第13回記者会見要旨:令和4年 会議結果

後藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和4年11月2日(水)19:21~20:12
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室

1.発言要旨

 経済財政諮問会議の概要についてご報告をいたします。
 本日は3つの議題、「金融政策、物価等に関する集中審議」、「マイナンバー活用による生活・社会保障の向上」、「防衛力と経済基盤の一体強化」についての議論を行いました。
 「金融政策、物価等に関する集中審議」につきましては、主に次のような意見がありました。
 日本経済は大きな環境変化に直面している中、「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」を重点分野とする、今回の総合経済対策を迅速に起動させて、ジャンプスタートを実現すべきである。経済対策の効果を最大限に引き出し、その先の予見性を高めるためにも、中長期的に経済再生を実現する道筋を示していくべき。
 それから「マイナンバー活用による生活・社会保障の向上」について、主に次のような意見がありました。
 マイナンバーの国民生活における利活用拡大について、データがどのように利用され、個人情報はどう守られるのか、どのような利便性が実現できるのかという課題に対して、政府は、明確なビッグピクチャーを示して、国民理解を図っていくべき。
 それから、医療・介護分野におけるデジタルトランスフォーメーションの拡大を通じた国民の利便性向上を実現するために、パーソナルヘルスレコードの活用基盤整備を早期に進めるとともに、オンライン診断の強力な推進や膨大な医療情報を、ビッグデータとして更に活用する環境の整備を進めるべき。
 それから、迅速な給付を含め、必要な者に必要な支援を提供するためには、マイナンバーに紐付いた情報の充実や、情報連携の拡大を含む制度改革が重要。改革の実行を促し、全体の進捗を管理するため、改革の年限を区切ったロードマップ案を諮問会議に提出していくべき。
 それから、第3の「防衛力と経済基盤の一体強化」については、主に次のような御指摘がありました。
 今後の防衛力強化には、経済財政基盤の維持・強化も含めた総合的な防衛体制の強化が必要。研究開発やインフラについて、官民のデュアルユースを推進するとともに、我が国の防衛力に資する取り組みを省庁横断的に一体的に取り扱うべき。ワイズスペンディングを徹底した上で、その増額に安定財源を計画的に確保することが重要。政府が多年度にわたる調達規模や研究開発等の方向性を示すことで、民間の予見可能性を高めながら、企業の新規参入や民間の先端技術の活用を推進していくべき。
 総理からの締めくくりの発言については、お聞きいただいたとおりです。詳細については、後ほど事務方から説明させていただきますが、私からは冒頭、諮問会議の状況についてご説明をさせていただきました。






2.質疑応答

(問)防衛費の財源についてお伺いします。諮問会議では民間議員からの提言で、安定財源を確保していく必要があるとの言及がありました。また、先日あった防衛力強化に関する有識者会議でも、防衛費財源は国債発行に頼らず、増税などの国民負担を求めるとの指摘も出ています。これらを受けて、防衛費の財源の選択肢について、大臣のお考えをお願いします。


(答)防衛費の財源の在り方については、既に総理がおっしゃっているとおりでありますが、必要となる防衛力の内容に応じて考えていくことが重要であると思います。防衛力強化の内容をしっかりと積み上げる。それに応じて予算の額を明らかにし、そしてその財源を考えていくという形で、一体的に検討していく必要があると承知をしています。
 具体的な財源については、本日の議論も踏まえた上で、有識者会議において一体的な議論が行われるものと承知をいたしております。



(問)本日、諮問会議で総理から、マイナンバーの活用に関して、具体的なロードマップを整理し、諮問会議に報告するというような指示があったかと思いますが、これに関してはどのような論点を整理され、また時期についてはどういったタイミングで報告されるようなお考えかお伺いします。


