第2回記者会見要旨:令和6年 会議結果
新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和6年2月29日(木)19:01~19:37
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室
1.発言要旨
本日の経済財政諮問会議の概要について、ご報告します。
本日の議題は2つです。「マクロ経済運営」と、次の骨太方針を視野に入れた「中長期の経済財政運営」について議論しました。
1つ目の「マクロ経済運営」に関する議論では、我が国経済は「需要不足経済」から「人手不足経済」へと構造変化しつつあり、この変化を経済の一層の活性化につなげていくことが必要という意見、企業の投資計画が実際の投資増に結び付いていない現状に対して、その要因を検証し、必要な対応策を講ずるべきであるという意見、中小企業が物価上昇を上回る賃上げを実現できるように、特に重層的な下請け構造となっている業界を中心として、下請けや孫請けだけでなく、その先の取引も含めて、転嫁対策や取引適正化を徹底すべきといった意見がありました。
2つ目の議題の「中長期の経済財政運営」については、名目GDPや日経平均株価が過去最高を更新する中で、この先、我が国が目指すべき姿を示し、国民が豊かさと幸せを実感できる経済社会を構築することが重要だと、こういった議論を行いました。その際には人口減少の克服が鍵となります。
本日の議論においては、人口減少の影響を克服するためには、生産性の向上、労働参加の拡大、出生率の向上等に対応していくことが必要という意見がありました。そして、人口減少が本格化する2030年までに制度改革を実施するため、5つの重点課題を掲げました。
1つ目は、先端技術の実装と競争力強化。2つ目は、生涯活躍と希望出生率の実現。3つ目は、財政・社会保障構造の強靱化。4つ目は、地域活力の創生。5つ目は、グローバル対応と脱炭素。
こういった重点課題について、今後3年程度の包括的な政策パッケージを策定すべきではないかというご意見を頂戴しました。
総理からの締めくくり発言では、国土交通大臣と経済産業大臣に対し、所管分野における投資の制約要因の検証と、それに基づく対応を行うようにご指示がありました。
また、私に対しては、経済・財政一体改革の点検・検証の結果を提示するとともに、経済・財政・社会保障の持続可能性を確保するための条件を整理した上で、重点課題に関する政策提案を示すようにご指示がありました。
諮問会議の詳細については後ほど事務方から説明します。
2.質疑応答
(問)2問伺いたいと思います。まず諮問会議について、先ほど大臣からお話がありましたとおり、中長期的な持続的成長のための課題として、今回、生産年齢人口の減少が大きく取り上げられたかと思います。
一昨日発表された人口動態統計でも、2023年の出生数は昨年より4万人以上減少して、8年連続で過去最少を更新していますが、改めまして、人口減少が日本経済に与える影響と、今回の議論を骨太の方針にどのように反映していくのか、大臣としてのお考えをお願いします。
(答)少子高齢化、人口減少は国難とも言うべき重要課題です。それを克服しながら、しかし一方で、人口減少というのは将来のプログラムでございまして、出生率が向上したとしても、その効果として人口減少がとどまるまでには数十年を要するという問題です。
ですから、まずは人口減少のカーブを緩めることと併せて、それであっても成長していく経済をつくらなければいけないというのが私の考え方です。
そして、生産年齢人口の減少が供給力の低下につながって、我が国の成長の下押し要因となります。なので、人口減少が本格化する2030年より前に十分に備える必要があると考えています。
現状のままの経済では、中長期的に成長率が低下するのに対し、「生産性の向上」と「労働参加の拡大」による生涯活躍社会の実現、それから「出生率の上昇」を実現させることで、人口減少による需要低迷によって日本経済が停滞するという、従来からの「縮み志向」といいますか、縮小傾向の志向から脱却し、冒頭申しました、こういう状態でも持続的に成長が可能になるという未来を是非描きたいと思っています。
