第12回記者会見要旨:令和7年 会議結果
城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和7年11月12日(水)19:48~20:00
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室
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1.発言要旨
本日の経済財政諮問会議の概要についてご報告を申し上げます。
本日は高市内閣最初の経済財政諮問会議でありまして、民間議員の方々、それぞれ4名の方からご挨拶があった後、「経済対策」及び「マクロ経済運営」について議論を行いました。
まず私から、資料1の高市総理からの経済対策策定に係るご指示、資料2の日本成長戦略会議で取りまとめた「総合経済対策に盛り込むべき重点施策」を報告いたしました。
その後の議論では、「経済対策は景気回復を実感できるものにするとともに、官民連携によるダイナミックな経済財政運営により、『強い経済』の実現に向けた重要な第一歩となる政策実行とすべきである。その際、経済や物価への影響試算を示すことが重要」、また、「財政健全化目標を含め、インフレ局面など新しい経済状況に合わせた経済財政政策の構築が必要」、「成長投資を行う中で、財政の持続可能性の確保、市場の信認を維持し続けることが重要」、「ヒト・カネ・事業を流動化させ、イノベーションが持続的に起こり続ける土壌をつくることが重要」、「成長社会・経済にふさわしい社会保障制度への再設計が必要であり、『社会保障改革元年』として取り組むべき」などの意見がございました。
高市総理からは私に対しまして、「未来への不安を希望に変える」ために、経済対策策定の取りまとめ役として尽力するようご指示がございました。
諮問会議の詳細につきましては、後ほど事務方からより詳しく説明させていただきます。
2.質疑応答
(問)本日の諮問会議での議論を踏まえて、総合経済対策での取りまとめはどのように進められていくのか、スケジュール感も踏まえて教えてください。
(答)本日の経済財政諮問会議では、経済対策を含むマクロ経済運営について議論を行い、経済対策の意義や内容、規模等について様々なご意見をいただいたところであります。
本日ございました議論を、その中身・内容を参考にしつつ、速やかに経済対策を取りまとめ、国民各層の皆様に体感温度として経済の回復、そして成長を実感していただけるよう、成長の果実をしっかりお届けする考えであります。
決定時期については、現時点でお答えすることは差し控えさせていただきますが、関係省庁、そして与党と十分に連携しまして、党派を超えた議論も行って、総理からご指示のあった経済対策の3つの柱、これにふさわしい効果的な施策を盛り込んだ経済対策を早急に取りまとめる考えであります。どの時期かというのは、この場ではまだ申し上げる段階にはありません。
(問)今の質問とやや重なりますが、経済対策の規模について、民間議員の資料を拝見しますと、4人のうち、エコノミスト・経済学者系のお二方は、前年を上回る規模、一般会計算出額で去年の13.9兆円を上回る規模が必要だということを提言されています。あとのお二人は特に規模については言及されていないようですが、こういった意見を踏まえて、規模についての検討というのは現状でどうお考えなのか、こういったご意見をどこまで参考にするのかということをまずお尋ねします。
(答)ご指摘のとおり、本日の経済財政諮問会議で、永濱議員、若田部両議員から、経済対策の規模は昨年のものを上回るべきだと、そういったご意見がございました。
各議員のご意見と考え方は、提出資料、そして発言概要を確認していただきたいのですが、既に何度も申し上げているとおり、経済対策の規模については、規模ありきではなくて、必要な政策について積み上げていった結果として決まるものであるというふうに考えております。
いずれにしても、対策を取りまとめる私としては、高市総理から示された、先ほど申しました3つの柱、現在、具体的施策の中身を検討しているところでありますので、今の国民の暮らしを守る効果的な物価高対策として、また、強い日本経済を取り戻し「未来への不安を希望に変える」、そういったことにつながる内容にする考えであります。
