第2回記者会見要旨:令和8年 会議結果

城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨

1.発言要旨

 本日、冒頭2点、ご報告申し上げます。
 まず、経済財政諮問会議の概要についてであります。本日の議題は2つであります。「マクロ経済運営」及び「イノベーション」について議論を行いました。
 1つ目の議題の「マクロ経済運営」では、日銀総裁からの今後の経済・物価見通しについての説明も踏まえ、意見交換を行いました。民間議員からは、「責任ある積極財政」へと本格的に転換していくことが重要であり、経済財政諮問会議として骨太方針に向けて予算編成の在り方の見直し、経済・財政・社会保障の全体俯瞰に取り組むことなどにつきご提案がございました。
 そして、2つ目の議題の「イノベーション」では、民間議員から、基礎研究費の計画的な予算措置や大学改革の推進と合わせて、物価・人件費の上昇を踏まえた運営費交付金の確保などを図ること、デュアルユース技術など政府の中長期的なコミットの明確化等を通じて民間投資を引き出す措置を強化すること、公共調達におけるスタートアップ比率の目標である3%を早期に達成し、更なる高い水準を目指すこと、エンジェル税制の効果を検証し、ベンチャーキャピタル等の資金を呼び込むための仕組みを検討することなどについてご提案がございました。
 総理からは、本日の議論を踏まえまして、小野田科学技術政策担当大臣に対しまして、「新技術立国」を目指し、まずは「第7期科学・技術イノベーション基本計画」の策定を進めること、そして私に対しましては、「スタートアップ育成5か年計画」を強化し、先端技術の社会実装を加速させることとのご指示がございました。
 なお、諮問会議の詳細につきましては、後ほど事務方から詳細なご説明をさせていただきたいと思います。
 2点目は、新型インフルエンザ等対策推進会議についてであります。先週20日(金)、感染症危機管理に関しまして、「新型インフルエンザ等対策推進会議」を開催いたしました。新型インフルエンザ等対策政府行動計画のフォローアップの一環といたしまして、「水際対策」と「物資」について、関係省庁の取組状況のヒアリングを実施しました。
 次回の会議では、「治療薬・治療法」と「保健」についてヒアリングを予定しており、6月のフォローアップ取りまとめに向けまして議論を深めてまいります。引き続き、関係省庁とも連携しつつ、次なる感染症危機の対応に万全を期してまいる考えであります。
 以上、冒頭2点、ご報告申し上げました。

2.質疑応答

(問)2点お伺いします。本日の諮問会議では、民間議員からも市場からの信認確保が重要だという提言がございました。また、高市首相は、信認確保に向けて具体的な指標を明確化すると先週発言されております。大臣としてどのような指標を念頭に置かれていますでしょうか。
 また、質問の2つ目ですけれども、税と社会保障の国民会議について、一部の野党から政府への反発が寄せられています。参加要請がないなどの反発です。これについてどう受け止められているか。また、全ての政党の参加が望ましいとお考えになるのか、あるいは一部不参加もやむを得ないと考えるのか、お聞かせください。


(答)まず、経済財政諮問会議についてのご質問ですが、高市内閣では、「責任ある積極財政」の考え方の下で、予算全体のメリハリづけ等を通じまして、財政の持続可能性にも十分配慮した経済財政運営を行ってまいりました。
 具体的には、この記者会見の場でも何度か申し上げたと思いますが、例えば2025年度補正予算では、補正後の国債発行額については前年度以下に抑えつつ、2026年度予算では、国の一般会計において新規国債発行額を2年連続30兆円未満に抑え、公債依存度も低下させたほか、28年ぶりにPB黒字化を達成いたしました。
 また、高市総理も述べているように、引き続き「責任ある積極財政」の考え方に基づきまして経済財政運営を行い、債務残高対GDP比、これを安定的に引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、それによってマーケットからの信認をしっかり確保してまいる考えであります。
 そのためには、これまでの取組の進捗成果を後戻りさせることなく、成長力を高め、併せて金利上昇にも目配りをする。そして、成長率の範囲内に債務残高の伸び率をしっかり確実に抑えていく。これが重要だと考えております。こうした考え方の下、具体的な指標については今年の骨太方針に向けて検討を進めてまいる考えであります。
 もう一点の国民会議についてですが、国民会議の参加につきまして、声掛け自体は公党間で行われていると承知しております。従いまして、具体的な状況あるいはその結果について、政府の立場で私から、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 その上で、ご指摘の国民会議につきましては、政府、そして与党としては、「食料品の消費税率ゼロ」については、改革の本丸である「給付付き税額控除」の実施までの2年間に限った、「つなぎ」というふうに位置づけ、食料品の消費税率ゼロから給付付き税額控除への移行を見据えた検討を進める方針であると考えております。
 このため、高市総理のご発言のとおり、「食料品に限定した消費税率ゼロ」と「給付付き税額控除」、同時並行で議論する「国民会議」の設置に当たっては、消費税が社会保障の重要な財源であることを認識しており、かつ「給付付き税額控除」の実現に賛同いただいている野党の皆さんに政党間でお声がけする方針であるというように伺っております。
 いずれにしましても、国民会議をできるだけ早期に設置し、丁寧かつスピード感を持って検討を進め、結論を得ていくことが重要だと認識しております。


