第1回記者会見要旨:令和5年 会議結果

後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和5年1月16日(月)18:21~19:00
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室

1.発言要旨

 経済財政諮問会議の概要について、ご報告を申し上げます。本日は、先週金曜日にお知らせいたしました8名の有識者も交えて、特別セッションの第1回目を開催いたしました。中長期を見据えた経済財政政策の論点についての議論を行っております。
 中長期を見据えた経済財政運営の在り方に関する議論では、主に次のような意見がありました。持続的な成長、少子高齢化、適正な分配、財政の持続、環境の持続といった各政策目的に最も有効な政策手段を割り当てるべきである。足元の経済環境の変化を踏まえ、ポストコロナにおける財政金融政策の役割を考えるべきである。それから、企業が原価上昇の価格への転嫁を積極化しつつある中、賃金と金利も動く新たな均衡を目指すべきである。
 また、成長と分配の好循環の実現に向けた考え方、および目指すべき経済社会構造の在り方に関する議論では、主に次のような意見がありました。少子高齢化が深刻になる前に抜本的な構造改革の実行が重要である。中長期の経済構造転換、非常時の財政余力の確保、セーフティネットの再構築を一体的に進める必要がある。循環型社会の実現、女性の所得向上、高齢者の活躍を通じた質の高い成長を実現すべきである。生産性改善のため、有形、無形資産双方への投資を増やす必要がある。
 以上のようなご意見等があり、幅広い意見を有識者の先生方、または議員からも頂きました。
 総理からの締めくくりの発言についてはお聞きいただいたとおりでありますが、今年の骨太方針に向けて、引き続き議論を深めていきたい旨の発言がございました。詳細については後ほど事務方から説明をさせていただきます。






2.質疑応答

(問)まず、特別セッションに関して2点質問させていただきます。成長と分配の好循環の実現など、これまで新しい資本主義実現本部などでも議論されていたようなテーマも複数ありますが、今後そういった既にある会議体とどのようにすみ分けて、こちらの特別セッションで議論をされていくのか、具体的にどう議論を進めていくかを教えてください。
 2点目ですが、総理の御発言にもありましたが、骨太の方針に反映するということですが、この特別セッションでの議論を骨太の方針に出す前に、何か成果物をお出しになるご予定はありますでしょうか。いつごろまでにどれぐらいの議論を重ねて何か結論を得るのかどうかなど、今後のスケジュールについて教えてください。


(答)まず、本日の経済財政諮問会議の議論においては、昨年末に総理から検討するようにご指示があった論点、中長期を見据えたマクロ経済運営の在り方、成長と分配の好循環の実現に向けた考え方、目指すべき経済社会構造の在り方について、幅広い観点から検討課題の提示があり、こうした問題について、3つの論点それぞれについて議論を深めていく形で特別セッションは進めていく。その上で議論した結果について、マクロ経済財政運営や骨太方針の取りまとめに生かしていくということで考えています。
 経済諮問会議においては、政府の経済財政運営の司令塔として、マクロ経済、財政運営の基本的な方向性を議論しております。新しい資本主義実現会議については、新しい資本主義の哲学、政策等を議論しているわけですが、経済財政諮問会議においては、こうしたマクロ経済、財政運営の基本的な方向性、あるいは政策自体の整合性の議論や、そういったものを中心に進めていくというふうに考えております。
 それから、この特別セッション自身は数回程度実施する予定です。また、今の段階で、特にこのセッションそのものについての結果の取りまとめを行う予定をしておりませんので、骨太の方針、今後のマクロ経済政策運営そのものに反映をしていくというふうに考えています。



(問)もう1点、明日から大臣がご出張されるダボス会議でのセッションについてもお伺いします。こちら、前回の会見の時に、日本がどのような経済財政運営を目指しているかを中心に説明されるという御発言ありましたが、今日の総理の御発言でもありましたが、今、政権としては経済あっての財政ということを強調されております。特に経済に関しての発信が多いように感じていますけれども、一方でイギリス等を見ていますと、財政あっての経済の側面もあるのかなというふうに感じておりますが、日本の経済財政運営に関して国際的な信頼を得ていくために、どのような発信を今回のダボス会議でされていこうとお考えなのか、そのあたりをお聞かせください。



