記者会見要旨

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨(今後の経済財政動向等についての集中点検会合後)

  • 日時:平成25年8月27日(火)20:38~20:57
  • 場所:合同庁舎4号館6階620会議室

1.発言要旨

 2回目の点検会合が先ほど終わりました。主な発言を報告させていただきます。
 まず、「景気の現状と見通しについて」であります。
 予定どおりの消費税率の引上げに照らして、「景気が良い」とおっしゃった方は熊谷さん、稲野さん、伊藤さん、武田さんでありました。
 伊藤さんは、「4-6期のQEにより景気は回復過程にあることが確認されている」と評価をされていました。
 他方、「景気の回復はまだ不十分」との指摘があったのは浜田さんと片岡さんでありました。懸念材料としては、「4-6期の数字を見ても、まだ設備投資が弱い。中国経済の動向など外需の状況は気をつけて見ていく必要がある」という御指摘であります。
 また、白川さんと宍戸さんは、「消費税増税が日本経済のデフレ脱却確率を低下させるリスクがある」ということをおっしゃっておりました。
 伊藤さんは、「増税とデフレ脱却は両立する」という御主張でありました。
 次に、「消費税率引上げの判断」であります。
 「予定どおり引き上げるべき」というふうにおっしゃったのが中空さん、武田さん、熊谷さん、稲野さん、伊藤さんであります。
 「引上げをすべきだ」ということの理由についてでありますけれども、「財政の信認、決められない場合の市場リスクの回避、それから社会保障財源の確保、すなわち未来への投資であること」を挙げておられました。
 その際、「経済対策として以下のような対応が必要」との御意見もありました。主なものであります。投資減税、法人税減税、賃上げ・雇用増を達成した企業への減税、就労促進型インセンティブの付与、それから低所得者層への配慮、成長戦略の確実な実施、厳しい労働雇用規制の緩和、そういうものが挙がっておりました。
 他方で、「予定を変更すべきだ」というふうなことをおっしゃったのは、浜田さん、片岡さん、白川さん、宍戸さんの4人でありました。
 浜田さんは、「14年4月と15年10月の増税をそれぞれ1年延長すべきである」という御主張でありました。そして、「もし、小刻みな増税が技術的に可能であるならば、14年から毎年1%ずつの引上げを行うべきである。」
 白川さんは、「消費税増税の必要性は増してはいるが、小幅で連続的な増税が考慮に値する選択肢になり得る」との御主張であります。
 それから宍戸さんは、「完全雇用が達成されるまで増税を延期すべきである。完全雇用とは、2%台の失業率」ということをおっしゃっていました。
 片岡さんは、「デフレからの完全脱却を果たした後でも遅くはない。長期金利急騰の可能性はない」という御主張であります。
 浜田さんと片岡さんは、「消費税率引上げの際に、補正予算を組んで財政出動を行うのは財政の信認を毀損しかねないのでよくない」と、「補正はすべきではない」という御主張であります。
 そのほかの意見でありますが、浜田さんは、「1997年の際の消費税増税を例に、引き上げても税収が低迷をして財政再建の役には立たない」という御主張であります。
 武田さんは、「子ども目線で、無駄な歳出につながらないように」と、それから中空さん、武田さんが、「世代間格差があり、若年層の視点も重要である」。また中空さんは、「1%ずつ上げることでは実体経済のコストが大き過ぎる」という御主張であります。
 それから伊藤さんが、「ポリシーミックスの観点から、財政再建に舵を切ることで、より大胆な量的緩和の継続が可能になる。また、デフレ脱却まで消費税増税を待つとすると、金融・財政同時引締めのリスクが高い。延期による政治コストが大き過ぎる。3本目の矢が遅れる危険性がある。1本目の矢も折れてしまう」というお話でありました。
 その後、出席者間の意見交換を行いました。主なものだけ紹介をします。
 熊谷さんから、「1997年の教訓と言われるが、97年の消費税導入時に、それが原因で景気が悪くなった、税収が下がったという事実関係はないと思っている。これについて有効な反論を聞いたことがない。事実関係をはっきりさせてほしい」ということでありました。
 私の方からは、「私が承知している限り、97年について、消費税導入してすぐの四半期は消費が下がったけれども、次の四半期はもう消費が戻ったという事実はあります。そして、いや、そうではないんだというお話があれば、委員の皆さんからも文書で提出をしていただければ」というお話をいたしました。
