第13回記者会見要旨:令和5年 会議結果

新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和5年10月10日(火)19:03~19:36
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室

1.発言要旨

 本日は、経済財政諮問会議の概要についてご報告いたします。
 今日の議題は2つでございまして、まずは経済対策を含む「マクロ経済運営」、そして「経済・財政一体改革」について議論を行いました。
 1つ目の議題でございます「マクロ経済運営」では、まず、私から、資料1に基づき、今回の経済対策の基本的考え方について説明をしました。
 その後の議論では、GDPギャップが解消に向かう中で、例えば、物流のボトルネック解消のための投資や半導体投資など、中期的に供給力強化に資する施策を集中すべきだというご意見や、物価高と需要抑制などのリスクへの対応とともに、新しいフロンティアで社会変革を起こすための、社会実装の加速や予算・税制・制度をパッケージとした政策対応も重要だというようなご意見がございました。
 次に、2つ目の議題であります「経済・財政一体改革」に関する議論では、例えば、社会保障や地方行財政改革などの主要分野における今後の重点課題を、エビデンスをもって示し、関係会議と連携して方向性を出していくべきというご意見がございました。
 総理からの締めくくり発言は、お聞きいただいていると思いますが、私に対して、経済社会を変革する新技術や飛躍的な成長が期待される分野などの「フロンティア」の開拓、人手不足解消や革新的サービスの提供につながるデジタル技術等の社会実装の促進、そして、各省庁が所管・実施する財政措置や制度の有機的な連携の3点を重視するということに加え、今回の経済対策の実施に当たり、DXを前提とした簡素で迅速な施策の実施という、運用面にも留意すべしと、こういうことも含めた経済対策のとりまとめの指示がございました。
 私としては、この対策を熱量あふれる「新たなステージ」への変革に向けたスタートダッシュとできるように、本日の総理の御指示を踏まえて検討を加速させていきたいと考えています。
 詳細につきましては事務方から説明します。






2.質疑応答

(問)今日の会議でも議題になりました総合経済対策について伺います。先週金曜、「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の方が、減税や社会保険料の減免措置などの政策と、あと20兆円規模の補正予算の編成などを要望なさいましたが、それに対する大臣の受け止めと、どのように経済対策に反映されていくか、お考えを教えてください。


(答)議連から頂いた提言の趣旨というのは、消費をはじめとする需要を拡大し、デフレからの脱却と安定的な経済成長の実現を目指すという趣旨であると私は理解しております。
 その点は、経済対策で活発な設備投資だとか賃上げ、そして人への投資による経済の好循環の実現を目指すという基本的な政府の方向性は許容できるのではないかと認識しているわけであります。
 そして総理から、経済成長の成果を国民に還元するときであるというご発言がございます。これを受けて今回の経済対策では、日本経済を熱量あふれる新たなステージへ移行させるため、各種の給付措置に加えて、税や社会保障負担の軽減など、あらゆる手法を総動員して対策を打ちたいと考えているわけであり、許容できるところを受け止めながら、しっかりと対策を組み上げていきたいと考えています。



(問)今のご質問に関連しまして、会議の中で言われている減税等に関して、出席者の方から積極的な提言ですとか、またご議論などはありましたでしょうか。


(答)この間、議連の方がおいでいただいたときの話ですか。



(問)それも含めて、減税全般に関して今日の会議でご議論等は何かありましたでしょうか。


(答)これまで同様に、やはり経済成長や新たな投資を促進させるための、そういった様々な工夫をすべしという中の一つの手法として既に出ております。ただ、それを具体的にどう掘り下げていくかということに関しては、これはもう既に各省で検討に入っておりますので、今日の経済財政諮問会議において、そういった具体的なことについてのコメントはございませんでした。











