記者会見要旨
甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨(今後の経済財政動向等についての集中点検会合後)
- 日時:平成25年8月30日(金)18:05~18:27
- 場所:内閣府本府仮設庁舎講堂
1.発言要旨
先ほど第6回の集中点検会合が終わりました。主な意見を御紹介申し上げます。まず、景気の現状と見通しについていかが考えるかということでありますが、林さんからは、企業の景況感というのは、震災前に戻ったと思う、ただし、中小企業の経営環境は依然として予断を許さない、との発言がありました。
それから大久保さんから、被災地、被災者には景気回復の実感がまだない、との発言がありました。
白石さんからは、本格的な景気回復には至っておらず、ここで消費税増税に踏み切れば景気が腰折れをしかねない、という発言がありました。
他方で、清家さんは、失業率が3.8%まで低下したが、これは需要不足による失業がないという状況であって、これが賃金上昇につながることを期待している、ということでありました。
それから、消費税引上げの判断に関してでありますが、予定通り引き上げるべきであるとおっしゃったのは、馬袋さん、清家さん、岡﨑さん、青山さんでした。
それから、引き上げるのはやむを得ないとおっしゃったのは、林さん、奥山さんであります。
引き上げるべき理由についてですけれども、林さんから、女性の社会進出支援や子育て支援などの社会保障の十分な財源確保が必要であるということ、馬袋さんからは、安定財源の確保の先送りが介護サービスの体制整備や人材確保の遅れにつながるということ、岡﨑さんから、きめ細かい低所得者対策を行うためにも、消費税率引上げによる財源の確保が必要であるということ、それから清家さんから、社会保障制度改革には予定通りの消費税率の引上げによる財源確保が必要であるということ、引上げが遅れると影響を受けるのは将来世代であるということ、それから奥山さんから、子育て支援施策の充実につながるということ、青山さんからは、決められない政治とは決別すべき、先の選挙で国民は消極的ながら引上げを受け入れており、その選挙結果であるということ、そういった理由が挙げられていました。
それから、消費税率を引き上げる際の対策といたしましては、林さんから、中小企業、あるいは負担増となる個人への配慮を十分に行うべきだというお話、それから馬袋さんからは、低所得者の経済的な負担の軽減を図るべきだというお話、青山さんからは、社会保障に全額使うんだということをしっかり説明することが必要であり、セーフティネットにとどまらずに、労働によって所得が得られるようになるための施策を充実すべき、つまり、そこにとどまるための支援ではなくて、トランポリンとして労働市場に復帰するための支援という概念が必要だというお話です。
他方で、引上げの予定を変更すべきだとおっしゃったのは、大久保さん、白石さんであります。
白石さんは、来年4月の8%への引上げは見送って、多くの国民が景気回復をはっきり実感できるようになる2015年10月、その時に一挙に10%に引き上げるべきであるという趣旨の発言をされていました。
それから大久保さんでありますけれども、被災地復興の進捗状況から、来年4月の8%への引上げは1年先送りとして、2015年から引き上げるべきであるというお話でした。
それから広田さんは、消費税引上げには絶対反対という主張でした。
その他の意見といたしましては、広田さんから、「日本社会は愛の欠乏症である。うつや認知症の予防や地域での支え合いが重要である。そうすれば歳出削減につながる」といった趣旨のお話がありました。
それから馬袋さんから、消費税引上げは、社会保障制度のためであるということをしっかり国民に説明すべきである、とのお話がありました。
それから白石さんですけれども、消費税率を10%に引き上げる際には、生活必需品などへの5%を基準とする軽減税率を適用すべきである、新聞にも適用すべきだというお話がありました。
奥山さんが、子ども・子育て施策の推進を消費税財源の見通しが不透明であることを理由にためらっている市町村もあるということを認識してほしいということでありました。
それから大久保さんでありますけれども、2015年に引き上げる際には、地域の福祉の基盤の強化、それからNPOの人材育成にも力を入れるべきであるということをおっしゃっていました。
その後に出席者間の意見交換を行いました。
経済財政諮問会議の伊藤議員からの、「被災地の現状を考えると、引上げを先送りすべきとの意見がありましたが、被災地支援をしっかりやるので、消費税先送りはしないという考え方に対してどう考えますか。」という質問に対して、大久保さんからは、消費税増税後も被災地に配慮は必要であり、津波被災地は、まだ建物も建っておらず、建てるかも決まっていないところもあるということでした。
それから、引上げ幅について、高橋議員からの、「1%ずつの引上げは、新聞協会としてはどう考えているのですか。」という質問に対して、白石さんからは、毎年1%ずつの引上げについてはあり得ない話ではないけれども、事務負担の増加であるとか、転嫁がうまくいくのかといった観点があり、難しいのではないか、という趣旨のことをおっしゃっていました。
以上です。
2.質疑応答