(問)2点お伺いします。まず、1点目ですけれども、今日の諮問会議の民間議員のペーパーにも、「行き過ぎた緊縮志向」という言葉がありましたし、大臣の経済演説にも、「長年続いてきた過度の緊縮志向」というフレーズがあったと思います。これは具体的に、どの時期のどういう政策をイメージされているのか。実は同様の質問を何回か前にもいたしましたが、そのときは、それは総理のお考えで、必ずしもその総理のお考えについては具体的には承知していないとおっしゃっていたのですが、このたび経済演説にも書かれたので、改めてお尋ねします。


(答)ご指摘のとおり、私の経済演説におきまして、「長年続いてきた過度な緊縮志向、そして未来への投資不足の流れを断ち切ります」と申し上げたということはそのとおりでございます。
 また、日本経済の課題に関しましては、高市総理は、我が国の潜在成長率が主要先進国と比べて低迷していること、また、資本投入量、すなわち国内投資が圧倒的に足りないこと、これらを挙げられたところでございます。
 なお、緊縮志向につきましては、特定の時期における具体的な施策を指しているということでは必ずしもなく、長年にわたり未来への投資不足が継続してきたこと等を念頭に置いているものであります。
 その上で、長年続いてきた過度な緊縮志向の流れを断ち切るためには、高市総理が常々ご発言されているように、私も発言しておりますが、危機管理投資・成長投資によって日本の成長につなげていくこと、世界が産業政策の大競争時代にある中、我が国として経済成長を実現するために必要な財政出動はためらうべきことではないことが重要だと考えておりまして、繰り返しになりますけれども、特定の時期の具体的な施策を指しているというわけでは必ずしもありません。


(問)キーワードとして使われているので、重ねてお尋ねしますが、施策を示しているのではないとおっしゃられて、実は同様の質問に対して、今日、片山財務大臣が「緊縮志向ではあったが、緊縮予算は組んでいない」と、ご発言されているのですけれども、ただ一方で、高市さんは、19日の解散表明のときには緊縮財政という表現もされているのですが、という前提の下で、大臣が今おっしゃったことは、政策ではなくて民間も含めた意味での緊縮志向という意味合いでおっしゃっているということなのでしょうか。


(答)今、申し上げたことの繰り返しになりますけれども、緊縮志向については、特定の時期や具体的な施策でなく、民間も含めて、長年にわたり未来への投資不足が継続してきたこと等を念頭に置いた発言であります。


(問)もう一点、予算の在り方も今日の諮問会議で出たと思うのですが、その中で一つ、これは総理の演説ですけれども、これも経済演説でありますね、「予算上、多年度で別枠で管理する仕組み」というものがございましたが、これは具体的にどのようなことを指されておられるのか、AI・半導体フレームとかGX対策等のようなこれまであったものの手法を他の分野にも広げていくということなのか、それとも新しい仕組み・枠組みを考えていらっしゃるのかということ。そこに「債務残高の対GDP比引下げにもつながるよう」という修飾節が加わっておりますが、別枠管理がどのように債務残高GDP比の引下げにつながるのか、そのロジックを教えてください。