3.木村内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 令和5年第13回の経済財政諮問会議について、先ほど新藤大臣からも御紹介ございましたが、議題は二つでした。一つ目の議題は「マクロ経済運営」についてです。新藤大臣から資料1に基づき、経済対策の基本的な考え方を御説明した後、意見交換を行いました。  次に、二つ目の議題である「経済・財政一体改革」についてです。内閣府の事務方から資料3について説明した後、意見交換を行いました。
 それぞれの議題につきまして、主なご意見を御紹介いたします。
 今回は会議時間に限りがありましたので、財務大臣、経済産業大臣は書面での提出になりましたが、内容は以下のとおりです。
 まず、財務大臣です。経済対策については、物価対策は激変緩和措置であるという趣旨を明確化し、平時を見据えたものにすること、社会変革のために政策を総動員することなど、貴重な御提言を頂きました。ご意見を頂きました。
 今回の経済対策の策定に当たりましては、経済情勢など様々な要素を考慮に入れた上で、平時を見据え、それぞれの政策や予算の必要性、実効性、緊急性等をしっかり判断しつつ、予算、税制に限らず、規制・制度改革も含めた政策の総動員が重要であると考えている。
 続きまして、経済産業大臣です。需給ギャップがほぼ解消している中で、今般の経済対策は潜在成長率を大幅に引き上げるものとすることで、日本経済全体の構造改革を進め、この20年を取り返す力強い成長の実現の第一歩とすべき。
 このために、足下の物価高への対応に加えて、生産性を抜本的に高める省人化、省力化、省エネや半導体などの戦略分野、水素、アンモニア、CCUSなど、GX関連やDXなどへの大胆な投資と世界をリードする技術、イノベーション支援、挑戦意欲のある中堅、中小企業、物流の「2024年問題」への対応や、円安を契機とした輸出拡大、販路開拓を行う企業への支援、同志国間での強靱なサプライチェーンの構築、そしてスタートアップ支援を行っていく。
 こうした取組を通じて、今後も継続する構造的な人手不足、将来起こり得る金利高、金利の上昇を乗り越えながら、新陳代謝を伴う新しい時代の経済構造への改革を大胆に進める。そして、現在直面する輸入物価上昇や、インバウンドによるインフレから、適正な価格転嫁を通じて高付加価値な財・サービスに見合った価格設定を可能とすることで、積極的な賃上げを伴うインフレへと転換し、消費拡大にもつなげていくことで、力強く持続的な経済成長を実現していく。
 これを受けまして、民間議員の発言です。
 1人目の民間議員です。
 日本経済は時代の転換点を迎えている。この絶好のチャンスを逃してはいけない。今後も3年間で集中的に取り組み、それによる税収増と歳出改革によって、財政健全化の道筋を付けていくべき。ニューフロンティアが重要。ライドシェアなど象徴的なものが出てくるとよい。3年間の投資減税や大胆な規制改革を実施し、国内、海外投資を呼び込むような環境整備が必要。
 また、エネルギーの構造転換が重要。短、中、長期のロードマップの策定が必要。さらに、新しいデジタル技術が重要であって、官民連携での投資が必要。
 次に、2人目の民間議員です。
経済をいかに循環させるかという観点で、2点お話がございました。
 1点目は、個人消費の拡大。賃金の引上げだけでは成長と分配の好循環を実現することはできない。賃金の引上げが消費ではなく貯蓄に回れば、経済は循環せず、賃金の引上げは持続的にはならない。この循環を実現するには、明るい将来への期待感の醸成、不安の解消が不可欠である。様々なイノベーションが社会実装され、社会変革への期待が高まることに加えて、全世代型社会保障改革への取組を期待したい。
 2点目は、国内投資の拡大。GX経済移行債がモデルケースであって、民間では困難な分野へ政府が先行投資を行い、企業の予見可能性を高めて民間投資の呼び水となってもらいたい。また、特に、エネルギー分野で政府の取組をお願いしたいということで、原発の着実な再稼働のほかに、次世代核融合の開発等に大胆に資金を投入することが重要だ。安定・安価な電力基盤の確保は、継続的な国内投資を促す上で必要である。
 続きまして、3人目の民間議員です。
 経済対策のうち、第1の柱である物価高対策については、短期的な影響にターゲットを絞って取り組み、第4・第5の柱については、恒常的・長期的に取り組むべきものと考えている。一方、第2・第3の柱については、国内投資が重要で、投資に対する投資減税は有効と考えている。投資が促されるように取り組まなければならない。一方で、投資をすると物価が上がる懸念があるとも考えており、投資の在り方については総合的に考える必要がある。
 続きまして、4人目の民間議員です。
経済対策は新たなステージ移行のための政策パッケージである。フロンティアを開き、新たな稼ぐ力を付けること、規制改革、短期的には積極的な投資を促す投資減税が大事。あわせて、政策パッケージとして国民のマインドを切り替えていくようなメッセージを出すことが重要。こうした施策は、大企業だけの政策と捉えられかねないが、重要な点として、地域のスモールビジネスを立ち上げ、地域活性化につながるようなものでもある。ここにハイライトしていくべき。
