第5回会議(平成20年3月18日) 大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

大田大臣

19時18分~19時23分 於:共用220会議室

(1) 開かれた国づくりについて(経済連携等)

(2) 革新的技術特区(スーパー特区)について

1.発言要旨

 今日の議題は2つです。1つは、開かれた国づくりとして経済連携等について。それからもう一つは、革新的技術特区、スーパー特区と呼んでいるものです。
まず、1つ目の経済連携等についてですけれども、民間議員から、まず提案がありました。1つは、EUとの経済連携に遅れをとらないようにというのが大きいポイントになります。これに対し、高村大臣、若林大臣、甘利大臣がそれぞれ資料に基づいて説明されました。
高村大臣からは、EPA交渉の工程表が出されました。今日議論になりましたEUにつきましては、2ページ目から3ページ目にかけて、6番に書かれております。昨年の「骨太」の段階では、「将来の課題として検討を進めていく」となっておりました。この改訂版の中では、「日米、日EU経済関係の更なる発展を促すような基盤を整えていく方策は何かについて、民間で行われている議論も踏まえつつ、引き続き真剣に検討を進め、可能なものから、米国・EUと共に、準備を進めていく」ということで、これは「骨太」から気持ちとして前に進んでいるということでした。
それから、若林大臣から、民間議員の提案にあります補償措置も含めて、この「全体パッケージを提示しながら」という点については、補償措置をあらかじめ示しながら交渉というのはできないということがお話の中で示されました。それから、日米、日EUのような大市場国とのEPAについては、今、WTO交渉が非常に重要な時期に差しかかっているので、あまり日本としてそういうことを表明していくというのは、WTO交渉に悪い影響を及ぼしかねないということを懸念しておられました。
それから、民間議員からは、やはりスピードアップが必要だという御意見がありました。
それから、民間議員ですけれども、やはり農業の国際競争力を強化していくということが大事で、その強化策を具体的に考えていく必要がある。その部分を解決しないと、なかなかEPAの議論というのは進まない。一方で、農業というのは多面的な機能を持っているし、自給率向上というような重要な課題もある。そういうことを踏まえた上で、競争力の強化策を議論する必要があると。
別の民間議員からは、現在の4省庁体制では、なかなか有効なEPAを進めていく対応策は出てこないので、ぜひこれはトップダウンでやっていく必要があると。
それから、別の民間議員から、今、日本経済の減速感が強い。この日本経済のパイを拡大するためには、成長力のある海外を取り込んでいくということが重要で、特にEUとのEPAは重要だ。政府一体となって進めてほしい。いつごろまでに何をするか、工程表をつくってほしい。それから、スピード感を持って進めていくことが必要で、遅れないようにすることが必要だ。それから、既に締結した後のフォローアップが必要で、例えばフィリピンは、まだ批准されていない。こういう合意されたものについてのフォローアップが必要だというような御発言がありました。
これに対し、民間議員の提案の中で、「骨太2006」に2010年にEPA締結国との間で貿易額の25%以上にしていくという目安が書かれているわけですけれども、これについての工程表を策定すべきだという御提案がありますが、これについては、今、15%ぐらいなわけですね。これを25%にするかどうかというのは、日豪、オーストラリアとのEPAが大きい鍵になってまいります。高村大臣からは、今の時点で工程表を示しながらやっていくことは、オーストラリアとの交渉に影響を与えかねない。まだ工程表をつくる時期ではないのではないかというような御発言がありました。
それから、若林大臣からは、オーストラリアとは米とか小麦、それから牛肉、乳製品、砂糖など、この除外を粘り強く求めて、今、交渉しているところだと。今、交渉しているところなので、ここは非常にまだ難しい段階だというような御発言がありました。民間議員からも、ぜひとも粘り強くしっかり交渉を進めてほしいという発言がありました。
総理からは、このEPAの推進というのは、成長戦略の大きい柱だけれども、今日の議論にあったように、いろいろ難しい問題がある。難しい問題はあるけれども、関係大臣で一歩前に進めるように取り組んでほしいという御発言がありました。
それから、甘利大臣から「アジア経済・環境共同体」、これについて御発表がありまして、これについては格別な反論や御意見もなく、了承されたといいますか、これから進めていただくことになります。
それから、農業の活性化を議論いたしました。
民間議員の提案は、雇用促進プログラムというのをつくっていくべきだということ。農業においてなかなか雇用戦略ということは、議論されたことがなかったのですけれども、それを積極的に進めていくということ。そして、後継者の育つ農業にしていくと。特に、若い人が入るためには法人化を進めることが大事だというのが御提言の趣旨です。
若林大臣からは、資料に基づいて、今、この農業の全体の構造改革プログラムというのをやっている。これを実現するためには、年間に1万2,000人ぐらい、この働く従事者を増やしていくということが必要で、今、それを着々と取り組んでいる。今日の民間議員の提案を受けて、さらにそれを加速する努力をしたいという御発言がありました。それから、併せて、障害のある人の就労の場としての農業も重要だ。障害のある方の雇用の受け皿としての農業というのも、ぜひ進めていきたいという御発言がありました。
民間議員から、日本は国土の13%が農地、これは諸外国に比べて低い。その低い中で、やはり耕作放棄地、土地持ちで非農家というのが増えているので、これは例えば税制などを使ってストップさせていく必要がある。それから米についても、消費を増やす努力と併せて大型化、法人化を進めていくことが必要で、農業の中に普通の株式会社というのはなかなか入っていく枠組みにないので、株式会社の特例をつくって農業に入りやすくするというようなことを考えてはどうかという発言がありました。