(答)ロードマップの検討に当たりましては、本日の民間議員提出資料に記載のあった課題等を踏まえて、国民の利便性の向上につながる取組を中心に、内容の具体化を図っていきたいと考えています。
 具体的には、国民的理解の拡大や行政事務の効率化、所得等の情報の活用による給付の迅速化の問題への対応を検討していきたいと考えています。
 また、マイナンバー利活用拡大については、9月に経済諮問会議の下に置かれている経済・財政一体改革推進委員会でも議論が行われており、この委員会とも連携していくべきと考えています。
 このため、本日の総理からのロードマップの報告をせよという御指示も踏まえて、私の下でこの委員会の委員や専門家にも参加していただき、デジタル庁や厚生労働省など関係省庁と連携して検討していくための場、すなわちタスクフォースを速やかに設置して、早速、今月上旬にも検討を開始したいと考えています。



(問)もう1点お願いします。本日、国会で日銀の黒田総裁がイールドカーブ・コントロールの柔軟化という趣旨のご発言をされているかと思います。日銀と政府はアコードを結ばれているような関係にもありますが、足元のインフレの状況を踏まえて、物価目標が達成されているというふうにお考えになるかどうか、この件に関してのお考えと、金融政策の正常化、緩和の修正についてのお考えなどについてもお伺いできればと思います。


(答)本日、日銀の黒田総裁からは、金融政策に関する議論として、日本銀行の経済・物価の見通しや、金融政策の方針についての話がありました。黒田総裁は、従来からのご発言のとおりだと思いますが、現在は経済を支えて、賃金の上昇を伴う形で2%の物価安定の目標を継続的、安定的に実現することが必要であって、金融緩和を継続することが適当というふうに述べておられまして、今日もそのような発言でございました。これは日銀の決定会合の時の方針のとおりだと思います。



(問)今日の諮問会議での防衛費の議論のところで、研究開発について、防衛と民生とのデュアルユースを推進するという話も出たということですが、これは具体的にどういうものを想定しているのか、もう少し教えていただければと思いますが、例えばGPSやインターネットなども、元々は軍事技術から始まって、それが民生に波及していって世界的に普及しているというようなところもありますが、具体的にどういうものを想定しているのでしょうか。


(答)デュアルユースの具体的内容については、今後しっかりと議論していく課題であると思っています。
 本日の議論ということからいえば、防衛費というのは国内において支出されるし、また8割以上が人件費、エネルギー購入費などの費消的な経費のウエイトが高いという特徴があり、防衛力の強化は国内産業に寄与する面があることや、今、ご指摘のあったデュアルユースの拡大、生産基盤の強化、海外市場で稼ぐ力の向上等を通じて、経済成長にも寄与していくということが期待されるというような御指摘もありました。
 なお、防衛生産・技術基盤の在り方等については、関係省庁において、新たな国家安全保障戦略、三文書の一つですが、そうしたもの等の策定のための議論の中で検討されていると承知をしています。



(問)薬価について今日も社会保障の議論があったところですが、お伺いします。後藤大臣は前職の厚労大臣の時には、省内で医薬品の安定供給に向けた流通・薬価制度の有識者検討会を立ち上げられるなど、薬価についてご関心があるところだと思いますが、今後も経済財政の担当大臣として年末の予算編成に向けて関わっていく中で、次に控えている23年度の中間年改定について、どのような方針で臨まれるか、ご見解をお聞かせください。


(答)まず、厚生労働大臣当時に官民対話というのを進めて、例えば製薬、創薬の成長戦略みたいなものに加えて、もう少し制度的な、薬価制度の問題や、流通制度の問題も含めて、やはり有識者と検討すべきだということで、そうした議論を有識者会議を立ち上げて始めて、今、議論が進んでいるということは承知をいたしております。
 薬価制度の問題とか、そうしたことについては、厚生労働省をはじめとして、関係のところでまず十分にもんでもらうことになりますが、やはり我々、経済財政諮問会議、あるいは内閣府としても、しっかりとそうした薬価の問題も含め、創薬に関わる問題、あるいは医療の提供体制の問題、そうした社会保障制度上に関わる課題をしっかりと取り組んで議論していく必要はあると認識をしています。



(問)本日、金融政策について話があったと思いますが、委員の方から、日銀の金融政策についての是非について、何か意見があったりはしなかったのでしょうか。


(答)日銀の総裁からは、先ほど申し上げたような形で、引き続き、賃金の上昇を伴う形で2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することが必要であって、金融緩和を継続することが適当という説明があり、それに対して、特に金融緩和を続けるという日銀の姿勢そのものに対する御発言はなかったと承知しています。








