第6回記者会見要旨:令和6年 会議結果

新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和6年5月23日(木)18:55~19:34
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室

1.発言要旨

 私からご報告いたします。経済財政諮問会議を開催しました。
 本日の議題は二つです。中長期の重点課題として、「生涯活躍と少子化への対応」と「社会保障の強靭化」について議論を行いました。
 一つ目の「生涯活躍と少子化への対応」については、人口減少が加速する2030年代以降も、生産性の上昇、労働参加の拡大、人口減少への対応により、実質1%を安定的に上回る成長を確保するとともに、家計が成長の恩恵を実感できる分配を実現することが必要とのご意見がありました。また、誰もが活躍できるウェルビーイングの高い社会の実現に向けて、「新たな令和モデル」とも言うべき政策パッケージに取り組むべきというご意見がありました。例えば、「こども未来戦略」に基づく少子化対策の徹底や女性活躍、また、全世代を対象としたリスキリングの推進、そして、全世代型健康診断やプレコンセプションケアなど、自発的な予防・健康づくりの推進などの取組が必要といったご意見がありました。
 二つ目の「社会保障の強靭化」に関する議論については、少子高齢化が本格化していく中にあっても、社会保障を持続可能なものとし、国民の将来不安を払拭していくことが必要である、社会保障改革を推進し、医療・介護費の適正化を図るべきというご意見がありました。そのために、医療・介護DXによるデータ駆動型の社会保障に向けた環境整備、創薬力強化など、社会保障分野でのイノベーションの創出、また、地域医療構想の推進や医師の偏在是正、介護提供体制に関する中長期ビジョンの検討など、国民の安心につながる医療・介護の提供体制の整備、加えて、国保の機能強化や保険外併用療養費制度の活用など、持続可能な保険制度に向けた改革などに取り組むべきというご意見がありました。
 総理からの締めくくり発言では、私と関係閣僚に対して、誰もが活躍できるウェルビーイングの高い社会の実現と、効率的で強靭な社会保障制度の構築を図るために、骨太方針に向けた施策の具体化を進めるようにご指示がありました。
 諮問会議の詳細については、後ほど事務方から説明をします。






2.質疑応答

(問)民間議員の提言で、足下から医療の給付と負担の改革に取り組むことが重要という提起がありまして、給付費対GDP比という表現もありました。この上昇を抑えるために、経済成長と社会保障の強靭化、二つの観点からどのように取り組まれるお考えでしょうか。


(答)言うまでもなく、経済成長の実現と医療改革、社会保障の維持を両立させていく。そして、それを一体的に推進すべきということは重要なことだと思っています。本日の会議においても、「生涯活躍と少子化への対応」、「社会保障の強靭化」の二つのテーマについて議論を行いましたが、まさにこれはそれぞれが成長のために必要な要素だと位置付けています。
 DXや新技術の社会実装など、イノベーションを起こしていく中で生産性の向上を図る。健康で意欲のある方々による生涯活躍の推進は、労働参加の拡大、労働市場の活性化につながっていきます。それから、効果のある少子化対策などによる将来人口の確保、これにつながるテーマではないかとも位置付けられるわけです。中長期的に経済を成長軌道に乗せつつ、社会保障給付費対GDP比の上昇基調に対する改革の鍵になるのではないかと考えています。
 こうした論点について、武見厚生労働大臣からも、「未来型デジタル健康活躍社会の実現」に向けて、医療DXの徹底した推進と、イノベーションを健康づくり・治療に生かす環境整備を行うべきというご意見をいただきました。
 民間議員の方からは、ウェルビーイングの高い社会の実現に向けて、若年期からの健康診断や予防を重視するための「プロアクティブケア社会」を実現してはどうか、また、働く意欲のある方々の選択をゆがめることのない、働き方に中立な制度の確立、さらにはPHR等のデータの活用など、国民の自発的な疾病予防や健康づくり、が必要だというご意見がありました。また、国民の安心につながる医療や介護の提供体制の構築、持続可能な保険制度、給付と負担の在り方の見直しといったご提案もいただいており、改革の方向性の認識はおおむね一致しているのではないかなと感じています。
 私としては、こうした議論をしっかり受け止めながら、また、関係省庁ともしっかりと連携を深めながら、国民の皆さんに明るい未来を描いていただけるような中長期対策の方向性を骨太の方針に盛り込んでいきたいと考えています。



