第13回会議(平成20年5月23日) 大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

大田大臣

19時18分~19時38分 於:共用220会議室

(1) 「新雇用戦略」について(認定こども園)

(2) 金融・資本市場の競争力強化について(公的年金基金)

(3) 地方分権改革・地方再生について

  1. 地方分権改革
  2. 地方再生

(4) 経済成長戦略案について

1.発言要旨

 今日は、まず「新雇用戦略」の一環として、認定こども園について審議いたしました。
民間議員から、こども交付金を始めとする提案がなされました。これは、長年の課題であるので、もう既に今、困っている人がいるので、福田内閣でぜひ一歩進めるべきだという御発言がありました。
これに対して、舛添大臣から、資料に沿ってお話がありました。民間議員から提案のあったこども交付金については、こういう形で努力したいけれども、やはりそれには追加財源が必要であると。つまり、今の仕組みですと、保育所型のものでは補助金が出ない部分がありますし、幼稚園型のものでもまた補助金が出ない部分、ゼロ歳から2歳の部分ですとか、カバーされない部分がそれぞれにありますので、こういう形で統合していくには、やはり追加財源が必要だという御発言がありました。
民間議員から、文部科学省と厚生労働省でそれぞれ省令ができていて、その省令を変えないと動かない。この省令を一本化することが必要で、一本化した上でどの程度の費用がかかるのかを出してほしい。そうしないと、議論が前に進まない。両省で協議会をつくってやってほしいと。
これに対して、舛添大臣、渡海大臣から、既にその作業は進んでいる。夏を目途に、その審議を進めていきたいというお話がありました。上川大臣からも、両方の統合、この改善に向けて努力したいという御発言がありました。
以上のような議論の後、総理から次のような御発言がありました。
保育サービスを充実させることは、消費者の観点からも、女性の雇用や社会参画を拡大するためにも重要だ。現在の認定こども園は、役所の縦割りを子供に押しつけている。幼稚園と保育園の一元化という当初の目的に立ち返って、民間議員から提案のあったこども交付金を含めて、利用する子供の立場に立った抜本的な解決策を関係閣僚で早急に検討してほしいということでした。
今、文科省、厚労省で協議していただいていますので、夏ごろまでに取りまとめていただいて、また諮問会議で議論したいと思います。
次に、公的年金基金の運用についてです。民間議員から、ペーパーに沿って説明がありました。
これに対し、舛添大臣から次のような発言がありました。
この公的年金基金の収益率の低さというのは、私も問題意識を持っている。閣僚になってすぐ、運用の委員を入れかえ、民間の人を入れた。ただ、この民間議員提案のような形にするのに、次のような問題がある。1つは、リスク分散をするに当たっては、法律の縛りがある。それから、この運用機関が独立行政法人になっているわけで、これをどう変えていくのかという問題。それから、何よりも日本人には、どうも安心思想とも言うべきものがあって、ヘッジファンドであるとか有価証券というものへの抵抗感がある。年金というのは、労使の積み立て、拠出で成り立っているので、なぜ危ないことをするのかというのが、年金記録問題とも相まって、そういう危ない運用をすべきではないというような意見がある。こういう難しさがあるというお話がありました。
これに対し、民間議員から、リスクとリターンはコインの裏表だ。さはさりながら、民間がやっている130の年金─これは企業年金だと思いますが─年金のリターンは、国がやっているものより平均的に高い。もう一工夫してほしい。それから、透明度を高めることは非常に大事だという発言がありました。
それから、甘利大臣から、高い収益率を目指してポートフォリオを展開していくというような運用を、ぜひしてほしい。これが、日本の産業の発展、企業の発展、ひいては日本経済の発展にもつながる。そのためにも、運用者の報酬体系の見直しが必要で、内外のプロを採用できるような見直しが必要であると。
それから、これもお名前を申し上げます。白川議員から、金融市場では、公的年金、私的年金、どちらも大きな投資家である。金融市場の強化には、多様な投資家の存在が必要で、各国ともこの年金基金というのは、長期的な機関投資家になっている。基金の運用に当たっては、基本姿勢、それから役割と責任の範囲を明確にすることが必要。それから、基金の運用主体に運用を委ねる。併せて、外部の評価が必要で、中・長期的な観点からこの評価をしていくということが必要であると。
民間議員から、年金というのは国民の大きな財産だ。150兆円の利回りが1%違うと1.5兆円違うわけで、日本は外国に比べて、あまりに今、収益率が低い。これは、将来の国民負担にもつながっていく。来年は年金財政検証の年なので、ぜひ見直しをしてほしいと。
それから、別の民間議員からも、長期的な観点から評価していくことが必要であると。
それから、額賀大臣から、この年金基金の運用を、効率的に透明性を高めるというのは大事なことだ。その場合、誰が責任をとるのかという視点も大事である。それから、今、運用資産は国内債券が圧倒的なわけで、150兆円の半分ぐらいが国債運用になっている。これを転換していくときは、市場に対する影響というのも十分に留意すべきであるという発言がありました。
私から、舛添大臣に、やはり今日、意見があったように、いろいろ問題点はあるにせよ、もう一工夫、ぜひ検討をお願いしたいということを申し上げました。