3.村瀬内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 令和4年第13回諮問会議について、概要を報告いたします。今回は、先ほど後藤大臣から御紹介がありましたように、三つの議題で議論しました。
 最初の議題「金融政策、物価等に関する集中審議」については、黒田日本銀行総裁から資料1、十倉議員から資料2に沿って説明があり、各議員より御発言がありました。
 主なご意見を紹介いたします。
 黒田総裁からは、先ほど大臣からお話があったような御紹介がありました。
 西村経済産業大臣です。今後の経済政策運営について、最優先の課題は、エネルギー価格の高騰など物価高への対応。まずは、物価上昇により大きな影響を受ける厳しい状況に置かれた方々への支援をきめ細かく講じながら、経済情勢の変化に切れ目なく対応していく。
 そのため、今回の総合経済対策では、電気料金や都市ガス料金の負担軽減策などの足下の対策を行うことに加え、省エネルギー対策の抜本的な強化等により、エネルギー価格、量に影響を受けにくい産業構造を構築していくための政策を盛り込んでいる。さらに、価格転嫁の促進、事業環境の変化に直面する中小企業による事業再構築や輸出などの支援も強化する。その上で、物価高に打ち勝ち、デフレを脱却し、日本経済を再生していくためには、国内に付加価値の高い産業を生み出し、そうした新たな事業を支える人材がより高い賃金を享受する好循環を生み出すべく、中長期的視点に立った我が国の産業経済の変革が必要。
 円安メリットを生かし、半導体、研究開発など、成長につながる国内投資を促進する大胆な投資を行う。新たな事業を担う一定のスキルを持った人材の育成に向けて、リスキリングからキャリアアップまでを一気通貫で支援することで、成長分野へ労働移動を促し、成長と所得の好循環のスイッチを入れる。
 また、イノベーションの推進に向け、GXやDXなどの社会的課題を解決していくことによる産業構造の転換やスタートアップ政策を徹底的に進める。これらの政策を強力に進めることによって、民間の投資を呼び込み、雇用を拡大する。特に人材の支援を増すことで生産性を上げ、賃金を引き上げる。特にこれからの5年間が勝負の期間。集中投資期間と位置付けて、成長とイノベーションと所得向上、この三つの好循環を実現して、経済構造の強靱化を進めていくという御発言でした。
 続いて、民間議員です。まず、政府主導ではなく、民間主導で円安を活用しながら、国内の投資を活性化し、正規雇用を作りながら労働移動をすることで賃金を上げていくことが重要。
 そのうえで今後3年間を集中期間としながら、国内投資を強化する、例えば税制の在り方や、海外から高度人材を呼び込み、投資を引き出すような制度の在り方についても検討していくべき。
 それから、投資を引き出すための規制改革が大事。スタートアップをどんどん入れていくような規制を考えて、DXなどの投資につながるような規制緩和を是非お願いしたい。日本のイノベーションを創出する上で新しい分野を切り開く規制緩和を進めていくことが大事。企業の競争力が長らく低迷しているが、これを抜け出す道筋を示していくことが必要だといったような御発言でした。
 別の民間議員です。日本の経済成長のための改革には、中長期的な総合戦略が必要。日本国内企業による国内投資、海外からの国内投資を両方増やしていくことが大事。高度人材を日本に呼び込んでいくことも、こうしたこととセットで考えていくべき。中長期的な構造変化を促す政府のプランが大事であって、攻めの規制改革といったことをしっかり考えていくことが大事。この実現のために、また年度のフレームについてもしっかり議論をしていくべきという御意見がありました。
 また別の民間議員です。雇用調整助成金などコロナの下でやっていた一連の政策については、新たな形で次の成長に向けた政策にシフトしていくようなことが大事。海外、英国の経験も見ながら、しっかりとした対応を進めていくべき。
 それから、成長のためにはGXの実現が大変重要。投資家は早期の成果、まずGXがしっかり進んでいるといったような成果を期待しているので、これをしっかり成果として示していくことが大事。中長期の財政フレームについてしっかり議論していくことが大事だといったような御意見がありました。