(問)民間議員の提案の中でプレコンセプションケアという、この言葉はまだちょっとなじみがないかなと思うこの提言、どういうふうに受け止めて、どのように政策に生かしていかれるのか、教えていただけますか。


(答)予防や健康づくりへの対応、そして、リスキリングの推進は待ったなしの重要な問題であると考えています。人口減少社会を迎える中で、生涯にわたって活躍できる環境を整える、そういう方々を増やしていくことが、とても重要だと思っているわけです。
 そして、全世代型の健康診断を進めてはどうかということについては、「日本の元気創造」会議や「経済財政検討ユニット」のご提言でもいただいていますけれども、切れ目のない中で健康に対する関心を持っていただく、そこから予防的な措置や健康度を高めることで、高齢化が進んでいっても、元気な方が増えていく。こういうことが、特に日本は世界の中で最先端を行っているわけです。ですから、そういう方々がご自身の求めに応じて、ご自身のお考えに沿って、いろいろと活躍できるような社会をつくっていく。その一環の中で、このプレコンセプションケアというのは、非常に重要な要素になってくるのではないかと思います。自分の健康を知り、予防や先のことを考えながら生活していく、その一環として、このプレコンセプションケアというのが位置付けられるのではないかなと考えています。



(問)今まで出たお話をもうちょっと深掘りで2点伺いたいのですが、1点目、まず全世代型リスキリングのお話を冒頭もされていたと思います。全世代型と銘打った一つの理由として、特定の世代に限定せず、大括り化するということを資料の中でもうたわれてるわけですが、特定の世代というのはいわゆる就職氷河期世代のことを指していると思いますけれども、全世代型に移行するということは、就職氷河期世代へのこれまでの集中的な取組というのは非常に評価できる、つまり、就職氷河期世代だけが割を食ったという状態は、だいぶ解消が進んだという評価があるのかということを一点。
 もう一点は、医療の給付と負担と経済成長のことについては冒頭、質問がありましたけれども、元々諮問会議では社会保障と経済成長ともう一つ、財政、この三つをセットで議論していくことが必要じゃないかということで、4月に2060年度までの試算が示されたわけですが、今回、その財政の議論がちょっと弱いのではないかという印象を受けました。鈴木財務大臣からは今回、ペーパーも出ていますけれども、財政の議論はどうなっているのか。特にプライマリーバランス目標をどうするかというのは与党の中でも議論になっていると思いますけれども、これは議論がちょっと遅れているのではないか。今後、骨太方針にどう反映していくのかという考えについて教えてください。


(答)まず全世代型リスキリングについて、主体が就職氷河期世代なのかというご指摘ですが、就職氷河期世代というのは別途、これまで政策を打って、大変な、今までも労力をつぎ込んできたわけであります。それとともにリスキリングがありますが、ややもすると、リスキリングというものは若い人たちのためのものであるとか、失業中の方が転職するためのものという位置付けに思われてる方がいらっしゃるという声も聞いています。私どもとすれば、まずリスキリングは企業を通した組織型のリスキリングに加えて、個人が受講できる枠も拡大をしようと、リスキリングの中で既に目標を掲げています。これに加えて、どんな世代であってもリスキリングというものは有効であると。
 ですから、この全世代型というのは、例えば、こどもの頃に自分の人生設計をしていく中で、リスキリング、キャリアアップやスキルアップを図りながら、それぞれのライフステージに合わせて活躍ができるのだということを知ってもらうという意味においては、私はこどもたちの世代にもそういったことは必要だと思っていますし、若い世代も、現役の方も、さらには高齢者にも必要だと思います。
 高齢者も今、非常に健康度の高い元気な方々が増えていて、そうした65歳以上の方の就労意欲はどんどん高まっているという状態があります。その中で、そうした方が活躍できる場をつくるために、まずジョブ型を導入しようと。それから、一律の昇進や定年といったものも見直すという動きが出てきています。その中でいろいろな働き方が選択できるときに、このリスキリングを生かしていただく。そういうものであるべきだし、国民全体がこういうリスキリングをうまく活用していけるような社会というものを、皆さんで共有していただこうではないかという趣旨です。
 就職氷河期世代の支援については今、目標とする「第2ステージ」における2年目であって、最終年度になるわけですが、これも一定の効果、非常に上がったと思います。これも含めて、今後、リスキリングの中でさまざまな世代の支援を行ってくという趣旨です。
 次の、財政と経済との一体的な運用についての議論が足りないのではないかということですが、私たちが長期推計で出した姿というのは、経済成長するとともに財政の健全化を図っていく、その両立とともに、それはすなわち、社会保障制度の維持につながっていくということが示されています。これを実現するためには、労働力が減る中においても成長率を維持するということが必要です。
 その中で経済を成長させていくため、あらゆるイノベーションやスタートアップや規制改革、いろいろなことをやってまいりますが、併せて必要な歳出改革努力というのは続けていくと。それが結果的に国の財政健全化につながっていき、社会保障制度は今後さらにサービスを受ける方が増えていくけれども、全世代型社会保障の中では、それぞれの能力に合った無理のない負担、また、それに必要な給付をやっていこうということがうたわれています。
 さまざまな年代によって、特に社会保障を受けるような年代になっても、自分は可能な範囲での活躍や、望む所での仕事ができると。こういうものも入れながら、それは結果的に経済成長と財政健全化につながっていき、すなわち社会保障の維持につながっていく。全てがつながっていくのではないかという議論を行っているわけで、総括的な議論をしているとご理解いただきたいと思います。











