第7回記者会見要旨:令和5年 会議結果

後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和5年5月26日(金)19:32~19:43
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室

1.発言要旨

 経済財政諮問会議の概要について、ご報告を申し上げます。
 本日の議論において、一つ目の議題である、「経済・財政一体改革、(社会保障)、こども、マイナンバー」については、主に次のような意見がありました。
 成長と分配の好循環の実現には、生活の安定や将来の安心感の基盤となる社会保障の機能強化と持続性への信頼向上、保険料負担の上昇抑制による家計可処分所得向上が不可欠である。
 地域医療構想の実効性の担保等を通じて、医療・介護を一体として、強靱で効率的な提供体制を構築すべきである。
 徹底した給付の見直しや労働参加を促す制度整備、新たな給付・負担の将来見通しの提示等により持続可能な制度を構築すべきである。
 医療・介護分野でのイノベーションの創出に向け、ヘルスデータの積極活用や制度整備を推進すべきである。また、マイナンバー制度を核とした行政DXを本格化すべき、
 いうような御指摘がありました。
 総理からは、河野大臣に対し、マイナンバーカードの信頼確保に向けて、現下の誤り事案に関係する全てのデータやシステムの再点検など、万全の対策を講じるように御指示がありました。
 それから二つ目の議題でありますが、お手元に配付されている「骨太方針・骨子案」をお示ししました。
 総理の発言にもあったとおり、30年ぶりの高水準の賃上げ、企業部門における高い投資意欲などの前向きな動きを拡大し、成長力を高め、我が国を再び力強い成長軌道に乗せる必要がある。このため、今年の骨太方針においては、
 構造的賃上げの実現に向けた三位一体の労働市場改革や人への投資の強化、
 官民連携による国内投資の拡大や、サプライチェーンの強靱化等を通じた投資の拡大と経済社会改革の実行、
 少子化のトレンド反転に向けた少子化対策・こども政策の抜本強化、
 こうした点について取組の方向性を明らかにし、その実現により「新しい資本主義」を加速させていきたい、という発言がありました。
 本日、総理より私に対して、来月の取りまとめに向けて、関係省庁や与党の調整を進めるようにとの御指示があったことを踏まえまして、早速、週明けにも与党から御意見を伺い、案文作成作業を進めてまいります。
 以上です。






2.質疑応答

(問)骨太の方針には、政府が重要政策に掲げる異次元の少子化対策についても盛り込まれるかと思います。柱の一つである児童手当の拡充に関して、対象者を高校生に拡大することや、財源について社会保険料の引き上げなどの報道もありますが、それぞれについての現時点でのお考えを教えてください。


(答)こども子育て政策の強化につきましては、先般、総理から「こども未来戦略方針」をとりまとめるように指示があったところでございます。現時点で具体的な内容が固まっているものではありませんが、これまでに、こども未来戦略会議でご議論いただいた、「こども・子育て政策の推進」を図る上での基本理念、「加速化プラン」の内容、「加速化プラン」を支えるための安定的な財源などについて、具体的に記載することといたしております。
 児童手当の対象者の拡大や、あるいは財源の具体的な在り方についても、現時点で固まっているわけではありません。個別の政策の在り方に関し見解を述べることは差し控えますが、「こども未来戦略方針」では、政策の内容等について、できる限り国民に分かりやすくお示しする必要があると考えており、次回の会議で素案をお示しして、御議論いただけるように引き続き検討を進めてまいります。



(問)社会保障関係のことでお伺いしたいのですが。今日、民間議員からも、こども政策を含めた将来見通し、展望を示すようにという提言があり、総理からもこれを重点的に進めるという御発言があったと思います。この給付と負担に関する新たな将来見通しについて、目下、少子化対策については議論の最中だと思いますが、この議論を進めていく上で、この見通しについては提示した上で議論を進めていかれるようなお考えなのかどうか、またその場合、どの段階でいつ頃提示されるようなお考えがあるのか教えてください。