(答)まず、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障などの様々なリスクを最小化する「危機管理投資」、そしてまた、AI・半導体、造船などの先端技術を花開かせる「成長投資」により、世界共通の課題解決に資する製品・サービス・インフラを開発して国内外に提供することで、日本の成長につなげていくという考え方でありまして、こうした投資を促す上で、企業の予見可能性を高めること、これが極めて重要であります。
 そのため、先般の経済対策に盛り込まれた危機管理投資に関する新たな財源確保の仕組みなど、投資の予見性を高める予算の在り方について検討を進めていくことになります。
 今後、より具体的には、政府として関係省庁間で連携し、具体的な制度設計の検討を進めていくという段階でありまして、こうした検討を含め、国内投資の促進に徹底的なてこ入れを行うと。そして、暮らしの安全と安心を確保し、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収が自然増に向かう。そういった「強い経済」を構築するとこれまでも述べているとおりであります。
 成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑えて、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げていく考えであります。
 いずれにしても、検討体制、今後具体的に、先ほど申しましたように、AI・半導体の産業基盤強化フレーム、GX対策、あるいは新たな仕組み、これについてはまだ何も決まっておりませんで、今後しっかり議論して、検討して決めていくということでありますので、またその段階になりましたら、こういった記者会見の場で申し上げることになるかと思います。現時点ではまだ決まっておりませんが、いずれにしても、これから検討して決めていくという段階でございます。


(問)諮問会議と直接の関係ではないのですけれども、今日夕方、一部の報道で、高市総理大臣が先週行われた日銀の植田総裁との会談の中で、追加利上げに難色を示したという報道がありまして、これを受けて円売りドル買いの動きが出てきております。こうした報道の事実関係と、今の足元の動きについての受け止めをお願いします。


(答)そのような報道があったことは承知しておりますが、ただ、どういったやり取りが行われたかについては、この場で私もつまびらかに知っておりませんし、仮に承知していたとしても、こういった場で申し上げることはいろいろな影響がございますので、差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、いずれにしましても、日本銀行は、一般論として言えば、内外経済、物価情勢や金融資本市場の動向を、様々なデータや情報を基に点検・議論し、金融政策を判断していく方針であると理解しております。その具体的な手法については日本銀行に委ねるべきと考えており、繰り返しになりますけれども、そのやり取りの中身とは別に、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。
 日本銀行には引き続き日本銀行法第4条がございますので、政府・日本銀行のアコードに沿った形で政府と緊密に連携し、十分なコミュニケーション、意思疎通を図りながら、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切な金融運営を行うことを期待するものであります。


(問)諮問会議の民間議員ペーパーの中で、「責任ある積極財政」について、「市場とのコミュニケーションを適切に行いつつ、市場の信認を確保する」とあります。具体的にどのように市場とのコミュニケーションを行うのか、また、今まで市場とのコミュニケーションで不足していた部分があるとしたら、どのような点があるのか教えてください。


(答)先ほども申し上げたとおり、高市内閣では「責任ある積極財政」の考え方の下で、予算全体のメリハリづけ等を通じまして、財政の持続可能性にも十分配慮した経済財政運営を行ってきたというように認識しております。
 こうした点については、これまでのこの記者会見の場をはじめ、様々な機会を通じて、国民の皆様に対し、直接かつ分かりやすい説明に努めてきたところでございます。
 また、経済財政の将来の展望につきましては、データでお示しすることも重要でありまして、内閣府としては本年1月22日に中長期試算を公表したところであります。例えば成長型経済の移行が実現するケースにおきまして、債務残高対GDP比は、今年度から来年度、更にはその後の期間においても着実に低下する姿となっております。また、国・地方のプライマリーバランスについても改善が続き、2026年度にはPB目標を掲げた2001年度以降で最も改善した形となり、歳入と歳出が概ねバランスした姿を実現するとともに、2027年度以降も一定の黒字幅となることが見込まれております。
 いずれにしましても、今後も引き続き、市場関係者を含め、国民の皆様に対しまして、ファクトに基づく分かりやすい説明に努めてまいる考えであります。
 また、海外有識者との継続的な対話、これも重要だと思っておりまして、世界から学ぶ点と、同時に日本が発信すべき点、これをしっかり整理し、国際経済秩序の変化、あるいはグローバルな潮流、流れ、トレンドも踏まえながら、「責任ある積極財政」を含む日本経済財政運営を国際的な議論の中で位置づけ、市場からの信認確保につながる、国内外に分かりやすい一貫したメッセージを継続的に発信してまいる考えでありまして、私も錆びついた英語をちょっと使って発信することも今考えているところでございます。