 次に、二つ目の議題「マイナンバー活用による生活・社会保障の向上」については、新浪議員から、資料3に基づいて説明があり、各議員より御発言がありました。
 主なご意見を紹介いたします。
 河野デジタル大臣です。国民にとり便利な社会を構築するため、マイナンバー制度の利用拡大に向けて抜本的な検討が必要。
 公金受取口座については、本年3月28日より登録を開始して、件数は現在約2,290万件。10月11日には登録済口座情報をデジタル庁から行政機関等に対して提供する機能をリリースした。10月末までに150種類の給付事務で口座情報の利用が可能になった。より簡易な登録に向けて、登録方法の拡大のための口座登録法の改正等を検討中。
 預貯金口座への付番は、預金保険機構を介することで、一度に複数の金融機関の口座の付番が可能となり、災害時又は相続時において、一つの金融機関に照会し、複数の金融機関の口座を特定できるよう、新たな仕組みを構築中。2024年5月までの施行に向けて、預金保険機構・金融機関・デジタル庁が連携し、システムを構築しているところ。
 マイナンバーを用いた情報連携の推進については、従来の社会保障、税、災害対策の分野から、マイナンバーの利用範囲を拡大する。法律の規定の在り方を見直すなど、情報連携の迅速化を図っていく。このため、2023年に提出するマイナンバー法改正案を検討中。
 また、マイナンバー制度では、制度面やシステム面で個人情報保護に十分に配慮した仕組みを採用する必要がある。さらに広報に努めていく。
 各議員の本日の御意見を受け止め、公平公正な社会保障や税制の実現のため、デジタル庁としても関係府省庁と連携し、必要な措置を進めていくといった御発言でした。
 次に加藤厚生労働大臣です。マイナンバーの利活用に関して、厚生労働行政では年金、労働、福祉、医療といった幅広い分野で行政機関間の情報連携を推進する。これにより、行政手続時に住民票の写しや課税証明書等の添付資料の省略が可能となり、行政の効率化と国民の利便性向上につながっている。
 情報連携の対象手続は、平成29年のマイナンバーの本格運用以来、年々増加し、現在は1,883手続。また、マイナンバーカードの活用の場面の一つとして、オンライン資格確認等システムにより、医療機関等の窓口で患者の方の直近の資格情報等が確認可能となっている。これにより医療機関等において薬剤情報等の確認が可能となり、患者の方々がよりよい医療を受けられる。
 今後、医療機関に加えて施術所での資格確認の拡大等必要な取組を進め、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を加速し、令和6年秋の健康保険証廃止を目指していく。
 さらに、国民一人一人の健康寿命の延伸、医療現場等における業務効率化の促進、医療等の各種サービスの効率的・効果的な提供を行っていく上で、医療DXの取組を進めていくことが不可欠。
 このため、今月12日に医療DX推進本部を開催し、「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化」、「診療報酬改定DX」などの取組について、来年春までに工程表を策定し、強力に推進することを決定している。引き続き、マイナンバーの仕組みも活用しながら、医療DXの取組を進めるといった御発言でした。
 西村経済産業大臣です。医療分野におけるDXの推進に向けた取組として、民間活力を生かし、国民が自らのニーズに応じて安全・安心に健康医療情報、いわゆるPHRを活用できる環境整備を進める。
 具体的には、民間事業者と連携して様々な実証事業を行い、例えば個人の健康状態や嗜好に合わせて食材やメニューが提供されるといった新たなサービスを創出していく。また、こうしたサービスが異業種間の連携や医療現場において円滑に活用されるために、データ標準化や個人情報を適切に取り扱うための仕組み等について、民間の取組を支援しつつ整備していく。
 さらに、国民の安心安全確保の観点から、医学界と連携して、必要なエビデンスの整理や指針の策定などを行うことで、事業者の適切なサービス提供を促進していくといった御発言でした。