(問)もう一点、同様の質問ですが、今挙げられたお二方、永濱さんと若田部さんからは、総理が1月に指示されるとおっしゃっていた、財政健全化目標の見直しに関連すると思われますが、プライマリーバランス黒字化目標について、単年度ということではなく、プライマリーバランス目標そのものがこの局面では不要であるというご趣旨の発言をされているかと思います。このご意見についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)ご指摘のとおり、どちらかというとお二方の若田部議員、永濱議員につきましては、プライマリーバランス黒字化目標についてはやや否定的な見解をお示しになったように私は受け止めましたが、若田部議員、永濱議員の提出資料では、例えば現下の経済状況においてはプライマリーバランスが一定程度赤字であっても、債務残高対GDP比を引き下げることができる可能性があること、そしてまた、債務残高対GDP比に着目することが重要であるということを述べていらっしゃいます。
また、財政健全化に向けては、高市総理も再三おっしゃっているとおり、中期的に債務残高対GDP比の引下げを安定的に実現する中で、必要に応じてプライマリーバランスの目標年度についても再確認を行うと、これはたしか骨太の方針にもそういった書きぶりはあると思います。
いずれにしましても、今後の課題として、単年度ごとのプライマリーバランス黒字化目標の達成状況を見ていく方針、これを数年単位でバランスを確認する方向に見直すことを検討しているという状況であります。
(問)諮問会議と成長戦略会議との関係性というか運営について、今後、両会議はどのように運営して連携させていきたいでしょうか。成長戦略会議では、一部の議員から若干マクロ経済に関するご発言があったというふうにもお聞きしていますけれども、新しい資本主義と諮問会議とはまた違った関係性での運営を今お考えでしょうか。
(答)経済財政諮問会議につきましては、政府のマクロ経済運営のいわば司令塔として、骨太方針など重要な経済財政政策を議論する場でありますが、一方で、日本成長戦略会議についていいますと、17の戦略分野の検討も踏まえまして、官民連携の戦略的投資の促進など、日本経済全体の成長の観点から議論することとなっております。
この2つのいずれの会議も高市内閣において、「責任ある積極財政」の考え方の下、「強い経済」を構築することを目的としておりまして、この2つの会議が連携することによって、更に議論が深まることが期待できます。
例えば、本日の経済財政諮問会議でも経済対策を議論する際、日本成長戦略会議が取りまとめた「総合経済対策に盛り込むべき重点施策」も素材にして議論を行いました。いずれにしましても、今後、この重要な2つの会議を担当する大臣として、両会議の連携をしっかり図りながら、前向きかつ活発な、どちらかというと爆発的でもいいですけれども、非常にそういう議論ができて、成果が出てくることを期待しております。
ですから、会議のための会議ではなくて、こんなことまで言うのかということがあってもいいのではないかと私は思うのですけれども、やはり議論はあらゆる立場の方がしっかり議論して、いい結果が出るようにすることが大事ではないかと思います。
率直に申しますと、日本成長戦略会議も今日の経済財政諮問会議も、非常に活発だなという感じがいたしまして、私自身も非常に感銘した次第であります。2回目以降もこういう感じ、雰囲気が続いていけばいいなと思いました。
3.堤内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
第12回の経済財政諮問会議について概要を報告いたします。
今回の議題は2つです。1つは「経済対策」で、城内大臣から資料1の報告がありました。続いて、「マクロ経済運営」について、植田総裁から資料3の説明があり、2つまとめて意見交換を行いました。
主な意見をご紹介いたします。
1人目の民間議員です。
経済対策について、これは高市内閣の掲げる「強い経済」に向けた第一歩であるという認識。足元、食品中心の物価上昇、米国関税交渉の影響を含め、先行き不透明感もあり、景気の下押しリスクが懸念される。この観点から、まずは物価高対策を最優先に経済対策を講じる必要がある。同時に、「強い経済」の実現、そして好循環を確固たるものにするため、官民連携による戦略分野への積極的な投資に着手する。これを通じて高付加価値を生み出す経済産業構造への転換に取り組むことも重要。
次に、来年度の予算編成に向けて2点お話がありました。
