第14回記者会見要旨:令和7年 会議結果
城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和7年12月5日(金)19:20~19:36
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室
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1.発言要旨
冒頭、経済財政諮問会議の概要についてご報告申し上げます。
本日の議題は2つあります。「令和8年度予算編成の基本方針」、「来年度予算に向けた課題」、この2つについて議論を行いました。
1つ目の議題、「予算編成の基本方針」につきましては、高市総理から諮問がございました。その後、経済財政諮問会議として、答申案を決定いたしました。近日中にこれを閣議決定する予定です。
2つ目の議題、「来年度予算に向けた課題」につきましては、社会保障分野について議論いたしました。民間議員からは、「医療・介護分野において、AI、ロボットなど、テクノロジーの促進をすること」、「社会保障改革の新たなステージに向けて、来年度予算編成、診療報酬改定、制度改正に前例にとらわれず取り組むこと」、「当面の対応が急がれる課題として、インフレ下における医療・介護給付の在り方と現役世代の保険料負担抑制の整合性を確保すること」、「社会保障制度を、豊かで幸せを実感できる成長経済・成長社会にふさわしいものへ再設計すること」、「給付と負担の将来推計を示すとともに、世帯類型別に分かりやすく『見える化』すること」、「経済全体の中で財政を把握する観点から、国、地方に加えて社会保障基金を含めた一般政府の部門別フローを示すことが重要」などの意見がございました。
高市総理からは、片山財務大臣に対しまして、「本日の予算編成の基本方針の答申に基づき、令和8年度予算編成に取り組むこと」、また上野厚労大臣及び片山財務大臣に対し、「次期診療報酬改定等において、賃上げ、物価高を適切に反映させ、経営の改善や現場で働く幅広い方々の賃上げにつながる的確な対応を行うこと、現役世代の保険料を抑えていくための各種制度の見直し等を行うことなど、当面の対応が急がれる課題については、年末までに結論を得た上で、来年度予算編成や制度改正に反映させること」、そして、最後に私に対しまして、「関係大臣と連携し、給付と負担の在り方などについて、全ての世代を通じて、納得感が得られる社会保障制度の構築に向けた国民的な議論を着実に進めること」といった発言がございました。
諮問会議の詳細については、後ほど事務方からより詳細な説明をさせていただきます。
2.質疑応答
(問)政府は、補正予算の一部を当初予算に計上することで補正予算の削減に取り組むなど、予算の在り方に関する見直しの方針を示していますが、責任ある積極財政に取り組む中で、今後の財政の姿をどう明確化していくのか、大臣の見通しをお伺いさせてください。
(答)高市内閣におきましては、「強い経済」を構築するため、「責任ある積極財政」の考え方の下で戦略的に財政出動を行って、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、そしてまた政府債務残高対GDP比を引き下げていくことによりまして、財政の持続可能性を実現し、マーケットの信認を確保していくということであります。
補正予算につきましては、予算作成後に生じた事由に基づき、特に緊要となった経費の支出等のために編成されるものでありますけれども、近年は常態化すると同時に規模が拡大しております。今後、経済財政諮問会議におきましては、こうした予算の在り方についても議論を進めてまいりたいと考えております。そしてまた、令和8年度予算編成につきましても、11月27日の経済財政諮問会議において高市総理より「予算全体のメリハリをつけていく、この作業を行う中で取組を少し前に進めていく」とおっしゃったとおり、そうした方針に沿って予算編成が進められるものというふうに承知しております。
(問)いずれも今日の会議資料の関連で伺いますが、先ほど大臣からご説明がありませんでしたが、資料1の消費者物価動向と経済対策のほうで、これも今日説明されたとの理解でよろしいですよね。
(答)はい。ございました。
(問)それで、この結果として、GDP押し上げ効果による消費者物価への影響は年率で0.1から0.2%ポイント程度ということだと思いますが、このことについて大臣のご評価、数値として妥当なのかとか、これを念頭に何か追加的に考えなければいけないことなどあればお聞かせください。
(答)本日の経済財政諮問会議では、需給ギャップと物価の関係、そして今回の経済対策の規模、更には対策による個別物価を押し下げる効果などを踏まえますと、今回の経済対策は物価上昇を加速させる影響は限定的と見込まれると、そういった試算を内閣府より提出いたしまして、若田部議員よりご説明をいただいたところであります。
