第15回記者会見要旨:令和6年 会議結果

赤澤内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和6年12月3日(火)19:35~19:58
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室

1.発言要旨

 私から、経済財政諮問会議の概要についてご報告いたします。
 本日の議題は三つであります。「令和7年度予算編成の基本方針」、それから「持続的な地方行財政に向けて」、そして「持続的な社会保障に向けて」という三つについて議論を行ったところであります。
 一つ目の議題、「令和7年度予算編成の基本方針」については、石破総理から諮問があり、経済財政諮問会議として答申案を決定いただいたということでございます。近日中に閣議決定をする予定です。
 二つ目の議題、「持続的な地方行財政に向けて」では、「地方創生2.0を進めるに当たっては、これまでの効果検証を行い、政策目標を明確にして、交付金や規制改革、税制等のトータルパッケージで取組を進めるべき」、「人口動態が自治体や地域ごとに異なるため、長期的な地方経済・財政の推計を示しながら、きめ細かい対応を図るべき」、「ハザードマップの周知等を含む平時における事前防災の取組や、緊急時における防災体制や避難所の整備など、ソフト・ハード両面を適切に組み合わせた取組が必要」といった提案がございました。
 三つ目の議題は「持続的な社会保障に向けて」であります。これも三つ提案をご紹介します。1点目、「社会保障給付費の対GDP比を抑制し、制度の持続可能性を確保するため、給付と負担の改革の継続が必要」。2点目は「来年度予算では歳出改革努力を継続するとともに、賃金・物価上昇への対応が必要」。3点目が「全世代型社会保障の改革工程は子育て世代への支援強化の財源捻出につながるものであり、着実に実行すべきである」といった提案がありました。その上で各案の具体策が提示されました。
 石破総理からは、「令和7年度予算について、本日、答申をいただいた『予算編成の基本方針』に基づき、令和6年度補正予算と一体として編成をしていく」、「地方創生について、今後、『地方創生の基本構想』や骨太方針に向けて、引き続き議論を深めていく」、「防災・減災について全ての避難所でスフィア基準を発災後早急に満たすことや、ハザードマップの一層の活用など、ソフト・ハード両面で取組を進めていくこと」といった3点に加えて、「社会保障について、来年度予算においても骨太方針2024に沿って、賃金や調達価格の上昇に対応するとともに、DX、予防・健康づくり、制度改革等を進め、給付費全体の伸びを抑制することが必要であること」、福岡資麿厚生労働大臣に対し、「本日の議論を踏まえ、特に年収の壁への対応を含め、働き方に中立な制度の構築に向けた年金制度改革や、新たな地域医療構想をはじめ、医療・介護提供体制の課題について、来年の通常国会への法案提出に向け、結論を得るべく検討を進めるよう」ご指示があったところでございます。
 経済財政諮問会議の詳細については、後ほど事務方から説明させていただきます。






2.質疑応答

(問)社会保障改革について大臣にお尋ねしたく思います。今日の諮問会議では民間議員から年金制度の改革の一環で、被用者保険の適用拡大について提言があったと思います。加入要件を見直すことで加入対象者が増えて、老後の保障を手厚くすることができるということがある半面、例えばパートの方など、社会保険料の支払いで当座の手取りがかえって減ってしまうというケースも考え得ると思われます。年金の拡充と手取りの増加という2点について、どのように両立を図っていくべきか、どのような支援策を政府として考えているか、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。


(答)現在、厚生労働省において、本日の提言にあったような被用者保険の適用拡大等を含む次期年金制度改革に向けた議論が行われているものと承知をしております。その中で、就業調整に対応した保険料負担割合を変更できる特例についても議論が行われ、様々なご意見があったことを承知しております。
 厚生労働省における議論の内容について個別にコメントをすることは差し控えたいと思いますが、全世代型社会保障の構築を進める上で、働き方に中立的な社会保障としていくことが重要であると、これはキーポイントでありますので、こうした観点から、厚生労働省において次期年金制度改革に向けた議論が引き続き丁寧に行われることを期待しております。
 また、中小企業をはじめとした事業者の皆様の稼ぐ力を高めて、物価上昇に負けない賃上げをしていただけるように、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めるとともに、省力化・デジタル化投資の促進や経営基盤の強化・成長のための支援も充実してまいりたいと考えてございます。