1点目、官民連携によるダイナミックな経済財政運営の観点。政府は予算の単年度主義の弊害を是正して、本予算で重点分野での中長期の計画に基づいた戦略的かつ効果的な投資を実行すべき。これが民間企業の予見可能性を高め、官民連携による国内での成長投資の拡大の呼び水になる。例えば、科研費倍増などによる科学技術イノベーション力の抜本強化、経済成長と脱炭素を両立するグリーントランスフォーメーションの推進等が重要。これに連携して民間企業は経営者自らのマインドを変える。そして、設備投資、研究開発投資、人的投資を拡充する必要がある。賃金引上げの更なる定着に向けて議論を深めるとともに、各種投資の拡大を一層強く呼びかける先導役を果たしたい。
2点目、社会保障制度改革の着実な実行が必要。人口減少、少子高齢化が進む中でも、国民の安心を確保すべく、公正・公平で持続可能な全世代型社会保障制度の構築が不可欠。現役世代の保険料負担増の抑制を図りながら、応能負担の徹底、効率的で質の高い医療・介護提供体制の実現が求められる。具体的には、医療・介護保険制度改革、医療・介護分野でのDX推進、次期診療報酬改定でのメリハリづけが課題。
最後に、「責任ある積極財政」に向けて、成長投資を行う中で財政の持続可能性を確保し、市場の信認を維持し続けることが重要。債務残高対GDP比の安定的な引下げ、成長投資の実行に即した複数年度でのバランスの確保を主としつつ、複眼的な視点を持って中長期的な財政健全化を目指すべき。PDCAに基づくワイズスペンディングの徹底も不可欠。総理には格段のリーダーシップを発揮いただくようお願いしたい。
2人目の民間議員です。
マクロ経済政策の運営について、「責任ある積極財政」の象徴的ポイントである財政健全化目標の再検討を行うべき。PB目標はデフレ局面でも債務残高対GDP比を引き下げることを目標とするもの。足元のインフレ下ではPB黒字でなくても、債務残高対GDP比が低下する。こういった局面でPBの黒字化を固持すると必要なところに財政支出ができないという弊害が発生するおそれがある。
インフレ局面に応じた国際基準の視点を重視すべき。他国では財政を見る指標としてPBを直接見ているところはなく、ストックの指標である債務残高対GDP比、純債務残高対GDP比を重視している例が多い。仮に純債務残高対GDP比を目標とする場合、現状の中長期試算では政府試算の見通しがなく、こうした試算を新たに作成する必要がある。また、アメリカでは利払い費対GDP比も注目されている。アメリカやドイツをはじめ財政規律の柔軟化が世界的に進んでいる。日本でもこのタイミングで見直しが必要。可能であれば、海外の主流派の経済学者や日本国債の格付け担当者の意見を聴くなど、我が国にとって望ましい指標を検討するべき。
2つ目です。経済対策についての留意点として、GDPの押し上げ効果は一般国民に実感が湧かないので、実質賃金の押し上げを見るべき。それぞれの政策がどういうパスを通じて実質賃金を押し上げるかを示すべき。また、規模の正当化について10月の景気動向指数の基調判断が2020年以来悪化となる可能性があり、綱渡りの状況。こうした状況下では積極財政の期待が低下することを防ぐため、補正予算はそれなりの規模が必要。一方で、「責任ある積極財政」として財政規律の観点も担保が必要であり、国債発行額の政府債務残高対GDP比の低下が維持される範囲内で行うことが必要。
最後に、細かい点だが、8月の内閣府中長期試算における要因分解で示された「基調的な税収増の想定」、これも恒久財源として使えるのではないかを検討する必要がある。
3人目の民間議員です。
過去30年、日本経済が世界の中で競争力を失いつつあるのは、イノベーションが起きていないから。人口減少を避けられない日本が競争力を維持・強化するためには、イノベーションが持続的に起こり続ける土壌をつくることが必要。イノベーションが持続的に起こり続ける土壌にはダイナミズムが重要。ヒト・カネ・事業の激しい流動が前提。すなわち、企業の参入と体質、雇用の創出と破壊によるダイナミズムが不可欠。絶え間なく動くエネルギーが大切。個人に対するセーフティネットは提供しつつ、守り過ぎないという視点も必要。そういったダイナミズム形成について日本は得意ではなかったが、国内のスタートアップは、ヒト・カネ・事業の激しい流動を実現し、絶え間ない変化への挑戦が行われているが、経済全体に影響を及ぼすほどの規模にはなっていないため、強化していくことが重要。
