の不安を解消することもまた重要である。新たな課題については、民間議員御提案のように、決して歳出規律を緩めることなく、まずは他の歳出削減で行うということで対応するという御発言がありました。
次いで、成長戦略について取りまとめをいたしました。私の方から、成長戦略の簡単な御説明をいたしました。
若干補足させていただきます。今回の成長戦略、3つの柱で成り立っております。私は、今年初めの経済演説で、もはや経済は一流と呼ばれる状況ではなくなったということを申し上げました。経済は一流と呼べない、なかなか呼びづらい状況として3つの大きい弱みを抱えていると思っています。
1つは、サービス産業の生産性が低いということ、ここがGDPの7割を占め、雇用者も7割ここで働いています。2つ目はグローバル化に十分対応した仕組みができていないということ。これはEPAや対日直投の遅れだけではなくて、金融資本市場ですとか、航空分野という海外とのアクセスのインフラの国際競争力が劣っております。3つ目に人材が十分に生かされていないということです。労働力がこれから減っていく中で、まだフリーターが180万人いると。子育て後の女性がなかなか働けないと、職を見つけられないという状況があります。
今回の成長戦略はこの3つの弱みに応える内容を盛り込んでおります。平成の開国、全員参加の経済というところに盛り込んでおります。さらに、この弱みの克服に加えて強みを発揮するということで技術力を生かした強みの戦略というものを3つ目に加えてあります。成長戦略の中で、今の時点で結論を出せるものは出してあります。何年度までに何を実行するということで出してありますし、これから期限を切って集中的に討論するものも含まれております。航空自由化の工程表、対日直接投資加速プログラム、これは秋までです。外資規制のあり方の包括的見直し、これは20年度中です、年度内です。高度人材の推進会議で、これは今年中に結論を出していくと、計画を作っていくということですね。それから、留学生30万人計画は年度内、それから401Kの拡充についても、今年中ということで、これから工程を詰めていくものも残されておりますけれども、それを含めてこの成長戦略をしっかり実行していきたいと思っております。
今日の御意見としては、日本のよさというものをしっかり生かす戦略にしていくべきだと。それから、平成の開国と銘打っているからには、このグローバル化というのをしっかり進めるべきだという御意見がありました。
この成長戦略はおおむね半年ごとに諮問会議でフォローアップするということになっております。1回目のフォローアップでは、この成長戦略を各省がどのように政策として具体化を進めているかということを検証いたします。これは半年後に行います。
それから、これまで行ってきた成長力強化の戦略は併せて実行していきますので、甘利大臣には成長戦略大綱、これを更に着実に推進していただくようお願いいたしました。
その後、総理から取りまとめの御挨拶がありました。これはプレスが入っておりましたので、やや早口で繰り返します。
経済成長戦略を取りまとめていただき、議員の皆様方に厚くお礼申し上げる。我が国が未曾有の高齢化を乗り切り、世界の中で活躍していくには、成長力の強化が不可欠である。
昨年末から開かれた国づくり、全員参加の経済、革新的技術戦略の三本柱で精力的に御議論をいただいた。高齢者、若者、女性の220万人の雇用充実をめざす「新雇用戦略」や、空の自由化、留学生30万人計画などの開かれた国への取り組み、強みを発揮するための環境エネルギー技術革新計画やスーパー特区の創設など、現在の内閣の特徴を打ち出せたと思う。
今日から「基本方針2008」の策定に向けた議論が開始されるが、この戦略を「基本方針2008」の重要な柱として盛り込み、福田内閣の成長力強化の指針としたい。引き続き各議員の御尽力をお願いするという御挨拶がありました。
最後に、「骨太方針」の骨子案、これは目次ですけれども、この審議を行いました。これについては格別の議論はありません。このとおり了承されました。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)社会保障のところでお伺いしたいんですが、総理の発言を御紹介いただいたのですが、これは要するに歳出規律を緩めず、まずは他の歳出削減で対応することが大事だというお話でしたが、これは「骨太06」で決めたフレームの社会保障で幾ら、根拠で何%から何%という枠にとらわれずに、要するにトータルとして削減ができればいいじゃないかというそういう解釈でいいんですかね。

(答)そうではありません。民間議員の提案どおり「基本方針2006」に則って、これはしっかり削減すると、それは可能であるということが民間議員から出されているわけですね。それはそれでやると。しかし、その時点で、その時点以降といいますか、新たに起こってきた課題というもの、これはこれで国民の安心の基盤として対応していかなくてはいけないと。それについても、財政の規律は決して緩めずに、ペイ・アズ・ユー・ゴーですね、他の歳出をまず削減するというところで賄うべきだという考え方を示しておられます。

