第11回記者会見要旨:令和4年 会議結果

山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨

  • 日時:令和4年9月14日(水)17:57~18:30
  • 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室

1.発言要旨

 経済財政諮問会議の概要についてご報告します。
 本日は、岸田新内閣の下、「政策断行内閣」としての「経済財政諮問会議における年後半の重点課題」と「マクロ経済運営」について議論しました。
 主に次のような意見がありました。「成長と分配の好循環」の実現のカギとなる、官民の適切な連携による投資の喚起と、分厚い中間層の維持・拡大により、今後3~5年程度のうちに持続的・安定的な成長経路に移行することが重要。その上で、財政健全化目標を堅持しながら、多年度にわたる経済財政フレームに基づく、メリハリのついた経済財政一体改革の実行に当たるべき。
 秋にまとめる総合経済対策は、骨太2022等で示した官民連携の重点投資を前に進める具体的な政策パッケージを含め、世界経済の減速懸念が強まる2023年に向けた早期の成長力強化に資するものとすべき。その際、海外への所得流出を反転させるためにも、円安メリットを生かしたインバウンドや輸出拡大などによる外需の取り込みで、我が国の「稼ぐ力」を高めるべき。また、キャリアアップを支援しつつ、労働移動を促すことを通じて所得を引き上げるべき。
 総理からの締めくくり発言については、お聞きいただいたとおりです。詳細については、後ほど事務方から御説明をさせていただきます。






2.質疑応答

(問)2点あります。
 まず1点目、本日の諮問会議で年後半の課題が示されました。今、大臣もおっしゃったとおり、新しい資本主義の加速や物価高、円安のメリット享受のためにどうすればいいかなど、民間議員から様々な提案がなされたと思います。これを踏まえて、10月に策定する総合経済対策にどう生かしていくのか、諮問会議で今後どのように議論を進めていくのか、教えてください。


(答)先日、総理からご発言があったとおり、今回の新たな総合経済対策では、まず物価高騰など、経済情勢の変化に切れ目なく対応しつつ、新しい資本主義を前に進め、国民の安心・安全を確保するための政策を取りまとめることになります。
 本日の経済財政諮問会議において、経済対策策定に向けて、総理からは、今後のマクロ経済運営に当たって、輸入物価の上昇により、海外への所得流出が続く状況を抑制していく必要があるということ。足下の円安メリットを生かした国内企業への回帰と供給力の強化、農林水産品の輸出拡大、インバウンドの回復など、我が国の「稼ぐ力」を強化する取り組みが重要であること。また、賃上げ促進へのインセンティブ強化や中小企業の価格転嫁を促すとともに、人への投資を通じて、成長分野への労働移動やリスキリングを促すことで、物価上昇に負けない持続的な賃上げを実現していくこと等についてご発言がございました。
 このご発言あるいは本日の議論を踏まえた上で、諮問会議においてもさらに議論を深めて、総合経済対策の10月中の取りまとめに向けて、総理とも、あるいは与党ともしっかり相談をしながら、具体的に検討していくことになります。



(問)2点目ですが、昨日フリーランス保護のための新しい法案のパブリックコメントが始まりました。今、フリーランスの方々が置かれている現状の問題点と、新法を制定することの意義についてお聞かせください。


(答)これは事実といたしまして、昨日からフリーランスに関わる取引適正化のための法制度の方向性に関する意見募集、いわゆるパブリックコメントを実施しております。
 そこで様々な、ご質問の中にもあったような、何が課題で、どういう方向性で法律を作っていく、ルールを作っていくべきなのかということについて、広くご意見を頂きながら、最終的にどのような法律にしていくかということを決めていかなくてはいけないと思っております。
 もちろんフリーランスそのものは、多様な働き方が求められているこの21世紀において、非常に重要な働き方の一つになっておりますから、フリーランスという形態で働かれる方々に対して、働く環境というものがきちんと確保されているということが必要になってくると思います。それらが確保できるような内容の法律にしていかなくてはいけないと思っております。
 今、申し上げましたとおり、法律を提出するための準備をしておりますので、これらがまとまれば、国会に早期に提出できるようにしたいと思っております。



(問)まず経済対策について、今後、諮問会議で議論していくというお話もございましたが、今後の進め方について、具体的にどのように諮問会議の中では、テーマごとにやっていかれるのかなど、具体的な進め方についてお伺いできればと思います。


