第4回記者会見要旨:令和8年 会議結果

城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨

1.発言要旨

 冒頭、令和8年第4回経済財政諮問会議についてご報告申し上げます。
 本日の議題は2つであります。「骨太方針策定に向けて」及び「予算編成」について議論を行いました。
 1つ目の議題の「骨太方針策定に向けて」では、民間議員から、「責任ある積極財政」の具体的内容や目指すべき姿を包括的に内外に示すべき、また、新たな政策アジェンダである「成長戦略」・「社会保障と税の一体改革」・「財政運営目標」など、経済・財政・社会保障の全体を俯瞰した整理を示すべき、そして、近年増加傾向にある個別施策の事業の記載は抑制し、政策の大きな方向性や重要な政策変更を示すべきといったご提案がございました。
 高市総理からは、私に対しまして、本日の議論も踏まえ、高市内閣の経済財政運営の方針を明確に示す、真に「骨太」な、「簡潔」で「分かりやすく」、「メッセージ性のある内容」とすることを原則とし、与党とも連携しながら策定作業を進めるよう、ご指示がございました。
 そして、2つ目の議題の「予算編成」では、民間議員から、予算編成の在り方の抜本見直しの検討に向けた5つの基本原則のご提案をいただきました。
 高市総理からは、財政運営の目標としては、債務残高対GDP比を安定的に低下させていくことを中核と位置づけていくこと、また、プライマリーバランスについては、債務残高対GDP比の低下に向けて確認することとし、その安定的低下の中で複数年で管理していく、物価・賃金の上昇について予算編成に的確に反映されるようにする、危機管理投資・成長投資については、通常の歳出と別に予見可能性を持って実施できる「新たな投資枠」を創設する、補正予算は緊要性の高いものに限定し、恒常的な施策については、原則、当初予算で措置することとし、「補正予算依存」から脱却していく、成長率や金利等の不確実性を織り込む分析・検証を強化し、併せて市場関係者との緊密な対話に努め、マーケットからの信認を確保していく。そして、骨太方針に向けては、こうした基本原則を念頭に、予算編成の抜本見直しに向けた検討を加速するといったご発言がございました。
 諮問会議の詳細につきましては、後ほど事務方からご説明をさせていただきます。

 

2.質疑応答

(問)骨太方針について2点お伺いします。民間議員の方から、簡潔で分かりやすく、真に骨太な骨太方針に今年するべきだというような提言がありました。骨太方針をめぐっては、これまで総花的で焦点が見えづらいとの指摘もありましたが、提言を受けての大臣の受け止めを教えてください。2点目が、財政目標について、債務残高対GDP比を中核に置くべきだとの提言がありました。単年度プライマリーバランス中心の管理からの転換を訴える内容でしたが、これについての大臣の受け止めを教えてください。



(答)まず第1点目、本日の経済財政諮問会議ですが、今年の骨太方針の策定に向けまして、民間議員の皆様から、「責任ある積極財政」の具体的内容や目指すべき姿を包括的に内外に示すべき、新たな政策アジェンダである「成長戦略」、そして「社会保障と税の一体改革」、「財政運営目標」など、経済・財政・社会保障の全体俯瞰からの整理を示すべき、そして、近年増加傾向にある個別政策や事業の記載は抑制し、政策の大きな方向性や重要な政策変更を示すべきなどのご提案をいただいたところでございます。
 こうしたでご提案も踏まえ、高市総理から私に対し、高市内閣の経済財政運営の方針を明確に示す、先ほど申しましたように、真に「骨太」で、「簡潔」で「分かりやすく」、「メッセージ性のある内容」とすることを原則とし、与党とも連携しながら策定作業を進めるようご指示があったところでございます。いずれにしましても、受け止めとしましては、本日の議論や高市総理からのご指示を踏まえまして、これから議論をしていくことになりますけれども、今年の骨太方針の取りまとめに向けて、担当大臣としてしっかり取り組んでいく考えであります。
 そして、2点目の財政目標について、債務残高対GDP比を中核に置くべきということについてですが、債務残高対GDP比は、政府が負う債務について、その返済の原資となる税収を生み出す元となる国の経済規模、すなわちGDPに対して、どの程度の割合になっているかを示した指標であり、財政の持続可能性を見る上で有意義なものと認識しております。
 また、先日、3月26日の経済財政諮問会議にお越しいただきましたブランシャール教授、ロゴフ教授も、債務残高対GDP比について重視されたところでございます。また、財政運営の目標といたしましては、債務残高対GDP比を安定的に低下させていくこと、これを中核と位置づけておりまして、引き続き、成長率を高め、金利などの動向も市場動向にも十分注視しながら、成長率の範囲内に、債務残高の伸びを抑えていくという考えでありまして、これは、これまでも累次にわたり、高市総理からもご発言があったとところでございます。こうした方針に基づきまして、骨太方針に向けた検討をこれから進めてまいる考えであります。