 それに続く形で自由討議が行われました。その中で出たご発言についてもご紹介いたします。
 1人目の民間議員です。
中小企業におけるDXの活用が重要。中小企業では、DXのことが分かる人材が少ない。DX人材の確保も重要だが、中小企業内の社内のリスキリングを通じたDX人材の育成も必要。教育訓練投資や中小企業へのインセンティブも重要。
 2人目の民間議員です。
マクロ経済環境について、2点認識する必要がある。1点は、GDPギャップが解消していること、もう一点は、物価高が進んでいるということである。GDPギャップが解消しているから、今後の経済対策には供給力を強化する政策が必要。例えば、科学技術やイノベーション投資、民間だけではできない先端技術の開発に向け、政府が先行投資を行い、企業の予見可能性を高めてほしい。また、継続的な国内投資を促すために、安定・安価な電力基盤の確保にも注力してほしい。そのほか、AIやロボットといった先端技術の導入等も急がれる。足下の物価高への対応は、正に金融政策の出番だと考えている。物価上昇に負けない賃上げを掲げて、熱量を持ってやってきているが、前提は適度な物価上昇であって、政府・日銀にはその実現に向けた取組を期待している。
 3人目の民間議員です。
日本が資産運用立国を目指すに当たり、2点ある。一つ目として、外国人を日本に呼び込んだり、外国に行った日本人を日本に呼び戻すことが大事。外国人が日本に来ない要因として、円建ての商品が少ないこと、あるいは家族を連れてくる住環境が整っていないこと、法人税、所得税が高いことなどが考えられる。時限でよいので、経済特区を設けるとよいのではないか。
 二つ目として、貯蓄から投資へのムーブメントを起こすことが重要。NISAの活用・利用に加え、株の相続税に対しての考慮など税制規制緩和を進めることが有効ではないか。
 次に、二つ目の議題についてです。内閣府の事務方から資料3の説明があり、各議員からご発言がありました。
 武見厚生労働大臣、鈴木財務大臣、西村経済産業大臣、鈴木総務大臣のご発言につきましては、先ほどと同様に会議時間に限りがありましたので、書面での提出になりました。
 まず、厚生労働大臣です。
 少子高齢化・人口減少時代を迎える中、社会保障制度を持続可能なものとするため、高齢者人口がピークを迎える2040年頃も視野に、マンパワーの確保や給付と負担の見直しなど、全世代が安心できる社会保障制度を構築することが必要。具体的には、診療報酬・介護・障害福祉サービス等報酬の同時改定や医療DX等、年末までに改革工程の策定を行うこととされている、改革項目の具体化などにより、必要な社会保障給付が、必要な方に提供されるようにするとともに、全ての世代で、能力に応じて負担し、支え合う仕組みの構築に向けた取組を進める。
 同時改定については、来年は6年に一度の同時改定が行われる節目の年であり、医療と介護の連携等、様々な視点からの検討が必要。昨今の高水準となる賃上げの動向や物価高騰の状況などを踏まえるとともに、新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置の縮減の影響も見極めつつ、今後とも患者・利用者が必要なサービスを受けられるよう対応していく。
 また、医療DX、介護DXについては、よりよい医療や介護の実現につながるほか、業務の効率化などを通じてコストの削減も期待できる。
今後、全国医療情報プラットフォームの構築や診療報酬改定DXの推進などに向けて、医療分野・介護分野それぞれにおいて工程表に沿って取組を進めていく。
 続きまして、財務大臣です。
 「経済・財政一体改革」について、コロナ禍で拡大した地方向けの交付金や社会保障費を含め、エビデンスをもってその効果について検証し、方向性を示すべきといった重点課題が示された。
 成長力強化といった課題への対応と、財政健全化を両立させていくためには、成果志向の財政支出を徹底していくことが不可欠。そのためには、EBPMの取組の徹底や、PDCAサイクルの確立が不可欠であり、行政事業レビュー等の活用によって、真に効果的な施策に重点化を図ることなどにより、「経済・財政一体改革」を進め、中長期的に持続可能な財政構造を目指していく。
 次に、経済産業大臣です。
 「経済・財政一体改革」に向けては、今般の経済対策も含めた経済政策により、効果の高い投資を積極的に促進し、生産性を向上させていくことで企業収益を確保し、成長による税収増を確実なものとしていくことを念頭に置き、議論を進めていくべき。
 続きまして、総務大臣です。
 まず、自治体間連携の推進、公共インフラのマネジメントについてです。
 将来にわたる人口構造の変化やインフラ老朽化などの課題に的確に対応し、自治体が持続可能な形で行政サービスを提供していくためには、自治体間で連携し、人材や公共施設などの資源を共同で活用していくことが重要。
 総務省としては、老朽化した公共施設の集約化・複合化や長寿命化など、市町村の行政サービスの広域連携、水道・下水道など公営企業の広域化、技術職員やデジタル人材の共同活用を進める取組などについて、地方財政措置を講じているところ。
 現在、調査審議中の第33次地方制度調査会における議論も踏まえ、自治体間の連携の取組も一層推進していく。
