第8回記者会見要旨:令和6年 会議結果
新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和6年6月11日(火)18:40~19:07
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室
1.発言要旨
本日、経済財政諮問会議を行いましたので、その概要をご説明いたします。骨太方針2024の原案について議論を行いました。
日本経済はデフレから完全脱却し、従来の延長線上にない新たなステージに向けて歩みを進める時です。今年の骨太方針では、そのためのビジョンと戦略を示し、経済を新生させるための指針を打ち出していきたいと考えています。
新しいステージへの移行に向けて、まず実現すべきは、物価上昇を上回る賃上げの定着。このために、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁を定着させる「構造的価格転嫁」、価格転嫁・賃上げを持続的・構造的なものとするための三位一体の労働市場改革、また、雇用の7割を占める中小企業の稼ぐ力の強化に向けた取組を盛り込んでいます。
また、社会課題への対応を通じた持続的な経済成長を実現するためには、戦略的な投資拡大と革新技術の徹底した社会実装が鍵と考えています。このため、DX、GX、フロンティアの開拓、科学技術などの分野での官民連携の投資を拡大させていきたいと思います。スタートアップの支援、ネットワークの形成、更に、年齢・性別に関わらず、誰もが活躍できる社会の実現に向けた全世代型リスキリング、そして社会保障、健康診断、いずれも全世代型で展開していこうということが取組として掲げられています。
また、持続可能な経済社会の実現を軌道に乗せるべく、「新たなステージ」への移行を支える「経済・財政新生計画」をお示ししました。2025年度のPB黒字化を目指すとともに、計画期間を通じて、その取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、債務残高対GDP比の安定的引き下げを目指し、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを更に前進させることとしています。こうした経済・財政一体改革を推進する上で、EBPMによりワイズ・スペンディングを進めていくことにいたします。
総理からは、私を中心に骨太方針の最終取りまとめに向けた作業を進めるようご指示がありました。総理の指示も踏まえ、本日の原案をもとに与党とも更に調整を進め、今月中に骨太方針を決定することを目指していきたいと考えています。人口減少の中でも、豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会の実現につなげる強い覚悟を示す骨太方針としていきたいと考えています。
諮問会議の詳細については、後ほど事務方から説明をします。
2.質疑応答
(問)原案にはラピダスを念頭に置いた半導体の量産支援が盛り込まれました。経済産業省は政府保証も視野に検討する方針ですが、個別企業に付けるのは異例で、事業がうまくいかなかった場合に国民負担が生じる可能性もあります。大臣はこうした支援の妥当性と、仮に事業が失敗した際の政府の責任をどのようにお考えでしょうか。
(答)まず、ご質問の特定企業への支援の枠組みについて、その内容は現在検討中でありまして、具体的な内容を決定した事実はないと承知しています。そして、一般論ですが、政府の支援については、その妥当性、また、経済効果の十分な検討が行われることが大事だと思います。それが前提だと思っています。
今般の次世代半導体の大規模投資への支援の在り方についても、戦略的観点から十分な検討が必要であると思っています。そして、こうした新たな制度的枠組みによる対応を含めて、どのような支援が適切なのか、有識者の意見も踏まえながら引き続き検討してまいりたいと思いますし、ここはしっかり取り組んでいきたいと考えています。
(問)今回、骨太方針案で2030年度以降も実質1%超の経済成長を目指すと明記されました。これまで政府は名目3%、実質2%の目標を掲げてきましたが、今回打ち出した1%超成長との違いを教えてください。
(答)それはとても重要なご指摘だと思っています。まず、これを国民の皆様にきちんとお届けするためにも、丁寧な説明が必要だと思っているのですけれども、まず、政府がこれまで掲げてまいりました実質2%、名目3%の成長目標は、向こう10年間、2024年から2033年頃を試算期間とする、内閣府の中長期試算において、成長実現ケースとして、こうした指標をお示ししてきたところです。