(問)有識者議員からは、成長率や金利などの不確実性を織り込むことの重要性も指摘されました。
そのためには、成長投資・危機管理投資について、債務残高対GDP比が引き下がることのできる財政規模よりも抑制的な財政出動にする必要性があるとお考えかお聞きします。


(答)ご指摘のとおり、本日の経済財政諮問会議におきまして、民間議員の方から成長率や金利等の不確実性を織り込むことの重要性についてご提案いただきました。3月10日の日本成長戦略会議におきまして、高市総理から私に対しまして、日本成長戦略の下での国内投資の伸び全体を定量的に明らかにするとともに、GDPの伸びや税収増への寄与、債務残高対GDP比の見通しなどを示す試算を内閣府の「経済財政モデル」を使って行う、そして中長期試算に反映することについて指示があったところでございます。こうした試算を行うにあたりましては、本日の民間議員のご提案もしっかり踏まえつつ検討を進めていく考えであります。
 いずれにしましても、財政運営の目標として、繰り返しになりますけど、債務残高対GDP比を安定的に低下させていくことを中核と位置づけまして、引き続き、成長率を高め、金利などの市場動向もしっかり注視しながら成長率の範囲内に債務残高の伸びを抑えていくと、これに尽きるかと思います。




(問)先ほどのご説明に関してですけれども、高市総理からのご発言というのは、要するに、今回の民間議員の5つの原則について基本的に同意したと、それに基づいて骨太に向けた議論を進めるようにというご指示があったというような趣旨で理解してよろしいでしょうか。


(答)「基本的」ということがどういう意味かですけれど、当然、5原則、民間議員4名の方からご提案いただきまして、それを踏まえて、今後の骨太方針について検討していくということだというように私は認識しておりますので、ほぼそのとおりではないかなと思います。



(問)ありがとうございます。その上で、中核目標の債務残高GDP比の安定的な低下についてですけれども、安定的な低下というのは割と定性的な表現だと思いますが、例えば、これまで中長期試算などでも、一定の債務残高GDP比の低下の見通しというのが、緩やかに下がっていくか、あるいは過去投影ケースだとほぼ横ばいとかちょっと上に行くとか、いろいろ示されているかと思うのですが、そういうものとの対比で安定的な低下というのはどういうイメージを想定されているのかということが1点。その際、その債務残高について、現行の中長期試算ではいわゆる総債務だと思いますけれども、そのいわゆる純債務みたいなのも用いる考えがおありなのかということを教えてください。


(答)安定的な低下についてのお尋ねについては、まずは成長率を高め、金利などの市場動向にも十分注視すること、そして、その際、成長率やあるいは金利の不確実性等を織り込むことが重要だと考えておりまして、いずれにせよ、今年の骨太方針に向けて、財政運営目標について、これから検討を行うこととしております。また、債務残高につきましては、様々な定義がございまして、我が国の財政状況についても、内閣府の中長期の経済財政に関する試算では、普通国債、そして、地方債、交付税及び譲与税配付金特別会計借入金といった、これらの各残高の合計を示しております。他方で、財政制度審議会財政制度分科会に財務省主計局が提出した資料では、一般政府の債務残高と当該債務残高から政府が保有する金融資産を差し引いた純債務残高対GDP比の数字を示しております。こうした各指標の特徴を踏まえながら、様々な指標を用いて多角的に議論していくべきだと認識しております。




(問)「新たな投資枠」のうち、複数年度で財源を確保した上で、別枠管理というものは、従来もAI・半導体フレームとあるのでイメージしやすいのですが、それ以外の、かつ新たな投資枠について定義は分かるのですけれども、枠の意味合いは何なのかということをもう少し詳しくご説明いただければと思います。