3.堤内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 第2回経済財政諮問会議です。
 議題は2つです。1つ目が「マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議)」です。植田日銀総裁から資料1を説明し、筒井議員から資料2の説明を行った後に意見交換を行いました。2つ目が「イノベーション(スタートアップ、大学改革等)」です。南場議員から資料4の説明があり、小野田科学技術政策担当大臣から資料6、松本文部科学大臣から資料7のご説明があった後、意見交換を行いました。
 1つ目の議題です。
 1人目の民間議員です。
 総理が言われた予算のつくり方を根本的に変えるという理念を今年の骨太方針で示していけるように民間議員としてしっかり取り組んでいきたい。
 「責任ある積極財政」を本当に「強い経済」につなげるには、予見可能性を高めて、民間投資が動くように予算・制度・規制を一体的に変えることが重要。投資は複数年度で予算を措置する以上、効果も複数年度で評価するという視点が重要。単年度の歳出としてだけではなく、政策による将来の成長、税収効果を織り込んで評価する、言わばダイナミックスコアリングの考え方を取り入れながら、投資の効果を十分に織り込んで取り込むことが大事。
 その上で、日本銀行におかれては3点見ていただきたい。第1に、基調的な物価の動き。日銀の予測するとおり、年後半にかけて賃金と物価の好循環が働いて2%に向かっていくという見通しは理解するが、総合、いわゆる欧米型コアともに2%を下回っており、基調としては弱めである。第2に、中長期のインフレ予想です。インフレ予想の各指標は上がってきてはいるものの、2%近傍で安定的に定着しているかどうかが鍵になる。第3に、見通しと政策運営のコミュニケーション。経済・物価・金利をめぐる環境変化について日銀から政府や国民に分かりやすく説明していただきたい。政府と日銀には、日銀法第4条の趣旨も踏まえ、整合的な政策運営をお願いしたい。
 2人目の民間議員です。
 「責任ある積極財政」として減税や投資が実行されることになる。総理もこれまでおっしゃっているとおり、市場の信認は極めて重要。マーケット動向に常に目を配り、リスクマネジメントを徹底していただきたい。
 予算編成の在り方の見直しもいよいよやってくれると歓迎される性質のもの。「責任ある積極財政」が「責任ない積極財政」とどう違うのかということを明確に際立たせながら進めていく必要がある。その上で、片山大臣の下に設置された日本版DOGEの取組などには大いに期待。各論の中には議論を呼ぶものがあるかもしれないが、勇気を持ち、透明性高く国民に説明しながら推進していただきたい。
 成長投資に関しては、石灰化しているところに真水を流し込んでも染み込まない。投下した資金が民間の活力につながることを意識して制度設計すべき。
 3人目の民間議員です。
 物価について、足元での消費者物価は食料品の伸び率の鈍化により、全体の伸び率も低下してきている。今後は電気・ガス料金の負担軽減策により2月以降は1%台前半まで下がる可能性が高まっている。
 春闘の賃上げ率が3年連続で5%を超える水準となる見込みであり、名目賃金では2%を超える可能性も高まっている。実質賃金がプラスになる確度も高まっている。他方で、日銀による予想インフレ率も低下しているが、物価上昇、インフレ予想を過度に低下させないために政府による適切な対応が求められる局面に入りつつある。
 円安が過度なインフレを助長するのではないかとの議論がある。2020年対比で昨年度の平均のドル円レートは約40%の円安。一方、内閣府のマクロモデルによれば、10%の円安による民間消費デフレーターの押し上げ効果は0.2%程度であり、この関係に基づくと、過去5年間での40%の円安に伴うインフレ率の押し上げ効果は年平均で0.2%程度。円安を過度なインフレの主因とするのは行き過ぎた議論。
 「責任ある積極財政」について、2月以降の金利が落ち着いていることから、「責任ある積極財政」に関する市場の理解が徐々に進みつつあるのではないか。今後も市場との積極対話を継続し、政策の趣旨の理解を市場に浸透させていくことが重要。
 4人目の民間議員です。
 「強い経済」の実現に向け、責任ある財政運営の推進に当たっての視点を2つ申し上げる。
