第2回会議(平成20年1月31日) 大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

大田大臣

18時55分~19時13分 於:共用220会議室

(1) マクロ経済運営について

(2) 経済成長戦略について

(3) 今後の諮問会議の進め方について

1.発言要旨

 今日の議題は3つです。マクロ経済運営、それから経済成長戦略、今後の諮問会議の進め方という3つです。
まず、マクロ経済運営につきましては、日銀の福井総裁から資料に基づいて展望レポートの中間レビューの御説明、あわせて昨年来の金融資本市場の動きが御説明されました。
それから、内閣府からやや中期的に2000年以降の世界の資金の流れについて御説明し、日本の金融資本市場が抱える問題点を、やや中期的な観点から御説明いたしました。
今、足元の金融資本市場の動向に目を奪われがちですけれども、そのことはもちろん最大限の注意で見ていかなくてはいけませんが、こういうときだからこそ中期的な金融資本市場のあり方を見ていくことも重要で、そういう観点から資金の流れを御説明いたしました。
これに対して次のような御発言がありました。
民間議員から、今欧米ではサブプライム住宅ローン問題を中心に危機感が高まっていると。日本の置かれる状況は、直接的なサブプライム住宅ローン問題の影響はそれほどありませんので、日本の置かれている状況は微妙に異なるけれども、G7では危機感を共有して、そして改革の方向性をともに見出し、その上で各国が最善の手法を活用することが重要なので、議長国としてリーダーシップを発揮してほしいという御発言がありました。
他の民間議員から、こういう世界的なリスクに日本が翻弄されない強靭な経済構造をつくる必要があると。原油価格については、成長と環境の両立を図ることが必要ですし、それから国際的な景気変動に対しては、国内志向を強めるのではなくて、資金、人材、市場を国内に取り込むことが重要だと。そのための魅力を高めることが重要であると。国際化が遅れているところにしっかり取り組んでいかなくてはならないと。
それから、海外資金の変動については、国内からの市場参加者を持つということが重要で、確定拠出年金の改革が重要であると。例えば個人拠出を増やすとかそういうことですね。個人が貯蓄から投資に移るその第一歩になるという発言がありました。
他の民間議員から、日銀の福井総裁から生産、所得、支出の好循環が維持されているというお話があったけれども、やや違和感があるという発言がありました。
これに対しては、福井総裁の方から次のような発言がありました。リスク要因は最大限に注意して見ていかなくてはいけないけれども、経済の実体については、恐怖感で処理するのではなくて、冷静に見ていくことが必要だ。生産、所得、支出のメカニズム、そして生産、出荷、在庫のメカニズムを十分注意して見て、ここに前向きのメカニズムを維持していくことが必要だという御発言がありました。
他の民間議員から、こういうときに株価対策、景気対策という名のもとにばらまきが行われることは避けねばならないと。これは改革への逆行として日本売りを招きかねないと。こうしたときこそ危機感を持って改革を進めると。そして、日本経済の成長力を高めることで、投資家にとっての魅力をつくっていくことが必要である。
それから、これはお名前を申し上げます。額賀大臣から次のような発言がありました。秋のG7で証券化商品ですとかリスク管理についてテーマを与えて調査していると。これは、額賀大臣、名前は仰いませんでしたが、金融安定化フォーラムのことだと思います。その中間報告をG7では求めて、率直な議論をしたいと。サブプライムローンの問題が、実体経済にどのような影響として出てくるのか、各国の意見を聞き、どういう対応策をとっていくのか、どういうメッセージを出していくのがよいのか議論していきたいと。
欧州と米国でもまた認識が違う点もあると。日本は直接的な被害は少ない、バブルの経験もあるので、しっかりリーダーシップを発揮して、議論を進めたいという御発言がありました。
それから、甘利大臣から、内閣府が説明した資料がまさにそれをあらわしていますけれども、過剰流動性の問題でこういう事態が発生していると。アメリカ一国に資金が集中するという状況が起こっているわけで、今後、アジアの実体経済にそういう資金が流れていくような手法を開発していくことが必要だと。
その一つとして、先日、アブダビと日本との間で覚書を交わし、アジアプロジェクトに一緒に投資をしていく、日・UAEの投資促進の合意がなされたと。今後、アジアに資金を流すためには、アジアでの経済制度の整備、2つ目に環境を含めた技術協力、3つ目に人材育成というのが必要なので、成長戦略にも描いてありますアジア経済環境共同体の構想をしっかりと進めていきたいという御発言がありました。
最後に、総理から次のような発言がありました。
日本経済の現状を見ると、賃金がなかなか上がらず消費に弱さがあると。それに加えて、世界の金融資本市場の動揺が続き、米国経済に減速が見られるので、当面細心の注意で経済動向を見ていかねばならない。そして、状況に応じて迅速に対処する構えを持つことも重要だと考えていると。政府と日銀は、緊密な連携をとるようお願いしたい。
足元の問題への対応と平行して、今日の報告にあったように、これは内閣府の報告だと思いますが、中期的な観点から日本の金融資本市場をより厚みのある魅力的なものにする改革が不可欠だと。今回のサブプライムローン問題をきっかけに、日本経済のリスクを冷静に点検して、緊迫感を持って改革に取り組みたいと。
額賀大臣と福井総裁におかれては、G7もあるし、それから欧米だけではなく、アジア太平洋諸国との連携もしっかりとって、アジア経済への波及を最小限に食い止める努力もしていかなくてはならないのでよろしく頼むという御発言がありました。
