第6回記者会見要旨:令和5年 会議結果

後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和5年5月15日(月)11:37~12:15
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室

1.発言要旨

 経済財政諮問会議の概要について、ご報告を申し上げます。
 本日は、「金融政策・物価等に関する集中審議」及び「マクロ経済運営の在り方」について、まず、日本銀行の植田総裁から、賃金の上昇を伴う形での、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現に向けて、粘り強く金融緩和を継続していく方針であることの御説明があり、内閣府事務方からデフレ脱却に向けた経済動向等を御説明し、議論を行いました。
 議論の主な内容ですが、ポイントとして、
 賃金上昇やコストの適切な価格転嫁を通じたマークアップ率の確保を伴う賃金と物価の安定的な好循環を目指すべきである。
 「成長と分配の好循環」をマクロ経済運営の目標として、賃金・物価の好循環に持続性を確保すべきである。
 民間投資を引き出すとともに、官民連携の下、社会問題の解決に必要な重点分野への投資を計画的に推進すべきである。
 こうした取組を通じ、人々の物価感と成長期待をともに高め、デフレに後戻りしないとの確信を広く醸成すべきである。
 財政政策は主として潜在成長率の引上げと社会課題解決に重点を置くべきである。また、政府と日本銀行は緊密に連携し、目標を共有してその実現を目指すべきである。
 このようなことがポイントだったと思います。
 総理の締めくくりの発言については、皆様お聞きいただいたとおりだと思いますが、植田日銀総裁からの説明も踏まえまして、
 政府と日銀が密接に連携を図りつつ、マクロ経済運営を行う重要性が高まっていること、
 政府としては、今年度30年ぶりの高い水準となる賃上げを、「賃金と物価の安定的な好循環」につなげるとともに、計画的で重点的な官民連携投資の拡大を進めていくこと、
 こうした取組を通じ、デフレ脱却と持続的な民需主導の経済成長の実現を目指すこと、
 また、特別セッションでの議論も踏まえまして、
 特に政府の供給サイドの取組について、人への投資、グリーン、経済安全保障など、市場や競争に任せるだけでは過小投資となりやすい分野が今後の成長の鍵となっていることが挙げられ、こうした分野で、官が呼び水となって、民間投資を拡大していくことが重要であること、
 また、来るG7サミットで各国とマクロ経済政策を共有するとともに、骨太方針の策定を進めていくこと
 などについて御発言がありました。
 私からは以上です。






2.質疑応答

(問)2点伺います。まず賃金について、先月の日銀の金融政策決定会合で、2%の物価上昇目標に関して賃上げを伴うということが明確化されました。今日の経済財政諮問会議でも、民間議員からその点に関しては密接に政府と日銀が連携するように求められました。総理も賃金上昇は最重要課題であると強調されまして、日銀とどのように連携して、今後、具体的に賃上げに向けた政策を行っていくのか改めて教えてください。もう1点については、マクロ経済政策に関して供給サイドに働きかけていく方針ですが、こちらはG7と共有していくということをおっしゃっていましたが、具体的にどういったことを話し合っていかれるのか。日本政府側から提案していくという形になるのか、もう少し教えていただければと思います。


(答)まず本日の経済財政諮問会議では、今御指摘があったように、植田総裁のほうから、賃金の上昇を伴う形での、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現に向けて、粘り強く金融緩和を継続していく方針が示されました。
 総理からは、締めくくりの発言におきまして、「政府としては、今年度30年ぶりの高い水準となる賃上げを、「賃金と物価の安定的な好循環」につなげるとともに、計画的で重点的な官民連携投資の拡大を進めていくこと。こうした取組を通じて、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成しつつ、デフレ脱却と持続的な民需主導の経済成長の実現を目指す」との御発言がありました。
 こうした両者の意向を中心として、本日の議論も含めまして、しっかりとそれぞれの役割を果たしつつ、両者が互いに協調し合うことによって財政政策と金融政策、相まってしっかりとした政策実現を行っていくこと。また、来月の骨太方針の策定に向けて、そうした対応をしっかりと進めていきたいと考えています。
 サミットにおける、いわゆる各国共通の政策、新しい資本主義の問題をどのようにG7各国に対して打ち出していくかは、これは総理の御発言を期待して待っております。