この試算期間の先にある2030年代以降について、今般我々は推計をお示ししたわけですけれども、これは人口、特に生産年齢人口の減少が極めて厳しい状況になっていく、本格化していく人口減少の中で、2030年度までの当面とは違う日本の姿があるわけで、その中でも実現させていくにはどうしたらいいかと。こういうことを2034年から2060年度頃を試算期間とする長期推計で出させていただいています。
少子高齢化・人口減少の中でも、中長期的に持続可能な経済・財政・社会保障を構築するには、2030年代以降も実質1%を上回る成長を確保する重要性が示されたわけであります。こうしたものを踏まえて、今回の原案では、「2030年代以降も実質1%を安定的に上回る成長」ということを明示して、更にそれよりも高い成長を目指すと。もちろん私たちは野心的な挑戦を続けていきたいと思っていますが、やはり2030年代以降というのは、今とは違う日本の社会の中で、それでも成長していくためにはどのような政策が必要かというのを検討した結果としてですので、あらゆる政策を総動員して、実質1%を安定的に上回る水準よりも高い成長の実現に取り組むことを考えているわけであります。
(問)今の質問と関連するのですけれども、原案の中で2%の物価安定目標を実現した場合、2040年頃に名目1,000兆円程度の経済が視野に入ると書かれています。大臣自身としては、この1,000兆円は実現可能と考えるか。また、その場合、どういった道筋を考えておられるか教えてください。
(答)まず、骨太方針2021で600兆円経済の早期実現を目指すことを掲げてきました。そして、それ以前も、コロナ前は2020年頃の実現を目指したということだったのですが、コロナによって状況が変わって、そして今、2020年代前半を念頭に置いた目標として600兆円が掲げられたわけであります。
この名目1,000兆円の経済というのは、安定的な物価上昇の下で、人口減少が本格化する、今申し上げた2030年代以降も、実質1%を安定的に上回る水準よりも高い成長が確保できた場合に、2040年頃に期待される将来の姿、これが1,000兆円に届くということが長期推計の中で、試算上、出されているわけであります。これを目指していこうということでありまして、今の延長線上の先に順調に、しかも、成長実現ケースを追求していくことによって、これは達成が可能だということを国民の皆さんと共有ができればと考えています。
(問)財政健全化目標について伺います。今回の原案では2025年度にPBの黒字化を目指すことが示されましたが、2026年度以降、PBに関してはどのような目標を設定するのか教えてください。
(答)今回の骨太方針の原案においては、財政健全化の目標について、「2025年度の国・地方のPB黒字化を目指すとともに、計画期間を通じ、その取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、債務残高対GDP比の安定的引下げを目指し、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを更に前進させる」と位置付けています。
2026年度以降の目標設定については、まさにこの計画期間を通じ、経済成長の実現や歳出改革等の努力によるPB黒字化に向けた取組の進捗・成果を後戻りさせることなく取り組んでいくということです。
また、原案の中では、「経済あっての財政であり、現行の目標年度を含むこれらの目標により、状況に応じてマクロ経済政策の選択肢が歪められてはならない」ということも記述させていただいています。必要があれば、機動的なマクロ経済運営を行うことも想定しているわけであります。
いずれにしましても、2025年度のPB黒字化も含めて、財政や経済の状況について、半年ごとの中長期試算などで、必要な検証を行ってまいります。その中で、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを着実に前進させていきたいと考えています。
(問)今の質問に関連しまして、確か2026年度以降については民間議員の方からもフローの目標の設定も提言があったと思うのですけれども、今回、そういったところがフローの目標についてはないのかなと思っていまして、少し曖昧な目標になっていると思うのですけれども、そのあたりについては新たなものを設定するとか、どのように進めていかれるか、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)今、説明をさせていただいた中で考えていきたいと考えているわけであります。様々なご意見が出ています。我々とすれば、経済再生と財政健全化を両立させる歩み、そして、2025年度の国・地方あわせたPB黒字を目指しながら、その取組の進捗や成果を後戻りさせることなく、安定的な債務残高対GDP比の引き下げを目指していく、この中で考えていきたい。そして、マクロ経済政策の選択肢は歪められてはならない。まさに機動的な運営をしていこうという枠の中で、安定的にPB黒字化の基調を実現させていきたいと考えているわけです。