(問)地方創生の効果検証についてお伺いしたいと思います。今日、総理発言でもあったかと思うのですけれども、「これについて議論を深めてほしい」ということだったのですが、大臣として現状の効果検証の課題と改善点はどのようなところにあるとお考えでしょうか。また、新しい地方経済・生活環境創生本部のほうでは、年末までに基本的な考え方をまとめるとしておりますけれども、そこでの議論に期待することがあれば、効果検証等の部分も含めてお伺いしたいと思います。


(答)まず、地方創生1.0は当初ものすごく熱気に包まれ、皆で地方を盛り上げるぞという感じで、担当の大臣、副大臣、政務官、石破、平将明、小泉進次郎という豪華メンバーですけれども、すごい盛り上がって、地方もそれに呼応してやる気になっていました。実際にかなりいい取組が数多く見られることは見られるのだけれども、GDPが劇的に増えるところにまだつながってはいないことがあるので、点と点でばっといい取組が出てきているけれども、それについて何か、最大効率と言うのがいいのか分からない、地域によって違いがありますけれども、それをつないで面にしていくような努力等が十分だったかといえば、反省点があります。
 また、中央省庁の地方移転といった意味ではご案内のとおり、文化庁と消費者庁という大きな成果が挙がっています。文化庁の京都移転などいかにもいいですよね。京都は日本文化のメッカの一つのところもあります。ただ、まだまだできることはあると。  一つ私が強調しておきたいのは、私の言葉で言うと、石破総理のおっしゃるのと少し違っているかもしれませんし、私は地方創生担当ではありませんけれども、まず申し上げているのは、当初予算の倍増を目指しているということが一つの地方創生1.0との違いです。2番目が大きくて、地方創生1.0の時にはなかった技術が劇的に登場し、二つ申し上げたいのは、一つはZoom等のリモートです。今日の経済財政諮問会議で十倉雅和議員もリモート参加です。それがごく普通になっています。大概、会議の議員をお願いしても、昔は「あまり私は出席できそうもないから」等と言っていた人が、「リモートでいいなら」というので、お願いした人は大体受けてくださります。
 そのような意味からすると、まず中央省庁の地方移転の話からすると、クラウドに何でも上げることでデジタルガバメントをつくり上げておけば、仕事は、本当に絶対に対人でなければいけないもの以外は、かなりこなせるような技術状況になり、皆がコロナを経てZoomに慣れていると。恐らくこの中でもZoomで会議をしたことがない人はいないと思います。コロナ前はZoom会議をしたことがある人のほうが少なかったと思います。そのような環境があるので、今までは対人が大事だとか、関係省庁が多いからといろいろ言っていたものが、全てZoomでできるではないかということに対して、またちゃんとお答えがあって、うちはどうしても動けませんという話なのか、技術的なバックグラウンドが全然違っているなと思うのが一つあります。
 技術的なという意味では、リモートがコロナで普及したということに加えて、前にもお話ししたと思いますが、Web3.0の技術が出て、ブロックチェーン技術があって、NFTなどが出てきているわけです。NFTの特徴は、権利者がきちっとキャッシュ化できることです。転売された時には元の権利者に必ず何%落ちる等を仕込めば、それ以外のことはできません。ものすごくフェアに皆がハッピーになれるような仕組み、どんどん転売をやってといったような仕組みになっていたりするわけです。そのようなものになると、前にニセコの15分、リフトが動く前に滑れるチケットのお話をしたかもしれませんけれども、あのようなものは5,000円か何かのチケットに9万円の値がついていたり。とにかく地方のアナログ資源をデジタル化して最大化するようなことができるようになってきています。
 そのような意味で、新しい技術が、コロナでリモート、Web3.0が出てきて、ブロックチェーンだ、NFTだというようなものをフルに活用してやろうではないかと。ご案内のとおり先進例が出てきています。例えば山形県の西川町は「かせぐ課」をつくって、NFTで「町長と相談できる権利」等を売り出して、入札のようになっているわけです。
 あと文化とか、そのような本当に日本の香り、日本推しができるような、各地のお祭りとか、日本遺産とか、そのようなものを前面に出していくとか。そのようなものもデジタルを使って、何かNFTの形で世界中に売り出したりすれば、どんどん転売してもらえれば、転売をするたびに価格の10%ずつが入ってくるとか、そのような仕組みが作られるので、何か楽しみなことが数多くあるのではないかなと思っております。
 一応、それでお答えになってましたか。あとは何か聞かれていますか。