このように、マクロ経済政策が経済や物価に与える影響をしっかり分析しながら経済財政運営を行っていくことは重要と捉えておりまして、今回の試算も有意義だったと考えております。いずれにしましても、今年度と来年度の経済物価の姿につきましては、やはり年末の政府経済見通しがございますので、そこにおいてお示しする予定でありますので、それに向けて引き続き一層の分析を深めていく考えであります。
(問)資料3予算編成の基本方針で原案段階から追加された文言等がいくつかあったと聞いておりますが、その中で「財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保するとともに」という一説を原案段階から更に付け加えたと承知しておりますが、これの理由とマーケットからの信認ということの関連で、現在の債券市場を含むマーケットの動きなど、財政との関連でどのようにご覧になっているかをお聞かせください。
(答)11月27日の経済財政諮問会議でこの原案を提示いたしましたが、その後高市総理のご指示もありまして、そして与党関係者などからご意見も種々いただいたところであります。その結果、いくつかの文言が追加されておりますが、ご指摘のところについても、こうした手続の中で入ったと伺っております。
なお、ご指摘の文言、これ自体は骨太の方針2025、あるいは総理の所信表明演説等においても用いられておりますので、そうしたことから基本方針に追記することが望ましいというご意見だったと承知しております。
また、株価は経済状況や企業の活動、為替は内外の金利差、経常収支の動向、長期金利は期待成長率、期待インフレ率、リスクプレミアムなど様々な要因により市場において決まるものでありますが、その日々の動向について私の立場からコメントすることは差し控えたいと思います。いずれにしましても、株価、為替、金利につきましては、ファンダメンタルズを反映して、安定的に推移すること、これが重要だと考えておりますので、政府といたしましては、市場の動きを高い緊張感を持って引き続き十分に注視していく考えであります。
(問)今、市場では日銀が12月の金融政策決定会合で利上げをするとの観測が高まっていますけれども、一方で、例えば今朝方公表されました家計調査ですとか、こういったものでは前期比マイナスが出てくるなど、少し弱さも見られているかと思います。現状の経済情勢に関する認識と金融政策の方針について、政府・日銀間で理解が一致しているかというところを改めて確認させてください。
(答)個別の報道について私のほうから具体的にお答えすることは差し控えさせていただきますが、その上で一般論ということで申し上げますと、日本銀行、これは内外経済・物価情勢や金融資本市場の動向を様々なデータや情報を元に点検・議論し、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けまして金融政策を判断していく方針というふうに理解しております。その具体的な手法についてですが、それは日本銀行に委ねられるべきものというふうに考えておりまして、繰り返しになりますけれども、政府としてコメントすることはこの場では差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにしましても、日本銀行には引き続き日本銀行法第4条もありますし、また政府・日本銀行の共同声明、いわゆるアコードがございますので、その趣旨に沿って政府と緊密に連携し、十分な意思疎通を図りながら、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けまして適切な金融政策運営を行うことを期待しております。
(問)話題が変わりまして、本日閣僚の皆さんの資産公開がありました。城内大臣ご自身の資産状況に関する所感についてコメントをいただきたいのと、併せて、制度そのものの意義ですとか、あるいはこの制度の今後の必要性、どのように考えておられるかコメントをいただけますでしょうか。
(答)まず、資産状況についての所感でございますが、私自身の資産の状況につきましては、事前にお配りした資料のとおりでございますが、他の方と比較するような性格のものではないと考えておりますので、この場で特に所感について申し上げることはございません。
また、資産公開制度の意義及び今後の必要性についてでありますが、国務大臣の資産公開はご案内のとおり「大臣等規範」に基づいて公職にある者として清廉さ・公平さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保しようとする趣旨で、国務大臣等が自らの資産を国民に公表するものであると承知しております。この趣旨にのっとって報告させていただいたものでありますので、今後も大臣等規範に基づき適切に対応してまいる考えであります。