(答)「新たな投資枠」につきまして、債務残高対GDP比を安定的に引き下げる中でも可能となる財政規模を精査し、中期的な債務経路と整合的な形で柔軟に管理することとしております。その際、民間議員からも提案がございましたとおり、債務残高対GDP比などの財政指標の持続可能性の確認にも資するよう、成長率や金利等の不確実性を織り込む分析・検証の強化が重要だと考えておりますが、その詳細については、今後の骨太方針に向けて、具体的に検討を進めているということで、現段階ではこうしたことしか申し上げることができません。今後、より踏み込んで議論していくことになるかと思います。また、その際には、またこうした記者会見の場を通じてご質問いただければお答えできるかと思います。




(問)今の回答で確認です。ネットとグロスの債務のお話をされた時に、最後それぞれの特徴を踏まえてどう議論を活用とおっしゃったのでしょうか。


(答)今、最後に申しましたように、今後骨太方針として様々な検討を進めていきますが、現時点ではいろいろな指標がございますので、それぞれの指標の特徴などを踏まえながら多角的に議論していくという段階にありますので、今後骨太方針に向けて検討する中で、場合によっては、より具体的な形になるのではないかと思いますが、現時点では先ほど申し上げたとおりであります。
 

3.堤内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 第4回経済財政諮問会議について概要をご報告します。
 議題は2つです。1つ目が「骨太方針策定に向けて」です。筒井議員から資料1の説明があった後、意見交換を行いました。2つ目が「予算編成」です。永濱議員から資料2の説明があった後、意見交換を行いました。それぞれの議題について主な意見を紹介します。
 1つ目の議題です。
 1人目の民間議員です。
 2つコメントしたい。1つ目は、情報発信についてである。過去の骨太方針では、基本方針、概要、PR資料の三本立てとなっていたが、概要資料は2ページにまとまっているものの、文字が小さくて見づらいものになっていた。今年は簡潔に分かりやすく見やすい仕立てを期待する。また、今年は基本方針や概要の英語版のみではなく、PR資料の英訳や、英訳を追加した大臣による説明動画の公表などを期待する。
 2点目は、中東情勢の日本経済への影響についてである。2022年のウクライナ侵攻時に近いとの見方もあるが、当時は価格への影響だけであった。しかし、今回は物資不足も生じており、より深刻なものであると考える。また、2022年当時は、2.7兆円の追加歳出を行った。他方、現時点では、昨年の経済対策による物価高対応の効果が残っている状況でもあり、補正予算の編成を急ぐよりも、現在取り組んでいる重要物資の調達対応を優先するスタンスが望ましいと考える。
 2人目の民間議員です。
 戦略分野は広く定められているが、実際に投資する段階では範囲が狭まる。その中で世界的な技術、勝ちパターンの変化のスピードは速く加速しており、政府の意思決定のスピードとの乖離がある。これまで世界のイノベーションを引っ張って経済成長を成し遂げてきたのは米国であり、その勝因はシリコンバレーである。民間の「利益を追求する欲」と「勤勉さ」が合わさって、そのエネルギーが、技術の社会実装を進めるという土壌が形成されている。シリコンバレーの技術は、半導体から始まって、コンピューター、インターネット、インターネット、モバイル、クラウド、Web3.0、AIと目まぐるしく変遷してきた。シリコンバレーという土壌は、次の時代の技術、勝ちパターンを見極める羅針盤としての役割を果たしてきた。国家の安全保障、セキュリティに関わることは国家主導が一定必要な部分はあるが、それ以外のことは極力民間主導で行うべき。民間の、成功への欲と勤勉さを引き出して、瑞々しく開放していく仕組み、土壌づくりに主眼を置いたスタートアップ・エコシステム強化に取り組んでいただきたい。
 3人目の民間議員です。
 今年の骨太方針は高市内閣として初めてのものであり、何より重要なのは、「責任ある積極財政」とは何かを経済財政運営の基本方針として明確に示すこと。前回3月26日の経済財政諮問会議でブランシャール教授とロゴフ教授からも評価されたように、今回の骨太方針は「責任ある積極財政」を具体化していく上で重要。「責任ある積極財政」は、投資と信認を両立させる中期的な経済財政運営。基本は次世代へのツケ回しをしないことであるが、それは一切借金をしないということではない。投資をすべきときに投資をしないことのほうが、かえって将来世代へのツケ回しになる。