(問)現状の効果検証や課題はいかがですか。


(答)効果検証はいくらやっても、例えば能登半島地震の教訓は何だというと、何か気付いていないことがあるかもしれませんし、いつまでたっても終わりはないのです。ただ、石破総理が代表質問でもお答えになったと思いますが、KPIは設定したものについて何割できているとか、そのようなものは数字が出ていますので、意味のある効果検証は行われていると。ただ、それが百点満点なのかと、効果検証は全部十分やったという認識なのかと言われれば、いつまでたってもそのようなものではないような気がいたします。
 特に、今回、経済財政諮問会議で、「効果検証を行い、行政目標を明確にして、交付金や規制改革、税制等のトータルパッケージで取組を進めるべき」と言われているので、経済財政諮問会議のメンバーも効果検証が必ずしも我々がご説明しているもの、あるいは皆様に報道していただいて、議員の目に触れたりするものでは十分とはまだ思っていただいていない感じがあると思うので、しっかりやっていかないといけないと思います。



(問)関連で、今日の諮問会議で地方行財政がテーマになっているということは、今、いわゆる103万円の壁の引き上げで、地方財政への影響が一つ関心事にもなっているのですが、今日、配付資料を見る限りでは、そのことへの言及はなされていません。まだ党の議論で方向性みたいなものが固まってはいないと思うのですが、今日の諮問会議で関係閣僚から有識者の民間議員のメンバーに対してどのようなことが課題で焦点になりそうか等の意見を聞いたり、逆に民間のメンバーから「103万円の壁の引き上げで地方財政への影響についてこのようなことに留意すべきだ」みたいな意見があったのかなど、何か話題になったりしたのかどうかを教えてください。


(答)大変重要なポイントであり、ご関心があるのはよく分かるのですが、経済財政諮問会議のプレス対応として、自身の発言については触れていいけれども、他の人の発言を言うのはなしというルールになっていて、そのような意味では、議員のどの方が何を言ったかとか、あるいは名前を伏せても私は申し上げられないようになっていると思います。
 あくまでそれとは切り離した形で申し上げておくと、石破総理がかなりそこについてご懸念があることは承知をしていて、ちゃんとその点も含めて議論をしていきたいということを代表質問などで申し上げていたと思うので、そこについては、経済財政諮問会議でのやりとりに触れるわけにはいかないのですけれども、国としてちゃんと対応していくという意思を持っていることについてはご理解をいただけているのではないかと思います。
 103万円の壁については、国民民主党が引き上げに関する法律を国会に提出されたと承知していますし、これについては、ご案内のとおり令和7年度税制改正の中で議論するということで、自公国の税制調査会の会長の間で議論が続いていると承知しています。今後更に議論が行われるということで、私としては政党間の協議の状況を注視していきたいということが現在のポジションということになります。


(問)冒頭の質問に関連して社会保障制度改革について伺います。全世代型社会保障の関連では、年金制度改革であったり、医療・介護の一体化については、厚生労働省の審議会で議論が各論進んでいるかと思うのですけれども、全世代型社会保障構築本部の進め方も含めまして、この全世代型社会保障の実現に向けて今後どういった全体像をイメージして進めていかれたいか、大臣のお考えをお願いします。


(答)進め方という意味では、今おっしゃったように、私の所で具体的な議論をする立て付けにはなっておりませんので、厚生労働省で各分野ごとに検討する会議が立ち上がっていろいろとやっていただき、その結果を受けて、それがきちっと働き方に中立になっているかとか、今で言えば、現役世代の負担の軽減につながっているかとか、そのようなところを議論させていただくということになっております。それについては、それぞれの会議で出てきた結論を踏まえて、我々もきちっと結論を出していきたいということだと思います。



