第3回会議(平成20年2月15日) 大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

大田大臣

18時57分~19時23分 於:共用220会議室

(1) 「新雇用戦略」について

(2) 対日直接投資について

1.発言要旨

  今日は議題は2つです。今日から、成長戦略の具体的な議論に入ります。「新雇用戦略」、それから対日直接投資、これはグローバル戦略の中の一つですね。それから、議題ではありませんが、新しい専門調査会の設置について、私から御報告いたしました。
まず、「新雇用戦略」は、民間議員からペーパーが出され、女性、若者、高齢者、それぞれについて、目標を設定しながら雇用戦略を講じるということがございました。
それから、舛添大臣、渡海大臣それぞれから、お手元にあると思いますが、資料に沿ってお話がありました。
議論を紹介いたします。
民間議員から、雇用を増やすということの数値目標を明確に立てて、成長率にしっかりつながるような戦略を立てることが必要だと。
それから、今日、舛添大臣、渡海大臣においでいただいたのは、保育所と幼稚園の両方の性格を持つ、縦割りを越える認定子ども園というのができたわけですが、なかなか広がっていないという実態。それから、放課後の児童サービスも、それぞれ厚労省、文科省がやっているということがあるわけですけれども、民間議員から、保育・幼稚園、それぞれ厚労省と文科省が異なる施策を講じている。国の一律ではなく、これは地域の実情に応じて地方が裁量性を持ってできるようにすべきだと。
それから、最低賃金は、遵守状況を厚労省にしっかりとチェックしてほしいという発言がありました。去年、厚労省は、この最低賃金の遵守状況をしっかりとチェックしたわけで、今年も引き続きやってほしいという発言がありました。
これに対して舛添大臣から、最低賃金改正法で罰則が強化されたということが抑止力になると思うけれども、引き続きチェックしたいという御発言がありました。
それから、渡海大臣から、この民間議員ペーパーの中に、厚労省、文科省縦割りになっている認定子ども園について、内閣府に一元化したらどうかという話があるわけですけれども、内閣府に移すことでうまくいくのか、実施部隊はどうするのか、今スタートしたばかりなので、やはり改良していくことが大事なのではないかと。それから、学校教育法の中で、幼稚園も教育の場であると位置づけられているわけで、これに保育をどう組み合わせていくのか、しっかりとした議論が必要だと。
それから、舛添大臣から、この認定子ども園について、一緒にするという試みはよいけれども、福祉という見方からの子ども、それから教育という見方からの子どもというのをよくよく議論しなくてはいけないと。例えば、インフルエンザなどで学級閉鎖するときに、幼稚園までは学級閉鎖できるけれども、保育園というのは閉鎖できないというようなことがあるようで、なかなかそういう問題もあるので、よく議論していく必要があると。
それから、増田大臣から、やはりそれぞれの地域の現場では、この認定子ども園、あるいは保育所と幼稚園が縦割りになっていることに対して、父母や関係者の不満は非常に強い。認定子ども園という形になっても、根っこが縦割りになっていると、上を足し合わせただけですから、地方では子どもの数が減っているので、お互いに現場では取り合いになってしまっている。父母のニーズに応えるということが大事ではないかと。
それから、町村官房長官から、文部大臣をしておられるときに、そのときの小泉厚生大臣と、縦割りではなく保育と幼稚園というのを一緒にやっていこうということは、そのときから議論して、先行準備もしたけれども、やはり一緒になれないのは補助率の問題なのですね。保育というのは措置ですから、国費がしっかりと出るけれども、幼稚園というのは教育であって、これは国費は出ないということで、この問題が非常に大きいというような御意見が出ました。
それから、民間議員から、この保育の分野では、保育に欠ける児童を市町村が認定するという、この措置というのが根源的な問題で、これを利用者の立場に立ったサービスに変えていく必要があると。かつての待機児童ゼロ作戦、今、新・待機児童ゼロ作戦をつくろうとしているわけですが、前の待機児童ゼロ作戦は2万人の待機児童を解消しようとした。これは自治体に登録された子どもであって、潜在的な需要というのは、もっと膨大なものである。このターゲットを大きく広げるには、措置では対応できないので、これを変える必要がある。地方分権委員会と連携して議論していくということが必要だという議論がありました。