(答)まず給付と負担に関する新たな将来見通しの作成については、今後、給付と負担、これまで2025年、2040年ということで、実際に高齢者の人数が減少する大きなターニングポイントに向けてどういうふうに給付と負担を考えていくかというようなことで議論してまいりましたが、人口推計の見通しも改訂されましたし、そうしたことも含めて、将来の歳出、あるいは負担の推計については引き続き経済財政諮問会議でしっかり議論していくことにしたいと思っています。
 一方で、今、こども未来戦略会議で議論している、こども・子育ての枠組みについては、しっかりと加速化プラン等の指摘が指針でされているわけですから、こうしたことをしっかりと踏まえた上で、今後の政策の内容、財源の問題も含めてしっかりとお示しするということで、この少子化の今回のこども・子育て政策の取りまとめと、給付と負担に関する新たな将来見通しの提示というのが、今、直接具体的に関連しているという認識ではありません。
 しかし、いずれにしても財政の中長期的な展望だとか、あるいは将来の社会保障の中長期的な在り方、そうしたものを見据えた上で、こども・子育て政策やその財源問題も議論していくことになりますから、そういう意味での一体感がないわけではありませんが、それぞれの作業としては、別々に進めていくということで素案を提示できるようにしっかりと議論を進めていきたいと思います。



(問)民間議員提出資料のイノベーションの中に、新薬の薬価の評価の記載がございました。医薬品の取材を長く続けているのですが、これまで薬価は諮問会議でずっと切られ続けてきて、民間議員がこういう形で、新薬の評価が必要だとおっしゃっています。この点をどのように御覧になるでしょうか。


(答)今日のところは、民間議員の提言ということを承りました。そしてまた、薬価の問題や開発の問題をどうしていくのかといった創薬の問題、それから、効率的な仕組みをどうしていくのかといったことについても議論を進めていましたが、今日の経済財政諮問会議においては、そうしたこれまでの議論をしっかりと骨太に取り込んで議論を進めていくべきだという意見が出ておりました。骨太方針の取りまとめに向けて、そうしたこともしっかりと議論した上で取り込んでいきたいと思います。



(問)今日示された民間議員提出資料の中で、政府と日銀は緊密に連携し、賃金上昇を伴う形で、物価安定目標の達成を、またこれに関して、諮問会議の場において賃金や分配面も含めた経済の状況を含めて定期的に検証すべき、という御提言がありました。こちらに関してはどのように進めていかれるか、お考えはあるでしょうか。


(答)従来から、アコードにおいても定期的検証を経済財政諮問会議でやっていくということになっておりますので、基本的には、そうした定期的検証をしていくということだと思います。
 その中で、やはり日銀の2%物価目標に対する姿勢、あるいは政府がどれだけ実体経済としてデフレ脱却のために政策対応していくか、そういうことも含めてしっかりと検証していく必要があるという御意見を経済財政諮問会議の議員からも頂いております。また、マクロ経済政策として、そうした点についても、骨太方針の第1章のマクロ経済運営の基本的考え方において基本的に整理したいと思っています。











