記者会見要旨

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨(今後の経済財政動向等についての集中点検会合後)

  • 日時:平成25年8月26日(月)20:10~20:33
  • 場所:合同庁舎4号館6階620会議室

1.発言要旨

第1回目の今後の経済財政動向等についての集中点検会合が先ほど終わりました。概要を報告申し上げます。
まず、景気の現状と見通しについては、予定通りの消費税率の引上げに照らして、景気が良いとおっしゃった方は米倉さんでありました。
他方で、景気回復の実感はないとの指摘をされたのが山根さんであります。
続いて、消費税率引上げの判断についてですが、予定通り引き上げるべきとおっしゃったのが加藤さん、古賀さん、古市さん、増田さん、米倉さんであります。
その際、経済対策として逆進性対策としての税であるとか給付金などの歳出での対応が必要だという御意見、駆け込み需要の反動対策が大事だという御意見、それから適正な負担転嫁対策が必要だという御意見、あるいは投資減税、自動車課税の見直し、それから成長戦略の実行、人的投資の拡大、そして公共事業は必要であるが、更新投資に重点化をすべきだという御意見がありました。
他方、岩田さんからは、「早期デフレ脱却の観点からは、1%ずつ引き上げてはどうか」というお話がありました。また、同じく岩田さんから、「法律通りに3%、2%と引き上げる場合には、景気への影響の緩和措置を行うべき」との提案がありました。これら二つの提案の比較であるとか対応策は、配付資料の通りであります。
また、山根さんからは、「生活者の声をしっかりと受け止めて増税をやめるという判断をしてほしい」という指摘がありました。「もともと消費税には反対だ」というお話がありました。
その他の意見としては、古賀さん、古市さんから、「国民は消費税引上げの必要性は理解しているので、十分な説明をすべきだ」というお話がありました。加藤さんから、「有権者の多くは日本の財政や経済が危うい状況にあると気付いている」「増税は先送りできない、苦痛を伴うということは正直に言って、できる限り対策をとるという形できちんと説明してほしい」というお話がありました。
また古賀さんからは、「身を切る対策としての議員定数の削減を実行すべきだ。」という御指摘、古市さんからは、「子ども・子育て支援が相対的に小さいのではないか」という御指摘もありました。
その後、出席者間の意見交換を行いました。主な論点といたしましては、軽減税率や低所得者対策、それから国際的信認の重要性、地域の活性化策などについて議論がありました。
軽減税率、低所得者対策についてでありますが、加藤さんから、「軽減税率は入れるべきではない。ヨーロッパで導入をされ、逆進性緩和に資するように言われているが、全く違う。何を対象にするか政治的議論となり、標準税率の上昇が止められない。」
そして古賀さんから、「軽減税率は入れるべきではないが、低所得者対策は必要である。」
そして米倉さんから、「軽減税率は税収の減少を招き、一体改革の前提を崩してしまう。対象の線引きが難しくて高額所得者にも適用される。10%までは単一にすべきだ。低所得者については一時的な給付も検討すべきである。」
山根さんから、「もし引き上げるということであるならば、軽減税率は必要だ。」
それから、国際的信認について、米倉さんから、「8%、10%の増税は法律に既に明記をされている。撤回をすれば、国際的信用を失う。サミットでも、中期財政計画策定を表明している。」
増田さんから、「『決められない政治』と揶揄される日本政治に対する国際的な信頼感を取り戻すためにも、次世代に負担をつけ回ししないという勇気ある決断、つまり消費税率の引上げを政治が行うことこそ重要である。」
それから、地域の活性化について、古賀さんから、「都市部や大企業にだけ政策を打って、そこが活性化すれば、いつかそれが地方に波及していくと言われるけれども、それは成り立たないと思う。地域ごとに、その地域に合った別の政策が必要である。」
それから増田さんから、この地域活性化に関してですが、「アベノミクスが、まず大都市向けの戦略から着手をして、地方への効果の波及のタイムラグが生じるというのはある程度やむを得ないものである。地方の一次産業の六次産業化の推進など一貫した取組、長期政権のもとで粘り強く行っていけば、地方の元気はまだ出てくるものと思っている。」
以上です。