(問)103万円の壁絡みなのですけれども、昨日12月2日の夜ですか、前幹事長の茂木敏充先生が、YouTube番組で、個人的な意見として落としどころ120万円とおっしゃっていました。120万円という数字は、赤澤大臣の周り、石破総理の周り、あと役人の方で、そのような試算があるのか、ご感想を含めてお願いします。


(答)茂木前幹事長はご経歴からしてもそのようなことについて自分で計算して、これがいいと判断できるだけの知識も能力もお持ちなので、何か根拠があって言っておられると思いますが、私自身は番組で120万円と言ったのを承知していないのと、あと、繰り返しになりますが、税の議論は、皆様もご案内のことと思いますけれども、他の政策と比べてもすごくきちっとやります。国民の皆様に税の負担をお願いするということは、国会での非常にヘビーな議論に耐えないと駄目で、なおかつお願いするということは、まさに国民の負担なので、それはおかしいところがあれば徹底的に、場合によっては与党からも追及されて、立ち往生しかねないところがあります。もちろん野党の皆様もすごくきちっと議論、追及されるので。
 そのような非常に理論的に詰まっていなければいけないという辺りを精緻に、まさに自公国の税制調査会の皆様がやっておられるはずなので、そこで出てくる結果を待つというのが今のポジションであって、逆に言えば、茂木先生の知識や能力とか、そのようなものから見れば、120万円をもって、もし税制調査会の会長であれば参戦されるところでしょうけれども。今は税制調査会のレベルで議論をしているということで、その120万円については根拠もお聞きしていないし、茂木先生ならば間違いなくきちっと持っておられるので、聞いてみたいなと思いますけれども、そこについて今コメントできるものではないと思います。



(問)冒頭の質問に対する答えで大臣からありましたけれども、社会保障について、全世代型社会保障の構築を進める上で、働き方に中立的な社会保障にしていくことが重要である、キーポイントだというお話がありました。もちろん年金の関係は厚生労働省で議論が進んでいると思いますけれども、経済同友会のほうから第3号被保険者の制度について廃止を求める提言があるかと思います。全世代型社会保障を考える上で、この3号被保険者について、現状どのようにお考えなのか、大臣のお考えがあれば教えてください。


(答)これはなかなか難しい議論で、私は税制調査会の幹事も務めていたため、税制調査会でも過去にそれについてご意見が出ることもあったと思います。税制調査会の中ではかなり議論をしておりますけれども、それは本当に根拠として、今、専業主婦の方がどれぐらいおられてというのは、私が承知している限り、いまや専業主婦の3倍、共働きの奥さまがいるのだということを言っておられたと思います。
 3号被保険者を考えた時には、いろいろな意味で人口が増えている時代でもあり、国としては失業率が上がらないようにということをすごく考えながらいろいろな制度を作っていた時代でもあり、なおかつ、専業主婦がほとんどであった時代です。その方たちが、もしいろいろな意味で労働市場に全員出てこられたら社会的影響はどのようなものがあるか等、いろいろなことを考えて議論をしたのだと思います。そのような根拠になるデータを精緻に集めて議論しなければいけない問題なので、今ここで私から方向らしいものを申し上げることはできないですけれども、いろいろなデータをベースに、先ほどから申し上げているように税制調査会できちっと議論されるべきだし、過去にそれについては問題提起をする声はあったように私は承知しています。