 1つ目、経済界の中には、財政健全化に関する市場の反応をめぐって心配する向きもあることから、「責任ある積極財政」は財政規律にも十分配慮し、市場の信認を得ながら進めていくことが重要。そのためには、「危機管理投資・成長投資」を財政の持続可能性を担保しながら、単に財政規模を拡大するのではなく、官民連携の戦略的な成長投資の実行と一体で潜在成長力の引上げという日本経済のファンダメンタルズ向上への挑戦と位置づけるべき。
 2つ目は、高齢化・人口減少の進む我が国において、中長期の視点から、責任ある対応として、給付と負担の全体像や将来見通しも踏まえつつ、社会保障改革を通じた持続可能な全世代型社会保障の構築も求められている。給付と負担の見直しによる現役世代の社会保険料負担増の抑制とともに、労働供給制約に適用した医療・介護サービスの提供体制の再構築も急がれる。
 続いて、閣僚からの発言です。
 赤澤経済産業大臣です。
 民間議員が指摘するとおり、我が国の潜在成長率は主要先進国と比較して低迷しており、その要因の一つは資本投入量、すなわち国内投資の少なさ。世界が産業政策の大競争時代にある中、我が国として高市政権の成長戦略の肝である「危機管理投資・成長投資」を促進していく。官民連携投資を行う戦略分野及びサプライチェーンの強化を図る重要物資に重点を置き、複数年度の予算措置を通じて民間の予見可能性を高めながら大胆な投資促進や国際展開支援、人材育成等の総合支援策を講じ、官民の積極投資を引き出していく。
 「責任ある積極財政」の考え方の下、先端産業を開花させるための経済成長戦略を通じて「強い経済」を実現してまいりたい。
 片山財務大臣です。
 今回の衆議院選挙の最大の争点の一つが「責任ある積極財政」であり、これまで様々な機会で申し上げてきたことを実行していく必要がある。日本経済がデフレ・コストカット型経済から新たな成長型経済に移行する段階にある中、財政面でも国民生活の下支えや経済成長に資することが期待される施策には大胆に重点化する一方、効果が乏しい施策については見直しを行うなど、歳出・歳入両面で「強い経済」を支える財政構造への転換を図ることが重要。
 令和8年度予算においても、複数年度の取組や歳出構造の平時化に向けた取組を推進しているが、引き続き予算編成の在り方の見直しについて取り組んでいく。また、租税特別措置・補助金の見直しについても担当大臣として国民からの提案募集などの取組を進めているところであるが、次の予算編成に向けて要求段階から査定段階まで一貫した対応ができるように取り組んでいく。
 金融市場の状況に変化が見られる中で、マーケットからの信認を確保していくことも重要。引き続き責任ある積極財政の考え方の下、これまでの取組の進捗、成果を後戻りさせることなく、成長率を高め、あわせて、金利上昇にも目配りしながら債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく。
 2つ目の議題です。
 1人目の民間議員です。
 科学技術立国の実現に不可欠な点について2つ申し上げる。
 第1、科学技術立国を目指す必要性を政府・経済界のみならず、アカデミア、投資家、国民を含む社会全体に理解してもらい、腹落ちしていただくことが重要。かねてから投資牽引型経済へのマインドセット転換が不可欠と訴えてきた。民の研究開発投資の拡大は言うまでもなく重要。他方で、不確実性の高い基礎研究には運営費交付金や科研費など政府の財政支援が極めて重要。官民の研究開発投資を持続的に拡大させるためには社会全体が共有・共感できる目指すべき科学技術立国が必要。
 分断・対立が深まる国際社会において、人口減少や資源制約などの構造的課題を抱える我が国が持続的に成長するには、科学技術の力で価値を創出・実装し、世界に貢献し、信頼され、必要とされる国となるのが必須の道筋。そうした国家像を明確に描き、共有することが社会全体の投資を後押しする礎となる。
 第2に、研究開発投資の受け皿となる人材やエコシステムなどの基盤構築。投資額の拡大は重要だが、科学研究、技術開発、社会実装など、それぞれのフェーズではその性質や求められる機能が異なる点を踏まえる必要がある。資金を戦略的に配分し、評価する人材、博士人材をはじめとする研究人材、研究から開発に橋渡しをするコーディネート人材に加え、社会実装ではエンジニアリングのみならず、マーケティング、規制対応、ルール形成を担う人材も不可欠。いずれも不足が指摘されており、人口減少下でこうした多様な人材の厚みをいかに確保していくかが問われている。同時に、価値の創出から実装、課題解決まで一気通貫で担う大学、国研、企業、スタートアップなどの連携によるエコシステムの形成も不可欠。