また、「未来への投資不足」からの脱却を中心に据える。個別施策の羅列でなく、高市内閣の基本姿勢として示すことが重要。
加えて、予算編成の在り方そのものを見直す方向であることを明記すること。成長力強化と名目経済規模の拡大にふさわしい予算編成の転換を示すこと。個別事業が並んでいる文章ではなく、高市内閣が未来への投資不足から脱却し、必要な投資を守り、成長と信認を両立させる経済財政運営に踏み出すということを示すべき。
 4人目の民間議員です。
 中東情勢についてである。予断をすることは困難であるが、その中でも政府が国民生活と経済活動を守り抜くために、たゆまぬ外交努力、それから、年を越えて来年当初までの原油の供給確保、重要物資の安定供給確保といった対策を、迅速かつきめ細やかに講じていただいていることについて感謝申し上げたい。事態の長期化による事業活動への影響を懸念する声もあることから、引き続き機動的で万全の対応をお願いしたい。
 投資牽引型経済の実現に向けて積極的な民間投資の流れが着実に生まれつつある。こうした前向きな動きを確かなものにするためにも、投資の礎となるエネルギーをはじめ、マクロ経済環境の不確実性を低減し、政策の一貫性と予見可能性を確保することが重要。特に、AI需要の拡大に伴う電力供給体制の構築、これは国際競争力の強化にとっても不可欠である。電源投資は長期にわたるため、脱炭素との両立を見据えつつ、中長期でぶれないエネルギー政策の確立を強く期待する。
 続いて、閣僚からの発言です。
 片山財務大臣です。
 民間議員から、骨太方針について、簡潔で分かりやすくメッセージ性のある内容とすることを基本原則とするといった提案があったが、財政についても、我が国の経済財政運営に対する市場関係者の見方を意識しながら、市場との丁寧な対話などを通じて、国民や市場関係者も含む国内外からの理解と信認を得ていくことが重要。
 本年1月の諮問会議で高市総理からご発言があったように、「責任ある積極財政」の考え方の下、これまでの取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、成長率を高め、あわせて金利に目配りしながら債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、市場からの信認を確保していく。
 続いて、2つ目の議題です。
 1人目の民間議員です。
 資料2の「原則1」について、単年度のプライマリーバランスではなく、債務残高対GDP比を安定して引き下げることが重要。プライマリーバランス黒字化は自己目的化してはならず、複数年で管理するものと位置づける。成長率と金利を見ながら、債務比率の安定的低下の中で必要な政策措置があれば、一時的なプライマリーバランス赤字拡大も許容するという整理が必要。その際、一般政府ベースで確認することが重要。マクロバランスの中で社会保障基金は大きな位置を占めており、それを切り離せばマクロで何が起きているのかを見誤る可能性がある。
 「原則2」について、これまでの歳出の目安は、賃金・物価を反映するといいながらも、実際には一律抑制色が強く、結果として緊縮的に作用してきた。賃金・物価の反映だけでは、結局のところインフレ対応にとどまってしまう。成長戦略を支える予算編成に必要なのは、名目の経済規模が拡大する経済に見合った仕組みである。要求官庁側の作法を変える挑戦も行っていくべき。
「原則3」の「新たな投資枠」について、曖昧にしてはいけないのは期間と予算の実在性である。例えばレアアース開発を5年で切るのは現実的ではない。ロードマップに沿って、投資の性質や効果に合わせて期間を決めるべき。多年度予算枠として確保することが、予見可能性を高める。
「原則4」について、補正依存から脱却し、当初予算に移すことが重要。未来に向けた複数年の経済財政計画が必要。複数年の支出、財政目標、経済見通し、制度の見通しが一体でなければならない。
「原則5」について、不確実性を織り込んだ検証の第三者性が重要。
最後に、選択肢の提示とそれに対する異議の発言も含めて、諮問会議は議論をする場であるべき。具体的に議論して、総理のご判断を仰ぐべき。次回以降の諮問会議で原則の具体化を行っていきたい。