3.田中内閣府参事官(総括担当)(政策統括官(経済財政運営担当)付)による追加説明

 令和6年第15回経済財政諮問会議です。
 議題は3つです。まず、「令和7年度予算編成の基本方針」について内閣府から資料2を説明しました。続いて「持続可能な地方行財政に向けて」、最後に「持続可能な社会保障に向けて」、それぞれ意見交換を行いました。
 1つ目の議題、「令和7年度予算編成の基本方針」について、ご意見は特段ありませんでした。
 2つ目の議題、「持続可能な地方行財政に向けて」に関するご意見です。
 1人目の民間議員です。
 我が国にとって克服すべき課題は、人口減少と少子高齢化である。その影響を真っ先に受けるのは規模の小さな自治体。ただ、現行の地方自治体ごとの取組だけでは限界がある。地域資源を共有することが肝要。これらを最大限に活用しながら、各地域が切磋琢磨することで、地域の立地・個性を生かし、産業立地や自然・食・文化といった地域の魅力を発信することなどを通じて、地域経済が持続的に発展していくことが可能になる。
 そのためには、例えば道州単位の圏域などにおいて「産官学金労言」をはじめとした人たちで、明確な地域ビジョンを共有することが重要。また、地方自治体の職員など、リソースが限られる中で、行政DXも不可欠。国・地方のデジタル行政基盤の整備、行政手続のデジタル化を一気呵成に進めるべき。
 2人目の民間議員です。
 お金が回るようなニュースにマーケットは敏感に動く。お金がうまく回ることが予見されるような政策が有効。
 「持続可能性の確保」ということであるが、現状維持を意味しているのではない。地方創生で最も重要なのは、地方に仕事を創出して、稼ぐ力を磨くこと。これまでは首都圏に住む人が考えた施策であったが、地方に長く住むことを踏まえた設計が大事。
 地方行財政改革については、首都圏と地方という捉え方ではなく、グランドデザインを描くことが重要。人口が減る一方の自治体もあれば、高齢者が増える自治体もある。グランドデザインの中できめ細やかな対応が必要。その際、地方でもいろいろ対応ができるように、データの標準化・互換性を高める必要がある。
 災害について、ハザードマップの周知は当然であるが、さらに、居住の規制も考慮するなど、ある程度強制力も用いてリスクを減らす対策が必要ではないか。コンパクトシティがなかなか実現されないのは問題である。首都直下地震や南海トラフ地震といった大きな災害がそう遠くない時期に起こるとすれば、災害時の対応を考えることも必要。その際、EBPMや財政力の向上が必要。
 3人目の民間議員です。
 全てのインフラを維持することは困難であり、インフラのトリアージが必要ではないか。自治体同士の連携が重要であり、各種補助金についても個別の自治体に配るのみならず、自治体同士の連携を前提とした交付があるべき。同時に、データを活用してデジタル化を進めたり、遠隔地連携を進めることが重要。
 自治体における成功事例を広く知らしめるべき。例えば、岡山県奈義町は出生率2.95を実現したと聞く。こうした自治体でどのようにしてそれが達成されたのかを公表して、他の自治体が追随できるようにすべき。
 4人目の民間議員です。
 地域と一口に言っても状況は千差万別であり、きめ細かい支援が必要。地方創生交付金をてことすることは重要だが、その上で3点申し上げる。
 1点目が効果の検証。これまでも地方創生交付金を相応に支出してきたが、効果と課題の検証が重要。2点目は政策目標の明確化。それぞれの政策目標に応じた目標設定が必要。
 3点目は、交付金のみならず、規制改革や税制など、政策のトータルパッケージで施策を打ち出すことが重要。
 次に、閣僚からの発言です。
 村上総務大臣です。
 おおむね配付資料に沿ったご発言がありました。
 その上で最後に、総務省としても、日本の未来を切り拓いていくための中長期的な経済・財政のグランドデザインの議論にしっかり貢献していきたい、というご発言がありました。
 続いて、坂井防災担当・国土強靱化担当大臣です。
 国土強靱化の「5か年加速化対策」に基づく取組を着実に推進しており、今般の補正予算においても必要な金額を計上している。ただ、大規模災害への備えは道半ばの状況。「5か年加速化対策」後もハード・ソフト一体となった取組を推進していくこととし、「実施中期計画」の策定に係る検討を最大限加速して、早急に策定することとしている。