3.村瀬内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 令和5年第7回経済財政諮問会議について、概要を報告いたします。本日は、二つの議題について議論がありました。
 一つ目の議題において、まず、閣僚から発言がありました。
 最初に、加藤厚生労働大臣から御発言がありました。少子化・人口減少の流れを変えるとともに、これからも続く超高齢社会に備える必要がある。このため、必要な社会保障サービスが必要な方に提供されるようにし、全ての世代で能力に応じて負担し、支え合う仕組みの構築に向けた取組を進める。こども・子育て政策の観点からも、長時間労働の抑制などを進め、夫婦共に育児、家事に参画することの後押しが重要だ。これは、家庭の子育て環境を改善し、こどもを持ちたい人が子供を産み、育てることにつながり、延長保育等のニーズの減少を通じ、社会的コストの抑制効果も期待できる。今後とも、企業の働き方改革の取組を強力に推進する。社会保障については、支える人材や提供体制を構築し、質の高い医療・介護等を効率的・効果的に提供できる体制を構築することが重要である。特に医療・介護分野では、足元の物価上昇の中で、経営状況の悪化が生じ、賃上げも他分野に比べて進まない状況の中、人材確保の観点からも、報酬の大幅な増額が必要とされている。2024年度のいわゆるトリプル改定において、医療と介護等の連携によるサービスの質の向上と効率化を図る必要がある。また、全世代型社会保障構築会議の報告書等も踏まえて、地域医療構想について、2025年に向けた強力な取組の推進や、高齢者数がピークを迎える2040年頃を見据えた検討の推進、革新的な医薬品等の日本への早期上市や医薬品の安定供給等を図るための対応策の検討、医療DXの取組の強力な推進、など必要な政策を進めるという御発言がありました。
 次に、小倉こども政策担当大臣から御発言がありました。先ほどDXの利活用を通じた徹底的な行財政効率化と効果的な子育て支援の推進に関する御意見を頂いた。こどもまんなか社会の実現に向けて、デジタル技術を積極的に活用し、子育て家庭などが抱える様々な手間や負担を少しでも軽減し、こどもと向き合う時間を増やしていくことができるようにすることは大変重要だ。例えばアプリ等を通じて必要かつ簡便な情報に素早く、簡単にアクセスできるようにし、随時の情報発信・相談受付やプッシュ型支援の展開を図り、将来を見通しながら安心して子育てをすることができるようにするなどを通じ、子育てをより楽しく安全、べんりなものとしていきたいと考えている。こうした考えの下、「こども政策DX推進チーム」において、出産・子育ての応援ギフトのマイナポータルによる電子申請の実現、就労証明書のマイナポータルによるオンライン提出に向けた様式の統一等に向けて取り組んでいるところであり、さらに、マイナンバーカードを乳幼児健診・妊婦健診の受診券として利用できるようにするとともに、マイナポータル等を活用して問診票をスマートフォンで事前入力することができる取組等も進めていく予定だ。引き続きこども政策DXを一層推進すべく、「こども政策DX推進チーム」の取組方針を踏まえて、デジタル庁等の関係省庁や地方自治体との連携を深めつつ、子育て家庭などの当事者の声も聞きながら、できるものからどんどん取り組む。
 続けて、河野デジタル大臣から御発言がありました。まず、関連する今般の様々な事案について、皆様に不安を与えてしまったことについて申し訳なく思う。総理からの御指示も踏まえ、再発防止を徹底し、制度の安全と信頼の確保に努め、デジタル社会の基盤として広く活用いただけるよう取組を進めてまいりたい。システム化の遅れにより、人を介して登録しなければいけないというのが今般の事態を招いたと思っており、そこにはしっかり対応していきたい。マイナンバーカードの活用シーンとして、具体的には、マイナポータルを活用し、引越し手続オンラインサービスや、パスポートの切替申請、確定申告での情報連携など、様々なサービスを開始しているほか、ぴったりサービスを通じて、子育てをはじめとする自治体での各種手続きのオンライン化も進めている。特に子育てについては、今年3月には出産・子育て応援ギフトの支給に係る電子申請をできるようにしたほか、今年度は就労証明書のオンライン提出機能を実装し、更なる利便性の向上を目指す。また、マイナポータル画面についても、出産や子育てなどライフイベントごとに分かりやすく手続を行えるよう抜本的な改修を進めていく。マイナンバーカード自体の利便性向上も重要で、今月にはカード機能のスマートフォンへの搭載を開始した。オンライン上での確実な本人確認インフラとして進化してきている。利便性を拡大することが重要である。あらゆる手続がスマートフォンから申請でき、お知らせが届く「オンライン市役所サービス」構想など、様々な施策にも取り組んでいく。議員の皆様から頂いた意見も踏まえ、デジタル庁としても関係府省庁と連携し、必要な措置を進めていく。