(答)先ほども申し上げましたように、総理からのご発言もあり、また、諮問会議の民間議員のディスカッションの中で、今回の経済対策に対してさらに議論をして、その上で効果のあるものにしていかなくてはいけないというコンセンサスが得られたものと思います。
 従って、それらを深堀して、なおかつ様々な方途について、さらにいろいろなところから知恵を頂きながら、それを最終的にまとめていくことになると思います。
 その中でも諮問会議においては、柱となる大きなフレームとして、どういう骨格のものになっていくかというマクロのことはいつも議論しているものですから、当然、経済対策に対しての方向性についても、諮問会議の下で示していただけるような、そういう議論がこれからなされるものと期待をしております。
 その準備をしていただいた上で、10月中に取りまとめるようにという総理からのご指示ですので、それに間に合う形で、経済財政諮問会議も開きながら、その議論を深めたものを政府に出していただくことになると思います。



(問)もう1点、お願いします。今回の民間議員提出資料の中で、「人への投資」に関して、企業向けから個人向けへのシフトや、能力開発の控除制度、若年層の雇用確保や賃引き上げなどについてありますが、このあたりについては物価高によって賃上げが重要視されている、春闘なども来春に向けて迫ってくるわけですが、今後どれぐらいのスケジュール感で進めていかれるようなお考えなのでしょうか。


(答)総理からは、切れ目なく様々な施策というものが進んでいくようにしなくてはいけないということを、再三にわたってご指示を頂いておりますので、まずは今の物価高に対する対応策をやるのは先ほど申し上げたとおりです。そこが切れ目なく次の経済対策に移るように、しなくてはいけないと思っております。そして、その先もまだ当然あるわけです。
 その先というのは、半年後なのか、1年後なのか、2年後なのか、3年後なのかぐらいのスパンになると思いますが、いわゆる中期にわたって必要なものについて、どこかでスタートしないと、1年先、2年先に効果が出てくるということにはならないものですから、それら少し中期的にやらなくてはいけないことというのも、今スタートしようというようなことも議論しなくてはいけないと思っております。
 それらの、今、申し上げたように、本当に足下の話と、これから経済対策で年末から、あるいは年度末ぐらいにかけてやらなくてはいけないということ、その先になるものと物価対策に関しては予備費を使ってやるものがもう決まっておりますが、その後に続くものとして、一体としてお示しをしなくてはいけないと思っており、その具体的な内容に関しては、「人への投資」の部分のこと、お話にありましたが、人への投資に関してもそこに書かれているのは例示ですので、それ以外のことも考えなくてはいけないと思っておりますし、また人への投資だけでは経済対策にならないと思いますから、他のものと有機的に結合するような、そういう政策になっていかなくていけないと思っております。
 具体的なことは、まさに今日、諮問会議があって、総理からの御発言等々もございましたので、それを受けてこれから具体的なものを詰めていきます。



(問)話題変わりますが、国内の複数メディアの報道によりますと、日本銀行が、為替の相場水準を尋ねるレートチェックを実行しました。事実確認ですが、日銀がレートチェックを行ったでしょうか。


(答)これはまさに私からお答えする話ではないと思いますので、直接日銀に聞いていただくというのが筋だと思います。
 一般的にこれまで申し上げているとおり、為替に関して私の立場で発言するというのは影響が大きいので控えさせていただいておりますので、ご理解いただければと思います。



(問)今朝、新聞報道で、山際大臣の地元の有権者の方が旧統一教会の信者で、ある方が関連団体、政治団体の世界平和連合の指示を受けて大臣の選挙を手伝ったという証言がありました。また大臣側も、世界平和連合の会合で国政報告を行ったということですが、これは大臣が自民党の点検に対して回答した、選挙でボランティア支援を受けていないという回答と矛盾する内容ですが、この報道に関しての受け止めを改めてお聞かせください。