- (問)日本新聞協会の会長でもいらっしゃる読売新聞の白石さんが、8%の引上げは見送り、2015年に10%へという案を示されましたけれども、それについて、新聞社さんで影響力のあるメディアがこういうふうに意見を出されたことについての受け止めを聞かせていただけますでしょうか。
- (答)たしか協会自身の意見ではないというお話でした。読売新聞としての考え方ですというお話です。新聞協会として、1年半延ばして、いきなり10%ということでコンセンサスがとれているということではないというふうに思っています。新聞協会としての考え方ではなくて、一企業としての考えです、とお断わりになっていましたから、それぞれの企業にそれぞれの考え方、その販売形態によってスムーズな転嫁ができるのかできないのかということだと思っています。
- (問)ちょっと消費税とは違う質問なのですけれども、政労使の会議が安倍総理に報告をされていましたけれども、9月に開く予定だということなのですが、政労使はそれぞれどのようなメンバーを想定されていて、単発でやるのか、それとも定期的に開くお考えなのかを教えてください。
- (答)これは、政労使、経済団体、中小企業も含めて代表の方に入っていただく、あるいは会によっては産業界あるいは労働界の特定のところ、そのテーマにふさわしいところから入っていただくということを考えております。複数、3名、各使用者側、労働側あるいは識者側、3人ぐらいずつバランスよく選べればいいかなというふうに思っております。スタートは9月中にもしたいと考えておりますが、まず、臨時国会までに、そこまで何回か開いた中での意見の集約が、粗々でも何かあればいいかなということと、最終的には12月、1月あたりまでの会議になろうかと思いますし、4、5回というイメージであります。今、設計中です。
- (問)政府側の出席は総理ですか。
- (答)総理は最初と最後だけ出ていただこうと思います。あとは関係大臣で言うと、私、経済産業大臣、厚生労働大臣、官房長官あるいは財務大臣も若干入るかなという感じです。
- (問)改めまして政労使の協議を開くことの目的というのを教えていただいていいですか。
- (答)アベノミクスはいろいろな好循環が動き出すということを期待しているわけであります。特に経済対策を通じて、1年や2年や3年ぐらい続いて景気の状況が良くなってくると、企業の状況が良くなる、収益が改善すると。それが次なる購買力につながっていくためには、賃金が上昇し、下請代金がしっかり上がっていく、そういう経済の好循環、それが購買力につながり、生産力につながり、利益・収益につながると。景気というのは循環ですから、いろんな循環がありますから、自然に行き渡っていくのでありましょうけれども、それをぜひ加速させたいということであります。ですから、労使がお互い考えていることを共有し合える部分は共有し合って、対決する部分が多い関係ですから、価値観を共有するということはなかなか難しいのかもしれませんけれども、少なくとも少しでも共有する部分ができて、お互いウィン・ウィンになるために経営側がこうあればいいと思うこと、労働側がこうあってほしいということの接点ができればというふうに考えております。
要は物価安定目標と消費税で、もちろんそっくりそのまま乗っかる物価上昇ではありませんけれども、この2つが重複部分はあるとしても、物価上昇になっていくと。その後、賃金上昇はタイムラグがあるわけでありますから、そのラグをできるだけ縮めたいということと、賃金上昇が企業側にとってもいい好循環としてつながっていくためにどういう環境整備が必要か、あるいは企業側にとってもいろいろ労働側と協議をしていく中で、雇用不安を与えない中でどういう働き方の柔軟性があるのかどうか、いろいろ諸々話し合いたい場面というのは双方にあると思いますので、それを政府が調整するわけではありませんけれども、お互いが共有できる部分があればいいかというふうに考えております。 - (問)今ヒアリングをやっていますけれども、これまで安倍総理と会った時に、ちょっとこういうような状況だとかそういった話はされたところはあるのでしょうか。また、明日、土曜日ですが、安倍総理が来るなどということはあるのでしょうか。
- (答)それはありません。明日で一通りの意見交換、意見聴取の会は終わりますけれども、それを系統的にしっかり整理をして、そして、こういう御意見とこういう御意見、こういう人はそれについてはこういう主張とか、簡潔にうまく整理をして、総理には来月の上旬にでも報告したいと思います。
総理がこの会に出席されるという予定はありません。 - (問)今日の会合の話とちょっとまた話がそれて申し訳ないのですが、TPPの首席交渉官会合が今日終わりまして、事実上、今回の交渉会合は終わりということで、市場アクセスで一定の進展があったりという共同声明が出されておりますけれども、どのように御評価なさっていらっしゃいますか。
- (答)劇的に進んだということはなかなか言えないのでありますけれども、少なくとも方向性を共有して動き出したということは事実だというふうに思っております。まだこのまま手放しで10月の大筋合意に向かっているというほど楽観的ではありませんけれども、少なくとも方向性を共有して、何とかしないといけないという危機感は出てきているのだと思います。ただ、これからも一山、二山越えなければならない場面はあると思います。<
- (問)これからの一山、二山というのは、10月までに一つも二つも山があると・・・
- (答)そうですね。
(以上)