日本政府も「スタートアップ育成5か年計画」で取り組んでいるところだが、2022年前後は勢いがあったものの、今は停滞しており、スタートアップに投下される資金も伸び悩んでいる。また、一社あたりの調達価格も小さい状況。日本に世界有数のスタートアップ・エコシステムを形成していくことが重要であり、そのためには5か年計画の進捗を総点検し、モメンタムを再度強化する必要がある。とりわけスタートアップ政策は単独の取組ではなく、全ての経済政策にスタートアップ・エコシステムの拡大という視点を取り込む必要がある。戦略的な17分野への資金がほぼ全て大企業に吸い込まれるということがないようにすべき。
スタートアップという観点からは人材流動も大切。人材を流動させることは賃上げにもつながる。最低賃金の引上げについては官製賃上げでは限界があるので、人材が移動しやすい環境整備、生産性の高い企業や産業に人材が流動することで賃金が上がっていくということが望ましい。また、人材に関して国境を越えて活躍できる人材の育成が急務。課題先進国である日本の国内の困難な問題を解決するためにも様々な文化的背景の人々を率いて事を成せる人材が必要だが、日本はこの層が薄い。急がば回れということであるが、長期留学者を桁違いに拡大することや世界の優秀層を日本に取り込み、日本のリーダー層と協働環境を構築するといった取組を早急に行う必要がある。
マクロ経済運営について、経済政策全般を貫く思想として張り切った人が報われる社会を目指してほしい。社会保障制度の見直しに当たっては、イノベーション視点を含め成長経済にふさわしい制度への再設計が必要であり、過去30年の延長ではなく、社会保障改革元年として取り組むべき。
4人目の民間議員です。
マクロ経済運営について、新しい時代にどのような経済財政戦略を構築すべきかという点で検討を深めていくことが重要。インフレが戻ってきたということではなく、供給力も強化しなくてはいけない。防衛力・外交力の強化が経済の強化にも結びつくというような新しい時代を踏まえた戦略が必要。基本的な方針は高圧経済。直近では、マイナス成長も懸念されており、アベノミクスの成果と反省を踏まえた上で、時代状況に合わせて進化させることが重要。
内外の経済理論、政策の動向に学ぶことも重要。マクロまたは財政・金融だけで考えるということではなく、マクロ政策、成長政策、貿易、再分配政策の統一的運用をすべき。そして、財政と金融政策については日銀法4条の精神に基づき緊密な連携を図るべき。
政策決定には様々なインフラが必要。予算や人員などを増強していただきたい。例えば経済統計について賃上げを目標にしている割には正確な統計がない。内閣府の中長期試算の再検討も必要。大事なのは政策を正しくコミュニケーションすること。市場の信認をつなぎとめるためにも正しいコミュニケーションが必要。
日本の財政状況はフローでもストックでも改善しているが、その点はあまり知られていない。財政政策について新しい時代状況に合わせた財政思想の転換が必要。物価が上がる世界を前提とした予算編成をしていく。ただ、インフレが起きたらそのまま自動的に増やすでは単純に歳出が増えてしまうので、使命を終えた補助金の見直しなど、政府効率化局のようなアイデアが必要。
PB黒字化目標については、デフレ時代の歴史的産物で、使命を終えたのではないか。投資としての政府支出や危機管理投資を考えると、財政を単年度で考えることから脱却すべき。その上でどういう指標がいいのかということについては、まずは債務残高対GDP比で見るのがよいとは考える。債務残高か純債務残高で見るのか、その点は今後議論すればよい。
予算については、戦略性、予見可能性、持続可能性の観点からも、補正よりも本予算を充実すべき。経済対策について留意ポイントとして現状で大幅なマイナス成長が予想されていること、コストプッシュ要因のインフレが剥落するということを考えると、それなりの規模を出すべき。内容については3つの柱立てでよいと思うが、3つが相互に関連し合い、なおかつシナジーがあることが重要。規模については昨年を上回るというのが適正と思うが、需給ギャップあるいはインフレへの影響をきちんと試算した上で策定すべき。
そして、政策コミュニケーションが非常に重要な課題。なぜ経済対策が必要なのか、それは財政状況にどのように配慮しているのか、そこがまさに「責任ある積極財政」の責任に当たる。
続いて、閣僚からの発言です。
赤澤経済産業大臣です。