議論としては、そういうところです。
総理から、次のような御発言がありました。中・長期で考えると、世界的に人口増は続くわけで、日本が自給率にどう取り組むかというのも大変難しい問題だ。その中で、またEPAをどう進めていくかという難しい問題もある。つまり、国内も自給率を高める努力をしながら、なおかつEPAも進めていくという、これは非常に難しい課題だけれども、解いていかなくてはならない。その解く知恵を出していきたい。ぜひ、若林大臣を中心に積極的な提案をお願いしたいという発言がありました。
最後に、スーパー特区について、これは関係する舛添大臣、それから渡海大臣、甘利大臣、岸田大臣、4方に御発言をいただきました。
まず、民間議員からスーパー特区の提案があり、特にその第1弾として、先端医療開発特区を創設すべきだと。この先端医療開発特区については、既に革新的創薬のためにこの3大臣の会合があるわけですけれども、その枠を使って、この第1弾のスーパー特区を実現すべきだというのが趣旨です。
これに対して、この関係4大臣すべて、賛成であると。スーパー特区というのは、革新的な技術を進めていくに当たって有効な枠組みだという発言がありました。舛添大臣からも、このスーパー特区をどう具体化していくのか、4大臣で連携をとって早急に検討して、諮問会議に報告したいという御発言がありました。
民間議員からは、これをぜひ進めてほしいというような発言ですね。
それから、これは官房長官ですけれども、この民間議員の提案の中に「FDP」というのがあります。これは、アメリカで、90以上の大学と資金を配分する機関とが一緒になって、予算の執行の柔軟化など、幾つか研究者の立場に立って予算を使えるようにするという枠組みですけれども、こういうものは研究者にとっては大変有用なものだ。ぜひ、財務大臣、それから岸田大臣も一緒になって、こういう枠組みを進めてほしいという発言がありました。財務大臣も、了解したということでした。
それから、民間議員から、やはりこういう革新的な技術をやっていくために、予算制度も特例などをつくって突破していくというのは大変重要で、そのためにも対象を絞って突破していくことが有効だという発言がありました。
これは、ぜひ進めていきたいというふうに思います。
総理から、次のような御発言がありました。
最先端の再生医療、それからバイオの医薬品・医療機器、こういう分野は世界が最も注目し、また世界中で激しい競争が展開されている分野だ。4府省で連携して、先行プロジェクトを実施してほしい。その観点で、4月初旬に取りまとめる「成長力強化への早期実施策」、これは今、私が担当となって取りまとめておりますけれども、これにも盛り込んでほしいという御指示がありました。
それから、農業で雇用戦略を議論しているときに民間議員から、今日は農業の議論だけれども、農業を含めて、雇用にとってこれから3年間が非常に大事だという発言がありました。これから3年というのは、雇用戦略の中には、当然、子育てしながら働きやすい環境というのも含まれるわけですけれども、団塊ジュニアがまさに出産年齢である30代後半にあるということ、それから、これから3年間に団塊世代のリタイアが進みますので、その技術の継承といったような意味で、雇用戦略にとって3年が非常に大事だという発言がありました。
それを受けて総理から、民間議員から、この3年間が雇用戦略にとって重要という発言があったが、今、策定中の「新雇用戦略」においても、この3年間の集中した取り組みが必要だという御指示がありました。数値目標を掲げて、3年間の集中した取り組みを、この「新雇用戦略」として取りまとめてほしいという御発言がありました。舛添大臣には、案の提示をお願いする。諮問会議の場で、関係大臣とともに議論して、大田大臣には早期の取りまとめをしてほしいという御指示がありました。
以前、「新雇用戦略」を議論しましたときに、舛添大臣には数値目標も含めたプランを出していただきたいということは、既にお願いしてありますけれども、それをやや前倒しする形で議論していきたいと。
それから、「新待機児童ゼロ作戦」についても、これは別途、舛添大臣、上川大臣が記者会見されて、3年間を集中的取り組み期間にするという発表がされておりますけれども、それも併せた形で3年間の数値目標をつくり、「新雇用戦略」というのを取りまとめてまいります。
それから最後に、総理から次のような御指示がございました。
このところ、世界の金融市場は不安定感を増しており、その影響が懸念されている。大田大臣におかれては─私ですね─経済財政政策担当大臣におかれては、今取りまとめている「成長力強化への早期実施策」に加えて、為替の変動や原油価格高騰などが日本経済に与える影響について点検し、中小企業に対する政府系金融機関による支援など必要となる措置について、関係閣僚と協力しつつ早急に検討し、迅速に対応されたい。それから、財務大臣におかれては、国際金融システム等の安定化のために、G7諸国とさらに連携を深めてほしいという御指示がありました。
私も、この為替の変動や原油価格が日本経済に与える影響、これには十分に注意していかなくてはいけませんので、その点検をして、中小企業に対する必要な支援措置など、検討してまいりたいと思います。
以上で議論は終わりですけれども、今日で福井総裁が最後の御出席になります。最後に、御発言をいただきました。
この5年間で、ちょうど150回の出席だったそうです。会議に貢献できたかどうかわからないけれども、政府と日銀の大きな方向性をそろえるという役割は果たせたと思う。総理以下、ありがとうございましたということで御発言をいただきました。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)最後の総理の発言といいますか、指示について確認いたします。これまでも中小企業対策というのは、原油高対策で1回、それからその後、年度末のもので1回ありましたけれども、それとまた別にやるということですね。

