第7回記者会見要旨:令和4年 会議結果
山際内閣府特命担当大臣記者会見要旨
- 日時:令和4年5月31日(火)19:22~20:20
- 場所:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室
1.発言要旨
本日、第8回新しい資本主義実現会議を開催いたしました。
冒頭、クリーンエネルギー戦略などについて、萩生田経産大臣、山口環境大臣から報告があり、その後、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画案を取りまとめた主な内容は以下のとおりです。
人への投資については、今年の春闘においては低下してきている賃金引き上げの水準が反転いたしました。さらに、賃金の引き上げを実現するためにも、成長分野への円滑な労働移動により、スキルアップや人材育成策の拡充を図る。
また、本年末に総合的な資産所得倍増プランを策定する。NISAの抜本的な改革や、高齢者に向けたiDeCoの改革など、資産形成を行いやすい環境整備を行う。
また、スタートアップについて、5年で10倍増を視野に、5か年計画を本年末に策定する。既存企業の事業再構築を進めるため、債務の減額等を図る事業再構築法制を国会に提出する。フリーランスの形態で仕事をされている方のための取引適正化法制も早期に国会に提出する。
社会的課題の解決としては、マルチステークホルダー型の企業社会を推進するため、民間で公的役割を担う新たな法人形態について、必要性の有無も含めて検討する場を設ける。
加えて、公正取引委員会のアドボカシー機能の強化を図る。
気候変動問題の解決と、経済成長の実現に向けて、今後10年間に、官民で150兆円超の投資を先導するため、GX実行会議を設置する。
必要な政府資金の選考調達に関する一体的検討や、民間投資への支援内容も含め、本年中に、今後10年のロードマップを通して取りまとめる。
デジタル田園都市国家構想を推進するため、光ファイバーや5Gなどのインフラ整備を図るとともに、デジタル技術の実装のため、地域協議会を作り、デジタル田園都市国家構想実現ファンドの創設を進める。
これらの政策を実行するため、基金等を活用して、予算単年度主義の弊害を是正するとともに、その将来にわたる効果も見据えて、税制改正を行う。
岸田総理からは、机上だけでは解決できない外部性の大きい社会的課題について、この課題をエネルギー源と捉え、新たな成長を図る。
与党とも調整を進め、来月上旬の閣議決定に向け、私を中心に取りまとめるようにとの発言がございました。
続きまして、経済財政諮問会議の概要について御報告します。
本日は、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」の原案について議論を行いました。
本年の骨太方針は、総理から御発言があったとおり、資本主義をより強靱で持続可能なものにバージョンアップするため、官民が協働して、様々な社会課題の解決に向けた重点的・計画的な投資と改革を大胆に実行することで、その解決と経済成長を同時に達成し、「成長と分配の好循環」を実現していく、という方向性を打ち出しています。
その上で、引き続き、機能的なマクロ経済運営を行いつつ、国際環境の変化に応じた外交・安全保障などの戦略的な対応や、防災・減災・国土強靱化といった取組を進めること、経済社会をより強靱で持続可能なものにするための中長期の経済財政運営の在り方、来年度予算編成において、本年及びこれまでの骨太方針に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進することなど、岸田内閣の経済財政運営と改革の全体像をお示ししています。今後、与党の御意見を伺い、次回の諮問会議で骨太方針を取りまとめる予定です。
総理からの締めくくり発言については、お聞きいただいたとおりです。詳細については、後ほど事務方から御説明をさせていただきます。
2.質疑応答
(問)冒頭お話ありましたように、本日骨太と、新しい資本主義実行計画原案取りまとめということで、双方の文書では、「成長と分配の好循環」をうたっております。この二つの概念は、政権発足当初に、岸田政権は分配面の強調が多いという指摘もありました。今回、政権初となる骨太方針となりますが、取りまとめてきたお立場として、今回の仕上がりをどう評価されていますでしょうか。
(答)「成長と分配の好循環」に関しては、最初、分配と成長をある程度分けて、どういう戦略を練っていくかを議論していましたが、岸田内閣の新しい資本主義は、まさに、分配も含めた社会的な課題を解決するための、成長のエンジンに変えていくのが主でございますので、すなわちそれは分配でもあり成長でもあります。
それを分けることはできないということに、議論を深める中でなりまして、何をやらなくてはいけないかという項目について述べるということでまとめさせていただきました。