(問)今日、諮問会議で特別セッションがあったと思うのですが、こちらの狙いと、議論に対する後藤大臣の受け止め、骨太方針にどのように反映させていくのかを改めて教えてください。


特別セッションの有識者の皆様方には、これまで4回にわたって、特別セッションのそれぞれのテーマごとに非常に貴重な御意見をいただいたと思います。総理からも、マクロ経済運営だけではなく、新しい資本主義の取組や国際的な連携の必要性など、大変有意義な御指摘をいただいた、という旨の評価と感謝の言葉が今日はあったと思っています。
 私も同様でありまして、特に政府が供給サイドに働きかけて、例えばモダン・サプライサイド・エコノミクスだとか、あるいはグリーンディールだとか、そうした民間投資を喚起する取組を重視する考え方は、各国共通の政策認識になっていると思います。
 そして、その背景として、市場や競争に任せるだけでは過小投資となりやすい分野、外部不経済の大きいそうした分野について、例えば、人への投資、グリーン、経済安全保障など、官が呼び水となって、官民連携してしっかりと投資をしていくことが今後の鍵となっていくということ、そして、それは社会蓄積資本を築いていくことにもなるということ、そうしたことについてお話があったことは非常に重要だと考えております。官が呼び水となって民間投資を拡大していくことが重要だと思います。
 それから、もう一つは、新しい資本主義を通じて経済の付加価値を高めながら、企業が上げた収益を労働者に分配して、消費も企業投資も伸び、それが新たなる成長につながっていくという、「成長と分配の好循環」を成し遂げて分厚い中間層を復活させていく、そういったことにしっかりと政策としてつなげていく必要があると思います。
 今回の骨太方針については、これから皆さんと十分に話をしながら、骨太方針の考え方も整理していきたいと思いますが、こうした新しい資本主義に対する特別セッションでの様々な御議論、広がりも受け止めつつ、また一方で賃金の引上げ、そして投資や、あるいは経済の状況、こういうことも踏まえながら現状の認識と今後への展望をしっかりとつくっていきたいと考えています。



(問)2点お伺いしたいのですが、まず1点目については、前回の日銀の政策決定会合で、レビューを行うということを表明されて、今日も経済財政諮問会議の中でも総裁から説明があったかと思いますが、このレビューに関して政府としてはどのように関わり、どういった期待を持っていらっしゃるのかお伺いできますでしょうか。


(答)基本的には、日銀の政策について言えば、アコードにおいても定期的にきっちりと検証していく旨は書かれているわけですから、我々としても定期的な検証が必要であるという認識は当然持っています。
 そして、少し長めの検証を行うという御指摘のことですが、私自身が思うのは、ちょうど植田日銀政策委員が登場され、また、金融政策において非伝統的な手法がちょうどとられてきた、そういう時期から少し時間をかけて検証が行われるということは、日銀のお考えについては十分理解のできる、意義のあることだと我々も考えておりますし、日銀がしっかりと日銀のお考えで進められれば良いと思っています。
 また、その間の例えば金融の状況がいろいろ変わるとか、そういう事態が生じるような場合に、別にこの検証をしていること自体が政策決定の足かせになるわけではないと日銀は説明もしておりますし、そうした意味では、今後、様々な下振れリスクだとか、経済・金融において生じている変化等には丁寧に対応していく必要がある。そこは政府も挙げて対応していきたいと思っています。



(問)併せてお伺いしたいのですが、本日の特別セッションでも質的・量的緩和の問題点などの弊害について指摘する声もありましたが、大臣としては、この量的緩和の弊害などについて指摘が出たことについて、今後の金融政策についてどのようにお考えかお伺いできますでしょうか。


(答)検証については、十分にこれからそれぞれのお立場で検証をしていただいたら良い。私がここで早急に、そうしたことについての評価をすることについては控えたいと思います。



(問)今日の話ではなくて恐縮ですが、昨週の金曜日に公表したGDPギャップについて教えてください。これまで需要不足を大きく見積もり過ぎていたのではないかという点と、GDPギャップがこれまで経済対策の規模を考える一環ともなってきたことについて、これまでの経済対策の規模が必要とされるものよりも大きく出ていたのではないかという点について御所感と受け止めを教えてください。