(問)先ほどの質問に関連して、今回に限らず大臣は金融政策の具体的な手法について「日銀に委ねられるもの」ということでご発言されていると思います。この意味合いですけれども、大臣もご出席されたように、内閣府、財務省はMPM(金融政策決定会合)にも出席されておりますし、そこで意見表明もできます。あるいは制度上は議決延期請求もできるとなっているかと思いますが、手法については委ねるといった場合、MPMでの政府の出席あるいは議決延期請求等について、具体的な手法に関わる論点においては、そういうことは請求したり、あるいは発言したりされないという理解でよろしいのでしょうか。
(答)先ほどお答えしたことに尽きると思いますが、具体的な手法については日本銀行に委ねられるべきと考えておりまして、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。ただ、いずれにしても、先ほど申しましたように、日本銀行には引き続き日本銀行法第4条及び政府・日本銀行の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携し、十分な意思疎通を図りながら、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて適切な金融政策を行うことを期待するということに尽きるかと思いますので、今申し上げたことについては、この答弁でご理解いただきたいというふうに思います。
3.堤内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
第14回経済財政諮問会議について概要をご報告します。
本日の議題は2つです。議題1「予算編成の基本方針等」について、若田部議員から資料1に沿った説明がありました。1名の民間議員から関連する発言があった後、内閣府から資料3の説明をしました。次に、議題2「来年度予算に向けた議題②」では、筒井議員から資料4に基づき民間議員からの提案をご説明いただき、上野厚生労働大臣から資料6に沿ったご説明があった後、意見交換を行いました。
それぞれの議題について主な意見をご紹介します。
1つ目の議題です。
若田部議員からの資料1の説明に対して、1人の民間議員から発言がありました。
物価動向と経済対策の効果について需給面を通じた影響以外に、為替や原油価格の外的要因も考えられる。昨日までの12月平均のドバイの原油先物価格とドル円レートの前年比を計算すると、原油価格は23.9%下落で、ドル円価格は8.5%円安となっている。この結果を基に、内閣府のマクロ経済モデルのデータから、民間消費デフレーターへの1年間の影響度合いを計算したところ、原油価格の要因で0.26%押し下げ、円安で0.13%押し上げと算出された。トータルでマイナス0.13の押し下げとなる。このことから、今後、急激な原油高あるいは円安等が進まなければ、外的要因を通じてもインフレとなる可能性は低いと推測される。
続いて、2つ目の議題です。
1人目の民間議員です。
社会保障改革の新たなステージに向けて最も重要な視点は、供給力強化と整合的な社会保障効率化の在り方。そのため、いかに働く意欲をそがないかという点を重視すべきと考えている。こうした視点から、将来の医療費の一律3割負担に向けた動きは、高齢者就労を促す点でも意義があると考えている。
また、診療報酬などの公定価格について、インフレ調整を認めることも重要なため、医療従事者の賃上げに結びつくような仕掛けが不可欠。このような点から、過剰需要の抑制や医療提供体制の効率化といった点でも、将来的な75歳以上の一律3割化や現場の効率化等が重要。
高市政権の経済政策というのは、労働需給の逼迫を通じて労働集約的な医療や介護の分野から人材流出を招く可能性もあるところ、こうした面についても社会保障の効率化がより求められ、資金や人材など供給体制の問題の観点からも効率化は必要。
医療・介護の効率化や提供体制維持のためにも、AI、ロボットなど、テクノロジーの役割は重要であるため、成長戦略会議等におけるひもづけや関係強化などを通じて将来の社会保障の在り方等を示すことも重要。
他方、給付付き税額控除については、国税、地方税、社会保険料、それぞれの家計の状況を包括的に踏まえた上で、特に社会保険料による逆進性の緩和を重視したものにすべき。また、社会保険料の負担増がいわゆる年収の壁による働き控え問題の最大のネックとなっている。これによる手取りの急変を平準化すべき。
また、高市政権になって変わったこととして、財政や制度の持続可能性だけでなく、成長志向が求められるようになったという点がある。この点については、厚生労働省に財政や制度の持続可能性だけでなく、成長指標、成長志向というものが求められるべき。社会保障改革をはじめ、全般的に制度化されている応能負担の原則や所得制限は、働き控えを促す面がある。今後は税や社会保障、教育などの制度を包括的に現状分析した上で、制度側の目線でなく、所得に応じた手取りなどの断層が発生しないように、家計側の目線で制度設計を行っていくべき。