(問)私も今の関連で伺いたいのですけれども、2026年度以降のフロー目標の設定が曖昧になっている一因として、他にもいろいろな課題があって議論の時間が足りなかったのではないかという印象も受けたのですが、改めて今回の骨太ではこういう計画にしたのだけれども、近いうちにまた更に詳しいはっきりとした目標をつくるという考えはないのかというのが一点。
あとはもう一点、今回の骨太の原案全体で、骨子の時にも伺ったのですが、「新しい資本主義」という言葉が骨子から消えていたのですが、今回、最初のほうで少し出てはくるのですが、他に岸田政権を特徴づける言葉として、「分厚い中間層」というのもあったと思うんです。今回、それはだいぶ原案から消えているのですが、これも「新しい資本主義」と同様に、全編に取り入れられているからあえて入れなかったということなのか。それとも、「分厚い中間層」という目標自体がだいぶクリアできてきたので、あえて消しているのか。用語の使い方の二点について伺えればと思います。
(答)PB黒字化を2025年度に目指し、その後も安定的な引き下げを目指しながら進めていく。この方針は、議論はしっかりとやったと思っています。今、私たちは「経済・財政新生計画」という中で、何よりも構造的賃上げや労働市場改革、リスキリング、そして、フロンティアやイノベーション、スタートアップ、そうしたものを通じて成長経済をつくっていく。そうした中で、歳出改革努力とあわせながら、いかに財政健全化を進めていくかと、この枠組みを組んでいるわけであります。
なので、今それを着実に、何よりもまずは経済をつくった上で財政を維持していく、このことにしっかりと取り組みたい、全力を挙げていきたいと思っています。ですから、これは今、私たちが様々な議論の結果として打ち出したものであるということで理解してもらいたいと思います。
「新しい資本主義」や「分厚い中間層」というのは、全編にわたっての哲学になっています。例えば、それの下でということになると、全てに言葉を入れていかなければならないわけです。前回もご質問いただいて説明したと思うのですが、基礎というか、基本的な哲学として組み込んだ中で、様々な政策が打ち立てられている。それは人口減少・少子高齢化にあっても成長していく。また、経済成長とともに社会的課題を経済政策の中にも取り込んでいく。その中で私たちは、一人一人が豊かさを実感できる暮らし、社会の実現が見えてくるのではないか。これはまさに新しい資本主義の原点であります。
なので、これが総括的に大元のところで各政策に反映しているのだと。その中に「分厚い中間層」というのもいかに豊かさを実感しながら満足できる暮らしをつくっていくかという意味において、そうした部分を重視していくという発想において、様々な政策が組まれていると思っています。今までの思想をもとに、更に発展的に進めていくと考えています。
(問)医薬品の薬価改定でお伺いしたいのですが、大臣の冒頭発言にもありましたとおり、物価上昇を上回る賃上げを目指す中で、政府として価格転嫁の対策が強く打ち出されている内容になっているかと思います。一方で医薬品業界からは、賃上げなり価格転嫁を実施する上で薬価改定が何度も続いているとますますこれらの実現は困難になると訴えが出ています。今回の骨太の原案の中で次の2025年度の薬価改定に関しては、業界が要望する廃止とも見直しとも書かれておらず、「具体的な在り方について検討する」との記載にとどまっているのですが、この賃上げ・価格転嫁と薬価改定の関係性について大臣としてどのように捉えていらっしゃるか、お考えをお聞かせください。
(答)大きな話として、日本の薬に対して、どのように世界的な競争力を持つかということ。それから、ドラッグラグやドラッグロスといった問題が出ています。こうした問題の改善は我々も幾度となく議論をしているわけです。特に薬価制度については、それぞれの機関でもって議論をしているところですから、それらを踏まえた上で我々とすれば、今後の持続可能な社会保障制度、医療制度、こういったものを維持するためには、そこの議論がとても重要だと考えています。