(答)先週13日の会見で申し上げたとおり、ダボス会議では日本の経済政策に関するセッション「Country Strategy Dialogue on Japan」ということで、そこのセッションにパネリストとして登壇しまして、日本の足元のマクロ経済政策や新しい資本主義の取り組みなど、日本がどのような経済財政運営を目指しているかを中心に説明する予定です。
 その中で、日本の経済財政運営の基本は、現状、まずは経済あっての財政であって、経済を立て直す、そして財政健全化に取り組んでいくという点についてもお話をしたいというふうに思っておりますし、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信任が失われないように、責任ある経済財政運営を行うというわが国の方針もしっかりと説明したいというふうに考えています。
 先方からは、新しい資本主義の考え方についてもよく説明してほしいという要望もありますので、そうしたことについても丁寧にお話をしていきたいというふうに思います。
 それから、ご質問に関係のないことについてお話をして恐縮ですが、併せてダボス会議出席予定の、本年のTPP、CPTPPの委員会議長国であるニュージーランドのオーコナー貿易・促進大臣、それからイギリスのベイデノック国際貿易大臣と、CPTPPに関する会談を行う予定でありまして、イギリスのCPTPP管理等について両大臣と議論をする予定であります。



(問)今日の諮問会議についてお伺いしますが、今日、総理も中長期の経済財政運営についての全体像を明らかにしていくという御発言もございました。大臣の先日の会見で、これまでの延長線上にないような政策が求められるというようなお話をされていらっしゃいましたが、今後のセッションの中で、アベノミクスで掲げてきたような金融財政政策とどのように違ったような絵姿といいますか、全体像を描いていかれるようなお考えなのか、現時点での大臣のお考えをお伺いできればと思います。


(答)今、世界的にも新しい経済政策の考え方に動いているような印象を、世界で共有していると思います。2022年1月にイエレン財務長官がモダン・サプライサイド・エコノミクスというようなことで、人的資本、公共インフラ、研究開発、持続可能な環境への投資などを優先することで、経済成長を高めることに加えて、長期的な構造問題や不平等への対処の問題、そうしたことに対してもしっかりと対応していくと。従来のサプライサイドのエコノミクスとは違うような、そうした政策という議論もされていますし、それが2022年1月の発表でありましたが、我が国においても、その前の年の総理からの総裁選挙や、あるいは総理就任の時から新しい資本主義という形で、成長と分配の好循環、課題解決をエンジンにして成長と分配の好循環ということでお話をしているわけでありますし、イノベーションや付加価値を高めていくことと、それから適正な価格付けを行ってマークアップ率を高める中で、きちんと物価に十分負けない実質賃金の上昇や、価格転嫁を可能にするような支払いをすることによって好循環をしっかりしていくと、そういうような話で、今、新しい経済政策を進めているので、そういう意味で、新しい今後のポストコロナ時代の国際的な経済条件、グローバルなリスク要件とか、あるいは今後の我が国の置かれている経済財政の状況、そうしたことも幅広く考えながら、今後のマクロ経済政策、経済財政政策を考えていくというふうに思います。



(問)骨太までに数回この特別セッションがあるということですが諮問会議の一部のため日銀総裁も出席はされています。おそらく2月以降、新しい総裁が内示されたり決まったりすると思うのですが、その際は新旧総裁が出るのでしょうか。


(答)そもそも、任期は決まっていますが、まだどういう方が新旧であるかといったことも全く分かりませんし、将来のことについての議論はいたしませんが、役職として出ておられる方は役職の方が出られるということだと思いますが、いずれにしてもその問題については全く今の段階では考えはありませんし、総理にしっかりと決めていただくことだというふうにも思います。



(問)2つ目ですが、資料5を見ると、東大の渡辺努先生の資料がありまして、現行の日銀の政策に弊害がありますとはっきり書いてるのですが、渡辺先生はどちらかというと黒田緩和を最初高く評価されてた先生なのですが、渡辺先生がこう書かれるってことは、結構、現行日銀政策に対する懸念の声が、今日の会議も既に結構出ていたということなのでしょうか。それとも、議論としてはニュートラルな感じだったのでしょうか。