3.木村内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 令和6年第6回経済財政諮問会議です。先ほど新藤大臣からご紹介がありましたように、議題は2つです。1つ目が「生涯活躍と少子化への対応」、2つ目が「社会保障の強靱化」です。それぞれの議題について、主なご意見を紹介します。
 まず、1つ目の議題、「生涯活躍と少子化への対応」です。
 1人目の民間議員です。
 全世代型社会保障の構築に向けた改革の必要性についてご発言がありました。我が国の社会保障は高度成長期に構築されたものであるが、我が国の人口減少や財政状況の悪化は、若者を中心に将来不安を惹起している。若者の将来不安を解消するためには、全世代型社会保障制度の構築に向けた改革が急務である。
 そのためには、これから申し上げる4つの基本理念を基本に進めることが必要。1つ目として、国民の安心や生活の安定、「成長と分配の好循環」の基盤となるような制度を構築すること。2つ目が、公正・公平の観点から、年齢に関わらず、適切な給付と負担を実現すること。働き方に中立的な制度とすること。3つ目は、財政や提供体制等における持続可能性・効率性を確保すること。4つ目は、医療・介護等のデータベースを整備し、それに基づいて納得感のある改革を進めていくこと。
 2人目の民間議員です。
 ウェルビーイングの観点から3点申し上げたい。
 1点目は、働き方に中立的な税制。転職するよりも定年まで勤め上げることが得であるなど、今ある制度が阻害要因となって働き方を自由にできない方がいる。女性の活躍については正規・非正規の壁が大きい。年収の壁の完全撤廃など抜本的な対策が必要。
 2点目、少子化対策の観点からも、イギリスの例なども参考に、育児休業制度をより柔軟なものとすることが必要。その一方で、このような制度はこどもを産まなかった人には酷なものであるということは意識しなければならず、全ての働き手を意識したきめ細やかな検討が必要。
 3点目は、予算のばらまきに終始しないことが肝要。韓国では少子化のために多額の予算を使ったもの、少子化は止まっていない。お金を使わずにできることはまだまだあり、お金を使うのであれば、EBPMの取組が必要不可欠である。
 3人目の民間議員です。
 働き方に中立な仕組みをつくることが重要。健康・医療分野の産業化によって成長を促し、医療・介護の付加価値を上げ、ウェルビーイングの高い社会を目指していくべき。
 ウェルビーイングの高い社会に向けたメルクマールとして、資料2の3ページにあるようなKPIを掲げることが重要。ウェルビーイングの高い社会を目指すに当たっては、全世代型リスキリングが大事なポイント。女性・高齢者の就業につながっていくことが重要。
 就職氷河期世代の対策は進んできたところであるが、この世代が活躍することが社会保障を支えていく上でも重要。この対策を継続するとともに、対象範囲を広げてリスキリングを進めることも重要。
 自発的な疾病予防・健康づくりを推進することが全体を回していく上でも重要。
 続いて、閣僚からの発言です。
 齋藤経済産業大臣です。
 昨年12月に取りまとめた「こども未来戦略」においても、若い世代は所得や雇用への不安などから結婚やこどもを持つことに消極的になっていることが指摘されている。先日、新聞でも、20代の正社員の4人に1人が、「お金が足りない」といった経済的不安などからこどもを持つことに消極的であるとの調査結果が報道されていた。少子化対策として最も重要なことは、こうした経済的な不安を和らげることだと考える。
 そのためには、子育てしやすい地方を中心に良質な雇用を創出するため、国内投資の促進や中堅・中小企業の振興、賃上げへの支援などに取り組んでいくことが必要。
 2月に熊本でのTSMCの開所式に出席し、大型投資の地元経済へのインパクトを肌で感じた。先週末には北海道のラピダスを訪問し、ラピダスの若手社員の方々とも直接意見交換をしたが、半導体復活にかける若い人たちの情熱や誇りは、私が想像していた以上のものであった。これらの地域がこれから発展していく可能性を強く実感した。
 こうした大型事業投資や地域を牽引する成長志向の中堅・中小企業の投資を後押ししていく大胆な支援策を講じており、こうした取組を通じて、地域が生き生きと生まれ変わり、誰もが活躍できる社会を実現していきたい。
 続いて、武見厚生労働大臣です。