(答)これまでご説明しているとおりですが、選挙活動では多くのボランティアの方々にお手伝いをしていただいております。お一人お一人のバックグラウンドを詳細に把握しているわけでは、当然ございません。さらに個人の内心の自由は最大限尊重すべきであるため、ボランティアの方が信仰する宗教やお考えまで確認するということはしておりません。
 その上で、当該団体から組織的に選挙活動の支援を受けたり、あるいは私どもから依頼をしたりしたことはございません。
 それから国政報告会に関しては、もちろん通常の政治活動で、地域の方々のお誘いを受けて様々な会合に出席をしております。まさにそれが政治活動そのものだと思います。ただし、該当の報道から、具体的にどの会合のことを指しているかが不明なので、お答えのしようがありません。
 一方で、地域の方々に私の政策などのお話をさせていただくような場において、繰り返しになりますが、お一人お一人の信仰する宗教あるいはお考えについて、これは内心の自由の観点からこれまでお聞きしたことはございません。
 いずれにせよ、これまでもご説明してきたとおり、私自身が過去に関連団体と接点があったことは事実ですので、今後は党の方針に従い、当該団体との関係は一切持たないように慎重に行動はしてまいります。



(問)関連でお願いします。今回の報道を受けて、新たにどこの場所でというような指摘はありませんでしたが、川崎区の大臣の地元の駅前のノクティで開催されております。その質問は投げ掛けさせていただいたかと思うのですが、それに関して、もしくはその他にも、当該団体、政治団体ですので宗教は関係ないと思いますが、その団体との接点はなかったかどうか、改めて追加の調査をする必要性などのお考えはありますでしょうか。有権者の方々、大臣がどういう信条を持って政治活動をされているのかというのは大変気掛かりというか、心配しておられますので、その点、お考えをお聞かせいただければと思います。


(答)私自身の政治信条や政策については、当然これまでも地元の有権者の皆さま方に対しても、あるいはそれ以外の皆さま方に対しても、あらゆる機会を使って広くお伝えできるように努力はしてまいりました。ですので、これからも地元の私の選挙区の皆さま方に対しても、同じように丁寧にご説明をし、聞いていただけるようにしていく努力をしていかなくてはいけないと思っております。
 当該団体に対しての対応については、党本部から、これからは一切関係を持たないようにと、このような指示が出ておりますから、私は党本部の指示に従って慎重に行動していきたいと思っています。



(問)追加で改めてこの件に関して、政治団体ではないので、資料を当たるなどの確認作業を行う予定はありますでしょうか。自己点検の再調査ということですが。


(答)これも繰り返しになり大変恐縮ですが、これからのことですので、これから何かやろうとする時に当該団体と接触するようなことはしないと申し上げております。



(問)これまでの関係について再調査、再点検されるようなお考えはありますか。


(答)同じ答えになって大変恐縮ですが、これまでのことに関して、私どもの事務所でこれまで調べてきたもの以外の情報はございませんので、これから先のことを何かしようとした時に、私どもで何か調査をして、新しいことが出てくることはないと思います。
 従って、当該団体とこれからは関係は持たないということを、党本部からの指示に従ってやってまいりますので、これ以上のことはしないとご理解いただければと思います。