2人目の民間議員です。
社会保障に関して、来年度予算編成で社会保障改革の新たなステージに向け確実な一歩を踏み出すべき。社会保障は国民の安心を支える大事な基盤だが、現役世代の負担は既に限界に近く、改革をこれ以上先送りする余裕がない。経済あっての社会保障という原則の下、成長する経済にふさわしい制度、産業構造にアップデートする必要がある。
改革の試金石は次期診療報酬改定。物価上昇や賃上げの動きを踏まえるのは当然としても、対応が必要となる費用構造は施設類型ごとに異なるので、データに基づく客観的な評価を徹底して、医療の質や現場の生産性を高める方向で診療報酬の配分にメリハリをつけていくべき。
制度改革についても、制度の効率化や生産性の向上を含め、単純に給付を減らすか負担を増やすかという二項対立の議論ではなく、テクノロジーや新しい仕組みを取り入れた制度改革が必要。
その一つが選定療養制度の拡充。手術支援ロボットやAIを搭載した診断支援機器の利用など、現行の診療報酬上は十分な対応が困難な新しい医療サービスを評価する仕組みが整えば、イノベーションが医療現場に届きやすくなり、医療の生産性向上、医療機関の経営基盤の強化にもつながるため、具体的な検討を進めていただきたい。
がんなどの深刻な領域で起きているドラッグ・ロスも患者の立場になると切迫した重要な問題。政府でもその解消に向けた取組が進められているが、安心して生活・療養できる環境を維持するためにも、薬価決定プロセスの改善を含め、早急な対応をお願いしたい。
OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し、高額療養費制度の見直し、介護の2割負担の範囲の拡大、ケアマネジメントの利用者負担の導入といった積年の課題も先送りすることなく、年齢で区切られている様々な制度の年齢の閾値を見直していくべき。
かねてから張り切って挑戦する人や企業が報われる経済構造への転換が必要だと申し上げているが、その挑戦を支えるのが社会保障制度であり、安心が挑戦を生み、挑戦が成長をつくるという循環を実現すべく、ぜひ社会保障制度改革の実行をお願いしたい。
3人目の民間議員です。
まず、社会保障を論じる大前提として、現役世代、とりわけ子育て世代や中低所得者層では負担感と将来不安が高まっているという認識を共有したい。その背景として、第1に、国民からは、将来どれだけ負担して、どれだけ給付が受けられるかが分かり難いこと、第2に、経済の根幹である経済成長と税・社会保障をそれぞれ別々に議論してきたことという2点がある。経済成長、税、社会保障の三位一体的理解をデータに基づく制度設計に踏み込むべき。
今後の改革を進める上で最初に行うべきことは、年金・医療・介護などの給付の将来パスとそれを支える税・社会保険料自己負担の将来パスを一体として示すこと。その際重要なのは、マクロの合計額ではなく、単身世帯、子育て世帯、高齢世帯といった世帯類型別に生涯を通じてどれぐらい負担し、どれぐらい給付を受けるのかを分かりやすく見える化すること。
その上で、給付付き税額控除制度については、日本の再分配制度の一つのオプションというわけではなく、国家規模でのプロジェクトと位置づけるべき。給付付き税額控除は可処分所得の下支え、年収の壁の解消や就労インセンティブの改善といった課題の解決に資するものであり、課題解決をスローガンにとどめず実現するためには、データとエビデンスに基づいて設計することが前提となる。
所得、資産、税、社会保険料等の各種給付と負担を一体的に把握できる情報基盤と徴税インフラが不可欠。つまり、給付付き税額控除は、制度そのもの以上にインフラ整備こそが大事業。時間もコストもかかる。だからこそ、今からインフラ整備に着手する判断が重要。インフラが整えば、誰がどれだけ負担し、どれだけ給付を受けているのか、制度改正でどの層の可処分所得がどの程度変わるかを定量的に検証できる。
今回の経済対策で一律給付は行わなかったが、こうしたインフラがあれば、将来、再分配のインフラとしても活用することが可能。すなわち、公平に国民に給付を届けるプッシュ型の仕組みともなり、国民の将来不安を和らげ、安心を支える土台になることが期待される。
もう一つ強調したいのは、マクロ構造。個々の制度ごとの給付・負担の議論だけでなく、国・地方に加え、年金・医療・介護を担う社会保障基金を含めた一般政府での部門別フローをセットで見る必要。現状において、社会保障基金は黒字、国・地方の合計は地域インフラを支えながら赤字という構図。政府部門全体で見ると、片方で貯蓄を積み上げながら、他方で赤字を通じて需要を支えるという形が現状。その上で、世代間、世代内の負担と給付の公平性、家計の消費・投資を通じたマクロ経済の安定と成長、財政の持続可能性をデータで検証していく必要がある。