ですから、一つ一つの項目を見ると、分配の部分もあるし、成長の部分もあります。それらがぐるぐると好循環になるためにはどうすれば良いかという視点で物事が書かれているとご御理解いただければと思います。
それと、全体としてどういう仕上がりかという話でありますが、これはむしろ、今日発表いたしましたので、皆さま方からしっかりと正しいご批判を頂かなければいけないと思いますが、我々としては、できるだけ明確に岸田政権としてやらなくてはいけないことを、今までも御説明してきた、ある意味ばらばらにというか、各論で御説明してきたことを、一つにまとめたという位置付けだと思っておりますので、それが全体としてなるほどと理解していただける方向に進むと良いと思っております。
(問)こちらからもう1点。財政健全化については、骨太方針の方では、プライマリーバランスの目標について、堅持という言葉が取り組むという言葉に変わり、25年度という黒字化の目標の数値も盛り込まれない形となっています。財政健全化への姿勢が後退したという指摘もあると思いますが、大臣のご認識と合わせて、状況に応じて必要な検証を行うという文言が入っておりますが、これはどれぐらいの時間軸を考えているのか、お願いいたします。
(答)よくよく後で読み込んでいただきますと、骨太の第5章に、2021年の骨太方針を引っ張ってある記述があります。そこに財政のことをしっかりバランスを取るというのが2021年の骨太の中に入っており、それを引いていますから、そこの姿勢というものは、特に三か年度、22年度、23年度、24年度と、21年の段階でもう決めていますので、それに従って行っていくということなので、そこは後退しているということはございません。そのラインで行くということです。
それと2025年度のプライマリーバランスの黒字が等々明示していないというのは、今回新しいものではないということです。だから当然やらなくてはいけない、方針を変えていないわけですから、当然やっていくということですが、今回は大分新しい資本主義も含めて、新しい項目が相当ありましたから、あえて今までの既定路線のものを重ねて書くことはしていないということだけで、何か財政健全化に対して、方針を変えたわけでもありませんし、後退させたということでもないと理解していただければと思います。
検証は、それこそ経済財政諮問会議でこれまで累次にわたってやってまいりました。ですから当然、ある意味ルーティンの営みとしてやってきたことなので、今年も来年も、当然検証というのはその場を使ってしっかりやっていくことになります。
(問)新しい資本主義実行計画についてお伺いしたいと思います。政権としては、これまで分配重視ということもおっしゃってきたわけですが、今回の実行計画の柱を見ると、従来の政権から引き継がれているような戦略というのも、成長戦略が数多く並んでいるわけですが、そういう意味で、例えば金融所得課税なども今回盛り込まれませんでした。成長重視にも映りますが、この点に関して大臣のお考えをお伺いできますでしょうか。
(答)これは前の質問にもお答えしたとおりですが、最初は分配戦略と成長戦略とを分けて整理しようかということで議論を始めましたが、分かりやすい例を言うと、「人への投資」を考えた時に、人への投資というのは、今まではコストとして、分配の分野になるのでしょう。特に賃金という話になればそうなります。しかしそれを今度、我々としては投資として捉える。そうすると分配戦略でもあり、実は成長戦略でもあるということになるわけです。
ですから人に投資をすれば、当然それで利益を生む存在になっていくということですから、そこでぐるぐる回り始めて、分配と成長というものが分けられないということなので、一つ一つの項目ごとに人への投資や、スタートアップ、科学技術イノベーションという形で置いたわけです。ですから、それぞれの項目の中に、分配に当たる部分もあれば、成長に当たる部分もある。しかもそれは、どちらと分けられない部分もいっぱいあるということなので、そういう分け方をあえて今回はしなかったということです。
ですから、成長もやるし、分配もやるしというのが、この新しい資本主義のコンセプトなので、そうご御理解いただくのがいいのではないかと思います。
(問)項目に関しては、デジタルやグリーン、スタートアップ、人も含めて、前政権時代の昨年の成長戦略でも主要なテーマとして取り上げられてきた問題だと思いますが、この辺りの柱立てが大きく変わっていないという意味で、岸田政権としてのカラーが打ち出せたのかどうかという点についてはいかがでしょうか。
(答)これも正しいご批判を皆さんから頂かなければいけないと思いますが、ずっと申し上げているように、岸田内閣における新しい資本主義のコンセプトは、先ほども申し上げたように、社会的な課題として思われていたものを、それを成長のエンジンに変えていくと。 しかもそれを民間だけにやっていただくのではなくて、官と民が共同してやる。さらには、人を通してやる。この3点ぐらいが特徴的だと思います。