特に出生数の減少に対しては、「こども未来戦略」にある、若い世代の所得を増やす、それから社会全体の構造や意識を変えていく、全ての子ども・子育て世帯を切れ目なく支援するという3つの基本理念に基づき、少子化対策の強化に取り組んでいきたいと考えています。
また、子育て世帯への各種支援策については、今般、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されており、しっかり成立を図っていきたいと思っています。
また、大事なことなのでもう少し長く言いますが、夫婦が協力して子育てをする、それを職場が応援できる、こういう社会全体の構造や意識を変えること。
さらには、本日の民間議員からのご提案もありましたが、省人化や新技術の社会実装等によって生産性を高めることが構造的賃上げにつながっていく。
それから、全世代型社会保障の構築などによって、子どものいる現役世帯の可処分所得が継続的に増加する経済が実現できるのではないかというご意見も頂戴しています。
こうした考えの下に、総理からは2030年までに必要となる制度改革の実施を目指して、先ほどご紹介いたしました5つの重点課題について議論を深め、3年程度の政策パッケージを次の骨太方針に反映できるようにというご指示をいただきました。
今後の諮問会議においては、こうした論点について検討を進めていきたいと考えています。
(問)もう1点、今日の政倫審についてお伺いできればと思います。岸田総理が現職の総理大臣として初めて出席し、質疑を行いました。これにより説明責任は果たされたとお考えか、閣僚の一人としての受け止めをお願いします。
(答)岸田総理は自民党の総裁として、政治資金を巡る国民の厳しい目や疑念を踏まえて、その説明を尽くすために本日出席されたものと承知しています。
私とすれば、きちんと政倫審で説明責任を果たすとともに、私たちは与えられた職務として、日本経済が熱量あふれる新たなステージに移行できるように最大限の努力をする。
今、経済が大きな転換点を迎えている中で、良い兆しを実体経済にきちんと根付かせるような政策を遂行していかなくてはならないと思いますし、そのための予算審議を今お願いしていることですから、国民に対する説明責任という意味においては、政倫審の説明と併せて、我々とすれば予算案やこれから取るべき政策の説明を丁寧に、そして、皆様方への地道な説明に取り組みながら成果を出していきたいと考えます。
(問)諮問会議で総理から、最後に、今後3年の政策パッケージの取りまとめと、それを骨太に盛り込んでいくというような御指示の趣旨の発言があったと思いますが、政策パッケージというのは、骨太が取りまとめる前に何かつくって、それを骨太に入れていくものなのか、もう少しイメージができるようなスケジュール感があれば教えていただけますでしょうか。
(答)今後3年間程度の包括的な政策パッケージを策定するべきということでご意見を頂戴し、その作業をしていこうと。ですから、経済財政諮問会議でそういった議論を行っていきたいと思っています。
それから、私の下での「経済財政検討ユニット」においてもそういった検討も始めています。
提示すべき課題が見えてきましたので、骨太方針より先に出すのか、骨太方針に反映させるのか、これは今後の作業を煮詰めていきながら、当然その内容によって対応していくことになると思います。いずれにしても、これまでも出してきた課題です。なので、これを今後3年程度でどのように包括的に、要するに政策連携させながら実効性を上げていくかということをよく検討していきたいと考えています。
(問)関連で政倫審の関係ですけれども、総理が出席されまして、武田さんも出席されました。受け止めとしてもう少しご感想のようなものがあれば教えていただきたいというのと、ちょうど先ほどですけれども、予算委員会に関しては小野寺委員長の職権で明日の採決を決めたというような情報も入ってきておりまして、明日にかけて予算の成立というものが視野に入ってきているのかなと思いますけれども、そういった国会の状況について何かご所見があれば教えていただけますでしょうか。