次に、経済成長戦略について、私の方から御説明しました。これは、前回の議論を踏まえ、その後の総理の施政方針演説、それからダボスでの御発言などを踏まえて、総理と御相談しながら作成したものです。簡単にスキームだけ御説明しておきます。
成長力を高めるためには、1つには弱みを克服しなければいけません。2つ目に、強みを更に伸ばさなければいけない。3つ目に、外から成長エネルギーを取り込まなければいけないと、この3つが必要なわけですが、強みを更に伸ばすというのがこの戦略1の革新的技術創造戦略になります。
それから、弱みを克服するというところで、やはり今日本の弱みは、サービス産業の生産性が低いということですので、このサービス産業の生産性を高め、あわせてサービスに対する消費者の潜在的需要に応えていくということがあります。潜在ニーズに応えていくということがあります。
それともう1つ、日本が直面する課題が人口が減るということですので、そういう意味で全員参加の労働市場をつくっていくということが必要になります。これが3つ目の全員参加の成長戦略という部分になります。
そして、海外の成長エネルギーを取り込むというのがグローバル化戦略ということになります。
これまで安倍内閣のもとでも成長戦略を実行してきました。それを例えばグローバル戦略のように更に強化した部分もございます。今回新たなアプローチで総理の理念のもとに加わっている点として、私は3つあると思っています。
1つは、環境を明示的に成長に結びつける鍵にしているという点です。
それから、2つ目に、例えば異業種間の連携であるとか、つながりというものを大事にして、全員参加というものを明確に打ち出している点です。
それから、3つ目に、生活の場からの成長という考え方を出している点です。それが、例えば持続可能なライフスタイルであったり、あるいは生活直結型のサービスを革新していくというようなことです。
この成長戦略についての議論を御紹介いたします。
この説明の後、民間議員から成長戦略のうち実行できるものはなるべく早くやっていくべきだと。この成長戦略の中には、戦略取りまとめは春を目途にして、それを「骨太方針」にしっかり書いていくわけですが、取りまとめ前でも実行できるものはやっていく。取りまとめ後、すぐに実行できるものは当然ですがすぐにやっていくと。その上で、法改正などを要するもの、これについてもできる限り早くやっていくということです。これは私が取りまとめました紙にも進め方としてなるべく早くやっていくということが書いてあります。
別の民間議員から、この中に消費者の観点に立った規制改革ということも書いてあるわけですけれども、電力、ガスが値上がりすることになっています。こういう電力やガスも競争を通じた効率化が必要で、公益事業の規制改革を消費者の視点から進めることが必要であると。
それから、お二人の民間議員から、グローバル化という観点で、空港会社の外資規制、これが今法案をつくる段階ですね、議論がなされておりますが、やはりグローバル化の観点からは、内外無差別ということが必要ではないかと。国際的な視野から検討してほしいという御意見がありました。
それから、甘利大臣からiPS万能細胞のような画期的な技術というのは、少しでも遅れると国際競争に遅れてしまうので、各省ばらばらではなくて、総合科学技術会議、諮問会議など連携をとって、大胆かつスピーディーに仕組みをつくっていくことが必要だと。
それから、地球環境との共生について、その取り組みについては、実行可能ですべての主要排出国が参加する公平な目標の設定が重要だという発言がありました。
それから、増田大臣から、ITとICTという2つの使い分けがありますけれども、これはICTで統一すべきだというような意見がありました。
それから、増田大臣から情報通信のための各種制度の見直しというのが大変重要で、行政手続のオンライン化とか、こういうものを一挙に進めていかなくてはならないという発言がありました。
それから、民間議員からグローバル戦略でEPAをしっかり進めることが必要だと。例えば、韓国が米、EUとEPAを発効させると、やはり日本の競争力ある企業には不利益だと。当然、EPAを結ぶことで不利益を被る生産者や産業もあるわけで、そこには手当が必要だと。だからこそ、トータルパッケージでこのFTAの進め方を組み立てて、各省横断で取り組む必要があるという御発言がありました。
それから、航空自由化では、アジア・ゲートウェイ戦略で、羽田では欧米を含めたチャーター便を飛ばすことになっているんだけれども、実績がないので進めるべきだという発言がありました。
それから、労働分配率、ここが今賃金がなかなか上がらずに消費の力強さが欠けているという点があるので、成果配分が重要だという認識を共有する必要があるという御発言もありました。
総理から、経済成長戦略については、政府を挙げてできるものから着手、実行してほしいと。今後、経済成長戦略を審議する中で、更に早期に実行できるものがあれば、それも積極的に実行に移していきたい。よろしく頼むという御発言がありました。
最後の、今後の諮問会議の進め方につきましては、全く時間がなくなってしまいました。これについては、私のペーパーを取りまとめる段階で、出席している省庁とは既に事務的にも調整をしておりますので、これで御了承いただきました。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)マクロ経済運営のところで、今日は金融政策についてのやりとりはあったのかということと、あともう1点、総理が最後で、状況に応じて迅速に対応する必要があるというコメントを紹介していただきましたが、迅速にやる場合は財政でなく金融面というイメージがあるわけです。その辺を念頭に置いての発言なんでしょうか。

(答)金融政策についての議論はありませんでした。総理のここの御発言は、財政政策とか金融政策ということではなくて、迅速に対処する構えを持つことも必要だということで仰いました。それ以上の付け加えはありません。

(以 上)