なので、それぞれ厚生労働省のほうでご議論いただいたものを含めた上で、経済の成長の流れとすれば、今の状態をより改善しなければならないだろうと思っていますし、何よりもスタートアップも含めてこういった薬価、また薬の開発については非常に大きな成長分野になっていくと思っており、引き続き、そこは注視していきたいと考えているわけです。
(問)また新型インフルエンザ等対策政府行動計画改定案についてお尋ねします。先ほど大臣も、「コロナの影響で経済目標が大きく変わった」とおっしゃいました。これは非常に重要なものだと思っていますのでお尋ねします。
前回会見で、コロナ禍において学校・教育現場で実施した対策の妥当性についてお尋ねしました。その際、大臣は「文部科学省に尋ねてください」とのお答えでした。ただ、内閣感染症危機管理統括庁、これはいわゆる司令塔機能を持って、内閣法15条の2などで行政各部の施策に関する総合調整機能が与えられていると思います。統括庁は政府行動計画の策定や実施に当たって、厚生労働省をはじめ、各省庁の施策をチェックして、問題があれば是正するように求め、統一性を保つ役割があるはずですが、この点、違いますでしょうか。
(答)御指摘のとおり、内閣官房は内閣法に基づいて、内閣の重要政策に関する基本的方針、また、行政各部の施策の統一を図るために必要な企画・立案、総合調整を行うと。まさにその調整機能を求められているわけであります。その前段として、個別の行政事務、権限行使については、任務と所掌事務に基づいて各省庁が自律的に執行することになっているわけであります。ですから、前回お尋ねいただいたコロナ禍における学校・教育現場における感染症対策の内容については、それは文部科学省が自律的に行った内容であって、内容の詳細については文部科学省にお尋ねいただきたいと思ったわけであります。
私どもの行動計画の中に定めるのは、学校教育現場においてこれをやりなさい、これを対応しましょうということではなくて、感染症が平時において、また感染症がまん延した時に、どうした項目、どうした要素を検討すべきかということを行動計画の中で定めているわけですから、その中身については、まず一義的に文部科学省が検討したもの、これを我々も最終的には総合的なチェックをいたします。
これも加えてですけれども、それらの中身を検証したのかというのは、常に政府というのはいろいろな情報を取りながら分析をして、その時に医学的・科学的に最も適切な内容を判断して、方針として打ち出します。それは柔軟に、しかも迅速に検討結果を踏まえ、それらが反映されていると思います。そういう中で行われたもの、今後どうあるべきかは、これはこれまでの経験も踏まえてノウハウも積み上がっていると思いますし、今後、またそういったことが起きれば文部科学省のほうがそういったことをやるだろうと思います。
私どもは、そうした作業をきちんと遅滞なくやってくださいということが行動計画の中に定めているのであって、最終的にはその調整の余地は残りますけれども、現状においてはまず文部科学省が一義的におやりになっていると。こういうことをお話ししたわけであります。
(問)今の大臣のお答えでは、結局、政府、役所がやっていることは、その時点ではベストを尽くした、その時点では最善の情報に基づいて適切な対応をしたということでおしまいなのです。それが後から振り返って、もっとこうすべきであった、もっと違う対応ができたはずであるということが検証だと思うのです。それをしないと、全て今までこの3年間やってきたことは、それは全部仕方がなかったのですねで次に進めますか。そうすると、同じことが多分繰り返されると思います。過ちがあったとしても、また同じ過ちが今後も新しい感染症の危機において発生しかねないので私はお尋ねしているわけです。
大臣に、これは政治家として。役所は間違いがあったなんて、そういうことは口が裂けても言わないと思います。検証するのは、国民の代表である大臣の責任においてしなければならないことではないでしょうか。本当にこの3年間、こどもたちがずっとマスクを付けさせられ、黙食をさせられ、そして、パーティションに囲まれて、あらゆる行事が自粛させられていた。3年間もですよ。これは本当にその時点において適切であったというふうに大臣はお考えでしょうか。
(答)あの時の状況を思い起こすと、本当にみんなで大変だったと思います。学校現場もそうですし、事業所においても、私たちの国民生活全体が本当に大変な中で、それぞれの苦労があったということ。これは自分も含めて体験してまいりましたから、承知をしております。そして今、政府が過ちを認めないというようなことをおっしゃいましたけれども、私はそうは思っておりません。過ちであるかどうかではなくて、どうしてこういう方針にしたのか、そして、それをどのように対応を変えていったのか。また、その必然性は何だったのか。これは常に自分たちで分析をしながら、常に最も良いものを目指してやっているし、それは特に感染症の有事の際には、とにかく必死で皆さん、医療関係者も含めて様々な方々がそういった御苦労をしてきたと思います。