(答)はい。

(問)これは、いつごろまでにやるということなのでしょうか。

(答)私も、いつごろまでにというのは今日の御指示の中ではなかったので、早期にというふうに受けとめておりますけれども、年明け以降、やはり急速に為替、株価は変動しておりますので、それを受けての御指示だというふうに思います。

(問)EPAについてなのですけれども、民間議員提案では、2010年までの工程表をと。それも、「骨太2008」に反映するようにという要請があったわけですが、今日の議論でいいますと、結論としては、これはどういうことになるのか。先ほどの御紹介ですと、高村大臣も若林大臣も、慎重なことをおっしゃっているようですが。

(答)ここで25%にするということは日豪が鍵になりますので、工程表を書くということは、そのこと自体、今行われている日豪の交渉に影響を与えるのではないかという高村大臣の懸念が示されましたので、それについてはまた私も、さらに詳しく御意見を聞いて、考えていきたいと思っています。
今日の時点では、したがって、2010年までの工程表をこれからすぐに取りまとめるという結論は、出ていないということです。それについて民間議員から、いや、やっぱりつくるべきだというようなやりとりは、なかなか今日は時間的余裕がありませんで、できておりませんので、「骨太」に向けて、また検討していきたいと思います。

(問)農業の分野で質問します。民間議員のペーパーで、就農促進プログラムの数値目標ですとか工程を明確にするようにという提言がありますけれども、若林大臣も含めて、もしこの点についての発言がありましたらお聞かせください。

(答)若林大臣は、まさに今、農業全体の構造改革の中に、この雇用・就労促進というのが入っていて、それが大体、線を引けば、年間1万2,000人ぐらいの増が必要になってくると。
したがって、この農水省が取り組んでいる構造改革プログラム─これは2015年まででしたか─に取り組んでいると。したがって、一応、その目標は掲げられているわけですね。農業全体の構造改革の中で従事者を増やしていくという目標は、一応、掲げられているけれども、さらにその加速を検討したいというお話でした。

(問)EPAなのですけれども、特にEUについて、なかなか難しいという意見も若林議員から出ているようですけれども、それに対する解決策、これをどういうふうにやっていくのかというところについては、1つだけ先ほど、トップダウンでやっていく必要があるのではないかという意見の紹介がありましたけれども、それ以外、解決策とか将来の展望についてのどういった発言があったか、あれば教えていただきたいと思います。

(答)これは、高村大臣も、ぜひ前に進めたいというお気持ちは持っておられるし、したがって、先ほどの工程表は、気持ちとして前に進めているということがありましたし、甘利大臣からも、積極的に進めるべきだという御意見もありました。
ただ、やはり農業面ではなかなか難しいという、これは若林大臣の資料の中にも入っております。農業も、せっかく今、構造改革を進めているところで、それに悪影響を及ぼすのではないかとか、WTO交渉に悪い影響が出るのではないかといった懸念が示されました。
ということで、今日は2つの立場からの意見が出ておりまして、それで総理から、何とか関係大臣で一歩前に進めてほしいという指示がありました。これについては、また関係大臣で御審議いただいて、「骨太」に向けて検討していきたいと思います。

(以 上)