 また、今般の経済対策において、新地方創生交付金において「地域防災緊急整備型」を設け、地方公共団体のキッチン資機材、パーティション等の資機材の備蓄を推進することをはじめとした対策を盛り込んでいる。
 さらに、令和8年度中を予定している防災庁の設置を見据え、内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面で抜本的に強化し、重要課題への対応を強化していく。
 次に、伊東新しい地方経済・生活環境創生担当大臣です。
 石破総理を本部長とする「新しい地方経済・生活環境創生本部」で今後10年間集中的に取り組む「基本構想」を策定していく。まずは、年末に向けて、「基本的な考え方」を取りまとめるべく、①安心して働き、暮らせる生活環境の創生、②東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散、③付加価値創出型の新しい地方経済の創生、④デジタル・新技術の徹底活用、⑤「産官学金労言」の連携など、国民的な機運の向上、という5本の柱について議論している。
 今回の民間議員からの提言の内容は、いずれも具体的で重要なものであると受け止めており、今後の議論にしっかり活かしていく。
 最後に、武藤経済産業大臣です。
 持続可能な地方の創生に向けて、地方に「しごと」を生み出さなければ始まらない。地域の中堅・中小企業の成長支援、地域資源を生かした産業振興、介護や物流といった地域社会に不可欠なサービスのデジタル化・共同化等による生産性向上が必要。同時に、半導体やAIをはじめとした成長分野で域外から投資を促進し、地域全体の成長につなげる実例を増やしていくことも必要。
 また、来年の大阪・関西万博においても、自治体との連携を通じて、「地方創生2.0」の実現につなげていく。
 一通りの発言の後、1人の民間議員から追加の発言がありました。
 地方に仕事があるということに関連して、地域ごとに特徴ある産業づくりをするのはどうか。金融特区について、北海道、東京、大阪、福岡だけでなく、ほかの地域も手を挙げるべき。
 温室効果ガス排出量について、例えばJ-クレジットの運用がまだまだ少ないのはなぜか。管理された森林が少ないというのもあるが、データが圧倒的に不足しているという問題もある。
 自然エネルギーを活用した産業振興を行うべき。地方では新時代の農業が行われているところもある。法人化・大規模化も重要だが、先進的な動きに注目する必要。
 地方に点在するものづくり技術をいかにまとめるか。事業継続を諦めることがないよう、ものづくりプラットフォームを国として構築することが必要。
 こうした方策により、若者や女性に選ばれる地域になっていくことが重要。
 次に、3つ目の議題、「持続可能な社会保障に向けて」に関するご意見です。
 武藤経済産業大臣の発言については、会議時間に制約があったため、書面での提出になりました。内容はお配りしているとおりです。
 1人目の民間議員です。
 我が国のマクロ経済においては、成長と分配の好循環の実現が重要。消費拡大には若年世代の将来不安の解消が必須。そのためには、公平・公正な全世代型社会保障改革を急がなければならない。そのために3点申し上げる。
 第1に、経済社会環境や将来人口推計も変化し、制度も逐次見直されている中、社会保障の将来見通しが滞っていると認識。給付と負担はもちろん、介護人材の就業者数の見通しを早期に提示するなど、社会保障分野だけでなく、経済・財政・労働市場もきちんと見据えた全体論から討議すべき。
 第2に、社会保障を支える財源問題について、社会保険料に多くを依存した現状は現役世代に大きな負担となっている。社会保険料の増加を抑え、応能負担を徹底する、税制も含めた税と社会保障の一体改革に速やかに取り組むべき。
 第3に、骨太な改革の実施について、個人消費の拡大に不可欠な社会保障改革は、分配政策であるとともに、少子化対策でもある。全世代型社会保障の「改革工程」に取り組むことはもちろん、その他の改革にも政府は真正面から取り組むべき。
 2人目の民間議員です。
 社会保障費については、その実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びに収めることが重要。その上で、各論として3つ申し上げる。
