第1回会議(平成20年1月17日) 大田大臣 経済財政諮問会議後記者会見要旨

大田大臣

19時37分~20時05分 於:共用220会議室

(1) 国土形成計画について

(2) 「日本経済の進路と戦略」について

(3) 今後の諮問会議の進め方について

(4) 新成長戦略について

1.発言要旨

 今日は、今年初めての諮問会議でした。議題は4つです。国土形成計画。それから「日本経済の進路と戦略」、これは諮問・答申です。それから、今後の諮問会議の進め方について。そして、新成長戦略です。
まず国土形成計画について、民間議員から提案がありました。これに対して、冬柴大臣からは、もう全面的に民間議員の言っていることに賛成であると。そのように進めていきたいと。1点だけ、民間議員ペーパーの1枚目、お手元にあればちょっとごらんいただきたいんですが、1ページ目の一番下。「計画策定に際しての地方支分部局の役割は、地方出先機関の抜本改革と整合性をとるべきである。計画が道州制導入の一里塚となるよう、関連自治体が主役となって策定・実行されなくてはならない」という点について、計画の中には、国が全国的な視点で行わなくてはならない施策、国が責任を持ってやらなければならない施策が含まれていると。したがって、自治体とまさに対等・平等の立場で支分部局―出先機関ですね、が構成員となるようになっていると。この点は御理解いただきたいと。この支分部局の抜本見直し、これは今、地方分権改革推進委員会で議論しているわけですけれども、都道府県や自治体の関係者の意見をよく聞きながら進めてほしいという御発言がありました。
それ以外に、民間議員から、こういう地方の計画、広域地方計画という形で計画策定するのは政府としては初めてのことで、意見の集約など難しいこともあるだろうが、地方が自ら考えて、自発的に作成する、策定するということが実現するようにしてほしいと。期限は、平成20年度となっているけれども、これも弾力的に考えて地方自ら考えて策定するような、そういうものにすべきだと。
それから、北海道、沖縄については、既に別途の計画がありますけれども、これも所要の調整をして整合性をとるようにすべきだという発言がありました。
それから、別の民間議員から、国土形成計画と直接関係はしないけれども、せっかく冬柴大臣がおいでだからということで、今、成田と羽田について、国際拠点空港のインフラに対して、3分の1の外資規制を課すということが報道されております。こういう国際拠点空港のようなインフラに国が何らかの規制を残すということは理解できるけれども、できれば外資規制ではなくて、内外無差別な手段とすることも検討していただけないかと。空港会社の外資規制の問題ですね。
これに対して、冬柴大臣から、この国際拠点空港というのは、日本の国際的活動にも不可欠ですので、次期通常国会に提出を目指している空港の整備及び運営に関する法案においては、空港会社等について外資規制を導入することがぜひとも必要だと考えていると。国際拠点空港等の適正な運営を確保するための方策については、これからも国会における審議や関係の皆さんの意見を伺いながら、いろいろな角度から検討してまいりたいという御発言がありました。
1つ目の国土形成計画については以上です。
2つ目の「進路と戦略」については、まず内閣府の方から、参考試算の御説明をいたしました。改めて申し上げるまでもありませんが、2011年度に国・地方合わせた基礎的財政収支を黒字化させるという目標を立てております。そのときに、成長戦略の効果が発現した場合の成長率、それから発現せずに、あるいは国際的にも経済の変動があった場合のシナリオ、これら2つについて、「基本方針2006」で定められた歳出削減14.3兆円の歳出削減を行った場合、11.4兆円の歳出削減を行った場合、それぞれについて年2回、2011年度までの経路がどうなるかを出しております。「骨太2006」で出しましたときは、このときは成長率は外生的に名目成長率3%、平均して3%というもので経路が出されております。この場合は、2011年度に2.2兆円の赤字が出るという計算、試算が出されました。これについては、増税なり、あるいは一段の歳出削減なりでやっていかなくてはいけないということです。
次に、昨年の今ごろお示ししましたときは、2006年度の成長率が、税収が高かったこともありまして、2011年度に1.4兆円の黒字が出るという計算が出されました。これは、成長効果が出た場合の成長率で、なおかつ14.3兆円の削減を行ったケースです。
今回、名目成長率が足元で低下しまして、物価上昇も遅れているということがありまして、税収が昨年の時点よりも減少するということで、2011年度でマイナス0.1%、金額にすると7,000億円程度の赤字になるという計算が出ました。こういうことについて、内閣府の方から説明がありました。これに対する議論です。
まず、これはお名前を申し上げますと、額賀大臣から。この参考試算について、14.3兆円の削減をし、なおかつ成長率が順調にいったケースでもプライマリーバランスは0.1%の赤字になると。しっかりと、財政健全化への道筋を諮問会議で議論していくことが必要だと。我々も対応策を議論して実行すると。国民の安心を得ることが必要なので、引き続き議論したいという御発言がありました。