 続けて、鈴木財務大臣から、少子化対策への対応が求められる中、徹底した歳出改革と保険料負担の上昇抑制が今まで以上に求められている。本日御提案があった地域医療構想に関する法制化、介護や薬剤の自己負担の見直しについては早急に取り組む必要があると考えている。医療費・介護費については、高齢化等に伴い報酬改定の影響を除いても、毎年2~3%程度増加している。医療は、更に、5兆円の病床確保料を始めとするコロナ補助金もあり、直近の病院の経常利益率は改善されており、純資産も増加している。介護についても、社会福祉法人の積立金等は増加傾向にあり、直近で毎年の費用の半年分程度を保有している。いずれにせよ、こうした状況も踏まえて診療報酬・介護報酬改定を始めとした改革を前に進めていくべきと考えている。
 最後に、中谷経済産業副大臣から御発言がありました。社会保障分野については、民の力も活用して生産性の向上やイノベーションを促進しながら、新たな市場の創出・拡大を図ることも重要だ。まず、PHRを活用した民間サービスの拡大に向けては、万博等の機会も活用しながら、歩数などの運動量、食事、睡眠といった記録を用いたヘルスケアサービスや、医療機関、薬局におけるユースケースの創出に向けて、実証事業を進める。また、ビジネスケアラーの増大に対応するため、介護保険外サービスの利用促進による供給力強化や、企業による従業員の両立支援を促すとともに、ICT・ロボット技術等を活用した介護サービスの生産性向上にも取り組む。少子化対策については、賃上げで「若い世帯の所得を増やす」ことが最重要だ。投資と賃上げで日本経済を成長軌道に乗せることが本質的。子育てしやすい「地方」に着目し、国内投資の拡大や中堅・中小企業の成長への支援を行うべき。その上で、こども政策の財源確保に当たっては、社会保障分野の歳出改革や効果の高い政策への重点化、追加負担が必要な場合は、全世代の応能負担、経済が成長軌道に乗るまでの間、負担増のタイミングへの配慮が必要だ。さらに、こどもを含む消費者の安全確保のため、ネット販売される海外製品による重大事故が防止される仕組みや、安全なこども向け製品が販売される環境を整備する必要がある。これらの取組により、少子高齢化などの社会課題を解決しながら、新たな経済構造の構築につなげていきたい。
 続けて、民間議員から発言がありました。
 一人目の民間議員です。グランドデザイン、財源、イノベーションの3点について述べる。1点目、全世代型社会保障のため、政府は子育て政策、女性活躍、応能負担の強化、DXに取り組んでおり、経済界も同じ問題意識だ。若者が抱く閉塞感を打破するためには、中長期の視点から大きな変革の姿、グランドデザインを示すことが大事だ。2点目、国民の負担を払拭するための全世代型社会保障には、安定財源が不可欠だ。そのためには徹底した歳出改革と税制を含めた財源のベストミックスが必要だ。全体を見据えて、税政も含めた財源についても検討すべきだ。3点目、ヘルスケア分野でのイノベーションは喫緊の課題だ。データ利活用や創薬のための規制改革・環境整備をしてほしい。
 二人目の民間議員です。医療・介護については、コロナのときの予算がどのような点で課題があったのかという点をしっかり検証すべきだ。地域医療構想は、進んでいない状況にあるため、法改正をすべきだ。都市部の新規開業規制も必要だ。薬については、日本に競争力のあるメーカーがなくなっていって、新薬が作れないということが問題だ。自己負担を増やしていくことが重要だ。リフィル処方箋についても、実効性を持たせることが重要だ。介護については、今後、介護費用増加が見込まれる中、利用者負担は2割とするべきだ。また、データの開示が重要であって、DXを活用しながら医療法人の財務情報の公開やコロナ費用を捉えることができるデータ整備が必要だ。子ども・子育てについて、経済的支援はターゲットを絞るべきであり、働く環境の整備も重要だ。マイナンバーについては、国民の信頼を向上させる必要があり、しっかり対応するべきだ。