ここで重要なのは、経済成長のシナリオを基礎とした上に、税・社会保障の負担給付のバランスをそのシナリオの上に乗せていくという発想を共有すること。給付付き税額控除もこの三位一体のフレームの中で、どの層の可処分所得をどの程度押し上げ、それがマクロ経済の需要、そして成長とどう結びつくかまで設計していく必要がある。
4人目の民間議員です。
社会保障改革の新たなステージに向けて今後設置される国民会議の議論にも期待し、3点申し上げる。
1点目、給付と負担の見える化の重要性。中長期及び全体最適の観点から、年金・医療・介護における給付と負担の全体像を見える化すべき。全体像を見える化することにより、制度への安心につながる。国民的な共通理解を醸成することが極めて重要。具体的に、2018年5月に政府が公表した2040年を見据えた社会保障の将来見通しについて、人口推計、経済前提、将来の就業者数の見通しを直近の制度改正を盛り込んでアップデートすべき。
2つ目、一体改革を進める前提条件として、社会保険料と給付等を横断的に把握できる情報基盤の整備。マイナンバーやクラウド技術を活用し、所得や資産、サービスの利用実態などを国と地方の間や府省間でデータ連携を促進する必要がある。これにより、必要な方や迅速で正確な給付が実現できる。これは公正・公平な仕組みの構築。総理が目指す給付付き税額控除の制度設計を考える上で極めて重要。また、預貯金口座へのマイナンバー付番も鍵。
3つ目、医療・介護分野でのサービス提供体制の持続可能性の確保。例えば介護分野では、サービス提供を支える従事者と介護保険行政を担う市町村の人材共にますますその確保が困難。限られた人材を有効に活用し、利用者が必要なときに必要なサービスを受けられる体制を将来にわたって維持すべく、介護産業において処遇改善の対応と、これに併せて生産性向上を強力に推進し、構造転換を図っていくことが不可欠。そのためには、ICT、AI、ロボット、これらの活用を後押しするとともに、経営の共同化・大規模化を通じたスケールメリットを促すことも必要。
また、介護保険運営において現行の市町村の枠を超えた、より広域の対応も今後の検討課題。事務処理やルールの全国的な標準化を進めるべき。このほか、提供体制の持続可能性の観点から、介護事業の収益機会を広げ、経営効率の向上や処遇改善の原資獲得につなげる取組も有効。公的価格に基づく保険内サービスだけでなく、利用者の多様なサービスニーズに応えつつ、利便性向上にも資する保険外サービスの一層の活用ができるよう柔軟な運用を認めるべき。
次に、閣僚からの発言です。
赤澤経済産業大臣です。
人口減少や少子高齢化といった構造的要因に直面する我が国において、現状維持でなく、稼ぐ力の強化と賃上げの好循環を実現していくためには、価格転嫁・取引適正化の徹底に加え、生産性向上、省力化投資の支援などの取組も通じ、物価上昇を上回る賃上げを実現させることが重要。
その上で、賃上げをしても可処分所得が増えない、賃上げの成果が損なわれるといったことのないよう、社会保障改革において可処分所得を増加させるべく、経済産業省としても真摯な努力をしていく必要があると考えている。
具体的には、従業員への健康投資を促す健康経営の拡大を通じた予防・健康づくりの強化、仕事と介護の両立支援の促進による社会保障の担い手の確保。DXの推進を通じた医療・介護提供体制の効率化について厚生労働省と連携して取り組んでいく。これらの取組も含め、先般閣議決定した総合経済対策を着実に実行し、日本経済の供給力を高めながら強い経済の実現に全力で取り組んでいく。
片山財務大臣です。
社会保障分野においては、現役世代の負担抑制や能力に応じた負担への見直しなどの観点から、前例にとらわれず、不断の改革に取り組んでいく必要がある。特に、令和8年度予算編成に当たっては、社会保障改革の新たなステージにふさわしい予算、診療報酬改定、制度改革としなければならない。当面の対応が急がれる課題について関係省庁と検討を加速していく。
具体的には、保険料負担の抑制と経済・物価動向等の適切な反映を両立させるため、診療報酬改定においては、データに基づき経営の改善や処遇改善につながる的確な対応を行いつつ、保険料負担軽減のための外来医療や調剤報酬の適正化に取り組む。与党において議論が深められているOTC類似薬を含めた薬剤自己負担の見直しや改革工程表に記載された高額療養費の見直し、介護保険制度改革といった改革を実行し、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指す。これらの課題について厚生労働省をはじめ、関係省庁と連携の下、年末までに結論を得て、社会保障改革の取組をしっかり前に進めていく。
最後に、総理から締めくくりのご発言がありましたが、皆様にお聞きいただいたとおりですので、割愛いたします。