 2人目の民間議員です。
 新たな投資枠が野放図な財政政策と受け止められることがあってはならない。そのためには、政策効果の低い施策の縮小、廃止など行財政改革を徹底するべき。この取組を、市場と国民にしっかりと見せつつ行っていくことが重要。債務残高対GDP比の安定的な引下げに向けては、リスクや不確実性を踏まえない楽観的な経済前提を置くことなく、こうした構造改革をしっかり織り込んで、プライマリーバランスの改善も含め、財政運営のトラックレコードを積み重ねていくことにより市場の信認を確保すべき。
 3人目の民間議員です。
 潜在成長力を引き上げる成長戦略実行の観点と財政運営に対する市場の信認を維持する観点から申し上げる。1点目、財政運営目標と財政状況のモニタリングの在り方である。財政運営の中核目標として掲げようとしている債務残高対GDP比の安定的低下について、後戻りをすることなく、安定的かつ着実に引き下げるべき。これは市場の信認維持には不可欠。その上で、物価・賃金・金利の動向が大きく変化していることを踏まえ、複眼的に財政状況をモニタリングすることが必要。前回3月26日の海外有識者ヒアリングにおいても、金利と成長率の関係、金利上昇圧力をめぐり有益な示唆をいただいたところ。市場の信認という観点からは、政府がコントロールできているという受け止めが重要。債務残高対GDP比を構成する分母のGDPの持続的な成長を通じて拡大させていくことが重要。同時に、歳出・歳入両面の改革を推進し、分子の債務残高に直接影響するプライマリーバランスや利払い費といったフローの数値についても一定期間複数年度にわたってモニタリングをしていくことが必要。
 「原則4」について、この対応には大きく2つの意義がある。まず、当初予算に計上することによって、施策に対する政府のコミットメントがより明確になる。民間企業にとっての予見性が高まり、民間の投資を引き出す環境が整うということ。次に、補正予算は従来、当初予算での縛り、すなわちシーリングの対象外だった上に、年度途中の追加対応になりがちだった。これを当初予算化することで財政規律に配慮しているという政府の姿勢を明確化でき、また、政策運営の見通しも高まることで市場の信認維持に資する。この点で成長投資や危機管理投資を中心に、中長期の官民投資ロードマップを共有して、PDCAやEBPMに基づくワイズスペンディングを前提として、「原則3」にあるとおり、危機管理投資・成長投資のための新たな投資枠を設け、この「新たな投資枠」を当初予算で措置することは効果的な取組だと考える。
 4人目の民間議員です。
 4点コメント。
 1点目は「原則1」について、機械的にプライマリーバランスの黒字化を目指すのではなく、経済成長率と金利の関係を意識しながら中期的な債務経路の中で判断する。経済財政の「中長期試算」における成長移行ケースでは、2030年代に名目成長率と名目長期金利が逆転し、国債利回りは長期金利に遅れて上昇すると試算されているが、原則でも記載のあるとおり、見通しは不確実性がある。また、ブランシャール氏もプライマリーバランス黒字化に5年程度と目安を示していたが、これはおおよその時間感覚である。重要なのは単年度のプライマリーバランス黒字化そのものではなく、債務残高対GDP比の安定的低下と整合的であること。
 2点目は「原則2」の名目経済規模の拡大にふさわしい予算編成に転換することについて、従来の一律的な抑制や形式的キャップ管理では、インフレ局面で実質的に過度な抑制を招きやすい。ただ、例えば社会保障支出のように経済成長以外の要因でも変化のある項目では、歳出の構成比を変えていくという視点も重要。一方、歳入についてもこれまで税収の上振れが続いていたことからも、名目経済規模の拡大に見合った歳入見積りを行い、精度を高める必要がある。
 3点目、「原則3」の「新たな投資枠」について、ほかの議員の発言でもあったように、投資期間は一律に区切るべきではない。官民投資ロードマップに定められる政策の性質や効果発現までの期間に応じて十分なバランスを設定すべき。重要なのは、予見可能性を確保しつつ、政策効果が十分に発現する期間を確保すること。また、必要な財源はほかの歳出の重点化・効率化や見直しなどによって捻出することもあり得る。一時的にプライマリーバランス赤字を伴う場合も、中期的な債務経路の中で、持続可能性が担保されていればよいと考えるべき。