(問)他の歳出削減というのは、社会保障だったら社会保障のカテゴリーの中で他のところで削減すると、そういう解釈でいいのですか。

(答)ペイ・アズ・ユー・ゴーで持ってくるのは社会保障に限らず「ムダ・ゼロ」とか政策の棚卸しとか、今取り組んでおります。それから一般会計、特別会計の無駄を徹底的に省くというのは民間議員から、前回、総論のときに提案がありましたけれども、そちらからしっかり持ってくるということです。それでも、なお賄い切れなかったら、秋に負担とセットで議論するということです。

(問)先ほど総理が仰っていた新たな課題というのは、自然に増えていく分から減らすというのとは別のところだという、そういうことですか。

(答)そうです。「基本方針2006」の時に対象となった現行制度の効率化、これは「2006」の枠に則ってしっかりとやっていくと。そして、新たに発生してきている課題には、ペイ・アズ・ユー・ゴーで対応していくということですね。
皆さん方、よくおわかりと思いますが、誤解がないように申し上げておきます。2,200億の削減とか、6,600億の削減というのは、それを減らすということでなくて、毎年で言うと1兆円伸びているところを8,000億円に抑えるということですので、皆様方十分おわかりと思いますが、一部そこの誤解があったりしますので、言わずもがないですが、ちょっと確認しておきます。

(問)もう一つ、先ほどやりとりを御紹介いただいた中で、舛添大臣が各論については色々民間議員の提案に反論していらっしゃいましたが、全体としてここで民間議員が言っているように、5年で1.1兆、あるいは2009年度予算においても最大限の削減を行うべきであると。この主張について、真正面から反論というのはなかったのでしょうか。

(答)ありませんでした。

(問)雇用保険のところなんですけれども、民間議員は思い切った削減もできるんじゃないかというお話で、一方で舛添大臣の方はちょっとそれに難色を示しているようなんですけれども、今日の議論としてはどういう形で収まったと受け取ればよろしいのでしょうか。

(答)今日の議論としては、雇用保険をどの程度国庫負担をするのかというレベルの問題については、結論は出ておりません。舛添大臣は、明確に国庫負担を削減すべきではないとも仰っていませんし、ばっさり切るのはやはり色々な余波があるということですので、どれぐらいかという範囲のゼロから1,600の間の程度は結論は出ておりません。

(問)残り3年で6,600億円ということなんですけれども、数字はジェネリックですとか、検査の適正化の数字が出ていますけれども、不正、不適切な保険の請求の是正とか、医療のIT化、ここは額が出ていないわけですよね。額は難しいというのはわかるんですけれども、やはりここで額が出せないというのは2,200億削るのはかなり難しいというような御判断なんでしょうか。

(答)2,200億はここから出てくるわけですね。仰っているのはこれから先ということですね。例えば、重複検査の問題というのは、レセプトのオンライン化が進みますと、私という1人の人間にどういう検査が何回かなされたかというようなデータが蓄積されるわけですね。それによって、こういう不正検査はもちろん、不正請求ですね、不正な保険請求はもちろんですけれども、重複検査、あるいは複数の医療機関にかかった場合の薬の過剰投薬といったようなことについては、データが出てまいります。
特に、今年度から400ベッド以上は義務付けられておりますので、まずはそこで集まったデータでしっかりと解析して、こういう重複検査や投薬の無駄を排除すべきだと。ここからまたお金を出していくと。これから高コスト構造是正プログラムというのは、まだこれから続きますので、出せるだけのものをその都度しっかりと出していくということが必要です。
それから、公立病院の改革も今まさにスタートしておりますので、これも続けていくということですね。今の時点で何百億とか金額を明示できないものは書いておりませんけれども、金額ないからといって削減できないということではありません。

(問)ただ、歳出圧力が強まっていますけれども、それで納得するといいますか、納得させるようなことはできるんでしょうか。

(答)やっていくということですね。特に医療の場合は診療報酬改定というのは毎年ありませんので、来年度は診療報酬改定というのはないわけですね。その開業医の再診料見直しといったようなものは次の診療報酬改定のときにやっていくということになります。そういうことも含めて、枠を守る努力をしていくということですね。

(以 上)