 それから「マーケットの動き・見方について」、中空さんから、「現在、マーケットは安定しているけれども、増税見送りということになれば、株安、円高、債券安となるだろうと見ている。」
 それから武田さんから、「国内外の債務残高増大と社会保障費増大への目が厳しくなっていること等から見て、財政に対する信認が崩れた時のリスクと消費増税による景気後退リスクでは、前者の方が後者を上回る。よって、消費税率引上げは粛々と実施をすべきだ。」
 それから熊谷さんから、「今、金利が低いといっても、市場は移り気で、急に上昇することもあり得る。」
 それから、「景気腰折れの対応策について」。
 諮問会議高橋議員から浜田先生に対して質問があり、「景気腰折れリスクへの対応として、3%上げて1%は所得税減税、法人税減税により家計、企業にテコ入れをする案はどう考えるか。」
 浜田先生からは、「増税分のうち一定部分を減税に使って景気の下支えをするとの考え方については賛成」ということであります。つまり、減税でのテコ入れは賛成、財政出動についてはネガティブということですね、浜田先生は。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今日は、消費増税先延ばしですとか、1%ずつ上げる案など、反対派が4人もいらっしゃったということで、大臣はどのようにお聞きになったか、率直な御感想を聞かせていただけますでしょうか。
(答)ここでも、純粋な経済の範囲においてでありますが、そこで政治的なリスクとか国会手続上の問題というのは外して議論するというような話でありました。やはり変更する場合に、そういうリスクについてどうかということについての、その影響はないというような反論はなかったですね。
(問)一番最初の景気の現状と見通しについて、予定どおり引上げに照らして景気はよいとおっしゃったのは、熊谷さん、稲野さん、伊藤さん、武田さん、4名で、不十分というのが浜田さんと片岡さんということで、中空さんは何か意見をおっしゃったのでしょうか。
(答)景気認識についての発言はなかったですね。
(問)浜田先生の発言ついて、1点だけ教えていただきたいのですけれども、最後の所得減税ですとか法人減税で家計を支えることに対しては賛成だったというお話なのですが、消費税を上げて家計に負担を与える一方で、減税をするということについて異論はないという理解でよろしいんでしょうか。
(答)実務的に1%ずつ引上げが可能ならば、そっちがいいというお話です。それによる景気の落ち込みについては、財政出動で対応するのは財政の信認を失うから賛成はできないが、減税で景気の落ち込みを引き上げていく分には、それはいいのだというお話でありました。
(問)大臣御自身は、この考え方についてはどのような受け止めをされますか。
(答)消費税を導入して、それが消費や投資を中心にどれくらい落ち込むかと、それを放置していいか悪いかという議論になると思います。つまり需要の平準化と穴埋めをするということで、消費税引上げ前と引上げ後の変化をできるだけ少なくしていくということにどういう方策があるかという議論だというふうに思っております。財政出動というのは、需要を生み出すわけであります。減税というのは平準化を図っていく、あるいは企業の景気の落ち込みの反発力、成長力を高めていくという役割がそれぞれあるのだと思います。
(問)確認ですけれども、延期をおっしゃったのは4人いらっしゃって、そのうち1%ずつというふうなことをおっしゃったのは3人ということでよろしいんでしょうか。小幅な引上げは、浜田さん、片岡さん、白川さんの3人ということでしょうか。
(答)1%ずつとおっしゃったのは、浜田さん、白川さんのお二方です。
それから最年長の宍戸さんは、持論としては、際限なく財政出動していくと、つまり需要が需要を呼ぶという論なのですかね。公共事業は、どんどんこういう時にはやるべきだというふうな主張だったと思います。
(問)その1%ずつの引上げとおっしゃった方は、これは来年4月からということなのか、そこも延期した上での1%ずつなのか、そこら辺の違いはどうなのでしょうか。
(答)これはどうなのでしょうか、詳細な御発言はありませんでしたけれども、それぞれ現行どおりでやるべきでないという方に共通しているのは、景気回復の足腰の強化が不十分であるというようなお話だったと記憶しています。
(問)浜田先生の意見をどれぐらい大切に扱うかというのをちょっと聞かせていただけますか。ほかの方々は有識者の一人で、浜田先生は内閣官房参与という立場でいらっしゃいますけれども、どのように扱うか聞かせていただけますか。
(答)今日、有識者・専門家として出ていただいた方々、平等に扱いたいと思っています。

(以上)