 三人目の民間議員です。この民間議員提出資料の内容を着実に進めることで、総理の本気度を是非、示していただけると有り難い。医療関係者のタスクシェアが重要だ。医師が中心にあり、看護師が活躍できていない状態にあるが、在宅医療を進めるためには看護師が活躍できるようにすることが重要である。厚生労働省に対しては、縦割りを廃する改善策をお願いしたい。ビジネスケアラーについては、社会全体の潜在損失は9兆円と言われている。介護との両立で生産性が大きく下がっている実態がある。大企業はまだ対応できるが、中小企業の対応は難しいと。NPOの活用や中小企業の実態把握を進めてほしい。歳出改革のためには、データが重要だ。PHRをニューフロンティアとして取り組んでほしい。この分野はスタートアップや国内投資の可能性が大きい。また、薬局で健康相談を行えるようにしてほしい。薬局の規模によって報酬が異なっており、小規模な薬局に手厚くなっているが、サービスに応じた公平なものにするべきだ。コロナは5類になったが、公衆衛生はより重要になっている。特に、グローバルな体制づくりは重要であって、引き続きグローバルヘルスの促進に取り組んでほしい。
 次に、骨太方針の骨子案についての議論でありますが、私の方から資料4について説明をし、関連して、柳川議員から資料5の御説明があった上で、各議員から御発言がありました。
 まず、鈴木財務大臣からです。財政制度等審議会における議論の状況について申し上げる。同審議会では、「成長」、「こども・高齢化」といった大きなテーマを掲げて、我が国が抱える重要課題について、大所高所から議論をされているが、資料にあるとおり、歴史的転機ともなり得る場面にあり、グローバルな経済・金融環境も急速に変化する中で、様々な課題への的確な対応が必要であること、危機に機動的に財政を運営するため、平時こそ財政を健全化し、財政余力を確保することが不可欠であり、コロナ対策により一層低下した財政余力の回復が急務であること、少子化対策の成否は、国家の命運を左右する取組であり、真に効果的な対応が求められること、また、恒久的な施策には、恒久的・安定的な財源の確保が必要であることなど、非常に重要な指摘がされている。
 財政制度等審議会においては、近日、建議を取りまとめる予定と承知している。本日説明した考え方を、「骨太方針」にしっかり反映していただきたい。
 次に、松本総務大臣からです。マイナンバーカードにかかわる案件については、誤りを速やかに察知し、被害を回復し、再発防止策に努め、マイナンバー制度の信頼回復に努めていきたい。資料7にあるように、「地方税財政改革の方向」として、社会保障関係費の増加をはじめとする財政需要を適切に地方財政計画に計上し、一般財源総額を安定的に確保すべき。「活力ある多様な地域社会に向けた取組」として、こども・子育て政策の強化については地方の役割が大きいことから、地方の意見を十分踏まえ、地方に係る財源を安定的に確保すべきである、などとなっている。いわば政策の課題と解決の現場である地方の財源について、こうした意見を十分に踏まえ、基本方針の策定を行っていただきたい。また、総務省としても、住民サービスの利便性向上や、効果的・効率的な行政事務の推進に資する自治体DXの推進は重要であると認識。具体的には、住民目線の行政手続、窓口といったフロントヤード改革、これらを支えるバックヤードである自治体のシステムの標準化・共通化に向けた支援、マイナンバーカードの普及と利活用の促進、デジタル人材の確保・育成などに取り組んでまいる。また、改訂版「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」に基づくデジタル基盤整備のほか、データ利活用の促進などに取り組むことで地域におけるDXを推進し、さらにはデータ整備や、計算資源確保などによる生成AIの開発力強化や国際的なルールづくりなど、将来を見据えた取組を進めていく。