3.村瀬内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明

 令和4年第11回諮問会議について、概要を報告いたします。先ほど、山際大臣から御紹介がありましたとおり、2つの議題について議論がされました。第1の議題「経済財政諮問会議における年後半の重点課題」について、十倉議員から資料1の説明があり、第2の議題「マクロ経済財政運営」については、柳川議員から資料2の説明がありました。2つの議題について、各議員よりまとめて発言がありました。
 主な御意見を紹介させていただきます。
 鈴木大臣です。本日は、財政健全化目標の堅持、財政規律の確保の必要性などについて御指摘をいただきました。財務大臣として重く受け止めています。
 また、本日御指摘いただいたように、コロナ禍において経済を守るために行った緊急的な対応から脱却することや、物価上昇対策については、影響の大きな低所得者への対策に重点化することなど、メリハリの利いた対応を行ってまいりたいと考えております。
 また、新型コロナ対策などにより、足下の財政状況はより一層厳しさを増す中で、令和5年度予算編成については、本日御指摘のとおり、GXなどへの官民投資、防衛力の強化、少子化対策など、重要課題が山積しており、難しい編成となると考えております。
 財政健全化の道筋をつけていくためにも、歳出の中身を精査するとともに、それぞれの政策に必要な安定財源も確保するなど、しっかり対応してまいります。
 最初の民間議員です。日本経済をより強靱化していくことが重要。このためには、投資・消費を高めることが必要である。
 投資面では、GX・DXの投資について、官民連携で取り組むべきである。秋に取りまとめる経済対策を通じて加速させるべきである。
 消費面では、分厚い中間層の形成が重要。2%のマイルドなインフレの中で持続的な成長のためには、賃金引き上げのモメンタムを維持・強化することがカギ。また、リカレント教育や雇用のセーフティネットの整備が重要。雇用維持型ではなく、労働移動推進型への移行が賃金上昇にもつながってくる。
 インバウンドについては、訪日観光に関する緩和を期待している。訪日旅行の3分の2が個人旅行である。円安メリットを享受でき、地域経済の強化にもつながってくるということで、インバウンドに関する期待を述べていました。  2人目の民間議員です。総理が国連で発表される時期が近づいている。金融市場からも期待されている点を5点ほど述べる。
 1点目、資産所得倍増計画については、内外の投資家の間でも話題であり浸透してきている。今後、具体策と結果が重要になってくる。
 2点目、物価対策については、財政に限りもある中で、低所得者支援に重点を置いて、メリハリの付いた対応が重要であるという指摘でした。
 3点目、円安ですが、円安のメリットを享受するためには、リモートワークが盛んになっていることも踏まえて、例えば勤務先は海外だが、居住は日本にするなど、日本が選ばれる施策が重要。そのため、教育制度の柔軟化なども必要。現行制度では、インターナショナルスクールは日本の学歴にならない。こうした問題を解決していけば、円安メリットを享受できるような仕組みができるのではないか。
 4点目、エネルギーですが、原発再稼働というのが既定路線になっているが、国民へのしっかりとした説明、合意形成が重要になってくる。
 5点目、GXですが、これが待ったなしの課題である。炭素価格市場も含め、投資家の関心をしっかりと引けるように、日本が本格的に動き出そうとしているという期待を与えるようなことを発信していっていただきたという御発言でした。
 3人目の民間議員です。一丁目一番地は、何といっても賃金の上昇である。特に雇用の7割は中小企業であって、この方々の賃金を上げていくことが重要。最低賃金1,000円というのも早期に実現していくべきで、その先に向けたロードマップの確立も必要。
 人材の流動化が重要。そのためには、質の高い雇用が必要で、GXやヘルスケアの分野への投資を高めて、その分野で雇用を生み出し、その分野へ労働移動をさせていくことが重要である。こうしたことにより、賃金も上昇していくことにつながる。
 次に、こうした取組の情報開示も重要。3年に一度の監査など、上場・非上場企業関係なく、北風政策によって、外からピアプレッシャーが掛かるということでありますが、情報開示を通じた北風政策なども重要である。
 人材の育成などは、何年も時間を掛けて成果が出るものであって、そうした投資を促していくことが大事。
 また、ワイズスペンディングについては、社会保障費の増大に対して、応能負担が必要。そのために、マイナンバーの活用や広報が必要であり、国民の不安解消が重要である。この経済財政諮問会議の下にある、経済・財政一体改革の中で、ロードマップを描いていくことが必要。
 最後、訪日観光について、ビザ取得の免除をしていってもらいたい。円安メリットはあるものの、質の高いものは高く売るということが大事。こうしたことが賃上げにもつながり、チャンスにつながってくる。
 最後の民間議員です。今の足元の対応を見るだけではなくて、多年度の経済財政フレームに基づいて、中長期の経済成長、生産性向上につなげていくことが必要。そのために3点申し上げる。
 1点目は、総理もおっしゃっている人への投資がやはり大事。世界中でその重要性が認識されてきている。今こそ、日本が人への投資を本気で推進していくこと、それを発信することが成長を実現していくことにつながる。
 2点目、官民連携での投資。今は、官だけ・民だけで経済を動かすのは困難である。それぞれがしっかり役割を果たしながらお互いの投資を引き出す策を考えることが必要。
 3点目、アメリカはコロナで経済が一時期ひどく傷んだが、今は逆にV字のように活性化してきている。痛みや負担はできるだけ軽減する必要はあるが、他方で、市場を通じたシグナル、新しい投資・ビジネス、伸びる分野、変わらなければいけない分野といったようなシグナルを伝える側面も市場にはあるので、足元の痛みを和らげるということと併せて、こうした市場シグナルを捉えて成長につなげるという、両者のバランスを取ってしっかりとした経済成長につなげていくべきだという御指摘でした。
 最後に総理から御発言がありましたが、御承知のとおりなので省略をさせていただきます。






(以上)