第11回会議(平成20年5月14日) 大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

大田大臣

19時00分~19時17分 於:共用220会議室

(1) 農業改革について

(2) 業種別生産性の向上について

1.発言要旨

 今日の議題は農業改革、それから業種別の生産性向上プログラムです。
まず農業について、民間議員から自給力をつけるための「企業型農業経営」と「平成の農地改革」という提言がありました。具体的には別紙に9つの項目が掲げられております。ここの少なくとも9項目の入ったプランの策定が必要であると、民間議員から説明がありました。
若林大臣から、昨年11月に策定したプランで農地制度の改革を進めていると。全体を一体のものとして年内に成案を得て、21年度からスタートさせるということが、資料をもとに御説明されました。
民間議員のこの提案に、方向としてずれはないと。基本的認識にずれはないけれども、農地制度は今まさに進めているところだということですね。それから、企業型農業経営については、農業のように家畜を飼うというような、そういう産業ですね─だと、農業の中心的担い手は、やはり家族ではないかと。米国でも98%は家族経営だと。まさに、民間議員ペーパーには「企業型の農業経営」とあるが、企業マインドを持った家族の育成が必要だと。
それから、この9項目、3ページに9項目ありますけれども、この中で農業生産法人の要件の見直し、あるいは(4)にあります農地に関する第三者機関による利用状況の監視、こういったのは法制との関係もあるので、検討はするつもりだが、結果としては任せてほしいという御発言がありました。
これに対し民間議員から、家族経営が基本だということで、海外でも確かにそうだけれども、規模が全然違うと。大規模経営ならば家族でもいいけれども、日本のこの零細な家族経営ということを考えると、やはり法人化が必要であり、法人経営を増やすことが必要ではないかと。食料自給率はずっと下がってきて、それから耕作放棄地は上がり続けていると。従来の延長線ではないブレークスルーが必要だと。そういう意味で民間議員が提案した9項目の政策パッケージを実現してほしいと。
別の民間議員から、大型化がなぜ必要か、幾つもの数字を挙げて説明されました。その1つだけ挙げますと、米が10ヘクタールで511キログラムの収穫があると。それで、0.5ヘクタールだと1キログラム当たり380円のコスト、15ヘクタールだと1キログラム当たり192円のコストということで、規模拡大すると190円下がるということなんですね。
それで、中国では1キログラム当たり7元、これは大体100円。日本から入ってくる米は1,500円だと。これを規模拡大によって生産コストを下げる。つまり、15ヘクタール以上でつくると、50%コストが下がるわけですね。このコストであれば、中国の倍ぐらいの値段で何とかつくれると。そうすると、これは何とかなるのではないかと、それをさらに50ヘクタール、100ヘクタールにすることで、競争力が出てくると。
したがって、この9項目の実行宣言をしっかりと出して、農家も自信を持って取り組むということが必要だと。この小さな農家が幾つかあっても、それぞれで連携を取り合って農機具を共同利用するとか、それから労働力も有効に活用するということができればメリットが大きくなるわけですね。したがって、この大型化そしてコストを下げて、競争力をつけるということが必須の条件だと。そのために農地の改革は必要だと。株式会社化が目的ではなく、大型化ということこそが重要だと。そのために、この9項目の提言をぜひ実現してほしいと。
別の民間議員から、ポイントは大規模化だと。コストが下がらなければ「米を食べてくれ」と言っても限界があると。全国一律に生産調整をすることは、やはり無理があって、価格が下がることでも耐えられるコスト構造にしていくことが重要だと。
それから、これはお名前を申し上げます。甘利大臣から、民間議員ペーパーにあるように、この企業型農業経営、平成の農地改革というのを推し進めることは重要だと。世界的に穀物価格が高騰していると。その一方で、日本は生産調整をしているし、山形県に匹敵する休耕地があると。まさに、民間議員ペーパーに書いてあるように、今潮目が変わっているし、これをばねにして、つまりチャンスに変えてこの改革をしていく必要があると。農地、人材をフル活用して、市場で競争できる農産物をつくっていくと。市場を意識した農業経営が重要だと。
それから、国内外の新たな需要をつくっていくことが必要で、おいしい高い品質の日本のものを売っていく海外市場を開拓していくことが必要だと。要は、輸出を強めることが国内の自給率を高めることにもなると。不足したときは国内向けに需要を持ってくればいいわけですね。諸外国を見ても、輸出促進において、ドイツやイギリスは30%、フランスは100%の自給率と。つまり、輸出を上げるということで自給率を押し上げていると。日本は、輸出が自給率を押し上げる寄与度は0.5%であると。この新しい農業経営のために、経産省としても農・商・工連携を強めていきたいと。
それから、民間議員から、企業的経営の手法がなぜ必要かというと、バイオを始め技術開発が進むと。それから、設備についても進歩すると。実際にバイオ技術を生かしてアジア最大の花をつくっている企業もあると。そのためには農業生産法人がその企業的な手法を取り入れられやすい、経営になじむ体系にしていかなきゃいけないと。長期の定期借地権によって所有と利用の分離を行う、あるいは相続税についても思い切った税制上のインセンティブを与えることで、所有と利用の分離を進めていくということが必要だと。
それから、増田大臣から、耕作放棄地については市町村によって解消計画をつくるということになっているわけで、農地転用に取り組んでいるわけで、農地転用に対して許可制度の適切な適用が必要だと。このとき、個別の運用許可について国が見るべきなのかと。地域の実情に応じて地方でやったほうがいいのではないかと。これは今、地方分権推進委員会との間で大変議論になっていることです。