 続けて、中谷経済産業副大臣から発言がありました。足下、消費がコロナ前に戻りつつあり、賃上げも進み、投資もバブル期の水準を上回る見通しであるなど、潮目が変わってきている。この機会を生かして成長軌道への移行を実現するためには、構造改革を進展させることが必要だ。経済産業省としては、GXやDX、スタートアップなど、社会課題解決に資する分野で、国が長期的・計画的な財政出動へコミットして、民間の予見可能性を高めることが重要であり、これによりメリハリをつけつつも躊躇なく国内投資を促進していく。そうした国内投資の拡大により生み出される付加価値の高い事業を支えるため、リスキリングなど、人への投資を通じた労働移動の円滑化を促進する。地域で良質な雇用を創出することにより所得向上につなげるため、地域経済の牽引や、外需獲得などの面で、我が国経済成長の新たな担い手になる中堅・中小企業への集中支援や、新しい時代にふさわしい事業再構築を成し遂げようとする中小企業等への支援などを進める。今後10年、20年の成長基盤の構築に向けたジャンプの時期として、足元の3~5年でこうした取組を集中的に実施して、日本経済を成長軌道に乗せていきたい。
 続けて、民間議員から御意見がありました。
 まず1人目ですが、民間議員提出資料に記載されているような改革をしっかりと骨太方針に盛り込んでほしい。その上でしっかり実行するべきだ。日銀が賃金上昇を重視しているように、賃金上昇は非常に重要であり、骨太方針でも強調するべきだ。少子化対策や包摂社会の実現についても賃金上昇のための取組として位置付けていくべき。2章と4章のそれぞれで、経済と財政の取組は裏表の関係であり、それらが連携するように書くべきだ。1章はそれらをつなぐようにすることが大事だ。
 次の民間議員からの意見です。骨太方針の策定に当たって、三つの観点が大事だ。タイミング、分厚い中間層の形成、中長期の視点、である。タイミングについては、デフレ脱却を確実なものとするため、構造的賃上げが必要で、賃金と物価の好循環を通じて成長と分配の好循環を実現することが重要だ。適切なポリシーミックスにより、デフレに戻らないマクロ経済環境にすることが重要だ。「経済あっての財政」を明確にするとともに、このためには分厚い中間層の形成が重要だ。マクロ経済運営についてはダイナミックな財政運営が重要であって、その骨格としてモダン・サプライサイド・エコノミクスの考え方が大事だ。社会課題の解決をターゲットに持続的な成長につなげ、中長期的な財政均衡を目指していくことが必要だ。防衛や少子化対策の支出増が見込まれ、財政が厳しい状況の中、中長期の視点が重要だ。財政支出は効果が出るものに絞り、税制も含めた財源確保により、全世代型社会保障の構築を進める必要がある。
 次の民間議員からの発言です。物価、賃金が上昇しており、潮目が変わっている。価格転嫁をしっかりと進めて、脱デフレのモメンタムを維持することが大事。GXについては迅速に進めていくために、国の資金を投入することが大事だ。GX移行債が市場からも注目されているが、GX移行債の導入に伴い、排出量取引の取組もしっかりと進めていくべきだ。本日公表された東京都区部のCPIでも、物価上昇が強いということが示された。高齢化が進んでいる日本では、物価上昇の影響も大きい。海外の例も参考にしながら、金融政策の柔軟性についても検討していく必要がある。また、財政の信認確保も重要だ。米国の債務上限の問題で、米国債の格付が低下しているが、日本の格付は米国債よりも4~5ランク下だ。これ以上、下げてはならない。こうした点についても経済財政諮問会議で定期的な検証をしていくことが望ましい。
 最後の民間議員からの発言です。質の高い雇用創出や人材移動、大胆な国内投資が重要であり、賃金の持続的な上昇が経済成長の重要なイシューだ。生産年齢人口の引上げはGDPの上昇につながり、日本が世界に冠たる健康長寿の国であることも世界にアピールできる。経済再生と財政健全化の両立とともに、歳出改革の定義が大事だ。歳出改革は、単に支出を減らすということじゃなくて、増やすこともありうる。その際、単年度ではなく、多年度で見て、有効な支出を増やしていくということも含めて考えていくことが大事だ。続けて、経済財政諮問会議の役割について話したい。省庁を超えた政策を推進していくためには、司令塔としての機能強化が大事だ。マクロだけではなく、人材の活性化、国内投資の具体的な進捗など、ミクロの政策の実効性もモニターしていくことが大事だ。こどもや防衛予算が増加していく中で、給付と負担、歳出・歳入を全体的に見ていくことが大事だ。経済・財政一体改革委員会を活用し、モニターしていく仕組みを構築していくことを提案したい。
 以上になります。






(以上)