 寺田総務大臣です。マイナンバーの累計の交付枚数について、人口に対する割合が先日50%を超えた。国民のおよそ2人に1人の方がカードをお持ちいただいていることになる。
 また、マイナポイント第2弾が本格的に開始した6月30日以降、カードの申請件数は1,000万件を超えており、10月30日時点で累計の申請件数は7,254万件、人口に対する割合は57.6%となっている。
 マイナポイントの対象となるカードの申請期限を12月末までに延長したところであって、総務省においては、全国の携帯電話ショップにおける申請サポート事業などに引き続き取り組む。また、自治体において進められている出張申請受付や申請サポートなどの取組についてもしっかり後押ししていく。
 さらに、カードの普及促進に当たっては、国民の皆様にカードのメリットを実感していただくことが重要。カードを活用した地域独自のポイント給付を支援する「自治体マイナポイント事業」を10月31日から展開している。
 健康保険証との一体化に向けては、カードの取得の徹底に加え、手続、様式の見直しなどについて関係省庁と連携して検討していく。今後、総合経済対策も活用しながら、年内に申請件数が8,000万件を超えるようカードの取得の加速化に全力で取り組んでいくといった御発言でした。
 続いて民間議員です。デジタル化の遅れの観点で、コロナ禍でデジタル化の遅れが、給付の遅れとなった。社会全体としてコロナのこうした経験が共有されているうちに、しっかりと行政のDXを進めていくことが必要。デジタル庁の取組によるロケットスタートについて期待したい。
 それから、国民の信頼獲得に向けた国、都道府県、市町村それぞれにおいてマイナンバーの利活用の取組を進めていくことを期待する。
 格差の拡大、固定化などの課題について、分厚い中間層の形成が重要であって、応能負担や真に必要な方へ給付を速やかに進めていくという観点から、マイナンバーの活用というのが重要である。社会保障制度などの制度の基盤としてしっかり検討をしていくべきという御発言でした。
 別の民間議員です。健康保険証の廃止といったようなことについて賛同するというスタンスを示された上で、マイナンバーの利便性を高めると同時に、マイナンバーを取得していない国民の不安にしっかり寄り添っていくことが大事。安全性といったような国民の懸念について政府はしっかりと説明責任を果たしていくことが重要。
 給付金の支給においても、マイナンバーは役割を持っていて、こうした利用の効果、メリットというものをしっかり示しておくことが、政府のDXの取組の大きな一里塚となるのではないかという御発言でした。
 また別の民間議員です。国民のしっかりとした理解が必要。マイナンバーの利活用について、まだまだ国民に御理解いただけていない点があるので、こうした点について政府の取組を求めたい。
 どういう利便性が実際にあるのかということが分かるように、ビッグピクチャーを示していくことが必要。関係省庁間でスピード感を持った検討が必要で、年限を区切ったロードマップが必要なのではないかといった御意見でした。
 最後三つ目の議題「防衛力と経済基盤の一体強化」について、柳川議員から資料6に沿って説明があり、各議員から御発言がありました。
 主なご発言を紹介します。
 浜田防衛大臣です。国際社会が戦後最大の試練を迎える中、国民生活や経済活動に対するリスクが顕在化し、企業の生産やサプライチェーンにも負の影響がある。防衛力の強化は、こうしたリスクや影響を極小化し、経済成長や企業活動をより強固なものにする。
 また、防衛費の9割は国内向け支出であって、今後の防衛力の抜本的強化は国内産業に寄与し、経済成長の観点からも重要。防衛省としては、防衛産業なくして我が国の防衛力が発揮し得ず、防衛産業は防衛力そのものと考えている。しかし、現在、防衛産業は低い収益性を始め様々な課題を抱えている。こうしたことから、防衛産業の特殊性も踏まえて、より踏み込んだ取組を実施するとともに、販路拡大にも資する装備移転を国が主導して推進していく。こうした取組により、防衛力の中核たる装備品の安定供給を実現し、真に戦える防衛力を構築する。