それから、民間議員から、この成長率が高いケース、なおかつ14.3兆円でも黒字化の達成は、今回の試算では難しいと出たわけです。ここで2011年度にプライマリーバランスを黒字化させるためには、3つの方法があると。1つは、増税をするケース。それから、2つ目は、歳出削減を拡大するケース。3つ目は、その折衷案で、増税と歳出削減をともにやるということです。とるべきは、この2番目か3番目だと。いずれにせよ、2011年度のプライマリーバランス黒字化という目標は、決して断念してはいけないと。ここで断念をしますと、政府の信用は失墜すると。この2番目、これは歳出削減を拡大、3番目、これは増税と組み合わせると。このどちらかで改革を続行し、それで不足する分は増税すると。基本は歳出削減幅を拡大することが必要だと思うという発言がありました。
別の民間議員から、2007年度、税収が1年前より落ち込んで、今回のような試算が出ていると。名目成長率が落ちた大きな理由として、建築確認、改正建築基準法の対応の遅れですね。コンピュータープログラムが間に合わなかったというような行政の責任はやはり大きいと。2008年度は、世界経済がやはり厳しい状態になることが予想されると。不確実性が拡大しているので、この成長シナリオ、リスクシナリオ、どちらも不確実性があるわけで、厳しい状況でもプライマリーバランスは2011年度に確実に黒字化させるという決意を確認する必要があるという御発言がありました。
議論は以上です。
その後、総理から挨拶をいただきました。申し遅れましたが、「進路と戦略」は、ここで了承されました。総理の御挨拶、これはプレスの皆さんも入っておられましたので、御存じと思いますが、一応申し上げます。
「日本経済の進路と戦略」を答申いただき、議員の皆様に厚くお礼を申し上げる。これを閣議決定して、福田内閣の経済財政政策の中期方針としたい。人口減少やグローバル化、環境制約等の大きな変化に対応し、リスク要因をチャンスに変えて、新しい成長の姿を確立することは、我が国にとって重要な課題であると。副題にあるように、「開かれた国、全員参加の成長、環境との共生」という考え方を重視しつつ、希望と安心の国の実現に向けた改革を進めていく必要があるので、御協力をよろしくお願いしたいという御発言がありました。
申し遅れましたが、「日本経済の進路と戦略」の副題、これは総理にお決めいただきまして、「開かれた国、全員参加の成長、環境との共生」ということになりました。この「進路と戦略」は、明日の閣議で決定していただく予定です。
1点だけ、もう皆さんは御存じのとおりと思いますが、この参考試算につきましては、この「進路と戦略」本体の審議に資する目的で、内閣府の責任で作成したものであり、諮問・答申及び閣議決定の対象ではありませんので、その点を私から申し上げました。
「進路と戦略」については以上です。
次に、進め方です。
ペーパーに沿って、まず民間議員から御説明がありました。その後の御発言として、民間議員から、専門調査会で、日本経済の構造の質的な側面をここでしっかりと押さえておくということで、専門調査会を立ち上げるということが、民間議員から提案されています。それに関して、まさに今、第2の前川リポートが求められているということだと思うと。前川リポートが出されて、それが新マエカワリポートで具体化が議論されたわけですが、昨年は、それからちょうど20年たっております。この20年の間に、経済社会環境は大きな変化があったと。ここで経済構造のあり方を問うという野心的な報告にすることが重要だと。
それから、同じ民間議員から、消費者行政の改革というのは大変重要であると。日本の行政は縦割りで、しかも生産者優位の考え方が強いと。消費者の立場に立って、行政を行うことが重要で、そのことが安定した消費や人々の安心感につながると。
それから、別の民間議員から、株が下落していまして、アメリカの格付機関によると、昨年の株の騰落率は52カ国中、日本は51位だったと。これは、やはり海外が日本の改革の遅れを懸念していると。自国でも国民が日本の未来に不安を持っているということではないかと。「進路と戦略」などで安心できる姿をしっかりと示していくことが必要だと。特に、行財政改革は重要で、公務員制度をしっかりつくっていかなければいけないと。新人材バンクなど実行できる改革から着実に、迅速にやっていくと。それから、独法、特会、こういうものも手綱を緩めず改革を加速させると。これが海外の投資家の信頼を得ることにつながると。
それから、別の民間議員から、この専門調査会はやはり重要であると。国内では所得分配が問題になっていると。なるべく消費と生産のいい循環をつくって、外需に頼らないような経済構造をつくる必要があると。一方で、外国の成長を取り入れることも重要で、人、モノ、金、アイデア、情報ですね、外国の成長を取り入れることが重要だと。日本は、どうしてもっと成長できないのか、よく海外の人に質問されて、歯がゆい思いをしているので、輸出・輸入ともに伸びるような構造をつくる必要があると。
別の民間議員から、税の抜本的改革が必要だと。社会保険関係費は増えていきますので、この安定的な財源が必要で、その際には、世代間で負担が公平、それから税収が安定している消費税の議論を避けて通ることはできないと。すぐに増税ということではなく、税制の抜本的議論、抜本改革に向けた議論を早くやっていく必要があると。それから、税に関しては、国際的な視点を忘れずに、国際的に魅力ある税にする必要があると。それからもう1点、広域経済圏の構築が重要で、道州制導入に向けた国民的議論をやっていく必要があると。