この今、問題になっている措置については、舛添大臣からは、やはり多様な選択肢というのは当然必要だけれども、財源問題が絡んでくるし、それからこういうサービスは「安かろう悪かろう」になってはいけませんから、サービスの質ということも含めて、もう少し議論したいということがありました。
あと、甘利大臣から、地域の産業振興に適合した職業訓練というのが必要で、今、経産省としても、その観点からの地域人材育成の支援というのに取り組んでいくという発言がありました。
それから、舛添大臣から、やはり少子化対応は財源をどうしていくのか、それから地方財源についてもどうするのかということを、しっかりと議論しなくてはいけないと。
額賀大臣からこれに対して、新しい戦略をつくるのはもちろん必要だけれども、その際、既存のものをやはり見直していく。そして、有効な方策をつくる。そして、次世代に負担を先送りしないということが必要ではないかという発言がありました。
あと、この民間議員の提案の中に、高齢者に関しては柔軟な雇用ルールをつくって取り組んではどうかという提案があるわけですけれども、最近、労働法制が遵守されていないというような問題がいろいろあるので、この高齢者に対する柔軟なルール、あるいは在宅勤務についても、やはりこのルールをしっかりとつくる、その具体的な仕組みを検討することが必要だという意見がありました。
これに対して民間議員から、あくまで柔軟なルールというのは高齢者を対象にしたもので、高齢者という年齢を区切って弾力化すると。今、高齢者はもともと非常に不安定な状況に置かれていて、嘱託という形で1年更新の雇用になっているので、そこに柔軟なルールを適用して、より安定したよい状態にしていこうというのが趣旨だという発言がありました。
あと、民間議員から、子育てしている女性の就業率が下がらないようにするという目標が大事だと。M字カーブをつくらないということですね。そのためには、発想を親の側に完全に転換して、預けたいときに子どもを預けられる、3月31日を過ぎても申請できるという安心感が必要で、そのためには措置という制度を大きく変えていく必要があるという御発言がありました。
それから、最後に民間議員から、就労という点では、新しい成長戦略で、この成長で得られた成果が賃金の引き上げで家計に確実に配分されることが必要だ。それが消費や住宅投資など、安定成長につながっていく。今、春闘の真っ最中だけれども、こういう好循環を確立することが、企業にとってもプラスである。収益の状況、賃上げの状況は企業によって異なるけれども、この認識、つまり好循環が企業にとってもプラスなのだという認識を、経営者も中・長期的な視点に立ってしっかりと共有することが重要であるという発言がありました。
私から、今日は措置とか認定子ども園については、まだ意見が分かれておりますので、引き続き議論したいということを申し上げました。それから、雇用戦略全体については、今日の議論も踏まえて、舛添大臣に次回、数値目標ですとか改革工程も含めて、いわゆる「舛添プラン」というものをお出しいただきたいというお願いをいたしました。
総理から、次のような御発言がありました。
これから日本は人口が減少するけれども、その人口減少の下でも安定した成長を実現していかなければならない。これは大きなチャレンジであるけれども、うまく活用すれば、日本の経済構造をさらに強くするチャンスでもある。こうした観点から「新雇用戦略」は、全員参加の経済戦略を展開していく上で大きな柱となるものであり、女性、若者、高齢者に対するどの政策分野も重要だと。
総理が、今日、都内の企業内保育所を訪問されたそうで、これはもう理想的にも見えるような保育所なのだけれども、働くお母さんの側からすると、そういう中でもいろいろと問題があるようであるけれども、政府としてもいろいろな取組をしっかりと推進していく必要がある。厚生労働大臣を中心に、新・待機児童ゼロ作戦というのを推進してもらいたい。また、認定子ども園など保育サービスを充実していくことは、生活者の立場に立ってこれを進めることが不可欠なので、舛添大臣、渡海大臣には、役所の縦割りを越えて知恵を出してほしいと。
それから、今日、民間議員から、経済成長の果実が賃金として国民に還元されるということは重要な課題で、民間議員から今日そういう発言、企業もその方向で努力することが重要だという旨の発言をいただいたことは、大変心強いという発言がありました。
それから次に、対日直接投資について、民間議員と甘利大臣から資料の説明がありました。