(答)岸田首相は自民党総裁として、国民から寄せられる厳しい目、また疑念を踏まえて、今回、初めて総理として出たと。しかも、公開をするというかたちで、それは率直な、また真摯な説明をされたのではないかなと思っております。
そして、予算の審議のほうは、国会の運営については国会でお決めいただくものでありますから、私たちとすればご要請に従って真摯に対応し、また成立に向けて答弁をしていきたいと考えています。
3.木村内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
令和6年第2回の経済財政諮問会議です。
先ほど新藤大臣からご紹介がありましたように、議題は二つでした。
一つ目の議題、「マクロ経済運営」について、日本銀行の内田副総裁から資料1のご説明をいただき、内閣府から資料2及び3を説明した後、意見交換を行いました。
次に、二つ目の議題、「中長期の経済財政運営」について、内閣府から資料4及び5を説明した後、意見交換を行いました。
それぞれの議題についての主なご意見をご紹介いたします。
一つ目の議題に関するご意見です。
1人目の民間議員です。
株価が絶好調である。これまでは低過ぎたといった声などもあり、今後も更なる上昇が見込まれると考えている。
そうした中で、日本経済のファンダメンタルズが改善しているのかをよく見ていく必要がある。それに向けて、恒常的な賃金上昇による経済の好循環の実現が重要。賃上げを行うには、企業が右肩上がりの収益を確保することが求められ、そのために必要な規制改革、働き方に中立的な社会保障制度の構築、年金制度改革などを行うべき。
海外投資家の訪日が増えているが、いかに恒常的な賃金上昇を数字で見せられるかが重要。
2人目の民間議員です。
2点お話がありました。1点目は中小企業の賃上げについて、今年の春季労使交渉における経営側の基本的なスタンスについて、周知活動を全国で展開している。物価動向を注視して、ベースアップを念頭に置きながら、賃上げの積極的な検討と実施を呼び掛けている。特に働き手の7割を占める中小企業の賃上げは不可欠で、パートナーシップ構築宣言への参加企業の増加とその実行性の確保を呼び掛けていく。
2点目は物価について、賃上げが持続的で国民の生活向上につながるには、物価がモデレートな水準であることが大事。政府、日銀が目標としている2%程度のモデレートな物価上昇に向けた諸政策の実施により、物価上昇を上回る構造的で持続的な賃金引上げを根付かせることが大事なので、引き続きよろしくお願いする。
なお、物価を上回る賃金引上げについては、政府の方で様々分析されているが、丁寧な分析説明をお願いしたい。
3人目の民間議員です。
日本の株価が上がったことはすばらしい。日本への注目度は今まで以上にすごい。良い点は多く出てきているが、それでもまだやることはたくさんある。
ウェイジインフレ、賃金のインフレと言えるようにしていくことが大事。その観点から予見性が非常に重要。賃金が上がるという意識が社員に出てくれば、経営者もそれに応えるし、投資にもつながっていく。
最低賃金の在り方も議論していくべき。上げるという意思を示していくべきで、2,000円を目指すべき。また、下請取引の実態については、きめ細かく調査していくべき。
4人目の民間議員です。
人手不足は、人手が足りないので賃金を上げ、人手の不足を補うために投資が起きる好循環のきっかけである。本当は良いワードであり、人手不足で投資ができないといった受け止めはもったいない。プラスに変えていくべきであり、人手不足が前向きに受け止められることが必要。
そのためには転嫁対策が重要。人手不足のために賃金を上げた結果、転嫁をすると、転嫁の正当な理由が伝えられるキャンペーンを政府が行うべき。こうした国民運動がデフレ脱却にも必要。賃上げが政府の目標になっている以上、価格転嫁対策の状況を個別にしっかり確認することが必要。