 少子高齢化・人口減少の時代にあっても、社会のダイナミズムを維持・向上させていくことが重要。そうした意味でも、若年期からの予防・健康づくりや女性・高齢者活躍、リスキリング推進といった提案は、厚生労働省としても大変重要であると考えている。
 予防・健康づくりについては、医療・介護DXを推進する中で、PHR利活用の推進やウェアラブルデバイスなどによる病気の予防等のための国民自らの主体的な取組を、民間活力も活用しながら促進していく。
 働く意欲のある女性・高齢者が活躍できる環境整備については、いわゆる年収の壁への対応や同一労働同一賃金の徹底、希望する非正規雇用労働者の正社員転換等の取組を推進していく。
 リスキリングの推進については、今国会において、教育訓練給付の給付率の引上げや、教育訓練中の生活を支えるための新たな給付制度の創設などを内容とする雇用保険法等の一部を改正する法律案を提出し、先日、成立したところである。
 引き続き厚生労働省としても、社会のダイナミズムの維持・向上に向けて、必要な取組を進めていく。
 次に、加藤こども政策・男女共同参画担当大臣です。
 民間議員から提案のあった、若い世代の所得の向上、希望する非正規の方々の正規化、若者・女性に選ばれる魅力的な地域づくり、プレコンセプションケアなどはいずれも重要であると考えている。近く取りまとめる「こどもまんなか実行計画2024」において関連施策を盛り込んでいく。
 EBPMについて指摘があったが、こども政策を進めるに当たっては、KPIを適切に設定し、政策の効果等を検証しながら進めていくことが必要。既に「こども大綱」において、政策全体にかかるKPIとして数値目標を含めた指標を設定しており、その上で、具体的に取り組む施策の進捗状況を把握するための指標を「こどもまんなか実行計画2024」において設定することとしている。こども・若者、子育て当事者の意見に耳を傾け、その意見を政策に反映することに加えて、こうした枠組みを重層的に活用することで、PDCAの観点を踏まえながら、こども政策を推進していく。
 今後、女性活躍・男女共同参画の取組を加速していくための鍵となるのは「人材の育成」であると考えている。今回ご提言いただいた女性の正社員化やリスキリングの促進など、女性人材の育成を進めるとともに、企業や地域における女性活躍推進の担い手の育成にも取り組んでいく。また、その基盤となる社会保障制度等の検討、健康支援も重要であり、「女性版骨太の方針2024」において、それらの取組をしっかり盛り込んでいく。
 ここからは自由討議の中で出た発言です。
 民間議員です。
 リスキリングは多様で複雑な制度であることから、どれをどう使えばよいのか分からないため、ワンストップでの情報提供が必要。講座を受けたらどのようなステップアップができるか分かる必要がある。採用する側が、講習を受けたらどのような就職ができるのかということを見せていくことが大事。
 リスキリングをシステマティックに行っているシンガポールを参考にして、日本なりの制度をつくり上げていくことが重要。
 続いて、閣僚の発言です。
 まず、齋藤経済産業大臣です。
 経済産業省では、100社を超える企業に「求める人材」と「必要なスキル・資格」をヒアリングやアンケート調査を行った上で、在職者の方に対して、キャリア相談から必要なリスキリング、転職までを一体的に支援する事業を実施している。
 この事業では、実際の採択に当たって、転職先となり得る産業・企業の課題や必要とされるスキルを踏まえたリスキリングが提供されるかについて確認する仕組みとなっている。
 その結果、この事業では、既に2万人の方がリスキリング講座の受講を開始し、転職に成功した方も出てきている。こうした成果を示すことで良質な労働需要がどこにあるかを明らかにし、個人が産業界や企業のニーズに合致したリスキリングを積極的に行っていく環境の形成につなげていきたい。デジタル人材については、企業・個人のミスマッチが起きているので、その可視化を進めていく。
 また、特に産業界のニーズが高いデジタル人材の確保については、企業と個人の間にミスマッチが発生しているので、個人が保有するスキル情報やスキルアップの状況を可視化するプラットフォームを整備し、適切なマッチングやスキル強化につなげていきたいと考えている。
 続いて、武見厚生労働大臣です。