ですから、人への投資は、これまでの成長戦略の中ではばらばらには入っていましたが、1丁目1番地に人への投資を持ってきたのは、やはり今までと違うと思いますし、だからこそ、人に投資するというものの中のシンボリックなものとして、スタートアップというのがまた太い柱で入っているわけです。
これも第二創業期を目指すというのは、もちろん今までの成長戦略の中にも散りばめられていましたが、それを一つにまとめて、まさにそれで5か年計画を作り、第二創業期を作っていくということですから、その辺りを見ても、今までと相当変わっているかなという感じを私自身は持ちますが、それがどう見えるかはやはり、皆さんから見た時にどう見えるかというのも大事だと思いますので、前と何が違うのかということは、当然説明責任を果たさなくてはいけないと思いますが、前と違わなくてはいけないとは思っていないです。
やらなくてはいけないことは、前にやらなくてはいけなかったことは今でもやらなくてはいけないことは当然ありますから、それをどういう視点で、どういう立て付けでやろうとしているのかというところに新しさが見えれば、私はそれで良いと思います。
(問)医薬品の薬価改定の中でも、今年度予定されている中間年の改定についてお伺いします。製薬業界側は、かねてコロナ禍もあって慎重な判断を求めてきている一方で、財務省側は先般の建議の中でも、中間年改定の完全実施を強く求められていたかと思いますが、今日の骨太の議案には、薬価については、今回どういった方針で臨むのかというのは、具体的なことが載っていないですが、今回盛り込まれなかった背景について、大臣の認識をお聞かせください。
(答)まさに、骨太というのは、骨太なものが書かれるということです。ですから、ディテールに関して、それぞれの各論で、しかも一つ一つの政策に関しては、それから実行計画にしっかり記載するものもあれば、例えば医療制度改革という大きな枠組みの中で、個別の具体的なものに関しては、それぞれの役所に任せるということもあります。
全体としての方向性を示すのが骨太なので、そういう意味では、薬価という極めて各論の話に関して、この骨太に載せる、そもそもそういうものではないという理解です。
(問)今日のお話からは離れますが、新型コロナ対応の有識者会議が5月から開かれていて、6月まもなく提言がまとめられると思いますが、まだ3回しか開かれていなくて、議論が拙速ではないかという指摘があります。そもそもなぜこの時期に開催することになったのかと、議論が十分尽くされるのか、大臣のお考えを教えてください。
(答)タイトなスケジュールだというのはそのとおりだと思いますが、しかし拙速かと言われると、そうではないと思います。我々もう2年半にわたってこのコロナと戦い続けていますから、当然相当な知見がたまっていますし、また日々検証を続けながら今日があるものですから、その蓄積も含めて、もう議論する題材はそこに用意されていると。
それにしたがって、総理から司令塔機能の強化をどうするかという話と、感染症法上の取り扱いをどうするかという話、医療提供体制をどうするかという、この3点を主に6月を目途にまとめてくれと我々は指示を受けていますから、そのことについて、きちんとお示しをしていくという作業を今議論としてはしています。
それとはちょっと分けてという言い方は変ですが、コロナに対する検証あるいはこれから何をやっていくかということは、この頃流行のアジャイルということだと思いますが、柔軟にずっと検証し続けていかなければいけないことですし、検証した結果として、科学的な知見に基づいて何か変えなくてはいけないということがあれば、まさにアジャイルに、柔軟にそれを変えていかなければならないわけです。そうではないと感染症対策できませんので。
ですから、総理からご指示のあったものに対して回答を出すという意味で、今議論が進められていますから、それにはタイトかもしれませんが、十分な材料と、リソース、時間をかけてやっていただいているという認識です。
(問)この時期に議論が行われていることについてですが、もっと早くできたのではないかというのはいかがでしょうか。
(答)時期は様々あると思いますが、私の理解では、昨年の11月の段階で、それまでデルタ株までのものを含めて、全体像としてどのような対処を、新型コロナウイルス感染症に対してどのように対処していかなくてはいけないかということは、全体像としてお示しをして、その全体像に基づいて、我々日々オペレーションしてきて今があるわけです。
その時に、そのタイミングではちょっとまだまとめられないという、要するに中長期的な課題というのがある。それが今言った三つだという整理でした。
ですから、それは少し時間をかけてやりましょうと。その当時のところから約半年というと6月ということになりますから、それぐらいのタイムスケジュールでということになったと思います。
(問)エネルギー分野で、岸田内閣が発足してから、この文章をまとめられて、脱炭素に向かうのはもちろんですが、この文章では、安定供給の重要性がかなりにじんでいると思いました。原子力も含めて最大限活用するという記載がありますが、その辺のお考えはいかがでしょうか。