あわせて、労働移動の円滑化、リスキリングなども重要であり、そのためには新陳代謝を起こしていくことも必要。個人保証の在り方についても考えていくべき。
次に、自由討議です。
日本銀行の内田副総裁からです。
マクロ的には企業収益は歴史的な高水準、人手不足は厳しい状況、労働の分配率は低下しており、賃金が上がる環境は整っている。こうした中でネックは企業ごとのばらつきであり、一部の中小企業などからは人件費の販売価格への転嫁が難しく、賃上げの障害になっているとの声が聞かれているのも事実。企業界における適正な価格転嫁が大事。
リスク要因としては、米国、中国といった海外経済。国内経済においては今春の賃上げに期待をしたい。
来年度以降も継続的に賃上げを実現するという意味では、毎年、少しずつでも物価と賃金が上昇するということが常識になる必要がある。この点、今でも一部の企業が、「ベアは固定費になるので一時金で」という話を聞くが、これはデフレ、あるいは、ゼロインフレを前提とした考え方である。毎年2%程度の物価上昇率が続く経済では、ある年にベアを上げたとしても翌年以降のベアで調整できるため、固定費にはならない。
その意味では、物価上昇を上回る賃金上昇というときに、物価上昇率が低下して賃金上昇率を下回るという形ではなく、物価は2%程度上がることを前提にした上で、賃金がそれを上回っていくという姿を目指すことが重要。
次に、斉藤国土交通大臣です。
まず、民間設備投資の4分の1を占める建設投資は、大規模工場や都市再生などの案件が進み高い水準にあるが、足下では資材高騰を受けて、事業計画において想定していた予算では工事発注ができず、当面、スケジュールを先送りしている事案が増えていると聞いている。
例えば、熊本の大型民間案件の影響で、九州の電工が通常よりも不足するなど、建設工事では一部の地域、一部の職種で人材確保に苦労しており、すぐに工事を請け負えないケースがあると聞いている。
これらの状況に対し、資材高騰への対応としては、まず最新の市場実勢に見合った見積りを徹底するよう発注者に呼び掛けをするとともに、予算に見合った工事内容への見直し協議や資材高騰に伴う変更条項の設定などを関係者に促していく。公共工事にはスライド条項を設けているが、民間工事ではそれがないので、見直してもらえないという状況である。
あわせて、今国会に提出する建設業法の改正案によって、建設生産を支える現場技能者の人材確保を一層進めていく。原材料費や労務費の上昇が続く中、サプライチェーン全体で価格上昇分の価格転嫁を進めることが重要であるが、建設業においては、下請はもとより元請の事業者も材料費、労務費の高騰分を取引価格に転嫁できておらず、経営が圧迫されている。
対応としては、発注者と元請が結ぶ契約で、適正な額の材料費や労務費を確保することがまずもって重要であり、その上で下請までそのことを行き渡らせる必要がある。
そして、民間工事の約6割で契約書に代金変更の条項がなく、資材高騰分の価格転嫁ができたというのは2割未満だという現状からすると、当初契約だけではなく、契約変更の徹底も重要。
今国会に提出する建設業法の改正案では、通常必要な費用を著しく下回る額での契約を禁止し、この新ルールは下請契約にも適用する。下請まで転嫁原資の行き渡りを確保する。また、契約書に価格高騰に伴う、代金変更の方法を必ず定めることをルールとし、変更契約を通じ、価格転嫁の原資確保を図りたい。
また、物流産業においては、標準的運賃の引上げや、トラックGメンによる悪質な荷主等への是正指導の強化に取り組んでいる。これに加えて、荷主に物流効率化に向けた取組を義務づけ、元請事業者に多重下請構造の是正に向けた取組を義務づける法律案を、今国会に提出したところであり、これらを通じて、物流産業の持続的成長を実現していく。
国土交通省としては、建設や物流の業界内だけではなくて、サプライチェーン全体で人手不足について考えることが重要だと考えている。経済全体で所得増と成長の好循環を実現する中で、これまで申し上げてきたような価格転嫁対策を着実に進めていく。
次に、齋藤経済産業大臣です。