官房長官から、この民間議員の提案と農水大臣と方向は一緒なんじゃないかと、意見聞いていると随分違うように聞こえるけれども、方向は一緒ではないのか、どこが違うのかという御発言がありまして、若林大臣から、方向としては同じだと。農水省に長くおられた方ですけれども、一生懸命規模拡大に取り組んできたと。賃貸借を増やそうといういろんな努力をしてきたと。規模拡大が必要だということについては、人後に落ちないつもりだと。ただ、法人化もそれはそれでいいけれども、法人化をやったからといって、規模拡大するとは言えないと。これは現実の認識の問題であると。
それから、この民間議員提案の中で、平成の農地改革、この農地法の改正というのは、今まさに進めようとしていると。所有と利用を分離して、利用に関しては原則自由にすると。株式会社でもいいと。原則自由にしていくわけですね。したがって、20年を超える定期借地権制度、これも創設したいと思っていると。それから、標準小作料、これも廃止したいと思っていると。
それから、利用状況は第三者機関が監視・是正すると、この民間議員提案の(4)ですね。こういうのは、農村社会で有効に機能するとは思えないと、果たして機能するのかと。それから、民間の土地の仲介も信頼関係を持たずに、つながりのない人が仲介してもうまくいかないと。借地を原則自由化するという農地法の改正は、今進めているが、この9つの項目をパッケージでやれという、これに縛られると、法制度の検討ができなくなるので、基本的にここはお任せいただきたいと。
それから、増田大臣が言われた点は、全面的に反対であると。ただ、これは地方分権のほうで議論しているので、今日のところはこの議論はいたしませんでした。やはり国民に対する食料の安定供給責任ということを考えると、やはりこれは国がしっかりと、そのための手段を持たなくてはいけないと。したがって、転用規制を地方にゆだねるというのには反対であると。
これに対しては再度、増田大臣や丹羽会長も、意見はあるけれども今日はこの議論ではないのでということで、これについての議論はいたしませんでした。
最後、総理から次のような御発言がありました。
世界の食糧事情が厳しくなっている中で、日本の自給率が4割を切っているというのは、危機的なことだと。しかし、一方で、品質の高い国産の農産物に消費者や流通業者の期待が高まっていて、自給率を向上させるチャンスでもあると。また、日本の農業には、高齢者が多いわけで、いずれリタイアしていくわけですね。それは何とかしなきゃいけないと。その意味でも、新しい農業構造を構築するチャンスだと。そのために、今どういうことができるかが重要だと。農業の体質強化が目に見えて図られるように、それから農政が変わったとだれもが認めるような政策、これを待ったなしで進めていくことが必要であると。今日議論に出た、この9項目というのは、その意味で突破口になるものだと。若林大臣には、これらを含めて企業型農業経営を拡大し、平成の農地改革を進めるためのプランというのを何とか秋までにつくっていただき、諮問会議で議論してほしいという御発言がありました。
それから、2つ目の議題であります生産性の向上。農業の議論がヒートしまして、ここでもう既に時間オーバーでしたので、生産性向上については、甘利大臣から御報告いただいて、格別の議論はできませんでした。甘利大臣からは、資料に沿って丁寧な御説明がありました。
この業種別の生産性向上というのは、2月28日の諮問会議で民間議員から業種別のプログラムを早期に策定・実行すべきであるという提言がありまして、総理からも各省において業種ごとにきめの細かいプログラムを策定すべきという指示があったものです。今日は、経産省所管のサービス業について、プログラムが取りまとめられましたので、甘利大臣に概要を御説明いただいたということです。それ以外の他省の所管業種につきましては、取りまとめられ次第、別途諮問会議の場で御報告することにいたします。
甘利大臣からは、大変意欲的なプログラムをおまとめいただきました。サービス業の生産性は非常に日本は低いんですけれども、このサービス業の生産性に焦点を当てて、本格的に生産性の向上に取り組んだというのは、初めてのことです。その道筋が開けてきたと考えています。「骨太の方針」にしっかりと盛り込んで、経産省所管のものだけではなくて、生産性向上の流れを政府全体に広げていきたいと考えています。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)民間議員ペーパーの中には「年内に成案を得るべきである」というくだりがあるんですが、総理は、若林大臣に秋までに案をつくってもらって諮問会議で議論するというところまで仰っていましたが、年内に成案を得るという部分については言及はなかったんでしょうか。

(答)発言はほぼ全部御紹介していますのでありませんが、秋にプランをつくっていただいて、それを諮問会議で議論するということですから、それは当然、年内の策定を念頭に置いているということですね。

(問)前半の方で民間議員の発言として、自給率が下がり続けている中、従来の延長線でないブレークスルーが必要だというような御発言があったかと思うんですけれども、もう少し直接的に、農水省が進めている改革ではペースが遅いのではないかという趣旨の話を、どなたかされたりはしていないでしょうか。

(答)それはなかったですね。農水省もいろんなことをやって、生産性向上のために色々な取り組みをやっておられているわけですね。ですから、そのことへの批判ではなく、ここでやっぱりブレークスルーする、何か大きく進める一歩が必要ではないかという趣旨の提言ですので、特別、農水省のこの点がというような発言はありませんでした。

(以 上)