民間議員から、次のような意見がありました。
対日投資は、いろいろな問題はあるけれども、本質的には事業コストを削減するということが重要だ。そして、期待収益率を高めるということが重要である。投資協定やEPAも、国内制度の調整などあるけれども、積極的な対応が必要だ。そして、企業も研究開発投資を増やして、魅力的な企業とすることが必要だと。それから、配当性向についても、欧米の企業に比べると、まだまだ改善の余地がある。この配当というのも、家計への波及の一つなので、配当性向を高めていく努力というのが大事だと。
それから、別の民間議員から、対日投資について、バブルのころは物価が高いとか、土地が高いということがネックだと言われていて、今は物価も安くなったし、ホテルコストも安くなったけれども、やはりなかなかビジネスチャンスがないというところが言われている。東京は非常によいところだということは認識されているのだけれども、スタッフが雇えない、それから英語を使えるサポートスタッフが雇えない、即戦力になる人材がなかなかいない、ベビーシッターを連れていこうと思ったらビザが下りないといった人の面が大きいのだと。今、10のうち8ぐらいまでは、何とか満足できる環境を用意できるようになっているのではないか、ここで何かを思い切ってすれば、急激に対日直投を増やせるような環境が整っているのではないかという発言がありました。
それから、別の民間議員から、何が問題かというと、ソフト面で人事の公平な評価ができていないということがある。優秀な若者が、それで日本に来ない。やはり、これは官と民が協力してやることが必要だと。
それから、別の民間議員から、政府がGDP比5%という目標を掲げてやっているわけですけれども、仮にその目標が達成されても、海外に比べると、やはり相当低いわけで、これは民間議員ペーパーの最後にグラフが出ています。これを飛躍的に増やしていくと。そのための一層のオープンが必要で、例えば日本には、人材という点では、まだまだ女性がなかなか使われていない状態もあるわけで、対日直接投資が増えない背景には、日本の経済社会のひずみといったようなこともあるのではないかと。
それから、私からは、今日の意見も踏まえて、私のところにつくっております対日投資の有識者会議で集中的に議論して、春ごろに取りまとめたいということを申し上げました。
総理から、日本が企業活動にとって魅力ある国になることは極めて重要だ。対日投資拡大に向けて、今日示された論点について、関係大臣でよく検討してほしいということがありました。
最後に、私から専門調査会の設置について御報告いたしました。
前回の諮問会議で、この設置は了解されております。「前川レポート」から、今、20年たって、世界経済はさらに大きく変わっております。「前川レポート」でも、対外収支不均衡を是正する観点から内需の拡大が必要だということが言われ、そのためには労働時間の問題とか、あるいは成果配分をより賃金に向けていくことが必要だというような議論がなされました。20年たった今、やはり日本の内需の厚みは、まだまだつくられていないわけですね。それから世界構造、世界の資金の流れは大きく変わっております。そういう中で、「構造変化と日本経済」専門調査会というものを設置して、日本経済の質的な構造を含めて議論していきたいということで御報告しました。
主な論点は、お手元にペーパーがあると思いますが、世界的な分業構造や資金循環の変化の下での日本経済が直面する潜在的なリスク、企業と家計の間で好循環が形成され、内需の厚みを増す成果配分、ダイナミックに成長しつつ格差のひずみが小さい経済構造のあり方、世界経済の中での日本経済の役割、といったような論点を中心に御検討いただきます。
メンバーも、お手元にお配りしてあります。メンバーは、諮問会議の専門委員という位置づけになりまして、総理の任命になります。
今後の予定ですが、今年6月をめどに取りまとめるということにしております。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)保育所の措置のところが話題になったということなのですが、厚労省側の反対意見というか、慎重な意見の理由としては、財源問題ということと、ほかに何かあったのかという点。
それと、この問題は、昨年暮れの規制改革会議でも、相当侃々諤々やって、結局、規制改革会議側が後退した形になって決着しています。諮問会議として、どういったやり方でここを──この言葉がよいのかわかりませんが、突破していくというか、改革を目指していこうとしているのか、その辺を教えてください。