設備投資については、ここ二、三年で積極的に行われる計画に転じており、こうした姿勢は高く評価されるべき。その上で、企業の設備投資のボトルネックについては、長年のコストカット型経済が尾を引いて、これまでは維持・更新のための投資が中心であり、供給力の拡大が抑制されてきたことが、現在の拡大の局面において出てきたものと考えている。需給ギャップが解消する中、経済が成長する中長期的な見通しを明らかにすることで投資への意欲を高め、供給力をしっかり拡大していくことが何より重要。
ただし、十分な供給力を短期間に増大させることは容易ではなく、様々な工夫、イノベーションを取り入れていくことが不可欠。例えば、人手不足に対応するための抜本的な省力化投資、デジタル技術を活用した遠隔監視を可能とするなど、規制改革も組み合わせて取り組んできている。
需給が引き締まり、資材価格が上昇する中、生産性を高めるための積極的な投資支援策を講じ、民間の投資計画を円滑に実現することが、供給制約の顕在化を未然に防ぐために重要。足下の変化の兆しを確実なものとし、「コストカット型経済」から、「投資も賃金も物価も伸びる成長型経済」へ転換できるように、この機を逃すことなく積極的に取り組んでいく。
サプライチェーンの深い階層にある事業者からは、価格転嫁しづらい等の指摘がある。これまでも3月、9月の「価格交渉促進月間」において、価格転嫁の実施状況に関する企業リストの公表や、経営トップへの指導等を通じ、取引先が多く、波及効果の大きい大企業の取引方針の改善を促してきた。
また、サプライチェーンの深い階層も含めて取引実態を把握し、業界ごとの自主行動計画の改定、徹底につなげてきたところであり、今後は下請Gメンについて、2022年4月は約250名、昨年1月は300名であったが、来年度からは330名体制へ増強することで、取引実態の把握を強化し、業界全体での取引慣行の改善を図っていく。
さらに、発注者が直接の取引先ではなく、サプライチェーンの先にある企業まで考慮して取引価格を決定する姿勢も大事。「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」にも盛り込まれているこの考え方を、産業界にも周知していきたい。深い層にある受注者側でも、各地域の相談窓口も活用しながら積極的に交渉を申し出ていただくことが大事。引き続き、価格交渉、価格転嫁の実態を踏まえつつ、必要な対応を検討していく。
次に、民間議員です。
リスキリングは全体的に少しずつ進んでいる。ただし、人材流動のためのリスキリングや、中小企業のリスキリングは十分に進んでいない。団塊ジュニアである50代のリスキリングも大事。
労働移動の活性化による経済の新陳代謝も進んできている。中小企業においても前向きに進めるためには、個人保証をどうしていくかということも考える必要があるのではないか。
二つ目の議題に関するご意見です。
松本総務大臣と齋藤経済産業大臣から書面での発言の提出がありました。内容はお配りしているとおりです。
1人目の民間議員です。
3点お話がありました。1点目は「静かなる有事」とも言われる人口問題。日本の出生率が過去最低を更新したが、韓国においては更に深刻な状況であり、ソウルへの一極集中や地方の過疎化、多額の予算を投じたこれまでの政策が功を奏していない状況を見ると、日本も同じ状況をたどると言えるのではないか。よって、日本も補助金や支援金だけでは状況は好転せず、これからも成長を続けるという安心感の醸成と、人口が今後増えない場合でも、この程度の生活は保障するといったことを中長期のパッケージで示すことが大事。
2点目、競争力強化が重要。現状では貿易黒字の半分が自動車であるが、EVの現状なども考えると、日本は今後どこで稼いでいくのか。例えば、GXではどの分野でどのように投資していくのかなどを示す形で具体論を出し、日本全体の鳥瞰図を示すべき。
3点目として、財政健全化。成長を意識しつつも、プライマリーバランスの黒字化など、財政ルールを守ることが重要。
2人目の民間議員です。