続いて、地方分権の議論に移りました。
まず、地方分権改革推進委員会の丹羽委員長から、ペーパーに沿って御説明がありました。それから、民間議員からも、ペーパーに沿って説明がありました。
民間議員からは、民間議員がずっと、国の出先機関を大胆に改革するということを発言しておりますけれども、分権委員会では、それは2次勧告なわけですね。2次勧告で大胆な国の出先機関の改革をやるためには、この1次勧告でしっかりと国と地方の役割分担をしておかなくてはいけないわけで、ぜひ大胆で本質的な内容のものにしてほしいという発言がありました。
それから、別の民間議員から、国が責任を持つ分野を絞って、それ以外はまとめて地方に委ねていくということが重要だ。道州制に向けた第一歩にすべきだと。
その後、地方再生の方、定住自立圏の方の議論に入っていきまして、増田大臣の説明、それから民間議員のペーパーの説明の後、民間議員から次のような発言がありました。
この定住自立圏の提案に賛成だ。今、各府省が地域の政策を複線的に走らせているわけで、総理からも指示があったように、政策の棚卸しが必要である。地方分権を徹底することが、地域活性化にもつながる。今年3月で、構造改革特区が1,000件に達した。全国展開されたのは567件であって、残りはまだ特区のままで残っている。地方再生計画も、今、1,009件立てられているそうです。計画をつくって、補助金をもらって終わりということにならないように、きちんとモニターすべきだという発言がありまして、増田大臣から、この全部を、今、検証する作業に入っている。フォローと検証をしっかりしたいという御発言がありました。
私から、増田大臣にも、この定住自立圏構想を進めるに当たって、今日の民間議員提案を踏まえて検討してほしいということをお願いいたしました。
総理から、次のような御発言がありました。
丹羽委員長には、勧告の取りまとめに御尽力いただいて、お礼を申し上げたい。地方に任せられないと言っていると、いつまでたっても地方分権というのは進まない。住民にとって、より便利になるように、前に進めていかなくてはいけない。地方自治体も、国に依存するのではなくて、なすべきことを自らの責任で決定するように意識を改革していくことが重要だ。民間議員提案の中に地方分権の大原則が書かれておりますが、大原則は、民間議員提案のとおりだと思う。増田大臣には、この大原則に立って知恵を出し、各省と意見の隔たりがあるところは、地方分権に向けて着実に前進させてほしい。私からも各大臣に、内閣の一員として分権を進めるよう指示しているところだ。それから、定住自立圏の構想は、各省で連携して進めてほしいと。
それから、最後、経済成長戦略の議論に入りました。
それぞれ民間議員、甘利大臣、増田大臣から資料の説明があった後、民間議員から、人口が減り資源も乏しい日本で、成長する機動力は人と技術だ。そのとき、ベンチャー企業というのが重要な源泉になっていく。日本は、依然として開業率が低い水準にとどまっている。平成20年度の税制改正で、エンゼル税制は抜本的に進んだけれども、さらにこのベンチャーが起こってくる環境の抜本的な強化が必要である。
それから、別の民間議員から、国際的に見ても、技術開発力の強化が必要である。IMDの2008年ランキングで、日本は全体的には55カ国中25位ですけれども、科学技術インフラでは2位だ。この技術開発力の強みをこれからも生かしていくためには、研究開発税制などが必要である。それから、知的財産の保護が必要。最先端の基盤技術は、政府が進めることも重要である。それからもう一つ、技術開発で製品をつくって、その受入れ市場が必要で、昨日、総理が「アジアの未来」フォーラムで講演されたときの5つの約束のように、将来の市場獲得のための市場戦略というものが必要だという発言がありました。
それから、別の民間議員から、成長戦略の中で一番大事なのは、生産性の向上である。財政に頼らず、一人当たり生産性を高めていくことが必要。そのためには、起業だけではなくて、転廃業を円滑に進めることをセットでやっていく必要があると。
別の民間議員から、海外市場を獲得するのは重要だが、こちらから獲得するために出ていくだけではなくて、海外が日本の市場を獲得することが必要で、アジアの経済とEPAを強固にすることが必要であるという発言がありました。
私の方から、民間議員の今日提案されたような取りまとめ方向は御了承いただいたということで、次回の諮問会議で、福田内閣の経済成長戦略の取りまとめを行いたいということを申し上げました。
それから、総理から、次のような御発言がありました。
民間議員から提案があったように、国民の間の閉塞感や不安感を打破して、成長を実感できる包括的な成長戦略にしたい。今日の民間議員提案をもとにして、諮問会議で取りまとめてほしいという御発言がありました。
それから最後に、今日は業種別の生産性向上プログラムが資料として配られております。5月14日の諮問会議で、経済産業省関係のサービス業の生産性向上プログラムが報告されましたが、今回、それ以外の省庁のものも取りまとめられております。こういう業種別の生産性向上プログラムを取りまとめるというのは初めてのことです。実効性を持つことが重要ですので、このプログラムの1ページ目に書かれておりますが、「各省庁が担当責任者を決めてフォローアップを実施する。進捗状況と成果について可能な限り数値を用い年2回程度定期的に経済財政諮問会議に報告する」としています。ぜひ、これでやっていきたいということを、私の方から最後に申し上げました。
以上です。