(答)GDPギャップの推計に当たっては、これまで、コロナ禍で経済活動の政策的な抑制により下振れていた労働時間等について、コロナ禍前の水準で一定との仮定を置いて推計していたわけです。
今般、経済社会活動が正常化していく中で、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更等を踏まえて、それらの仮定を見直したところ、GDPギャップのマイナス幅が縮小したものだと考えています。
 それから、経済対策の策定に当たりましては、今、GDPギャップの御指摘もあったのですが、このGDPギャップも含めて様々なマクロ指標を使います。また、先行きの下振れリスクも勘案し、また現場のそれぞれの国民生活や事業活動の実態など、総合的に経済の状況を勘案して必要な施策を取りまとめていく。ですから、そういう意味で、GDPギャップのみを基準にして、その穴埋めを行うための財政出動を考えているというわけではありません。
 今回の推計見直しについてGDPギャップが縮小したのは、コロナ禍において想定していたよりも潜在成長率が低下したことによる、その結果の現れであるとも思います。まさに、当時の経済対策を通じて経済を回復させる、潜在成長率を下げないようにしっかりと対策をしていく、そういう十分な中身と規模の政策をしっかり講じることが必要な局面であったということについては言えるのではないかと思っています。











3.村瀬内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 
 令和5年第6回諮問会議について、概要を報告いたします。本日は、先ほど大臣から御紹介があったような議題に基づきまして、まず植田日銀総裁から資料1についての説明があり、その後私の方から資料2について説明を行い、その上で議論を行いました。
 主な意見を紹介いたします。まず、特別セッションの有識者の方の発言について、順に説明いたします。
 一人目の有識者です。量的・質的金融緩和は過去10年間にデフレを止めて1~2%程度のインフレを達成するのに一定程度の効果があった。1~2%のインフレを維持するのは活発な財・労働市場と効果的な金融政策のために重要である。しかし、現在、世界的にインフレが進行し、世界的な目標値を超えるインフレが続いている状況である。量的・質的緩和の副作用は、不動産等の資産価格が高くなり、新規企業の参入や若い世帯の住宅取得が困難になること、長期的に生産性や総生産の成長を停滞させることになること、また、長期金利を低く抑え続けると国民負担が上昇して国が損をするという側面があることである。そのため、インフレ率が1~2%に定着すれば、量的・質的緩和は解除するのが望ましい。また、労働生産性について他国と同程度の水準を目指し、デフレになりにくくなるように生産性を向上させる必要がある。最も効果的なのは無形資産の蓄積と技術進歩である。
 二人目の有識者です。消費者のインフレ予測は2022年春から顕著に改善し、現時点では欧米の消費者の認識と大差がない状況になっている。企業は、2021年夏以降コスト増の国内価格への転嫁を進めているが、賃金は据置きとの予想が依然として過半を占めているなど、賃金という点においては欧米との差が縮まっていないという状況にある。そうした中で日銀のフォワードガイダンスにおいて賃金について言及があったことは適切である。物価と同様に賃金についても数値目標を示すことなども考えていくべきだ。政府においては、最低賃金上昇への関与を強めて目標を示していくべきだ。政府による最賃の改定は賃金全体に影響を及ぼす。政府と日銀の協調が必要である。
 三人目の有識者です。2000年以降の日本経済の特徴として低成長、低金利、低インフレが挙げられる。これらの特徴はリーマンショック後、他の主要国で見られるが、名目賃金の低迷というのは日本固有の特徴である。足元では賃上げの流れは加速しつつある。欧米諸国では過度な賃上げによる賃金、物価のスパイラルへの懸念も見え始めているが、現状、日本では賃上げはデフレ脱却のメリットの方が大きいような状況にある。持続的な賃上げを実現するためには経済の構造改革が不可避であって、政府は競争力と成長力の強化に向けた取組を積極的に進めるべきである。特に新陳代謝の促進は不可欠であり、政府と日銀の共同声明に基づき政府と日銀が一体となって取り組むことが経済再生につながる。