2点お話がありました。1点目として、人口減少については、強い危機感を持っている。足下では人手不足という形で問題が顕在化しているが、中長期的には経済社会の機能維持という点で問題が波及する。生産性の向上を図るとともに、希望出生率の実現に向けた取組が必要。人口減少は財政、社会保障、地域活性化など、ほかの重要課題にも密接に関わるため、全体を通した議論が必要。
2点目、エネルギーについて、資源の乏しい島国である日本においては、GXの推進が大事。カーボンニュートラルの実現にはゼロエミッション電源で供給する必要がある。他国から電力を融通できない以上、再エネ、原子力等のゼロエミッション電源の確保が急務である。高速炉の開発、核燃料サイクルの確立も必要。これは今の国際情勢からは、安全保障の課題そのものである。中長期的な課題であるとともに、喫緊の課題でもあるので、目標を決めてバックキャストした取組が必要。
3人目の民間議員です。
企業と個人の情報の非対称性が課題。人的投資の情報開示が重要で、雇用条件等を示すプラットフォームが必要。50代がリスキリングできるような仕組みを、民間では難しいので、国が責任を持って進めるべき。
空き家の活用が必要。都市部では空き家が増えていることもあり、こうした使っていない資産を有効に活用していくべき。
生涯賃金を上げることが消費の活性化につながっていく。在職老齢年金制度を変えていくべき。
外国人材も重要。例えば、3年から5年以上日本に住んでいる外国人に対するグリーンカードも考えていくべき。
4人目の民間議員です。
少子化問題について、こども対策をまとめたところであり、実効性あるものにすることが必要。EBPMを通じて進捗を確認しながら、マネージしていくことが大事。
年齢、性別に関係なく、活躍したい人が活躍し、働きたい人が働ける社会にすることが大切。人口が減る中で、中長期的な大事な課題である。
経済については、企業、特に中小企業の付加価値生産性をいかに高めるか。ある程度カテゴリーを決めて支援をする対策が必要。その際、グローバル対応が重要。海外の需要や人材を取り込むことは、中小企業にとってもチャンス。グローバル対応の強い中小企業を作っていくべき。
また、こうした経済への対応のためにも、財政の持続可能性が必要であり、財政への信任を確保していく手当てが必要。
次に、自由討議です。
1人目の民間議員です。
競争力の強化は重要な課題。根本的な対策としては、大学の在り方や教育の問題を考えていく必要があるが、それでは時間が掛かり過ぎるので、短期的な観点からは、GX投資をいかに戦略的に行うかが大事。GX経済移行債が無事に発行されたが、集めた資金をどこに投下するのかが今後の課題。日本が強みを発揮できる分野を見極めて勝ち筋を見つけ、それを育てていくことが重要。例えば、少額を多数の者に配分するのではなく、一つの者に集中投資を行うなど様々な戦略の構築が必要。
また、金利上昇への備えも考えていく必要がある。
2人目の民間議員です。
産業競争力強化については、AI、半導体などの重要分野において、官民連携で中長期的な産業戦略ビジョンを持って基盤の強化を図ることが重要。
財政健全化も重要。中長期の戦略に基づく投資を行い、企業の予見可能性を高めてもらい、企業はそれを基に積極的な国内投資を進めることが重要。
AI等の技術で電力消費が急増することも踏まえ、安価で安定的な電力供給が不可欠。
3人目の民間議員です。
投資という側面からすると、省人化投資は、人が減る分を投資でカバーできるものであり、今、一番付加価値が高い投資になっている。これはエネルギー投資も同じであり、こうした一石二鳥、一石三鳥のものがあるのであれば、そこに焦点を当てるべきであることは明らか。
省人化が実現すれば、例えば、1人で3人分の仕事をすることができることになる。成果は企業が全て取るのではなく、賃金とすることが大事。働く人にとってもウィン・ウィンになる省人化投資を進めるべき。
最後に、総理から締めくくりのご発言がございましたが、皆様にお聞きいただいたとおりでありますので、割愛いたします。
私からは以上でございます。
(以上)