それから、これはお名前申し上げますと、甘利大臣から。日本経済の構造をきちんと議論するというのは賛成だと。あらゆる産業がグローバル化と関係しているので、競争ある産業構造をつくるという観点で、産構審でも議論を着手したと。6月末に取りまとめるので、専門調査会や成長戦略と連携をとりながらやっていきたいと。
それから、成長戦略は、民間議員の提案された進め方で賛成だが、これまでのいろいろな施策と一緒になって全体として成長戦略なので、経済成長戦略大綱のローリングについても進捗確認しながらしっかりやっていくと。
それから、別の議員から、この自律的成長をするために、今の日本はグローバル・ダイナミズムの中にあるので、開かれた前向きの循環メカニズムをつくることが重要で、内向きの閉ざされた内需拡大ではいけないと。
それから、これもお名前申し上げますと、額賀大臣から。今、人々が人生のライフサイクルの中で、不安や不満を持っていると。不安の一つは、財政再建ができるのかどうかということ。それから、社会保障がどうなるかということで、この社会保障は消費税抜きには考えられないので、道筋をしっかりと示すことが必要だという御発言がありました。
この進め方につきましては今日の議論を受けて、次回、私の提案として提示し、審議していただき、諮問会議としての取りまとめをお願いすることになります。
最後に、総理から、次のような御発言がありました。
いよいよ福田内閣の改革方針を出していく時期なので、民間議員の提案に沿って、今年もしっかりと議論をしていただきたいと。閉塞した日本経済から脱却できるように、また国際社会への発信ということも念頭に置いて、集中的な議論をお願いしたいと。その際、日本経済の質的な変化を総括して、これからのあるべき姿を議論するという提案は、まさに適切な考えだと思うと。
それから、消費者行政の確立については、今、国民生活審議会で検討をお願いしており、3月にも答申をいただくことになっていると。それを受けて、生活者・消費者主役の元年となるよう、経済財政諮問会議で具体像を御議論いただきたいと。
以上の御発言がありました。
最後に、成長戦略ですね。
成長戦略について、12月にお示しした基本骨格に沿って、今日は民間議員から、具体的な政策の柱を御提案いただきました。併せて、甘利大臣からも一人当たりGDPのOECDのデータですね、それが示されました。
議論ですけれども、まず甘利大臣が資料説明の際に、やはり一人当たりGDPが高い国が生み出す強みを共有して改革を進めるべきであると。日本も障害をわかりやすく抽出して議論することが必要だと。それから、民間議員ペーパーにある再生医療で、先端バイオ技術の研究などは非常に重要だと。日本発の画期的な技術をいち早く実現するための集中的な技術開発支援が必要だと。
民間議員から、この日本で今、労働分配率が低いといわれていますけれども、国際比較を見ると、必ずしも日本が低いわけではないので、こういうものはきちんとデータをベースに議論をしたいと。もちろん、国内で大企業と中小企業の二極化はあるかもしれないけれども、国際比較をしっかりしながら議論をする必要があると。それから、今、日本で100人以下の中小企業に勤める人が70%ぐらいになっていると。中間層の再生、それから中小企業の再生が非常に重要だというお話がありました。それから、天然資源のない日本は、人と技術に投資することが大事で、ここに集中的に投資する必要があると。
それから、別の民間議員から、日本は強みを発揮していくことが必要で、公的な研究拠点の強化や民間の開発投資が必要だと。それから、IT化を進めるために、省庁の壁を越えた電子政府をやることが必要で、5年程度の工程表をつくって強力に推し進めるべきだと。この際、国際入札も考慮に入れるべきだと。それから、EPAの加速が重要だという発言がありました。
別の民間議員から、人の交流、国際交流を伸ばすことが必要で、高度人材を拡大するために、就労ビザの資格の数を拡大する必要があると。外国人就労は、いろいろな懸念があるのも事実で、入国管理と就労管理を一体として、懸念を払拭しながら拡大することが必要だと。それから、高等教育においては、英語で教育することが非常に重要で、今は世界、アジアともに英語のプログラムを持っているので、これがないとなかなか来てくれないという御発言がありました。
それから、これはお名前を申し上げますと、増田大臣から。この200年住宅のような長寿命化というのは重要だと。これは、民間の住宅だけではなくて、官のつくる社会資本を長寿化することも必要ですが、公共施設などは新設する場合、あるいは大きい改良の場合は補助金が出るけれども、超寿命化の維持、保守管理ですか、維持管理には、自治体の負担になると。文教施設なども保守する場合は、地元負担になってしまうと。したがって、全体としてこういう制度を見直して、ストック型社会に切りかえていく必要があると。地方分権改革推進委員会でも検討したいけれども、そういう議論をしっかりとしていきたいというような御発言がありました。
最後に、総理から、この成長戦略はみんなにわかるような議論が必要で、そうしないとやる気が起こらないと。国民も企業も専門家も、広く理解が得られるような議論が必要で、その具体的プランを国民に提示してほしいという御発言がありました。この成長戦略につきましては、民間議員から具体的な政策の柱を御提案いただきました。明日、総理の施政方針演説もございます。それを踏まえて、次回、私からの提案として提示して御審議いただき、諮問会議としての取りまとめをしていきたいと思っております。
私からは以上です。