(答)個別の有識者の先生の御意見について、あまり評価や紹介をするのもいかがかと思います。3日程度後には議事要旨が出ますので、そこで見ていただきたいと思っていますが、価格、賃金、金利、そうしたものの凍結がもたらす弊害と、今後どういうふうに動いていくかということについて、今日は先生の忌憚(きたん)のないご意見を伺ったところであります。
 日銀総裁からは、当然ブラックアウト期間中ですし、何の御発言もございません。








3.村瀬内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 令和5年第1回諮問会議について、概要を報告いたします。本日は、先ほど大臣からも御紹介がありましたように、中長期を見据えた経済財政政策の論点ということで、8名の有識者の方々にも参加いただいて議論しました。
 本セッションにおける検討課題ということで、柳川議員から資料1に沿った説明があった後、有識者から論点別に御発言がありました。
 まず、1点目の論点として「中長期を見据えた経済財政運営の在り方」について議論しました。主なご意見を紹介いたします。
まず一人目の有識者です。マクロ経済政策において、複数の政策目的がある場合には、政策目的と同数以上の政策手段が必要。
 例えば経済対策については、景気対策だけでなく持続的な成長のための取組が重要である。そのために例えば、持続成長に向けてはイノベーション、ヒト・モノ・カネが内外を行き来するような環境を作っていく。特に、基礎的研究については、民間だけでは対応できないので、海外から日本へと資金と人を呼び込むといったことが重要。
 それから、分配政策は正に社会保障政策が大事である。質の高い基礎教育、幼児教育も含めて、こうした対応が必要になってくる。
 財政再建は、政府が対処すべき課題であり、これについては例えば定年の延長や、増税が必要になってくる。また、環境についても炭素税を海外と連携して進めるといったことも考えなければいけない。岸田総理のリーダーシップに是非期待をしていきたいといった御発言でした。
 二人目の有識者です。2008年の世界金融危機の前後で、財政・金融政策の役割に変化が生じている。危機後は金融政策が下方金利制約に直面するといった中で、財政政策に景気刺激策としての役割が期待されるニューノーマルという考え方に基づく政策が実施されるようになった。
 一方で、日本では景気回復局面でもインフレ率が長期にわたって目標値以下で推移する中で、いわゆる欧米のニューノーマルとは異なる道をたどってきた。ポストコロナにおいて、インフレ率が持続的に目標を達成する場合には、ニューノーマルといったような考え方が一つの指針となるが、達成されない場合にどうしていくかということについて、検討が進められていくべきといった御発言でした。
 三人目の有識者です。財政・金融政策を通じた需要刺激策が、かつては短期の政策手法だと思われていたが、現在的には長期の成長戦略としても重要ということが、マクロ経済政策の世界的な新たなコンセンサスになってきている。
 財政政策において、財政規律についても様々な理論的な構築が進んできている。例えば利払費でコントロールするといった考え方も必要になってくるのではないか。従来の考えよりも、財政政策の余地が大きいといった議論が出てきている。我が国でも将来の成長に貢献し、長期的に便益が費用を上回るといった財政政策を積極的に進めていくことが、中長期の成長政策としても大事であるといった御発言でした。
 四人目の有識者です。価格、賃金、金利が動かない中で、商品、労働、プロジェクトの品質面での悪化が進んできた。
 一方で、足元では消費者や企業行動において、価格に解凍の兆しが見えてきている。価格の解凍に続いて賃上げが実現し、金利も動き始める新たな均衡を目指すということと、再度凍結という意味での元の均衡に戻るという二つのオプション、選択肢があるが、前者を実現していくためにどうするかというのが課題になっているという御発言でした。
 続けて、二つ目のセッションで「成長と分配の好循環の実現に向けた考え方」と「目指すべき経済社会構造の在り方」について議論しました。主なご意見を紹介させていただきます。
一人目の有識者の方です。1990年以降、日本は先進主要国の中で最も成長率が低い国の一つになってしまっている。我が国の資金フローを見ると、かつては家計の豊富な資金が民間企業に流れて成長を支えていたが、現在では資金が政府部門に流れていて、国債を買い支える形になっている。今後、こうした資金を成長性の高い民間企業に流していくことが重要である。