 4点目、「原則5」の中の多角的・科学的検証について、これまでの財政運営は、国・地方ベースの総債務がベースとなっていたが、債務の持続可能性を中期的に評価することを前提とすれば、一般政府ベースかつ純債務も合わせて見るべき。社会保障基金は、国・地方と制度的・財政的に連動しており、政策効果や将来負担も相互に影響する。また、格付機関では総債務よりも純債務を重視しているところもある。よって、一般政府ベースでも、総債務と純債務の両方で見ることで公的部門の負担をより適切に見ていくことが可能となる。また、国際比較や市場との対話という観点でも、マクロバランスや会計の観点から、一般政府、企業、家計の全体像の中で資金循環を見ることが一般的であり、部分会計となる国・地方の総債務のみならず、純債務も含めて一般政府ベースでも見ることが重要。
 続いて、閣僚からの発言です。
 赤澤経済産業大臣です。
 AIトランスフォーメーションといった産業の構造変化が進展する中、産業政策は一層重要になると認識。こうした状況においては、経済成長につながる質の高い投資を拡大することが最重要の課題。投資を通じて成長を実現するとともに、税収が自然増に向かうことで財政にも寄与し、経済成長と財政の両面で好影響をもたらすと考えている。
 高市内閣の成長戦略の肝である「危機管理投資」・「成長投資」を官民で連携して力強く推進するため、企業の予見可能性を高めるべく、真に良い投資に対して複数年度の予算措置がしっかりと手当されるような予算編成の在り方が必要。加えて、政府だけではなく、民間においても積極的に投資拡大を進めていくことが重要であり、成長投資の拡大に向けて企業と投資家が共同で取り組むべき点を整理した成長投資ガイダンスの策定を進めている。また、大胆な投資促進税制の創設、戦略分野における研究開発税制の重点強化などを通じて官民で連携して積極的な投資を引き出し、強い経済の実現にも貢献してまいりたい。
 中東情勢への対応について、総理のご指示を踏まえて実施した緊急的激変緩和措置により、ガソリンは170円程度を維持している。また、原油や石油製品は代替調達や備蓄石油の放出で日本全体として必要となる量を確保できている。さらに万全を期すため、先週10日に総理のご了解をいただき、5月上旬以降、第2弾の国家備蓄放出として約20日分程度の放出を決めた。他方、一部に供給の偏りや目詰まりが生じているため、政府間で議論し、燃料や化学製品など個別の物資の流通円滑化対応も含む重要物資の安定供給確保の対応方針案をまとめた。特に医療分野は、厚生労働大臣と私が本部長を務める対策本部でサプライチェーン全体を把握し、目詰まりを一つ一つ、確実に解消する。引き続きエネルギー供給や物価などの動向を注視しつつ、国民の皆様の命と暮らし、そして経済活動に影響が生じないよう万全の対策を講じる。
 続いて、片山大臣です。
 民間議員から、財政運営の中核目標として債務残高対GDP比の安定的な低下を位置づける、プライマリーバランスについて債務残高対GDP比の安定的な低下に向けて確認し、その中で複数年で管理するというご提案があった。その際、ご指摘のあった金利や成長率などの不確実性に備えたリスク管理の実施、それらを織り込んだ分析・検証の重要性といった観点は、市場からの信認を確保していく上で重要と考えており、これらを踏まえて具体的な指標の明確化に努めていく。
 財政運営として「成長戦略」、「危機管理投資」、税制・給付の見直し、防衛力整備、緊急時の対応余力等の多岐にわたる課題があることも改めてご指摘いただいた。「危機管理投資」・「成長投資」のための「新たな投資枠」などについて民間議員からご提案いただいた原則に沿って検討していく。
 経済安全保障上、特に重要な分野の投資については、これまでも例えば「GX経済移行債」を活用した10年の先行投資支援や「AI・半導体産業基盤強化フレーム」における7年間の公的支援は、特別会計において別枠管理しつつ、必要な財源を確保しながら財源の裏づけとなるつなぎ国債の発行などにより、複数年度にわたる予算措置を行ってきた。こうした取組をさらに広げていくことを考えている。
 引き続き「責任ある積極財政」の考え方の下、「財政の持続可能性」と「強い経済」を両立するための財政運営を検討していく。
 最後の総理の締めくくりは皆様お聞きいただいたと思いますので、割愛いたします。