 2人目の民間議員です。
 3点ということで、1点目は科研費について、アベノミクス以降、名目GDPは緩やかに拡大しているが、科研費や国立大学法人の運営費交付金の予算額は横ばいで推移しており、対名目GDP比の推移では低下あるいは停滞傾向。増額となった2026年度当初予算ベースでもその状況から脱していない。科研費の対名目GDP比が低下しないように、当初予算から計画的に措置することが重要。国立大学法人運営費交付金については、足元のインフレにより実質で目減りした分を補うべく、予算額を拡充することが必要。
 2点目は研究開発投資とスタートアップについて、特に目標を下回ってる民間の研究開発投資は高市政権の目指す日本経済の供給力、すなわち潜在成長率の向上にとって重要。令和8年度税制改正では、研究開発減税の戦略技術領域型の創設、一般型の見直しが盛り込まれ、オープンイノベーション促進税制も延長・拡充が盛り込まれた。今後はこれらの減税効果を注視し、効果が不十分となれば、次年度は税額控除率や控除上限等の延長・見直し等が必要になる。
 3点目、日本の科学技術競争力強化の観点から、理系学生のトップ層が医者を志望する偏りについては非常に根深い課題と考える。ただし、この点については政府においても、キャリアの多様化や医学部定員の適正化が行われていると認識。博士課程の経済的支援の拡充やスタートアップ支援による理系キャリアの魅力向上の取組も効果的と考えているが、これらに加えて、医工連携といった教育課程の柔軟化も重要。医学部に籍を置きながら、工学やAIについて学び、臨床だけでなく、医療機器の開発やバイオベンチャーに進むキャリアを推奨する大学が増えており、文部科学省の予算においてもこうした学際的な教育プログラムを支援している。政府としてはこのような取組をより強化し、研究者や起業家において理系の学生にとって医者になるよりも魅力的でリターンの大きい選択肢がある環境をいかにつくるかが重要。
 3人目の民間議員です。
 成長のスイッチは様々ある。最も有効な成長のスイッチは基礎研究と人材への投資。高市政権が掲げる「責任ある積極財政」を成長につなげるには、この成長のスイッチを押すために基礎研究と人材投資を政策の本丸に据え直すことが重要。日本には技術力の底力があるのに、国内投資の不足や研究者の時間が研究以外に吸い取られているといった課題がある。イノベーションは選択と集中だけではなく、広い基礎研究の土台があってこそ最先端の成果が生まれるもの。そのためには、研究者の十分な自由時間は必要条件だ。
 具体的な意見として、第1に、基礎研究、人材の基盤的経費を実質的に立て直し、昨年補正で追加した運営費交付金で終わらせず、当初予算で基盤として積み上げ、研究者が研究に専念できる環境を整え、研究時間を取り戻す。あわせて、大学改革を進め、資金配分と人材活用の意思決定を早くし、成果が出る体制にする。
 第2、予算のつくり方を変え、補正を前提とするのではなく、補正は緊急性や不可欠性への対応に限定する。その上で、研究人材についての投資は複数年で国がコミットを続け、産業界が設備・人材・研究拠点に投資しやすい予見可能性をつくるということ。政府調達でスタートアップの消費需要をつくり、官民の共同投資でリスクを分かち合い、民間研究開発投資を呼び込む。
 第3、責任を担保するためには、成果を動学的に、ダイナミックに点検すること。研究投資は単年度ではコストに見えるが、成長率と税収基盤を押し上げ、財政力を高めるもの。いわゆるダイナミックスコアリングの考えを重視し、前提と時間軸を明示し、効くものは伸ばし、効かないものは見直すという運営を徹底し、国内投資不足を見直すべき。
 総理の指摘する国内投資不足を埋めるには、研究・人材への基盤投資不足を直視すべき。「新技術立国」実現に向け、補正依存から決別し、当初と複数年度で基盤資金を確保する予算のつくり方改革を科学技術担当としてどのようにリーダーシップを発揮して結論を出していくか小野田大臣に伺いたい。
 4人目の民間議員です。
 研究開発の中心に躍り出ようとしているのはAIである。オープンAIのサム・アルトマン、アンソロピックのダリオ・アモデイ、グーグル・ディープマインドのデミス・ハサビスも「AI for Science」を一番実現したいと発言している。AIは既に研究や実験の生産性を上げるために現場で活用されている。AIが研究開発を行い、AIが新しい発見をするAGIの時代が、人によって違うが、半年から5年で実現すると言われている。