 1つ目は、年収の壁の対応について、必要なのは働き方に中立的な制度の構築を進めること。女性の社会進出が増え、共働き世帯が専業主婦世帯の2.5倍になっている。在職老齢年金については、高齢者の就労促進も目的とすれば、年齢が上がっても仕事がある環境づくりも重要。
 2つ目は、医療・介護の提供体制について。インセンティブ・ディスインセンティブも含め、医療の在り方を全体としてデザインする必要。そのためには、経営状況やサービスの質の見える化の徹底にも取り組むべき。
 3つ目は、創薬力の強化について。ドラッグラグなど、ネガティブなことも多いが、問題点は十分洗い出されているので、一つずつ解決して、創薬力を高めていく必要。
 3人目の民間議員です。
 少子高齢化が進み、社会構造が変革する中では、生涯所得を上げていくことが重要。そのためには、社会保障全体を「昭和モデル」から「令和モデル」に変えていく必要。2023年に「新経済・財政再生計画 改革工程表2023」を策定した。74の重要項目について細かく検証し、改革の工程をまとめたもの。これらをしっかりと実行していくべき。
 生涯年収を上げるには国民の健康がベースになるので、病気になる前に健診をするという意識づけが必要。特定健診の受診率はまだ全く100%に満たないので、受診率を上げる努力をすべき。
 社会保障制度により、高齢者や女性の就業選択にひずみが生じている。制約を受けずに、希望するだけ働くことができる環境をつくるべき。今後、エッセンシャルワーカーが足りなくなることは明らかであり、短期的には、年収の壁解消のためのパッケージを進めるとともに、中長期的には、第3号被保険者制度の廃止を検討し、多くの人が第2号被保険者となることで、将来の安心へとつなげるべき。
 4人目の民間議員です。
 かねてから社会保障改革は諮問会議による重点項目である。その上で、2点申し上げる。
 1つ目は、給付と負担のバランスについて。パイを広げる工夫が必要であり、働き方改革や賃上げ等と一緒にやらなければならない。診療報酬改定が実際に賃上げの上昇につながったのか、しっかりとレビューすることが必要。
 2つ目は、細かい改革も着実に実行していくことが必要。年金制度改革、医療・介護提供体制、高額療養費制度について、年内に確実に結論を得ることが重要。
 次に、閣僚からの発言です。
 加藤財務大臣です。
 社会保障分野においては、労働需給の見通しも踏まえつつ、現役世代の負担抑制や能力に応じた負担への見直しなどの観点から改革に取り組み、全世代型社会保障の構築を進めていくことが必要。このため、「改革工程」に記載の具体的な改革項目を着実に実現していき、「こども未来戦略」の加速化プランの財源確保につなげていくことが重要。
 こうした観点から、来年度予算の編成過程において、例えば、薬価改定や高額療養費制度の見直しなどについて、関係省庁と議論を深めていきたい。
 続いて、福岡厚生労働大臣です。
 少子高齢化が進んでいる中で、誰もが年齢にかかわらず能力や個性を最大限生かせる社会を目指していくことが必要。
 被用者保険の適用拡大や在職老齢年金の見直しの検討など、働き方に中立的な年金制度の構築、新たな地域医療構想、総合的な医師偏在対策、高額療養費の見直しの検討、質の高い医療やケアを効率的に提供するためのマイナ保険証の利用促進など、医療・介護DXの推進。また、創薬力の強化、後発医薬品の安定供給について、必要な制度改正も含め、早急に取組を進めていく。
 引き続き、能力に応じて皆が支え合う、全世代型社会保障の構築に向けた取組をしっかり進めていきたい。
 一通りの発言の後、2人の民間議員から追加の発言がありました。
 1人目の民間議員です。
 資料8の別紙に具体策が記載をされているが、いずれも重要な改革項目であり、これらをしっかり実現することが社会保障の持続可能性につながる。着実な実施をお願いしたい。
 2人目の民間議員です。
 健康について、予防の意識を醸成すると同時に、セルフメディケーションを推進すべき。自己負担率の上昇や、保険外診療と保険診療との併用についても検討すべき。公的保険でカバーする範囲を精査すべき。
 現役世代の過度な負担を是正するため、後期高齢者のうち、能力のあるような方については、保険料の自己負担分を応能負担とすることも検討すべき。後期高齢者支援金については、現役世代の負担とならないよう、相続税の活用も検討すべき。
 最後に、総理から締めくくりのご発言がありましたが、皆様にお聞きいただいたとおりですので、割愛いたします。
 






(以上)