 四人目の有識者です。財政の役割は高まっている。日本は単年度の税収中立に縛られ減税が使いにくく、補助金や給付金など、政府の手段が裁量的な支出に限られやすいので、積極的に減税を手段として用いるようにすべき。中長期的な税制中立を図ることが世界標準であって、給付金や補助金よりもGDPを押し上げる効果が高い減税という手段によって、より民間投資を喚起していくべき。アメリカの財政健全化目標を参考にしつつ、利払い費が急騰またはGDP比2%以上になるのを避けながら、成長を促進する分野に焦点を当てた財政政策を行っていくべきであり、財政健全化のメルクマールは、利払い費ということで見ていくのが適切ではないか。
 五人目の有識者です。現状でのマクロ経済政策運営議論と、仮にコロナ危機がなかった場合の議論では、コロナ禍の財政政策の潜在的な影響や社会経済活動抑制への潜在的影響、コロナ危機による物価上昇圧力の潜在的な影響などについて、相違点がある。こうしたことを考慮して、ポストコロナのマクロ経済政策運営は、短期的には財政支出の正常化、中長期的には物価上昇圧力が持続的であれば金融政策の正常化、ということを進めていくべきだ。非伝統的な金融政策による影響は知見が少ないため、政策効果と副作用の検証、検証効果の説明が重要になる。これら二つの正常化を過去3年間に新型コロナ危機の影響を特に受けた人々、特に女性といったようなところに配慮しつつ進めることが理想的な対応である。
 六人目の有識者です。環境問題、経済安全保障、少子高齢化、人口減少、財政など過去の経済計画や中長期展望で挙げられている目的や目標は、現在の環境においても重要だ。中長期的な視野に基づく成長政策が重要である。賃金の持続的向上のためにも、生産性向上や交易条件についての速報性のある指標も見ながら、マクロ経済政策運営を進めるべき。例えば生産性であれば、参入率・退出率、労働市場の流動化指標、無形資産の投資、働き方改革指標など、交易条件であればエネルギー政策に関する指標などの動きを見ながら機動的な対応が必要だ。
 七人目の有識者です。既存の組織の縦割りを打ち破って産学官連携した戦略的な対応が必要であり、ミッション志向の政策を進めていくべきだ、様々な新しい資本主義の重要なミッションについて、持続可能な所得成長という共通のパーパスを持った取組において進めていくべきだ。
 八人目の有識者です。経済成長なしでは財政再建はなし得ないということではあるが、短期の需要喚起が続くということではなくて、中長期的な経済成長につながる成長戦略、構造改革が重要である。規模ありきの需要喚起ではなく、生産性の向上、そして、より供給サイドに政策対応のシフトを進めていくべきだ。財政は中長期的な均衡が重要であり、安全保障、子育て支援など、中長期的な支出には恒久的な財源が必要だ。また財政余力の確保により将来のリスクに備えつつ、人口減少に対応した経済、年金等の社会保障制度の再構築を進めて人口減少に備えていくべきだ。
 その上で柳川議員から資料3について説明があり、閣僚その他民間議員より御発言がありました。
 まず西村経済産業大臣から発言がありました。これまでも申し上げてきたとおり、足下、消費がコロナ前に戻りつつあり賃上げも進み、投資もバブル期の水準を上回る見通しであるなど、潮目が変わってきている。さらに、先ほど植田総裁から御説明があった展望レポートでも示されているとおり、賃金の上振れから物価の見通しが上振れている。企業、消費者の予想物価上昇率も高まってきている。まさに、「デフレマインドからの脱却」が起ころうとしている。今こそ、足下の物価高、賃上げ、そして人手不足、金利上昇などの環境でも成長できる新たな経済構造を構築していく絶好の機会であり、ラストチャンスでもある。この機会を活かし、成長軌道への移行を実現するためには、構造改革・新陳代謝を進展させて、投資イノベーションを進めていくこと必要。足下の3~5年を、今後10年、20年の成長基盤の構築に向けたジャンプの期間とし、集中的な投資、人材育成、改革を進めなければならない。政府がイニシアティブをとって、ポストコロナを踏まえた必要な支援を、メリハリをつけつつ躊躇なく行っていくことが必要だ。足下、先端半導体を中心に外資系企業の国内投資意欲が高まっており、中堅・中小企業の設備投資意欲も高い中、ワイズスペンディングで日本経済のジャンプを大胆に支えていく。この結果、マクロで見れば民間の投資、消費が増えることになれば、税収も増え、結果として政府収支の改善につながることも期待できる。こうしたことで日本経済を成長軌道に乗せていきたい。