 文科省で「AI for Science」を推進する検討が進められていて、これが重要。AIのファウンデーションモデルの開発競争において米中が圧倒的に進んでしまっている。この開発の遅れが利用の遅れにまでつながらないようにしっかりと進める必要がある。
 スタートアップエコシステムについて、スタートアップは市場によって育てられるため、政府が顧客となってスタートアップを育てていただきたい。これまでも入札参加資格の見直しや随意契約スキームの導入など取組を進めていただいているが、まだまだ改善の余地が大きい。例えば調査・実証・納品の段階を踏んでビジネスに育てていくが、年度単位の政府の予算の枠組みではその先が全く保障されていないため、予見可能性が低く、大きな負担となる。年度ごとの契約はその都度大きな事務作業が発生し、12か月のうち3か月は事務作業に要するなど、スタートアップにとっては大きな負担。また、保証金を求められることも多く、余裕資金の乏しいスタートアップが公共調達に参加する障害になっているという話も聞く。こうした実情を踏まえると、本格調達までのスピード、柔軟性、予見可能性を飛躍的に高める基金の活用や契約上の阻害要因の解消などを早急に検討し、進めるべき。
 最後に人材教育について、研究開発力の向上とスタートアップエコシステムの構築の両方の観点から、留学が大事だと考えている。あらあらの試算だが、大学の学部生265万人のうち民間の調査で留学を希望している者の割合は4割程度。国費500万円で在学中に1回留学すると仮定した場合に必要な額は1.3兆円。これは、比較が適当かどうかは別として、年の社会保障給付費141兆円の1%に満たない程度の規模。資源の乏しい日本の最大の資産である人材の育成のために希望者全員の留学の実現に向けて努力すべき。
 次に、閣僚からの発言です。
 民間議員の質問に対する小野田科学技術政策担当大臣からの回答です。
 大学等の基盤的経費の不足は、我が国の研究力の低下の大きな要因と考えており、これはしっかりと拡充したい。科学技術イノベーションは継続的かつ弾力的な取組が必要であり、必要な当初予算の措置と複数年度の予算措置が重要と認識。3月中の閣議決定を目指している「第7期科学・技術イノベーション基本計画」においてもそのような趣旨を盛り込んでいるところ。責任ある積極財政の考え方の下、「新技術立国」の実現に向けて総理や財務大臣とも相談しながら、当初予算の措置、複数年度の予算措置について積極的に取り組んでまいりたい。
 赤澤経済産業大臣です。
 研究開発力の向上のため、研究開発税制の強化などにより、AI、先端ロボットやバイオ、量子等の先端技術領域に対する民間投資を強力に促進していく。また、高い研究力を有し、産業競争力強化に貢献する大学群が実力を十分に発揮できるよう、文科省とも連携し、世界トップ大学と同等の柔軟な経営環境を実現していく。
 スタートアップエコシステムの構築のため、防衛をはじめとする公共調達により需要創出のシグナルを出し、AI等のディープテック・スタートアップへの投資を促す。加えて、アーリーからレイターステージまでの一気通貫したリードインベスターがいないという課題に対応するため、官民ファンド等を通じて資金供給の担い手の育成にも取り組む。
 日本の強みを生かせるフィジカルAIを軸に、あらゆる産業分野でAIトランスフォーメーションを推進することでイノベーションを加速し、高市政権の掲げる「新技術立国・競争力強化」の実現に向けて力強く取り組んでいく。
 城内スタートアップ担当大臣です。
 「日本列島を、強く豊かに。」を目指す高市内閣においてこの夏に取りまとめる日本成長戦略では、成長戦略の肝である危機管理投資・成長投資の担い手としてもスタートアップが大きく期待されており、8つの分野横断的課題の1つに掲げた。先般、日本成長戦略会議の下にスタートアップ政策推進分科会を立ち上げ、2月4日に第1回となる会合を開催したところ。スタートアップのスケールアップ、ディープテック・スタートアップの支援、地域の経済社会を担うスタートアップの創出・育成の3つの柱に焦点を当て、本日の会議でもご提案のあった政府調達、海外投資家の呼び込み、出口の多様化の課題を含めて精力的に検討を進めてまいりたい。その上で、「スタートアップ育成5か年計画」を強化し、我が国初のスタートアップが主要なプレーヤーの1つとして活躍する「強い経済」の実現に向けた戦略を5月までにまとめたい。
 最後に総理から締めくくりのご発言がありましたが、皆様にお聞きいただいたとおりですので、割愛いたします。