 それから、少子化問題は団塊ジュニアが高齢化する今後、より深刻になっていくので、そうした事態になる前に手を打つ必要がある。抜本的な構造改革を実行していくといった、一貫した政策スタンスが重要になってくるといった御発言でした。
 二人目の有識者です。金利の上昇圧力や中長期の経済構造の転換など、これまでの財政政策が前提としてきた経済環境が変わりつつある。そうした中で、正しいポリシーミックスが求められてきている。強靱な財政を作り上げていくことが必要。
 成長については、誰が成長を担うかが重要であり、これまでいた人、今いる人ではなく、これから出てくる新たな担い手が大事である。そういう意味では、スタートアップが大事になってくる。ヒト・モノ・カネを動かす新陳代謝が必要である。
 それから、格差是正を進める中で、セーフティネットの再構築が必要である。収入減に応じた支援が必要ということがコロナ禍で必要になったが、そういった中でマイナンバーの活用なども考えていく必要があり、リアルタイムの情報を活用した給付などもできるようなインフラを整えていく必要があるといった御発言でした。
 それから三人目の有識者です。日本経済の最大の問題点は、生産性がコロナ危機以前から低迷していて、現在も十分に回復していないことである。このため、経済のダイナミズムを回復するための支援政策が必要。例えば女性支援、それから若年者以外にも支援も大事だが、高齢者をリスキリングしていくことや循環型経済を地域を含めて再構築していくような投資といったものがダイナミズムを生み出すために重要である。
 四人目の有識者です。賃金上昇に合わせて生産性の改善がなければ、資本分配が抑制されるため、生産性拡大が重要である。有形な設備資産投資の停滞に加えて、人への投資を中心に無形資産投資も米国ほどは増えていない。有形、無形の資産双方を増やす必要がある。また、生産性が高い産業に人が移動していないことが課題であり、労働市場の流動化といったことが大事である。これまで悪化してきた資源配分の効率性が、コロナ禍に改善の兆しが出てきており、こうした動きを妨げない政策が必要である。人的資本投資を長きにわたって支援する姿勢を示していくことが必要だという御発言でした。
 次に、これらの課題を踏まえて意見交換が行われました。主なご意見を紹介させていただきます。
 鈴木財務大臣です。財政に対する市場の信認を確保し将来世代への責任を果たしていくためにも、引き続き財政健全化の旗を下ろさず、責任ある財政運営を行っていくことが不可欠。
 昨年秋に、英国において財政運営に対する市場の信認が低下し、経済社会に混乱が生じたことを他山の石とする必要がある。両国の事情はマクロの環境は異なるものの、日本を取り巻く環境も変化していることに加え、財政状況はイギリスよりも格段に悪いことを直視するべきである。日本経済の成長力を高めていくためにも、重要なことは、必要な規制制度改革等と併せて歳出全体を通じて成果志向の支出を徹底していくことであり、このセッションでもそうした議論を期待したいという御発言でした。
 次に民間議員です。今回のセッションで中長期の経済財政の構造改革と金融政策の在り方を議論していくことが重要。日本のビジョンを考える上で三つの観点が大事。世帯ベースの実質賃金が恒常的に上昇していくこと。賃金が上がることで従業員のモチベーションが上がり、生産性が上がっていくことが必要。大中小の企業の新陳代謝が進む環境は重要であり、人材のリスキリング等をしっかりと行っていくべきだ。全国で最低賃金が1,000円以上になることを早期に達成していくことが大事である。
 二つ目は、女性の活躍。公助だけではなくNPOの支援も大事。いわゆる106万円、130万円の壁といったような課題についても解消に取り組むべき。企業としては、企業における男女の賃金格差などジェンダーギャップについての改善も進めていくべき。若い世代の世帯収入が増加すれば消費活性化につながり、子供を持ちたいというモチベーションにもつながっていく。
 三つ目が財政健全化。中長期の観点から、民間中心の構造へと転換していくべき。社会保障について、マイナンバーを活用して応能負担を進めていくべきで、EBPM、ワイズスペンディングを推進する、乗数効果の高い少子化対策等に財政支出を重点化していくべきだといった御発言でした。