 次に、自治体DXの推進についてです。将来の地方行政の担い手不足が課題となる中、デジタル技術を活用し、業務効率化と住民の利便性向上を図る必要がある。
 総務省では、自治体DX推進計画を策定し、マイナンバーカードの普及促進やDX推進体制の構築などを推進してきた。
 今後、行政手続のオンライン化やワンストップ窓口の推進など、フロントヤードの改革を積極的に進めるとともに、令和7年度までの標準準拠システムへの円滑かつ安全な移行に向け、自治体の取組を支援していく。
 続きまして、1人目の民間議員です。
 「経済・財政一体改革」における重要課題は、今までなかなか進捗していない。検証してやり方を見直していくことが必要。EBPMによる重要課題のボトルネックの特定や、各省への提案を行っていくべき。
 社会保障については、歳出効率化の視点だけではなく、質の高い医療・介護提供体制が重要で、AIやデータをしっかり活用していくことが必要。薬剤師などのタスクシフト、タスクシェアを進めていくことも大事。
 社会保険制度について、応能負担、公平性の観点から、キャピタルゲインの補足が重要。
 次に、2人目の民間議員です。
 社会保障制度の歳出改革や財源の確保は、我が国の財政問題そのものである。少子化対策にも関わる。短期、中長期それぞれの視点で取組を進める必要がある。
 短期的には、エビデンスベースで医療DXの推進や医療介護サービスの提供体制の見直しに向けて取り組む必要がある。ヘルスケアの分野でのイノベーション促進も喫緊の課題である。医療データの
利活用の促進、創薬力の強化に向けた規制改革や環境整備に積極的に取り組んでいくべき。  中長期の観点からは、最新の人口推計を踏まえた、社会保障制度全体の負担と給付に関する将来見通しを、国民の皆様に分かりやすく示すべき。
 高齢者人口がピークを迎える2040年頃を視野に、全世代が安心できる社会保障制度を構築する必要がある。骨太の方針の議論が本格化するまでに将来を見据えた議論ができるように、見通しを提示いただきたい。
 続きまして、3人目の民間議員です。
 一つ目として、コロナ禍を経て、今後は財政を平時に戻すことが重要。物価高もさることながら、円安や高金利の状況となっており、高金利の副作用が懸念される。財政のチェックをしていくことが必要。
 二つ目として、中長期的な見通しを持つことが大事。2050年にどうあるべきかということからバックキャストをして、EBPMも活用しながら検討していくことが必要。
 三つ目として、何をするにもデータが必要であり、データの整備は重要。
 続きまして、4人目の民間議員です。
 財政改革においては、積年の課題がなかなか変わらなかったが、今はステージが変わってきたタイミングである。ポイントは、EBPMとDX。データを基に政策決定をすること。そして、そのためにDXでデータを活用できる基盤を整備することが大事である。予算、税制度の改革の連携においては、その組合せと順番が大事。改革の順番が合わないとうまくいかない。
 その後の自由討議における意見です。
 厚生労働大臣です。医療DXは医療・介護のイノベーションの基本である。PHR、パーソナル・ヘルス・レコードの整備・活用、電子カルテの普及、診療報酬改定のモジュール化の具体化についても、私が推進チームに入って、進捗確認を行っており、この先、広報戦略も早急に検討していく。
 次に、1人目の民間議員です。
HX、ヘルストランスフォーメーションに関して、データの2次活用、利用に当たっての規制にも着目する。予防医療などについては、ニューフロンティアにもなる。健康寿命を延ばし、国民のウェルビーイング向上にも資する。ヘルストランスフォーメーションの実現には、財政投融資の活用やリスクマネーについても検討すべきである。
 2人目の民間議員です。
社会保障制度ができたのは1980年、90年代である。その頃の65歳以上人口の割合は10%未満だったが、現在は30%を超えている。この状況を放置すると、現役世代が負担することになるため、政府は改革の工程を示して着手したことを明らかにしていくことが必要。これにより、将来への不安がなくなることにつながるのではないか。
 3人目の民間議員です。
 基金の総額は大きく、支出によるマクロ経済へのインパクトの大きさには注意して、適切な管理が重要である。適切な運用のために、支出の見通し、基金による効果、この二つを公表することが重要。DXによってデータを随時利用し、適切な管理、成果を確認することが重要。
 4人目の民間議員です。
賃金が上がらないと負担感だけが増してしまうので、賃金引上げによる経済の好循環を生み出すことが必要だ。その一方で、歳出改革による歳出の削減を併せて行うことが必要。
 また、閣僚からは、経済産業大臣からご発言がありました。介護などサービス業は人手不足であり、賃金も上がっていない。厚生労働省、経済産業省では、人材不足対応として、介護ロボットやDXを進めているが、そういった取組が進んでいるところは、人員配置の緩和をするなどのインセンティブを設けることが必要になるのではないか。
 最後に、総理から御発言がございましたが、皆様がお聞きになられたとおりでありますので、割愛いたします。
 私からは以上です。






(以上)