「責任ある積極財政」の考え方の下では、中長期の計画に基づいた複数年度の財政支出を行うことで企業の予見可能性を高め、民間投資を促すことが必要。経済安全保障の確保に向けて、国が着実かつ計画的に取り組んでいくための予算フレームを考えていくべき。このような危機管理投資、成長投資の取組を通じて日本経済の供給構造を強化し、日本企業の稼ぐ力を高め、物価上昇を上回る賃上げ実現につなげ、「強い経済」を実現する。
経済産業省としては、今般の経済対策において短期的な物価上昇への対応のみならず、AI・半導体、バイオ、GX、マテリアルなど戦略分野における官民投資を促進することを通じ、日本経済の供給構造を強化していく。
加えて、労働供給制約が深刻化する社会では、人も中小企業も数より質が重視される。現状維持ではなく、稼ぐ力の強化と賃上げの好循環の実現に向けて、事業再構築、生産性向上、事業再編等に取り組む中堅・中小企業を徹底的に支援し、必要な連携と再編を含め、強い中堅・中小企業への行動変容を促していく。
張り切った人が報われる社会、現状維持ではなく、変化に挑む企業や人が報われる形を実現しようという点に賛成。現状維持ではなく、強い中小企業への行動変容を促していくという点で考えは同じ。今般の経済対策でもそうした考えで筋肉質の内容としていく。
また、人材を流動化させることが賃上げにつながるという民間議員のご意見にも同意。最低賃金引上げだけでは限界があるのもそのとおりだが、政府が最低賃金を含む賃上げについてフォワードガイダンスすることは重要であり、最低賃金引上げ目標や実質賃金年1%上昇、それによる人材の流動化を念頭に置いて、強い中小企業づくりに取り組む。
片山財務大臣です。
本日は議員の皆様から貴重なご意見をいただいた。私としては、「責任ある積極財政」という考え方を基本に、官民が連携した危機管理投資、成長投資により、成長型経済への移行を実現していくことが極めて重要であると考えており、財務省はその方向で日々変わってきていると実感している。
その上で、来年の骨太に向けて重たい宿題をいただいたと考えており、経済・物価・市場の動向を多角的に分析しながら最新の理論や有識者の意見交換も活用しつつ、物価と金利が上昇する新たな局面における財政運営の在り方をしっかり多角的に検討していく。
今般の経済対策に関しては、足元の物価高への対応や強い経済の構築に向けて予算、税制、財政投融資や規制制度改革といった手法を総動員して必要な施策を積み上げていく。
続いて、民間議員お二方から追加発言がありました。
1人目の民間議員です。
日銀の今の論理について伺いたい。日本の物価は、2%目標の持続的・安定的な達成に至っていないため金融緩和を続けているという認識だと理解した上で伺いたいのは、金利を上げるということは基本的に経済を冷え込ませ、GDP需給ギャップを大きく、広げるということ、あるいは金利を上げるというメッセージを通じインフレ予想を冷え込ませるということなので、そのことと基調的な物価2%を目指すということはどういう整合的な関係になるのか。
植田日本銀行総裁からのご発言です。
私どもとしては、基調的なインフレ率が少し2%を下回っている状況なので、基調的な物価がもう少し上がっていることが望ましいと考えている。
したがって、緩和的な金融政策基調を維持していく。緩和的という意味では、全てがうまくいったときに成立するような金利の水準、中立金利は、今はそれより下の段階になっている状況。
一方で、物価2%については持続的に達成される必要があり、あまり上がり過ぎても困るため、持続的・安定的に物価2%を達成するという観点からは、緩和的な状況をあまり長くしてもリスクがあるので、ちょうどうまく着地するところを目指して状況を見極めながら政策を行っている。
次に、2人目の民間議員です。
労働市場の流動性を高めることは、賃上げの持続性を高めるのに重要。労働市場の流動性を妨げるような雇用調整助成金は縮小し、労働市場の流動性にインセンティブを与えるような政策に重点的に予算を配分すべきと考える。いまだに最低賃金近辺で働いている方も多く、最低賃金の引上げが重要。年収の壁の引上げとセットで行うべき。
日銀のインフレ率予想は2%を下回るが、足元のボーナスを除く実質賃金は2%程度の上昇となっており、来年の春闘や今般の経済対策もうまくいけば、来年度には実質賃金が安定的にプラスになる期待を持てると考えている。
最後に、総理から締めくくりのご発言がありましたが、皆様にお聞きいただいたとおりですので、割愛いたします。