(答)おっしゃるように、2050年カーボンニュートラルに向けて、脱炭素電源は、使えるものを全て使わなければ、それを実現するのは難しいというのがコンセンサスだということです。
ですから、再生可能エネルギーも最大限導入に向けて、我々技術開発も含めて、やらなくてはいけないという意識もありますし、既存の原子炉に関しても、これはCO2を出しませんから、安全性を確保するというのを大前提にして、使えるものはしっかり最大限使っていくという認識、それはまさにそうしないと、2050年カーボンニュートラルという非常に野心的な目標にたどり着けないという、ある意味当たり前のコンセンサスを政権として持っていると。それが反映されてそういう文章になっているとお考えいただければと思います。
(問)気候変動問題について伺います。岸田首相は、新しい資本主義も非常に重要なものとして、気候変動対策を日本がどう進めるか、国際的にどう進めるかということをおっしゃっていますが、今回は、経済財政諮問会議あるいは新しい資本主義実現会議で、国際公約をしている2030年までのCO2の削減目標、これはもうG7の首脳会議でも今度議論になると思いますが、この辺は、先ほどおっしゃった150兆円の投資の前提になっているのでしょうか。そこはまだきちっとすり合わせをしていないのですか。
(答)政府としては、2030年にCO246%削減という目標を何一つ変えていませんので、当然それを実現させなくてはいけないという前提に基づいて、議論が進められています。今回は、エネルギーの分野に関して言えば、グリーンエネルギー戦略から、需要サイド、サプライ側だけじゃなくて需要サイドまで巻き込んで、それでなおかつそれ以外の科学技術の進展等々、そういうことも更に拡大させた形で、クリーンエネルギー戦略というものにバージョンアップさせました。バージョンアップさせましたが、その前提条件は変えていませんので、2030年46%削減目標というものはそのまま置いてあります。それを実現するために必死になってやると。
先ほども申し上げたように、これは民間だけに任せてできますか。それはコストもすごくかかりますから、なかなか難しいです。なので、それは官と民が一緒になってやるというクリーンエネルギー戦略という、バージョンアップした戦略に生まれ変わっている姿を書き込んであります。
(問)菅前首相は、46%だけじゃなくて、その高みを目指して50%削減を言明していたわけですが、今の大臣のお答えだと、46%削減だけというように聞こえましたが、おそらく2、3日前のG7の環境相会議でも、日本の46%削減は、もっと高みを迫られるだろうと。これはほぼ確実だと思いますが、その辺までの見通しは持っているのでしょうか。
(答)正直に申し上げて、46%を達成するのは、先ほど申し上げたように、既存の原子力をフル稼働させて、それでもまだ足りないです。それはご案内のとおりです。ですから、相当我々としてはそこに官も含めて投資をしていかなければ達成は難しいということで、今回クリーンエネルギー戦略を作らせてもらったわけです。ですから当然それは野心的な話として、46%を深掘りできるなら、それは地球環境にも優しいだけではなくて、先ほどから申し上げているように、我々が持っている課題を、成長のエンジンに変えていくことができると思います。
すなわち私たちが作り出した技術に基づいたシステムが、それが日本だけではなくて、世界にそれを広げて、ビジネスにつながるということです。それを目指すというクリーンエネルギー戦略になっています。なっていますが、その絵姿が、これも相当野心的なものですから、そこに向かって全力でやるという方向でやります。しかし、これでかちっと固まってしまっていて、柔軟性を欠いて、来年も同じものを使い続けます、その次も同じ目標を使い続けますということではないです。この戦略を我々は柔軟に進化させます。そういうものだと思っていただいて、野心的な目標については、それは46%を更に深掘りできるなら、当然それは深掘りした方がいいというのはコンセンサスではないでしょうか。
3.林内閣府政策統括官(経済財政運営担当)による追加説明
令和4年第7回経済財政諮問会議について概要を報告いたします。
今回は、先ほど山際大臣から御紹介がありましたように、一つ目の議題で、骨太方針に関してです。私から概要を説明した後で、各議員から御発言がありました。
金子総務大臣です。資料2に関する地財審資料についての御説明で、「地方税財政改革の方向」として、社会保障関係費の増加をはじめとする財政需要を適切に地方財政計画に計上し、一般財源総額を安定的に確保すべきであること。「活力ある持続可能な地域社会に届けた取組」として、デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、自治体が地域の実情に応じて取り組めるよう、地方財政措置を講じるとともに、マイナンバーカードの一層の普及に向けた取組を進める必要があることなどとなっている。こうした意見を十分に踏まえた上で、基本方針の策定を行っていただきたいという御発言でした。