 リスキリング支援については、これを利用する企業や労働者のニーズをしっかりと把握し、充実させていくことが重要。
 厚生労働省においては、地域の企業ニーズを把握するための協議会の開催や、離職者向けに職業訓練を行っているポリテクセンター等における指導員の質の確保等による効果的な職業訓練のための企業ニーズの把握、業界団体に対する制度の周知などにより、企業や団体、労働者のニーズを踏まえた支援の充実に取り組んでいる。
 リスキリングによるスキルの向上が処遇向上に結びつき、人材の確保・定着にも資するものとなるよう、関係業界の意向も踏まえながら、「スキル向上を処遇に結びつけていく仕組みの整備」に向けて、スキルの見える化とスキルの向上支援に一体的に取り組んでいきたい。
 続いて、加藤こども政策・男女共同参画担当大臣です。
 若い頃から男女共に、性や妊娠に関する正しい医学的知識を身につけ、健康管理を促すことは重要だと認識している。
 こども家庭庁としては、これまでも「加速化プラン」に盛り込み、プレコンセプションケアを推進してきたところだが、民間議員からの提案も踏まえ、厚生労働省や文部科学省等の関係省庁と連携して、正しい知識のさらなる普及や相談支援等を受けられる体制の構築に努めていく。
 次に、2つ目の議題、「社会保障の強靱化」についてです。
 1人目の民間議員です。
 現役世代が減少し、人口構成が大きく変化している。こうした中で、財源として稼働所得をベースとする社会保険料に過度に依存することには限界がある。
 賃金を引き上げても、保険料負担によって結局、可処分所得が増えないのであれば、将来不安が増大する。これにより消費に悪影響を及ぼすばかりか、有配偶率、出生率も減少するおそれがある。ひいては生産人口の減少という負のスパイラルに陥る可能性がある。これらを回避するためには、税・社会保障の一体的な改革に取り組まなければならない。  公正公平で持続可能な全世代型社会保障の構築には負担の議論が欠かせない。すなわち、税と社会保障の一体改革の議論が必須。これは時間がかかる議論なので、今すぐ着手すべき。
 2人目の民間議員です。
 3点申し上げたい。
 1点目は、データ駆動型の社会に向けた環境整備。医療費の抑制は社会保障費の抑制の観点から重要だが、我が国ではデータの欠損が見られ、そのためのデータがない。海外と比較できるデータが必要であり、OECDのSHA手法に基づく国際比較可能な保健医療支出の政府統計化の着実な推進を期待したい。正確なデータなくして社会保障改革には向き合えない。
 2点目として、創薬・医薬に関しては、日本から世界的な医薬品が出てきてほしいと願っているが、残念ながらそうなっていない。小さな製薬会社が多く、創薬にリソースを割けていない。イノベーション創出が不可欠。
 3点目として、資料4には大変よいことが述べられているが、いずれもこれまで長い間、我々が議論してきたこと。経済財政諮問会議で進捗を定期的に確認することが必要ではないか。
 3人目の民間議員です。  医療・介護の持続可能性確保には、足下から給付費対GDP比の上昇基調に対する給付と負担の改革に取り組むことが重要であることは、長期推計でも示された大前提である。
 資料4で示した取組は、ずっと前から言われたことであり、いかに実行に移すかが重要。実行に移すためにはデータが鍵であり、データ駆動型の社会保障が重要。
 医療・介護事業者のDX実装が重要であり、全ての医療・介護事業者を対象とする事業報告データの早急な整備や、SHA手法に基づく国際比較可能な保健医療支出の政府統計化を進めていくことが必要。
 イノベーションの創出が重要で、創薬エコシステムの強化がポイントである。地域医療構想については、都道府県の責務の明確化が必要。医師の偏在是正については、経済的インセンティブと規制的手法のベストミックスによる対策が重要。保険外併用療養費制度の対象範囲の拡大や、介護の利用者2割負担の判断基準等の見直しは重要であり、実行に移していくことが大事。
 続いて、閣僚からの発言です。
 まず、齋藤経済産業大臣です。
 高齢化が世界に先駆けて進展する我が国で、医療・介護を含む健康への需要が拡大・多様化する中、公的保険のみで対応することには限界がある。この前提を転換させなくては、社会保障制度の持続可能性の懸念も、ビジネスケアラーの問題も、乗り越えることはできない。