2.質疑応答

(問)岩田一政さんから、毎年1%ずつ上げる案が提案されたということですけれども、大臣、率直な御感想、実行の可能性も含めて率直な御感想を聞かせていただいてよろしいでしょうか。
(答)岩田さんは、その時に、「それによる政治的なダメージとか、そのもろもろのことは一切排除してあります。経済的な側面だけで申し上げておりますので」というお話がありました。その上で、「3%、2%と上げるのであるならば、それなりの対策を打って落ち込みをカバーすべきだ」というお話でありました。具体的な規模についても言及をされておりました。とにかく純粋に経済的な面でのお話と、「しかし、それにはいろいろなそれ以外のマイナス面は入れていませんからね」というお話でありまして、その上で3%、2%に言及をされておられましたので、いろいろ参考になりました。
(問)初日、7人からお話を伺ったわけですけれども、聞いてみて、全体を通しての担当大臣としての感想をお願いします。
(答)ちまたいろいろ言われていることが識者の間、団体の代表の間からもバランスよく伺えたかなと思っております。私自身が、だからどうすべきだという言及は避けた方がいいと思っております。
(問)ちょっと個別の特定の方に関する質問で恐縮なのですが、加藤さんが、消費税率引上げの判断について「予定通り引き上げるべきだ」とおっしゃったという御説明だったのですけれども、その理由についてはどういうふうな御説明でいらっしゃったのでしょうか。
(答)政府が消費税率引上げに関して、その必要性として申しているようなこともろもろであったと記憶をしております。「消費税率を上げた方がいいか悪いか、上げないで済むなら、このタイミングはその方がいいと思うが」というようなお話もたしかされていたと思います。「しかし、法律でもそうなっていることであり、もろもろのことを考えてやるとするならば、軽減税率についてはそういう方法はとらない方がいい、別な対策でするべきである。それから、ヨーロッパで軽減税率論は逆進性の緩和とか言われているけど、それは間違った認識である」というようなことだったと思いました。
(問)岩田さんの「1%ずつ上げるべきだ」ということに対して、他の委員、識者の方々から、それに対する意見はありましたでしょうか。
(答)これに対して、そこの部分は、こう考えるのはどうかみたいな話はなかったですね。
(問)改めてちょっと疑問が拭えないので申し上げたいのですが、この1カ月、決断1カ月前という局面で、こういうふうに色々な意見が出るような会議をやることにどれくらいの意義があるとお考えなんでしょうか。その決断をするということは、その方向感が出ていくという、そういう方向へ収れんしていかなければいけないと思うのですけれども、むしろ末広がりに広がっていっているような気がしてならないのですが、大臣はどうお考えですか。
(答)まず、骨太方針で、掘り下げた議論をして、それを諮問会議に報告するということが書いてあります。あわせて総理御自身のお考えも幅広く国民生活を代表される方、経済活動を代表される方、あるいは社会保障を代表される方から現場の声を聞いてほしい、つまりいろいろな判断材料の中で最適な道を選んだという選択にしたいというお話であります。その一環として内閣府と官邸とよく打ち合わせをしまして、メンバーを60人揃えて議論しているというところであります。この今週いっぱいの会議によって決めるというのではなくて、これもいろいろな判断材料の一つにするということであります。
今日の意見を聞いていますと、消費税そのものに反対とおっしゃる方はお1人でありました。上げ方に注文をつけられる方が、上げ方を考えた方がいいというのは、1%ずつというのはお1人だった。あとは予定通りということで、ただしその影響をしっかりと精査して、しっかりとした対策を打てということでありました。1%ずつとおっしゃった岩田さんも純粋に経済論だけで言うと、ということを付け加えておられました。それ以外のリスクは勘案しておりませんということでありました。その上で、法律通りにやるとする場合には、対策が必要である。具体的にはたしか5兆円とおっしゃっていましたが、ということでありました。まだ初日でありますから、あと6回開いていく中で、議論を集約したものを総理に参考資料としてお届けしようと思っておりますし、諮問会議にも報告をしまして、諮問会議の中でも議論をいただきたいと思っております。
いずれにいたしましても、幅広く意見を聞いた上での判断であるということで、経済財政運営の上においても、あるいは国民感情の上においてもあらゆることを尽くして最終的に判断したという形になってくるのではないかと思っています。
(問)お聞きしたいのは、大臣は総理のおなかの中を御存じでこの会議を設定されているのかということをお聞きしたいのですが。
(答)総理はですね、前にもお話ししましたけれども、とにかく理想的にはデフレをスムースに脱却して、スムースに予定通り行えれば、それが一番いいと思っていらっしゃると思います。ただ、そこに至る道が本当に法律に書いてあるからそのとおりでいいのかと、秋に判断するには、デフレを本当に脱却できる道になるのかと、その辺については御自身に、日本の行く末に最大の責任がかかっているということで、軽々な判断はできない。慎重に判断をして、その中で一番いい道を選ぶことが自分の責務だという思いは非常にお強いのだと思います。ですから、御自身いろいろ試行錯誤する中で、こういう段取りを指示されたのだと思っております。
(問)先程の1%について、大臣のお話を伺っていると、1%ずつというのは難しいとか、やりたくないとか、そういうニュアンスが伝わってくるのですけれども、1%ずつはそういうふうにお考えですか。
(答)私の考えは、ここでは表明をいたしません。中立的に進行役で運営しておりますので。
(問)いろいろと政治的なダメージなどを排除してという発言がありましたけれども、その政治的な状況を鑑みて、実行、実現可能性的に実現できそうなのですか。来年4月から、1%だけ上げるという、法律改正等々を含めて作業的に間に合うのですか。実現可能性はあるのでしょうか。
(答)秋の臨時国会に向かって、それは予定通りに、法律通りに進む場合とそれを変更する場合には、工程が違いますから、その工程がどういうふうに違うかということはきちんと総理には御説明をしておく必要があるかと思います。どのくらいの工程が加わってくるかということをです。
(問)議論の焦点がどのあたりに重点が置かれるのかについて見通しを伺いたいのですけれども、先程のお話にあったように、山根さんは今回消費増税そのものに反対であると。岩田さんは増税自体は賛成だけれども、上げ方のところで違う意見を述べられたということで・・・。
(答)岩田さんは、デフレを脱却するという点で言えば、1%ずつ上げていくのが一番いい道ではないかとおっしゃっていました。ただし、それ以外の政治的なリスクとかもろもろのことは全部省いて、除外していますよというお話はありました。
(問)それを踏まえた上で、今後の土曜日までの議論の中で、消費増税そのものをすべきかどうかというお話と、消費増税の引き上げの幅であるとか、時期をずらす、ずらさないというような、ややテクニカルな議論のところと、どちらの方がより重点的な議論の対象になりそうと見てらっしゃいますか。
(答)消費税をこの5%のまま中期的に一切触らないということは、それはあり得ないと思います。どういう方法論と時期、時期を含めて方法論があるかと。それが一番目指すべき方向に沿っているかということを探っているところだと思います。つまりそれはデフレを脱却するということ。それから、社会保障の持続性を確保するということ。それから、財政の持続性を確保するということですね。それらを通じて、日本の信頼、国債の信頼性を確保していくということ。それらが目標でありますから、それに向けて一番いい道を探っているということであります。

(以上)