ですから、それらをあの時のことがどうだったのかというのは次に活かしていただいていると思いますし、私どもも政治の立場で、私も当時はコロナ感染症の党の対策本部にいましたから、常にそういった議論はお互いに厳しくやってまいりましたけれども、そういったことは常に議論とともに分析されていると、このことは思っています。
ただ、それを今、私の感染症管理の行動計画の中でそれをやらないのかというお話でございましたから、それは私たちの行動計画はその中身の個別のものを定めるのではなくて、そういう内容についてきちんと万事遺漏のなきようにやってくださいと。そして、それに基づいて各省が作業をすることを我々は期待をしているし、そういう調整をしているということを説明しているわけです。
3.菱山内閣府参事官(総括担当)(政策統括官(経済財政運営担当)付)による追加説明
令和6年第8回経済財政諮問会議です。
先ほど新藤大臣からご紹介がありましたように、議題は1つであり、「骨太方針の原案」について意見交換を行いました。
主なご意見をご紹介します。
まず、1人目の民間議員です。
今回の骨太方針の案文には、岸田政権の掲げるデフレ完全脱却、「成長と分配の好循環」に向けた取組がしっかり盛り込まれており、高く評価しているとした上で、3点お話がありました。
1点目は、社会保障の給付と負担に関する将来像の整理についてです。成長と分配の好循環の実現には、賃金の引上げが重要。また、若年世代の将来不安の解消が必要。そのためには、公平・公正の観点、持続可能性の観点から、全世代型社会保障の構築に向けた骨太な議論が必要。2024年の財政検証を反映した具体的な将来見通しを、関係各省が連携して示していただくことをお願いしたい。
2点目は、社会保障財源についてです。政府は社会保障給付の適正化を通じて保険料の伸びを抑制するという方針で取り組んでいるものと承知している。しかしながら、稼働所得をベースとする保険料負担は現役世代に偏り、保険料の見直しだけでは、公平・公正の観点から、全世代型社会保障制度改革に取り組むことは難しい。保有する金融資産なども考慮して、負担能力に応じた応能負担を実現する必要。社会保障の財源として、保険料だけでなく、税も含めた財源の組み合わせを早急に検討すべき。
3点目は、財政健全化目標についてです。2025年のPB黒字化後も財政健全化努力を継続する必要。今回の案文には、PB目標は単年度ではなく、複数年度で黒字となるような水準を目指すべきという考え方が盛り込まれているものと理解している。
続いて、2人目の民間議員です。
7点お話がありました。
1点目、骨太方針2024の注目点が誰でも分かるようなものにしていただきたい。
2点目、骨太方針2024の注目点は競争力強化であると考えている。金利ある世界において、実質1%の成長を目指していく中で、具体的な取組を進めていくことが必要。GX投資において、日本の強みを明らかにさせることや、GX経済移行債を魅力あるものにしていくことが必要。排出権取引市場の実現について、金融市場から疑義が出ないうちに対応していくことが重要。
3点目、データ整備を国がしっかり行う必要。森林や海洋分野等のデータ整備や、保険医療支出統計の政府統計化などを進めていくべき。
4点目、例えば「経済・財政新生計画」では、2030年度までの期間を設けているが、期間が到来したら、その政策を一旦終了させる必要がある。コロナやガソリン関係の補助金については出口が重要。
5点目、価格調整力をより発揮させる必要。多くの政策に通底しているものであり、例えば重労働、重い仕事をされている方などには給与を多く支払うなどメリハリを利かせていくことが重要。
6点目、EBPMを徹底し、トライアンドエラーで進めていくことが重要。骨太方針に盛り込まれたEBPMの取組を実行していくべき。
7点目、金利が上昇し、財政への負担がかかる世界において、財政健全化は重要。今こそ、PBを重視することが肝要で、ストック目標の達成のために、フローでいかに黒字を確保し、財政規律を示していくかが重要。
次に、3人目の民間議員です。
第1章のタイトル「成長型の新たな経済ステージへの移行」というのが今回の骨太方針の大きな特徴ではないか。金利がある世界になっていく中で、持続可能な成長率を確保していくことが大事。そのために、DX・GX、官民の投資をやっていくことが必要であるが、新たな経済ステージを目指す上では、政策が経済成長率につながっていく実行力の確保が大事。