 医療・介護の公的保険の外側にも受け皿を確保するため、スタートアップを中心に超高齢化に対応した新たな製品・サービスを開発する。さらに、それらをビジネスとして世界に展開し、世界をリードすることが一つの目指すべき道ではないか。
 経済産業省としても、厚生労働省とも連携しながら、PHRの推進や保険外サービスの質の向上や活用促進に取り組んでいる。また、グローバルマーケットを見据えた革新的な医療機器や医療費の研究開発支援も進めていく。
 次に、武見厚生労働大臣です。
 国内戦略と国際戦略の両面によって、国際貢献と同時に海外市場の活力を日本経済に取り込み、保険医療等分野のさらなるイノベーションにつなげていくことが大事。
 配付されている資料にあるように、国内戦略について推進するとともに、国際戦略としては、アジア諸国をはじめとするインド太平洋地域における高齢化は大きなチャンスと捉え、疾病構造の変化も踏まえながら、革新的新薬の開発や医療・介護における資本・技術・人材の好循環の実現による「イノベーションの国際展開」を推進する。また、より強靱なユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に貢献するため、世界銀行・WHOと協力した「UHCナレッジハブ」の日本への設置といった国際分野での新しい取組を進める。
 こうして生じるダイナミズムが国内・海外に広く行き渡るエコシステムを構築することで、活力ある健康活躍社会を実現していく。
 次に、赤澤財務副大臣です。
 成長と分配の好循環を実現するためには、全世代型社会保障に向けて医療・介護の不断の改革により、現役世代の保険料負担の上昇を抑制していく必要がある。
 本日提案いただいた、診療報酬等の経済的インセンティブと規制的手法による医師偏在の是正や、医療・介護の保険外サービスの活用といった事項を含め、昨年末に閣議決定した「改革工程」に沿って着実に議論を進め、成果を上げていくことが重要であると考える。
 また、EBPMを進める観点からは、医薬品使用について、費用対効果評価の活用などにより、データに基づく仕組みへと見直していくべき。減薬・休薬を含む治療の適正化に関する調査・研究については、民間資金が入りづらいことを踏まえ、国として積極的に進めていくべきと考える。
 ここからは自由討議の中で出た発言です。
 1人目の民間議員です。
 医療・介護制度における給付の適正化やEBPMを行う上でデータの整理は必要不可欠。その観点で2点申し上げたい。
 1点目として、悉皆的なデータベースの構築が大事。医療・介護への財源規模やその配分の議論をするに当たり、しっかり調査することが必要。
 2点目として、どのような医療・介護サービスが提供されたのかを迅速に検証すること。可能であれば、リアルタイムでデータを把握できるようにすることが望ましい。
 こうしたインフラが提供されることで、医療・介護分野における公平公正な財源分配が可能となる。データの充実については、政府で現在取り組まれていると承知しているが、その進展に強く期待したい。
 2人目の民間議員です。
 イノベーション力の向上が不可欠。高齢者の定義の見直しも重要。また、半導体やAIのみならず、バイオなども含めて成長分野に重点・集中投資することで、日本のやる気・能力を海外の投資家にアピールし、世界中から投資を呼び込むことが必要ではないか。
 続いて、閣僚からの発言です。
 まず、武見厚生労働大臣です。
 デジタル化やデータサイエンスにより、医療・介護分野においても科学的な進歩が著しく加速する世界的な潮流の中にある。
 こうした潮流に合わせて、我が国においても、医療・介護DXを推進することで、提供体制の効率化をはじめとした社会保障改革を進めることが必要。進歩する医療技術を我が国の成長産業として取り込んでいくことにもつながり、ひいては、少子高齢化が本格化する中にあっても、国内における改革努力により確保された財源を国際展開に向けた投資に向けることによって、社会のダイナミズムを維持・向上させていくことにも資すると考えている。
 このため、例えば、個人が主体的に進める予防・健康づくりの取組について、ウェアラブルデバイスを最大限活用するなど、産業政策の観点も盛り込みながら進めるとともに、医療費適正化につなげていくことが重要。
 最後に、総理から締めくくりのご発言がありましたが、皆様にお聞きいただいたとおりですので、割愛いたします。






(以上)