萩生田経産大臣です。長期的な日本経済の低迷から脱却するため、グリーン、デジタルなどの社会課題解決分野で大胆に成長投資を拡大するとともに、人材、スタートアップなど経済社会システム基盤の組み替えを進める。こうした考えの下で、クリーンエネルギー戦略中間整理に基づき、今後10年間150兆円超の投資を実現するためのロードマップを年内に取りまとめる。日米首脳での合意に基づき、先端半導体基盤の拡充・人材育成に加え、2020年代後半に次世代半導体の設計・製造基盤を確立する。人への投資や学び直し成果を活用したキャリアアップや兼業・副業の促進などに取り組む。才能ある人材の発掘・育成や、国内外のベンチャーキャピタルへの公的出資の拡充などを行う。こうした政策を速やかに実行に移していくという御発言でした。
鈴木財務大臣でございます。本日示された「原案」においては、財政健全化の「旗」を下ろさず、これまでの財政健全化目標に取り組む。官民連携の下、重点分野への投資を必要な財源を確保しつつ推進する。令和5年度予算において、本方針及び骨太方針2021に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進するなどと記載されている。
また、前回の会議で御紹介した財政制度等審議会の建議の内容もしっかりと反映されており、取りまとめの御尽力に感謝申し上げる。
課題解決と経済成長を同時に実現しながら、経済社会を強靱で持続可能なものに変革する新しい資本主義を起動するため、本方針に基づき、我が国が直面する課題に対して責任を持って取り組んでまいりたいという御発言でした。
民間議員からです。GX、DXの推進、人への投資など、財政健全化に留意しつつ、予算措置を含めた重点投資のロードマップの取組を進めてもらいたい。こうした観点から3点述べる。
1点目は安全保障。ロシアのウクライナ侵攻など、安全保障の重要性に対する認識が高まっている。国の安全保障だけでなく、経済安全保障もエネルギーも食料も重要。エネルギーについては国産エネルギーの確保に努めるべき。再生可能エネルギーは変動が大きい。現実的で着実な取組が必要。原子力は、再稼働はもちろん、運転の長期化も必要。将来的には核融合の開発も急がれる。
2点目は自由貿易の推進。自由貿易は我が国だけでなく、世界の繁栄につながる。現下の厳しい国際情勢の下では、安全保障の観点から、Like-Minded Countryとの協調が求められる。
3点目は科学技術立国。成長の源泉は自由貿易と科学技術・イノベーションである。第6期科学技術基本計画を踏まえ、戦略的に重要な分野の取組を進めるべきだという御指摘でした。
別の民間議員です。1点目は対日投資について。ダボス会議で中国ではなく、日本へ新たに投資を行いたいという企業が多かった。官民挙げて日本にお金を呼び込む必要がある。高い教育水準やインフラ、政治的安定などが評価されている。このチャンスをきちんと活かし、シンガポール等の他国に負けないような投資環境を作っていくことが重要。外資系企業への抵抗感を少なくするべく、SDGsの推進やダイバーシティの促進を進めるほか、外国語教育や労働力の円滑な移動を進める必要がある。
2点目は安全保障について。食料の安全保障を確保することが必要であり、生産性の拡大に努めるべき。みどりの食料システム戦略についてもしっかりと進める必要がある。農業も重要だという御発言でした。
別の民間議員です。学び直し、人への投資について。現状は雇用保険の被保険者かどうかで受けられる制度に違いがある。国民全体の安心と意欲を高めるには、誰もがスキルアップできることが重要。あと、財政健全化の旗を下ろさず、その決意とコミットメントを示していくことが重要。健全な財政は将来の国民の安心の基盤である。そのための道筋をつけることが大事。
単年度主義の弊害是正について、中長期のプランを持つことが大事。企業でも中期経営計画をつくるのが当たり前。その点では、国の財政も中期経営計画的な視点でプランをつくっていくことが重要。骨太方針は本来そういうものであり、その点で重要な分野に柱が刺さってきたと思うという御指摘でした。
別の民間議員です。3点ございました。1点目はコロナ対策の検証について。コロナ対策で投じた公金等がいつどのように使われ、どのように効果が上がったのかを検証する必要がある。それらの検証なしにワイズスペンディングというのは達成できない。
2点目はデータに関する環境整備について。医療をはじめとして様々な分野でデータ環境が整備されていないことが問題。国と地方との間や省庁間等の一気通貫したデータの整備が必要。
3点目は財政健全化について。経産大臣からも発言のあった150兆円の投資等で市場が盛り上がりつつあるが、まだ積極的な投資を行うという話は聞こえてこない。サステナブルファイナンスを含め、どのように投資を増やしていくかという観点を持つ必要があるという御指摘でした。
最後に、総理から御発言がございましたが、お聞きになったとおりです。
(以上)