2.質疑応答

(問)年金の部分でお伺いしたいのですけれども、まず第1点、確認ですけれども、年金の部分では、総理の発言は特になかったということですね。

(答)はい。ありませんでした。

(問)最後に、大臣の方から、ぜひ検討をお願いしたいというところでお話は終わったようですけれども、要するに今日の時点では、まだ厚労省としては「検討する」とは言っていないという理解でよいのでしょうか。

(答)年金の検証が来年行われますので、そういう中で検討されていくのだろうというふうに思っております。

(問)一応、舛添大臣は、収益率の低さについては問題意識を持っているということをおっしゃっていて、以前も公の場で、運用の改善については前向きな発言をしていらっしゃったのですけれども、今日は運用改善自体について前向きな発言というのは、問題意識を持っているという以外には、特になかったのでしょうか。

(答)問題意識を持っておられるから、閣僚になってすぐ運用委員を入れかえるというようなことをされたのだと思うのですね。これをさらに進めていくには、先ほど申し上げたような問題があるという、今日は問題点の指摘を述べられました。
ただ、もう見直しはしないとか、そういう否定的なことはございませんでした。

(問)この問題については、今日、結論が出なかったということですから、またいずれ、諮問会議で取り上げるような御予定というのはあるのでしょうか。

(答)年金制度の改革全体の中で、議論していくことになります。

(問)成長戦略なのですけれども、高度人材の受入れで、介護と看護の扱いが、この成長戦略の中でどういうふうになるかということと、それから国家的予算プロジェクトは、数値は結局入らなかったのかという、この2点についてお願いします。

(答)介護、看護の人材、高度人材については、官房長官のところに受入れの会議をつくりますので、その中で議論されていきます。
それから、緊急プロジェクト予算枠、これは予算編成の中で決まることですので、今の時点で金額は出せないということです。

(問)成長戦略で、重点実行期間は3年で、工程表と目標を策定するべしという提言があったのですけれども、これについてはどういう反応があったのでしょうか。

(答)反論はありませんでしたので、この方向でやっていくということです。

(問)年金の運用については、そうすると結論は、成長戦略及び「骨太の方針」には盛り込まれないということですか。

(答)これは、まだこれから年金制度の中で議論していく際の提案ということになりますので、今日の民間議員提案を反映させるという形にはなりません。これから年金制度の改革全体の中で、運用のあり方を議論していく。そのときの提案が、今日なされたということです。

(問)それは、「骨太」が出た後に議論が始まるのですね。

(答)そうですね、はい。

(問)ということは、もう「骨太」には入らないということは、今日、決まったわけですね。

(答)それはまだこれからですので、これまで諮問会議で議論されたことを含めて、「骨太」にどう反映させていくのかというのは、これからの議論になっていきます。その中で、各省との折衝にもなっていくというふうに思います。
だから、全く1行も入らないのかどうかというのは、今の時点では何とも申し上げられません。一応、諮問会議で議論していますので、書けるところまでは書いていきたいと思いますけれども、では、運用体制をどうするのだという具体的なところは、まだ今日は議論が詰まっていないということです。

(以 上)