 量子、AIといった民生先進技術や将来の戦闘様相を一変し得るいま、科学技術・イノベーションの成果を真に防衛に役立つ力で活用することが重要。今後、研究開発の予見性を高め、スタートアップ企業とのマッチングも推進し、民生先進技術の取込みを拡大する。
 また、政府の研究開発の成果を積極活用するため、個々のプロジェクトに防衛省の研究者が参画する仕組みを含めて、関係府省との連携を強化していくと。さらに、防衛イノベーションを推進し、民生へのスピンオフにより我が国全体の科学技術・イノベーションに貢献するという御発言でした。
 次に、鈴木財務大臣です。防衛力の抜本強化にとって何よりも重要なのは、国民の理解。既存の予算を見直し、真に必要なものを積み上げ、国力としての総合的な防衛体制を強化する観点から、財務大臣としても防衛大臣とよく協力して検討を進めていく。
 また、防衛費は恒常的に支出する経費であることを踏まえれば、歳出、歳入両面の努力により、先送りすることなく安定的な財源を確実に確保することが大変重要であると考えている。
 先般の有識者会議で総理から御指示を頂いており、総合的な防衛体制の強化に必要な財源確保の考え方について、検討を深めていく。有事であっても我が国の信用や国民生活が損なわれないようにするためにも、平素からの財政余力が不可欠。本日の議論も踏まえ、引き続きしっかり検討していくといった御発言でした。
 次に、西村経済産業大臣です。現下の厳しい国際情勢から、防衛力の強化は喫緊の課題。テクノロジーの進歩や民生、防衛両技術の垣根の不明確化、戦い方の変化等も踏まえ、先端技術の活用や半導体等の戦略物資の安定供給確保を含め、強靱な経済力、産業基盤を実現することは防衛力の強化に不可欠。
 このため、具体的には次の4点に取り組むべき。1点目は、利益率の改善。関連企業が将来にわたり事業の確かな見通しを立てることを可能とする仕組みづくり。2点目、厳格な輸出管理の下で国が前面に立った形での装備移転、輸出の抜本的拡大。3点目、我が国の戦略的不可欠性の確保にもつながる先端技術の開発と、その成果を防衛力強化に生かすための幅広い官民の連携強化。4点目、経済安全保障の観点から、戦略物資のサプライチェーン強靱化。経済産業省としては、経済力、産業基盤の強化につなげるべく、円安メリットも活用した民間投資を後押しする。
 防衛費は、本来的に国民全体で広く負担するべきもの。財源を検討するに当たっては、足下の経済動向への配慮や産業の国際競争力の維持・強化が重要で、特に現在デジタルやグリーン等を中心に民間投資がようやく上向いてきており、賃金引上げや人への投資を強く促していく必要がある中で、防衛産業基盤の強化の必要性・緊急性等を勘案しつつ検討していくべきだという御発言でした。
 引き続いて民間議員です。昨今の国際情勢を見ると、防衛力の強化は論をまたないが、国民全体でしっかり議論していくべき。必要な防衛力は何かということをしっかり議論するべき。
 防衛産業の基盤強化については、官民一体の取組が必要。その際、民間の予見可能性を高めていくことが重要。バリューチェーンの構に当たり築、国によるルールづくりが必要だといった御意見でした。
 それから別の民間議員です。ロシアのウクライナ侵略、中国・台湾との関係、北朝鮮のミサイルなどに直面する中で、多くの国民は平和への懸念が大きい状況。こうした背景の中で、防衛費の増強といったものについての国民の支持は大きいが、防衛費の内訳など、国民の合意形成をしっかりしていくことが大事。それから、規模ありきではなくて、安定的な政策を取っていくべきであるというような御発言でした。
 別の民間議員です。安全保障のための防衛力強化については、国民にとって不可欠。ワイズスペンディングを徹底し、不必要な支出を見直していくことが大事。それから、財政規律と経済活性化の観点、両方が大事だと。経済の強い国が国を守るというようなことが基本。
 防衛産業については、日本の強い分野に対して徹底して投資をするべき。産業力、競争力を上げていくべき。デュアルユースを拡大して、投資の乗数効果を上げていくべき。産業や省庁間の横串を刺していく、そういった議論が必要だといったような御発言でした。
 最後に、総理から御発言がございましたが、お聞きになった通りです。






(以上)