(答)まず、財源の問題もありますけれども、措置の場合は、一応、役所がサービスの質まで管理するというようなことになるわけですけれども、広げていったときに、舛添大臣からは「安かろう悪かろう」といったようなことになってはいけないのではないか、それから「使える人、使えない人」がいてはいけないのではないかといったような論点が出されました。
ここは、まず、もう少し議論したいと思っております。諮問会議の中では、まだこの議論は十分になされておりませんので、これはさっき御紹介した町村官房長官からの発言にもあったように、認定子ども園の問題にもかかわってくる話でもありますので、もう少し議論したいと思っております。

(問)対日直投のところで、現在動いているようなJパワーの問題とか空港の施設の運営会社の外資規制の問題とか、こういったものが話題になって、議論は繰り広げられたのでしょうか。

(答)個別事例は議論されませんでした。空港の外資規制も、今、政府の中で調整をやっているところですし、今日はあくまで私のところにつくっている有識者会議、ここへ民間議員の考える論点を提示して、これからの議論を深めてもらうということが民間議員ペーパーの趣旨であったように思います。
したがって、一般論ということで、個別論の議論はありませんでした。

(問)専門調査会なのですけれども、会長は植田先生でよろしいのでしょうか。

(答)植田先生を念頭に置いていますが、これは互選です。

(問)では、まだ決定ではないということですね。

(答)はい。

(問)6月めどに取りまとめということなのですけれども、今後のスケジュール感、月1回ですとか月2回とか、そういったものがあれば教えていただけますか。

(答)6月のサミットに向けて、日本経済に係るメッセージにもなってまいりますので、それを考えますと、2月下旬に1回目をやりたいと。できれば、月に2回はやっていきたいと思っております。3月、4月、5月というところですので、2回ぐらいを考えております。
ただ、忙しい方が多いですし、海外出張の多い方もおられますので、メールなども活用しながら、いろいろな形で意見の集約を図っていきたいと思っています。

(問)今のお話なのですけれども、植田先生が会長に就けない事態というのは考えられるのでしょうか。

(答)ちょっと私には、よく御質問の意味が理解できません。どんな方にも不測の事態は起こり得ますので。

(問)内閣府に認定子ども園とかの管理に関するところを一元化するという考え方なのですけれども、批判もあったようなのですが、大臣御自身のお考えはどうなのかというところと、今後、この議論はどこまで深く詰めていくのかどうか、お考えをお伺いしたいのですけれども。

(答)基本は、今日のどなたかの発言にもありましたけれども、やはり大きく補助の体系も違ったり、制度のあり方も違ったりという、その根っこが分かれていて、今ある認定子ども園も、幼稚園型、保育所型、それから同じ敷地の中に両方あるタイプとか、分かれているわけですね。ですから、本当はここをしっかりと突破するには、どこかに一元化するということは、一つの方法なのだろうと思います。
ただ、そう簡単にいく問題でもないでしょうから、この一元化のような仕組みも含めて、よりよいやり方があるか検討したいと思います。これは、地方分権委員会でも議論がなされておりまして、先週ですか、前回、侃々諤々の議論もあったようですので、地方分権委員会とも連携しながら、議論していきたいと思っています。

(問)専門調査会の件に絡むのですけれども、「前川レポート」から既に20年もたっているのに、なぜ内需拡大が進まなかったのか、大臣はどのような御認識を持っているのか教えてください。

(答)「前川レポート」のときとは、また違う状況だと思うのですね。外需といっても、あのときのように加工貿易で、原材料を輸入して組み立てて出すというのとは全然違って、外需といっても、工程間分業がなされているわけですね。部品を輸出して向こうで組み立てて、あるいは最終的な段階を日本でやったり、それから逆のケースもあるわけですね。ですから、内需・外需というのは、前とはやはり少し違ってきているようにも思います。
ただ、今抱えている問題としては、今回の景気回復の中で、なかなか賃金が伸びないがために消費の力が弱いということがございます。そういう意味で、内需に弱さがあるということが言えると思います。
「前川レポート」は20年前、「新前川レポート」が87年だったのでしょうか、それからバブルだったわけですね。実は、バブルという形で内需が増えたのだと思います。その後、バブルが崩壊して、そして長い低迷に入ったわけですね。
ですから、20年もたって内需がなぜ増えないのかというよりも、実はその間の20年というのは、日本にとってはバブルが生成し、その崩壊の後処理に追われた期間というのが長かったのだと思うのですね。その間に、世界経済は大きく変わって、実はその経済構造に十分に対応していないという脆弱性を、今、新たに持っていますので、だからこそ、今ここで専門調査会をつくって、日本の抱える潜在的リスク、あるいは、今の状態で内需の厚みをつくる成果配分のあり方といったものを議論したいと思っています。

(以 上)