成長を目指す側面において、政策が経済成長率に結びついているかをチェックしていく上でもEBPMが大事。
また、民の投資、官の投資だけでなく、人への投資が大事であり、生産性の向上のためにも、全世代型のリスキリングが大事。
国際的なマーケットへの信認をどう確保していくかも大事。内外の信認を得て、政策を実施していくことが重要であり、そのためにも財政健全化が大事。今回、2025年度の国・地方のPB黒字化を目指すことが書かれたことはよいこと。目標の設定においては、ある程度柔軟性を持ったフローの目標をきっちり設定すべき。
財政健全化に向けては、歳出改革と全世代型社会保障が大事。さらに、EBPMと医療・メディカル分野の産業化が大事。こうしたものを成長のエンジンにする必要。
今回、資産運用立国が出てきたのは骨太の特徴ではないか。資産運用を柱にして金融の世界が変わっていく。ただし、全部海外で運用されてしまうと日本経済にはよくないので、国内の投資に回っていくということがセットで大事。
地域の話について、テクノロジーを活用して地域の社会課題解決と海外需要を取り込んでいくことで、新たなチャンスが生まれるのではないか。
骨太方針の中ではぶれない政策目標の実行が大事。
続いて、閣僚からの発言です。
まず、鈴木財務大臣です。
社会課題の解決を通じた持続的な経済成長の実現によって、我が国を成長型の新たな経済ステージへ移行させていくため、本日示された原案にあるような、様々な改革努力をさらに加速していく必要があり、そのことが重要であると考えている。
また、本日示された原案では、財政健全化の「旗」は下ろさず、これまでの目標に取り組むとともに、今後の金利ある世界において、国際金融市場の動向にも留意しつつ、将来の経済・財政・社会保障の持続可能性確保へとつながるよう、その基調を確かなものにしていくこと。そのため、2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指すとともに、計画期間を通じ、その取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指し、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを更に前進させること、などとされている。
このような考え方に基づいて、経済再生と財政健全化の両立を図るため、自分としても最大限の努力を続けていく。
続いて、松本総務大臣です。
総務省としては、本日の原案に記載がある、AIやオール光ネットワークなど、次世代通信基盤Beyond5Gに関する競争力強化や国際的な標準化・ルール形成等における我が国の主導、デジタル基盤の全国での整備・強靱化、コンテンツ産業の海外展開支援、フロントヤード改革、基幹業務システムの統一・標準化をはじめとするバックヤード改革に一体的に取り組む自治体DX、それを支える都道府県と市町村が連携した推進体制の構築による人材プール機能の確保、デジタル人材の育成、人の地方への流れを創出・拡大する取組、加えて、能登半島地震の経験も踏まえて、消防防災力の強化、通信・放送ネットワークの耐災害性強化を推進する。
地方自治体は、身近な行政サービスの安定的な提供、防災・減災対策、人への投資、DX・GX、地域における経済の好循環など、重要課題への対応を担っており、令和7年度以降も必要な一般財源総額を確保し、地方行財政基盤の持続性確保・強化は必須であり、しっかり取り組んでいく。
最後に、齋藤経済産業大臣です。
日本経済はデフレ構造から新しい経済ステージへ移行できるか否かの正念場にある。こういう時代の変わり目では、国民に分かりやすいメッセージとなっていることが重要。
今回の骨太方針の原案には、需要が激増する見込みの半導体への積極的な投資やGXへの官民での150兆円超の大規模な投資といった重要な内容がしっかりと盛り込まれていることを評価している。
こうした大胆な産業政策によって、民間企業の果敢な挑戦と積極的な投資を引き出し、これから世界で拡大する新たな成長分野の需要を獲得する。こうしたことを通じて、これまでとは違う新しい経済ステージへと移行していくということを明確に表現し、是が非でも実現しなくてはならない。
こうした取組を通じて、新しい経済ステージへの移行が実現できれば、これまでとは異なる高い成長を目指せるのだという国民への明るいメッセージを打ち出すことこそが、今回の骨太の方針で求められていると考えている。
最後に、総理から締めくくりのご発言がありましたが、皆様にお聞きいただいたとおりですので、割愛いたします。
(以上)