 次の民間議員です。我が国の失われた30年を解消していくため、新しい資本主義を進めていくことが大事であり、モダン・サプライサイド・エコノミクスの観点なども踏まえて従来型の規制改革などのサプライサイド改革を進める一方で、格差の問題や生態系、環境といった問題に、ターゲットを絞った政府の支援、財政出動も考えていくべき。
 官民連携としては、GXの推進が好事例として挙げられる。格差の是正のためには、分厚い中間層の形成が重要であり、賃金上昇によって我が国の少子化の歯止めにもつながっていく。賃金を引き上げ、個人消費を上昇させるためにも、全世代型社会保障の構築が必要。構造的な賃上げには、円滑な労働移動等が重要であり、賃金の上昇とマイルドな物価上昇といった賃金と物価の好循環を目指すべき。
 持続的な経済成長を達成するための論点は非常に多く、相互に関連する。経済学の宇沢教授が主張した社会性の話や、公平性、正義といった哲学を伴いながら、議論を深めていくことが大事だといった御発言でした。
 別の民間議員です。アコードにおいて、諮問会議で定期的検証を行っていくということになっているが、これをしっかりやっていくことが大事。また、様々な政策課題があるが、優先順位を付けて取り組んでいくことが大事。賃金を上昇させていくためには、日本の競争力を向上させることが重要であり、DXの徹底、マイナンバーの活用などを行いながら、経済成長につなげていくことが大事。
 また、鈴木財務大臣が発言したように、財源をどうするかを議論することが重要であるといった御発言でした。
 次の民間議員です。中長期的な政策を考える上で、どのようなタイミングで、どのような状況ならば、どのような政策をどのような順番で行っていくのか、そういったシークエンスを考えることが、経済財政諮問会議における議論において重要であり、経済財政諮問会議はきめ細かなプロセス管理を行っていくことが必要。
 成長率を高めるためには、ある種のミクロ的な構造改革を行って、成長につなげていくことが大事。成長と景気対策は、成長のための対策と景気対策は区別して考えるべき。マクロ政策とミクロ政策のポリシーミックスが重要。
 それから、今の財政フレームでは2024年度までの枠組みしかないが、その先も含めて、どういう枠組みで進めていくのかというものを考えていくことも重要であるといった御発言でした。
 次に再度有識者も含めて意見交換を実施し数名の有識者から2回目の御発言がありました。
 一人目の有識者です。経済学者は成長と分配といった中長期的な課題と、ポリシーミックスといった短期の課題を分けて考えがちだが、本日の議論を通じて両者の関連が深く一体だということが確認できたように思う。特に賃金を見ることが重要であり、賃金を高めることで労働者の意欲が高まり、生産性を高めていくということは、いわゆる企業内のミクロ政策でもマクロの観点からも重要であるといった御発言でした。
 二人目の有識者です。財政と金融について異常な状態が長く続いている中で、ポリシーミックスは少しずつ調整していくことが重要ではあるが、市場が待ってくれないといったことや、マーケットが突然反応するといったこともある。例えばギリシャの財政危機は突然起こったし、米国でもものすごい勢いで金利を上げざるを得なくなった。市場、マーケットの動きや危機対応といったことも、しっかり考えておくべきであるといった御発言でした。
 三人目の有識者です。日本における技術を向上させていくため、イノベーションを起こすためには、海外との交流が重要であり、日本からの投資だけではなくて、海外からの直接投資や、技術を持っていて、日本に好意的な方々を呼んでくるということが、極めて重要である。投資は日本と海外の双方向で交流がないと、技術は進まない。一方的では駄目である。特に国内への直接投資を刺激する、人を呼び込んでいくということが重要であるといったご発言でした。
 四人目の有識者です。全ての政策を同時に実行することはできない。時間軸を作り優先順位を付けて対応していくことが重要。例えば、税の話でも、必要だと言ってもすぐやるというわけではないが、必要なときにすぐにできるかというと、準備をしておかなければいけないので、あらかじめ、どのようなタイミングで何が必要かということを考えておくことが大事といった御発言がありました。
 発言は以上で、最後に、総理から御発言がございましたが、お聞きになったとおりです。






(以上)