 次に、金子財務省大臣政務官から御発言がありました。マクロ経済運営に当たっては、民間主導による持続的な経済成長と財政健全化を両立することが重要だ。日本経済の成長力強化を図るとともに、責任ある財政運営を行っていくためにも、歳出全体を通じて「成果志向の支出」を徹底する必要があると考えている。また、内外の経済や金融市場を巡る不確実性が極めて高い中、日本銀行においては、政府と密接に連携を図りつつ、物価安定目標の持続的、安定的な実現を目指し、しっかり取り組んでいただくことを期待する。
 続けて、民間議員から発言がありました。3名の方から発言があり、まず1人目の発言ですが、我が国経済のダイナミズムを取り戻すためにはマクロ経済政策、社会保障、税制、労働政策を三位一体で改革していくこと、中長期の財政運営といった点が大事だ。前者については、海外経済が減速していく中で来年も持続的な賃金上昇となるためには、デフレマインドの払拭と持続的な経済成長が重要だ。個人消費の拡大には賃上げだけではなくて、税制や社会保障の構築が重要だ。個人や企業に追加的な負担をするような政策は謹んでいただくことが重要だと考える。また労働政策については、円滑な労働移動や働き方改革等が重要だ。分厚い中間層の形成が持続的な経済成長につながっていく。財政については、社会課題の解決にあたってはターゲットを絞る必要がある。民間だけでは解決できない課題について政府が支出していくことが大事だ。民間の予見可能性を高めるためにも中長期で考え、補正予算ではなく当初予算で措置し、中長期で財政が均衡するような財政運営をしていくべきだ。例えば、GX経済移行債の取組がモデルとなる。こうした取組が広がっていくことを期待する。
 次の民間議員からの発言です。脱デフレについて、適切で心地良いインフレを目指すためにも、賃金上昇が必要だ。経済成長について、国や企業、民間、大学の競争力を高める必要があり、特にGXへの投資を着実な成長に結びつけることが重要だ。これは貿易黒字にもつながる分野だけに、例えば排出権取引市場やバイオに関するデータ、森林ファイナンスなどといったように、こうした分野に重点的に取り組み、どこに重点的な投資を行っていくかしっかり考えていく必要がある。またポリシーミックスについては、日本銀行の金融政策の自由度を高めるという観点からも、経済成長と財政健全化の両立を目指すことが重要だ。今アメリカの債務の問題が市場からネガティブに取り上げられている状況にある中で、財政健全化の取組は改めて重要だ。無駄な支出の見直しを行う必要がある。コロナが5類に移行したことを踏まえ、病院の役割の法制度化や、これまでのコロナ関連の財政出動で無駄がないかなど、様々見直していく必要がある。リスキリング支援や子ども・子育て、防衛費など、様々な政策課題はあるが、優先順位をつけて効果的な財政運営を行うことをお願いしたい。
 最後の民間議員からの発言です。日銀の金融緩和だけではデフレ脱却まではいかなかった。賃金上昇が大事であって、これを進める上で政府も国内投資の拡大や新陳代謝を伴う構造改革等をしっかりと行うことが重要だ。人手不足だという議論があったが、こうしたことをむしろ好機と捉え政府が民間投資を呼び込む大胆なパッケージを策定するべきだ。西村大臣のおっしゃるとおりであり、強力なメッセージを発信していくべきだ。海外に行って思ったが、日本は欧米に比べて地政学的な観点から必ずしも自国内の産業政策に基づく対応が十分できていない面、ナイーブな面があるのではないかと感じた。しっかりと自国内の産業政策、産業投資を戦略的に進めていく必要がある。このため、単年度ではなくて多年度で考えていく取組が重要である。経済財政諮問会議でも、マクロ経済政策運営のみならず、政策がワイズスペンディングで進められているかといった点についてもしっかりとモニターしていくことが重要だと考えている。また健康寿命が延びる中で、生産年齢人口の定義も70歳や75歳として、働ける人が働けるようにしていくことが重要だ。中小企業において、5年後の最低賃金の高い目標を立てていくといったようなことが重要だ。そのためにも、労務費をしっかりと中小企業が転嫁できる仕組みが重要である。企業において、そういった取組をしっかり進められる環境を整えていく必要がある。また人材育成に関する情報開示といったような環境整備も大事である。
 以上であります。
 以上でございます。






(以上)