2.質疑応答

(問)「進路と戦略」のところで3点ほど伺いたいんですけれども、まず1点目が、総理とのやりとりですが、先ほど御紹介いただいた民間議員等の議論の中で、11年度の黒字化目標を断念してはいけないだとか、きちんと黒字化する決意が必要だとか、そういう議論の後で総理の話があったわけですけれども、ここで総理は黒字化云々の話はしなかったというふうに理解していいんでしょうか、それがまず1点目です。
2点目が、ここでも議論になった、であればその黒字化というものに向けて、これを維持するのかどうなのか、その辺の考え方をどういうふうに持っていらっしゃるのか。
3点目で、やはり民間議員の議論で、そうするためには増税とか歳出削減へのさらなる拡大とか、そういうのが必要だという話でしたけれども、その見通しはどうなっているのか。特に、来年度税制改正でも大幅な税制改正は見送られましたし、歳出削減についても、来年度予算の策定の際に与党からはかなり抵抗、反発があって、来年はもうできないと。次の予算編成のときには、社会保障で2,200億はできないといったような議論も出ていますけれども、そういうことを踏まえた上で、本当に黒字化へ向かって進んでいけるのか。その御所見をお聞かせください。

(答)まず、その黒字化は断念してはいけないと、これは当たり前のことでして、今日、総理からそれについての発言はありませんでしたけれども、もう随所で黒字化は確実に実施するということを仰っているので、これは当然のことであるということです。
ということで2つ目の御質問にも、まさにこれはもう当然のことであって、総理もいろんなところで仰っていますので、当然であるということですね。
それから、今日お示ししました参考試算は、「進路と戦略」の試算としてお示ししているわけで、2011年度にどういう形で黒字化を達成するかというのは、またこれからの議論になります。これは、先ほど申し上げましたように、最初は2.2兆円の赤字、次は1.4兆円の黒字、今は7,000億円の赤字ということですので、動くわけですね。だからこそ、私どもは年に2回、その経路をチェックしていると。その経路をチェックしながら、最後2011年度でしっかりと黒字化させていく。この目標は決して揺るがせにしませんので、そのためのどうあるべきかは、これから議論していくということです。

(問)大臣としてはどうすべきだと、民間議員はこうすべきだという意見はありましたけれども、大臣としてはどうすべきだとお考えですか。

(答)まずは、歳出削減はしっかりやっていきます。当然やっていきます。成長戦略も実行していきます。その上で、一段の歳出削減をするのか、増税で埋めるのかは、これは諮問会議でも議論したいと考えています。

(以 上)